JP2012509450A - 押し込み式ファスナー装置 - Google Patents

Abstract

【構成】押し込み式ファスナー装置を無孔パネル表面に押し込むことによってこれをパネルに取り付けることができる。ファスナー装置は素子を取り付けるための手段を備えているため、素子をパネルに取り付ける直接的な構成成分として作用する。ファスナー装置は、雌型または雄型の取り付け手段を備え、また上端部から下端部まで延長する外面を備えている。下端部付近で、補強用カラーは、下向きに作用してファスナー装置をパネルに取り付ける力を受け取る環状上面を備えている。変位素子およびアンダーカットをカラー直下に設けて、変形したパネル材料の常温流れを促し、これを受け取り、パネルにファスナー装置を固定する。アンダーカット直下に軸方向に突設した複数の円周歯は、ファスナー装置の実装時にシートを貫通する鋭い刃をもつ三角形ナールで構成する。ファスナー装置の下部は、パネルを貫通する鋭い円形の切り込み縁部まで延長する。
【選択図】図１および図１ａ

Description

関連出願

本出願は２００８年１１月２１日に出願され、発明の名称を“Ｐｉｅｒｃｉｎｇ Ｓｔａｎｄｏｆｆ”とした仮特許出願第６１／１１６，８６３号に対応し、その優先権を主張する出願である。

本発明は、ファスナー装置（ｆａｓｔｅｎｅｒｓ）であって、ファスナー装置の押し込み端部が変形している間にシート材料に強制的に埋設することによってシートに取り付けることができ、シートからのファスナー装置の引き抜きに対して抵抗できるファスナー装置に関する。

ヘッド隠蔽式自動クリンチ型スタッド及びスタンドオフ（ｈｅａｄ ｓｅｌｆ−ｃｌｉｎｃｈｉｎｇ ｓｔｕｄ ａｎｄ ｓｔａｎｄｏｆｆ）の大きな欠点は、ファスナー装置を装着する場合には必ず最初に平エンドミルを使用してドリル加工を行なわなければならないことである。基材にドリル加工を行う必要のない自動押し込み式ファスナー装置や自動装着型ファスナー装置の従来設計の場合、ファスナー装置の硬度よりも硬度が低い、柔らかい基材に打ち込むことができる鋲／リベットを利用する。これら従来設計の多くの場合、ファスナー装置の打ち込まれた押し込み端部の形状と作用しあって、押し込み端が変形してシートにクリンチできるシートの後側を支持するために特殊なアンビルが必要である。ファスナー装置の押し込み端部は、ファスナー装置を装着する構造上の金属部材の硬度よりも硬くなるように熱処理してもよい。従来のこのような設計努力にもかかわらず、ファスナー装置を支持基材に確実に装着するために装着孔や特殊な形状構成の支持アンビルを必要としない経済的な上に効果の高い自動装着型ファスナー装置が依然として求められている。

本発明はスタンドオフ装置（ｓｔａｎｄｏｆｆ）かあるいはスタッド装置（ｓｔｕｄ）いずれかの形で実施態様化でき、クリンチ作用構成を備え、そしてクリンチ作用部の手前に切り込みリード縁部を備える。そしてファスナー装置の中心は中空化してあるため、金属に押し込まれる突出領域を小さく抑え、かつファスナー装置の中心に金属を流し込むことができる。変位素子（ｄｉｓｐｌａｃｅｒ）ではなく、シャンク部をナーリング加工してあるため、トルク抵抗が発生し、孔を設けることなく実装面に押し込む必要のある突出領域を小さくできる付加価値が得られる。材料変位量および硬化処理量が大きくなるため、パネルとクリンチ式ファスナー装置との間にはより大きな硬度差が必要である。さらに、必要な材料変位はそれほど大きくないため、変位素子リングの有効深さはきわめて小さく設定できるが、実装時にせん断力による離脱を避けるためには、硬化処理かあるいはシートに埋設されない厚み部分に補強材料を設けるかのいずれかによってこのリングを補強することが必要である。

本発明のファスナー装置は押し込み作用（ｐｉｅｒｃｉｎｇ ｆｕｎｃｔｉｏｎ）をもつため、孔を開設するドリル作業は必要ない。ファスナー装置を金属の平坦シートに押し込むと、シャンク部のリード縁部が表面に切り込む。シート材料がファスナー装置内部を上向きに流れ、その中心に流れ込む。変位素子が金属を下向きに押し込み、シャンク部の外側にあるアンダーカットにこれを押し込んだときに、アンダーカットが充填される。シャンク部のナールによってトルク抵抗が発現する。シートに押し込むと、変位した金属がアンダーカットを充填し、ナール上部を埋めるため、ファスナー装置が所定位置に強くロックされる。表面積および表面直径が最大になるファスナー装置の外面にそって実装体が配置されているため、ファスナー装置とパネルとの間の接合がきわめて強くなる。

より具体的には、本発明は、パネルに装着でき、かつ軸方向貫通内孔および上端部から開放した下端部まで延長する外面をもつバレル部からなる装置をパネルに装着する手段を備えた押し込み式ファスナー装置であって、上記貫通内孔が、上記パネルに押し込まれる鋭い円形縁部まで延長する下部において大きな径の内壁を備えた押し込み式ファスナー装置を提供するものである。補強用カラーはその下端部付近においてバレル部の外面から半径方向に延長するとともに、ファスナー装置の最大径を構成するもので、その環状上面が下向きに作用する押し込み力を受け取る。カラー部の直下に設けた環状変位素子は、パネルを強制変形させる環状下面を備え、また変形したパネル材料の常温流れを受け取るアンダーカット溝は、変位素子直下の外面に設ける。複数の軸方向に延長する円周歯は、上記外面のアンダーカットの直下に設ける。これら歯の直径はアンダーカットよりも大きく設定するが、変位素子よりも小さく設定する。下向きで内向きに延長する面取り面は、上記歯からファスナー装置の下端部における円形切り込みリップまで延長する。

本発明の押し込み式ファスナー装置の場合、金属シートであるパネルに使用するのが好ましい。貫通内孔の上部にねじを刻設すると、これが対象装置への取り付け部になり、従って装置をパネルに装着することができる。上記の歯としては、ファスナー装置の装着時にシートに貫通する鋭い刃をもつ三角形ナールを使用できる。ナールの三角形は、上記アンダーカットのフレア付き下面およびその直下の面取り面によって構成される。シートへの貫入を促進するために、バレル部の内壁は、切り込みリップの貫入縁部まで延長するその下部にそって円筒形に構成する。変形パネル材料のアンダーカットへの充填は、アンダーカットの外向きフレア付き下面によって容易になる。

ここで、本発明の少なくとも一つの実施態様を詳しく説明する前に、本発明は構成の細部には制限されず、また以下の説明において開示されるか、あるいは添付図面に示される構成成分の構成配置に制限されないことを指摘しておく。また、本発明は他の実施態様も可能であり、各種の方法で実施でき、そして本開示に用いる用語術語などは、例示を目的とするもので、限定を意図するものではない。

また、当業者ならば、本開示の基礎をなす考えかたは、本発明のいくつかの目的を実現する他の構造体、他の方法や他のシステムを設計するさいの基礎として応用できることを理解できるはずである。従って、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲の記述はこのような等価な構成を含むものとして解釈することが大切である。

本発明のファスナー装置を示す部分断面正面図である。 図１の一部の拡大図である。 ファスナー装置を使用する実装構成を示す部分断面正面図である。 実装工程を示す部分断面図である。 実装工程を示す部分断面図である。 実装工程を示す部分断面図である。 実装工程を示す部分断面図である。

図１について説明する。図１は、本発明のスタンドオフ式ファスナー装置１１を示す部分断面図である。本発明のファスナー装置は、上端部および下端部において開口する内孔１９を穿設したバレル部１３を備える。本実施態様における内孔は、めねじ１５が刻設され、ここに、部品などを取り付ける同様なねじ式のファスナー装置が受け取られる。スタンドオフ式ファスナー装置の基部には補強用カラー１７が形成され、スタンドオフ式ファスナー装置を取り付け、かつ下部においてファスナー装置の押し込み端部１６の変形を制御するために必要な駆動力を受け取る構造力を確保する。

図１ａは、図１の円で囲んだ部分の拡大図である。即ち、本発明のスタンドオフ式ファスナー装置の押し込み端部の細部を示す図である。内孔１９は、スタンドオフ式ファスナー装置の下部ないし取り付け端部において開口し、広い領域２３をもつ。ファスナー装置の最下端縁部には、表面２９にそって基材を内向きにテーパ加工しているため、円形の切り込みリップ２１がある。本実施態様のファスナー装置の場合、ファスナー装置と基材が相互に変形して確実なクリンチ式実装を実現するために、変位カラー（変位つば）２７と、小径アンダーカット２８を利用する。このアンダーカット２８は、変位カラー２７と、いったん取り付けられた後は基材に食い込みファスナー装置の回転に抵抗する外側フレア歯２５との間に位置する。別な実施態様（図示省略）の場合、内孔は補強用カラーまでで抑え、バレル部の外面にねじを刻設し、ナットなどのめねじを刻設しためねじ部材を受け取るように構成する。

図２に、本発明ファスナー装置を実装する実装構成を示す。ファスナー装置の基部において下向き力Ｆを加える部材３１を補強用カラー１７に押し込むことによってシート３３にファスナー装置１１を強制的に作用させる。力Ｆが連続的に作用すると、切り込みリップ２１が、アンビル３７によって後側で支持された状態で、シート３３の表面に切り込み始める。

実装工程は図３ａ〜３ｄに示す通りである。図示のように、シャンク部の前縁部にある切り込みリップ２１がシート３３の表面に切り込む。シート材料が軟質であるため、ファスナー装置の中心において上方に流れるとともに、半径方向に突き出た三角形のナール２５を備えたシャンク部の外面の周囲に流れる。シャンク部の外側には、アンダーカット２８を刻設する。ナール上を閉じている間、変位カラー２７が金属材料をアンダーカット２８に押し込むと、このアンダーカットが金属材料で充填され、従って各部材を所定位置にロックすることになる。

以上の説明は、例示のみを目的とするものである。また、当業者ならば、数多くの変更などを加えることができるはずである。即ち、本発明は、以上説明し、かつ図面に示す構成、実施態様に制限されるものではなく、好適な変更例や等価例はいずれも本発明の範囲にあるものとする。

本発明の権利対象となるものを特許請求の範囲に記載する。

１１：スタンドオフ式ファスナー装置
１３：バレル部
１５：めねじ
１７：補強用カラー
１９：内孔
２１：切り込みリップ
２３：広い領域
２５：歯（ナール）
２７：変位カラー
２８：アンダーカット
３３：シート

Claims (9)

1. 対象パネルに取り付けることができ、素子への実装手段を備えた押し込み式ファスナー装置において、
   軸方向に貫通した孔と、上端部から開放下端部まで延長する外面とを備えたバレル部であって、この貫通孔が下部において径が大きく、上記パネルに押し込まれる鋭い円形縁部まで延長する内壁を備えたバレル部、
   上記バレル部の外面から半径方向に延長し、上記バレル部の基部に設けられた補強用カラーであって、上記ファスナー装置の最も径の大きい部分を構成するとともに、下向きの押し込み力を受け取る環状上面を備えた補強用カラー、
   上記カラーの直下に設けられ、上記パネルを強制的に変形させる環状底面を備えた環状変位素子、
   上記変位素子の直下の、変形されたパネル材料の常温流れを受け取る上記外面に刻設されたアンダーカット溝、
   上記外面の上記アンダーカット直下に設けられ、上記アンダーカットよりも径が大きいが、上記変位素子よりも径の小さい軸方向に突き出た複数の円周歯、および
   上記円周歯から下向き方向かつ内向き方向に上記ファスナー装置の下端部の円形切り込みリップまで延長する面取り面を備えたことを特徴とする押し込み式ファスナー装置。
   
2. 上記貫通孔の上部にねじを刻設した請求項１に記載のファスナー装置。
   
3. 上記歯が三角形のナールである請求項１に記載のファスナー装置。
   
4. 上記パネルが金属シートである請求項１に記載のファスナー装置。
   
5. 上記内壁が上記下部において円筒形かつ上記バレル部と同軸で、上記切り込みリップの縁部まで延長する請求項１に記載のファスナー装置。
   
6. 上記アンダーカットが外側フレア下面を備えた請求項１に記載のファスナー装置。
   
7. 対象パネルに取り付けることができ、素子への実装手段を備えた押し込み式ファスナー装置において、
   上端部から開放下端部まで延長する外面を備えたバレル部、
   下部において、上記パネルに押し込まれる鋭い円形縁部まで延長する内壁を備えた孔部、
   上記バレル部の外面から半径方向に延長し、上記バレル部の基部に設けられた補強用カラーであって、上記ファスナー装置の最も径の大きい部分を構成するとともに、下向きの押し込み力を受け取る環状上面を備えた補強用カラー、
   上記カラーの直下に設けられ、上記パネルを強制的に変形させる環状底面を備えた環状変位素子、
   上記変位素子の直下の、変形されたパネル材料の常温流れを受け取る上記外面に刻設されたアンダーカット溝、
   上記外面の上記アンダーカット直下に設けられ、上記アンダーカットよりも径が大きいが、上記変位素子よりも径の小さい軸方向に突き出た複数の円周歯、および
   上記円周歯から下向き方向かつ内向き方向に上記ファスナー装置の下端部の円形切り込みリップまで延長する面取り面を備えたことを特徴とする押し込み式ファスナー装置。
   
8. 上記外面にねじを刻設した請求項７に記載のファスナー装置。
   
9. 上記歯が三角形のナールである請求項７に記載のファスナー装置。

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