JP2012504962A - テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法 - Google Patents

テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012504962A
JP2012504962A JP2011531148A JP2011531148A JP2012504962A JP 2012504962 A JP2012504962 A JP 2012504962A JP 2011531148 A JP2011531148 A JP 2011531148A JP 2011531148 A JP2011531148 A JP 2011531148A JP 2012504962 A JP2012504962 A JP 2012504962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
nucleic acid
telomerase
analog
rna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2011531148A
Other languages
English (en)
Inventor
ルルデス グーデ‐ロドリゲス
グレゴリー エル. ヴァーダイン
ショーナ シュ‐メイ スタントン
Original Assignee
プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ filed Critical プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ
Publication of JP2012504962A publication Critical patent/JP2012504962A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7088Compounds having three or more nucleosides or nucleotides
    • A61K31/7105Natural ribonucleic acids, i.e. containing only riboses attached to adenine, guanine, cytosine or uracil and having 3'-5' phosphodiester links
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/113Non-coding nucleic acids modulating the expression of genes, e.g. antisense oligonucleotides; Antisense DNA or RNA; Triplex- forming oligonucleotides; Catalytic nucleic acids, e.g. ribozymes; Nucleic acids used in co-suppression or gene silencing
    • C12N15/1137Non-coding nucleic acids modulating the expression of genes, e.g. antisense oligonucleotides; Antisense DNA or RNA; Triplex- forming oligonucleotides; Catalytic nucleic acids, e.g. ribozymes; Nucleic acids used in co-suppression or gene silencing against enzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y207/00Transferases transferring phosphorus-containing groups (2.7)
    • C12Y207/07Nucleotidyltransferases (2.7.7)
    • C12Y207/07049RNA-directed DNA polymerase (2.7.7.49), i.e. telomerase or reverse-transcriptase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2310/00Structure or type of the nucleic acid
    • C12N2310/10Type of nucleic acid
    • C12N2310/11Antisense

Abstract

本発明の一つの目的は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5またはシュードノット/テンプレートドメインへ結合する阻害剤を提供することによって、ヒトテロメラーゼを阻害するための方法および組成物を提供することである。

Description

発明の分野
本発明は、癌および他の増殖性障害の治療のための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、テロメラーゼ阻害剤およびそこにおけるそれらの使用に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2008年10月7日に出願された米国仮特許出願第61/103,430号の35 U.S.C. §119(e)下での恩典を主張し、この内容は参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
政府支援
本発明は、国立衛生研究所(NIH)のMolecular and Cell Biology Department(MCB)によって与えられた訓練助成金番号5 T32 GM007598の下での政府支援によって成された。政府は、本発明に一定の権利を有する。
発明の背景
ここ数年の間で、制癌剤創薬の分野は、選択的かつ有効な薬物の探求における非常に重要な要件、および分子標的の選択のために使用される理論的根拠の理解の点で、著しく進歩した(S.L. Mooberry, Drug Discovery Handbook. Wiley-Interscience 1343-1368 (2005)(非特許文献1))。タンパク質の十分に規定された疎水性ポケット中へ収まり得る小分子ベースのリガンドは、古典的薬物選択肢と依然としてみなされており、タンパク質は、「ドラッガブル(druggable)」ゲノムと呼ばれたもののうち最も一般的な治療標的である(A.L. Hopkins, Nat. Rev. Drug Discovery 1, 727-730 (2002)(非特許文献2))。しかし、タンパク質を除いた他の分子キープレーヤーを適切に標的化し得る新規の化合物、化学およびアプローチの探求が、現在、かなり注目されており、それらの一部は、扱いにくい、非実用的な、または単に「アンドラッガブル(undruggable)」と伝統的にみなされていた。特に、RNAは、多様な細胞プロセスにおけるその多くの役割にもかかわらず(例えば、リボザイム、リボスイッチ、miRNA)、遺伝情報の単なるキャリアとして何年間も追いやられてきた。伝統的な(アンチセンス)および最近の(RNAi)アプローチを使用することによって遺伝子発現を制御する可能性を含むがこれに限定されない、治療介入についての内在的な可能性のために、RNA構造および機能についての関心が高まった。困難ではあるが、小分子でRNAを標的化することを目的とする努力は、大いに有望であり、RNAの本質的にフレキシブルかつ複雑な構造は、その機能を破壊することを目的とする新しい戦略の合理的設計の基礎として原理上は使用され得る(J.R. Thomas, Chem. Rev. 108, 1171-1224 (2008)(非特許文献3))。これは、メッセンジャーRNAを標的化することにおいてだけでなく、細胞状況において重要な役割を果たす他の十分に構造化された非コーディングRNAを標的化することにおいても、特に適切であると予想される。ショートオリゴヌクレオチドは、RNAターゲッティング分野において適切な特性を有すると以前報告された。例えば、ODMiR(Oligonucleotide Directed Misfolding of RNA)は、グループIイントロンおよび大腸菌RNase Pの阻害のための有効な方法であることがわかった(J.L. Childs, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 11091-11096 (2002)(非特許文献4);J.L. Childs, RNA 9, 1437-1445 (2003)(非特許文献5))。
テロメラーゼは、2つの必須成分、逆転写酵素タンパク質サブユニット(hTERT)およびRNA成分(hTR)(J. Feng, Science 269, 1236-1241 (1995)(非特許文献6);T.M. Nakamura, Science 277, 911-912 (1997)(非特許文献7))、ならびにいくつかの関連タンパク質から構成される特殊なリボ核タンパク質である。それは、テンプレートとしてRNA成分内の短配列を使用して、染色体末端でテロメア反復配列(5’-TTAGGG-3’)の合成を指示する。テロメラーゼは、ヒト癌についてほぼ普遍的なマーカーであると考えられており、テロメア長に対するその効果は、複製老化を回避することにおいて重要な役割を果たす。実際に、大抵の正常な体細胞においてテロメラーゼ活性は抑制されるが、ヒト腫瘍の約90%においてそれは活性化されることが見出された(J.W. Shay, Eur. J. Cancer 33, 787-791 (1991)(非特許文献8);N.W. Kim, Science 266, 2011-2015 (1994)(非特許文献9))。
S.L. Mooberry, Drug Discovery Handbook. Wiley-Interscience 1343-1368 (2005) A.L. Hopkins, Nat. Rev. Drug Discovery 1, 727-730 (2002) J.R. Thomas, Chem. Rev. 108, 1171-1224 (2008) J.L. Childs, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 11091-11096 (2002) J.L. Childs, RNA 9, 1437-1445 (2003) J. Feng, Science 269, 1236-1241 (1995) T.M. Nakamura, Science 277, 911-912 (1997) J.W. Shay, Eur. J. Cancer 33, 787-791 (1991) N.W. Kim, Science 266, 2011-2015 (1994)
本発明の一目的は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する阻害剤を提供することによって、ヒトテロメラーゼを阻害するための方法および組成物を提供することである。
従って、一局面において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤が、提供される。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログは、4〜20ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、6〜14ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはその核酸アナログは、約10ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、10ヌクレオチドの結合配列長を有する。別の態様において、核酸またはそのアナログは、8ヌクレオチドの結合配列長を含む。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2を含む。
本発明の別の局面は、テロメラーゼ活性を阻害する方法であって、テロメラーゼと、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとを接触させる工程を含む方法を提供する。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。一態様において、テロメラーゼ阻害剤は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログは、4〜20ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、6〜14ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約10ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、10ヌクレオチドの結合配列長を有する。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約8ヌクレオチドの結合配列長を含む。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される。好ましい態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2を含む。
別の局面は、細胞中におけるテロメラーゼ活性を阻害する方法であって、細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとを接触させる工程を含む方法を提供する。
一態様において、細胞をインビトロで接触させる。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログは、4〜20ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、6〜14ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約10ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、10ヌクレオチドの結合配列長を有する。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約8ヌクレオチドの結合配列長を含む。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される。好ましい態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2を含む。
別の局面は、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む方法を提供する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはその核酸アナログは、4〜20ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、6〜14ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約10ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、10ヌクレオチドの結合配列長を有する。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約8ヌクレオチドの結合配列長を含む。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される。好ましい態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2を含む。一態様において、被験体において治療される増殖性障害は、癌である。
別の局面において、テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、ここで、テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、治療組成物が提供される。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログは、4〜20ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、6〜14ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約10ヌクレオチドの結合配列長を含む。別の態様において、核酸またはそのアナログは、10ヌクレオチドの結合配列長を有する。別の態様において、核酸またはそのアナログは、約8ヌクレオチドの結合配列長を含む。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2を含む。
本発明の別の目的は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する阻害剤を提供することによって、ヒトテロメラーゼを阻害するための方法および組成物を提供することである。
従って、一局面は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤であって、ここで、リボ核酸分子またはそのリボ核酸アナログが、SEQ ID NO: 12〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、テロメラーゼ阻害剤を提供する。一態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される。別の態様において、テロメラーゼ阻害剤結合配列は、SEQ ID NO: 20を含む。
一態様において、細胞中におけるテロメラーゼ活性を阻害する方法であって、細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログとを接触させる工程を含み、ここで、リボ核酸分子またはそのリボ核酸アナログが、SEQ ID NO: 12〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、方法が提供される。一態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される。別の態様において、テロメラーゼ阻害剤結合配列は、SEQ ID NO: 20を含む。
別の局面は、有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、テロメラーゼ阻害剤は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含み、ここで、リボ核酸分子またはそのアナログは、SEQ ID NO: 12〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、方法を提供する。一態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される。別の態様において、テロメラーゼ阻害剤結合配列は、SEQ ID NO: 20を含む。一態様において、増殖性障害は癌である。
別の局面は、テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、ここで、テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含み、ここで、リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、治療組成物を提供する。一態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される。別の態様において、テロメラーゼ阻害剤結合配列は、SEQ ID NO: 20を含む。
1つまたは複数の記載の構成要素を「含む」方法または組成物は、必須であるかないかに関わらず、具体的に記載されていない他の構成要素を含み得る。例えば、その中に核酸またはアナログを含むテロメラーゼ阻害剤は、核酸配列と、ベクターまたはプラスミドなどの、より大きなヌクレオチド配列の成分としての核酸配列との両方を含む。さらなる例として、構成要素AおよびBを含む組成物はまた、A、BおよびCからなる組成物を包含する。用語「含む」は、「主に、しかし必ずしも唯一ではなく、含む」を意味する。さらに、単語「含む(comprising)」の変形、例えば、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、同様に変化した意味を有する。
本明細書において使用される場合、用語「から本質的になる」は、所定の態様に必要である構成要素を指す。前記用語は、本発明のその態様の基本的かつ新規のまたは機能的な特徴に実質的に影響を与えない追加の構成要素の存在を容認し、従って、「主に、しかし必ずしも唯一ではなく少なくとも1つ、含む」を意味するように意図される。
本明細書において使用される場合、用語「からなる」は、態様のその説明に記載されていないいかなる構成要素も除く、ここに記載の組成物、方法、およびそれらのそれぞれの成分を指す。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において明確に特に指定されない限り、複数形の参照を含む。従って、例えば、「方法(the method)」への参照は、本明細書に記載されるタイプのおよび/または本開示を読むことにより当業者に明らかとなるなどの、1つまたは複数の方法、および/または工程を含む。実施例における場合を除いて、または特に指定される場合を除いて、本明細書において使用される反応条件または成分の量を表現する全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。用語「約」は、パーセンテージに関連して使用される場合、±1%を意味し得る。上記の詳細な説明および下記の実施例は、例示にすぎず、本発明の範囲に対する限定としてとられないことが理解される。当業者に明らかである、開示される態様に対する種々の変更および改変が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく成され得る。
特定される全ての特許、特許出願、および刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得る刊行物に記載の方法を説明および開示する目的のために、参照により明示的に本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示について単に提供される。この点についていずれも、本発明者らが先行発明または他の理由に基づいてこのような開示に先立つ権利がないという承認として解釈されないべきである。これらの文書の内容についての表示または日付についての全ての陳述は、本出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文書の内容または日付の正確性について承認するものではない。
(図1A)RIPtideマイクロアレイ技術の概観を提供する。RIPtideマイクロアレイの略図を示す。
(図1B)RIPtideマイクロアレイ技術の概観を提供する。2’-O-メチルRIPtideおよび極性ポリエチレングリコールリンカーの構造を示す。
(図1C)RIPtideマイクロアレイ技術の概観を提供する。RIPtideアレイフォーマットを示す。この例において、各チップは、合計87,296個のRIPtide配列を含有する。1つのNマーファミリー当たりのRIPtideの数が示される(N=4、5、6、7、8)。
(図2)図2A〜2Iは、光酸発生剤(PAG)を含有する光画像形成性ポリマーフィルムを使用してのオリゴ(2’-O-Me-リボヌクレオチド)RIPtideマイクロアレイの製作を描写する(参考文献13)。図2Aは、溶融石英基板を洗浄し、好適なシランで処理し、共有結合ヒドロキシアルキル基を含有する表面層を導入する方法を示す。図2Bは、標準オリゴヌクレオチド合成プロトコルを使用して、表面ヒドロキシル部位を、DMT基によって遠位末端で保護されたPEG分子スペーサーで伸長する方法を示す。図2Cは、次いでPAGフィルムを基板へ適用し、フォトリソグラフィーマスクと共に露光し、17.5ミクロンのフィーチャー間隔でフィルム中に光生成酸のパターンを作製する方法を示す(図2D)。図2Eは、光生成酸が、画像形成領域中のヒドロキシル部位からDMT保護基を除去する方法を示す。図2Fは、PAGフィルムを除去する方法を示し、図2Gは、基板を、活性化5’-O-DMT-2’-O-Me-リボヌクレオシドホスホルアミダイトの溶液、続いて標準キャッピングおよび酸化剤試薬へ曝露する方法を示す。これは、工程dにおいて露光された基板の領域中に第1ヌクレオチドをカップリングする(例えば、2’-OMe-A)。図2H〜2Iは、図2C〜2Gに描写された工程を繰り返し、アレイの残りの配列を完成させる方法を示す(C、G、およびUについて示される3つの追加のサイクル)。全ての配列の完成後、基板を、最終の脱保護、ダイシング、および個々のアレイのパッケージングによって処理する。
(図3)図3A〜3Bは、使用したhTR構築物の配列および二次構造を含む略図を示す。図3Aは、改変hTRシュードノット構築物(PKWTおよびPKWT-1、上部;出現順に、それぞれ、SEQ ID NO: 67およびSEQ ID NO: 68)およびhTRのテンプレート/シュードノットドメインの配列(SEQ ID NO: 69、下部)を示す。大文字は、脊椎動物において≧80%保存される残基に対応する。図3Bは、RIPtideプラットフォームでスクリーニングされた種々のRNA構築物の略図を含む、31からの、hTRの二次構造モデルを描写する。
(図4A)100nM、1時間インキュベーションに対応する、PKWTおよびPKWT-1のクラスタープロファイルを示す。ヒットの数(100のうち)が、スクリーニングされたRNA構築物のヌクレオチド位置(x軸、hTR配列に対比して表される)に対して示される(y軸)。
(図4B)非標識PKWT-1で測定された、上位(より強度が高い)10個のRIPtideヒットのランクおよびKd値を示す。出現順に、それぞれ、SEQ ID NO: 28〜SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 11およびSEQ ID NO: 31〜SEQ ID NO: 36を開示している。
(図4C)標準(100 nM、1時間)インキュベーション条件を使用してのPK123およびPK159のクラスタープロファイルを示す。RIPtideが整列するhTR配列ヌクレオチドが、x軸に示される。
(図4D)hTRのテンプレート/シュードノットドメインの2’-O-メチルスクリーニングからの結果の要約を提供する。第2列において、コンセンサス同定RIPtide配列が示されており、Xは、可変長を有する領域を示す。第3列において、RIPtide 5’-3’の中間(第4)位置と一致するhTRのヌクレオチド位置が示される。n.d.=測定されず。データは、3個の独立したサンプルの平均値±s.d.を示す。出現順に、それぞれ、SEQ ID NO: 46〜SEQ ID NO: 51を開示している。
(図5)PKWT-1クラスター化プロファイルに対するRNAインキュベーション時間の効果を示す。より低い濃度のRNA標的を、より長いインキュベーション時間で使用し、蛍光飽和を回避した。PKWT-1配列ナンバリングは、合成構築物中のヌクレオチド位置(nt)に対応し、hTR配列に対応していない。クラスターII中のヒットは、クラスターI中のヒットよりも、時間とともに蓄積するより大きな傾向を示した。
(図6A)hTRのシュードノットドメインの2’-O-Me RIPtideマッピングを描写する。図6Aは、ナノモル単位で表される、選択されたRIPtideと非標識全長hTRとの間の解離定数を示す。クラスターは、灰色の濃淡に従ってコード化されている。図6Aは、クラスターI-1、I-2、II-1、II-2、II-3、III-1、III-2、IV-1、IV-21、V-2およびV-3を、それぞれ、SEQ ID NO: 37〜SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 28、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 25、およびSEQ ID NO: 26として開示している。
(図6B)hTRのシュードノットドメインの2’-O-Me RIPtideマッピングを描写する。図6Bは、hTRコアの二次構造上に示される、hTRのテンプレート/シュードノットドメイン中の標的化可能な領域を示す。太字で示される塩基は、蛍光偏光研究のための突然変異部位を示す。大文字は、脊椎動物において≧80%保存される残基に対応する。データは、3個の独立したサンプルの平均値±s.d.を示し、2つの独立した実験を代表する。図6Bは、SEQ ID NO: 69を開示している。
(図6C)hTRのシュードノットドメインの2’-O-Me RIPtideマッピングを描写する。図6Cは、相対的なRIPtide−hTR結合親和性に従って色付けされた、RIPtide-hTR Kd値を含む棒グラフを示す。
(図7A)hTR−RIPtide相互作用についてのFP結合曲線を示す補償突然変異研究を示す。RIPtideを3’末端でFAM標識した。突然変異全長hTR、突然変異RIPtide、または両方の存在下で、FPアッセイによって、RIPtide結合部位を確認した。WT hTRおよびRIPtideの結合プロファイルが図7Aに示される。選択されたhTR突然変異部位は、各々の同定されたクラスターについて図6に示される。RIPtideを2つの中央の塩基で突然変異させた。全ての突然変異は、それらの相補的塩基への2つの連続塩基の置換を含んだ。全体的には、図は、結合パートナーのうちの一方に突然変異が導入された場合、偏光の増加が観察されなかったことを示している。しかし、hTRへのいくつかの突然変異RIPtideの結合は、ある場合において、hTR上の推定結合部位中への補償突然変異の導入によって、回復された。点、平均値;バー、s.d.。実験を三つ組で行った。
(図7B)hTR−RIPtide相互作用についてのFP結合曲線を示す補償突然変異研究を示す。RIPtideを3’末端でFAM標識した。突然変異全長hTR、突然変異RIPtide、または両方の存在下で、FPアッセイによって、RIPtide結合部位を確認した。突然変異hTRおよび「野生型」RIPtideの結合プロファイルが図7Bに示される。選択されたhTR突然変異部位は、各々の同定されたクラスターについて図6に示される。RIPtideを2つの中央の塩基で突然変異させた。全ての突然変異は、それらの相補的塩基への2つの連続塩基の置換を含んだ。全体的には、図は、結合パートナーのうちの一方に突然変異が導入された場合、偏光の増加が観察されなかったことを示している。しかし、hTRへのいくつかの突然変異RIPtideの結合は、ある場合において、hTR上の推定結合部位中への補償突然変異の導入によって、回復された。図に示される偏光を、WT-hTRに関して再標準化し、RIPtide状況をグラフaにおいて反映させた。点、平均値;バー、s.d.。実験を三つ組で行った。
(図7C)hTR−RIPtide相互作用についてのFP結合曲線を示す補償突然変異研究を示す。RIPtideを3’末端でFAM標識した。突然変異全長hTR、突然変異RIPtide、または両方の存在下で、FPアッセイによって、RIPtide結合部位を確認した。WT-hTRおよび「突然変異」RIPtideの結合プロファイルが図7Cに示される。選択されたhTR突然変異部位は、各々の同定されたクラスターについて図6に示される。RIPtideを2つの中央の塩基で突然変異させた。全ての突然変異は、それらの相補的塩基への2つの連続塩基の置換を含んだ。全体的には、図は、結合パートナーのうちの一方に突然変異が導入された場合、偏光の増加が観察されなかったことを示している。しかし、hTRへのいくつかの突然変異RIPtideの結合は、ある場合において、hTR上の推定結合部位中への補償突然変異の導入によって、回復された。図に示される偏光を、WT-hTRに関して再標準化し、RIPtide状況をグラフaにおいて反映させた。点、平均値;バー、s.d.。実験を三つ組で行った。
(図7D)hTR−RIPtide相互作用についてのFP結合曲線を示す補償突然変異研究を示す。RIPtideを3’末端でFAM標識した。突然変異全長hTR、突然変異RIPtide、または両方の存在下で、FPアッセイによって、RIPtide結合部位を確認した。突然変異hTRおよび突然変異RIPtideの結合プロファイルが図7Dに示される。選択されたhTR突然変異部位は、各々の同定されたクラスターについて図6に示される。RIPtideを2つの中央の塩基で突然変異させた。全ての突然変異は、それらの相補的塩基への2つの連続塩基の置換を含んだ。全体的には、図は、結合パートナーのうちの一方に突然変異が導入された場合、偏光の増加が観察されなかったことを示している。しかし、hTRへのいくつかの突然変異RIPtideの結合は、ある場合において、hTR上の推定結合部位中への補償突然変異の導入によって、回復された。図に示される偏光を、WT-hTRに関して再標準化し、RIPtide状況をグラフaにおいて反映させた。点、平均値;バー、s.d.。実験を三つ組で行った。
(図8A)図8Aは、抗テロメラーゼ活性を有する選択されたRIPtideを示す。PD=ホスホジエステル骨格、PS=ホスホロチオアート骨格、2’-OMe=2’-O-メチル。小文字フォントは、ホスホロチオアート連結の存在を示す。IC50およびKd値はnMで報告される。60μM RIPtideを、PCR後、PCR阻害についてのコントロールへ添加した。配列から誘導されたがミスマッチを含有する2’-O-Me RIPtideを使用し、配列特異性効果を評価した。ミスマッチはイタリック体で示される:
Figure 2012504962
図8Aは、IV-3、IV-4およびIV-5をSEQ ID NO: 20として開示している。
(図8B)RIPtide IV-3によるテロメラーゼの用量応答阻害を示す。
(図8C)HeLa細胞抽出物中においてのRIPtide IV-3によるテロメラーゼ活性の阻害を示すTRAPゲル(単回実験)を示す。レーン1:60μM、レーン2:6μM、レーン3:600 nM、レーン4:60 nM、レーン5:6 nM、レーン7:600 pM、レーン8:60 pM、レーン9:6 pM、レーン10:0.6 pM。
(図8D)DU145細胞中における選択されたRIPtide IV-3およびIV-5によるテロメラーゼ阻害を含む棒グラフを描写する。細胞を、三つ組で、24時間、165 nMのRIPtideで処理した。Lipofectamine(商標)2000をトランスフェクション剤として使用した。処理後、細胞を溶解し、TRAPアッセイへ供した。テロメラーゼ活性を、ネガティブコントロールとして使用した偽トランスフェクション(RIPtide無し)に対して標準化した。テンプレート領域に相補的な2’-O-メチルオリゴヌクレオチド(13マー)を、ポジティブコントロール(TC)として使用した。
Figure 2012504962
n.d.=測定されず。エラーバーは三つ組のs.d.である。実験を少なくとも2回行い、同様の結果が得られた。
(図9A)ヒトテロメラーゼの様々な構造成分を描写する。図9Aは、ヒトテロメラーゼのCR4-CR5およびシュードノット/テンプレートドメインを示す。図9Aは、SEQ ID NO: 70として「CAAUCCCAAUC」を開示している。
(図9B)ヒトテロメラーゼの様々な構造成分を描写する。図9Bは、J5/6ループを含む、CR4-CR5ドメインを示す。
(図9C)ヒトテロメラーゼの様々な構造成分を描写する。図9Cは、CR4-CR5ドメインに結合するための可能性のある標的部分(白色)を示している。
(図9D)ヒトテロメラーゼの様々な構造成分を描写する。図9Dは、CR4-CR5ドメインのJ5/6ループ上のSEQ ID NO: 1結合標的部位の位置を描写する。図9Dは、SEQ ID NO: 1として「GCCUCCAG」を開示している。
発明の詳細な説明
テロメラーゼの不適切な発現は、多くの腫瘍型に関連する。ヒトテロメラーゼのRNA成分(hTR)は、テロメラーゼホロ酵素の活性に必要である。ヒトテロメラーゼのRNA成分へ結合し、酵素活性または調節におけるhTRの役割を妨げる薬剤は、テロメラーゼ活性の阻害剤を提供し得る。
hTRへ結合しテロメラーゼ活性を阻害する核酸薬剤およびそのアナログが、本明細書に記載される。特に、CR4-CR5ドメインおよびシュードノット/テンプレートドメインと本明細書において呼ばれるhTRの2つの異なるドメインのうちの1つに結合する、核酸、好ましくはリボ核酸およびそのアナログが記載される。これらのインヒビター核酸分子についての特定の配列が本明細書に提供され、これらの分子の様々な核酸アナログが存在し、アナログは、hTRに結合しテロメラーゼ活性を阻害する能力を保持するが、天然の核酸分子と比較して1つまたは複数の方法で改変されている。
その必要がある被験体においてテロメラーゼ活性を阻害するための方法もまた、本明細書に記載される。本明細書に記載のテロメラーゼ阻害剤を投与することによって癌を治療するための方法もまた、本明細書に記載される。hTRへ結合し、その必要がある被験体においてテロメラーゼ活性を阻害する、医薬の製造のための、核酸薬剤およびその核酸アナログの使用もまた、本明細書に記載される。
下記の説明は、本明細書に記載の方法および組成物のこれらの局面に関しての案内を提供する。
テロメラーゼRNA構造および機能との関係
テロメラーゼは、2つの必須成分、逆転写酵素タンパク質サブユニット(hTERT)およびRNA成分(hTR)(SEQ ID NO: 71)(J. Feng, Science 269, 1236-1241 (1995);T.M. Nakamura, Science 277, 911-912 (1997))、ならびにいくつかの関連タンパク質から構成される特殊なリボ核タンパク質である。それは、テンプレートとしてRNA成分内の短配列を使用して、染色体末端でテロメア反復配列(5’-TTAGGG-3’)の合成を指示する。テロメラーゼは、ヒト癌についてほぼ普遍的なマーカーであると考えられており、テロメア長に対するその効果は、複製老化を回避することにおいて重要な役割を果たす。本明細書において定義される場合、「ヒトテロメラーゼ」は、大抵の真核生物において各染色体の3′末端でGリッチDNAの合成の間にそのRNAサブユニットの一部を逆転写し、従って、正常なDNA複製機構が染色体末端を完全に複製することができないことを補償する、リボ核タンパク質複合体を指す。ヒトテロメラーゼホロ酵素は、2つの必須成分、逆転写酵素タンパク質サブユニット(hTERT)、および本明細書において「hTR」と呼ばれる「ヒトテロメラーゼのRNA成分」を最小限含む。多様な種に由来するテロメラーゼのRNA成分は、それらのサイズが大きく異なり、少ししか配列相同性を共有しないが、共通の二次構造を共有するようであり、重要な共通の特徴には、テンプレート、5′テンプレート境界エレメント、「シュードノット/テンプレート領域」と本明細書において呼ばれるテンプレートおよび推定シュードノットを含む大きなループ、ならびにループクロージングヘリックスが含まれる。ヒトテロメラーゼ活性は、インビトロでhTERTへhTR(SEQ ID NO: 71)のシュードノット/テンプレート(nt 33〜192)およびCR4/CR5(nt 243〜326)ドメインの両方を添加することによって再構成され得、従って、hTRドメインのみが触媒活性のために必要とされる(V.M. Tesmer Mol Cell Biol. 19(9):6207-160 (1999))。
CR4-CR5ドメイン:hTR(SEQ ID NO: 71)のCR4-CR5ドメイン(nt 243〜326)は、本物の(bona fide)機能および構造ドメインである。それはトランスで提供され得、RNAの残りからの別の分子に対して提供されると、酵素を活性化する(V.M. Tesmer Mol Cell Biol. 19(9):6207-160 (1999);J.R. Mitchell, Mol Cell. 6(2):361-71 (2000))。活性テロメラーゼは、hTERTとテンプレート/シュードノットドメインおよびCR4-CR5ドメインを含むhTRの2つの不活性ドメインとで機能的にアセンブリされ得る(V.M. Tesmer, Mol Cell Biol. 19(9):6207-160 (1999))。「CR4-CR5ドメイン」は、本明細書において定義される場合、インビトロおよびインビボでのテロメラーゼ酵素活性に必要とされるhTRの2つの機能的ドメインのうちの一方であり、hTR(SEQ ID NO: 71)のnt 243〜326から構成される。切断研究によって、CR4-CR5ドメイン内の機能的に必須な領域は、スリーウェイジャンクションおよびL6.1ループ、ならびにJ6内部ループを含むそこまでの領域を含むことが立証された。内部ループJ6の除去は活性を消失させるが、さらに上の末端ステムループのさらなる除去は、hTERT結合または酵素活性に影響を与えず、このことは、CR4-CR5の機能領域の境界を立証している(J.R. Mitchell, Mol Cell. 6(2):361-71 (2000))。
P6a/J6/P6b領域の必須の構造特徴は、以下のように要約され得る。ループ領域は、安定な二次構造を形成し、2つの対の領域P6aおよびP6bは、標準的なA型ステムを形成し、但し、P6aは、突出したシトシンによって中断されている。局所歪みは、全領域の全体的なコンフォメーションに影響を与える。2つの対の領域のらせん軸は同軸ではなく、突出部は、RNAに普通でないプロファイルを与える強力なオーバーツイストを導入する。
J6ループ:J6内部ループは、全ての哺乳動物テロメラーゼに共通している(J.L. Chen, Cell 100(5):503-14 (2000))。本明細書において定義される、「J6」ループは、鳥類には存在しないモチーフであるが、それは魚類および全ての爬虫類の半分に存在する。「J6」ループは、hTR配列(SEQ ID NO: 71)のヌクレオチド246〜256および300〜323によって形成される。SEQ ID NO: 1が標的化する配列は、Jループ内において見られる(SEQ ID NO: 71のヌクレオチド248〜255)。J6内部ループが存在する生物において、両方の位置にG置換を有するチンチラおよびモルモットを除いて、最初のCおよび最後のUが保存されている。これらの2つのヌクレオチドの保存は、構造アンサンブルにおいて見られる普通でないC/U対を支持する。プリンが、ループの3'鎖の最初の位置に常に存在し、3'鎖の中央位置は様々であるが、それは決してGではない。ループを終結し二重らせんセグメントP6bを開始するGC対は、完全に保存されている。さらに、CまたはUのいずれかが267位に存在し、これは、推定トリプルを完成させ、しかし決してプリンではない。J6突出部中の小さな空洞は、薬物標的として有望である。J6突出部領域は、CR4-CR5ドメインRNAがhTERTと相互作用するために必須であるために、この空洞中へドッキングされる小分子は、この相互作用を妨害しテロメラーゼ活性を消失させることができた(T.C. Leeper, RNA, 11:394-403 (2005))。J6内部ループ内での置換は、インビトロでテロメラーゼ活性に対して様々なしかし実質的な影響を有する(J.R. Mitchell, Mol Cell. 6(2):361-71 (2000))。このループの欠失は、hTERTと相互作用しテロメラーゼ機能を活性化するCR4-CR5ドメインの能力を完全に消失させる。3'鎖において、ACUからUUAへの置換は、活性を部分的にしか低下させず;残基C266およびC267はAAで置換され、活性を依然として保持し得る。
個々のヌクレオチドは、ドメインの機能を全体的に消失させることなく置換され得るために、この領域の重要な機能的特徴は、内部ループによって導入される構造中の歪みであることが示唆される。この著しい局所骨格歪みは、この部位での逆転写酵素休止の存在と一致している(M. Antal, Nucleic Acids Res. 30(4):912-20 (2002))。内部ループによって導入されるオーバーツイストは、CR4-CR5ドメインがそれ自体の上へまたはhTERT活性部位表面に対して折り畳むことを可能にし、酵素活性の活性化に必要とされる全体的構造が生じると仮定される。この方向変化が、J6内部ループの主要な役割であり得る。J6内部ループの主な役割は、hTRのこの領域とhTERTタンパク質との相互作用の確立に関して構造的であることも提案された。
シュードノット/テンプレートドメインは、インビトロおよびインビボでのテロメラーゼ酵素活性に必要とされるhTRの2つの機能的ドメインのうちの一方であり、他方のメインは、上述したように、CR4-CR5ドメインである。「シュードノット/テンプレートドメイン」は、本明細書において定義される場合、hTRの機能および構造ドメインである(SEQ ID NO: 71のnt 33〜192)。脊椎動物TRの高度に保存されたシュードノット/テンプレートドメインは、テロメラーゼ機能におけるその予想される役割のために、およびヒトTRのこの領域の突然変異がいくつかの疾患と関連するために、広範囲にわたって研究されてきた(J.L. Chen, Proc Natl Acad Sci U S A. 101(41):14683-4 (2004);C.A. Theimer, Curr Opin Struct Biol.,16(3):307-18 (2006))。
Feigonのグループによって報告されたヒトシュードノットの構造は、ヘリックスp2bおよびp3、ならびにnt 93〜121およびnt 166〜174を含むループj2b/3およびj2a/3を含み、U177は安定性の理由のために欠失している。これらは、保存H型シュードノットの形成に必要とされる残基の全てを示している(C.A. Theimer, Mol Cell. 17(5):671-82 (2005))。シュードノットは、ヘリックスp3の主溝に存在するUリッチなj2b/3ループ(U99〜U106)およびヘリックスp2bの副溝に位置するAリッチなj2a/3ループ(C166〜A173)を有する、秩序だった構造を形成する。j2b/3ループのヌクレオチドU99〜U101は、3つのU・A・U塩基トリプレットを形成し、最初の3つの塩基対はヘリックスp3にあり、一方、j2a/3ループのA171およびA173は2つの非標準塩基トリプレットを形成する。これらの三次相互作用の各々は、シュードノットの安定性についての突然変異および熱力学研究によって確認された。重要なことには、テロメラーゼ活性は、これらのシュードノット突然変異体の相対的安定性と相関した(C.A. Theimer, Mol Cell. 17(5):671-82 (2005))。p2bヘアピンの構造は、3つのU・U塩基対および構造化ペンタループによってキャップされた水介在U・C塩基対を含む、ポリピリミジン塩基対の独特なシリーズを含む(C.A. Theimer, Proc Natl Acad Sci U S A.100(2):449-54 (2003))。興味深いことには、先天性角化不全症に関連する突然変異GC(107〜8)AGは、p2bヘアピンを安定させシュードノットコンフォメーションを不安定にすることがわかった。構造的には、安定化の増加の根拠は、安定させるYNMG様テトラループ構造のためである(C.A. Theimer, RNA. 9(12):1446-55 (2003))。
本明細書に記載の方法および組成物に有用な核酸およびアナログ
本発明は、ヒトテロメラーゼの阻害における使用のためのhTR(SEQ ID NO: 71)へ結合する核酸およびそのアナログ、ならびにこのような阻害剤の使用およびスクリーニング方法を、一部分において、提供する。
本明細書において定義される場合、用語「核酸」は、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、またはそれ以上が、一緒に共有結合されたヌクレオチドのポリマーを指す。好ましくは、ポリマーは、少なくとも4個または少なくとも6個のヌクレオチドまたはそのアナログを含む。当業者によって認識されるように、一本鎖の描写はまた、相補鎖の配列を確立する。従って、核酸はまた、描写される一本鎖の相補鎖を提供する。同様に当業者によって認識されるように、核酸の多くの変異体が、提供される核酸と同一の目的のために使用され得る。従って、核酸はまた、テロメラーゼRNA成分(SEQ ID NO: 71)へ結合することによってテロメラーゼを阻害する、実質的に同一の核酸およびその相補体を包含する。同様に当業者によって認識されるように、一本鎖は、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を含む、好適なハイブリダイゼーション条件下で、標的配列へハイブリダイズし得るプローブを提供する。従って、核酸はまた、好適なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
核酸は、一本鎖または二本鎖であり得、または二本鎖配列および一本鎖配列の両方の部分を含み得る。核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)、ゲノムDNAおよびcDNAの両方、リボ核酸(RNA)、またはハイブリッドであり得、ここで、核酸は、デオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびに、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニン、プソイドリンジン(pseudorindine)、ジヒドロウリジン、ゲオシン(gueosine)、ワイオシン、チオウリジン、ジアミノプリン、イソグアノシン、およびジアミノピリミジンを含むがこれらに限定されない塩基の組み合わせを含有し得る。核酸は、化学合成法によってまたは組換え法によって得ることができる。
核酸は、一般的にホスホジエステル結合を含むが、本明細書において定義される場合、少なくとも1つの異なる連結、例えば、2’-O-メチルオールホスホロチオアート骨格、グリコール核酸、LNA(Locked Nucleic Acid)、2’-O-アルキル置換、2’-O-メチル置換、ホスホルアミダート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、またはO-メチルホスホロアミダイト連結、ホスホロジアミダートモルホリノオリゴ骨格、ならびにペプチド核酸骨格および連結を有し得る「核酸アナログ」が、本発明の目的のために含まれ得る。「核酸アナログ」を作製するための核酸の修飾は、様々な理由のために行なわれ得る。ある態様において、核酸アナログは、生理学的環境中におけるこのような分子の安定性および半減期を増加させるために、または、他の態様においては、バイオチップ上のプローブとして機能するために、使用される。他の核酸アナログとしては、米国特許第5,235,033号および第5,034,506号に記載されるものを含む、正電荷骨格;非イオン性骨格、および非リボース骨格を有するものが挙げられ、これらは、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書において定義される場合、「固定化核酸(locked nucleic acid)」は、ヌクレオチドあるいはこのようなヌクレオチドを含む核酸またはそのアナログを指し、ここで、リボース部分は、2'炭素および4'炭素を接続する余分の架橋で修飾されている。架橋は、リボースを3'-エンド構造コンフォメーションで「固定化」し、これは、A型のDNAまたはRNAにおいてしばしば見られる。LNAヌクレオチドは、望まれる場合はいつでも、本発明の核酸においてDNAまたはRNA塩基と混合され得る。固定化されたリボースコンフォメーションは、塩基スタッキングおよび骨格プレ組織化を増強し、従って、熱的安定性(融解温度)を顕著に増加させる。本明細書において使用される場合、「グリコール核酸」は、骨格が、ホスホジエステル結合によって連結された繰り返しグリセロール単位から構成されている、核酸である。GNA中のグリセロール分子は、ちょうど3つの炭素原子を有し、依然としてWatson-Crick塩基対形成を示す。本明細書において定義される場合、「ペプチド核酸」(PNA)は、骨格が、ペプチド結合によって連結された繰り返しN-(2-アミノエチル)-グリシン単位から構成されている、核酸である。様々なプリンおよびピリミジン塩基は、メチレンカルボニル結合によって骨格へ連結されている。PNAは、ペプチドと同様に、最初(左)の位置にN末端および右側にC末端で、描写される。本明細書において使用される場合、「トレオース核酸」(TNA)は、骨格が、ホスホジエステル結合によって連結された繰り返しトレオース単位から構成されている、核酸である。
1つまたは複数の非天然または修飾ヌクレオチドを含有する核酸分子もまた、核酸アナログの定義内に含められる。修飾ヌクレオチドアナログは、例えば、核酸分子の5'末端および/または3'末端に配置され得る。ヌクレオチドアナログの代表例は、糖または骨格修飾されたリボヌクレオチドより選択され得る。しかし、核酸塩基修飾リボヌクレオチド、即ち、天然の核酸塩基の代わりに非天然の核酸塩基を含有するリボヌクレオチドもまた、本発明の目的について好適であり、核酸アナログの定義内に含まれることが注意されるべきである。このような核酸塩基修飾リボヌクレオチドとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:5位で修飾されたウリジンまたはシチジン、例えば、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ブロモウリジン;8位で修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例えば、8-ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7-デアザ-アデノシン;O-およびN-アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6-メチルアデノシン。2' OH-基への修飾物、例えば、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはCNより選択される基によって置き換えられ得るものも含まれ、ここで、RはC-C6アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ハロはF、Cl、BrまたはIである。天然の核酸およびアナログの混合物が作製され得;あるいは、異なる核酸アナログの混合物、ならびに天然の核酸およびアナログの混合物が作製され得る。
用語「誘導体」は、本明細書において使用される場合、例えばしかしこれらに限定されない、メチル化、アセチル化、または他の分子の付加などの技術によって化学的に修飾されている核酸を指す。本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチド、例えば、核酸または核酸アナログに関して、「変異体」は、それぞれ参照ポリヌクレオチドと比較して(例えば、野生型ポリヌクレオチドと比較して)、一次、二次、または三次構造が異なり得るポリヌクレオチドを指す。変異体はまた、SEQ ID NO: 1の相補的アンチセンス核酸鎖と比較して、8個の連続ヌクレオチド中において少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、または少なくとも7個の相違を含む、SEQ ID NO: 1のアンチセンス核酸鎖であり得る。変異体はまた、1つまたは複数のウラシルヌクレオチド(「U」)がチミジンヌクレオチド(「T」)で置き換えられているか、または、別の非限定的な例として、1つまたは複数のチミジンヌクレオチド(「T」)ヌクレオチドがウラシルヌクレオチド(「U」)で置き換えられている、任意の核酸を含む。本明細書において参照される場合、核酸または核酸アナログ配列を参照して用語「相違」または「相違する」は、センス鎖と比較しての、核酸置換、欠失、挿入および修飾、ならびに非核酸分子、または本明細書に開示される合成ヌクレオチド、または核酸アナログの挿入を指す。
本発明の核酸または核酸アナログは、当技術分野において公知の様々な方法によって、例えば、トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、微粒子銃、受動的取り込み、脂質:核酸複合体、ウイルスベクター形質導入、注射、ネイキッドDNAなどによって、細胞中へ導入され得る。ある態様において、本発明の核酸および核酸アナログは、ベクターまたはプラスミドを使用して導入され得る。
本明細書において使用される場合、用語「ベクター」は、「プラスミド」と交換可能に使用され、連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。それらが機能的に連結されている遺伝子および/または核酸配列の発現を指示することができるベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしば、環状二本鎖DNAループを指す「プラスミド」の形態であり、これは、それらのベクター形態では、染色体へ結合されておらず、典型的に、コードされるDNAの安定または一過性発現のためのエンティティーを含む。他の発現ベクター、例えばしかしこれらに限定されない、プラスミド、エピソーム、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージまたはウイルスベクターが、本明細書に開示の方法において使用され得、このようなベクターは、宿主のゲノム中へ組み込まれ得るか、または特定の細胞中において自律複製し得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。同等の機能に役立つ当業者に公知の発現ベクターの他の形態、例えば、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムへ組み込まれるベクターもまた使用され得る。好ましいベクターは、自律複製および/またはそれらが連結される核酸の発現を行なうことができるものである。
本明細書において使用される場合、句「へ結合する」は、本明細書に記載されるような、蛍光偏光、または、例えば、BIAcore、表面プラズモン共鳴システムおよびBIAcore動態評価ソフトウェア(例えば、バージョン2.1)を使用する、表面プラズモン共鳴分析などの、当技術分野において公知の方法を使用して測定した場合に1μM以下の解離定数(Kd)でヒトテロメラーゼのRNA成分(SEQ ID NO: 71)へ核酸またはそのアナログが結合することを指す。ある態様において、特異的結合相互作用についての親和性またはKd(解離定数)は、900 nM以下、800 nM以下、600 nM以下、500 nM以下、400 nM以下、300 nM以下、または200 nM以下である。より好ましくは、親和性またはKdは、100 nM以下、90 nM以下、80 nM以下、70 nM以下、60 nM以下、50 nM以下、45 nM以下、40 nM以下、35 nM以下、30 nM以下、25 nM以下、20 nM以下、15 nM以下、12.5 nM以下、10 nM以下、9 nM以下、8 nM以下、7 nM以下、6 nM以下、5 nM以下、4 nM以下、3 nM以下、2 nM以下、または1 nM以下である。本明細書において使用される場合、用語「高親和性結合」は、100 nM未満またはこれに等しいKdでの結合を指す。
本発明の方法および組成物における使用のための核酸分子またはそのアナログのスクリーニング方法もまた本明細書に提供され、実施例において、非限定的な様式で、さらに説明される。RNA相互作用ポリヌクレオチド(RNA-Interacting polynucleotide)(本明細書以下において、「RIPtide」と呼ぶ)は、標準的な未修飾DNAオリゴヌクレオチドと比較して改善された特性を有する、最近記載された核酸ベースの薬物である。RIPtidesは、それらの機能を調節する目的で、高い結合親和性および特異性で、十分に構造化されたRNA標的に結合する能力を有する。本発明において構造化RNAを標的化するためにとられたアプローチは、その固有の折り畳みパターンによって決定される、プレ組織化RNA部位中へドッキングし得るショートオリゴヌクレオチド配列の、マイクロアレイを用いての発見に、一部分において、関連する。
RIPtide発見プロセスについて、2’-O-メチル-リボヌクレオチドマイクロアレイが使用され、これは、フォトレジストに基づく合成によってAffymetrix Inc.からカスタムフォーマットで製造された(A. Pawloski, J. Vac. Sci. Technol. B 25, 2537-2546 (2007))。図1に示されるように、2’-O-Me RIPtideマイクロアレイを作製し、4マーから8マーまでの全ての可能な配列、合計87,296個のトータルプローブを組み入れた。本研究に記載のマイクロアレイは、現在まで報告された高密度2’-O-Meオリゴヌクレオチドマイクロアレイの最初の使用であり、これらを、ヒトテロメラーゼRNA成分(hTR)(SEQ ID NO: 71)の種々のRNA構築物をスクリーニングするために使用した。
テロメラーゼ阻害剤および使用方法
ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5およびシュードノット/テンプレートドメインへ結合する阻害剤を含む、ヒトテロメラーゼのRNA成分へ結合する阻害剤を提供することによって、ヒトテロメラーゼを阻害するための組成物および方法が、本明細書に記載される。
従って、一局面において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤が、提供される。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する阻害剤は、核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。本明細書に記載される阻害剤の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合するテロメラーゼ阻害剤がある。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。
Figure 2012504962
別の態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2の配列を含む。
本発明の他の局面は、テロメラーゼ活性を阻害する方法を提供する。本明細書に記載されるテロメラーゼ活性を阻害するための方法の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログの使用を含む方法がある。
一方法において、テロメラーゼを、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはその核酸アナログと接触させる。ある特定の態様において、核酸はリボ核酸である。他の態様において、核酸は核酸アナログである。ある特定のさらなる態様において、核酸はリボ核酸アナログである。テロメラーゼを接触させるための本明細書に記載の阻害剤の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合するテロメラーゼ阻害剤がある。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。
テロメラーゼと、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとの接触に関連して、「テロメラーゼ活性を阻害する」または「テロメラーゼ活性の阻害」は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはその核酸アナログが存在しない、相当するコントロールのテロメラーゼよりも、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはその核酸アナログで処理されたテロメラーゼにおいて、テロメラーゼ活性が少なくとも5%より低いことを示す。テロメラーゼ活性は、当業者に公知の任意のアッセイまたは方法を使用して測定され得、これとしては、例えば、本明細書に記載のTRAP活性アッセイが挙げられるが、これに限定されない。ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログで処理されたテロメラーゼ中のテロメラーゼ活性は、コントロールの処理テロメラーゼと比べて、少なくとも10%より低く、少なくとも15%より低く、少なくとも20%より低く、少なくとも25%より低く、少なくとも30%より低く、少なくとも35%より低く、少なくとも40%より低く、少なくとも45%より低く、少なくとも50%より低く、少なくとも55%より低く、少なくとも60%より低く、少なくとも65%より低く、少なくとも70%より低く、少なくとも75%より低く、少なくとも80%より低く、少なくとも85%より低く、少なくとも90%より低く、少なくとも95%より低く、少なくとも98%、少なくとも99%であり、100%、即ち、ゼロ検出可能活性を含むことが好ましい。
別の方法において、細胞を、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログと接触させる。ある特定の態様において、核酸はリボ核酸である。他の態様において、核酸は、核酸アナログである。ある特定のさらなる態様において、核酸はリボ核酸アナログである。細胞を接触させてテロメラーゼ活性を阻害するための本明細書に記載の阻害剤の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合するテロメラーゼ阻害剤が含まれる。
一態様において、細胞と接触するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含む。別の態様において、細胞と接触しヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2の配列を含む。
細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとの接触に関連して、「テロメラーゼ活性を阻害する」または「テロメラーゼ活性の阻害」は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログが存在しない、相当するコントロールの細胞よりも、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログで処理された細胞において、テロメラーゼ活性が少なくとも5%より低いことを示す。ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログで処理された細胞中のテロメラーゼ活性は、コントロールの処理細胞と比べて、少なくとも10%より低く、少なくとも15%より低く、少なくとも20%より低く、少なくとも25%より低く、少なくとも30%より低く、少なくとも35%より低く、少なくとも40%より低く、少なくとも45%より低く、少なくとも50%より低く、少なくとも55%より低く、少なくとも60%より低く、少なくとも65%より低く、少なくとも70%より低く、少なくとも75%より低く、少なくとも80%より低く、少なくとも85%より低く、少なくとも90%より低く、少なくとも95%より低く、少なくとも98%、少なくとも99%であり、100%、即ち、ゼロ検出可能活性を含むことが好ましい。
句「コントロールの処理テロメラーゼ」または「コントロールの処理細胞」は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログの追加を除いて、同一の培地、ウイルス誘導、核酸配列、温度、コンフルエンシー、フラスコサイズ、pHなどで処理された、テロメラーゼまたは細胞を記載するために本明細書において使用される。
ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する阻害剤を提供することによって、ヒトテロメラーゼを阻害するための方法および組成物も本明細書に記載される。
従って、一局面において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤が提供され、ここで、リボ核酸分子またはそのアナログは、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、テロメラーゼ阻害剤結合配列は、SEQ ID NO: 20の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。
Figure 2012504962
本発明の他の局面は、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸またはそのアナログの使用を含むテロメラーゼ活性を阻害する方法を提供する。1つのこのような方法において、細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログとを接触させ、ここで、リボ核酸分子またはそのアナログは、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、リボ核酸分子またはそのリボ核酸アナログは、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、テロメラーゼ結合配列は、SEQ ID NO: 20の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。
用語「細胞」は、本明細書において使用される場合、植物、酵母、虫、昆虫および哺乳動物を含む、原核生物または真核生物の、任意の細胞を指す。哺乳動物細胞としては、非限定的に、霊長動物、ヒト、ならびにマウス、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、トランスジェニック動物家畜、例えば、ウマ、ウシ、マウス、ヒツジ、イヌ、ネコなどを非限定的に含む、関心対象の任意の動物由来の細胞が挙げられる。細胞は、非限定的に、例えば造血、神経、間葉、皮膚、粘膜、間質、筋肉 脾臓、細網内皮、上皮、内皮、肝臓、腎臓、胃腸、肺、T細胞などの多種多様の組織型であり得る。幹細胞、胚性幹(ES)細胞、ES由来細胞および幹細胞前駆体も含まれ、これらとしては、非限定的に、造血、間質、筋肉、心臓血管、肝臓、肺、腎臓、胃腸幹細胞などが挙げられる。酵母細胞もまた、本発明における細胞として使用され得る。細胞はまた、特定の被験体細胞を指すだけでなく、ある特定の改変または環境の影響、例えば、分化に起因して、このような細胞の子孫または潜在的な子孫も指し、その結果、子孫は、実際には親細胞と同一でない場合があるが、依然として本発明の範囲内に含まれる。本発明において使用される細胞はまた、例えばインビトロまたはエクスビボで培養された細胞であり得る。例えば、培養培地中においてインビトロで培養された細胞。あるいは、エクスビボ培養された細胞について、細胞は、被験体から得ることができ、ここで、被験体は、健康であるおよび/または疾患に罹患している。細胞は、非限定的な例として、生検または当業者公知の他の外科的手段によって、得ることができる。本発明において使用される細胞は、被験体中に、例えばインビボで、存在し得る。本発明においてインビボで使用される細胞について、細胞は、好ましくは、被験体中に見られ、疾患、障害、または悪性疾患病理の特徴を示す。
本明細書において使用される場合、用語「サンプル」または「生物学的サンプル」は、細胞、生物、溶解細胞、細胞抽出物、核抽出物、または細胞もしくは生物の成分、細胞外液、および細胞が培養される培地を含むが、これらに限定されない、任意のサンプルを意味する。
テロメラーゼ阻害剤の治療適用
ある特定の局面において、本発明は、種々の障害の治療のための方法および組成物を提供する。方法は、治療有効量の本明細書に記載の1つまたは複数のテロメラーゼ阻害剤をその必要がある被験体へ投与する工程を含む。
その必要がある被験体においてテロメラーゼ活性を阻害するための本明細書に記載の治療法の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログの使用を含む方法がある。
従って、一局面は、その必要がある被験体において増殖性障害を治療する方法であって、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む方法を提供する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。その必要がある増殖性障害を有する被験体を治療するための本明細書に記載の阻害剤の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合するテロメラーゼ阻害剤がある。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、被験体において治療される増殖性障害は、癌である。
別の局面は、その必要がある被験体における増殖性障害を治療するための医薬の製造における、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する有効量の核酸またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤の使用を提供する。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、阻害剤は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。その必要がある増殖性障害を有する被験体を治療するための本明細書に記載の阻害剤の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合するテロメラーゼ阻害剤がある。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、被験体において治療される増殖性障害は、癌である。
ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸またはそのアナログの使用を含む、その必要がある被験体においてテロメラーゼ活性を阻害するための治療法も、本明細書に記載される。
従って、一局面は、有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含み、ここで、該リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、方法を提供する。一態様において、リボ核酸分子またはそのアナログの結合配列は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、テロメラーゼ結合配列は、SEQ ID NO: 20の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、増殖性障害は癌である。
本発明の別の局面は、その必要がある被験体における増殖性障害を治療するための医薬の製造における、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含む有効量のテロメラーゼ阻害剤の使用を提供する。一態様において、リボ核酸分子またはそのアナログは、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、リボ核酸分子またはそのアナログの結合配列は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、テロメラーゼ 結合配列は、SEQ ID NO: 20の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。一態様において、増殖性障害は癌である。
本明細書に開示されるような、核酸またはそのアナログを含む有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与することによる増殖性障害を有する被験体の治療法に関して、用語「治療する」または「治療」または「治療すること」は、治療的処置および予防的または防止的手段の両方を指し、ここで、臨床的に適切な様式での投与は、障害の発達を予防するかまたは遅らせ、例えば、腫瘍の発達、または癌の転移を遅らせ、または、細胞量の不適切な増加と関連する状態、疾患もしくは障害、例えば癌の少なくとも1つの影響もしくは症状を減らす。
1つまたは複数の症状もしくは臨床マーカーが、その用語が本明細書において定義されるように減少する場合、治療は一般的に「有効」である。あるいは、疾患の進行が減少するかまたは停止される場合、治療は「有効」である。即ち、「治療」は、症状またはマーカーの改善だけでなく、治療されない場合に予想される症状の進行または悪化の停止または少なくとも減速をも含む。有利なまたは所望の臨床結果としては、検出可能または検出不可能かにかかわらず、1つまたは複数の症状の緩和、障害の程度の減少、障害の安定化された(即ち、悪化していない)状態、障害の進行の遅延または減速、障害の状態の改善または軽減、および寛解(部分的または完全にのいずれか)が挙げられるが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けなかった場合に予想される生存と比較して生存を延長することを意味し得る。治療の必要がある被験体としては、癌と既に診断された被験体、ならびに転移に起因して続発性腫瘍を発症する可能性が高い被験体が挙げられる。
用語「有効な」および「有効性」は、本明細書において使用される場合、薬理学的有効性および生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性は、被験体において所望の生物学的効果を生じさせる治療の能力を指す。従って、有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与することに関連して、「有効量」のテロメラーゼ阻害剤は、臨床的に適切な様式での投与が、少なくとも統計的に有意なフラクションの患者にとって有利な効果、例えば、症状の改善、治癒、疾患負荷の減少、腫瘍量または細胞数の減少、寿命の延長、クオリティーオブライフの改善、または必要がある被験体において治療される特定のタイプの癌の治療に精通している医師によって肯定的と一般的に認識される他の効果をもたらすことを示す。生理学的安全性は、毒性のレベル、または治療を施すことから生じる細胞、器官および/または生物レベルでの他の有害な生理学的効果(しばしば副作用と呼ばれる)を指す。「あまり有効でない」は、治療が、治療的に有意なより低いレベルの薬理学的有効性および/または治療的により大きなレベルの有害な生理学的効果をもたらすことを意味する。
用語「治療有効量」はまた、安全であり、かつ癌を有する被験体における腫瘍の発生およびさらなる増殖または転移の広がりを予防するかまたは遅らせるに十分である量を指す。従って、前記量は、癌を治癒するかまたは寛解させ、癌進行の過程を遅らせ、腫瘍増殖を遅らせるかまたは抑制し、腫瘍転移を遅らせるかまたは抑制し、転移部での続発性腫瘍の確立を遅らせるかまたは抑制し、または新たな腫瘍転移の形成を抑制し得る。癌の治療のための有効量は、治療される腫瘍、腫瘍の重篤度、腫瘍の薬剤耐性レベル、治療される種、被験体の年齢および全身状態、投与様式などに依存する。従って、単一の正確な「有効量」を明記することは可能でない。しかし、いずれの場合についても、適切な「有効量」は、単に型通りの実験を使用して当業者によって決定され得る。
テロメラーゼ活性を阻害するための、本明細書に記載の薬剤、因子、もしくは阻害剤、またはそれらの機能的誘導体の治療有効量は、疾患状態、被験体の年齢、性別、および体重、ならびに個体または被験体において所望の応答を誘発する治療化合物の能力などの因子に応じて変化し得る。治療有効量はまた、治療的に有利な効果が治療剤の有毒または有害な効果を上回るものである。各個々の場合における有効量は、当技術分野における確立された方法に従って、過度の実験をすることなく、当業者によって経験的に決定され得る。例えば、効能は、癌および腫瘍の動物モデル、即ち、癌を有する齧歯動物の処置において評価され得、癌の少なくとも1つの症状の減少、例えば、腫瘍のサイズの縮小または腫瘍の増殖速度の減速もしくは停止をもたらす組成物または製剤の治療または投与は、有効な治療を示す。テロメラーゼ活性の阻害剤が癌の治療のために使用される態様において、効能は、癌の実験動物モデル、例えば、野生型マウスもしくはラット、または腫瘍細胞の移植を使用して判断され得る。
実験動物モデルを使用する場合、治療の効能は、癌の症状の減少、例えば、腫瘍のサイズの縮小または腫瘍の増殖速度の減速もしくは停止が、未処置動物と対比して、処置動物においてより早く生じる場合に、証明される。「より早く」によって、例えば腫瘍のサイズの、減少が、少なくとも5%より早く、しかしより好ましくは、例えば、1日より早く、2日より早く、3日より早く、またはそれ以上早く、生じることが意味される。本明細書において使用される場合、用語「治療」は、癌治療を参照して使用される場合、癌の症状および/または生化学マーカーの減少を指すために使用され、例えば、癌の少なくとも1つの症状または生化学マーカーの少なくとも約10%の減少は、有効な治療と考えられる。ある態様において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも100%の減少が存在する場合、即ち、生化学マーカーまたは症状の徴候がもはや存在しない場合、治療が考えられる。癌のこのような生化学マーカーの例としては、CD44、テロメラーゼ、TGF-α、TGF-β、erbB-2、erbB-3、MUC1、MUC2、CK20、PSA、CA125およびFOBTが挙げられる。少なくとも約10%の癌細胞増殖速度の低下もまた、本明細書に開示される方法による有効な治療と考えられる。代替例として、癌の症状の減少、例えば、少なくとも約10%の癌増殖速度の低下または腫瘍サイズの増加の停止、または少なくとも約10%の腫瘍サイズの縮小または少なくとも約10%の腫瘍の広がり(即ち、腫瘍転移)の減少もまた、本明細書に開示される方法による有効な治療と考えられる。ある態様において、治療剤が腫瘍を実際に死滅させることが好ましく、しかしそれは必要ではない。
「癌」は、発癌性細胞に典型的な特徴、例えば、制御されない増殖、不死、転移能、急速な成長および増殖速度、ならびにある特有の形態学的特徴を有する細胞の存在を指す。しばしば、癌細胞は腫瘍の形態であるが、このような細胞は、患者内に単独で存在し得、または非腫瘍形成性癌細胞、例えば、白血病細胞であり得る。ある状況においては、癌細胞は、腫瘍の形態であり;このような細胞は、局所的に存在し得、または独立した細胞、例えば、白血病細胞として、血流中において循環し得る。癌の例としては、乳癌、メラノーマ、副腎癌、胆道癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、気管支癌、芽腫、癌腫、軟骨肉腫、口腔または咽頭癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胃腸癌、膠芽腫、肝臓癌腫、ヘパトーム、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、非小細胞肺癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、末梢神経系癌、前立腺癌、肉腫、唾液腺癌、小腸または虫垂癌、小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮または子宮内膜癌、および外陰部癌が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「被験体」および「個体」は、本明細書において交換可能に使用され、動物、例えば、本明細書に記載されるように、細胞を得ることができるヒトを指す。特定の動物、例えばヒト被験体に特異的である状態または疾患状態の治療について、用語、被験体は、その特定の動物を指す。用語「哺乳動物」は、単数の「哺乳動物」および複数の「哺乳動物」を包含するように意図され、これらとしては、ヒト;霊長動物、例えば、類人猿、サル、オランウータン、およびチンパンジー;イヌ科の動物、例えば、イヌおよびオオカミ;ネコ科の動物、例えば、ネコ、ライオン、およびトラ;ウマ科の動物、例えば、ウマ、ロバ、およびシマウマ;食用動物、例えば、ウシ、ブタ、およびヒツジ;有蹄動物、例えば、シカおよびキリン;齧歯動物、例えば、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモット;ならびにクマが挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい態様において、哺乳動物はヒトである。「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」は、本明細書において交換可能に使用され、これらとしては、哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長動物が挙げられる。用語「被験体」はまた、哺乳動物、爬虫類の動物、両生類の動物および魚類の動物を含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を包含する。しかし、有利には、被験体は、哺乳動物、例えばヒトであり、または他の哺乳動物、例えば、飼い慣らされた哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマなど、または生産用の哺乳動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタなどもまた、用語、被験体に包含される。
その必要がある被験体へ有効量のテロメラーゼ阻害剤を投与することに関連して、投与経路は、静脈内(I.V.)、筋肉内(I.M.)、皮下(S.C.)、皮内(I.D.)、腹腔内(I.P.)、髄腔内(I.T.)、胸膜腔内、子宮内、経直腸、経膣、局所、腫瘍内などであり得る。本発明の組成物および阻害剤は、注射によってまたは長時間の徐々の注入によって非経口投与され得、蠕動手段によって送達され得る。投与は、経粘膜的または経皮的手段によって行われ得る。経粘膜または経皮投与について、浸透されるバリアに好適な浸透剤が、製剤中に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られており、これらとしては、例えば経粘膜投与については、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が挙げられる。さらに、界面活性剤が、浸透を促進するために使用され得る。経粘膜投与は、例えば、鼻腔用スプレーによって、または坐剤を使用して行なわれ得る。経口投与について、本発明の化合物は、通常の経口投与形態、例えば、カプセル剤、錠剤およびトニックへ製剤化される。局所投与について、薬学的組成物(即ち、テロメラーゼ活性の阻害剤)は、当技術分野において一般的に知られているように、軟膏剤、軟膏、ゲル剤、またはクリーム剤へ製剤化される。本発明の治療組成物は、例えば、単位用量の注射によって、静脈内投与され得る。用語「単位用量」は、本発明の治療組成物を参照して使用される場合、被験体についての単位投薬量として好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要とされる希釈剤;即ち、担体、またはビヒクルと共に所望の治療効果を生じさせるように計算された所定量の活性物質を含有する。組成物は、投薬製剤と適合性の様式にて、治療有効量で投与される。投与される量およびタイミングは、治療される被験体、有効成分を利用する被験体のシステムの能力、および所望の治療効果の程度に依存する。
一般的に、核酸分子を送達する任意の方法が、本発明の核酸またはそのアナログテロメラーゼ阻害剤を用いての使用に適合され得る(例えば、Akhtar S. and Julian RL. (1992) Trends Cell. Biol. 2(5):139-144;WO94/02595を参照のこと、これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる)。取り込みのために、標的細胞、例えば、癌細胞または他の所望の標的細胞へテロメラーゼ阻害剤を送達する方法は、テロメラーゼ阻害剤、例えば、ヒトテロメラーゼのCR4/CR5またはシュードノット/テンプレートドメインに特異的な核酸または核酸アナログを含有する組成物を注射すること、または、細胞、例えば、リンパ球と、テロメラーゼ阻害剤、例えば、ヒトテロメラーゼのCR4/CR5またはシュードノット/テンプレートドメインに特異的な核酸または核酸アナログを含む組成物とを直接接触させることを含み得る。
インビボで核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤を首尾よく送達するために考慮される重要な因子としては、例えば、(1)核酸または核酸アナログの生物学的安定性、(2)非特異的効果の防止、および(3)標的組織中における核酸または核酸アナログ分子の蓄積が挙げられる。テロメラーゼ阻害剤の非特異的効果は、例えば、腫瘍、細胞、標的組織への直接注射による、または局所的による、局所投与によって、最小限にすることができる。治療部位へのテロメラーゼ阻害剤分子の局所投与は、全身組織への、例えば、ヒトテロメラーゼのCR4/CR5またはシュードノット/テンプレートドメインに特異的な核酸または核酸アナログの曝露を制限し、より少ない用量の核酸または核酸アナログ分子が投与されることを可能にする(例えば、Tolentino, MJ., et al (2004) Retina 24:132-138;Reich, SJ., et al (2003) Mol. Vis. 9:210-216)。
疾患の治療のために核酸またはアナログテロメラーゼ阻害剤を全身投与することについて、核酸または核酸アナログは、修飾され得るか、あるいは、分解因子への曝露を最小限にし、従って、インビボでの例えばエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼによるその核酸アナログテロメラーゼ阻害剤の急速分解を妨げるように作用する薬物送達システムを使用して送達され得る。核酸もしくはそのアナログテロメラーゼ阻害剤の修飾または薬学的担体はまた、標的組織へのターゲッティングを可能にし得、望ましくないオフターゲット効果を回避し得る。
核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤は、細胞取り込みを増強し分解を防止するためにコレステロールなどの親油基への化学的結合によって修飾され得(Soutschek, J., et al (2004) Nature 432:173-178)、腫瘍増殖を阻害し腫瘍退縮を媒介するためにアプタマーへ結合され得る(McNamara, JO., et al (2006) Nat. Biotechnol. 24:1005-1015)。
他の態様において、核酸またはそのアナログテロメラーゼ阻害剤は、薬物送達システム、例えば、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、またはリポソームもしくはカチオン性送達システムを使用して、送達され得る。正に帯電したカチオン性送達システムは、結合を容易にし(核酸は負に帯電している)、さらに、負に帯電した細胞膜での相互作用を増強し、細胞による効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーが、核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤へ結合され得るか、または、核酸または核酸アナログを包む小胞またはミセルを形成するように誘導され得る(例えば、Kim SH., et al (2008) Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照のこと)。小胞またはミセルの形成は、全身投与される場合、さらに分解を防止する。カチオン性−核酸または核酸アナログ複合体を作製および投与するための方法は、十分に当業者の能力内にある(例えば、Sorensen, DR., et al (2003) J. Mol. Biol 327:761-766;Verma, UN., et al (2003) Clin. Cancer Res. 9:1291-1300;Arnold, AS et al (2007) J. Hypertens. 25:197-205を参照のこと)。
核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤の全身投与に有用な薬物送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen, DR., et al (2003), 上記;Verma, UN., et al (2003), 上記)、オリゴフェクタミン(Oligofectamine)、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann, TS., et al (2006) Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien, PY., et al (2005) Cancer Gene Ther. 12:321-328;Pal, A., et al (2005) Int J. Oncol. 26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME., et al (2008) Pharm. Res. Aug 16 Epub ahead of print;Aigner, A. (2006) J. Biomed. Biotechnol. 71659)、Arg-Gly-Asp (RGD) ペプチド(Liu, S. (2006) Mol. Pharm. 3:472-487)、およびポリアミドアミン(Tomalia, DA., et al (2007) Biochem. Soc. Trans. 35:61-67;Yoo, H., et al (1999) Pharm. Res. 16:1799-1804)が挙げられる。ある態様において、核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤は、全身投与についてシクロデキストリンと複合体を形成する(米国特許第7,427,605号)。
他の態様において、核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤、例えば、ヒトテロメラーゼのCR4/CR5またはシュードノット/テンプレートドメインに特異的な核酸またはアナログは、例えば流体力学的注射またはカテーテル法によって、任意の血管、例えば、静脈、動脈、細静脈または細動脈中へ直接注射され得る。投与は、単回注射によって、または2回以上の注射によって行なわれ得る。核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤は、薬学的に許容される担体中において送達される。1つまたは複数の核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤が、同時に使用され得る。一態様において、特定の細胞が標的化され、核酸または核酸アナログテロメラーゼ阻害剤の非特異的標的化によって引き起こされる潜在的な副作用を制限する。方法は、例えば、効果的に細胞中へ核酸または核酸アナログを送達するために使用される、細胞標的化部分と核酸または核酸アナログ結合部分とを含む複合体または融合分子、例えば、抗体−プロタミン融合タンパク質を使用し得る。プラスミドまたはウイルス媒介送達機構もまた、インビトロおよびインビボで細胞へ核酸または核酸アナログを送達するために使用され得る(Xia, H. et al. (2002) Nat Biotechnol 20(10):1006);Rubinson, D.A., et al. ((2003) Nat. Genet. 33:401-406;Stewart, S.A., et al. ((2003) RNA 9:493-501)。
テロメラーゼ阻害剤を含む薬学的組成物
テロメラーゼ活性を阻害するための核酸またはそのアナログを含む薬学的組成物、およびそれについての投与様式もまた、本明細書に記載される。
従って、一局面において、テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、治療組成物が提供される。
一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸は、リボ核酸である。別の態様において、核酸は核酸アナログである。別の態様において、核酸アナログは、リボ核酸アナログである。本明細書に記載される阻害剤の中には、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する阻害剤がある。一態様において、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合するテロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。好ましい態様において、テロメラーゼ阻害剤は、SEQ ID NO: 1またはSEQ ID NO: 2の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。
従って、別の局面において、本発明は、テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む治療組成物を提供する。一態様において、核酸分子、例えば、リボ核酸分子、またはそのアナログは、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、リボ核酸分子またはそのアナログの結合配列は、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。別の態様において、テロメラーゼ結合配列は、SEQ ID NO: 20の配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる。
当業者に一般的に知られているように、意図される使用に好適な、テロメラーゼ活性の阻害に必要とされる有効成分を含有する任意の製剤または薬物送達システムが使用され得る。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」、「生理学的に許容される」およびそれらの文法的変形は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を指す場合、交換可能に使用され、正しい医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、ヒトおよび動物の組織と接触しての使用に適切である、化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を指す。句「薬学的に許容される担体」は、本明細書において使用される場合、核酸またはそのアナログのインビボ送達についての、本明細書に記載の核酸またはそのアナログと混合される、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料を意味する。
その用語が本明細書において定義されるように「薬学的に許容される」ことに加えて、各担体はまた、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容」されなければならない。薬学的製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される成分と組み合わせて、本発明の化合物を含有する。担体は、固体、半固体または液体希釈剤、クリームまたはカプセルの形態であり得る。これらの薬学的調製物は、本発明のさらなる目的である。通常、活性化合物の量は、調製物の0.1〜95重量%、非経口用の調製物においては好ましくは0.2〜20重量%、経口投与用の調製物においては好ましくは1〜50重量%である。本発明の方法の臨床使用のために、本発明の標的化送達組成物は、非経口投与、例えば、静脈内;経粘膜、例えば、鼻腔内;経腸、例えば、経口;局所、例えば、経皮;経眼、例えば、角膜乱切法による、または他の投与様式のための、薬学的組成物または薬学的製剤へ製剤化される。薬学的製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される成分と組み合わせて、本発明の化合物を含有する。
本明細書において交換可能に使用される用語「組成物」または「薬学的組成物」は、当技術分野において普通に使用され、哺乳動物、好ましくはヒトまたはヒト細胞への投与に好適である、薬学的に許容される担体などの賦形剤を通常含む、組成物または製剤を指す。このような組成物は、経口、経眼非経口、静脈内、動脈内、皮下、鼻腔内、舌下、脊髄内、脳室内などを含むがこれらに限定されない、多数の経路のうちの1つまたは複数による投与について特別に製剤化され得る。さらに、局所用(例えば、口腔粘膜、呼吸粘膜)および/または経口投与用の組成物は、当技術分野において公知であり本明細書に記載されるように、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、含嗽剤、または散剤を形成し得る。組成物はまた、安定剤および防腐剤を含み得る。担体、安定剤およびアジュバントの例については、例えば、University of the Sciences in Philadelphia (2005) Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons , 21st Ed.を参照のこと。
本発明は、下記の実施例によって詳細にさらに説明されるが、本発明の範囲はそれに限定されない。本発明は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、および試薬などに限定されず、従って変化し得ることが、理解される。本明細書に使用される用語は、特定の態様を説明する目的のために過ぎず、本発明の範囲を限定するようには意図されず、これは、特許請求の範囲によってのみ定義される。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかとなる。
実施例
ここ数年の間で、制癌剤創薬の分野は、選択的かつ有効な薬物の探求における非常に重要な要件、および分子標的の選択のために使用される理論的根拠の理解の点で、著しく進歩した(S.L. Mooberry, Drug Discovery Handbook,1343-1368 (2005))。タンパク質の十分に規定された疎水性ポケット中へ収まり得る小分子ベースのリガンドは、古典的薬物選択肢と依然としてみなされており、タンパク質は、「ドラッガブル」ゲノムのうち最も一般的な治療標的である(A.L. Hopkins, Nat. Rev. Drug Discovery 1, 727-730 (2002))。
現在まで開発されたほぼ全ての治療剤はタンパク質を標的にするにもかかわらず、少数のタンパク質しか標的化され得ないことが、現在、広く認識されている(A.L. Hopkins, Nat. Rev. Drug Discovery 1, 727-730 (2002))。大抵のタンパク質は「アンドラッガブル」と考えられる認識は、代替クラスの高分子標的の治療ポテンシャルを開発しようとする努力を刺激し、RNAは、最も集中的な研究の対象であった(Lagoja, I.M. and Herdewijn, P. Expert Opin. Drug Discov. 2, 889-903 (2007);Thomas, J.R. and Hergenrother, P.J. Chem. Rev. 108, 1171-1224 (2008))。
特に、RNAは、多様な細胞プロセスにおけるその多くの役割にもかかわらず(リボザイム、リボスイッチ、miRNA)、遺伝情報の単なるキャリアとして何年間も追いやられてきた。伝統的な(アンチセンス)および最近の(RNAi)アプローチを使用することによって遺伝子発現を制御する可能性を含むがこれに限定されない、治療介入についての内在的な可能性のために、RNA構造および機能の理解における関心が高まった。非常に困難であり達成しがたいが、小分子でRNAを標的化することを目的とする努力は、大いに有望であり、RNAの本質的にフレキシブルかつ複雑な構造は、その機能を破壊することを目的とする新しい戦略の合理的設計の基礎として原理上は使用され得る(J.R. Thomas, Chem. Rev. 108, 1171-1224 (2008))。これは、メッセンジャーRNAを標的化することにおいてだけでなく、細胞状況において重要な役割を果たす他の十分に構造化された非コーディングRNAを標的化することにおいても、特に適切であり得る。
RNAを強力かつ特異的に標的化する小分子の例は公知であるが(Thomas, J.R. and Hergenrother, P.J. Chem. Rev. 108, 1171-1224 (2008);Hermann T., Cell. Mol. Life Sci. 64, 1841-1852 (2007);Welch, E.M, et al. Nature 447, 87-91 (2007))、このようなケースは稀であり、従って、RNAを標的化しようとする大抵の努力は、天然の核酸は核酸塩基対形成によって非常に効率的に互いを標的化するという事実を利用した。アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA、リボザイム、DNAザイム、および核酸標的化アプタマーは全て、主としてWatson-Crick型の、配列相補的核酸塩基対形成相互作用によって、標的RNAの連続ストレッチに係合する(Lagoja, I.M. and Herdewijn, P. Expert Opin. Drug Discov. 2, 889-903 (2007))。まさにその性質上、この係合様式は、標的配列が、競合する塩基対形成相互作用において最小限に固定されることを必要とする。この制限は、RNAターゲッティングの実施における最大の課題のうちの1つを示し、何故ならば、大抵のRNA配列は、広範囲にわたって自己対形成に参加し、このストランド内対形成の構造的性質およびそれと競合するエネルギーコストの両方が、正確に予想され得ないためである。
本明細書に記載の新しい研究は、複雑なRNA分子中における容易に標的化可能なストレッチの客観的な同定を提供する。本研究はまた、設計によって、非標準バインダーの発見を可能にするスクリーンを記載する。折り畳まれたRNA分子の高解像度構造が最近爆発的に入手可能になったために、RNAが自己で(autologously)相互作用する様式の非常に大きな多様性が明らかになった。Hoogsteen対形成、塩基トリプル(triple)およびクアドプル(quadruple)、構造化内部およびヘアピンループ、シュードノット構造、突出部、およびジャンクションは全て、標準的な対形成を増加させる(Leontis, N.B., et al., Curr. Opin. Struct. Biol. 16, 279-287 (2006);Hendrix, D.K., et al., Q. Rev. Biophys. 38, 221-243 (2005))。RNAは分子内会合(即ち、折り畳み)を安定させるためにこのような多種多様の相互作用を使用し得るので、分子間でRNAを標的化する薬剤はこのような非標準相互作用も使用し得るということが明白であることが、本明細書において認識される。RNA標的中の連続ストレッチに対して標準的な対形成を使用するバインダーについては十分に予測可能な対形成規則が存在するが、このような規則は、あまり標準的でない認識様式を使用するバインダーについて存在せず、後者を発見するためのオリゴヌクレオチドライブラリースクリーニングの使用が必要とされている。
RNA相互作用ポリヌクレオチド(「RIPtide」と呼ぶ)は、標準的な未修飾DNAオリゴヌクレオチドと比較して改善された特性を有する、候補核酸ベース薬物であり、それらの機能を調節する目的で、高い結合親和性および特異性で、十分に構造化されたRNA標的に結合する能力が与えられている。ショートオリゴヌクレオチドは、RNAターゲッティング分野において適切な特性を有すると以前報告された。例えば、ODMiR(Oligonucleotide Directed Misfolding of RNA)は、グループIイントロンおよび大腸菌RNase Pの阻害のための有効な方法であることがわかった(J.L. Childs, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 11091-11096 (2002);J.L. Childs, RNA 9, 1437-1445 (2003))。
折り畳まれたRNA標的へ結合し得るRNA相互作用ポリヌクレオチド(RNA-interacting polynucleotide)(RIPtide)の発見への新規のアプローチを、本明細書に記載する。この方法は、対形成様式に関して完全に客観的であるが、標的化可能な配列に対しては偏っている。簡潔には、長さN=4〜8の全ての可能性のある核酸配列を提示しかつ核酸塩基A、C、GおよびUを有するNマーマイクロアレイは、合理的に生理学的な条件下でのRNA標的へのRIPtideバインダーについての効率的な同時スクリーニングを可能にした。このような短配列は、単一のマイクロアレイ上に提示される配列の数に対する実用的制約内で機能し、しかし同様に重要なことには、このようなポリヌクレオチド配列は、より普通のオリゴヌクレオチドロングマー(long-mer)と比べて増強された細胞透過性を示し得(Loke, S.L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 3474-3478 (1989);Chen, Z., et al., J. Med. Chem. 45, 5423-5425 (2002))、比較的短い核酸配列は、RNA標的へ強くかつ特異的に結合し得る(Childs, J.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 11091-11096 (2002);Childs, J.L., et al., RNA 9, 1437-1445 (2003))。ポリヌクレオチドの結合親和性および安定性を高めるために、2’-O-メチル化モノマー構築ブロックが使用された(Freier, S.M. and Altmann, K.H., Nucleic Acids Res. 25, 4429-4443 (1997))。マイクロアレイ製作におけるこれらのアナログの使用は、最近開発された手順によって可能にされ、これは、酸の光化学的生成を使用し、5’-ヒドロキシル基の脱保護を行い、セクター特異的ポリヌクレオチド鎖伸長を行なう(Pawloski, A. et al., J. Vac. Sci. Technol. B 25, 2537-2546 (2007);McGall, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 13555-13560 (1996))。
本明細書に記載の構造化RNAの標的化へのアプローチは、その固有の折り畳みパターンによって決定される、プレ組織化RNA部位中へドッキングし得るショートオリゴヌクレオチド配列の、マイクロアレイによる発見を含む。最初のRIPtide発見プロセスについて、フォトレジストに基づく合成によってAffymetrix Inc.からカスタムフォーマットで製造された2’-O-メチル-リボヌクレオチドマイクロアレイが使用された(A. Pawloski, J. Vac. Sci. Technol. B 25, 2537-2546 (2007))。図1Cに示されるように、2’-O-Me RIPtideマイクロアレイを作製し、4マーから8マーまでの全ての可能な配列、合計87,296個のトータルプローブを組み入れた。本発明者らの知る限りでは、本研究に記載のマイクロアレイは、現在まで報告された高密度2’-O-Meオリゴヌクレオチドマイクロアレイの最初のケースである。
原理証明として、2’-O-Me RIPtideマイクロアレイを用いて、ヒトテロメラーゼRNA成分(hTR)の種々のRNA構築物をスクリーニングした。テロメラーゼは、2つの必須成分、逆転写酵素タンパク質サブユニット(hTERT)およびRNA成分(hTR)(J. Feng, J. Science 269, 1236-1241 (1995));T.M. Nakamura, Science 277, 911-912 (1997))、ならびにいくつかの関連タンパク質から構成される特殊なリボ核タンパク質である。それは、テンプレートとしてRNA成分内の短配列を使用して、染色体末端でテロメア反復配列(5’-TTAGGG-3’)の合成を指示する。ヒト細胞から精製された活性テロメラーゼ複合体は、3つの成分からなる:テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、ジスケリン、および図9に示されるように、反復配列付加についてのテンプレート配列を含有する451-ヌクレオチドRNAである、テロメラーゼRNA成分(hTR)(S.B. Cohen, Science, 315, 1850-1853 (2007))。核酸結合によってhTRを標的化する戦略を含む、いくつかの戦略がテロメラーゼ阻害について利用可能である。一部は発現をサイレンシングするように意図され;他のものは、テンプレート領域に向けられ、拮抗的阻害剤として作用する(C.B. Harley, Nat. Rev. Cancer, 8: 167-179 (2008))。
テロメラーゼは、ヒト癌についてほぼ普遍的なマーカーであると考えられており、テロメア長に対するその効果は、複製老化を回避することにおいて重要な役割を果たす。複製依存性テロメア短縮による細胞周期停止を回避することは、形質転換細胞の生存に必須であると考えられる適合である。実際に、大抵の正常な体細胞においてテロメラーゼ活性は抑制されるが、ヒト腫瘍の約90%においてそれは活性化されることが見出され(J.W. Shay, Eur. J. Cancer 33, 787-791 (1991));N.W. Kim, Science 266, 2011-2015 (1994))、テロメラーゼの阻害またはノックダウンが癌治療についての戦略とされた。
しかし、既存の戦略は、依然として大幅に改善され得る。siRNA分子のサイズは、送達について課題を生じさせ、これは、より短い配列を選択することによって改善され得る。拮抗的阻害剤は、逆転写についての活性部位に焦点を合わせ、大きな複合体の残りを未調査のままにし、実際に、活性ホロ酵素以外に多くの他のhTR含有リボ核タンパク質複合体が発見され、これらの相互作用は、テロメラーゼ触媒作用以外の興味を生じさせる(K. Collins, Mech. Ageing Dev., 129, 91-98 (2008))。このギャップを埋めるために、本明細書に記載の研究において使用された戦略は、テロメラーゼ活性に対していくらかの効果を発揮する、hTRに結合することができる、短い核酸配列をスクリーニングすることであった。
独特で、興味深く、かつ予想外である、テンプレート配列に代わるものを提供する、hTR中のさらなる標的化可能な部位の同定が、本明細書に記載される。特に興味深いのは、成熟RNPの阻害に起因する老化の遅い開始22,27,28(Herbert, B.-S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 14276-14281 (1999);Hahn, W.C. et al., Nat. Med. 5, 1164-1170 (1999);Zhang, X., et al., Genes Dev. 13, 2388-2399 (1999))ではなく、テロメラーゼRNPのアセンブリをRIPtide結合剤が妨げ得る部位であり、何故ならば、このような薬剤は急速なアポトーシス開始をもたらすと予想されるためである(Li. S., et al., Cancer Res. 64, 4833-4840 (2004);. Folini, M. et al., Cancer Res. 63, 3490-3494 (2003))。本明細書に記載されるように、両方ともテロメラーゼ機能に必須である(Mitchell, J.R., Collins, K., Mol. Cell 6, 361-371 (2000))、テンプレートとシュードノットとを含むhTRの構造化エレメントのRIPtideマイクロアレイスクリーニングによって、hTR中におけるいくつかの新たな標的化可能な領域が同定された。これらの新たな部位を標的化するRIPtideは、次世代のテロメラーゼ阻害剤の有望な候補である。
両方ともインビトロでのテロメラーゼ活性に重要でありかつhTERTに結合することが示された(J.R. Mitchell, Mol. Cell 6, 361-371 (2000))、hTRのシュードノット/テンプレートおよびCR4/CR5ドメイン内のいくつかのhTR構築物を使用するRIPtideマイクロアレイスクリーニングのための方法が、本明細書に記載される。ヒトテロメラーゼRNAへ結合する選択された2’-O-Me RIPtideの、スクリーニングプラットフォームの設定、ヒット確認プロトコル、ならびにインビトロおよび細胞ベースTRAPアッセイの両方による、抗テロメラーゼ活性が、本明細書に報告される。
マイクロアレイ設計原理
折り畳まれたRNA標的へ高親和性で結合するRIPtideについての、構造的に客観的なマイクロアレイベースのスクリーンを提供する、新規のマイクロアレイプラットフォームの開発(図1)、および細胞においてテロメラーゼ活性を調節するためのこのように同定されたRIPtideの使用が、本明細書に記載される。効率的な、高親和性の、オリゴヌクレオチドベースのRNAバインダーについてのスクリーニングを可能にした新規のマイクロアレイプラットフォームの開発を追求した。この目的のために使用したオリゴヌクレオチドまたはRIPtideは、標準的な未修飾DNAオリゴヌクレオチドと比較して、安定性、ヌクレアーゼ耐性、および結合親和性の改善を示さなければならなかった。オリゴヌクレオチドの細胞透過性は、鎖長の関数として減少することは十分に確立されており(Loke, S.L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 3474-3478 (1989);Chen, Z., et al., J. Med. Chem. 45, 5423-5425 (2002))、従って、8個以下のヌクレオチドを有するRIPtideを同定することが焦点となった。第1のアプローチは、マイクロアレイ表面へ結合されるRIPtideプローブとして、2’-O-Meオリゴヌクレオチドを使用した。2’-O-アルキル置換は、未修飾RNAオリゴヌクレオチドと比較してヌクレアーゼ耐性を増加させ、糖の2位での置換は、C3’-エンド(A-RNA様またはノース)コンフォメーションに有利であり、これは、RNA結合親和性を顕著に増加させる。さらに、本研究において使用されるRNA標的との関連において、hTRのテンプレート領域に標的化された2’-O-メチルオリゴヌクレオチドは、有効なテロメラーゼ阻害剤であることが証明されている(A.E. Pitts, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 11549-111554 (1998));B-S Herbert, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 14276-14281 (1999))。従って、この有利な修飾を、マイクロアレイ上に提示されるRIPtideの全てへ組み入れた。
最適なオリゴヌクレオチド−RNA結合についての最短鎖長要件の確立のために、および、これらの短い配列が、多くのRNA−RNA相互作用の非標準塩基対形成特徴に影響を与えるかどうかを測定するために、4マー〜8マーの比較的短い配列を含めた。さらに、短い配列の使用は、単一マイクロアレイスライドにおいて、RIPtideの全ての可能な配列組み合わせまたは順列の合成を可能にし、この方法論を任意の所定の配列のRNA研究へ拡大する可能性を高める。
2’-O-メチル化は相当なパフォーマンス利益を提供すると予想されたが、それはまたマイクロアレイの製作を複雑化し、何故ならば、標準的な高密度マイクロアレイ技術は、2’-デオキシオリゴヌクレオチドを対象としているためであった。光化学的に指定されるマイクロアレイ合成についての確立されたAffymetrixプラットフォームは、5’-フォトケージ化(photocaged)ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイトの作製を必要とし(Chen, J.-L., et al., Cell 100, 503-514 (2000))、これは、本目的へ適用されるならば、5’-フォトケージ化2’-O-メチルホスホルアミダイトの合成を必要としていただろう。創薬のツールとしての高密度2’-O-Me-RIPtideマイクロアレイの最初の例の製作は、Affymetrix Inc.によって最近開発されI線(365 nm)投影リソグラフィーに基づくフォトレジスト技術によって達成された(A. Pawloski, J. Vac. Sci. Technol. B 25, 2537-2546 (2007))。この最近開発されたマイクロアレイ製作技術は、標準的な5’-ジメトキシトリチル(DMT)基を脱保護することができる酸の光化学的発生を使用する(図2)。この方法論は、本目的に特に適しており、何故ならば、それは、標準的な市販の2’-O-メチルRNAホスホルアミダイトのみを必要とし、原理上は、任意の5’-DMT-保護核酸アナログを用いて使用され得るためである。このフォトレジスト技術(Pawloski, A. et al., J. Vac. Sci. Technol. B 25, 2537-2546 (2007))は、本発明者らが、標準核酸塩基A、C、G、およびUを有する全ての可能な8-、7-、6-、5-、および4-マー2’-O-メチルRIPtide、合計87,296個のRIPtideを各々のチップ上に提示するマイクロアレイを作製することを可能にした(図1C)。プレ染色可能なチェッカーボードアライメントフィーチャーもまた、各アレイ中へ組み入れた。
標的RNA
ヒトテロメラーゼRNA(hTR)のテンプレート/シュードノットドメインをRNA標的として使用したが、本明細書に記載の方法は、任意のRNA標的に対して使用され得ると考えられる。hTRのテンプレート/シュードノットドメインは、脊椎動物にわたって高度の構造的保存を有し(J.L. Chen, Cell 100, 503-514 (2000))、そのコア構造はテロメラーゼ機能に必須である(J.R. Mitchell, Mol. Cell 6, 361-371 (2001))。このこと一致して、このドメインにおける突然変異は、先天性角化不全症およびある形態の再生不良性貧血を含む、テロメラーゼ欠乏性疾患をヒトにおいて生じさせる。テンプレート領域の外側においてでさえ、それに結合するRIPtideは、機能的効果を発揮し得る。
一時的に形成されるものと比べて、安定な永久のシュードノットの形成要件(L.R. Comolli, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 16998-17003 (2002);C.A.Theimer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 449-454 (2003);J.L. Chen, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 8080-8085 (2005))、およびテロメラーゼ活性についてのその意味合いは、論争の対象となっている。改変された最小のシュードノットRNAのいくつかの三次元構造が報告されたが(Kim, N.-K. et al., J. Mol. Biol. 384, 1249-1261, (2008);Theimer, C.A. et al., Mol. Cell 17, 671-682 (2005);Theimer, C.A. et al., Mol. Cell 27, 869-881 (2007);Theimer, C.A., Feigon, J. Curr. Opin. Struct. Biol. 16, 307-318 (2006))、テンプレート/シュードノットドメインのこの単一モジュールを除いて、全体的な構造は未解明のままである。最近、ドメインの構造特徴が、部分的に明らかにされた(C.A. Theimer, Mol. Cell 17, 671-682 (2005);C.A. Theimer, Mol. Cell 27, 869-881 (2007);C.A. Theimer, Curr. Opin. Struct. Biol. 16, 307-318 (2006))。興味深いことに、テンプレート領域から一次配列中において離れて位置する、シュードノット構造中のヌクレオチドA176(A176)の2’-OH基は、テロメラーゼの触媒活性への寄与に関連することが、最近報告された(F. Qiao, Nat. Struct. Mol. Biol. 15, 634-640 (2008))。
蛍光標識を組み入れている折り畳まれたRNA構築物を使用して、マイクロアレイのスクリーニングを行ない、その結果、スキャンされたマイクロアレイの蛍光強度は、ポジティブRIPtide「ヒット」を読み出す。RNA標的のサイズが、マイクロアレイ上に提示されたRIPtideにアクセスするその能力に影響を与える程度を調べるために、ある場合においてはヒトテロメラーゼRNAの全配列(1〜451 nt)を含有するプラスミド構築物を使用して、切断シリーズを構築し、これは、テンプレート/シュードノットドメインの次第に小さくなるバージョンを示し、最小のものは、構造研究のためにFeigonおよび共同研究者によって以前使用された48nt改変最小シュードノットであった(C.A. Theimer, Mol. Cell 17, 671-682 (2005);C.A. Theimer, Mol. Cell 27, 869-881 (2007);C.A. Theimer, Curr. Opin. Struct. Biol. 16, 307-318 (2006)、Y.G. Yingling, J Mol Graph Model. 25, 261-274 (2006);Y.G. Yingling, J. Biomol. Struct. Dyn. 24, 303-20 (2007);Y.G.Yingling, J Mol Graph Biol. 348, 27-42 (2005))。Cy3のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルでの処理による転写後標識のための少量の5’-アミノアリル-UTPの存在下での、PCR作製テンプレートからのT7 RNAポリメラーゼ依存転写によって、これらの大部分を作製し(「方法」を参照のこと);最小の2つは、固相合成によって作製し、Cy3で5’標識した。全てのRNA転写物を変性PAGEによって精製し、それらの完全性およびサイズを電気泳動によって確認し、それらを下記に示されるように再び折り畳んだ。
全長hTR(ヌクレオチド1〜451)およびテンプレート/シュードノットドメイン(PKK、nt 1〜211)の蛍光標識型は、最初のスクリーンにおいてマイクロアレイへの定量化可能な結合を示さず;テンプレート/シュードノットドメインの僅かに短い175nt型(PK175、nt 26〜200)は、再現性のない結果を与えた。他方で、159nt構築物(PK159、nt 33〜191)および全てのより短い型(図3B)は、再現性のあるマイクロアレイポジティブを生じさせた。従って、これらの最初の結果から、実験条件下で、2’-OMeマイクロアレイは、長さが約160ntより短いRNA標的で信頼性の高い結果を提供し、これよりも長いRNA標的では慎重に使用されるべきであると結論付けられた。
従って、マイクロアレイスクリーニングプロトコルの最適化を、改変最小シュードノット構築物ならびに大きなRNA転写物PK123およびPK159を使用して行なった。PKWTおよびPKWT-1構築物は、ヌクレオチド121と166との間に改変結合部を有する、ヌクレオチド93〜121位および166〜184位のhTR配列を含む(図3A)。PKWTはまた、ステム1を安定させるため(図3A)およびT7 RNAポリメラーゼを使用しての合成の効率を高めるために導入された突然変異を含む。PKWT-1は、突然変異塩基対の1つが野生型配列へ戻されている、PKWTの変異体である。最近報告された(Kim, N.-K. et al., J. Mol. Biol. 384, 1249-1261, (2008))、PKWTの高解像度NMR構造は、広範囲の三次相互作用および多数の非標準塩基対形成相互作用を用いての三次元折り畳みを明らかにしている。
2’O-メチルRIPtideマイクロアレイスクリーニング
マイクロアレイ実験について、チェッカーボードを染色するための第一工程が、適切なグリッドアライメントについての基礎を与えるために必要とされた。これは、Affymetrix Genechipアレイで一般的に使用されている標準ハイブリダイゼーションプロトコルを改変することによって達成された。簡潔には、250 pMの濃度でのオリゴヌクレオチドB2を、バッファーおよびBSAのみを含有するハイブリダイゼーションカクテルを使用して45℃で16時間ハイブリダイズさせた。その後、ストレプトアビジン-フィコエリトリンを使用する染色プロトコルを行い、チップをスキャンした。典型的に、2ラウンドのハイブリダイゼーション−染色が、最適な蛍光コントラストを得るために必要であったが、ある場合においては、1ラウンドで十分であるとわかった。
折り畳まれた二次構造の存在を確実にするために、全てのRNAを、加熱、およびマグネシウムを含有するリン酸緩衝液(5mM)中における周囲温度への徐冷によって再び折り畳んだ。標識されたRNAを、RIPtideマイクロアレイと共に、様々な長さの時間(1、2、6、12および18時間)の間、種々の温度(25および37℃)にて、1〜100 nMの範囲の濃度で、インキュベートした。160ヌクレオチドより長いRNAで行なった実験は、矛盾した結果を生じさせ、それによって、本研究において使用するマイクロアレイのためのRNAハイブリダイゼーションについての上限の有益な情報を提供した。先ず、チップを室温にてマグネシウム含有緩衝液で洗浄し、続いてストリンジェントな洗浄を行い、シグナル対ノイズ比を高めた。これは、大きなRNA転写物、例えば、PK123およびPK159について特に重要であり;より小さなシュードノット構築物PKWTおよびPKWT-1については、室温での穏やかな洗浄で十分であった。種々のサイズのRNA標的を用いて再現性のある結果をもたらすと分かった最適条件は、100 nM RNA標的をマイクロアレイと共に37℃で1時間インキュベートすることを必要とし;さらに、同様の結果が、より低いRNA濃度(≧10 nM)を37℃で少なくとも6時間インキュベートすることによって得ることができた。この最適化された手順を用いて、反復のマイクロアレイは、高輝度RIPtideヒットのほぼ同一のランキングを与える。
標的RNA構築物と共のインキュベーション後に、RIPtideマイクロアレイをスキャンし、最も強度が高いRIPtide「ヒット」を、少なくとも2回(通常3回)の独立したマイクロアレイ実験からの平均の生の蛍光強度に従ってランキングした。標的RNA上にRIPtideについての好ましい結合部位が存在する場合、RIPtideヒットは、(結合部位のランダム分布とは対照的に)関連配列および標的結合部位を有するクラスターへ分類されると予想される。従って、Perlスクリプトを設計し、ヒットをクラスター化するいくつかの異なる可能性のある様式を評価した。
単に互いに対するそれらの配列相補性に基づいてRIPtideヒットをクラスター化する試みは、明白に意味のあるクラスターをもたらさないことがわかり、何故ならば、このような短い配列を用いて、フレームシフトされた配列および非同一性のいくつかの位置を有するものへ対応スコアを割り当てることが困難であったためである。従って、ガイドとしてRNA標的へのそれらの部分的配列相補性を使用して、ヒットをクラスター化した。その際に、標的と部分的相補性の、非同一であるが重複する部位を有するRIPtideは、容易にクラスター化され得ることがわかった。具体的には、標的配列とのRIPtideヒットのアライメントに続いて、各部位についてのヒット数に対する標的上の部分的相補性の部位のプロットを構築した(図4)。標的RNAに対して>60%配列同一性を有するオリゴヌクレオチドのみをクラスター化した。このクラスター化は、標的結合核酸配列の中での許容される変化に関して案内を提供する。
標的として改変シュードノット構築物PKWTおよびPKWT-1を使用するマイクロアレイスクリーニング(図4)において、最も高い平均蛍光強度を示すRIPtideヒットの大部分は、RNAの2つの領域に相補的なクラスターの対、クラスターIと名付けられたシュードノットの5'末端(P2bステムの一部)、またはクラスターIIと名付けられたJ2b/3ループおよびP3ステムの隣接セグメントへ属した(図4)。興味深いことには、PKWTは、3個のヌクレオチド、ステム1中のG:Cに対してC:G 塩基対および3’-ヌクレオチドにおいてしかPKWT-1と相違しないが、2つのRNA標的は、クラスターIおよびクラスターII中におけるヒットの相対的割合において実質的な相違を示し、このことは、マイクロアレイはこのような微妙な配列変化に対して非常に敏感であり得ることを示している。二本鎖DNAおよびRNAにおいて、末端は、末端から離れて位置される部分よりも多くの熱的摩損を受けることが公知であり、従って、5’末端での外見上のバインダーのクラスターの観察は驚くべきことではない。しかし、予想外であったことは、3'末端に相補的なRIPtideがほぼ完全に存在しなかったことであり、何故ならば、このセグメント中のP3ステムも二本鎖末端を含むためである。同様に、J2b/3ループが配置されたRIPtideへの結合について非常に生産的であり、一方、同一構築物中の他のループ、J2a/3は、RIPtide結合に対してほぼ完全に無反応であることを予測することは、不可能であった。マイクロアレイヒットの分布に対するインキュベーション時間の影響を調べる一連の実験も行い、クラスターIは、PKWT-1を用いてクラスターIIよりもより急速に現れたが、クラスターIIは、より長時間にわたって蓄積し続けたことがわかった(図5)。
より大きなhTR構築物をRIPtideスクリーンへ供した場合(図4、重複された、PK123およびPK159を用いてのクラスター化)、結合を外見上受けやすい標的上のさらなる領域が同定された。PK123について、クラスターIヒットはかなり減少し、しかしクラスターIIは十分に表示されたままであり、しかし今回観察されたヒットのうちの最も顕著なクラスターは、クラスターIIIと名付けられた、内部J2a/J2bループ(nt 82〜89)へ相補的なものであった。J2a/3一本鎖領域(クラスターIV、nt 142〜156を含む、nt 約142〜170)の5’末端で、いくつかの小さなクラスターも観察された。最後に、hTRの完全なテンプレート/シュードノットドメインを示す、構築物PK159を、2’-O-メチルRIPtideアレイにおいてスクリーニングした場合、PK123についてのそれと同様のクラスタープロファイルが生じ、1つの例外があった:PK159を用いて観察された最も顕著なクラスターは、他の構築物の全てにおいて欠けていた、テンプレート領域に相補的なRIPtideに相当した(クラスターV、nt 47〜57)。テロメア伸長についてのガイド配列としてのテンプレート領域の非常に重要な役割は、それが対形成について利用可能であることを必要とし、実際に、文献の大部分は、オリゴヌクレオチドによるテンプレート領域の標的化性を記載している。マイクロアレイ結果は、これらの知見を確証し、PK159シュードノット/テンプレート構築物中の全部位のうち、テンプレート領域がRIPtideによるターゲッティングについて最も生産的な部位であることを示している。
RIPtideマイクロアレイヒットのインビトロ確認
溶液中の標的RNAに結合するマイクロアレイスクリーニングからのRIPtideヒットの能力を評価および定量化するために、各クラスター内の上位のヒットのコンセンサス配列に対して変化を示す一団のRIPtideを選択した。これらのRIPtideは、マイクロアレイの表面へ結合されたものと同一の、3’末端へ結合された3-カルボキシフルオレセイン(FAM)標識を用いて合成された。次いで、蛍光偏光(FP)を使用し、マイクロアレイスクリーンにおいて使用したものと同一の折り畳まれた標的RNAおよび緩衝系を使用して、FAM標識RIPtideの平衡解離定数(Kd)値を定量的に測定した。
PKWT-1スクリーンからの上位10個のRIPtideヒットの代表サンプルを先ず選択し、溶液中における対応の相互作用の親和性を測定した。図4Bにおいて見られるように、上位10個のRIPtideのうちの1個を除いて全てが、100 nM未満のKdで溶液中においてPKWT-1に結合し、マイクロアレイスクリーンにおける順位とPKWT-1についての親和性との間に大まかな相関関係が観察され、より低いランクのRIPtideは、PKWT-1についてより低い親和性(より高いKd値)を一般的に有した。一次マイクロアレイスクリーンにおいて見られたように、完全に相補的8マーは、単一ヌクレオチドの末端切断から生じる7マーよりも一般的により強くPKWT-1に結合し、これは同様に切断6マーよりもより強く結合すること、および、完全に相補的なオリゴヌクレオチドは、単一ミスマッチを有するものよりも一般的により強く結合することも観察された。これらの傾向は、確立された対形成熱力学に基づく予想に完全に一致しており、折り畳まれたRNA標的への高親和性バインダーを同定するためのRIPtideマイクロアレイの使用を確認する。
理論によって限定されることを望まないが、hTRの切断形態中においては存在するかまたは利用可能であるRIPtide結合部位が、全長hTR中においては存在しないかまたは利用可能でない場合がある可能性がある。従って、溶液中においてPKWT-1に結合することについて確認された5個のRIPtideを選択し、全長hTRへのそれらの結合親和性を、FPを使用して測定した。図6において見られるように、クラスターIヒットのいずれもhTRについて測定可能な親和性を示さなかったが、クラスターIIヒットは、PKWT-1についてと少なくとも同じぐらい高い親和性をhTRについて示し、1つのRIPtide(II-2)は、親和性の改善を示しさえした。理論によって拘束または限定されることを望まないが、PKWT-1においてそれらが結合するシュードノットの末端は大幅に改変されており、従ってhTRとは著しく異なるために、クラスターIヒットは不活性となり;他方では、クラスターIIヒットが結合するJ2b/3ループは、全長hTR中において保持されると仮定された。J2b/3ループがhTRにおいて三次相互作用に関与する場合、RIPtide結合が失われ得、従って、前記ループは、ネイキッドhTR中に存在する場合、このような相互作用において比較的未係合(unengaged)のままであると推測された。
溶液中においてPK123およびPK159の一次マイクロアレイスクリーンからのRIPtideヒットの残りを確認しなかったが、代わりに、全長hTRを使用する確認を分析した。各々のクラスターからの代表例を選択し(図4D)、全長hTRについてのこれらのRIPtideの結合親和性を定量化した(図6A)。このようにして、全長hTRに結合するクラスターIII、IVおよびVからのRIPtideを同定した。総合すると、hTRで確認されたRIPtideのコレクションは、2’-O-メチルポリリボヌクレオチドによるターゲッティングに特に寄与するテンプレート/シュードノット上の一連の部位をマッピングし;各部位は、配列相補的RIPtideのクラスターに対応している(図6B;図6A中の配列に従って陰影が付けられている)。具体的には、これらの非常に標的化可能である領域は、J2b/3ループおよびP3ステム(クラスターII)、J2a/2b突出部〜P2aステムの部分(クラスターIII)、J2a/3ループ(クラスターIV)、およびテンプレート領域(クラスターV)である。それらの全ては、hTR折り畳みダイヤグラムによって、少なくともいくらかの一本鎖含有率を有すると示唆されることが、注意される。とは言うものの、一本鎖含有率を有すると折り畳みダイヤグラムによって示唆された他の顕著な領域、例えば、J2a/3ループの3’末端全体およびJ2a.1/2aバブルがさらに注意され、これらは、RIPtideによるターゲッティングに利用可能ではないようである。
理論によって限定または束縛されることを望まないが、hTR上のRIPtide結合部位を、RIPtideおよび標的間のWatson-Crick相補性を仮定して推測した。RIPtideが、hTR上の予想された領域を実際に認識していることを実験的に確かめるために、タンデム点突然変異をRIPtideの中央部分中へ、および補償配列変化をhTR中へ導入した。野生型および補償突然変異hTR標的に対する「野生型」および「突然変異」RIPtideの結合挙動を、FPによって分析した(図7)。4つの異なるhTR転写物を作製し、ここで、予想される標的部位(図6A、太字で示される塩基)である、各クラスターの中央位置にある2つの連続ヌクレオチドを、それらのWatson-Crick相補的塩基へ突然変異させた(G→C、C→GおよびU→A)。各場合において、「野生型」RIPtideへの突然変異hTRの結合は、消失または激減した(図7Aと図7Bとを比較する)。同様に、突然変異RIPtideを野生型hTRと共にインキュベートした場合、結合は消失または減少した(図7C)。補償突然変異をRIPtideおよびhTRの両方へ導入した場合(図7Aと図7Dとを比較する)、結合は、大抵の場合において部分的にまたは完全に回復され、このことは、部位がRIPtideによって標的化されることを確認する。7つのケースのうちの2つ(V-1およびII-1)において回復が観察されなかったが、重複標的部位に結合するRIPtideを用いて回復が観察された(V-3およびII-2)。恐らく、ある特定のケースにおけるこの回復の欠如は、突然変異の結果としての一本鎖エレメントの折り畳みエネルギーのまたは利用可能性の局所的な変化を反映している。総合すると、理論によって拘束されることを望まないが、この突然変異特異性は、RIPtideは、実際に、対応の配列相補的部位でテロメラーゼを標的化しているという考えを支持している。
インビトロでのおよび培養細胞中でのRIPtideによるテロメラーゼ阻害の評価
テロメラーゼのネイキッドRNA成分上の4つの異なる領域に結合する一団のRIPtideを発見した後、これらの分子がインビトロ設定においてテロメラーゼリボ核タンパク質複合体の活性を阻害することができるかどうかを次に測定した。従って、テロメア反復配列増幅プロトコル(Telomeric Repeat Amplification Protocol)(TRAP)アッセイ(Kim, N.W. et al., Science 266, 2011-2015 (1994))を使用した。TRAPアッセイは、ヒト細胞抽出物中におけるテロメラーゼ活性を測定することにおいて、およびまたテロメラーゼ阻害剤のインビトロ効力を評価することにおいて広範囲の用途が見出されたPCRベースのプロトコルである。蛍光検出を利用するTRAPアッセイのあるバージョン(Cy5-TRAP)(Herbert, B.-S.et al., Nat. Protocols 1, 1583-1590 (2006))を使用。2つのヒト腫瘍細胞株(HeLaおよびDU145)および不死化胚細胞株(HEK293)由来の細胞抽出物を使用して、いくつかのRIPtideについてのIC50値を測定した。最初に、マイクロアレイスクリーンにおいて同定されたいくつかのクラスターを示すRIPtideの小さなライブラリーを、HeLa細胞抽出物中に存在するテロメラーゼ活性を使用して、hTR上でのFP実験によって、スクリーニングし、確認した。これらの大部分は、8マーであったが、いくつかの7マーおよび6マーもまたテストし;全てが、300 nM未満のhTRについてのKdで、標的hTR配列に対して完全に相補的であった。RIPtideの2つの末端位置またはあらゆる位置のいずれかにホスホロチオアート連結を組み入れる、最初のライブラリーのいくつかのホスホロチオアート変形物をさらにテストした。
スクリーニング実験の第1ラウンドにおいて、ホスホジエステル化合物について、阻害活性が、テンプレートに相補的な8マーRIPtideの2つの例において見られた(クラスターV、SEQ ID NO: 26)。クラスターII、IIIおよびIVに属する化合物によって顕著な阻害は観察されなかった。ホスホロチオアート誘導体について、クラスターII、IIIおよびVからのテストされたいくつかのRIPtideは、1〜10μMの濃度範囲でテロメラーゼ阻害を示し;テンプレートを標的化するRIPtideは、前記シリーズのうちの最も低いIC50値、約1〜2μMを有した。
TRAPアッセイにおいていくらかの阻害活性を示したある特定のRIPtideの効力を増加させる試みにおいて、hTRとのWatson-Crick対形成を維持させたまま、それらの長さをいずれかの末端で2〜3ヌクレオチド増加させた。この戦略は、クラスターIIまたはクラスターIIIによるRIPtideの活性を改善せず、このことは、理論によって拘束または限定されることを望まないが、アセンブリされたリボ核タンパク質複合体においては、これらのRIPtideによって認識されるhTRの領域は、動力学的にアクセス不能であり得ることか、あるいは、テロメラーゼのタンパク質成分は、hTR上のその部位についてRIPtideに熱力学的に勝ることを示唆している。しかし、テンプレート領域(クラスターV)中のアライメント配列を標的化する種々の長さのRIPtideは、有効なテロメラーゼ阻害剤であった。さらに、J2a/3ループの5’末端を標的化する、クラスターIV RIPtideのいくつかの配列伸長型は、細胞溶解物を用いてのTRAPアッセイにおいてナノモルのIC50値を示すこともわかった。同一の領域を標的化するオリゴデオキシヌクレオチドが以前報告され、インビトロでテロメラーゼに対して阻害活性を有することが実証されており;しかし、その特定の部分を選択したことについての基準は記載されなかった(Pruzan, R., et al., Nucleic Acids Res. 30, 559-568 (2002))。本明細書において報告されるRIPtideマッピング実験は、この特定の部位が、ネイキッドhTRにおけるターゲッティングについて特に生産的であり、しかしこのようにして同定されたいくつかの他の部位とは異なり、それは、テロメラーゼの完全にアセンブリされた形態において標的化可能なままであることを確立する。最も重要なことには、アクセス可能なクラスターIV部位でのターゲッティングは、インビトロでテロメラーゼ酵素活性の強力な阻害をもたらす。
この部位を標的化するRIPtideの最適化を、hTR配列143〜156 ntをカバーする14マーから開始し、続いていずれかの末端で連続的に切断することによって行い、10個のヌクレオチドを含む最小配列が同定され(hTR 143〜152 ntに相補的;エントリー32)、ここからのさらなる塩基の除去は、インビトロでのテロメラーゼ阻害を消失させた。この最小配列を含みかつ10個以上のヌクレオチドの長さを有する全てのRIPtide配列は、10 nM未満のIC50でテロメラーゼ活性を阻害した。従って、新規のRIPtideマイクロアレイスクリーニングとTRAPアッセイによってガイドされる系統的伸長との組み合わせによって、インビトロにて低いナノモル濃度でテロメラーゼ阻害をもたらす新規かつ独特の最小配列を同定した。この配列(SEQ ID NO: 20)5’-GGUGGAAGGC-3’(IV-3)は、低いナノモル範囲内のIC50値で、テストした全ての細胞株中に存在のテロメラーゼ活性を阻害した(図8)。
さらに、ヌクレアーゼに対する安定性の増加および/またはRNA結合親和性の増加などの、細胞ベースの活性アッセイについてより良い薬理学的プロファイルを有するRIPtideを得ることを目的とする並行した努力において、最も有望な阻害配列の化学的性質を修飾し、骨格に種々の修飾を含むRIPtideのテロメラーゼ阻害ポテンシャルを探究した。上述の10マーRIPtideは、培養細胞中においてテロメラーゼ活性を阻害するに不十分な安定性または細胞透過性を有し得たので、安定性、細胞透過性および結合力を増加させることが公知の化学修飾を組み入れるスクリーンを行い、同時に、TRAPアッセイを使用してインビトロでの活性の保持をモニタリングした。具体的には、TRAPアッセイにおいて、テロメラーゼ阻害に対する、ホスホロチオアート置換および固定化核酸(LNA)骨格での2’-O-メチル-リボース骨格の置換の効果を評価した。ホスホロチオアート置換は、最も5’の(5’-most)および最も3’の(3’-most)ホスホジエステル基において、またはあらゆるリン酸連結において、行なった。両方の場合において、ホスホロチオアート置換RIPtideは、テロメラーゼ活性を阻害するそれらの能力を保持し、低いナノモル範囲内のIC50値を示した(図8A、RIPtide IV-3(SEQ ID NO: 20)、IV-4およびIV-5)。さらに、IC50値は、蛍光偏光実験によって測定されたKd値と十分一致していることがわかった(図8A〜8C)。ホスホジエステルおよびホスホロチオアート2’-O-メチルRIPtideの両方について、非配列特異的効果を除外するために、ミスマッチ含有RIPtideをネガティブコントロールとして使用した(図8D)。これは、核酸ベースの薬物についての配列特異性を確立することにおいて非常に重要であるが、ホスホロチオアートの場合において特に必要であり、何故ならば、ホスホロチオアートは、非特異的様式でhTERTへ結合することが以前に報告されたためである(Matthes, E., Lehmann, C., Nucleic Acids Res. 27, 1152-1558 (1999))。ミスマッチを含有するRIPtideによるテロメラーゼ阻害は完全に消失されたことがわかり、観察された結果の配列特異性が確立された。さらに、もっぱらLNA骨格を有する10マー配列の単一の10マー配列もテストし、阻害効力は約1 nMであることがわかった。
修飾RIPtidはインビトロで活性を保持することが確立されたので、これらのうちのいくつかを細胞ベースのアッセイにおいてテストした。DU145前立腺癌細胞を165 nM RIPtideで24時間処理した。続いて、細胞を溶解し、テロメラーゼ活性をTRAPアッセイによって評価した(図8D)。ポジティブコントロールとして、以前報告されたhTRのテンプレート領域を標的化する13マー2’-O-メチルオリゴヌクレオチドを使用した(Pitts, A.E., Corey, D.R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 11549-111554 (1998))。最適な送達を確実にするためにLipofectamine(商標)を使用し、カチオン性脂質送達が10マーについて必要であるかどうかは、確立されないままである。特に、テロメラーゼを標的化するホスホロチオアート連結を含有する比較的短いオリゴヌクレオチドが、最適な細胞取り込み特性を示すという証拠がある(Chen, Z., et al., J. Med. Chem. 45, 5423-5425 (2002))。ホスホジエステル骨格および2’O-メチル糖を有する、RIPtide SEQ ID NO: 20で処理された細胞は、顕著なテロメラーゼ阻害を示さなかった一方で、ホスホロチオアート骨格および2’O-メチル糖を有する、RIPtide SEQ ID NO: 20は、テロメラーゼの著しい阻害をもたらし、このことは、後者のより大きな細胞透過性および安定性を恐らく反映している。重要なことに、抽出物ベースの実験においてテロメラーゼ阻害を消失させることがわかっている、ホスホジエステル骨格および2’O-メチル糖を有するRIPtide SEQ ID NO: 20中への2つの点突然変異の導入はまた、これらの細胞ベースの実験においても阻害を消失させ、このことは、RIPtideによる阻害の配列特異的機構を支持している。これは特に関連性があり、何故ならば、これは、培養細胞中においてテロメラーゼ活性の阻害を実証した、この領域を標的化するオリゴヌクレオチドの最初の例であるためである。
インビトロでの阻害配列の発見
別の局面は、インビトロでの活性に必要とされる2つのドメインのうちの1つである、図9において見られるような、hTRのCR4-CR5ドメインに向けられたヌクレオチド配列に焦点を置いた(F. Bachand, Mol. Cell Biol., 21, 1888-1897 (2001))。
テロメラーゼのインビトロ阻害剤の探求において、前記プロセスの後に、典型的な創薬工程を行った:リード分子についての客観的なスクリーン、KD測定、およびインビトロ活性アッセイにおけるIC50測定。この場合において、2’-O-メチルオリゴヌクレオチドマイクロアレイを使用し、リードオリゴヌクレオチド配列をスクリーニングし;KDを蛍光偏光(FP)によって測定し;テロメラーゼ活性に対する効果を、テロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)を使用して評価した。
4〜8マーの2’-O-メチルヌクレオチド配列の全ての順列が、Affymetrixによってマイクロアレイチップ上に印刷された。インビトロ転写によってhTRのCR4-CR5ドメインを含む84-ヌクレオチド構築物を合成し、構築物をCy3で標識した。次いで、蛍光標識構築物をマイクロアレイ上にハイブリダイズさせ、チップを蛍光ヒットについてスキャンした。これらのヒットを、配列コンセンサスによって分類し、結合部位を配列相補性に基づいて予想した。マイクロアレイ上の100個の最も明るいスポットは、図9Cにおいて見られるように、CR4-CR5ドメイン上の4個の推定結合部位へクラスター化され得ることがわかった。これらのクラスターは、ループを含むと予想される領域を示す(J.L. Chen, Cell, 100, 503-514 (2000))。
溶液中における結合親和性を測定するために、インビトロ転写によって同一の84-ヌクレオチド構築物の非標識型を合成した。マイクロアレイスクリーンからの強い蛍光性のスポットに対応するフルオレセイン標識2’-O-メチルオリゴヌクレオチド配列も合成した。蛍光偏光測定によって、KDを測定した。各クラスターからの代表をスクリーニングし、マイクロアレイ分析によって測定した場合は結合について利用可能な4つの部位のうち、2つのみがFPによって確認された(表3)。
インビトロでのテロメラーゼ活性の阻害を、細胞抽出物中におけるテロメラーゼ活性についてのPCRベースのアッセイであるTRAPを使用して測定した(B.-S.Herbert, Nat. Protocols, 1, 1583-1590 (2006))。FPによって結合することがわかった非標識オリゴヌクレオチド配列を、細胞抽出物(HeLa、DU 145、および293)と共にプレインキュベートし、活性をTRAPによって測定した。テストした配列のうち、1つのみの、SEQ ID NO: 1が、マイクロモル範囲内のIC50で、テロメラーゼ活性を阻害することがわかった(表2)。SEQ ID NO: 1は、テロメラーゼ阻害について別の方法で比較的探究されていない領域である、図9Dにおいて見られるような、J5/6ループにおいて結合すると予想されるので、それは、新規のクラスのテロメラーゼ阻害剤に属し得る。
インビトロ作用機序の確認
作業仮説は、SEQ ID NO: 1はCR4-CR5上のJ5/6ループへ結合すること、およびこの結合事象は、TRAPによって観察されたように、テロメラーゼ活性を阻害することであった。これが真実であれば、SEQ ID NO: 1の発見は、テロメラーゼ活性についての必要性と以前は関連しなかったhTR上の領域である、J5/6ループの重要性について疑問を提起する(J.R. Mitchell, Mol. Cell, 6, 361-371 (2000))。従って、図9Dに示されるような、補償突然変異実験を行なうことによって、これらの仮定についての裏付けとなる証拠を集めることが非常に重要である。
前述のFP実験は、野生型hTRインビトロ転写産物に対して行った。予想される結合部位の内部のhTR上の2つのヌクレオチドが交換される場合、SEQ ID NO: 1への結合が失われるだろうことが予想される。補償突然変異を有するオリゴヌクレオチドが代わりに付加される場合、類似したKDでの結合が回復されると考えられる。hTRの突然変異プラスミド構築物を作製し、突然変異hTRをインビトロで転写した。次に、補償突然変異を有するフルオレセイン標識オリゴヌクレオチドを、合成し、FPによってテストし、最初のFPデータはSEQ ID NO: 1とJ5/6との特異的結合事象を示していることが実証され得る。
hTR上のJ5/6ループへの結合事象がインビトロでのテロメラーゼ活性の低下と相関するかどうかを確認するために、VA13細胞(これは、hTRもhTERTも発現しない)が使用され得、これは、hTRについて多数の突然変異研究を行うために以前使用された。FP実験と同様に、突然変異テロメラーゼホロ酵素の活性を阻害する、補償突然変異を有するオリゴヌクレオチドの能力が、TRAPによってテストされ得る。このために、hTRのプラスミド構築物を作製し、予想されるSEQ ID NO: 1結合部位において、部位特異的突然変異誘発を行った。突然変異のみによるテロメラーゼ活性の低下を妨げるために、いくつかの異なる突然変異組み合わせもまた試され得る。
細胞中における試験
これらの分析の結果として生じる主な疑問は、発見されたオリゴヌクレオチドで処理された細胞が、低下したテロメラーゼ活性を示すかどうか、および長期間の処理が、テロメア短縮および細胞周期停止をもたらすかどうかに向けられる。これらの疑問において内在するのは、オリゴヌクレオチド治療学に普遍的な問題:ヌクレアーゼ安定性および細胞膜を横切っての送達である(I. Lebedeva, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 4, 403-419 (2001))。いくつかの多様な骨格修飾が、エキソヌクレアーゼに対する安定性を増加させることが示され、核酸合成用の修飾モノマーが市販されている。
マイクロアレイ分析から発見された配列は、結合部位に対応すると考えられる、ある特定のコンセンサス配列の周囲にクラスター化された6〜8マーの配列である傾向があった。各クラスターからのいくつかの配列を結合についてアッセイし、得られたKD値の範囲を要約し、より低いKD値は、最も高い相補性を有する最も長い配列に通常対応した。結合親和性を、最初に、CR4-CR5ドメインのみを示す構築物で測定し、そしてSEQ ID NO: 1の結合親和性を全長構築物において確認した。クラスター1および4からの配列をTRAPによってアッセイし、1つの配列のみ(GCCUCCAG、即ち、SEQ ID NO: 1)が活性の阻害を示した。クラスター2および3はFPによって結合を示さず、これれをTRAPによってアッセイしなかった。SEQ ID NO: 1のヌクレアーゼ耐性を増加させるために、いくつかのオリゴヌクレオチドのサンプルを合成した。アスタリスクは、骨格上の対応の修飾の存在を示す。全長hTR構築物を用いて、KD値を測定した。
ホスホロチオアート骨格は、ヌクレアーゼ耐性を増加させ(I. Lebedeva, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 4, 403-419 (2001))、さらにオリゴヌクレオチドをより細胞透過性にする(G.D. Gray, Biochem. Pharmacol., 53, 1465-1476 (1997))ことが公知である。ホスホロチオアート修飾はまた、ヘリックス安定性を低下させ得、ホスホロチオアート修飾を有するSEQ ID NO: 1のいくつかの型を作製したが、TRAPによる阻害は、表2において見られるように、約10μMのIC50値で、いずれかの末端での単一の修飾によってのみ保存される。ヌクレアーゼ安定性ならびに二本鎖融解温度を増加させる修飾である、固定化核酸骨格を用いて、SEQ ID NO: 1の変異体(SEQ ID NO: 1Lと呼ぶ)を合成した(H. Kaur, Chem. Rev., 107, 4672-2697 (2007))。SEQ ID NO: 1Lはまた、2’-O-メチル,オール-ホスホジエステル SEQ ID NO: 1のそれと同様のIC50で、TRAPによってテロメラーゼ阻害を示す(表2)。
細胞膜を横切っての送達の問題点は、培養細胞にオリゴヌクレオチドをリポフェクションすることによって、一時的に回避され得る。SEQ ID NO: 1変異体が、培養細胞中へのトランスフェクション後、テロメラーゼ阻害をすることができることがいったん確立されると、可能な限り多くの効能を保持し得る送達方法が探究され得る。SEQ ID NO: 1変異体が培養細胞中において阻害効果を示すかどうかを測定するために、短時間処理実験が行われ得、ここで、培養腫瘍細胞にオリゴヌクレオチドがトランスフェクションされ、次いで、短時間後にテロメラーゼ活性についてアッセイされる(B.-S. Herbert, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 14276-15291 (1999))。
トランスフェクション直後にテロメラーゼ活性を阻害することができるオリゴヌクレオチド変異体は、長期間処理研究が行われ得、ここで、連続的な処理が数週間行われ、細胞増殖が定期的に確認され、長期間にわたって平均テロメア長が測定される(M.R. Alam, Nucleic Acids Res., 36, 2764-2776 (2008))。並行して、送達も最適化され得る。オリゴヌクレオチド単独の透過能力を測定した後、脂質(C.B. Harley, Nat. Rev. Cancer, 8, 167-179 (2008))、ペプチド(M.R. Alam, Nucleic Acids Res., 36, 2764-2776 (2008))、または小分子/薬物部分(W.M. Flanagan, Nat. Biotechnol., 17, 48-52 (1999))が、有望なオリゴヌクレオチド変異体へ付加され得る。
標的RNAサンプル調製
5’末端に色素標識(Cy3またはDY-547)を有するヒトテロメラーゼシュードノット構築物PKWTおよびPKWT1を、Dharmaconから購入した。50 ntより長い全てのRNAフラグメントを、適切なプライマーを使用しての、アミノアリル-UTPの存在下での、hTR48を含有するpRc/CMVベクターからPCRによって作製されたdsDNAテンプレートからのランオフ(run-off)インビトロ転写によって得た。4 mM NTP、1 U/mL酵母無機ピロホスファターゼ、RNase阻害剤、および10X転写バッファー(400 mM Tris, pH 8、100 mM MgCl2、50 mM DTT、10 mMスペルミジンおよび0.1 % Triton X-100)の存在下で、精製His6標識(SEQ ID NO: 55)T7-RNAポリメラーゼを使用して、インビトロ転写を37℃で一晩行った。DNase I処理(15〜30分、37℃)、エタノール沈殿、および変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)による精製の後、標的RNAをCy3-NHSエステル(Amersham、0.1M Na2CO3, pH 8.5、50% DMSO/H2O、1時間)で標識した。過剰な色素をエタノール沈殿によって除去し、標識RNAを1X TBE(90 mM Tris-ボラート、2 mM EDTA)バッファー中での変性PAGEおよび続いての脱塩によって精製した。RNA純度、収率、および1個のRNA分子当たりの組み入れられた色素の割合を、波長260、280および550 nmでの光学(OD)測定によって、ならびに臭化エチジウム染色を伴うアガロースゲル電気泳動によって測定した。
マイクロアレイハイブリダイゼーションおよびデータ解析
分析を容易にするために、RIPtideチップは、2’-O-メチルアレイの境界を定める4つの領域を含み、これは、特異的プローブ(オリゴB2、Affymetrix)で染色されると、グリッドアライメントガイドとして目に見える「チェッカーボード」を表示する。これは、Affymetrix Genechipアレイで一般的に使用される標準ハイブリダイゼーションプロトコルを改変することによって達成された。簡潔には、バッファーおよびBSAのハイブリダイゼーションカクテルを使用して、45℃で16時間、250 pMオリゴヌクレオチドB2をチェッカーボードへハイブリダイズさせた。その後、ストレプトアビジン-フィコエリトリンを使用してプローブを染色し、チップをスキャンした。典型的に、2ラウンドのハイブリダイゼーション−染色が、最適な蛍光コントラストを得るために必要であったが、時折、1ラウンドで十分であるとわかった。
折り畳まれたCy3標識RNAの溶液を95℃で3分間加熱し、マグネシウムを含有する1Xアレイバッファー中において37℃へ徐々に冷却した(最終濃度50 mMリン酸カリウム、150 mM KClおよび5 mM Mg(OAc)2, pH 7.4)。チェッカーボード染色マイクロアレイを、RNA添加前の30分間、37℃で1Xアレイバッファーと共にプレインキュベートした。これらの実験において使用した折り畳まれたRNAの濃度は、1〜16時間、37℃でのインキュベーションで、1〜100 nMまで異なった。16時間実験を、ハイブリダイゼーション条件下でコントロールについて行った。次いで、アレイを1Xアレイバッファーで洗浄し、Affymetrix Genechip 3000 7Gスキャナーを使用してスキャンした。シグナル対ノイズ比を高めるために、追加のよりストリンジェントな洗浄を使用した。
GCOS(Genechip Operating Software、Affymetrix Inc.)を使用して、マイクロアレイ画像を解析した。標的RNAインキュベーションの前にアレイをスキャンすることによって、バックグラウンド蛍光を定性的に評価した。結果をSpotfire(TIBCO)またはRosetta Resolver(Rosetta)ソフトウェアを用いて視覚化した。RIPtideの最初の蛍光に基づくランキングを、Microsoft Accessを用いて行った。反復実験についての最大蛍光値を比較し、この段階では、標準化は必要ないと考えた。
生の蛍光値を平均化した後、上位100個のヒットのリストを、インハウスで開発したPerlスクリプトを使用して抽出した。RIPtide配列を標的RNA配列に対して並べ、推定結合部位を同定した。
蛍光偏光
FAM(6-カルボキシフルオレセイン)標識オリゴヌクレオチドを、MerMade 12(BioAutomation)DNA合成機を使用して3’-(6-フルオレセイン)CPG支持体(Glen Research)上に合成し、Poly Pak-II(Glen Research)カートリッジで精製し、MALDI-TOF MSによって組成的に確認した。非標識全長hTRを、RIPtideスクリーニングについて前述した条件下で、但しアミノアリル-UTPを添加せずに、T7 RNAポリメラーゼの存在下で、インビトロ転写によって作製した。DNase I処理およびエタノール沈殿後、RNeasy Midiキット(Qiagen)を使用してhTRを精製した。非標識PKWTおよびPKWT-1をDharmaconから購入し、PAGE精製し、脱塩した。漸増濃度の折り畳まれたRNA(典型的に、300 pM〜3μM)で、FAM標識RIPtide(5 nM)を滴定した。RIPtide およびRNAを含有する溶液を、37℃で2時間インキュベートし、その後、SpectraMax M5(Molecular Devices)プレートリーダーを使用して室温で蛍光偏光を記録した。偏光(ミリ偏光単位で表される)を、525 nm(カットオフ515 nm)の励起で485 nmにてモニタリングした。アッセイにおいて使用したネガティブコントロールは、全ての2’-O-Me 8マーA、C、GおよびUホモポリマー、核酸が結合されていないFAMリンカー、および本明細書に記載されるようなミスマッチ含有RIPtideを含んだ。Kaleidagraph 3.5(Synergy Software)を使用して、解離定数を測定した。三つ組の実験を以下の等式へ当てはめた:(m1+(m2-m1)/(1+10^(log(m3)-x));m1=100;m2=.1;m3=.0000003。
hTR−RIPtide結合部位のマッピングのために、QuickChange-XL突然変異誘発キット(Stratagene)を使用してpRc/CMVプラスミド(Collins lab, UC Berkeley)上における部位特異的突然変異誘発を行い、配列決定によって確認した。(それらのWatson-Crick相補的塩基への)2つの連続塩基突然変異を組み入れる全長hTR転写物を、蛍光偏光研究のために作製した。
TRAP活性アッセイ
RIPtideを合成し、PolyPak-II C18逆相カートリッジで精製し、MALDI-TOF MSによって構成的に確認した。テロメラーゼ陽性細胞は、ATCCから購入したか(DU145およびHEK293)、またはChemicon TRAPキットにおいて提供された(HeLa)。1X CHAPS溶解バッファー(Chemicon)を用いての界面活性剤溶解によって、細胞ペレットから細胞抽出物を調製した。RIPtideを、TRAPアッセイ前に、37℃で1時間、細胞抽出物と共にインキュベートした。Herbertら(Nat. Protocols 1, 1583-1590 (2006))によって以前記載されたように、定量システムとして蛍光を使用するプロトコルに従って、アッセイを行った。簡潔には、テロメラーゼによる蛍光性人工基質の伸長を30℃で30分間行い、続いて30回のPCRサイクル(34℃30秒、59℃30秒、72℃1分)で増幅させた。テロメラーゼ伸長産物を10%ネイティブPAGEゲル上で分離し、バンドを蛍光イメージングによって視覚化し、ImageQuant(商標)(GE Healthcare)を使用して定量化した。0.6 nM〜60μMの範囲のRIPtideの濃度、および最初のスクリーニングについて、HeLa細胞抽出物を使用して、実験を二重で行なった。活性RIPtideについて、DU145(前立腺癌)およびHEK293細胞抽出物を使用して、実験を繰り返した。いくつかのコントロールを実験設計に含めた:ポジティブコントロール(未処理細胞溶解物)、ネガティブコントロール(バッファーのみ、熱不活性化およびRNase処理細胞抽出物)、およびPCR増幅コントロール(テロメラーゼ伸長の後かつPCR工程の前に60μMのRIPtideを添加)。細胞ベースのTRAPアッセイについて、DU145細胞に、0.2%Lipofectamine(商標)2000(Invitrogen)および165 nM RIPtideを24時間の間、トランスフェクションした。細胞を採取し、カウントし、1X CHAPS溶解バッファーで溶解し、Bradfordアッセイによって測定されるように総タンパク質濃度によって標準化した。アッセイを上述のように三つ組で行った。
マイクロアレイ製造
2’-O-メチルオリゴヌクレオチドベースの高密度マイクロアレイの作製のために、I線(365 nm)投影リソグラフィーに基づくフォトレジスト技術を利用した13。この方法は、Affymetrix Genechipマイクロアレイの製造において使用される方法と相違し、これは、光脱保護可能な5’保護基を有する2’-デオキシヌクレオシドホスホルアミダイトを使用する。5’-DMT-2’-O-メチルホスホルアミダイトを、RIPtideマイクロアレイのオンチップ合成についてモノマーとして使用し、光生成酸を、鎖伸長の間5’-DMT基を除去するために使用した。アレイ用のシリカ基板を先ずシラン処理し、次いで、最初の核酸カップリング行程の前に、ヘキサエチレングリコール誘導体(オリゴヌクレオチドとアレイ表面との間のスペーサーとして使用される)と反応させた。次いで、光酸発生剤を含有するフィルムを基板上へコーティングし、調整し、ステッパーにおいて第1マスクへ露光し、光生成酸が生じ、これによって第1脱トリチルを行った。次いで、フィルムを除去し、基板を、第1 DMT保護ホスホルアミダイトモノマーが添加されたセルフロー中において処理した。キャッピング、酸化および洗浄の続いての工程を行い、次のマスクおよびオリゴヌクレオチドを順に使用して、プロセスを繰り返した(図2)。合成が完了した後、基板を有機塩基の溶液で処理し、RIPtideから保護基を除去した。ウエハーをリンスし、窒素下でスピンドライし、個々のチップへダイシングした。これらのマイクロアレイ上の全長RIPtideの最終密度は、約30〜50 pmol/cm2であり、17.5μmのフィーチャーサイズを有した。チップはまた、13マー2’-O-Me配列5’-ACGGTAGCATCTT-3’(SEQ ID NO: 56)からなるグリッドアライメント用のチェッカーボードを含み、これは、市販のAffymetrix Oligo B2
Figure 2012504962
とのハイブリダイゼーションを可能にする。
RNA製造
RNAドメイン転写のためのフォワードおよびリバースプライマー:全長hTR、1〜451 nt
Figure 2012504962
シュードノット/テンプレート、1〜211 nt(全長と同一のフォワード、
Figure 2012504962
)、PK123、63〜185 nt
Figure 2012504962
PK159、33〜191 nt
Figure 2012504962
PK175、26〜100 nt
Figure 2012504962
インビトロ転写試薬:Cy3標識RNA。転写反応は、200μL反応体積について、20μLの10 X転写バッファー、40μL NTP(20 mM、Invitrogen)、10μLのアミノアリル-UTP(50 mM、Fermentas)、60μL PCR産物、20μL IPPase(Aldrich、0.01 U/μLへ溶解)-RNase阻害剤(Roche)、5μLのT7-RNAポリメラーゼ、および45μL RNaseフリー水を含んだ。転写収率は、典型的に、1μgのDNAテンプレート当たり0.1〜0.25 mg RNAの範囲内であった。非標識RNA。FP実験のために、全長hTRについて一般的に使用した条件:200μL反応について、20μL 10 X転写バッファー、40μL NTP(20 mM、Invitrogen)、60μL PCR産物、20μL IPPase(Aldrich、0.01 U/μLへ溶解)-RNase阻害剤(Roche)、5μLのT7-RNAポリメラーゼ、および55μLRNaseフリー水;1μgのDNA当たり0.1〜0.25 mg RNAの典型的な収率。転写バッファー(10X):400 mM Tris, pH 8、100 mM MgCl2、50 mM DTT、10 mMスペルミジン、および0.1% Triton X-100。
追加のマイクロアレイプロトコル
バッファーおよび試薬:2Xハイブリダイゼーションバッファー(100 mM MES、1M [Na+]、20 mM EDTA、0.01% Tween 20);2X染色バッファー(100 mM MES、1M [Na+]、0.05% Tween 20);洗浄A(6X SSPE、0.01 % Tween 20、0.005% 消泡剤);洗浄B(100 mM MES、0.1M [Na+]、0.01% Tween 20);20X SSPE(3M NaCl、0.2 M NaH2PO4、0.02 M EDTA);SSPE、食塩水-リン酸ナトリウム-EDTA;MES、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸;BSA、ウシ血清アルブミン;SAPE、ストレプトアビジンフィコエリトリン。
下記の手順は、折り畳まれたRNAを使用するRIPtideバインダーについてのスクリーンに特に適した、Genechip Hybridization Protocolsの改変である。チェッカーボード染色:(1)オリゴB2(Affymetrix Inc.)のハイブリダイゼーション。ハイブリダイゼーションカクテル:オリゴB2(3 nM、最終濃度250 pM)、BSA、2xハイブリダイゼーションバッファー、およびRNaseフリー水。条件:GeneChip(登録商標)ハイブリダイゼーションオーブン640(Affymetrix)を使用して、16時間、45℃、60 rpm。(2)AffymetrixプロトコルFlexGEws2x4v_450、ならびに以下の染色カクテルを使用する染色:2x染色バッファー、BSA、SAPE、およびRNaseフリー水。
アレイ条件:標準条件。RNA標的を、方法セクションに記載のバッファーに溶解し、再び折り畳んだ。100 nM RNAを、GeneChip(登録商標)ハイブリダイゼーションオーブン内で、37℃で1時間、60 rpmで、アレイと共にインキュベートした。次いで、アレイを折り畳みバッファーで短時間洗浄した(5分)(要求に応じて完全洗浄プロトコルが利用可能)。80 ntより長いRNAについて、Affymetrixからの「EukGEws1」プロトコルを使用した(下記参照)。他の一般的に使用した条件は、37℃で6時間の、10 nMの標的RNAとアレイとのインキュベーションを必要とした。さらに、大きなRNA転写物PK123およびPK159について、10 nMで18時間37℃でのインキュベーションもテストした。これらの条件は、通常、より高い程度のWatson-Crick認識をもたらした。マイクロアレイ洗浄:(1)最初の洗浄(穏やか)。50 mMリン酸カリウム緩衝液、5 mM Mg(OAc)2、150 mM KCl, pH = 7.4。1Xアレイバッファーを用いて25℃で3ミックス/サイクルを5サイクル(約5分)。この洗浄プロトコルを全てのRNA構築物へ適用した。(2)第2洗浄(Affymetrix Genechip Protocolsから適合させた;よりストリンジェント)。80 ntよりも長い構築物に好適な追加の洗浄。洗浄バッファーAを用いて25℃で2ミックス/サイクルを10サイクル;洗浄バッファーBを用いて50℃で15ミックス/サイクルを4サイクル、30分洗浄A、ならびに洗浄バッファーAを用いて25℃で4ミックス/サイクルを10サイクル。
RIPtide合成
6分のカップリング時間および50秒の酸化工程を使用して、0.2または1μmol規模で、MerMade 12(BioAutomation)DNA合成機を使用して、2’-OMe RIPtideを作製した。続いてのPoly Pak-II(Glen Research)精製のためにDMTオンで(DMT-on)合成を行った。選択したRIPtideを、活性アッセイにおける使用のために、C18-逆相HPLCによってさらに精製した。ホスホロチオアートおよびLNA合成について、同一のパラメータを使用し、いずれもGlen Research製の、硫化試薬II(DDTT)およびLNAホスホルアミダイトモノマーを使用した。
TRAPアッセイ
RIPtideの阻害ポテンシャルを、600 pM〜60μM濃度範囲を使用して、二重の実験で、HeLa細胞抽出物において最初に評価した。選択したRIPtideを用いての実験を、0.6 pM〜60μMの濃度範囲について繰り返した。オール-LNA配列として同様に合成およびアッセイした配列IV-3を除いて、ここで報告される全てのRIPtideは、2’-O-メチル誘導体であった(ホスホジエステルまたはホスホロチオアート骨格を有する)。RIPtide長は、6ヌクレオチドから8ヌクレオチドまで異なり(RIPtideマイクロアレイスクリーンからのヒット)、さらに、一連の12マーおよび14マーを関心対象の各クラスターについて研究し、テロメラーゼ阻害剤としてのそれらの効力に対するRIPtide長の効果を測定した。
細胞培養条件
形質転換胚性腎臓細胞株HEK293および前立腺癌細胞株DU145を、5%CO2中において37℃で、10%ウシ胎仔血清が補われたDMEM中に維持した。TRAPアッセイのための可溶性細胞抽出物を、製造業者の使用説明書に記載される通りに、200 μL 1X CHAPS溶解バッファー(Chemicon)を用いての106個の細胞の界面活性剤溶解によって、調製した。
要約
RNA相互作用ポリヌクレオチド(RNA-Interacting Polynucleotide)について、本明細書においてRIPtideと呼ばれる、折り畳まれたRNA分子を標的化する短いポリヌクレオチドの同定のための新規の構造的に客観的なマイクロアレイベースの方法が、本明細書に記載される。プラットフォームの重要な成分は、4〜8ヌクレオチド長(N=4、5、6、7、および8)を有しかつ4個の標準RNA塩基(A、C、G、およびU)を有する2’-O-メチル化RNAの全ての可能な配列を提示するNマーマイクロアレイである。本報告は、核酸アナログの大きな高密度マイクロアレイの初めての使用を示す。
2’-O-メチルRIPtideは、典型的に、対応の2’-デオキシオリゴヌクレオチドよりも50倍を超えてより強くそれらの標的に結合することがわかった。N=4〜8の全ての2’-オリゴデオキシヌクレオチドを含むNマーRIPtideマイクロアレイは、ヒットを観察するためにはマイクロモル濃度のRNA標的および一晩のインキュベーションを必要とし、これらは、事実上、全て8マーであったこともまたわかった(W.L.S., A.R.P., R.K., G.M., およびG.L.V.、未公表の結果)。対照的に、2’-O-メチル化RIPtideマイクロアレイを用いて、ナノモル濃度のRNAと共の1時間のインキュベーションは、顕著な数のヒットをもたらし、8マーヒット、7マーヒットおよび6マーヒットさえ示され、続いて、溶液中においてバインダーとして確認された。市販の5’-ジメトキシトリチル-保護3’-ホスホルアミダイトと完全に適合性である、本明細書において使用したフォトレジストベースの合成手順は、例えば、多くの他の種類の潜在的に興味深くかつ有用である核酸アナログを提示するRIPtideマイクロアレイの作製に、直ちに適用可能であると考えられる。核酸アナログについての可能性としては、固定化核酸(LNA)(Kaur, H. et al., Chem. Rev. 107, 4672-4697 (2007))、2’-メトキシエチル-(MOE)置換RNA(Bennett, C. F., Antisense Drug Technology (2nd Ed.), 273-303 (2008))、およびグリシジル核酸(GNA)(Schlegel, M.K. et al., ChemBioChem 8, 927-932 (2007))が挙げられるが、これらに限定されない。
マイクロアレイスクリーンを相互作用の非標準様式よりも標準的なWatson-Crick結合に関して客観的であるように工夫したが、本スクリーンにおいて非標準バインダーの明白な例はない。遥かにより多い数のヒットのより徹底的な分析が非標準バインダーをもたらすことは全く可能であるが、少なくともテロメラーゼシュードノットでは、上位20〜30は、標的RNA上の配列に対してほぼ完全なWatson-Crick相補性を常に示し、これらのヒットは、標的に対しての僅かなフレームシフトまたは配列もしくは長さの他の僅かな差異を有する他のものと共にクラスターを形成した。分子内RNA/RNA相互作用(即ち、RNA折り畳み)の1つの重要な特徴は、2’-ヒドロキシル基であり、これは、しばしば、広範囲の多様な水素結合相互作用で係合する(Leontis, N.B, Westhof, E., RNA 7, 499-512 (2001))。理論によって拘束されることを望まないが、2’-OHを巻き込むこれらの相互作用は、非標準結合構造の形成に欠くことのできない安定化力を提供することがあり得る。これは、例えば、2’-ヒドロキシルまたは機能的等価物を有するマイクロアレイを製造することによって、テストされ得る。別の態様において、RIPtideアレイにおいて示される核酸塩基のアルファベットは、Hoogsteenまたは他の様式で対形成するための実質的な性質を有するものを含むように拡大され得;このような核酸塩基の例としては、グアニンおよびアデニンの8-オキソ-および8-アミノ誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に報告されるRIPtideスクリーニング実験は、短い2’-O-メチル化ポリヌクレオチドに結合することについて利用可能であるテロメラーゼシュードノット/テンプレート領域上の4つの領域を同定した。これらの領域のうち、最も多くのRIPtide(クラスターV)に結合したものは、テンプレートである。テンプレートがマイクロアレイ結合RIPtideに係合することは、折り畳まれたRNA標的中の特に生産的な結合部位についてのスクリーンとして方法を確認する。RNA上の非常に少数の部位がRIPtideによって標的化可能であるとわかったという観察、および本スクリーンにおいて同定された全ての部位が少なくとも部分的に一本鎖の特徴を有すると構造プロービングおよび配列共変動からわかったことは、RNA標的は、折り畳みダイヤグラムに描写されるものに関連する折り畳まれた構造をとるというさらなる証拠を提供する。とは言うものの、二次構造のみに基づいてアクセス可能であると予想され得たシュードノット/テンプレート中のある領域が、RIPtide結合について生産的ではないことがわかる。例えば、J2a.1/2aバブル、テンプレートの5’および3’末端、ならびにJ2a/3ループの3’末端全体は、仮にあったとしてもPK159においてかろうじて標的化され(図4C)、このことは、これらの領域は、二次元折り畳みダイヤグラムによって示唆されるほど対形成相互作用フリーではない場合があることを示唆している。折り畳まれたRNA分子の高解像度構造は、一本鎖であると折り畳みダイヤグラムによって示唆された領域は、頻繁に非標準相互作用によって、しばしば実際には対形成されていることを明らかにした。クラスターII、IIIおよびIVによって標的化される領域は、部分的に一本鎖であると予想されるが、各場合において、標的化される領域は、Watson-Crick二本鎖を形成すると考えられる隣接セグメントへ広がり、いくつかの場合においては、クラスターは、同一ループの隣接セグメントに係合することよりも隣接二本鎖へ優先的に移動することが注意される。鎖置換を含むRIPtide結合事象は、自由にアクセス可能な部位についてのものよりも遅いオンレート(on-rate)を特徴とし得る。オンレートを測定することが、価値のある洞察をもたらし得ると予想される。理論によって拘束または束縛されることを望まないが、溶液Kd値とマイクロアレイヒットの順位との間に観察された相関関係は、配置されたRIPtideライブラリーのメンバー間での結合動態の不均一性から生じ得る。
本明細書において追求されるアプローチ、即ち、大きなリボ核タンパク質粒子由来の単離RNAエレメントのRIPtideマイクロアレイスクリーニングは、当技術分野における現在の方法に比べて顕著な利点を有する。最も顕著な利点は、RIPtideマイクロアレイスクリーニングについて最適な範囲内のRNA、約160nt未満のものは、獲得し、安定な構造へしばしば折り畳むのが容易であることである。テロメラーゼに関して、1つの可能性は、RNAのみを標的化することが、RNPアセンブリを妨げることによってテロメラーゼ活性を阻害することであり、これは、例えば、hTRのScaRNAドメインを標的化することより付属サブユニットのジスケリンの結合を遮断することによって、テストされ得る。本明細書に記載されるように、この戦略を使用し続いて効能最適化を行って、インビトロおよびインビボでヒトテロメラーゼ活性を阻害する、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 20を含むがこれらに限定されない、新規の配列を同定した。
新規の方法は、RNA標的の事前の構造キャラクタリゼーションを必要とせず、ショートオリゴヌクレオチドに対する優先的な結合部位の同定のための十分に構造化されたRNAのマッピングを可能にする。ショートオリゴヌクレオチドは、RNAについて高親和性を依然として保持しつつ、より長いオリゴヌクレオチドよりもより良い薬物様特徴、例えば、改善された細胞取り込み、作製の容易さ、および低コストでの修飾などを示す可能性が高い。これらのオリゴヌクレオチドベースの薬物について、正味の負電荷がオリゴヌクレオチド細胞取り込みについての障害となると考えられ、従って、より少ないリン酸基に起因する減少した負電荷を有する比較的より短いRIPtideは、他のRNA関連標的化アプローチにおいて使用される従来の20マーオリゴヌクレオチドよりもより良い細胞透過性プロファイルを示すと予想された。同時に、短配列についての要件は、マイクロアレイの製造プロセスをかなり単純化し、合成の時間およびコストの全体的な減少は言うまでもなく、種々のサイズおよび化学修飾をカスタムフォーマットアレイに組み入れることを可能にする。
初期の努力において、2’-O-メチルRIPtideからなるマイクロアレイを使用したが、同一の方法論が、他のヌクレオチドベースの分子(例えば、グリコール核酸、ホモDNA、塩基、糖、骨格に修飾を有するRIPtideなど)を使用して適用され得る。さらに、前記アプローチは、単一のマイクロアレイプラットフォームへ限定されない。RIPtideアプローチの最初の適用は、高密度Genechipアレイと同様のフォーマットでAffymetrixによって製造されたマイクロアレイに対してであったが、コンセプトはまた、合成されたRIPtideが固体表面上へ固定され得る限り、種々のタイプのアレイ、例えば、自作のマイクロアレイへ広げることができる。
RIPtideマイクロアレイアプローチにおいて明確である、関心対象の別の局面は、原理上は、RNA折り畳みおよびRNA−タンパク質認識事象のプロセスにおける非標準相互作用の適切な役割を考慮に入れて、RIPtideの存在下での折り畳まれたRNAのスクリーニングが、Watson-Crick認識事象に排他的に限定されないRNAバインダーの同定方法を提供し得るという事実である。従って、標準的な(Watson-Crick塩基対形成)ならびに推定非標準的な(Wobble、Hoogsteen、共有対など)相互作用の両方を含む、オリゴヌクレオチド−RNA相互作用の全レパートリーを検出することができように、客観的なまたは規定のないスクリーニングが設計された。
本研究において、RIPtide方法論を、幾分複雑な生物学的システム、ヒトリボ核タンパク質テロメラーゼに属する高度に構造化されたRNAのドメインの研究のために適用したが、他のRNAも標的として同様に使用され得る。ヒトテロメラーゼシュードノット/テンプレートドメインの場合において、2’-O-メチルRIPtideの特定の場合について、オリゴヌクレオチド結合についてのより高い傾向が、細胞状況において非常にアクセス可能であることが公知であるシュードノット/テンプレートドメインのテンプレート領域、ループJ2a/J2b、ループJ2b/3(シュードノットは本発明者らの実験のインビトロ条件下で永久に形成されない場合があることも示唆している)、およびループJ2a/3の5’末端に対して見出された。これらの領域の大部分は、他のタンパク質成分の非存在下で、RNA構造において比較的オープンであると予想される配列のフラグメントおよびループを含む。
生物学的状況において、hTRは、ホロ酵素RNP複合体の構成要素として、細胞中において転写酵素および種々のタンパク質と完全に会合されると予想されるので、RNAの部分は、本発明者らのスクリーニング研究に含まれない種々のタンパク質成分と密接に相互作用し、このことは、hTRとの最適な相互作用についてのRIPtideのアクセスを低下させ得ることが、考えられる。しかし、RIPtideスクリーニングは、顕著な抗テロメラーゼ活性を有するいくつかの配列の同定を既に容易にした。この技術は、hTR内の他の機能および構造ドメインをスクリーニングすることによって、触媒作用および/またはアセンブリに干渉することによりテロメラーゼ機能の調節因子として使用され得る多くの他の新規の核酸配列の発見を促進するためのツールとして使用され得ることが、予想される。
本発明は、下記の番号が付けられた項のいずれかにおいて定義され得る:
1.ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、テロメラーゼ阻害剤。
2.前記核酸がリボ核酸である、項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
3.前記核酸が核酸アナログである、項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
4.前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、項3記載の核酸アナログ。
5.前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
6.前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
7.SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
8.SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
9.テロメラーゼ活性を阻害する方法であって、テロメラーゼと、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとを接触させる工程を含む、方法。
10.前記核酸がリボ核酸である、項9記載の方法。
11.前記核酸が核酸アナログである、項9記載の方法。
12.前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、項11記載の核酸アナログ。
13.前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、項9記載の方法。
14.前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、項9記載の方法。
15.前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項9記載の方法。
16.前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項9記載の方法。
17.細胞中におけるテロメラーゼ活性を阻害する方法であって、細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとを接触させる工程を含む、方法。
18.前記細胞をインビトロで接触させる、項17記載の方法。
19.前記核酸がリボ核酸である、項17記載の方法。
20.前記核酸が核酸アナログである、項17記載の方法。
21.前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、項20記載の核酸アナログ。
22.前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、項17記載の方法。
23.前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、項17記載の方法。
24.前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項17記載の方法。
25.前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項17記載の方法。
26.有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、方法。
27.前記核酸がリボ核酸である、項26記載の方法。
28.前記核酸が核酸アナログである、項26記載の方法。
29.前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、項28記載の核酸アナログ。
30.前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、項26記載の方法。
31.前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、項26記載の方法。
32.前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項26記載の方法。
33.前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項26記載の方法。
34.前記増殖性障害が癌である、項26記載の方法。
35.テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、治療組成物。
36.前記核酸がリボ核酸である、項35記載の治療組成物。
37.前記核酸が核酸アナログである、項35記載の治療組成物。
38.前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、項37記載の核酸アナログ。
39.前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、項35記載の治療組成物。
40.前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、項35記載の治療組成物。
41.前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項35記載の治療組成物。
42.前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項35記載の治療組成物。
43.ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸分子またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤であって、該核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、テロメラーゼ阻害剤。
44.前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項43記載のテロメラーゼ阻害剤。
45.前記結合配列がSEQ ID NO: 20を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項43記載のテロメラーゼ阻害剤。
46.細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログとを接触させる工程を含む、細胞中におけるテロメラーゼ活性を阻害する方法であって、該リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、方法。
47.前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項46記載の方法。
48.前記結合配列がSEQ ID NO: 20を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項46記載の方法。
49.有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含み、ここで、該リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、方法。
50.前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項49記載の方法。
51.前記結合配列がSEQ ID NO: 20を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項49記載の方法。
52.前記増殖性障害が癌である、項49記載の方法。
53.テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、ここで、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含み、ここで、リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、治療組成物。
54.前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される配列を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項49記載の治療組成物。
55.前記結合配列が、SEQ ID NO: 20を含むか、またはそれらから本質的になるか、あるいはまた、それらからなる、項49記載の治療組成物。
Figure 2012504962
Figure 2012504962

Claims (55)

  1. ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、テロメラーゼ阻害剤。
  2. 前記核酸がリボ核酸である、請求項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
  3. 前記核酸が核酸アナログである、請求項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
  4. 前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、請求項3記載の核酸アナログ。
  5. 前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、請求項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
  6. 前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、請求項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
  7. SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含む、請求項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
  8. SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含む、請求項1記載のテロメラーゼ阻害剤。
  9. テロメラーゼ活性を阻害する方法であって、テロメラーゼと、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとを接触させる工程を含む、方法。
  10. 前記核酸がリボ核酸である、請求項9記載の方法。
  11. 前記核酸が核酸アナログである、請求項9記載の方法。
  12. 前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、請求項11記載の核酸アナログ。
  13. 前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、請求項9記載の方法。
  14. 前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、請求項9記載の方法。
  15. 前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含む、請求項9記載の方法。
  16. 前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含む、請求項9記載の方法。
  17. 細胞中におけるテロメラーゼ活性を阻害する方法であって、細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログとを接触させる工程を含む、方法。
  18. 前記細胞をインビトロで接触させる、請求項17記載の方法。
  19. 前記核酸がリボ核酸である、請求項17記載の方法。
  20. 前記核酸が核酸アナログである、請求項17記載の方法。
  21. 前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、請求項20記載の核酸アナログ。
  22. 前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、請求項17記載の方法。
  23. 前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、請求項17記載の方法。
  24. 前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含む、請求項17記載の方法。
  25. 前記核酸またはそのアナログが、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含む、請求項17記載の方法。
  26. 有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、方法。
  27. 前記核酸がリボ核酸である、請求項26記載の方法。
  28. 前記核酸が核酸アナログである、請求項26記載の方法。
  29. 前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、請求項28記載の核酸アナログ。
  30. 前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、請求項26記載の方法。
  31. 前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、請求項26記載の方法。
  32. 前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含む、請求項26記載の方法。
  33. 前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含む、請求項26記載の方法。
  34. 前記増殖性障害が癌である、請求項26記載の方法。
  35. テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のCR4-CR5ドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含む、治療組成物。
  36. 前記核酸がリボ核酸である、請求項35記載の治療組成物。
  37. 前記核酸が核酸アナログである、請求項35記載の治療組成物。
  38. 前記核酸アナログがリボ核酸アナログである、請求項37記載の核酸アナログ。
  39. 前記テロメラーゼ阻害剤が、前記CR4-CR5ドメインのJ5/J6ループへ結合する、請求項35記載の治療組成物。
  40. 前記核酸またはそのアナログが、4〜20ヌクレオチド長の結合配列を含む、請求項35記載の治療組成物。
  41. 前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 10からなる群より選択される配列を含む、請求項35記載の治療組成物。
  42. 前記テロメラーゼ阻害剤が、SEQ ID NO: 1およびSEQ ID NO: 2からなる群より選択される配列を含む、請求項35記載の治療組成物。
  43. ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸分子またはそのアナログを含むテロメラーゼ阻害剤であって、該核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、テロメラーゼ阻害剤。
  44. 前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される、請求項43記載のテロメラーゼ阻害剤。
  45. 前記結合配列がSEQ ID NO: 20を含む、請求項43記載のテロメラーゼ阻害剤。
  46. 細胞と、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログとを接触させる工程を含む、細胞中におけるテロメラーゼ活性を阻害する方法であって、該リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、方法。
  47. 前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される、請求項46記載の方法。
  48. 前記結合配列がSEQ ID NO: 20を含む、請求項46記載の方法。
  49. 有効量のテロメラーゼ阻害剤を被験体へ投与する工程を含む、その必要がある被験体における増殖性障害を治療する方法であって、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合するリボ核酸分子またはそのアナログを含み、ここで、該リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、方法。
  50. 前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される、請求項49記載の方法。
  51. 前記結合配列がSEQ ID NO: 20を含む、請求項49記載の方法。
  52. 前記増殖性障害が癌である、請求項49記載の方法。
  53. テロメラーゼ阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療組成物であって、ここで、該テロメラーゼ阻害剤が、ヒトテロメラーゼのRNA成分のシュードノット/テンプレートドメインへ結合する核酸またはそのアナログを含み、ここで、リボ核酸分子またはそのアナログが、SEQ ID NO: 11〜SEQ ID NO: 45からなる群より選択される結合配列を含む、治療組成物。
  54. 前記結合配列が、SEQ ID NO: 19〜SEQ ID NO: 24;SEQ ID NO: 39;SEQ ID NO: 44;およびSEQ ID NO: 45からなる群より選択される、請求項49記載の治療組成物。
  55. 前記結合配列が、SEQ ID NO: 20を含む、請求項49記載の治療組成物。
JP2011531148A 2008-10-07 2009-10-07 テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法 Ceased JP2012504962A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10343008P 2008-10-07 2008-10-07
US61/103,430 2008-10-07
PCT/US2009/059867 WO2010042636A2 (en) 2008-10-07 2009-10-07 Telomerase inhibitors and methods of use thereof

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015147794A Division JP2016027800A (ja) 2008-10-07 2015-07-27 テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012504962A true JP2012504962A (ja) 2012-03-01

Family

ID=42101187

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011531148A Ceased JP2012504962A (ja) 2008-10-07 2009-10-07 テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法
JP2015147794A Pending JP2016027800A (ja) 2008-10-07 2015-07-27 テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015147794A Pending JP2016027800A (ja) 2008-10-07 2015-07-27 テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20110257251A1 (ja)
EP (1) EP2344204A4 (ja)
JP (2) JP2012504962A (ja)
KR (1) KR20110086815A (ja)
CN (1) CN102238967A (ja)
AU (1) AU2009302385B2 (ja)
CA (1) CA2739788A1 (ja)
WO (1) WO2010042636A2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101881596B1 (ko) 2008-12-02 2018-07-24 웨이브 라이프 사이언시스 재팬 인코포레이티드 인 원자 변형된 핵산의 합성 방법
SG177564A1 (en) 2009-07-06 2012-02-28 Ontorii Inc Novel nucleic acid prodrugs and methods of use thereof
WO2012039448A1 (ja) 2010-09-24 2012-03-29 株式会社キラルジェン 不斉補助基
EP2734208B1 (en) 2011-07-19 2017-03-01 Wave Life Sciences Ltd. Methods for the synthesis of functionalized nucleic acids
KR102213609B1 (ko) 2012-07-13 2021-02-08 웨이브 라이프 사이언시스 리미티드 키랄 제어
EP2872485B1 (en) 2012-07-13 2020-12-16 Wave Life Sciences Ltd. Asymmetric auxiliary group
WO2014010718A1 (ja) 2012-07-13 2014-01-16 株式会社新日本科学 キラル核酸アジュバント
CN105492460A (zh) 2013-06-14 2016-04-13 哈佛大学的校长及成员们 稳定化多肽胰岛素受体调控剂
JPWO2015108048A1 (ja) 2014-01-15 2017-03-23 株式会社新日本科学 抗腫瘍作用を有するキラル核酸アジュバンド及び抗腫瘍剤
JPWO2015108046A1 (ja) 2014-01-15 2017-03-23 株式会社新日本科学 抗アレルギー作用を有するキラル核酸アジュバンド及び抗アレルギー剤
WO2015108047A1 (ja) 2014-01-15 2015-07-23 株式会社新日本科学 免疫誘導活性を有するキラル核酸アジュバンド及び免疫誘導活性剤
AU2015207773B2 (en) 2014-01-16 2021-06-17 Wave Life Sciences Ltd. Chiral design
CN106984165A (zh) * 2017-06-09 2017-07-28 史汉祥 一种烟气净化反应器及锥体结构件

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003070742A1 (en) * 2002-02-20 2003-08-28 Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF TELOMERASE GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999065928A2 (en) * 1998-06-19 1999-12-23 Genzyme Corporation Polynucleotide population isolated from non-metastatic and metastatic breast tumor tissues
US6172216B1 (en) * 1998-10-07 2001-01-09 Isis Pharmaceuticals Inc. Antisense modulation of BCL-X expression
US6342358B1 (en) * 2000-08-24 2002-01-29 The Regents Of The University Of California Human telomerase RNA elements
JP2006507841A (ja) * 2002-11-14 2006-03-09 ダーマコン, インコーポレイテッド 機能的siRNAおよび超機能的siRNA
JP2006089471A (ja) * 2004-08-26 2006-04-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 癌の治療における抗モータリン2抗体と機能性核酸の使用

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003070742A1 (en) * 2002-02-20 2003-08-28 Ribozyme Pharmaceuticals, Inc. RNA INTERFERENCE MEDIATED INHIBITION OF TELOMERASE GENE EXPRESSION USING SHORT INTERFERING NUCLEIC ACID (siNA)

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014016705; Biochemistry Vol.43, No.2, 20040120, p.334-343 *
JPN6014016706; RNA Vol.11, No.4, 20050209, p.394-403 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2010042636A2 (en) 2010-04-15
EP2344204A4 (en) 2012-07-04
CA2739788A1 (en) 2010-04-15
KR20110086815A (ko) 2011-08-01
EP2344204A2 (en) 2011-07-20
JP2016027800A (ja) 2016-02-25
AU2009302385B2 (en) 2015-12-03
WO2010042636A3 (en) 2010-08-19
US20110257251A1 (en) 2011-10-20
CN102238967A (zh) 2011-11-09
AU2009302385A1 (en) 2010-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016027800A (ja) テロメラーゼ阻害剤およびその使用方法
JP6959293B2 (ja) B型肝炎ウイルスの遺伝子発現を阻害するための組成物および方法
JP6604544B2 (ja) エクソンスキッピング効果を有する二本鎖アンチセンス核酸
JP5816556B2 (ja) 治療剤のためのunaオリゴマー構造
Kaur et al. Perspectives on chemistry and therapeutic applications of Locked Nucleic Acid (LNA)
JP2022078069A (ja) 二本鎖RNAによるα-1アンチトリプシンの特異的阻害のための方法及び組成物
JP5976643B2 (ja) 二本鎖rnaによるベータ−カテニンの特異的阻害に対する方法と組成物
JP2016524588A (ja) 治療用オリゴヌクレオチドを送達するための二本鎖剤
JP2016509837A (ja) キメラ一本鎖アンチセンスポリヌクレオチドおよび二本鎖アンチセンス剤
JP2021521796A (ja) 高コレステロール血症及び関連状態を治療するための、pcsk9を標的とするオリゴヌクレオチド
TW201143780A (en) Treatment of Colony-stimulating factor 3 (CSF3) related diseases by inhibition of natural antisense transcript to CSF3
Hu et al. Exploring the effect of sequence length and composition on allele-selective inhibition of human huntingtin expression by single-stranded silencing RNAs
TW201219569A (en) Treatment of Sialidase 4 (NEU4) related diseases by inhibition of natural antisense transcript to NEU4
JP2021511042A (ja) Aldh2発現を阻害するための組成物及び方法
CN117120612A (zh) 用于抑制己酮糖激酶(khk)的组合物及方法
JP2016501533A (ja) 二本鎖rnaによるckap5の特異的阻害に関する方法および組成物
Ma et al. Isonucleotide incorporation into middle and terminal siRNA duplexes exhibits high gene silencing efficacy and nuclease resistance
Matsukura et al. Selective binding of trisamine-modified phosphorothioate antisense DNA to target mRNA improves antisense activity and reduces toxicity
AU2015255324A1 (en) Telomerase inhibitors and methods of use thereof
WO2023176863A1 (ja) RNAi活性を有する化学修飾オリゴヌクレオチド
CA3235941A1 (en) Compositions and methods for modulating apoc3 expression
KR20230165907A (ko) 올리고뉴클레오티드
WO2022248879A1 (en) Composition and method for adar-mediated rna editing
EP4077670A1 (en) Use of cops3 inhibitors for treating hepatitis b virus infection
CN117043340A (zh) 寡核苷酸

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140423

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140718

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140728

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150325

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150529

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150828

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150924

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20151106

A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20161215