JP4294644B2 - クリンチ形ブラインドナット - Google Patents

Description

パネルには、片側からのみ装着するパネルがあるが、本発明はこのパネルに永久固着するブラインドナット形の挿入体に関する。特に、本発明は、パネルからの金属の冷間流れを受け取ることによってパネルと同じ高さのクリンチ形取り付け体になるブラインドナットに関する。

ブラインドナットは、深さおよび／または硬度がねじを直接刻むのに不十分である金属シートなどの薄いパネルにねじ要素を装着するために使用するよく知られた挿入体の一種である。この種のナットが“ブラインド”と呼ばれている理由は、パネルの片側のみが装着に利用できる場合に適用できるからである。例えば、このブラインドナットをパネルに取り付けるさいには、パネルの一方の側に位置するフランジヘッドと、パネルの他方の側に当接する変形により形成した膨らんだ部分との間にあるパネルに取り付ける。これらの膨らんだ部分は、ナットにねじ込んだ圧縮工具マンドレルによって、雌ねじを形成した端部に隣接するナットシャンクの径の小さい中間管状部分（以下、変形部分と呼ぶ）を変形させることによって形成する。ナットの装着後、ナットからマンドレルを取り外すと、ナット／パネル体が残り、これにねじやボルトを挿入すると、他の部材をパネルに取り付けることができる。また、雄ねじを刻んだブラインド挿入体もあり、圧縮荷重を挿入体の端部に加える手段としてマンドレルの代わりに永久固着したスタッドを利用する。

ブラインドナット／パネル体の特性は、係合相手のねじ挿入体を取り付けるさいの２つの異なる軸方向強度を考えることによって説明することができる。第１の強度は、係合相手のねじファスナー（ナット）を締め付けるさいに加えることができる軸方向荷重量の尺度である、締め付け荷重キャパシティである。締め付け荷重キャパシティは、ねじストリッピング強度およびねじ領域の支持強度の関数である。装着した挿入体の横断面の形状を考えると、この支持強度は、膨らんだ部分のせん断強度とパネル内の変形部分の圧縮強度との合成強度である。考慮すべき第２の強度は、ブラインド挿入体を含むパネルから装着した部材を分離するために必要な荷重の尺度である、使用荷重キャパシティである。装着した挿入体の横断面の形状を考えると、膨らんだ部分が、挿入体がパネルから引っ張り出されるのを防ぐただ一つの要素であり、従って使用荷重キャパシティは簡単にいえば膨らんだ部分のせん断強度である。使用荷重に対して膨らんだ部分の圧縮強度が付加的に作用しないため、使用荷重キャパシティは常に締め付け荷重キャパシティより小さい。

使用することができる装着工具のタイプも考慮すべき対象である。ブラインドナットの装着工具には、基本的に２つのタイプがある。即ち、スピン-プル（ｓｐｉｎ−ｐｕｌｌ）形工具とスピン-スピン（ｓｐｉｎ−ｓｐｉｎ）形工具である。スピン-スピン形工具の場合、係合相手であるねじ部材の回転によって挿入体の変形可能な領域に圧縮荷重を生成する。スピン-スピン形工具は低コスト、軽量な上に、構成・使用が簡単であるため、一般的には好ましい工具であるが、生成できるアプセット力が限られているため、壁が厚い部材を装着するためには一般に使用できない。スピン-プル形工具の場合、係合相手のねじ部材を所定の位置に回転し、次に軸方向引っ張り力を加えてから逆方向に回転し、ナットからねじ部材を取り外す。スピン-プル形工具は、スピン-スピン工具よりも構成が複雑で、従ってコストも高く、重量もある。また、組み立ても難しく、必要な保守作業も多い。従って、どの形式の装着工具を使用するかは、アプセット力、即ちパネルを係合把持する膨らんだ部分を形成するために必要な力によるところが多い。このため、使用荷重キャパシティが最大で、スピン-スピン形装着工具が与える限られたアプセット力で実現できるアプセット荷重をもつブラインドナット挿入体が望まれている。

ブラインドナットに望まれる性能特性は、大きなグリップ範囲である。すなわち、同一の部材を各種の厚みをもつパネルに取り付けることができる能力である。以下、“グリップ”を使用する場合、第１の膨らんだ部分と挿入体ヘッドとの間においてパネル孔に位置するシャンクの変形部分を意味するものである。

用途にもよるが、パネルのブラインドナット装着側と同じ高さで装着できるブラインドナットが必要な場合もある。この場合には、パネルを皿座ぐり加工し、ナットのヘッドを受け取るように構成して、ヘッド面をパネルの前面と同一平面にする必要があるが、これは、パネルを皿座ぐり加工は付加的な製造作業を必要とするため望ましくない。この問題を解決するために、同一平面装着を可能にするブローチ形ブラインドナットが工夫され、提案されている。このナットの場合、ヘッドを設ける代わりに、非回転関係で工作物にブラインドナットを固定する歯をもつセレーション端部を設けている。従って、パネルを皿座ぐり加工する必要はない。このような挿入体は、例えば、ＭｃＫａｙなどを発明者とするＵＳＰ３，９４８，１４２に開示されている。ブローチ装着を実現するために、ナット内部のキャビティに、ナット体中に入る材料の内側に変形可能な壁を嵌合する。この種の装着に関する問題の一つは、挿入体がシートから押出されることを防止する積極的な構造が挿入体にないことである。押出し荷重がブローチ荷重に等しいため、挿入体がパネル全体をブローチし、ずれる結果になる。

同一平面装着ブランドナットに自動クリンチ形装着を利用することも知られている。一つの自動クリンチ形ブラインドナットは、例えば、Ｄａｖｉｓを発明者とするＵＳＰ３，２１５，０２６に開示されている。クリンチ形装着の場合、変形した金属パネルの冷間流れに依存するため、ブローチ装着よりもかなり大きな装着締め付け荷重が必要である。このため、公知ブラインドナット材料および構成の範囲内で、この挿入体は、比較的軟質の材料からなる金属パネルに限定されている。ナット材料の強度を強くすることによってナットのせん断強度を強くする試みもあるが、これは、装着工具の限られた使用力を条件とした場合、装着されたシートの後ろ側に対して適正に変形させるナットの能力に対して相反するものである。また、材料強度を強くすることなく、ブラインドナットの締め付け荷重の強度を構造的に強くする試みが、例えば、Ｅｋｌｕｎｄを発明者とするＵＳＰ２，３２４，１４２に開示されている。この場合、ブラインドリベットの変形部分に第２の補強用の膨らんだ部分を設けている。ところが、ここに記載されているように、この構造の場合、より硬い金属シートへのクリンチ形装着が必要とするより大きな使用荷重に対して必要な膨らんだ部分のせん断強度を与えないナットシャンクの変形部分の外面に複数対の溝を設ける必要がある。

さらに、アニーリングによってブラインドナットの変形部分の領域に弱い領域を形成し、変形部分の長さにそって硬度の低いゾーンを形成することが知られている。挿入体を圧縮すると、アニーリング処理領域に膨らんだ部分が形成する。ブラインドナット冶金技術を膨らんだ部分に転用する方法は、例えば、Ｋｅｎｄａｌｌを発明者とするＵＳＰ４，８２６，３７２に開示されている。
ＵＳＰ３，９４８，１４２ ＵＳＰ３，２１５，０２６ ＵＳＰ２，３２４，１４２ ＵＳＰ４，８２６，３７２

従来技術における各種試みにもかかわらず、パネルのブラインドナット装着側と同一高さで装着でき、しかもスピン-スピン形工具によって装着できる広いグリップ範囲をもつブラインドナットはまだ実現化されていない。このように、より硬い金属のシートに使用できるクリンチ形同一平面装着式のブラインドナットの提供が求められている。また、スピン-スピン形工具で装着でき、しかも各種厚みのパネルに装着できるグリップ範囲が広い、より硬い金属パネル用のクリンチ形ブラインドナットも求められている。

上記従来技術における課題を解決するために、本発明は、新規なブラインドナットとしてねじ式ブラインド挿入体を工夫したものである。即ち、本発明は、壁厚を比較的薄くし、また複数の膨らんだ部分を形成できるようにシャンクの変形部分である薄肉円筒部の長さを大きく取ったねじ式ブラインド挿入体を提供するものである。これら複数の膨らんだ部分は、ねじ式ブラインド挿入体の内面または外面に、シャンクの薄肉円筒部において、別な材料を設けることによって形成することができる。あるいは、薄肉円筒部の材料に、選択的なアニーリングなどの熱処理によって、選択的に硬化処理したカラーを形成してもよい。

壁厚を比較的薄くしたため、本発明のねじ式ブラインド挿入体（ブラインドナットなど）は、スピン-スピン形工具を使用して、装着でき、広いグリップ範囲を実現できる。本発明のねじ式ブラインド挿入体を装着すると、２つの膨らんだ部分が形成する。シートに接触する第１の膨らんだ部分については、常に、ねじ端部領域に隣接して形成する支持作用をもつ第２の膨らんだ部分よりも同じ直径にするか、あるいは大きな直径にする。２つの膨らんだ部分を形成したため、ただ一つの膨らんだ部分を形成した場合と比較して、膨らんだ部分のせん断強度は壁厚の二倍ではなく、壁厚の４倍に比例する。

本発明の特徴である複数の膨らんだ部分の軸方向位置を調節することによって、これら膨らんだ部分の形成順を調節できる。多くの場合、パネルに隣接する膨らんだ部分を最初に形成する。一例では、パネル取り付け孔の内側にある部分の圧縮強度については、外径と取り付け孔との間のクリアランスを大きく設定することによって小さくする。このクリアランスの結果、パネルに隣接して膨らんだ部分が形成するさいにこの領域を曲げることができる。この部分を最初に曲げることにより、ヘッドを埋設するさいの次の曲げも容易になる。

別な例では、選択的な硬化処理か、あるいは選択的なアニーリングのいずれかによって、ねじ式ブラインド挿入体の選択した局部領域の冶金学的特性を変更し、これによってねじ式ブラインド挿入体における複数の膨らんだ部分の形成性を実現できる。あるいは、これの外径部分に補強リブを形成することによって強度を強くした局部領域を形成し、このいずれかの側に、以下にさらに説明するように、膨らんだ部分を形成してもよい。

より具体的には、本発明は、軸方向孔を貫通形成し、一端にヘッドを設けるとともに他端の貫通孔にねじ領域を設けたシャンクであって、その外面と貫通孔との間に位置するシャンクからなるねじ式ブラインド挿入体を提供するものである。このシャンクの外面にそって軸方向に設けた直径の小さい領域によってシャンクの薄肉円筒部を形成する。この直径の小さい薄肉円筒部のほぼ中央に、シャンクと一体化したラジアルカラーを設けると、その点での壁厚が厚くなり、ねじ式ブラインド挿入体のパネルへの締め付け時の圧縮時にラジアルカラーのいずれかの側に膨らんだ部分を形成できる。本発明のねじ式ブラインド挿入体にはさらに、ヘッドの下側に隣接してフランジを設ける。このフランジの外径については、シャンクの直径よりも大きく設定するが、ヘッドの直径よりも小さく設定する。ヘッドについては、ローレットを形成するか、あるいは多角形などの非円形形状に構成する。円形開口を形成したパネルにねじ式ブラインド挿入体を取り付けるが、この円形開口の直径については、嵌合するフランジの直径よりもわずかに小さく設定する。この寸法設定によって、シャンクと円形開口の側壁との間に位置する実質的に環状の間隙が形成する。ねじ式ブラインド挿入体を圧縮すると、ラジアルカラーのいずれかの側に膨らんだ部分が形成し、これら膨らんだ部分とねじ式ブラインド挿入体のヘッドとの間にパネルを締め付けるパネルの後ろ側に対して反力が作用する。膨らんだ部分に作用する反力が十分なため、ヘッドとローレットがパネルに埋設し、パネルの前面と同一面にすることができる。あるいは、ラジアルカラーの代わりに、ねじ式ブラインド挿入体の熱処理によって形成する変形壁を硬度のより強いバンド材によって構成してもよい。即ち、バンド材のいずれか側において変形部分を一部アニーリングするか、バンド材領域を熱処理することによって硬度のより強い領域を形成するか、あるいはバンド材両側の材料をアニーリングし、これら薄肉円筒部における材料を軟化してもよい。

本発明は、以下に示す作用効果を実現するものである。まず、壁厚およびアプセット荷重に対して膨らんだ部分の強度が強くなる。第２に、特別な孔を形成することなく、ねじ式ブラインド挿入体を装着する側と同一面にすることができる。第３に、以下に説明するように、円形取り付け孔のねじれ作用維持強度を強くすることができる。最後に、より厚い壁厚を利用するねじ式ブラインド挿入体よりもグリップ範囲を広くとることができ、膨らんだ部分のせん断強度を強くできる。本発明の上記以外の目的および作用効果については、添付図面および好適な実施態様の詳細な説明から当業者ならば理解できるはずである。

図１および図２について説明すると、本発明のねじ式ブラインド挿入体１０の第１実施態様は、軸方向に貫通孔９を形成する。外径がフランジ１７に対して小さい領域である薄肉円筒部１２のほぼ中央において、薄肉円筒部１２と一体的に厚肉円形延設部を成すラジアルカラー１１をシャンク１３に設ける。このラジアルカラー１１の位置は、ヘッド１５よりもねじ式ブラインド挿入体のねじ部分８にわずかに近い。ヘッド１５には、工作物にプレスしたときに、高レベルの耐ねじれ性を示すことが知られているある種の自動クリンチ形挿入体によく利用されているローレット１６を形成する。このローレット１６は、工作物の硬度よりも硬くなるように硬化処理する。ヘッド１５の下側にあるフランジ１７が、工作物の取り付け孔の中心にねじ式ブラインド挿入体を位置決めし、シャンク１３と取り付け穴の側壁との間に環状の間隙を設定する。この場合、フランジ１７の軸方向長さは、ねじ式ブラインド挿入体１０を装着できるパネル２０の最小厚みよりもいくぶん短くする必要がある。

図３〜６は装着工程を示す図で、変形領域である薄肉円筒部１２におけるねじ式ブラインド挿入体の座屈状態およびヘッドローレット部１６の埋設状態を示す。まず図３について説明すると、図１のねじ式ブラインド挿入体１０を、想像線で示す装着工具２１上に設定する。この装着工具２１は、ねじ式ブラインド挿入体１０に挿入されるねじを形成したマンドレル２３を有し、さらに、端面が装着全体を通じてねじ式ブラインド挿入体１０のヘッド１５に当接する装着工具２１を有する。図３に示すように、ねじ式ブラインド挿入体１０のヘッド１５に隣接するフランジ１７を工作物、即ちパネル２０の取り付け孔に配置し、ねじ式ブラインド挿入体１０をこの孔の中心に正しく合わせる。ラジアルカラー１１を、シャンク１３の薄肉円筒部１２のほぼ中心に設定する。装着工程は、ねじ式ブラインド挿入体１０のねじ１８とかみ合うマンドレル２３に装着工具２１によって引っ張り力を作用させることによって開始する。

次に図４について説明すると、装着工具２１の引っ張り力が、ねじ式ブラインド挿入体１０の薄肉円筒部１２に荷重を加え、これを圧縮状態におく。図４には、パネル２０の後ろ側に直接隣接する第１の膨らんだ部分２５が完全に形成した状態、および第２の膨らんだ部分２６が形成し始めている状態を示す。壁厚が均一な変形部分がその外径にそって外部材料のラジアルカラー１１によって２つの部分に分割され、ラジアルカラー１１のない薄肉円筒部１２の長い部分が、圧縮強度が小さく、最初に座屈する領域になる。このように、膨らんだ部分の形成順を別な材料のラジアルカラー１１を軸方向に設定することによって制御できる。装着のこの時点ではまだ、第１の膨らんだ部分２５は半径方向軸に対して対称になっていない。

図５について説明すると、装着工具２１が引っ張り力を作用し続けているため、第２の膨らんだ部分２６がほぼ完全に形成し、フランジ１７とパネル２０の後ろ側との間の変形部分が全体としてほぼ放射形状になる。装着のこの時点ではまだ、ローレット１６を形成したヘッド１５は、パネル２０に埋設していない。

次に、図６について説明すると、この図には、本実施態様の装着の最終段階を示す。装着工具２１が加える力が大きくなるため、両方の膨らんだ部分２５、２６が完全に接触し、変形部分の内径に存在していた２つの面が軸方向に、相互に密接する点まで移動している。膨らんだ部分２５、２６それぞれが完全に形成し、両方の膨らんだ部分２５、２６が相互に密接した後、さらに変形することはない。というのは、変形に対する抵抗が強くなるからである。装着工具２１が作用する力が大きくなると、ねじ式ブラインド挿入体１０のヘッド１５に対する装着工具２１の係合部材の反力が工作物にローレット１６を形成したヘッド１５を埋設するために必要な力を上回るとともに、ヘッド厚みに等しい量だけグリップ内でシャンク１３を変形させるために必要な力を上回る。したがって、ヘッド１５が完全に埋設し、グリップ内のシャンク１３の変形部分が変形する結果、図５に示す以上に、パネル２０の後ろ側に対するシャンク１３の曲率半径が強くなる。このためには、シャンク１３の外形とパネル孔との間に十分なクリアランスを設定する必要がある。このクリアランスを設定するには、シャンク１３と、パネル孔の側壁とシャンク１３との間に環状間隙を形成するフランジ１７との間に直径差をつくればよい。ローレット１６を形成したヘッド１５よりも大きな直径の装着工具２１は、ヘッド１５が、パネル２０の前面と同じ面よりもさらに埋設することを防ぐ積極的なストッパーとして作用する。

上記の状態では、膨らんだ部分２５、２６はいずれも半径方向面の周りでほぼ対称的になり、完全に形成する。また、ローレット１６がパネル２０に完全に埋設し、装着工程が終了する。上記のように膨らんだ部分を形成することが、本発明の大きな特徴であり、これによってねじ式ブラインド挿入体１０を十分変形できる程度に可撓性化できるにもかかわらず、ローレット１６がパネル２０に過度に埋設することを十分に防止できる。好ましい実施態様では、ねじれを防止する手段としてローレット１６を使用するが、ヘッド１５の形状を非円形にするか、放射状に突起を設けるなどの他の手段も適用することができる。

図７〜１１に、本発明のもう一つの実施態様を示す。この実施態様では、複数の膨らんだ部分３５、３６を形成するさいに、前記の実施態様に示すようにシャンク１３の外形にそって別な材料のラジアルカラー１１を使用するのではなく、シャンク１３の材料よりも大きな硬度をもつ円環状領域を成すバンド３１を使用する。硬度がより大きいバンド３１は、バンド３１の領域を選択的に硬化処理するか、あるいはねじ式ブラインド挿入体全体を硬化処理してからバンド３１の領域の周囲でシャンク１３の残りの部分を選択的にアニーリングしてその硬度を小さくすることによって形成することができる。この点を除く他の物理的な点では、第２実施態様は、図１〜６の実施態様と同様である。ただし、フランジ１７に対して外径が小さい領域をシャンク１３の全長にそって延設する。変形部分になるシャンク１３のより薄い壁の薄肉円筒部１２の領域はフランジ１７と、薄肉円筒部の変形領域およびねじ形成領域の内径差によって作ったねじ形成領域との間に位置する。変形の順序は、図１〜６に示した実施態様と同じである。図７に示すように、装着の第１工程では、ねじ式ブラインド挿入体１０のヘッド１５が装着工具２１に係合するまでねじ式ブラインド挿入体を装着工具２１のマンドレル２３にねじ込み、ねじ式ブラインド挿入体のフランジ１７をパネル２０の孔に挿入する。

図８について説明すると、装着工具が挿入体に漸増する引っ張り力を加え、小さな直径の領域の壁に圧縮荷重を加える。この実施態様では、前記の実施態様と同様に、パネル２０に近いほうの第１の膨らんだ部分３５が最初に形成し、この時点で第２の膨らんだ部分３６が形成し始める。そして同様に、変形部分の長さにそって比較的硬い材料からなるバンド３１の設定によって、バンド３１のどの側に膨らんだ部分を最初に形成するかが決まる。

図９について説明すると、第２実施態様の形成工程で形成した第２の膨らんだ部分３６は、この状態では、ほとんど完成状態にある。中央のフランジとパネル２０の後ろ側との間にある直径の小さい薄肉円筒部内のシャンク部分の形状は、全体として放射形状である。なお、この時点では、ローレット１６を形成したヘッド１５のパネル２０への埋設は始まっていない。

図１０に、装着の最終工程を示す。装着工具２１の引っ張り力が大きくなると、膨らんだ部分３５、３６のいずれもが十分に形成し、ローレット１６を形成したヘッド１５がパネル２０に十分に埋設する。さらに装着工具２１の引っ張り力を強くすると、膨らんだ部分３５、３６が密接し、半径方向面の周りで実質的に対称になる。前記の実施例と同様に、パネル２０の孔内のねじ式ブラインド挿入体１０の壁が変形する結果、図９に示す場合よりも、パネル２０の後ろ側に対する半径がより強くなる。これは、部分的には、パネル２０の孔径と、フランジ１７が与えるシャンク１３の外径と間の間隔によって実現できる。前記の実施態様と同様に、装着工具２１が同じ高さでローレット１６を形成したヘッド１５に取り付けられるため、パネル２０の前側になる。

好適な実施態様の前記説明から、本発明の目的が実現できたことを理解できるはずである。本発明のねじ式ブラインド挿入体（ブラインドナットなど）によれば、ローレットを形成したヘッドを比較的硬い工作物、即ちパネルの同じ高さで取り付けることができるファスナー装置を制御された状態で順次変形することができる。また、以上の説明から当業者にとっては自明なように、本発明には多くの変更などを加えることができる。即ち、本発明は特許請求の範囲およびその法的に等価な範囲によってのみ制限されるものである。

底部正面の等角投影図である。 上部正面の等角投影図である。 本発明のねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明のねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明のねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明のねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明の別な実施態様におけるねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明の別な実施態様におけるねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明の別な実施態様におけるねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。 本発明の別な実施態様におけるねじ式ブラインド挿入体装着順を示す一部を切り欠いた側面断面図である。

符号の説明

１０：ねじ式ブラインド挿入体（ブラインドナット）、
１１：厚肉円形延設部を成すラジアルカラー、
１２：変形部分である薄肉円筒部、
１３：シャンク、
１６：ローレット、
１７：フランジ、
１８：ねじ領域、
２１：装着工具、
２５：座屈して膨らんだ部分、
２６：座屈して膨らんだ部分、
３１：バンド材の円環状領域
３５：座屈して膨らんだ部分、
３６：座屈して膨らんだ部分。

Claims (8)

1. シャンク（１３）の軸方向に貫通孔（９）を形成し、一端にヘッド部分（１５）を設けるとともに他端にねじ孔領域（１８）を設けた前記シャンク（１３）の前記ねじ孔領域（１８）と前記ヘッド部分（１５）との間に薄肉円筒部（１２）を配置し、
   さらに、
   （Ａ）前記薄肉円筒部（１２）の前記軸方向の中央部に、前記薄肉円筒部（１２）の外径よりも大きな一定外径のラジアルカラーを放射状に一体的に取り付けた厚肉円形延設部（１１）を有して前記薄肉円筒部（１２）を２つに分け、前記２つに分けられたそれぞれの前記薄肉円筒部の外径および厚さが均一であり、且つ、前記２つに分けられたそれぞれの前記薄肉円筒部の前記軸方向のそれぞれの当初長さが、前記厚肉円形延設部（１１）の前記軸方向の長さよりも大きく形成し、前記ねじ孔領域（１８）と前記ヘッド部分（１５）と前記厚肉円形延設部（１１）と前記２つの薄肉円筒部とで前記軸方向の全長を成す前記シャンク（１３）の構造、
   あるいは、
   （Ｂ）前記薄肉円筒部（１２）の前記軸方向の中央部に、前記薄肉円筒部（１２）の硬度より硬い硬度の円環状領域（３１）を有して前記薄肉円筒部（１２）を２つに分け、前記２つに分けられたそれぞれの薄肉円筒部および前記円環状領域（３１）の外径および厚さが均一であり、且つ、前記２つに分けられたそれぞれの前記薄肉円筒部の前記軸方向のそれぞれの当初長さが、前記円環状領域（３１）の前記軸方向の長さよりも大きく形成し、前記ねじ孔領域（１８）と前記ヘッド部分（１５）と前記円環状領域（３１）と前記２つの薄肉円筒部とで前記軸方向の全長を成す前記シャンク（１３）の構造
   の前記（Ａ）若しくは前記（Ｂ）の構造を含むねじ式ブラインド挿入体において、
   前記軸方向に前記シャンク（１３）を押圧して前記全長を短くした変形を行なった場合、
   前記シャンク（１３）は、前記硬度の硬い円環状領域（３１）あるいは前記厚肉円形延設部（１１）以外の前記２つの薄肉円筒部それぞれで座屈し、
   前記２つの座屈部分それぞれの最大外径が、前記ねじ孔領域（１８）および前記ヘッド部分（１５）の外径と、前記厚肉円形延設部（１１）あるいは前記円環状領域（３１）のいずれかの外径と比べて大きくなることを特徴とするねじ式ブラインド挿入体。
2. 前記ヘッドの下側に隣接して設けたフランジ（１７）を有し、このフランジ（１７）の外径を前記薄肉円筒部（１２）の外径よりも大きく設定し、かつ前記ヘッド部分（１５）の直径よりも小さく設定した請求項１記載のねじ式ブラインド挿入体。
3. 前記ヘッド部分（１５）の外周面にねじれ防止手段を設けた請求項２記載のねじ式ブラインド挿入体。
4. 前記ねじれ防止手段がローレット（１６）である請求項３記載のねじ式ブラインド挿入体。
5. 前記円環状領域（３１）を前記シャンク（１３）の熱処理によって形成した請求項１記載のねじ式ブラインド挿入体。
6. 前記円環状領域（３１）を加熱によって硬化させた材料のバンドである請求項５記載のねじ式ブラインド挿入体。
7. 前記円環状領域（３１）以外の前記シャンク（１３）をアニーリングすることによって形成した請求項６記載のねじ式ブラインド挿入体。
8. 前記円環状領域（３１）の両側に前記アニーリングによって軟化した材料を結合した請求項７記載のねじ式ブラインド挿入体。

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