JP2004160486A - ブラインドナットかしめ工具用のノーズピース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ブラインドナット1をかしめ工具を用いて取付部材Xに穿設された孔Yにかしめ処理する際、かしめ工具の作動部7によるブラインドナット1の筒状部2の他端側の引き込み動作に伴ってブライドナット1のフランジ4が取付部材Xから浮き上がるのを規制するものであり、且つ表面形状が曲面状の取付部材Xを対象とするノーズピースであって、フランジ4が当接する面9aが取付部材Xの表面形状に対応して形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラインドナットをかしめ処理する際に用いられるかしめ工具用のノーズピースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、板材やパイプ等の取付部材に締結することのできるブラインドナットは、筒状部と、該筒状部の一端に一体形成された雌ねじ部と、該筒状部の他端に一体形成されたフランジとからなり、かしめ処理の対象である取付部材に穿設した孔に表面側から筒状部を挿入した状態で、該筒状部のうちの取付部材の裏面側に位置する部分を座屈変形させてその座屈部とフランジとにより取付部材に締結する構成である(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭59−146607号公報
【0004】
図3は、フランジが皿状に形成されたブラインドナットを示し、これを例示してかしめ処理を説明すると、まず、図3(イ)に示す如く、取付部材Xの円孔Yにブラインドナット1(断面で図示)を挿入し、フランジ4が取付部材Xの表面に当接した状態(より詳しくは、テーパ環状に形成されたフランジ4の下面が取付部材Xの表面側に形成された円孔Yの面取り面に当接し、フランジ4の上面が取付部材Xの表面と略面一になった状態)にする。
【0005】
次に、かしめ工具(全体図示省略)6の作動部である雄ねじ部7(断面で図示)を筒状部2内に挿入し、且つ軸周りに回転させて雌ねじ部3に螺合させる。さらに、図3(ロ)に示す如く、かしめ工具6のノーズピース8(断面で図示)がフランジ4の上面に当接した状態となった後も雄ねじ部7を回転させると、フランジ4が取付部材Xの表面に当接したままの状態で雌ねじ部3がフランジ4側に引き込まれるため、筒状部2が座屈変形し、取付部材Xの裏面に当接する座屈部(バルジ部)5が形成される。尚、「座屈」とは、軸方向に加える力が限界値に達すると、径方向に変形を起こす現象をいう。
【0006】
その結果、図3(ハ)に示す如く、フランジ4と座屈部5とが取付部材Xを挟み込む格好となり、ブラインドナット1が取付部材Xに締結される。このようなブラインドナットは、作業が一方向(取付部材Xの表面側)から行えるので、裏面側へ手の届かない部材、例えば角パイプ、丸パイプ、裏面が塞がれた板材等の取付部材に締結するのに便利である。そして、取付部材に締結されたブラインドナットには、ボルトを螺入することができ、このボルトの螺合によって別の部材を取付部材に取り付けることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フランジ4が筒状部2の軸に直交する面に沿って周設された上記従来のブラインドナット1にあっては、図4に示す如く、かしめ処理対象の取付部材が丸パイプである場合、フランジ4全体が取付部材Xの表面(外周面)に当接した状態とはならず、ゆえに、締結力の低下、美観の悪化及び使用上での不都合が避けられない状況となる。
【0008】
このような問題を解決するために、フランジの下面と丸パイプの外周面とが面当接するようにフランジの下面が曲面状に形成されてなるブラインドナットも提案されている(特許文献2)が、このようなブラインドナットは、曲面状の取付部材のみを対象とするものであって、平面状の取付部材に対しては、使用することができない。
【0009】
【特許文献2】
特開2002−98124号公報
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、板材等の平面状の取付部材に適用できるブラインドナットを例えばパイプ等の曲面状の取付部材に適用する際、締結力及び美観が損なわれることのないブラインドナットかしめ工具用のノーズピースを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るブラインドナットかしめ工具用のノーズピースは、筒状部2の一端にフランジ4が形成されたブラインドナット1をかしめ工具を用いて取付部材Xに穿設された孔Yにかしめ処理する際、かしめ工具の作動部7による筒状部2の他端側の引き込み動作に伴ってフランジ4が取付部材Xから浮き上がるのを規制するものであり、表面形状が曲面状の取付部材Xを対象とするノーズピースであって、フランジ4が当接する面9aが取付部材Xの表面形状に対応して形成されていることを特徴とする。
【0012】
かしめ処理は、取付部材Xの孔Yにブラインドナット1の筒状部2を表面側から挿入した後、ノーズピースによってフランジ4を取付部材Xの表面に当接させた状態を維持しながら、筒状部2内に挿入したかしめ工具の作動部による筒状部2の他端側の引き込み動作を行い、該引き込み動作に伴って筒状部2の一部が座屈して取付部材Xの裏面に当接する座屈部が形成されるまでを一連の工程とするが、本発明に係るノーズピースによれば、引き込み動作開始時にはフランジ4の一部が曲面形状からなる取付部材Xの表面から突出した状態にあるために取付部材Xの表面に対して離間した状態にあるノーズピースが、引き込み動作時の反力によって取付部材X側に付勢され、これに伴い、フランジ4が取付部材Xの表面形状に沿うような塑性変形を起こし、フランジ4全体が取付部材Xの表面に当接した状態となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るノーズピースを示す。本実施形態に係るノーズピース9は、上述したように、ブラインドナット1をかしめ工具を用いて取付部材Xに穿設された孔Yにかしめ処理する際、かしめ工具の作動部7による雌ねじ部3の引き込み動作に伴ってフランジ4が取付部材Xの表面から浮き上がるのを規制するものである。そして、本実施形態に係るノーズピース9は、板材等の平面状の取付部材に適用されるブラインドナット1をパイプ状の取付部材Xに適用するために用いられるものである。
【0014】
本実施形態に係るノーズピース9は、例えばS45C等の鋼材からブロック状に削り出した切削品であり、特徴的な部分としては、下面(取付部材Xとの対向面、即ち、フランジ4が当接する面)が円弧面となっていて、取付部材Xの外周面形状に対応したものとなっていることにある。より詳細に言えば、ブロック体の一面が取付部材Xの外周面と略同一径の円弧面に形成されて、ノーズピース9の下面9aは、取付部材Xの外周面と一致(面当接)する形状となっている。
【0015】
また、ノーズピース9の上面9bは、下面9aと異なり、平坦面となっている。この上面9bは、かしめ工具の本体の先端部(図3に示すノーズピース8である場合もある)が当接する部分であり、この上面9bとかしめ工具の本体の先端部とが当接することにより、該先端部から突出する作動部(雄ねじ部)7が所定深さ以上でブラインドナット1内に挿入されるのを規制する機能を有する。
【0016】
さらに、ノーズピース9には、下面9a及び上面9bを貫通する挿通孔9cが穿設されており、ここには、かしめ工具の本体の先端部から突出する作動部7が挿通されるようになっている。該挿通孔9cは、ノーズピース9の中心位置に形成されており、取付部材Xの孔Yに装着されたブラインドナット1と同心に配置される。
【0017】
本実施形態に係るノーズピース9は、上記構成からなり、以下、それを用いたかしめ処理について図2を参酌しつつ説明する。まず、パイプXの円孔Yに筒状部2を外周面側から挿入し、フランジ4の下面がパイプXの外周面(より詳しくは、パイプXの外周面側に形成された円孔Yの面取り面)に当接した状態にする。但し、フランジ4は、筒状部2の軸に直交する面に沿って周設されたものであるため、フランジ4は、一部のみがパイプXの外周面に当接した状態であり、フランジ4のうちのパイプXの周方向における部分は、パイプXの外周面から突出した(はみ出した)状態となっている。
【0018】
このようなブラインドナット1の装着状態で、図2(イ)に示す如く、ノーズピース9をセットする。その際、できるだけノーズピース9の挿通孔9cとブラインドナット1の孔とが一致するようにセットする。さすれば、次に、図2(ロ)に示す如く、かしめ工具の作動部7をフランジ4側から筒状部2内に挿入し、しかる後、作動部7を回転させて雌ねじ部3に螺合させる。
【0019】
作動部7の回転を継続すると、かしめ工具の本体の先端部に固定されたノーズピース8がノーズピース9に当接するまでは作動部7が雌ねじ部3内を螺入していくが、それ以降は、かしめ工具全体の前進が規制されて、雌ねじ部3の引き込み動作へと作用が転換される。
【0020】
さすれば、図2(ハ)に示す如く、フランジ4がパイプXの外周面に当接したままの状態で、雌ねじ部3がフランジ4側に引き込まれるようになる。詳細に説明すると、まず始めに、孔Yの最下部位におけるパイプXの内周面との当接により、周方向に環状の座屈部5が形成される。この時点で、パイプXの内周面は曲面となっているため、孔Yの最下部位を除き、座屈部5とパイプXの内周面との間には隙間が生じているが、しかる後、かしめ工具のさらなる引き込み力により、図2(ニ)に示す如く、座屈部5は、該隙間を埋めるようにして上方に変位し、この時点で、引き込みが規制されてかしめ処理が完了する。
【0021】
また、本実施形態の特徴は、図2(ロ)から(ニ)の一連の流れにおいて、引き込み動作開始時にはフランジ4の一部がパイプXの外周面から突出した状態にあるためにパイプXの外周面に対して離間した状態にあったノーズピース9が引き込み動作時の反力によってパイプX側に付勢されることとなり、これに伴い、フランジ4が塑性変形を起こし、フランジ4全体が円孔Yの面取り面に当接した状態となることにある。これは、ノーズピース9が最終的にパイプXの外周面に面当接することで実現されるのであり、この結果、フランジ4は、パイプXの外周面と面一になり、パイプXの外周面からの突出部分は無くなる。
【0022】
このように、パイプXの内周面においては、最下位部から最上位部にかけて座屈部5が完全に密着し、また、パイプXの外周面においては、最下位部から最上位部にかけてフランジ4が完全に密着することにより、円孔Yの全周縁においてフランジ4及び座屈部5がパイプXに当接するため、パイプXの周方向、軸方向共にブラインドナット1の締結力が担保されるのである。
【0023】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の設計変更が可能である。
【0024】
例えば上記実施形態においては、フランジ4を皿状に形成すると共に、パイプXの外周面からフランジ4が突出するのを無くすために、塑性変形するフランジ4が収容される面取りを円孔Yに形成するようにしているが、円孔Yの面取りは必須要件ではなく、また、フランジを皿状に形成することも必須要件ではない。従って、鍔状のフランジを塑性変形によりパイプXの外周面に沿った形状にするような態様も本発明の意図するところである。
【0025】
また、取付部材の表面形状(従って、ノーズピースの当接面の形状)も円弧面に限定されず、例えば球面であってもよい。このような場合、ノーズピースの当接面は、凹面状となる。
【0026】
さらに、上記実施形態においては、本発明に係るノーズピースがかしめ工具と分離された態様であり、ノーズピースとかしめ工具とを別々にセットするようにしているが、このノーズピースを最初からかしめ工具に装着しておくような態様であってもよい。この場合、ノーズピース8はあっても無くてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るノーズピースによれば、取付部材の表面が曲面形状であるために、ブラインドナットのフランジの一部が取付部材の表面に対して離間するような場合であっても、かしめ処理によってフランジが塑性変形を起こしてフランジ全体が取付部材の表面に当接した状態となるため、締結力が増すと共に、フランジが取付部材の表面と面一あるいは該表面に沿った形状となって美観も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るノーズピースであって、(イ)は、平面図、(ロ)、(ハ)は、(イ)の側面図を示す。
【図2】同実施形態に係るブラインドナットをパイプに装着した状態であって、(イ)は、かしめ処理前の半断面正面図、(ロ)は、かしめ処理開始時の半断面正面図、(ハ)は、かしめ処理中の半断面正面図、(ニ)は、かしめ処理完了時の半断面正面図を示す。
【図3】従来のブラインドナットを板材に装着した状態であって、(イ)は、かしめ処理前の断面斜視図、(ロ)は、かしめ処理開始時の断面斜視図、(ハ)は、かしめ処理後の断面斜視図を示す。
【図4】従来のブラインドナットをパイプに装着した状態であって、かしめ処理後の半断面正面図を示す。
【符号の説明】
1…ブラインドナット、2…筒状部、3…雌ねじ部、4…フランジ、5…座屈部、7…かしめ工具の作動部(雄ねじ部)、9…ノーズピース、9a…当接面、X…取付部材、Y…孔
Claims (1)
- 筒状部(2)の一端にフランジ(4)が形成されたブラインドナット(1)をかしめ工具を用いて取付部材(X)に穿設された孔(Y)にかしめ処理する際、かしめ工具の作動部(7)による筒状部(2)の他端側の引き込み動作に伴ってフランジ(4)が取付部材(X)から浮き上がるのを規制するものであり、表面形状が曲面状の取付部材(X)を対象とするノーズピースであって、フランジ(4)が当接する面(9a)が取付部材(X)の表面形状に対応して形成されていることを特徴とするブラインドナットかしめ工具用のノーズピース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328489A JP2004160486A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | ブラインドナットかしめ工具用のノーズピース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002328489A JP2004160486A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | ブラインドナットかしめ工具用のノーズピース |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004160486A true JP2004160486A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32806783
Family Applications (1)
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JP2002328489A Pending JP2004160486A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | ブラインドナットかしめ工具用のノーズピース |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004160486A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012035809A (ja) * | 2010-08-10 | 2012-02-23 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 車両用外装ビーム |
US11619327B1 (en) | 2021-10-23 | 2023-04-04 | Elliott Greenfield | Deformed blind rivet loop clamp |
-
2002
- 2002-11-12 JP JP2002328489A patent/JP2004160486A/ja active Pending
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US11619327B1 (en) | 2021-10-23 | 2023-04-04 | Elliott Greenfield | Deformed blind rivet loop clamp |
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