JP2012508739A - がんの処置のための細胞外マトリックス組成物 - Google Patents

がんの処置のための細胞外マトリックス組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、がん細胞を細胞外マトリックス(ECM)組成物と接触させることにより、がん細胞の成長または増殖を阻害する方法に指向する。また、がん細胞を、化学療法剤を含有する細胞外マトリックス組成物と接触させることにより、がん細胞に化学療法剤を送達する方法を提供する。ECMおよび化学療法剤を含有する組成物も提供する。

Description

発明の分野
本発明は全体として、細胞外マトリックス組成物の使用に関し、より具体的には、細胞増殖を阻害するための細胞外マトリックス組成物の使用に関する。
背景情報
細胞外マトリックス(ECM)は、哺乳類の組織内にインビボで見られる細胞を取り囲みかつ支持する複雑な構造実体である。ECMは結合組織といわれることも多い。ECMは、コラーゲンおよびエラスチンなどの構造タンパク質、フィブリリン、フィブロネクチンおよびラミニンなどの特殊なタンパク質、ならびにプロテオグリカンを含む三つの主要な部類の生体分子から主に構成される。
インビトロにおけるECM組成物の増殖ならびに種々の治療的および医学的用途におけるその使用が当技術分野において報告されている。そのようなECM組成物の一つの治療的用途には、軟組織としわおよび瘢痕などの皮膚欠損との処置および修復が含まれる。
欠損、例えば、にきび、外科手術の瘢痕または老化が原因となる軟組織の欠損の修復または増強は、非常に困難であることが証明されている。軟組織の欠損を矯正するためにさまざまな成功の度合いで多くの材料が用いられてきたが、完全に安全かつ有効な材料はなかった。例えば、シリコンは、小結節、再発性蜂巣炎および皮膚潰瘍などの、長期にわたる副作用を含む種々の生理学的および臨床的問題を引き起こす。
コラーゲン組成物も軟組織増強のための注射可能な材料として使用されている。コラーゲンは、結合組織の主要なタンパク質であり、哺乳類において最も豊富なタンパク質であり、総タンパク質含有量の約25%を構成する。文献に記載されているコラーゲンは現在28種ある(例えば、詳細な一覧については、以下の表1および2を参照のこと)。しかしながら、身体内の90%超のコラーゲンはコラーゲンI、II、IIIおよびIVである。
再構成される注射可能なウシコラーゲン、架橋コラーゲンまたは他の異種コラーゲンのような、様々なコラーゲン材料が軟組織の欠損の処置に使用されている。しかしながら、そのようなコラーゲンにはいくつかの問題がある。よくある問題には、対象におけるアレルギー反応を回避するために潜在的に免疫原性の物質を除去するようにしてインプラント材料を作出することの複雑さおよび費用の高さがある。さらに、そのようなコラーゲンを用いた処置は、長持ちすることも証明されていない。
水性ゲル中の生体適合性セラミック粒子(米国特許第5,204,382号(特許文献1))、熱可塑性および/または熱硬化性材料(米国特許第5,278,202号(特許文献2))、ならびに乳酸に基づく重合体混合物(米国特許第4,235,312号(特許文献3))などの、軟組織の修復または増強に使用できる他の材料も報告されている。さらに、天然分泌型細胞外マトリックス組成物の使用も報告されている(米国特許第6,284,284号(特許文献4))。しかしながら、そのような材料はどれも限界があることが証明されている。
したがって、軟組織の修復および増強のために従来の材料の欠陥を克服する新しい材料が必要とされている。安全で、注射可能で、長持ちし、生体吸収性の、軟組織の修復および増強材料を提供する必要がある。
インビトロで培養されたECM組成物はさらに、損傷した組織、例えば、損傷した心筋および関連組織を処置するために用いることもできる。該組成物は、インプラント、またはステントのような移植可能な装置の生物学的コーティング、または心臓および関連組織のような、器官における脈管化を促進するための人工血管として有用である。
冠動脈疾患(CAD)、虚血性心疾患およびアテローム硬化性心疾患とも呼ばれる、冠動脈性心疾患(CHD)は、血液および酸素を心臓に供給する小血管の狭窄によって特徴付けられる。冠動脈性心疾患は、通常、脂肪物質およびプラークが動脈壁に集積し、動脈を狭窄させる場合に生じる、アテローム性動脈硬化と呼ばれる状態によって引き起こされる。冠動脈が狭くなると、心臓への血流が減速または停止し、胸痛(安定狭心症)、息切れ、心臓発作および他の症状を引き起こしうる。
冠動脈性心疾患(CHD)は米国において男性および女性の死亡原因の第1位である。米国心臓協会によれば、1500万超の人々がこの疾患を何らかの形で抱えている。冠動脈性心疾患の症状および徴候はこの疾患が進行した状態で明らかになるとはいえ、冠動脈性心疾患を有する大部分の個体は、突然の心臓発作が起こるより前に疾患が進行しても数十年間、疾患の証拠は明らかでない。この疾患は突然死の最も一般的な原因であり、年齢20歳超の男性および女性の最も一般的な死因でもある。米国における現在の傾向によれば、健常な40歳男性の半数、および健常な40歳女性の3人に1人が将来CHDを発症すると考えられる。
疾患のある心臓またはその他の形で損傷を受けた心臓において血流を改善するための現行の方法は、侵襲手術手技、例えば、冠動脈バイパス形成手術、血管形成術および動脈内膜切除術を伴う。そのような手順は手術中および手術後に高度の固有リスクを必然的に伴い、心虚血に対する一時的な治療法となるにすぎないことが多い。したがって、CHDおよび関連する症状を処置するために現在利用可能な技術の成果を高めるために、新しい処置選択肢が必要である。
インビトロで培養されたECM組成物はさらに、損傷した細胞または組織、例えば軟骨細胞または骨軟骨細胞を修復および/または再生するために用いることもできる。骨軟骨組織は、骨または軟骨に関連するまたはそれらを含む任意の組織である。本発明の組成物は、骨軟骨欠損、例えば変性結合組織疾患、例えばリウマトイドおよび/または変形性関節炎ならびに外傷による軟骨欠損を有する患者における欠損の処置に有用である。
骨軟骨欠損を修復する現行の試みには、関節軟骨損傷を回復する可能性を向上させようとした、生体適合性かつ生分解性ヒドロゲル移植片中のヒト軟骨細胞の移植が含まれる。さらに、ヒアリン様軟骨組織を作出するためにアルギン酸ビーズ、またはポリ硫酸化アルギン酸を含むマトリックス中で軟骨細胞を培養する技術が報告されている。しかしながら、ヒト自己軟骨細胞の移植により関節軟骨の軟骨内損傷を修復する試みは、成果が限られてきた。したがって、骨軟骨欠損を処置するために現在利用可能な技術の成果を高めるために、新しい処置選択肢が必要である。
インビトロで培養されたECM組成物は、遺伝子操作された組織インプラントの作製のための組織培養システムにおいても有用である。組織工学の分野は、新しい生物組織を作出するためのまたは損傷組織を修復するための細胞培養技術の使用を伴う。部分的に幹細胞革命に刺激されて、組織工学技術は、外傷または変性疾患の処置後の組織再生および置換の見込みを与える。それを美容的処置との関連で用いることもできる。
種々の細胞種および培養技術を用いて自己および異種の両方の組織または細胞を作製するために、組織工学の技術を用いることができる。自己インプラントを作出する際には、ドナー組織を収集し、個々の細胞へばらばらにし、その後、基質上に付着させ基質上で培養して、機能性組織の所望の部位に移植することができる。細胞培養の技術を用いてインビトロで多くの単離された細胞種を増殖させることができるが、足場依存性細胞は、三次元の足場の存在を含むことが多い特異的な環境が増殖のためのテンプレートとして働くことを要する。
現行の組織工学技術は、一般的に人工のインプラントを提供する。成功している細胞移植治療法は、インビトロおよびインビボ両方の組織培養に適した基質の開発に依存する。すなわち、天然材料のみ含んだ、かつ移植に適した細胞外マトリックスの開発は、より多くの内因性組織の特徴を持っていると考えられる。したがって、天然細胞外マトリックス材料の作製は、組織工学の分野における進行中の課題である。
米国特許第5,204,382号 米国特許第5,278,202号 米国特許第4,235,312号 米国特許第6,284,284号
本発明は、細胞外マトリックス(ECM)組成物がインビボでがん細胞の成長を阻害できるという発見に部分的に基づいている。したがって、本発明の1つの態様において、がん細胞を本明細書において記載の細胞外マトリックス組成物と接触させることにより、がん細胞の成長または増殖を阻害する方法が提供される。
本発明の別の態様において、細胞または組織を、化学療法剤を含有する細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、細胞または組織に化学療法剤を送達する方法が提供される。
本発明の別の態様において、ECMおよび化学療法剤を含有する組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は免疫調節剤をさらに含有する。
本発明の例示的な態様は添付書類1にさらに記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
CAMアッセイ法におけるECMの存在下および非存在下でのB16細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 CAMアッセイ法におけるECMの存在下および非存在下でのB16細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 CAMアッセイ法におけるECMの非存在下で、ECMとの混合で、またはECM上で成長したB1細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 CAMアッセイ法におけるシスプラチンありまたはなし、ECMの存在下および非存在下でのC6細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 CAMアッセイ法におけるシスプラチンありまたはなし、ECMの存在下および非存在下でのC6細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 ECMの存在下または非存在下で成長したC6神経膠腫腫瘍の組織学的分析の写真を示す。 ECMの存在下または非存在下で成長したC6神経膠腫腫瘍の組織学的分析の写真を示す。 CAMアッセイ法におけるECMの存在下および非存在下で成長したMDA 435細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 ヌードマウスにおける処置なしのC6細胞の腫瘍成長の写真を示す。 ヌードマウスにおけるhECM処置ありのC6細胞の腫瘍成長の写真を示す。 ヌードマウスにおけるECMに加えてシスプラチン処置ありのC6細胞の腫瘍成長の写真を示す。 ヌードマウスにおけるシスプラチン処置ありのC6細胞の腫瘍成長の写真を示す。 シスプラチンありまたはなし、ECMの存在下または非存在下でのヌードマウスにおけるC6神経膠腫腫瘍の成長のプロットを示す。 処置なしのヌードマウスにおけるMDA 435細胞の腫瘍成長の写真を示す。 hECM処置のヌードマウスにおけるMDA 435細胞の腫瘍成長の写真を示す。 hECMに加えてシスプラチン処置のヌードマウスにおけるMDA 435細胞の腫瘍成長の写真を示す。 シスプラチン処置とhECM処置のヌードマウスにおけるMDA 435細胞の腫瘍成長の写真を示す。 シスプラチンありまたはなし、ECMの存在下または非存在下でのヌードマウスにおけるMDA 435腫瘍の成長のプロットを示す。 げっ歯類におけるECMあり(右側の標本)およびなし(左側の標本)のB16細胞の腫瘍成長の写真を示す。 CAMアッセイ法における液状ECMの存在下および非存在下でのB16細胞の腫瘍重量のプロットを示す。 CAMアッセイ法における液状ECMの存在下で成長したB16細胞の腫瘍重量の用量反応曲線を示す。 CAMアッセイ法における各種分子量画分の液状ECM中で成長したB16細胞の腫瘍重量のプロットを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、細胞外マトリックス組成物を、がん細胞の成長もしくは増殖の阻害のために単独で、または化学療法剤の送達のために生物学的ビヒクルとして用いる方法に関する。
本発明の組成物および方法について記載する前に、本発明は、記載した特定の組成物、方法および実験条件に限定されず、したがって組成物、方法および条件は変更可能であることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において用いられる専門用語は、特定の態様を記載する目的のためのみのものであって、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数のものを含む。したがって、例えば、「その方法」への言及は、本開示を読めば当業者には明らかとなる本明細書において記載される種類などの1つまたは複数の方法、および/または段階を含む。
本発明の1つの態様において、がん細胞を細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、がん細胞の成長または増殖を阻害する方法が提供される。いくつかの態様において、ECMは可溶性画分であることができ、他の態様において、ECMは不溶性画分であることができる。他の態様において、ECMは可溶性および不溶性画分の組み合わせであることができる。
ある種の態様において、がん細胞は腫瘍由来である。いくつかの局面において、がんは、黒色腫、神経膠腫および腺がんからなる群より選択される。他の局面において、がんは、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、脊椎、乳房、頸部、胆嚢、神経節、胃腸管、胃、結腸、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺または子宮のがんである。1つの局面において、がんは乳がんであり、別の局面において、がんは黒色腫である。
本発明の別の態様において、がん細胞を、化学療法剤を含有する細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、がん細胞に化学療法剤を送達する方法が提供される。
1つの局面において、接触させる段階は、腫瘍を切除した領域の切除縁におけるものである。そのような態様において、腫瘍は、臨床医に公知の標準的な外科技術を用いて対象から切除される。本発明のECM組成物は腫瘍の切除(摘除)によって残された間隙に配置されることができ、その結果、ECMは切除縁と接触している。ある種の態様において、ECMは、腫瘍縁にあるがん細胞の成長を阻害することができる。いくつかの態様において、ECM組成物は免疫調節剤の有無にかかわらず化学療法剤をさらに含有することができる。外科的摘除後のがんの処置での本発明のECM組成物の使用には、腫瘍部位への化学療法剤および/または免疫調節剤の局所放出性および持続放出性の送達を行うという利点がある。さらなる利益には、外科創傷治癒の向上および美容的結果の向上を含めることができる。
本発明の別の態様において、ECMおよび化学療法剤を含有する組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は免疫調節剤をさらに含有する。
いくつかの態様において、細胞外マトリックス組成物は、適した成長培地における二次元または三次元表面上にて低酸素条件の下、細胞を培養することにより作出される。この培養方法は可溶性および不溶性の両画分を産生し、これらを別々にまたは一緒に用いて、種々の用途を有する生理学的に許容される組成物を得ることができる。他の態様において、細胞は標準または通常の酸素条件の下で培養することができる。
本発明の組成物は、がん細胞の成長もしくは増殖の阻害、治療剤の送達、損傷細胞もしくは組織の修復および/もしくは再生の促進、組織再生を促進するためのパッチにおける使用、幹細胞などの細胞を培養するための組織培養システムにおける使用、移植可能な装置(例えば、ペースメーカー、ステント、ステントグラフト、人工血管、心臓弁、シャント、薬物送達ポートもしくはカテーテル)に関連して用いられる表面コーティングにおける使用、軟組織修復の促進、しわなどの皮膚表面の増強および/もしくは改善、生物学的癒着防止剤としてのまたは送達部位での細胞送達もしくは維持のための生物学的ビヒクルとしての使用を含むが、これらに限定されない、種々の用途を有する。
本発明は、胎児性タンパク質の作製を含む、血管形成の前に初期胎児期環境を刺激する条件(低酸素および重力の低減)の下、二次元または三次元表面上で培養された細胞が胎児性特性を有する細胞外マトリックス組成物を産生するという発見に部分的に基づいている。低酸素条件下での細胞の増殖は、胎児性特性を有する独特のECMと増殖因子発現とを示す。従来の培養条件下でのECMの培養とは異なり、低酸素条件下で培養されたECMでは5000種超の遺伝子が差次的に発現される。これは、異なる特性および異なる生物学的組成を有する培養ECMをもたらす。例えば、低酸素条件下で産生されたECMは、III型、IV型およびV型コラーゲン、糖タンパク質、例えばフィブロネクチン、SPARC、トロンボスポンジン、ならびにヒアルロン酸に比較的富んでいるという点で胎児間葉組織に類似している。
低酸素はまた、VEGF、FGF-7およびTGF-βなどの、創傷治癒および器官形成を調節する因子、ならびにwnt 2b、4、7a、10aおよび11を含む複数のWnt因子の発現を高める。培養胎児性ヒトECMはまた、酵素活性の増大によって測定した場合、インビトロでヒト線維芽細胞における代謝活性の増大を刺激する。さらに、培養胎児性ECMに応じた細胞数の増加も認められる。
さまざまな態様において、本発明は、1種または複数種の胎児性タンパク質を含む細胞外マトリックス組成物を作製するための方法およびその用途を含む。具体的には、該組成物は、適した増殖培地における二次元表面上または三次元表面上にて低酸素条件の下で細胞を培養することによって作製される。該組成物は、多層細胞培養システムを生じさせる骨組み上で細胞を増殖させることによって得られる。本発明によって、骨組み支持体上で増殖させた細胞は、多層中で増殖し、細胞マトリックスを形づくる。低酸素条件下での培養細胞の増殖は、従来の培養に比べて低酸素の培養条件の結果として差次的な遺伝子発現をもたらす。
細胞外マトリックス(ECM)は、細胞の培養によって産生される、組織を実質的に含んだタンパク質および生重合体の組成物である。線維芽細胞のような、間質細胞は、細胞培養に適した材料および表面に付着されたままでの増殖を要する足場依存性の細胞種である。培養細胞によって産生されるECM材料は、三次元的配列で沈着され、組織様構造の形成のための空間をもたらす。
三次元構造をもたらす培養材料は足場といわれる。ECMの沈着のための空間は、例えば織布メッシュ内の開口部の形態、またはマイクロキャリアと呼ばれる、球状ビーズのぎっしり詰まった配置の中に作り出された間隙の形態にある。
本明細書において用いられる場合、「細胞外マトリックス組成物」とは、可溶性画分および不溶性画分の両方またはそれらの任意の割合もしくは組み合わせを含む。不溶性画分は、支持体または足場上に沈着される分泌細胞外マトリックスタンパク質および生物学的成分を含む。可溶性画分は、細胞が培養されたかつ細胞が活性作用物質を分泌した培地をいい、かつ足場上に沈着されていないタンパク質および生物学的成分を含む。両方の画分が回収されてもよく、任意でさらに加工処理されてもよく、本明細書に記載の種々の用途において別々にまたは一緒に使用されてもよい。ECMは死体組織から得ることもできる(米国特許第6,284,284号および同第6,372,494号)。
可溶性画分は最適濃度を達成するように濃縮または希釈されてもよい。ある種の態様において、濃度は約1 mg/mL、約5 mg/mL、約10 mg/mL、約50 mg/mL、約100 mg/mLまたは約200 mg/mLであってよい。濃度は約0.1 mg/mL〜1000 mg/mL、または約1〜200 mg/mL、または約10 mg/mL〜100 mg/mLの範囲にあってよい。
可溶性画分は、画分中の溶質分子の大部分が特定の分子量カットオフを満たすように分子量にしたがって(例えば、透析、ろ過またはクロマトグラフィーによって)さらに分画されてもよい。カットオフ値は絶対的ではないこと、しかし所与の画分中に含有される溶質分子の大部分(例えば、70%、80%、90%または95%)は分子量カットオフを満たすことが理解されると考えられる。したがって、本明細書において提供される方法のある種の態様において、ECM組成物は、その中に含有される溶質分子の70%、または80%、または90%が5,000ダルトン未満、または10,000ダルトン未満、または30,000ダルトン未満、または100,000ダルトン未満の分子量を有する可溶性画分を含むことができる。他の態様において、ECMは、その中に含有される溶質分子が5,000ダルトン超、または10,000ダルトン超、または30,000ダルトン超、または100,000ダルトン超の分子量を有する可溶性画分を含むことができる。他の態様において、ECMは、その中に含有される溶質分子が10,000〜100,000ダルトン、または30,000〜100,000ダルトン、または10,000〜30,000ダルトンの分子量を有する可溶性画分を含むことができる。
間質細胞を培養するために用いられる二次元または三次元の支持体または足場は、(a) 細胞をそれに付着させられる(もしくは細胞をそれに付着させるように改変できる); かつ(b) 細胞を複数の層で増殖させられる(すなわち、三次元組織を形成する)、任意の材料および/または形状のものであってよい。他の態様において、実質的に二次元のシートまたは膜を用いて、形状が実質的に三次元の細胞を培養することができる。
生体適合性材料は、構造が三次元組織への細胞の付着および増殖のための間質腔を有する、二次元または三次元の構造または足場に形成される。いくつかの態様における骨組みの開口部および/または間質腔は、細胞が開口部または腔を横切って伸長することを可能とするのに適したサイズのものである。骨組みを横切って伸長した活発に増殖する細胞を維持することで、本明細書において記載の活性を担う増殖因子のレパートリーの産生が高められると考えられる。開口部が小さすぎると、細胞は迅速に集密に達するが、メッシュから容易に出られない可能性がある。これらの捕捉された細胞は、接触阻害を示し、かつ増殖の支持および長期培養の維持に必要な適した因子の産生を止める場合がある。開口部が大きすぎると、細胞は、開口部を横切って伸長できない可能性があり、増殖の支持および長期培養の維持に必要な適した因子の間質細胞による産生の減少を引き起こしかねない。典型的には、間質腔は少なくとも約100 um、少なくとも140 um、少なくとも約150 um、少なくとも約180 um、少なくとも約200 umまたは少なくとも約220 umである。本明細書に例示されるような、メッシュ型のマトリックスを用いる場合、本発明者らは、約100 μm〜約220 μmに及ぶ開口部が満足に働くことを認めた。しかしながら、骨組みの三次元構造および複雑さに応じて、他のサイズも許容される。長期にわたり細胞を伸長させ、複製かつ増殖し続けさせるどんな形状または構造のものでも、本明細書における方法によって細胞因子を生産するように機能することができる。
いくつかの局面において、三次元の骨組みは、メッシュもしくは織物などの骨組みを形成するように編まれ、織られ、ニット編みされまたは別の形で配置された重合体または糸から形成される。材料の投入によりまたは気泡、マトリックス、もしくはスポンジ様の足場への加工により、材料を形成させることもできる。他の局面において、三次元の骨組みは、重合体または他の繊維を一緒に圧縮して間質腔を有する材料を生成させることにより作製された、マット繊維の形態にある。三次元の骨組みは、培養細胞の増殖のためにどんな形態または幾何学的形状を取ってもよい。したがって、以下でさらに記載する通りに、他の形態の骨組みも、適切な馴化培地の作製に十分でありうる。
多くの異なる材料を用いて、足場または骨組みを形成させることができる。これらの材料は、非重合体材料および重合体材料を含む。重合体は、使用時、ホモ重合体、ランダム重合体、共重合体、ブロック重合体、共ブロック重合体(例えば、ジ、トリなど)、線状または分枝状重合体、および架橋または非架橋重合体のような、任意のタイプの重合体であってよい。足場または骨組みとして用いる材料の非限定的な例としては、特に、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステル(例えば、ダクロン)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリビニル化合物(例えば、ポリビニルクロリド; PVC)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE; TEFLON)、サーマノックス(TPX)、ニトロセルロース、ポリサッカライド(例えば、セルロース、キトサン、アガロース)、ポリペプチド(例えば、シルク、ゼラチン、コラーゲン)、ポリグリコール酸(PGA)、およびデキストランが挙げられる。
いくつかの局面において、骨組みは、使用の条件下で経時的に分解する材料から構成されうる。生分解性とは、インビボでの投与時のまたはインビトロの条件下での化合物または組成物の吸収性または分解もいう。生分解は、生物学的因子の作用を通じて、直接的または間接的に起こりうる。分解性材料の非限定的な例としては、特に、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(すなわち、PLGA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカプロラクトン、腸線縫合糸材料、コラーゲン(例えば、ウマコラーゲン気泡)、ポリ乳酸、またはヒアルロン酸が挙げられる。例えば、これらの材料はコラーゲンスポンジまたはコラーゲンゲルなどの、三次元の骨組みに織り込むことができる。
他の局面において、培養物を長期間維持する場合、培養物を凍結保存する場合、および/またはさらなる構造的完全性が望まれる場合、三次元の骨組みは非生分解性材料から構成されうる。本明細書において用いられる場合、非生分解性材料とは、培地中の条件下では有意に分解しない材料を言う。例示的な非分解性材料は、非限定的な例として、ナイロン、ダクロン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、拡張PTFE (ePTFE)およびセルロースを含む。例示的な非分解性の三次元の骨組みは、Nitex (登録商標)の商品名で市販されているナイロンメッシュ、つまり、140 μmの平均孔径および90 μmの平均ナイロン繊維直径を有するナイロンろ過メッシュ(#3-210/36, Tetko, Inc., N.Y.)を含む。
他の局面において、足場または骨組みは、生分解性材料と非生分解性材料との組み合わせである。非生分解性材料は、培養中の足場に安定性をもたらすが、生分解性材料では、治療的用途に十分な細胞因子を産生する細胞ネットワークの創生に十分な間質腔の形成を可能にする。生分解性材料は、非生分解性材料上にコーティングされても、またはメッシュへ織られ、編まれまたは形成されてもよい。生分解性材料と非生分解性材料とのさまざまな組み合わせを用いることができる。例示的な組み合わせは、極性構造を得るために、薄い生分解性重合体フィルムポリ[D-L-乳酸-コ-グリコール酸)でコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート) (PET)織物である。
さまざまな局面において、足場または骨組み材料を細胞接種の前に前処理し、細胞の付着を強化することができる。例えば、細胞接種の前に、いくつかの態様においてナイロン製の篩を、0.1 M酢酸で処理し、ポリリジン、ウシ胎仔血清および/またはコラーゲン中でインキュベートしてナイロンをコーティングする。ポリスチレンは硫酸を用いて同様に処理することができる。他の態様において、細胞の付着を改善するために、タンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン繊維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパラン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸など)、フィブロネクチンおよび/もしくは糖重合体(ポリ[N-p-ビニルベンジル-D-ラクトアミド]、PVLA)を骨組みに添加することにより、またはそれらで骨組みをコーティングすることにより、三次元支持体の骨組みの存在下での細胞の成長をさらに高めることができる。足場または骨組みの処理は、材料が細胞の付着のために不十分な基質である場合に有用である。
1つの局面において、ECMの産生のためにメッシュが用いられる。メッシュは、およそ100 μmの開口部およびおよそ125 μmの厚さを有する平織り形態のナイロン6織布材料である。培養中、線維芽細胞は、荷電タンパク質相互作用を通じてナイロンに付着し、ECMタンパク質を産生かつ沈着しながらメッシュの間隙内へ増殖する。過度に大きいまたは小さいメッシュ開口部は、有効でない場合があるが、ECMを産生または沈着する能力を実質的に変えないで、上記のものとは異なってもよい。別の局面において、ECMの産生のために、細胞増殖およびECM沈着に適した形状を与える織布配置の、ポリオレフィンのような、他の織布材料が用いられる。
例えば、ナイロンメッシュは、所望のサイズへの切断、0.1〜0.5 M酢酸での洗浄の後、高純度水でのすすぎによる本発明の段階のいずれかで培養のために調製され、次いで蒸気滅菌される。ECM産生用の三次元の足場として用いるため、メッシュはおよそ10 cm×10 cmの四角形のサイズにされる。しかしながら、メッシュは、意図する用途に適した任意のサイズであってよく、接種、細胞増殖およびECM産生のための培養方法を含む本発明の方法のいずれかならびに最終形態の調製において、用いることができる。
他の局面において、培養三次元組織を作製するための足場または骨組みはマイクロキャリアから構成され、これはビーズまたは粒子である。ビーズは、微視的または巨視的であってよく、組織への透過を可能とするよう特定の寸法にさらに切られても、または特定の形状を形成するよう圧縮されてもよい。いくつかの組織透過による態様において、細胞培養用の骨組みは、細胞と組み合わさって、三次元の組織を形成する粒子を含む。細胞は、粒子に付着し、互いに付着して、三次元の組織を形成する。粒子および細胞の複合体は、注射またはカテーテルによるような、組織または器官に投与されるのに十分なサイズのものである。
本明細書において用いられる場合、「マイクロキャリア」とは、ナノメートルからマイクロメートルのサイズを有する粒子をいい、この粒子は、不揃いの、非球形の、球形のまたは楕円形の、任意の形または形状であってよい。典型的には、ビーズまたはマイクロキャリア上での成長を、二次元のシステムまたは足場または骨組みという。
本明細書における目的に適したマイクロキャリアのサイズは、特定の用途に適した任意のサイズのものであることができる。いくつかの態様において、三次元組織に適したマイクロキャリアのサイズは、注射により投与可能なものでありうる。いくつかの態様において、マイクロキャリアは、少なくとも約1 μm、少なくとも約10 μm、少なくとも約25 μm、少なくとも約50 μm、少なくとも約100 μm、少なくとも約200 μm、少なくとも約300 μm、少なくとも約400 μm、少なくとも約500 μm、少なくとも約600 μm、少なくとも約700 μm、少なくとも約800 μm、少なくとも約900 μm、少なくとも約1000 μmの粒径範囲を有する。
いくつかの局面において、マイクロキャリアは生分解性材料から構成される。いくつかの局面において、異なる生分解性重合体の2つまたはそれ以上の層を含むマイクロキャリアを用いることができる。いくつかの態様において、少なくとも外側第1層は、培養液中で三次元組織を形成させるために生分解性の特性を有するのに対し、第1層とは異なる特性を有する、少なくとも生分解性の内側第2層は、組織または器官への投与時に、浸食されるように作出される。
いくつかの局面において、マイクロキャリアは多孔性マイクロキャリアである。多孔性マイクロキャリアとは、分子が通り抜けて微粒子中にまたは微粒子外に拡散できる隙間を有するマイクロキャリアをいう。他の態様において、マイクロキャリアは無孔性マイクロキャリアである。無孔性微粒子とは、選択サイズの分子が微粒子中にまたは微粒子外に拡散しない微粒子をいう。
組成物で用いるマイクロキャリアは、生体適合性であり、細胞に対する毒性が低いかまたはない。適したマイクロキャリアは、処置される組織、処置される損傷の種類、望ましい処置の長さ、インビボでの細胞培養物の寿命、および三次元組織を形成するのに必要な時間に応じて選択することができる。マイクロキャリアは、天然または合成の、荷電性(すなわち、陰イオン性もしくは陽イオン性)または非荷電性の、生分解性または非生分解性の、さまざまな重合体を含むことができる。この重合体は、ホモ重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体および分枝重合体であることができる。
いくつかの局面において、マイクロキャリアは、非生分解性のマイクロキャリアを含む。非生分解性のマイクロカプセルおよびマイクロキャリアは、ポリスルホン、ポリ(アクリロニトリル-コ-塩化ビニル)、エチレン酢酸ビニル、ヒドロキシエチルメタクリレート-メチル-メタクリレート共重合体でできたものを含むが、これらに限定されることはない。これらは、組織充填特性を提供するために、またはマイクロキャリアが身体により排除される態様において有用である。
いくつかの局面において、マイクロキャリアは分解性の足場を含む。これらは天然の重合体から作出されたマイクロキャリアを含み、その非限定的な例としては、特に、フィブリン、カゼイン、血清アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、レシチン、キトサン、アルギン酸、またはポリリジンなどのポリアミノ酸が挙げられる。他の局面において、分解性マイクロキャリアは、合成重合体でできており、その非限定的な例としては、特に、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド) (PLGA)、ポリ(カプロラクトン)、ポリジオキサノントリメチレンカルボネート、ポリヒドロキシアルコネート(例えば、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(エチルグルタメート)、ポリ(DTHイミノカルボニル(ビスフェノールAイミノカルボネート)、ポリ(オルトエステル)、およびポリシアノアクリレートが挙げられる。
いくつかの局面において、マイクロキャリアは、典型的には水で充填された親水性重合体ネットワークであるヒドロゲルを含む。ヒドロゲルは、重合体膨張の選択的引き金であるという利点を有する。重合体ネットワークの組成に応じて、マイクロキャリアの膨張を、pH、イオン強度、熱活性、電気的活性、超音波活性および酵素活性を含む種々の刺激により誘発することができる。ヒドロゲル組成物において有用な重合体の非限定的な例としては、特に、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド); ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド); ポリ(メタクリル酸-g-ポリエチレングリコール); ポリアクリル酸およびポリ(オキシプロピレン-コ-オキシエチレン)グリコール; ならびに硫酸クロンドロイタン(chrondroitan sulfate)、キトサン、ゼラチン、フィブリノーゲンなどの天然化合物の重合体、または合成および天然の重合体の混合物、例えば、キトサン-ポリ(エチレンオキシド)から形成されたものが挙げられる。これらの重合体を可逆的または不可逆的に架橋して、三次元組織を形成するのに適合可能なゲルを形成させることができる。
本発明によれば、培養方法は、線維芽細胞、特に初代ヒト新生児包皮線維芽細胞のような間質細胞を含む、異なる種類の細胞の増殖に適用できる。さまざまな局面において、骨組みに接種される細胞は、以下でさらに記載する通りに、他の細胞を含むかまたは含まない線維芽細胞を含む、間質細胞であることができる。いくつかの態様において、細胞は、(1) 骨; (2) コラーゲンおよびエラスチンを含む、疎性結合組織; (3) 靭帯および腱を形成する繊維性結合組織; (4) 軟骨; (5) 血液の細胞外マトリックス; (6) 脂肪細胞を含む脂肪組織; ならびに(7) 線維芽細胞を含むが、これらに限定されない、典型的には結合組織に由来する間質細胞である。
間質細胞は、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、包皮などの、さまざまな組織または器官に由来することができ、これらは生検(適切な場合)によりまたは剖検の際に採取することができる。1つの局面において、胎児線維芽細胞は新生児包皮などの、包皮から大量に採取することができる。
いくつかの局面において、細胞は線維芽細胞を含み、これは胎児由来、新生児由来、成人由来、またはその組み合わせであってよい。いくつかの局面において、間質細胞は胎児線維芽細胞を含み、これは種々の異なる細胞および/または組織の増殖を補助することができる。本明細書において用いられる場合、胎児線維芽細胞とは、胎児起源に由来する線維芽細胞をいう。本明細書において用いられる場合、新生児線維芽細胞とは、新生児起源に由来する線維芽細胞をいう。適切な条件下で、線維芽細胞は他の細胞、例えば骨細胞、脂肪細胞、および平滑筋細胞ならびに中胚葉由来の他の細胞を生じることができる。いくつかの態様において、線維芽細胞は皮膚線維芽細胞を含み、これは皮膚に由来する線維芽細胞である。正常ヒト皮膚線維芽細胞は、新生児の包皮から単離することができる。これらの細胞は、典型的には、初代培養の最後に凍結保存される。
他の局面において、三次元組織は、幹細胞または前駆細胞を単独で、または本明細書において説明される細胞種のいずれかとの組み合わせで用いて作出することができる。幹細胞および前駆細胞は、一例としてかつ限定ではなく、胚性幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、表皮幹細胞、および間葉幹細胞を含む。
いくつかの態様において、本明細書において記載される方法によって特定の器官、すなわち、皮膚、心臓に由来する細胞、ならびに/または培養で増殖させた細胞および/もしくは組織を後に受容する特定の個体に由来する細胞を、足場に接種することにより、「特異的な」三次元組織を調製することができる。
インビボでのある種の用途のためには、患者自身の組織から間質細胞を得ることが好ましい。タンパク質、例えば、コラーゲン、ラミニン、弾性繊維、細網繊維、糖タンパク質; グリコサミノグリカン、例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸など; 細胞マトリックス、および/または他の材料を骨組みに添加することによって、またはこれらを用いて骨組み支持体をコーティングすることによって、間質支持体の骨組みの存在下での細胞の増殖をさらに高めることができる。
したがって、本明細書において記載される二次元または三次元の培養システムは、多様な細胞種および組織の増殖に適するので、培養される組織および所望とされるコラーゲン型に応じ、適した間質細胞を選択して、骨組みに接種することができる。
本発明の方法および出願は、本明細書において説明される組織特異的な細胞またはいろいろな種類の間質細胞などのいろいろな細胞種で用いるのに適するが、本発明で用いる細胞の誘導は、種特異的であってもよい。したがって、種特異的であるECM組成物を作製することができる。例えば、本発明で用いる細胞はヒト細胞を含むことができる。例えば、細胞はヒト線維芽細胞でありうる。同様に、細胞は、ウマ科(ウマ)、イヌ科(イヌ)またはネコ科(ネコ)細胞のような、別種の動物由来である。さらに、ある種に由来する細胞または種の株に由来する細胞を用いて、他の種または関連する株(例えば、同種異系の、同系間のおよび異種間の)で用いるECM組成物を作製することもできる。さまざまな種に由来する細胞を組み合わせて、多種ECM組成物を作製できることも理解されるべきである。
したがって、本発明の方法および組成物は、非ヒト動物を伴う用途に適している。本明細書において用いられる場合、「獣医学」とは、動物、とりわけ家畜の医学的または外科的処置に関係しているまたは関連している医療科学をいう。一般的な獣医学的動物は、哺乳類、両生類、鳥類、爬虫類および魚類を含むことができる。例えば、典型的な哺乳類はイヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、霊長類、げっ歯類、ならびにウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジおよびブタのような、農場動物を含むことができる。
上記に説明された通り、さらなる細胞が、間質細胞を含む培養物中に存在してもよい。これらのさらなる細胞は、特に培養液中での長期増殖の支持、増殖因子の合成を高めること、および足場への細胞の付着の促進を含む、多くの有益な効果を持ちうる。さらなる細胞種は非限定的な例として、平滑筋細胞、心筋細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、内皮細胞、周皮細胞、マクロファージ、単球、および脂肪細胞を含む。そのような細胞を、線維芽細胞とともにまたはいくつかの局面において線維芽細胞の非存在下で、骨組みに接種することができる。これらの間質細胞は、限定ではないが例えば、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓および脳を含む、適切な組織または器官に由来することができる。他の局面において、線維芽細胞を除く、1種または複数種の他の細胞種が足場に接種される。さらに他の局面において、線維芽細胞だけが足場に接種される。
線維芽細胞の供給源となる適切な器官または組織をバラバラにすることにより、線維芽細胞を容易に単離することができる。例えば、組織または器官を機械的にバラバラにすることができ、ならびに/または隣接する細胞間の結合を弱め、それによって、相当の細胞破砕なしに個々の細胞の懸濁液へと組織を分散させることを可能にする消化酵素および/もしくはキレート剤で処理することができる。酵素的解離は、組織を細かく刻み、細かく刻まれた組織を、いくつかの消化酵素のうちのいずれかを単独でまたは組み合わせで用いて処理することにより、達成することができる。これらにはトリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、DNase、プロナーゼおよび/またはディスパーゼなどが含まれるが、これらに限定されない。機械的破壊は、ほんの数例を挙げれば、圧砕機、混合機、篩、ホモジナイザー、圧力セルまたは超音波破砕機の使用を含むが、これらに限定されない、いくつかの方法によって達成することもできる。1つの局面において、摘出された包皮組織を消化酵素、典型的にはコラゲナーゼおよび/またはトリプシナーゼによって処理し、封入構造から細胞をバラバラにする。
線維芽細胞の単離は、例えば、次のように行うことができる。血清を除去するために、新鮮な組織試料をHanksの平衡化塩溶液(HBSS)中で十分に洗浄し、細かく刻む。細かく刻まれた組織を、トリプシンなどの解離酵素の新鮮調製液中で1〜12時間インキュベートする。そのようなインキュベーションの後、解離した細胞を懸濁し、遠心分離によってペレット化し、培養皿上にプレーティングする。他の細胞より前に全ての線維芽細胞が付着するので、適切な間質細胞を選択的に単離し増殖させることができる。次いで、単離された線維芽細胞を集密まで増殖させ、集密培養物から引き上げ、三次元の骨組みに接種することができる。Naughton et al., 1987, J. Med. 18(3&4):219-250を参照されたい。高濃度の間質細胞、例えば、およそ106〜5×107細胞/mlを三次元の骨組みに接種することは、より短時間での三次元の間質支持体の確立をもたらすと考えられる。
組織を個々の細胞の懸濁液にすると、この懸濁液を亜集団に分画することができ、これより線維芽細胞ならびに/または他の間質細胞および/もしくは要素を得ることができる。これを、特定の細胞種のクローニングおよび選択、望ましくない細胞の選択的破壊(陰性選択)、混合集団中の示差的細胞凝集性に基づく分離、凍結解凍法、混合集団中の細胞の示差的接着特性、ろ過、従来の遠心分離およびゾーン遠心分離、遠心分離水簸(対抗流遠心分離)、単位重力分離、向流分配、電気泳動ならびに蛍光活性化細胞選別を含むが、これらに限定されない、細胞分離のための標準的な技術を用いて達成することもできる。クローン選択および細胞分離技術の総説については、Freshney, Culture of Animal Cells. A Manual of Basic Techniques, 2d Ed., A. R. Liss, Inc., New York, 1987, Ch. 11 and 12, pp. 137-168を参照されたい。
1つの局面において、単離された線維芽細胞を増殖させて、細胞バンクを産生することができる。細胞バンクは、さまざまな量での開始および培養バッチの適時選択を可能とするように、ならびに混入および特異的細胞特性に関する細胞の予防的試験を可能とするように作出される。その後、細胞バンク由来の線維芽細胞を増殖させて、足場の播種に適したレベルまで細胞数を増やす。細胞および細胞接触材料の環境曝露を伴う操作を無菌的に行って、外来物質または望ましくない微生物の混入の可能性を減らす。
本発明の別の局面において、単離後、細胞を数回の継代により万能細胞バンクの構築に適した量にまで増殖させることができる。次いで細胞バンクを収集し、適切な容器の中に充填し、極低温状態の中で保存することができる。万能細胞バンク由来、凍結バイアル中の細胞を融解し、さらなる(通常は2回またはそれ以上の)継代によって増殖させることができる。次いで、これらの細胞を用いて、極低温で保存された常用の細胞バンクを調製することができる。
細胞増殖段階は、実用的な細胞バンクステージにある細胞のバイアルを用いて、メッシュまたはマイクロキャリアなどの三次元の足場または支持体に接種するために、細胞数をさらに増やす。各継代は、細胞増殖表面の接種、インキュベーション、細胞の供給および収集を含む一連の継代培養段階である。
細胞バンクの培養および細胞増殖は、培養フラスコ、ローラーボトルまたはマイクロキャリアのような培養容器に接種することによって、行うことができる。線維芽細胞のような間質細胞は、意図した増殖表面に付着し、培地の存在下で増殖する。培養フラスコ、ローラーボトルおよびマイクロキャリアのような培養容器は、細胞培養のために特別に構成され、意図した用途に適格とされた種々のプラスチック材料から一般的に作出される。マイクロキャリアは、典型的には、微視的または巨視的ビーズであり、典型的には、種々のプラスチック材料でできている。しかしながら、それらは、他の材料、例えば、ガラス、もしくは固体/半固体の生物学に基づく材料、例えば、コラーゲン、または他の材料、例えばデキストラン、つまり上記の修飾糖複合体から作出されることもできる。
培養中、消費された培地を細胞増殖の過程で新鮮な培地と定期的に交換して、栄養素の十分な可用性および培養の阻害産物の除去を維持する。培養フラスコおよびローラーボトルは、細胞が増殖する表面を提供し、典型的には、足場依存性細胞の培養に用いられる。
1つの局面において、インキュベーションは、37℃で加熱されたチャンバー中で行われる。培地とチャンバー環境とのやりとりを要する培養形態では、チャンバーガス空間に空気中5% v/vのCO2を用いて、pHの調節を補助する。代わりに、培養温度およびpHを維持するために備えられた容器を、細胞増殖操作にもECM産生操作にも用いることができる。35℃未満または38℃超の温度ならびに3%未満または12%超のCO2濃度は、適切ではない場合がある。
付着表面からの細胞の収集は、増殖培地の除去および酵素競合性タンパク質を減らすための緩衝塩溶液による細胞のすすぎ、解離用酵素の適用、その後の細胞脱離後の該酵素の中和により行うことができる。収集された細胞懸濁液を回収し、収集液を遠心分離によって分離する。継代培養収集物からの細胞懸濁液をサンプリングして、回収された細胞の量および他の細胞特性を評価することができ、これをその後、新鮮な培地と合わせ、接種材料として適用する。細胞バンクおよび足場接種材料を調製するために使われる継代数は、許容されるECM特性の達成に関して極めて重要である。
適切な二次元または三次元の足場を調製した後で、それに、調製された間質細胞を播種することによって接種を行う。足場への接種は、沈降などの種々の方法で行うことができる。好気条件下でのECMの培養のために調製されるメッシュは、低酸素条件を作出するために嫌気チャンバーが使用されないことを除いて、低酸素増殖メッシュの場合と同じ方法で調製される。
例えば、好気および低酸素の両条件下でのECMの培養のために調製されるどちらのメッシュの場合も、調製され滅菌されたメッシュを無菌の直径150 mm×深さ15 mmのペトリ皿に配し、およそ10枚の厚さに積み重ねる。次いで、メッシュの積み重なりに沈降によって接種を行う。細胞を新鮮培地に添加して、接種に適した細胞濃度を得る。接種材料をメッシュの積み重なりに添加すると、インキュベート条件の間中、細胞はナイロン繊維上に沈降し付着する。十分な時間の後、個々に播種されたメッシュシートを積み重なりから無菌的に分離し、およそ50 mlの増殖培地を含有する別々の150 mm×15 mmのペトリ皿の中に個々に配することができる。
接種培養物のインキュベーションを、通常の培養条件の下で作製されるECMと比べて独特な特性を有するECMおよび周囲媒質を生み出すことが発見されている低酸素条件の下で行う。本明細書において用いられる場合、低酸素条件は、周囲空気の酸素濃度(酸素およそ15%〜20%)と比べてさらに低い酸素濃度によって特徴付けられる。1つの局面において、低酸素条件は約10%未満の酸素濃度によって特徴付けられる。別の局面において、低酸素条件は約1%〜10%、1%〜9%、1%〜8%、1%〜7%、1%〜6%、1%〜5%、1%〜4%、1%〜3%または1%〜2%の酸素濃度によって特徴付けられる。ある種の局面において、そのシステムでは培養容器内で酸素約1〜3%を維持する。周囲ガス濃度を制御することを可能にする培養装置、例えば、嫌気チャンバーを用いることにより、低酸素条件を作出し、維持することができる。
細胞培養物のインキュベーションは典型的には、増殖および播種の場合、15〜20%の酸素および5%のCO2を含む通常の大気中で行われるが、低酸素培養物はその時点で、低酸素環境が培地内に作出されるように95%窒素/5% CO2で満たされた気密チャンバーに分けられる。
例えば、低酸素条件下でECMを産生するために培養されるメッシュ有りのペトリ皿を、初めは、2〜3週間37℃および95%空気/5% CO2でのインキュベーションで増殖させる。ほぼ大気での培養の期間の後、メッシュのペトリ皿を、およそ95%の窒素および5% CO2のガス混合物でパージされている嫌気性培養用にデザインされたチャンバー中で、インキュベートする。消費された増殖培地を培養期間の間中、大気酸素レベルにある新鮮培地と交換し、培地を交換した後にメッシュで満たされたペトリ皿を嫌気チャンバー中に配し、このチャンバーを95%窒素/5% CO2でパージし、次に37℃でインキュベートする。培養メッシュを、それらが所望のサイズに達した時点で、または所望の生物学的成分を含有した時点で収集する。
インキュベーションの期間中に、間質細胞は、骨組みの開口部へ増殖し始める前に、三次元の骨組みに沿って直線的に増殖し、かつ三次元の骨組みを包み込むと考えられる。増殖細胞は、無数の増殖因子、調節因子およびタンパク質を産生し、そのなかには周囲の培地に分泌されるものもあり、支持体に沈着されて、以下でさらに十分に記載した細胞外マトリックスを構成するものもある。増殖因子および調節因子は、培養物に添加されてもよいが、必要ではない。間質細胞の培養物は、不溶性画分も可溶性画分もともに産生する。細胞を適切な程度にまで増殖させて、細胞外マトリックスタンパク質の十分な沈着を可能にする。
三次元組織の培養の間に、増殖細胞が骨組みから放出され、かつそれらが増殖し続け集密的な単層を形成することができる培養容器の壁に固着することがある。細胞の増殖に影響を及ぼす可能性のあるこの出来事を最小限に抑えるために、供給の間にまたは細胞培養物を新しい培養容器に移入することにより、放出された細胞を除去することができる。集密的な単層の除去または新しい容器中の新鮮培地への培養組織の移入は、培養物の増殖活性を維持または回復する。いくつかの局面において、除去または移入は、25%の集密度を超える培養細胞の単層を有する培養容器において行うことができる。あるいは、いくつかの態様における培養物を撹拌して、放出された細胞が固着するのを阻止し; その他においては、システムを通じて新鮮な培地を連続的に注入する。いくつかの局面において、2種またはそれ以上の細胞種を同時に一緒に培養しても、または一方を最初に培養し、その後にもう一方を培養してもよい(例えば線維芽細胞および平滑筋細胞または内皮細胞)。
足場に接種した後に、細胞培養物を、三次元組織への細胞の増殖を補助する適切な栄養培地およびインキュベーション条件にてインキュベートする。ダルベッコの改変イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagles Medium (DMEM))、RPMI 1640培地、Fisherの培地、Iscoveの培地およびMcCoyの培地のような多くの市販の培地が、細胞培養物の増殖の補助に適しうる。この培地にさらなる塩、炭素源、アミノ酸、血清および血清成分、ビタミン、ミネラル、還元剤、緩衝剤、脂質、ヌクレオシド、抗生物質、付着因子、ならびに増殖因子を補充してもよい。いろいろな種類の培地の組成は、当業者に利用可能な種々の参考文献に記載されている(例えば、Methods for Preparation of Media, Supplements and Substrates for Serum Free Animal Cell Cultures, Alan R. Liss, New York (1984); Tissue Culture: Laboratory Procedures, John Wiley & Sons, Chichester, England (1996); Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Techniques, 4th Ed., Wiley-Liss (2000))。
本発明の培養段階のいずれかにおいて用いられる増殖培地または培養培地は、好気条件であれ低酸素条件であれ、血清を含んでも、または無血清であってもよい。1つの局面において、培地は4.5 g/Lのグルコース、アラニル-L-グルタミン、Eq 2 mMを含んだ、かつ名目上10%ウシ胎仔血清を補充した、ダルベッコの改変イーグル培地である。別の局面において、培地は、無血清の培地であり、0.5%血清アルブミン、2 μg/mlのヘパリン、1 μg/mlの組換え塩基性FGF、1 μg/mlのダイズトリプシン阻害因子、1×ITS補充物質(インスリン-トランスフェリン-セレン、Sigmaカタログ番号I3146)、1:1000希釈の脂肪酸補充物質(Sigmaカタログ番号7050)、および1:1000希釈のコレステロールを補充した、Glutamax(登録商標)入り4.5 g/Lのグルコース基本培地を含むダルベッコの改変イーグル培地である。さらに、同じ培地を低酸素培養と好気培養との両方に用いることができる。1つの局面において、増殖培地を播種および第一週の増殖の後、血清に基づく培地から無血清培地に変える。
インキュベーション条件は、低酸素増殖条件を維持するためにpH、温度およびガス(例えば、O2、CO2など)の適切な条件の下にある。いくつかの態様において、増殖活性を最大限にするためおよび画分の所望の生物活性を促進する因子を作出するため、インキュベーション期間中に培地に細胞培養物を懸濁することができる。さらに、培養物を定期的に「供給して」、消費された培地を除去し、放出された細胞を減らし、新たな栄養源を添加してもよい。インキュベーションの期間中に、培養細胞は足場の開口部へ増殖し始める前に、足場の微細線維に沿って直線的に増殖し、足場の微細線維を包み込む。
低酸素条件下でのインキュベーションの間に、約15〜20%の通常の大気酸素濃度下でのインキュベーションと比べて、何千もの遺伝子が差次的に発現される。そのような組成中では、いくつかの遺伝子、最も注目すべきは、ある種のラミニン種、コラーゲン種およびWnt因子が上方制御または下方制御されることが分かっている。さまざまな局面において、三次元細胞外マトリックスは、通常の条件下での増殖と比べて低酸素条件での増殖に起因して細胞により産生される細胞生成物に特徴的なフィンガープリントまたは組によって定義することができる。本明細書において具体的に例示される細胞外マトリックス組成物において、三次元組織および周囲媒質は、さまざまな因子の発現および/または分泌によって特徴付けられる。
本明細書において記載される三次元の組織および組成物は、足場または骨組みに存在する細胞外マトリックスを有する。いくつかの局面において、細胞外マトリックスは、低酸素条件下での増殖および支持体上で増殖させる細胞の選択により、さまざまなラミニンおよびコラーゲン型を含む。沈着される細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の割合は、適切なコラーゲン型を生産する線維芽細胞の選択、ならびに特定のラミニンおよびコラーゲン種の発現が上方制御または下方制御される低酸素条件下での細胞の増殖によって、操作または高めることができる。
線維芽細胞の選択は、いくつかの局面では、特定のコラーゲン型を決める適切なアイソタイプまたはサブクラスのモノクローナル抗体を用いて達成することができる。他の局面において、磁気ビーズなどの、固体基材を用いて、抗体に結合した細胞を選択または排除することができる。これらの抗体の組み合わせを用いて、所望のコラーゲン型を発現する線維芽細胞を(陽性的にまたは陰性的に)選択することができる。あるいは、骨組みに接種するのに用いられる間質は、所望のコラーゲン型を合成する細胞の混合物であってもよい。例示的なコラーゲン型の分布および起源を表1に示す。
(表1)さまざまなコラーゲン型の分布および起源
Figure 2012508739
ECM組成物に存在しうるさらなるコラーゲン型を表2に示す。
(表2)コラーゲン型および対応する遺伝子
Figure 2012508739
上記に説明された通り、本明細書において記載されるECM組成物は、さまざまなコラーゲンを含む。実施例1の表3に示される通り、いくつかのコラーゲン種の発現は、低酸素培養されたECM組成物において上方制御されることが分かっている。したがって、本発明の1つの局面において、1種または複数種の胎児性タンパク質を含むECM組成物は、酸素約15〜20%の酸素条件において産生されるものと比べてコラーゲン種の上方制御を含む。別の局面において、上方制御されるコラーゲン種は、V型α1; IX型α1; IX型α2; VI型α2; VIII型α1; IV型α5; VII型α1; XVIII型α1; およびXII型α1である。
さまざまなコラーゲンに加えて、本明細書において記載されるECM組成物は、さまざまなラミニンを含む。ラミニンは、コイルド・コイルドメインを通じてともに連結されたα、βおよびγ鎖サブユニットから構成される糖タンパク質ヘテロ三量体のファミリーである。これまでに、組み合わさって15種の異なるアイソフォームを形成しうる5種のα、4種のβおよび3種のγラミニン鎖が特定されている。この構造のなかには、他のラミニンおよび基底膜分子、ならびに膜結合受容体に対する結合活性を保有する特定可能なドメインがある。ドメインVI、IVbおよびIVaは球状構造を形成し、ドメインV、IIIbおよびIIIa (これらはシステインリッチなEGF様要素を含む)は棒状構造を形成する。3つの鎖のうちのドメインIおよびIIは、三本鎖コイルド・コイル構造(長腕)の形成に関与する。
ラミニン鎖は、共通かつ独特の機能を保有し、特異的な時間的(発生的)および空間的(組織部位特異的)パターンで発現される。ラミニンα鎖は、組織特異的な分布パターンを示し、主要な細胞相互作用部位を含むので、ヘテロ三量体のうちの機能的に重要な部分であるものと考えられる。血管内皮は2種のラミニンアイソフォームを発現することが知られており、発生段階、血管型、および内皮の活性化状態に応じて発現が異なる。
したがって、本発明の1つの局面において、1種または複数種の胎児性タンパク質を含むECM組成物は、酸素約15〜20%の酸素条件において産生されるものと比べてさまざまなラミニン種の上方制御または下方制御を含む。
ラミニン8はα-4、β-1およびγ-1ラミニン鎖から構成される。ラミニンα-4鎖は、成体においても発生の間にも広く分布している。成体では、それは心筋、骨格筋および平滑筋繊維の周辺の基底膜において、ならびに肺の肺胞中隔において特定されうる。それは毛細血管と大血管の両方の内皮基底膜に、末梢神経の神経周膜の基底膜に、ならびに類洞内空間(intersinusoidal space)、大動脈および骨随の小細動脈に存在することも知られている。ラミニン8は、血管内皮における主要なラミニンアイソフォームであり、血小板により発現され血小板に接着され、3T3-L1含脂肪細胞において合成され、その合成レベルは、細胞の脂肪変換によって増すことが明らかである。ラミニン8は、結合組織において微小血管を誘導するために間葉細胞系統において一般に発現されるラミニンアイソフォームであるものと考えられる。ラミニン8は、マウス骨髄初代細胞培養物、細動脈壁、および類洞内空間においても特定されている。それは、類洞内空間では発達中の骨髄における主要なラミニンアイソフォームである。α-4鎖を含有するラミニンアイソフォームは、造血細胞に隣接した成体骨髄におけるその局在により、発生中の造血細胞との生物学的に関連する相互作用を有する可能性が高い。
したがって、本発明の別の局面において、ECMは、ラミニン8などのラミニン種の上方制御を含む。別の局面において、本発明の三次元組織により産生されるラミニンは、組成物中に存在するラミニンタンパク質の特徴または痕跡を決める少なくともラミニン8を含む。
本明細書において記載されるECM組成物は、さまざまなWnt因子を含む。Wntファミリー因子は、無数の細胞経路および細胞間の相互作用過程に関与しているシグナル伝達分子である。Wntシグナル伝達は、腫瘍形成、胚の早期中胚葉パターン形成、脳および腎臓の形態形成、乳腺増殖の調節、ならびにアルツハイマー病に関連付けられている。実施例1の表4に示される通り、Wntタンパク質のいくつかの種の発現は、低酸素培養されたECM組成物において上方制御されることが分かっている。したがって、本発明の1つの局面において、1種または複数種の胎児性タンパク質を含むECM組成物は、酸素約15〜20%の酸素条件において産生されるものと比べてWnt種の上方制御を含む。別の局面において、上方制御されるWnt種はwnt 7aおよびwnt 11である。別の局面において、本発明の三次元組織により産生されるWnt因子は、組成物中に存在するWntタンパク質の特徴または痕跡を決める少なくともwnt7aおよびwnt11を含む。
全体を通じて説明される本発明のECM組成物は、可溶性画分および不溶性画分の両方またはその任意の部分を含む。本発明の組成物は、一方または両方の画分、およびそれらの任意の組み合わせを含むことができると理解されるべきである。さらに、個々にまたは他の単離物もしくは個々の組成物と組み合わせて使用される画分から、個々の成分を単離することもできる。
したがって、さまざまな局面において、本発明の方法を用いて産生される細胞外マトリックス組成物は、直接使用されても、またはさまざまな方法で加工処理されてもよく、その方法は不溶性画分にも可溶性画分にも適用可能でありうる。無細胞上清および培地を含む可溶性画分は、因子を保存するためにおよび/または濃縮するために凍結乾燥に供することができる。必要な場合、さまざまな生体適合性の保存剤、凍結防止剤および安定剤を用いて活性を保存することができる。生体適合性剤の例としては、特に、グリセロール、ジメチルスルホキシドおよびトレハロースが挙げられる。凍結乾燥物は、緩衝剤、充填剤および等張性調節剤のような1種または複数種の賦形剤を有することもできる。凍結乾燥された培地は、以下でさらに記載する通りに、適した溶液または薬学的希釈剤の添加によって再構成することができる。
他の局面において、可溶性画分は透析される。透析は、多孔質膜の反対側への選択的拡散に基づいて試料成分を分離するために最もよく使われる技術のうちの1つである。細孔径は、溶質の90%が膜により保持される分子量によって特徴付けられる膜の分子量カットオフ(MWCO)を決めるものである。ある種の局面において、所望のカットオフに応じて任意の細孔径を有する膜が企図される。典型的なカットオフは、5,000ダルトン、10,000ダルトン、30,000ダルトンおよび100,000ダルトンであるが、全てのサイズが企図される。
いくつかの局面において、活性成分(例えば、増殖因子)を培地中で沈殿させることにより、可溶性画分を加工処理することができる。沈殿では、硫酸アンモニウムでの塩析または親水性重合体、例えばポリエチレングリコールの使用などの、さまざまな手順を用いることができる。
他の局面において、可溶性画分は、さまざまな選択的フィルタによるろ過に供される。ろ過による可溶性画分の加工処理は、画分中に存在する因子の濃縮で、また、可溶性画分において使用された小分子および溶質の除去で有用である。特定の分子量に対して選択性を有するフィルタには、<5000ダルトン、<10,000ダルトンおよび<15,000ダルトンが含まれる。他のフィルタを使用することもでき、加工処理された培地を本明細書において記載の治療活性についてアッセイすることができる。例示的なフィルタおよび濃縮器システムとしては、特に、中空繊維フィルタ、フィルタディスクおよびフィルタプローブに基づくものが挙げられる(例えば、Amicon Stirred Ultrafiltration Cellsを参照のこと)。
さらに他の局面において、可溶性画分をクロマトグラフィーに供して、塩、不純物を除去し、または培地の各種成分を分画する。分子篩、イオン交換、逆相および親和性クロマトグラフィー技術などのさまざまなクロマトグラフィー技術を使用することができる。生物活性を著しく損なわずに馴化培地を加工処理するため、穏やかなクロマトグラフィー媒体を用いることができる。非限定的な例としては、特に、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミドに基づく分離媒体(例えば、セファデックス、セファロースおよびセファクリルなどの、さまざまな商品名で市販されている)が挙げられる。
さらに他の局面において、馴化培地はリポソームとして製剤化される。送達のためおよび活性因子の寿命を引き延ばすため、リポソームの内腔に増殖因子を導入または封入することができる。当技術分野において公知の通り、リポソームは各種タイプ: 多層型(MLV)、安定多数層型(SPLV)、小型単層型(SUV)または大型単層型(LUV)小胞に分類することができる。リポソームは、ホスファチジルエーテルおよびエステル、例えばホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン; ステロイド、例えばコレステロール; セレブロシド; スフィンゴミエリン; グリセロ脂質; ならびに他の脂質(例えば、米国特許第5,833,948号参照)を含み、合成されてもまたは天然に存在してもよい、さまざまな脂質化合物から調製することができる。
可溶性画分は、さらなる添加剤なしに直接使用されても、またはさまざまな薬学的に許容される賦形剤、ビヒクルもしくは担体とともに薬学的組成物として調製されてもよい。「薬学的組成物」とは、可溶性画分および/または不溶性画分ならびに少なくとも1つの薬学的に許容されるビヒクル、担体または賦形剤の形態をいう。皮内、皮下または筋肉内投与の場合、該組成物は、水性または油性ビヒクル中の細胞外マトリックス組成物の無菌懸濁液、溶液または乳濁液において調製することができる。組成物は、懸濁化剤、安定化剤または分散化剤などの配合剤を含有することもできる。注射用製剤を、保存剤有りまたは無しで、複数用量容器中の単位投与剤形のアンプルで提供することができる。あるいは、該組成物は、限定ではないが例えば、無菌の発熱物質不含水、生理食塩水、緩衝液またはデキストロース溶液を含む適したビヒクルで再構成される粉末の形態で提供することもできる。
他の局面において、三次元組織は凍結保存された調製物であり、これは使用の前に融解される。薬学的に許容される凍結保存剤は、特に、グリセロール、サッカライド、ポリオール、メチルセルロースおよびジメチルスルホキシドを含む。サッカライド剤は、モノサッカライド、ジサッカライド、および少なくとも-60、-50、-40、-30、-20、-10、または0℃である、最大に凍結濃縮された溶液のガラス転移温度(Tg)を有する他のオリゴサッカライドを含む。凍結保存で用いる例示的なサッカライドは、トレハロースである。
いくつかの局面において、三次元組織を処理し、使用の前に細胞を殺処理する。いくつかの局面において、足場上に沈着された細胞外マトリックスを回収し、投与のために加工処理してもよい(参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,830,708号および同第6,280,284号を参照のこと)。D
他の態様において、三次元組織を濃縮し、投与のため薬学的に許容される媒体で洗浄することができる。遠心分離またはろ過などの、組成物を濃縮するための種々の技術が当技術分野において利用可能である。例としてはデキストラン沈降法および分画遠心法が挙げられる。三次元組織の製剤は、懸濁液のイオン強度を、等張性(すなわち、約0.1〜0.2)に、および生理的pH (すなわち、pH 6.8〜7.5)に調整することを伴ってもよい。この製剤は、細胞懸濁液の投与もしくは安定性を補助するための滑沢剤または他の賦形剤を含んでもよい。これらは、特に、サッカライド(例えば、マルトース)ならびにポリエチレングリコールおよびヒアルロン酸などの有機重合体を含む。さまざまな製剤の調製に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2002/0038152号に記載されている。
上記に説明された通り、本発明のECM組成物は、期待される用途ならびにECM組成物の適切な送達および投与に応じていくつかの方法で加工処理することができる。例えば、組成物は三次元の足場もしくはインプラントとして送達されても、または組成物は上記の通りに注射用に製剤化されてもよい。「投与」または「投与する」という用語は、処置を必要としている対象に本発明の化合物または薬学的組成物を提供する行為を含むものと定義される。本明細書において用いられる「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与方法のことを意味し、静脈内の、筋肉内の、動脈内の、髄内の、嚢内の、眼窩内の、心臓内の、皮内の、腹腔内の、経気管の、皮下の、表皮下の、関節内の、被膜下の、くも膜下の、脊髄内のおよび胸骨内の注射および注入を含むが、これらに限定されることはない。本明細書において用いられる「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」および「末梢に投与される」という語句は、化合物、薬物または他の材料が対象の身体に入るような、すなわち、代謝および他の類似の過程に供されるような、中枢神経系への直接投与以外の投与、例えば、皮下投与のことを意味する。
本明細書において用いられる「対象」という用語は、本方法が行われる任意の個体または患者をいう。一般的に、対象はヒトであるが、当業者によって理解されるように、対象は動物であってよい。したがって、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどを含む家畜、ならびに霊長類(サル、チンパンンジー、オランウータンおよびゴリラを含む)のような哺乳類を含む他の動物が対象の定義のなかに含まれる。
本発明の細胞外マトリックス組成物は、損傷細胞または組織の修復および/または再生の促進、組織再生を促進するためのパッチにおける使用、幹細胞などの、細胞を培養するための組織培養システムにおける使用、移植可能な装置(例えば、ペースメーカー、ステント、ステントグラフト、人工血管、心臓弁、シャント、薬物送達ポートまたはカテーテル)に関連して用いられる表面コーティングにおける使用、軟組織修復の促進、しわなどの皮膚表面の増強および/または改善、生物学的癒着防止剤としてのまたは送達部位での細胞送達もしくは維持のための生物学的ビヒクルとしての使用を含むが、これらに限定されない、種々の用途を有する。
さらに、本明細書におけるいずれかの方法において記載される通りに細胞を培養することから得られるECM組成物を、本発明のその他任意の用途または方法において用いることもできる。例えば、本発明の組織培養システムを用いて細胞を培養することにより作製されるECM組成物は、例えば、細胞の修復および/または再生、組織再生を促進するためのパッチにおける使用、幹細胞などの、細胞を培養するための組織培養システムにおける使用、移植可能な装置(例えば、ペースメーカー、ステント、ステントグラフト、人工血管、心臓弁、シャント、薬物送達ポートまたはカテーテル)に関連して用いられる表面コーティングにおける使用、軟組織修復の促進、しわなどの皮膚表面の増強および/または改善、生物学的癒着防止剤としてのまたは送達部位での細胞送達もしくは維持のための生物学的ビヒクルとしての使用において用いることができる。
さまざまな態様において、本発明は、細胞または組織の修復および/または再生ならびに軟組織修復の促進のための方法を含む。1つの態様では、修復または再生される細胞を、本発明の細胞外マトリックス組成物と接触させることによる細胞の修復および/または再生の方法を含む。該方法は、骨軟骨細胞を含む本明細書において説明される種々の細胞の修復および/または再生のために用いることができる。
1つの局面において、本方法は骨軟骨欠損の修復を企図する。本明細書において用いられる場合、「骨軟骨細胞」とは、軟骨形成もしくは骨形成の系統に属する細胞、または環境シグナルによって、軟骨形成もしくは骨形成の系統への分化を起こしうる細胞をいう。この可能性は公知の技術によりインビトロまたはインビボで試験することができる。したがって、1つの局面において、本発明のECM組成物を用いて、軟骨形成細胞、例えば、軟骨を産生できる細胞またはそれ自体が軟骨を産生する細胞へ分化する細胞、例えば軟骨細胞およびそれ自体が軟骨細胞へ分化する細胞(例えば、軟骨細胞前駆細胞)などを修復および/または再生する。したがって、別の局面において、本発明の組成物は、結合組織の修復および/または再生において有用である。本明細書において用いられる場合、「結合組織」とは、骨、軟骨、靱帯、腱、半月板、真皮、皮膚の外層(hyperdermis)、筋肉、脂肪組織、関節包を含むが、これらに限定されない、哺乳類体内のいくつかの構造組織のいずれかをいう。
本発明のECM組成物は、膝、足首、肘、臀部、手首、手指もしくは足指のいずれかの指関節、または顎関節などの、可動関節の骨軟骨欠損の処置に用いることができる。そのような骨軟骨欠損は、外傷性損傷(例えば、スポーツ損傷もしくは過剰摩耗)または変形性関節炎などの疾患の結果でありうる。特定の局面は、変形性関節症軟骨の表層病巣の処置または予防における本発明のマトリックスの使用に関する。さらに、本発明は、老化から生じるまたは出産から生じる骨軟骨欠損の処置または予防において有用である。本発明との関連で骨軟骨欠損は、また、以下に限定されないが、整形手術(例えば、鼻、耳)などの、外科手術との関連で軟骨および/または骨の修復が必要とされるような状態を含むものと理解されるべきである。すなわち、そのような欠損は、軟骨もしくは骨形成が破壊される体内のどこかに、または遺伝的欠陥により軟骨もしくは骨が損なわれているもしくは存在しない体内のどこかに生じうる。
上記に説明された通り、増殖因子または特定の細胞の増殖を誘導もしくは刺激する他の生物学的因子を本発明のECM組成物に含めることができる。増殖因子の種類は、細胞種と、組成物が対象とする用途とによると考えられる。例えば、軟骨細胞の場合、細胞増殖因子(例えば、TGF-β)、軟骨形成を刺激する物質(例えば、BMP-2、BMP-12およびBMP-13などの軟骨形成を刺激するBMP)、間質細胞の足場への遊走を刺激する因子、マトリックス沈着を刺激する因子、抗炎症薬(例えば、非ステロイド性抗炎症薬)、免疫抑制薬(例えば、サイクロスポリン)のような、さらなる生物活性剤が存在してもよい。他の増殖因子、例えば血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、ヒト内皮細胞増殖因子(ECGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、軟骨由来形態形成タンパク質(CDMP)、他の骨形成タンパク質、例えばOP-1、OP-2、BMP3、BMP4、BMP9、BMP11、BMP14、DPP、Vg-1、60AおよびVgr-1、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維、糖タンパク質またはグリコサミノグリカン、例えばヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸などのような、他のタンパク質を含めることもできる。例えば、アスコルビン酸塩とともに、TGF-βなどの増殖因子は、軟骨細胞分化および軟骨細胞による軟骨形成を誘発することが分かっている。さらに、ヒアルロン酸は、軟骨細胞および他の間質細胞の付着のための良好な基質であり、足場の一部として組み込まれても、または足場にコーティングされてもよい。
さらに、特定の細胞の増殖および/または活性に影響を与える他の因子を用いることもできる。例えば、軟骨細胞の場合、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第2002/0122790号に記載されている通り、異常肥大状態において軟骨細胞を維持するために、軟骨細胞による軟骨産生を刺激するコンドロイチナーゼなどの因子をマトリックスに添加することができる。別の局面において、本発明の方法は、ポリ硫酸化アルギン酸もしくは他のポリ硫酸化ポリサッカライド、例えばポリ硫酸化シクロデキストリンおよび/もしくはポリ硫酸化インスリン、または参照により本明細書に組み入れられる国際特許公報の国際公開公報第2005/054446号に記載されている通りに結合組織細胞の細胞外マトリックスの産生を刺激できる他の成分の存在を含む。
修復および/または再生される細胞または組織は、本明細書において記載される方法のいずれかによりインビボでまたはインビトロで接触させることができる。例えば、ECM組成物を対象へ(例えば、本発明のECM組織、パッチまたはコーティングを施した装置によって)注射または注入することができる。別の局面において、修復および/または再生される組織または細胞は、公知の外科技術を用いて対象から収集され、インビトロで培養され、その後、対象に移植または投与されることができる。
上記に説明された通りに、本発明のECM組成物は、種々の方法で加工処理することができる。したがって、1つの態様において、本発明は組織培養システムを含む。さまざまな局面において、培養システムは、本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物から構成される。本発明のECM組成物は、種々の方法で組織培養システムに組み入れることができる。例えば、本明細書において記載される通りに三次元の足場材料を含浸させることにより、コーティングとして、または細胞を培養するための培地への添加剤として、組成物を組み入れることができる。したがって、1つの局面において、培養システムは、増殖因子または胎児性タンパク質などの、本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物のいずれかを含浸させた三次元の支持体材料を含むことができる。
本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物は、さまざまな細胞種の増殖のための支持体または三次元支持体となることができる。細胞培養ができる任意の細胞種が企図される。1つの局面において、培養システムを用いて、幹細胞の増殖を補助することができる。別の局面において、幹細胞は胚幹細胞、間葉系幹細胞または神経幹細胞である。
移植可能な組織などのさらなるECM組成物を作製するために、組織培養システムを用いることができる。したがって、本発明の組織培養システムを用いた細胞の培養をインビボでまたはインビトロで行うことができる。例えば、本発明の組織培養システムを用いて、対象への注射または移植のためのECM組成物を作製することができる。組織培養システムにより作製されたECM組成物を加工処理し、本明細書において記載されるいずれかの方法において用いてもよい。
本発明のECM組成物を細胞送達のための生物学的ビヒクルとして用いることができる。本明細書において記載される通りに、ECM組成物は可溶性画分および/または不溶性画分の両方を含むことができる。したがって、本発明の別の態様において、本発明の細胞外マトリックス組成物を含む送達部位での細胞の送達または維持のための生物学的ビヒクルについて記載する。細胞および三次元組織組成物を含む本発明のECM組成物を用いて、インビボでの細胞の増殖を促進および/または支持することができる。任意の適切な用途において、例えば、損傷した心筋への幹細胞などの、細胞の注射を支持するため、または上記の通りに腱および靭帯修復のため、ビヒクルを用いることができる。
ECM組成物の移植または投与の前に、後にまたは最中に、適切な細胞組成物(例えば、本発明の単離されたECM細胞および/またはさらなる生物学的因子)を投与することができる。例えば、培養システムまたは生物学的送達媒体が対象に移植される前に、投与、欠損および/または移植の部位に、細胞を播種することができる。あるいは、適切な細胞組成物を後で(例えば、部位への注射により)投与することもできる。細胞はその場所で作用して、組織再生および/または細胞修復を誘導する。例えば、注射による欠損部位への細胞の投与を可能にする任意の手段により、細胞を播種することができる。細胞の注射は、注射器または関節鏡によるなどの、細胞の生存性を維持する任意の手段によることができる。
細胞外マトリックス組成物は、このような組成物を投与して、心臓および関連組織での内皮細胞化および脈管化を促進することにより、器官および組織での血管形成を促進することが報告されている。したがって、別の態様において、本発明は、本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物を含む対象における装置の移植に関連して用いられる表面コーティングを含む。コーティングは、ペースメーカー、ステント、ステントグラフト、人工血管、心臓弁、シャント、薬物送達ポートまたはカテーテルなどの、対象への移植または浸透において用いられる任意の装置に適用することができる。ある種の局面において、コーティングは、創傷治癒の改変、炎症の改変、線維性被膜形成の改変、組織内殖の改変、または細胞内殖の改変に用いることができる。別の態様において、本発明は、心臓、腸の、梗塞または虚血組織などの、損傷組織の処置を含む。以下に提示するのは、そのような用途のために企図された細胞外マトリックス組成物の作製について説明している例である。通常の酸素条件の下で増殖させる細胞外マトリックス組成物の調製および使用は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第2004/0219134号に記載されている。
別の態様において、本発明は、本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物を含む組織再生パッチを含む。別の態様において、本発明は、対象のしわの部位に本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物を投与する段階を含む対象における皮膚表面の改善のための方法を含む。さらに別の態様において、本発明は、患者のしわの部位に本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物を投与する段階を含む、対象における軟組織の修復または増強のための方法を含む。細胞の修復および/または再生、皮膚表面の改善、ならびに軟組織修復のため通常の酸素培養条件の下で作出された細胞外マトリックス組成物の調製および使用は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,830,708号、米国特許第6,284,284号、米国特許出願第2002/0019339号および米国特許出願第2002/0038152号に記載されている。
別の態様において、本発明は、本明細書において記載される細胞外マトリックス組成物を含む生物学的癒着防止剤を含む。この剤は、腸または血管吻合の構築後に使用される癒着防止パッチのような用途において用いることができる。
本明細書において用いられる組成物または活性成分は、処置されている特定の疾患を処置または予防するのに有効な量で一般に使用されると考えられる。組成物は、治療的有用性を達成するため治療的に投与されても、または予防的有用性を達成するため予防的に投与されてもよい。治療的有用性とは、処置されている基礎病状または障害の根絶または改善を意味する。治療的有用性には、改善が実現されるかどうかにかかわらず、疾患の進行の停止または遅延も含まれる。
投与される組成物の量は、例えば、組成物の種類、処置されている特定の適応症、投与の方法、望ましい有用性が予防的であるか治療的であるか、処置されている適応症の重症度および患者の年齢と体重、ならびに剤形の有効性を含む、種々の要因に依存すると考えられる。有効な投与量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
初期の投与量は、最初にインビトロでのアッセイ法から推定することができる。初期の投与量は動物モデルなど、インビボでのデータから推定することもできる。育毛を強化するための組成物の効力を試験するのに有効な動物モデルは、特に、げっ歯類、霊長類および他の哺乳類を含む。当業者は、インビトロおよび動物でのデータからの外挿によって、ヒトでの投与に適した投与量を決定することができる。
投与量は、馴化培地の活性、投与の方法、処置されている病状、および上記に説明されたさまざまな因子に依存すると考えられる。投与量および間隔は、治療的または予防的な効果を維持するのに十分なレベルを与えるよう個別に調整することができる。
1つの態様において、本発明の方法は、ECMを抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、化学療法剤、免疫調節剤、治療用抗体またはタンパク質キナーゼ阻害剤と組み合わせて、そのような処置を必要としている組織、細胞または対象に投与することを含む。限定することを望むものではないが、化学療法剤には、メトトレキセートのような代謝拮抗剤、シスプラチン/カルボプラチンのようなDNA架橋剤; カンブシルのようなアルキル化剤; ダクチノマイシンのようなトポイソメラーゼI阻害剤; タキソール(パクリタキソール)のような微小管阻害剤などが含まれる。他の化学療法剤には、例えば、ビンカアルカロイド、マイトマイシン型抗生物質、ブレオマイシン型抗生物質、葉酸拮抗剤、コルヒチン、デメコリン、エトポシド、タキサン、アントラサイクリン抗生物質、ドキソルビシン、ダウノルビシン、カルミノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、4-ジメトキシ-ダウノマイシン、11-デオキシダウノルビシン、13-デオキシダウノルビシン、アドリアマイシン-14-ベンゾエート、アドリアマイシン-14-オクタノエート、アドリアマイシン-14-ナフタレンアセテート、アムサクリン、カルムスチン、シクロホスファミド、シタラビン、エトポシド、ロバスタチン、メルファラン、トペテカン、オキサラプラチン、クロラムブシル、メトトレキセート、ロムスチン、チオグアニン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンデシン、タモキシフェン、またはメクロレタミンが含まれる。限定することを望むものではないが、治療用抗体には、トラスツズマブのようなHER2タンパク質に対する抗体; 血管内皮成長因子を標的とするベバシズマブおよび上皮成長因子を標的とするOSI-774のような成長因子または成長因子受容体に対する抗体; ビタキシン(MEDI-522としても公知)のようなインテグリン受容体を標的とする抗体などが含まれる。本発明の組成物および方法で用いるのに適した抗がん剤のクラスには、以下が含まれるが、それらに限定されることはない: 1) 微小管阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビンデシンなど)、微小管安定化剤(例えば、パクリタキセル[タキソール]、およびドセタキセル、タキソテレなど)、ならびにエピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド[VP-16]、およびテニポシド[VM-26]など)のようなトポイソメラーゼ阻害剤、およびトポイソメラーゼIを標的とする剤(例えば、カンプトテシンおよびイリノテカン [CPT-11]など)を含むクロマチン機能阻害剤を含む、アルカロイド; 2) ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、およびブスルファン[マイレラン]など)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、およびセムスチンなど)、および他のアルキル化剤(例えば、ダカルバジン、ヒドロキシメチルメラミン、チオテパ、およびマイトサイシンなど)を含む、共有結合性DNA結合剤[アルキル化剤]; 3) 核酸阻害剤(例えば、ダクチノマイシン[アクチノマイシンD]など)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン[ダウノマイシン、およびセルビジン]、ドキソルビシン[アドリアマイシン]、およびイダルビシン[イダマイシン]など)、アントラセンジオン(例えば、[ミトキサントロン]のようなアントラサイクリン類似体など)、ブレオマイシン(ブレノキサン)など、およびプリカマイシン(ミトラマイシン)などを含む、非共有結合性DNA結合剤[抗腫瘍抗生物質]; 4) 葉酸拮抗剤(例えば、メトトレキセート、フォレックス、およびメキセートなど)、プリン代謝拮抗剤(例えば、6-メルカプトプリン[6-MP、ピュリネトール(Purinethol)]、6-チオグアニン[6-TG]、アザチオプリン、アシクロビル、ガンシクロビル、クロロデオキシアデノシン、2-クロロデオキシアデノシン[CdA]、および2'-デオキシコフォルミシン[ペントスタチン]など)、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、フルオロピリミジン[例えば、5-フルオロウラシル(アドルシル)、5-フルオロデオキシウリジン(FdUrd) (フロクスウリジン)]など)、およびシトシンアラビノシド(例えば、サイトサール[ara-C]およびフルダラビンなど)を含む、代謝拮抗剤; 5) L-アスパラギナーゼを含む、酵素; 6) 糖質コルチコイド、例えば抗エストロゲン(例えば、タモキシフェンなど)、非ステロイド性抗アンドロゲン(例えば、フルタミドなど)、およびアロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール[アリミデックス]など)を含む、ホルモン; 7) 白金化合物(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチンなど); 8) 抗がん薬、毒素および/または放射性核種などと結合した、モノクローナル抗体; 9) 生物応答調節物質(例えば、インターフェロン[例えば、IFN-αなど]およびインターロイキン[例えば、IL-2など]など); 10) 養子免疫療法; 11) 造血成長因子; 12) 腫瘍細胞分化を誘導する剤(例えば、全トランスレチノイン酸など); 13) 遺伝子治療技術; 14) アンチセンス治療技術; 15) 腫瘍ワクチン; 16) 腫瘍転移に対する治療法(例えば、バチミスタットなど); ならびに17) 血管形成の阻害剤。
本発明の薬学的組成物および方法は、前記の病的状態の処置において通常適用される、本明細書に記載の他の治療活性化合物をさらに含んでいてもよい。他の治療剤の例としては以下が挙げられる: シクロスポリン(例えば、シクロスポリンA)、CTLA4-Ig、ICAM-3、抗IL-2受容体(抗Tac)、抗CD45RB、抗CD2、抗CD3 (OKT-3)、抗CD4、抗CD80、抗CD86のような抗体、CD40および/もしくはgp39 (すなわち、CD154)に特異的な抗体のような、CD40とgp39との間の相互作用を遮断する剤、CD40およびgp39から構築された融合タンパク質(CD40IgおよびCD8 gp39)、デオキシスペルグアリン(DSG)のような、NF-κB機能についての、核転座阻害剤のような阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチンおよびシンバスタチン)のようなコレステロール生合成阻害剤、イブプロフェンおよびロフェコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤のような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、プレドニゾンもしくはデキサメタゾンのようなステロイド、金化合物、抗増殖剤、例えばメトトレキセート、FK506 (タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリンおよびシクロホスファミドのような細胞毒性薬、テニダップのようなTNF-a阻害剤、抗TNF抗体もしくは可溶性TNF受容体、ならびにラパマイシン(シロリムスまたはラパミュン)またはそれらの誘導体。
本発明の組成物および方法と組み合わせて投与できる他の剤には、サイトカイン、免疫調節剤および抗体のようなタンパク質治療剤が含まれる。本明細書において用いられる場合、「サイトカイン」という用語は、ケモカイン、インターロイキン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子、および受容体関連タンパク質、ならびにその機能的断片を包含する。本明細書において用いられる場合、「機能的断片」という用語は、規定の機能アッセイ法によって特定される、生物学的機能または活性を保有するポリペプチドまたはペプチドをいう。
サイトカインには、内皮単球活性化ポリペプチドII (EMAP-II)、顆粒球-マクロファージ-CSF (GM-CSF)、顆粒球-CSF (G-CSF)、マクロファージ-CSF (M-CSF)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-12、およびIL-13、インターフェロンなどが含まれ、これは細胞または細胞機構における特定の生物学的変化、形態学的変化、または表現型の変化に関連している。
他の治療剤が本発明の組成物または方法と組み合わせて利用される場合、これらは、例えば、米国医薬品便覧(Physician Desk Reference)(PDR)に記された量で、またはそうでなければ当業者によって決められた量で、使用されてもよい。
以下に提示するのは、説明される用途のために企図された細胞外マトリックス組成物の作製について説明した例である。以下の例は、本発明の態様をさらに例証するために提供するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。それらは使用されうるものの典型であるが、当業者に公知の他の手順、方法論または技術が代わりに用いられてもよい。
実施例1
低酸素条件の下で増殖させたECM組成物における差次的な遺伝子発現
初代ヒト新生児包皮線維芽細胞を、組織培養フラスコ中で標準的な単層として培養し、自然に沈着された胎性様ECM内の、三次元線維芽細胞培養物と比較した。培養物は本明細書において開示される通りに増殖させた。遺伝子の差次的発現を評価するため、製造元のプロトコールにしたがい広範な遺伝子発現(40,000個未満の遺伝子を含む)を目的にAgilent Whole Human Genome Oligo Microarrays (登録商標)を用いて総RNAの試料をそろえた。
比較してみると、線維芽細胞は、低酸素培養され自然に分泌されたECM内での三次元培養物においてコラーゲンおよびECM遺伝子発現を調節することが分かった。各種コラーゲンおよびECM遺伝子の発現の上方制御および下方制御は、表3において明らかである。
(表3)低酸素の三次元線維芽細胞培養物における差次的なコラーゲンおよびECMの発現
Figure 2012508739
比較してみると、線維芽細胞は、低酸素培養され自然に分泌されたECM内での三次元培養物において、Wnt経路遺伝子の遺伝子発現を調節することが分かった。各種Wnt経路遺伝子の発現の上方制御および下方制御は、表4において明らかである。
(表4)低酸素の三次元線維芽細胞培養物における差次的なWnt発現
Figure 2012508739
比較してみると、線維芽細胞は、低酸素培養され自然に分泌されたECM内での三次元培養物において、骨形成タンパク質(BMP)経路遺伝子の遺伝子発現を調節することが分かった。各種BMP経路遺伝子の発現の上方制御および下方制御は、表5において明らかである。
(表5)低酸素の三次元線維芽細胞培養物における差次的なBMP発現
Figure 2012508739
比較してみると、線維芽細胞は、低酸素培養され自然に分泌されたECM内での三次元培養物においてさらなる遺伝子の発現を調節することが分かった。さらなる遺伝子の発現の上方制御および下方制御は、表6において明らかである。
(表6)インビボでの線維芽細胞ECMの低酸素培養によって生じるさらなる遺伝子発現の変化
Figure 2012508739
実施例2
初代ヒト新生児包皮線維芽細胞を用いた低酸素ECMの産生
初代ヒト新生児包皮線維芽細胞を用いたECMの低酸素培養について2つの例を提供する。
初代ヒト新生児包皮線維芽細胞を、10%ウシ胎仔血清、2 mM L-グルタミン入りの90%高グルコースDMEM (10%FBS/DMEM)の存在下、組織培養フラスコ中で増殖させた。0.05%トリプシン/EDTA溶液を用いて細胞を3回目の継代まで継代培養し、その時点において、それらを、0.04 mg乾燥ビーズ/ml培地(100〜120 mlで満たされている125 mlのスピナーフラスコ中5e6細胞/10 mgビーズ)でCytodex-1デキストランビーズに、またはナイロンメッシュ(25e6細胞/6×100 cm2ナイロン)に播種した。全培養物は、増殖および播種のために通常大気および5% CO2中において維持したが、低酸素培養物はその時点で、低酸素環境が培地内に作出されうるように95%窒素/5% CO2で満たされた気密チャンバーに分けられた。このシステムを培養容器内の酸素 およそ1〜5%で維持する。播種のためにナイロンまたはビーズを覆うのに必要な最小限の容量中で細胞を十分に混合し、引き続いて、これを30分後に一度混合し、次に加湿した37℃のインキュベーター中で終夜静置させた。2〜3日ごとに50〜70%の培地を交換しながら、培養物に2〜4週間10%FBS/DMEMを供給すると、その間に細胞は増殖し、その後、ECMを沈着し始めた。鉄補充物入りの10%ウシ胎仔血清、およびFBSの代わりに20 ug/mlのアスコルビン酸を用いてさらに4〜6週間培養物に供給を行った。スピナーフラスコを、最初におよび約2〜4週間、15〜25 rpmで混合し、その時点で、それらを45 rpmまで増加させ、その後、この速度で維持した。ビーズ培養物は、4週間後に幅および直径が0.5〜1.0 cmほどのECMを含有する大きな不定形構造を形成し、これらの培養物はそれゆえ、ガス拡散および高い代謝性要求により低酸素状態であった。
さらなる例において、初代ヒト新生児包皮線維芽細胞を単層フラスコ中で増殖させ、次いで、ナイロンメッシュの足場上で培養して、インビトロでの細胞外マトリックス(ECM)の発達を支持した。線維芽細胞を、高グルコース、2 mM L-グルタミンおよび10% (v/v)ウシ胎仔血清を含むDMEM中で増殖させた。培養物にまた、20 μg/mlのアスコルビン酸を補充した。大気酸素(酸素およそ16%〜20%)中で3週間後、二通りのECM含有培養物を、95%窒素/5%二酸化炭素で十分に流した密閉チャンバー(カタログ番号MC-101, Billups-Rothenberg, Inc., Del Mar, CA)において、低酸素培養条件(酸素1%〜5%)に切り替えた。培地からの大気酸素の枯渇を確実にするため、2〜3時間後に大気を交換して培地におよそ1〜3%の酸素が含まれることを確実にした。ECM含有培養物の両セットをさらに4週間、週2回の供給を行いながら増殖させ、その後、培養物をRNA単離のために調製した。市販のキットを製造元の使用説明書(カタログ番号Z3100, Promega, Inc.)にしたがって用い、総細胞RNAを単離した。Agilent Whole Human Genome Oligo Microarrays(登録商標)を用いた遺伝子発現のマイクロアレイ解析のために加工処理する前に、精製されたRNA試料を-80℃で保存した。
この結果を分析する際に、Agilent Whole Human Genome Oligo Microarrays(登録商標)を用い、低酸素培養物由来のプローブと比べて、大気酸素から調製されたプローブより検出され、差次的に発現された転写産物が、約5,500種存在した。これらのうち、約半分(2,500種)は低酸素により2.0倍増を超え、約半分(2,500種)は低酸素で2.0倍を超えて減少していた。これは、低酸素がインビトロでの遺伝子発現の顕著な変化をもたらしたことを示唆している。特に興味深いのは、ECMタンパク質に対する転写産物、特にいくつかのコラーゲン遺伝子が上方制御されたのに対し、マトリックス分解酵素に対するいくつかの遺伝子は下方制御された。
実施例3
治療用途のための組織工学的ヒト胎児性細胞外マトリックス
胎児性細胞外マトリックス(ECM)は、瘢痕または癒着の形成がなく迅速な細胞増殖および治癒につながる環境を生み出す。血管形成前の初期胎児期環境を刺激する条件(低酸素および重力の低減)下での3次元のヒト新生児線維芽細胞の増殖は、胎児性特性を有するECMを作出するものと仮定された。遺伝子チップアレイ分析は、従来の組織培養条件に比べて低酸素の組織培養条件の下での5000種を超える遺伝子の差次的発現を明らかにした。産生されたECMは、III型、IV型およびV型コラーゲン、ならびに糖タンパク質、例えばフィブロネクチン、SPARC、トロンボスポンジン、ならびにヒアルロン酸に比較的富んでいるという点で胎児間葉組織に類似していた。ECMは、鍵となる増殖因子によって再生幹細胞集団を支持する推定上のニッチにおける増殖因子の提示および結合に重要な調節的役割も果たすので、本発明者らは、培養下の胎児様ECMの発達中の増殖因子発現に及ぼす低酸素の影響について評価した。低酸素は、VEGF、FGF-7およびTGF-βなどの、創傷治癒および器官形成を調節する因子、ならびにwnt 2b、4、7a、10aおよび11を含む複数のwntの発現を高めることもできる。胎児性ヒトECMはまた、MTTアッセイを用いて酵素活性の増大によって測定をした場合、インビトロでヒト線維芽細胞における代謝活性の増大を刺激した。さらに、本発明者らは、ヒトECMに応じた細胞数の増加を検出した。このヒトECMは、生物学的な表面コーティングとして、および瘢痕または癒着なしに新しい組織を増殖させ治癒する種々の治療用途での組織充填処置において用いることができる。
実施例4
再生医療用途のための天然可溶性WNT活性の作出
皮膚または血液のような、成体組織を再生できる幹細胞または前駆細胞は、胚発生をある程度繰り返して、この再生を達成する。ますます多くの研究から、胚形成中に活性な幹細胞多分化能および系統特異的分化の鍵となる調節因子は、ある種の環境下で成体において再発現されることが明らかにされている。分泌型の形態形成増殖および発生因子のWNTファミリーは、有益な研究ツール、ひいては臨床における治療的処置となる可能性のある増殖因子の一つである。しかしながら、Wntのものは、今日まで商業規模での標準的な組換え発現および精製の技術が無効なことが証明されており、WNTに基づく製品の臨床開発を可能にする大規模なWNTタンパク質の産生に関する報告はない。培養下のさまざまな足場に新生児ヒト皮膚線維芽細胞を用い培養下の胎児様ECMを増大させて三次元の組織等価物を作製するための技術が開発されている。この過程において、これらの培養物は、ECM産生に使われる無血清馴化培地中に含有される生物活性のあるWNTのものについての商業規模の供給源を提供しうることが発見された。ここで、本発明者らはこのWNT製品候補に関するデータを提示する。
細胞の遺伝子発現解析は、少なくとも3種のWNT遺伝子が発現され(wnt 5a、wnt 7aおよびwnt 11)、かつwntシグナル伝達に関連する少数の遺伝子が同様に発現されたことを示したが、それらの機能は完全には理解されていない。遺伝子発現データをwntシグナル伝達に対するインビトロでのバイオアッセイ法(初代ヒト表皮角化細胞におけるβ-カテニンの核転座)にまで拡張し、血液幹細胞に及ぼすwnt活性を評価した。どちらのアッセイ法でも基準のwnt活性と一致する活性を示した。さらに、これらの培養物由来の馴化培地は、マウスの皮膚へ注射された場合にwnt活性を示し、毛包幹細胞が成長期に入るよう誘導し、かくして育毛を引き起こした。このことは、規定のかつ無血清の培地内で安定化されたWNT活性には精製の必要がなかったことを示唆している。この生成物を毛包再生のためにおよびさまざまなヒト幹細胞の培養用の有益な研究ツールとして用いることができる。
実施例5
低酸素線維芽細胞は独特のECM産生および増殖因子発現を示す
ヒト新生児皮膚線維芽細胞は、インビトロで培養されると、真皮を綿密に模倣するECM、および創傷治癒などの再生医療用途において損傷真皮に取って代わりうるECMを産生する。創傷治癒の過程はまた、胎児期環境を刺激することにより胚発生を繰り返すので、本発明者らは、産生されたECMが組織再生用途のための強化されたECMとなるものとの仮説を立てた。それゆえ、ヒト新生児線維芽細胞に由来するECMを培養液中、低酸素条件下で増殖させて、血管形成前の初期胚に存在する低酸素状態を刺激した。この目標は、培養下の組織発達の間に低酸素状態を用いて胎児性特性を有するECMを作製することであった。
これらの低酸素培養において産生されたECMは、III型およびV型コラーゲン、ならびに糖タンパク質、例えばフィブロネクチン、SPARC、トロンボスポンジン、ならびにヒアルロン酸に比較的富んでいるという点で胎児間葉組織に類似していた。ECMは、鍵となる増殖因子によって再生幹細胞集団を支持する推定上のニッチにおける増殖因子の提示および結合で重要な調節的役割も果たすので、本発明者らは、培養下の胎児様ECMの発達中の増殖因子発現に及ぼす低酸素の影響について評価した。低酸素はまた、VEGF、FGF-7およびTGF-βなどの、創傷治癒および器官形成を調節する因子の発現を高めることができることが明らかにされた。
ヒトECMはまた、MTTアッセイ法を用いて酵素活性の増大によって測定した場合、インビトロでヒト線維芽細胞における代謝活性の増大を刺激した。さらに、ヒトECMに応じた細胞数の増加が検出された。これらの結果はこのヒトECMの、幹細胞培養におけるコーティング/足場としての、およびさまざまな治療用途または医療装置における生物学的な表面コーティング/充填剤としての使用を支持するものである。
実施例6
黒色腫、神経膠腫および乳がんにおける細胞外マトリックス組成物
ECMの存在下または非存在下での、かつシスプラチンありまたはなしでの、B16 (黒色腫細胞株)、C6 (神経膠腫細胞株)およびMDA 435 (乳がん細胞株)細胞の腫瘍成長を、鶏受精卵絨毛尿膜アッセイ法(CAM)において調べた。手短に言えば、卵を明りにすかし生存性について調べた。気嚢(air sack)をずらし、卵赤道の位置で卵殻と絨毛尿膜との間に気泡(blister)を作り出した。卵殻を切り裂いて窓を開け、CAMにアクセスした。細胞を次のようにCAMに追加した: B16細胞、卵1個あたり500万個; C6細胞、卵1個あたり500万個; およびMD435細胞、卵1個あたり500万個。ECM処理卵では、ECM (およそ100 μg/処理)および細胞を卵に同時に添加した。シスプラチン処理卵では、シスプラチン(1 mg/mLのシスプラチン溶液250 μL)を翌日、局所的に添加した。卵を10日間インキュベートし、その時点で腫瘍を切除し、秤量した。
腫瘍塊はECMの存在によって著しく低下した。図1および2は、B16細胞が生み出す腫瘍の重量がECMの非存在下と比べてECMの存在下で低下したことを示す。また腫瘍の重量は、腫瘍細胞をECMと混合したかまたはECM上で成長させたかを問わず低下した(図3)。図4および5は、C6細胞が生み出す腫瘍の重量が処理なしと比べてECMの存在下で低下したことを示す。その上、腫瘍重量はシスプラチンとともにECMの存在下でさらに低下した。図7は、MDA 435乳がん細胞が生み出す腫瘍の重量が処理なしと比べてECMの存在下で低下し、シスプラチンとともにECMによってさらに低下したことを示す。
別のCAMアッセイ法では、B16細胞をBioNeusis (10 mg/mL)の用量100 μLとともに卵(細胞200〜300万個/卵)に注入した。Bionuesisは、ECMを作出するために用いられる生物反応器中の線維芽細胞によって馴化された培地であり、液状でのみECMによく似ている。図16は、CAMアッセイ法における腫瘍成長が処理なしと比べてBioNeusisの存在下で低下したことを示す。さらなる研究では、B16細胞を漸増濃度の液状ECMの存在下で成長させたところ、全濃度のECMで成長が低下した(図17)。別の研究では、B16細胞をCAMアッセイ法において未分画液状ECM中で成長させたB16細胞と比べてさまざまな分子量画分の液状ECM中で成長させた。100,000超ダルトンの画分を除く全ての分子量画分で、未分画ECMと比べて腫瘍塊のパーセント低下の増大が示された(図18)。
ECMの存在下または非存在下での、かつシスプラチンありまたはなしでの、B16細胞、C6細胞またはMDA435細胞の腫瘍成長を、ヌードマウスにおいて調べた。細胞、ECMおよびシスプラチンを、ヌードマウスの臀部下側に同時に皮下注射した。写真撮影、長さおよび幅の測定を用いて、その後最終的には重量によって、腫瘍成長を経時的に追跡した。図8および9は、注射後14日目のECMの存在下(図9)および非存在下(図8)でのヌードマウスにおけるC6細胞由来の腫瘍の成長を示す。図10および11は、注射後14日目のシスプラチンありECM (図10)およびECMなしシスプラチン(図11)の存在下でのヌードマウスにおけるC6細胞由来の腫瘍の成長を示す。ECMで成長した細胞は、触知可能な腫瘍を形成した対照(処置なし)と比べて、腫瘍成長の低下または腫瘍成長のないことを示した。図12は、18日にわたる腫瘍成長のプロットを示しており、図中、ECMで処置したマウスは、処置なしの対照と比べて、腫瘍成長の低下を示し、シスプラチンで処置したマウスはECMの有無にかかわらず、成長のないことを示した。類似の研究では、ECM (図13B)で、ECMに加えてシスプラチン(図13C)で、またはシスプラチンだけ(図13D)で成長させたMDA435細胞が、触知可能な腫瘍を形成した処置なしの対照(図13A)と比べて、腫瘍成長の低下または腫瘍成長のないことを示した。図14は、25日にわたる腫瘍成長のプロットを示しており、図中、ECMで処置したマウスは、処置なしの対照と比べて、腫瘍成長の低下を示した。シスプラチンで処置したマウスは、ECMの有無にかかわらず、腫瘍塊の低減から何もないことまでを示した。図15は、ECMあり(右側)またはECMなし(左側)のヌードマウスにおいて成長したB16細胞の結果を示しており、図中、腫瘍成長はECMの存在下で阻害された。
本発明を上記の例および添付書類1に関して記載してきたが、その全内容が参照により本明細書に組み入れられ、変更および変形は本発明の趣旨および範囲のなかに包含されることが理解されると考えられる。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の例示的な態様は添付書類1にさらに記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
[本発明1001]
がん細胞を細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、該がん細胞の成長または増殖を阻害する方法。
[本発明1002]
前記がん細胞が腫瘍由来である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記がん細胞が、黒色腫、神経膠腫および腺がんからなる群より選択されるがん由来である、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記細胞外マトリックス組成物が、適した成長培地における二次元または三次元表面上にての下、細胞を培養することから得られる、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記細胞が、成体組織由来、胎児組織由来または胚組織由来である、本発明1004の方法。
[本発明1006]
前記細胞が低酸素条件の下で培養される、本発明1004の方法。
[本発明1007]
酸素の前記低酸素条件が酸素1〜5%である、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記組成物が可溶性画分である、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記組成物が不溶性画分である、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記組成物が、可溶性画分と不溶性画分との組み合わせである、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記可溶性画分が、30,000ダルトン未満の分子量を有する分子を含む分子量画分を含む、本発明1008の方法。
[本発明1012]
前記細胞外マトリックス組成物が化学療法剤を含む、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記化学療法剤がシスプラチンである、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記細胞外マトリックス組成物が免疫調節剤をさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1015]
がん細胞を、化学療法剤を含む細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、がん細胞に化学療法剤を送達する方法。
[本発明1016]
前記接触させる段階が、腫瘍を切除した領域の切除縁におけるものである、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記細胞外マトリックス組成物が、適した成長培地における二次元または三次元表面上にての下、細胞を培養することから得られる、本発明1015の方法。
[本発明1018]
前記細胞が、成体組織由来、胎児組織由来または胚組織由来である、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記細胞が、低酸素条件の下で培養される、本発明1017の方法。
[本発明1020]
酸素の前記低酸素条件が酸素1〜5%である、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記組成物が可溶性画分である、本発明1015の方法。
[本発明1022]
前記組成物が不溶性画分である、本発明1015の方法。
[本発明1023]
前記組成物が、可溶性画分と不溶性画分との組み合わせである、本発明1015の方法。
[本発明1024]
可溶性画分が、30,000ダルトン未満の分子量を有する分子を含む分子量画分を含む、本発明1020の方法。
[本発明1025]
前記化学療法剤がシスプラチンである、本発明1015の方法。
[本発明1026]
前記細胞外マトリックス組成物が免疫調節剤をさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1027]
細胞外マトリックス組成物および化学療法剤を含む、組成物。
[本発明1028]
免疫調節剤をさらに含む、本発明1027の組成物。

Claims (28)

  1. がん細胞を細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、該がん細胞の成長または増殖を阻害する方法。
  2. 前記がん細胞が腫瘍由来である、請求項1記載の方法。
  3. 前記がん細胞が、黒色腫、神経膠腫および腺がんからなる群より選択されるがん由来である、請求項1記載の方法。
  4. 前記細胞外マトリックス組成物が、適した成長培地における二次元または三次元表面上にての下、細胞を培養することから得られる、請求項1記載の方法。
  5. 前記細胞が、成体組織由来、胎児組織由来または胚組織由来である、請求項4記載の方法。
  6. 前記細胞が低酸素条件の下で培養される、請求項4記載の方法。
  7. 酸素の前記低酸素条件が酸素1〜5%である、請求項6記載の方法。
  8. 前記組成物が可溶性画分である、請求項1記載の方法。
  9. 前記組成物が不溶性画分である、請求項1記載の方法。
  10. 前記組成物が、可溶性画分と不溶性画分との組み合わせである、請求項1記載の方法。
  11. 前記可溶性画分が、30,000ダルトン未満の分子量を有する分子を含む分子量画分を含む、請求項8記載の方法。
  12. 前記細胞外マトリックス組成物が化学療法剤を含む、請求項1記載の方法。
  13. 前記化学療法剤がシスプラチンである、請求項12記載の方法。
  14. 前記細胞外マトリックス組成物が免疫調節剤をさらに含む、請求項12記載の方法。
  15. がん細胞を、化学療法剤を含む細胞外マトリックス組成物と接触させる段階を含む、がん細胞に化学療法剤を送達する方法。
  16. 前記接触させる段階が、腫瘍を切除した領域の切除縁におけるものである、請求項15記載の方法。
  17. 前記細胞外マトリックス組成物が、適した成長培地における二次元または三次元表面上にての下、細胞を培養することから得られる、請求項15記載の方法。
  18. 前記細胞が、成体組織由来、胎児組織由来または胚組織由来である、請求項17記載の方法。
  19. 前記細胞が、低酸素条件の下で培養される、請求項17記載の方法。
  20. 酸素の前記低酸素条件が酸素1〜5%である、請求項19記載の方法。
  21. 前記組成物が可溶性画分である、請求項15記載の方法。
  22. 前記組成物が不溶性画分である、請求項15記載の方法。
  23. 前記組成物が、可溶性画分と不溶性画分との組み合わせである、請求項15記載の方法。
  24. 可溶性画分が、30,000ダルトン未満の分子量を有する分子を含む分子量画分を含む、請求項20記載の方法。
  25. 前記化学療法剤がシスプラチンである、請求項15記載の方法。
  26. 前記細胞外マトリックス組成物が免疫調節剤をさらに含む、請求項15記載の方法。
  27. 細胞外マトリックス組成物および化学療法剤を含む、組成物。
  28. 免疫調節剤をさらに含む、請求項27記載の組成物。
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