本明細書に記載の任意の数値範囲は、任意のより小さい値と任意のより大きい値との間に少なくとも2つの単位の隔たりが存在することを条件として、差分が1単位のより小さい値およびより大きい値のすべての値を含む。一例として、組成特性、物理特性または他の特性、例えば、分子量、メルトインデックスなどが100から1000であると記載されている場合は、すべての個別値、例えば、100、101、102など、ならびに小範囲、例えば、100から144、155から170、197から200などが本明細書に明確に列挙されることを意図する。1未満である値を含む範囲、または1を超える小数(例えば、1.1、1.5など)を含む範囲では、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。10未満の一桁の数(例えば1から5)を含む範囲では、1単位は、典型的には、0.1であると考えられる。これらは、具体的に意図されるものの例にすぎず、列挙された最小値と最大値の間の数値のすべての可能な組合せが、本出願において明確に指定されると考えられる。換言すれば、本明細書に記載されている任意の数値範囲は、指定範囲内の任意の値または小範囲を含む。本明細書に論述するように、密度、成分の重量パーセント、分子量および他の特性に関する数値範囲を記載した。
一実施形態において、オレフィン系ポリマーおよびシンナモイル誘導体を含む組成物が提供される。オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーまたはポリプロピレン系ポリマーであり得る。本明細書に使用されているように、「シンナモイル誘導体」は、桂皮酸から誘導された化合物である。桂皮酸は、以下に示される構造(I)を有する。
シンナモイル誘導体を、当該技術分野で広く知られているように、桂皮酸から形成することができる。シンナモイル誘導体を製造するための非限定的な方法は、エステル化によるものである。シンナモイル誘導体は、式(II)を有する
[式中、
R1は、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはイミダゾリル基であり、
R2は、水素またはシアノ基であり、
R3は、水素またはアルキル基であり、
R4は、水素またはC1〜C10アルコキシ基である]。
一実施形態において、R1は、エステル基である。R1のエステル基は、C2〜C10炭素を含み、直鎖状または分枝状である。好適なシンナモイル誘導体の非限定的な例を以下の表1に示す。
一実施形態において、シンナモイル誘導体は、複素環式成分を含まない。
一実施形態において、シンナモイル誘導体は、トランス桂皮酸エチルである。
一実施形態において、シンナモイル誘導体は、トランス−4−エトキシ桂皮酸エチルである。
オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマーまたはエチレン系ポリマーであり得る。一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマーである。好適なプロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレンインターポリマーを含む。ポリプロピレンホモポリマーは、アイソタクチック、シンジオタクチックまたはアタクチックポリプロピレンであり得る。プロピレンインターポリマーは、ランダムもしくはブロックコポリマー、またはプロピレン系ターポリマーであり得る。ポリプロピレンの反応体コポリマーを使用することもできる。
プロピレンとの重合のための好適なコモノマーは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンならびに4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキサンおよびスチレンを含む。一実施形態において、コモノマーは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。
場合により、プロピレン系ポリマーは、少なくとも2つの二重結合を有するモノマー、好ましくはジエンまたはトリエンを含むことができる。好適なジエンおよびトリエンコモノマーは、7−メチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;5,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7,11−トリメチル−1,6,10−オクタトリエン;6−メチル−1,5−ヘプタジエン;1,3−ブタジエン;1,6−ヘプタジエン;1,7−オクタジエン;1,8−ノナジエン;1,9−デカジエン;1,10−ウンデカジエン;ノルボルネン;テトラシクロドデセン;またはそれらの混合物;ブタジエン;ヘキサジエン;オクタジエン;1,4−ヘキサジエン;1,9−デカジエン;4−メチル−1,4−ヘキサジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン;ジシクロペンタジエン;および5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を含む。
さらなる不飽和コモノマーは、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ノルボルナジエンおよびジシクロペンタジエン;スチレン、o−、m−およびp−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンを含むC8〜40ビニル芳香族化合物;ならびにクロロスチレンおよびフルオロスチレンなどのハロゲン置換C8〜40ビニル芳香族化合物を含む。
特に興味深いプロピレンインターポリマーは、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン、プロピレン/エチレン/1−オクテン、プロピレン/スチレンおよびプロピレン/エチレン/スチレン、好ましくはプロピレン/エチレンインターポリマーを含む。好適なポリプロピレンは、例えば、シングルサイト触媒(メタロセンもしくは制限幾何)またはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、当該技術分野で知られるように形成される。プロピレン、およびエチレンまたはアルファ−オレフィンモノマーなどの任意のコモノマーは、例えば、Galliら、Angew.Macromol.Chem.、第120巻、73(1984)、またはE.P.Moore、Polypropylene Handbook、Hanser Publishers、New York、1996、特に11〜98頁に開示されているように、当該技術分野における技能内の条件下で重合される。ポリプロピレンポリマーは、ShellのKF6100ホモポリマーポリプロピレン;SolvayのKS4005ポリプロピレンコポリマー;SolvayのKS300ポリプロピレンターポリマー;The Dow Chemical Companyから入手可能なINSPIRE(商標)ポリプロピレン樹脂を含む。さらなるプロピレン系インターポリマーは、その全開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第60/988,999号(2007年11月19日に出願)に記載されているものを含む。
(インターポリマー全重量に基づいて)大きな重量パーセントの重合化プロピレンを含むプロピレン/α−オレフィンインターポリマーがその開示内に含まれる。好適なポリプロピレン系ポリマーは、VERSIFY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)およびVISTAMAXX(商標)ポリマー(ExxonMobil Chemical Co.)、LICOCENE(商標)ポリマー(Clariant)、EASTOFLEX(商標)ポリマー(Eastman Chemical Co.)、REXTAC(商標)ポリマー(Hunstman)、VESTOPLAST(商標)ポリマー(Degussa)、PROFAX PF−611およびPROFAX PF−814(Montell)を含む。
一実施形態において、プロピレン系ポリマーは、プロピレン、および典型的にはエチレン、および/または1つまたは複数の不飽和コモノマーを含み、以下の特性の少なくとも1つまたは1つを超える特性を有することを特徴とする。(i)約14.6ppmおよび約15.7ppmにおける領域エラーに対応し、ほぼ同強度の13C NMRピーク、(ii)約−1.20を超える歪み指数Six、(iii)基本的に同じであるTme、およびインターポリマーにおけるコモノマー(すなわちエチレンおよび/または不飽和コモノマーから誘導される単位)の量が増加するに従って低下するTMaxを有するDSC曲線、ならびに(iv)チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造される同等のインターポリマーより多くのガンマ型触媒を報告するX線回折パターン。さらなる実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。
一実施形態において、プロピレン系ポリマーは、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマーである。特性(i)において、2つの13C NMRピーク間の距離は、約1.1ppmであることが注目される。これらのプロピレン系インターポリマーは、非メタロセン金属中心型ヘテロアリール配位子触媒を使用して製造される。典型的には、本実施形態のインターポリマーは、これらの特性の少なくとも1つ、または少なくとも2つ以上、または少なくとも3つ、または4つすべてによって特徴づけられる。
上記サブパラグラフ(iv)のX線特性に関して、「同等の」インターポリマーは、10重量パーセント内で同じモノマー組成を有し、10重量パーセント内で同じMw(重量平均分子量)を有するものである。例えば、発明のプロピレン/エチレン/1−ヘキセンインターポリマーが9重量パーセントのエチレンおよび1重量パーセントの1−ヘキセンであり、250000のMwを有する場合は、同等のポリマーは、8.1から9.9重量パーセントのエチレン、0.9から1.1重量パーセントの1−ヘキセン、および225000から275000のMwを有し、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されることになる。
本開示のプロピレン系インターポリマーは、典型的には、プロピレンから誘導された単位を、(重合性モノマーの全重量に基づいて)インターポリマーの少なくとも約60重量パーセントまたは少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約85重量パーセントの量で含む。プロピレン/エチレンインターポリマーにおけるエチレンから誘導された単位の典型的な量は、少なくとも約0.1重量パーセントまたは少なくとも約1重量パーセントまたは少なくとも約5重量パーセントであり、これらのインターポリマーに存在するエチレンから誘導された単位の最大量は、典型的には、(重合性モノマーの全重量に基づいて)インターポリマーの約35重量パーセントを超えず、または約20重量パーセントを超えず、または約約10重量パーセントを超えない。さらなる不飽和コモノマー(複数可)から誘導された単位の量は、それらが存在すれば、典型的には、(重合性モノマーの全重量に基づいて)インターポリマーの少なくとも約0.01重量パーセントまたは少なくとも約1重量パーセントまたは少なくとも約5重量パーセントであり、さらなる不飽和コモノマー(複数可)から誘導された単位の典型的な最大量は、約35重量パーセントを超えず、または約30重量パーセントを超えず、または約20重量パーセントを超えない。エチレンおよび任意の不飽和コモノマーから誘導された単位の合計は、(重合性モノマーの全重量に基づいて)インターポリマーの約40重量パーセントを超えず、または約30重量%を超えず、または約20重量パーセントを超えない。
一実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレンと、エチレンと、場合により1つまたは複数の不飽和コモノマー、例えば、C4〜C20α−オレフィン、C4〜C20ジエンおよびビニル芳香族化合物(例えばスチレン)とのインターポリマーである。これらのインターポリマーは、エチレンおよび不飽和コモノマー(複数可)から誘導された単位の合計重量パーセントが(重合性モノマーの全重量に基づいて)40重量パーセントを超えないことを条件として、プロピレンから誘導された少なくとも約60重量パーセントの単位、エチレンから誘導された0.1から35重量パーセントの単位、および1つまたは複数の不飽和コモノマーから誘導された0から35重量パーセントの単位を含むことを特徴とする。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレンおよび1つまたは複数の不飽和コモノマーから誘導された単位を含む。これらのインターポリマーは、プロピレンから誘導された少なくとも約60重量パーセントの単位、および不飽和コモノマー(複数可)から誘導された0.1から40重量パーセントの単位を有することを特徴とする。重量百分率は、重合性モノマーの全重量に基づく。
本開示の実行に使用される不飽和コモノマーは、C4〜C20α−オレフィン、特にC4〜C12α−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなど;C4〜C20ジオレフィン、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)およびジシクロペンタジエン;スチレン、o−、m−およびp−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンを含むC8〜40ビニル芳香族化合物;ならびにクロロスチレンおよびフルオロスチレンなどのハロゲン置換C8〜40ビニル芳香族化合物を含む。
一実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、0.1g/10分以上、または0.2g/10分以上、または0.5g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有する。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、100g/10分以下、または50g/10分以下、または20g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有する。MFRは、ASTM D−1238(2.16kg、230℃)に従って測定される。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーのエチレン含有量は、重合性モノマーの全重量に基づいて、0.1から30重量パーセント、または0.5から25重量パーセント、または1から10重量パーセントの範囲である。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、0.1から100g/10分、または0.5から50g/10分、または1から10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。0.1から100g/10分までのすべての個別値および小範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。MFRは、ASTM D−1238(2.16kg、230℃)に従って測定される。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーのエチレン含有量は、重合性モノマーの全重量に基づいて、0.1から30重量パーセント、または0.5から25重量パーセント、または1から20重量パーセントの範囲である。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、0.90g/cc以下、または0.89g/cc以下、0.88g/cc以下の密度を有する。別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、0.83g/cc以上、または0.84g/cc以上、または0.85g/cc以上の密度を有する。一実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーのエチレン含有量は、重合性モノマーの全重量に基づいて、0.1から30重量パーセント、または0.5から25重量パーセント、または1から20重量パーセントの範囲である。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、0.83g/ccから0.90g/cc、または0.84g/ccから0.89g/cc、または0.85g/ccから0.88g/ccの密度を有する。0.83g/ccから0.90g/ccまでのすべての個別値および小範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。一実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーのエチレン含有量は、重合性モノマーの全重量に基づいて、0.1から30重量パーセント、0.5から25重量パーセント、または1から20重量パーセントの範囲である。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、6以下、または5.5以下、または5以下の分子量分布を有する。別の実施形態において、分子量分布は、1.5以上、または2以上、または2.5以上である。一実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーのエチレン含有量は、重合性モノマーの全重量に基づいて、0.1から30重量パーセント、または0.5から25重量パーセント、または1から20重量パーセントの範囲である。
別の実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、1.5から6、または2.5から5.5、または3から5の分子量分布を有する。1.5から6までのすべての個別値および小範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。一実施形態において、プロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーのエチレン含有量は、重合性モノマーの全重量に基づいて、0.1から30重量パーセント、または0.5から25重量パーセント、または1から20重量パーセントの範囲である。
上述のように、金属中心ヘテロアリール配位子触媒と、1つまたは複数の活性体、例えばアルモキサンとを併用して、プロピレン系インターポリマーを製造することができる。一部の実施形態において、金属は、ハフニウムおよび/またはジルコニウムの1種または複数種である。より具体的には、触媒の一部の実施形態において、ヘテロアリール配位子触媒については、ハフニウム金属の使用が、ジルコニウム金属と比較して好適であることが分かった。触媒は、一部の実施形態において、配位子および金属前駆体を含む組成物であり、活性体、活性体の組合せまたは活性体パッケージを場合によりさらに含むことができる。
プロピレン系インターポリマーを製造するのに使用される触媒は、特に、オレフィン、ジオレフィンまたは他の不飽和化合物であるモノマーとの重合および共重合反応を触媒する補助的な配位子ハフニウム錯体、補助的な配位子ジルコニウム錯体および場合により活性体を含む触媒をさらに含む。ジルコニウム錯体、ハフニウム錯体、組成物または化合物を使用することができる。金属配位子錯体は、中性または帯電状態であってよい。配位子と金属との比は、異なっていてよく、正確な比は、配位子および金属−配位子錯体の性質に左右される。1つまたは複数の金属−配位子錯体は、異なる形をとることができ、例えば、単量体、二量体またはより高次の多量体であってよい。好適な触媒構造体および関連する配位子は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,919,407号に記載されている。
さらなる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、(重合性モノマーの全量に基づいて)少なくとも50重量パーセントのプロピレンおよび(重合性モノマーの全量に基づいて)少なくとも5重量パーセントのエチレンを含み、約14.6ppmおよび約15.7ppmにおける領域エラーに対応する13C NMRピークを有し、該ピークは、ほぼ同強度を有する(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,919,407号参照)。
プロピレン系インターポリマーを任意の便利な方法によって製造することができる。一実施形態において、処理試薬、すなわち(i)プロピレン、(ii)エチレンおよび/または1つまたは複数の不飽和コモノマー、(iii)触媒、ならびに(iv)場合により溶媒および/または分子量調整剤(例えば水素)が、任意の好適な設計の単一の反応容器、例えば、撹拌タンク、ループまたは流動床に供給される。処理試薬を適切な条件(溶液、スラリー、気相、懸濁液、高圧)下で反応容器内において接触させて、所望のポリマーを形成し、次いで反応器の出力を反応後の処理のために回収する。好適な重合条件は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,919,407号に記載されている。
プロピレン系ポリマーは、本明細書に記載されている2つ以上の好適な実施形態の組合せを有することができる。
プロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、本明細書に記載されている2つ以上の好適な実施形態の組合せを有することができる。
プロピレン/エチレンインターポリマーは、本明細書に記載されている2つ以上の好適な実施形態の組合せを有することができる。
一実施形態において、該組成物は、オレフィン系ポリマーおよびシンナモイル誘導体と共に、遊離ラジカル開始剤を含む。本明細書に使用されているように、「遊離ラジカル開始剤」または「開始剤」は、オレフィン系ポリマーと接触して配置されると、ポリマー鎖の骨格から水素を引き抜いて、ポリマーラジカルまたはポリマーマクロラジカルを形成する化合物である。分解によりグラフト反応を開始して遊離ラジカルを形成することができる化合物、とりわけ、アゾ含有化合物、カルボン酸ペルオキシ酸およびペルオキシエステル、アルキルヒドロ過酸化物、ならびにジアルキルおよびジアシル過酸化物を含むいくつかの種類の化合物が存在する。これらの化合物およびそれらの特性の多くが記載されている(参考:J.Branderup、E.Immergut、E.Grulke編、「Polymer Handbook」、第4版、Wiley、New York、1999年、Section II、1〜76頁)。
一実施形態において、遊離ラジカル開始剤の分解によって形成される種は、酸素系遊離ラジカルである。好適な酸素系遊離ラジカルの非限定的な例は、カルボン酸ペルオキシエステル、ペルオキシケタール、ジアルキル過酸化物およびジアシル過酸化物を含む。ポリマーの構造を改変するのに広く使用される好適な遊離ラジカル開始剤の例を以下に挙げる。それぞれの化学構造および理論ラジカル生成量も以下に示す。理論ラジカル生成量は、開始剤1モル毎に生成される遊離ラジカルの理論数である。過酸化物については、この値は、過酸化物官能基1つ当たり2つのラジカルである。
好適な遊離ラジカル開始剤の非限定的な例を以下の表2に示す。
一実施形態において、遊離ラジカル開始剤は、Arkema,Inc.(ペンシルバニア州Philadelphia)から入手可能なLUPEROX(登録商標)101[2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン]である。
一実施形態において、官能性物質、オレフィン系ポリマー、シンナモイル誘導体および遊離ラジカル開始剤を含む組成物が提供される。本明細書に使用されているように、「グラフト(grafting)」または「グラフト(grafted)」は、化合物をポリマー骨格またはポリマー鎖上に結合または付加させる反応である。結合は、共有結合であり得る。官能性物質をポリマー骨格に直接または間接的に(共助剤により)グラフトさせることができる。官能性物質は、ポリマーに結合すると、ポリマーに官能価を与える。
好適な官能性部分の非限定的な例は、カルボン酸、エステル、無水物、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル、ホルミルおよびヒドロキシルを含む。好適な官能性物質の非限定的な例は、無水マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、ビニルトリアルコキシシラン、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジシクロヘキシル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジオクタデシル、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、無水ナド酸、無水メチルナド酸、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジエチル、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、それらのエステル、それらのイミド、それらの塩、およびそれらのディールス−アルダー付加物ならびに上記の組合せを含む。
意外にも、ラジカル官能化プロセスを通じてのこのシンナモイル誘導体の提供は、プロピレン系ポリマーにおけるポリマー劣化および/または分子量低下を抑制、防止または低減することを発見した。(ポリエチレンのラジカル官能化は、分子量を増大させる架橋をもたらし、このシンナモイル誘導体の提供は、ラジカル官能化エチレン系ポリマーの分子量増大を低減、防止または抑制することが理解される。)。特定の理論に縛られることを望まないが、ポリマーマクロラジカルは、官能化プロセスの最初のステップで生成されると考えられる。組成物に存在する遊離ラジカル開始剤の熱分解は、オレフィン系ポリマー上の第三級水素を引き抜いて、ポリマーマクロラジカルを生成させる。プロピレン系ポリマーの場合は、ポリマーマクロラジカルが、遊離ラジカル開始剤をポリマー骨格から転位させる影響を与えるように、何らかの種によって妨害/安定化されなければ、または遊離ラジカル開始剤が何らかの他の種と反応して、不均化または組換えなどの何らかの手段によりラジカル連鎖を終了させる生成物を生成しなければ、ポリマーマクロラジカルは、β−切断プロセスを介して迅速にポリプロピレン劣化をもたらすことになる。このシンナモイル誘導体は、ポリマーマクロラジカルと高速かつ効率的に反応する。これは、その分子量を低下させずに、オレフィン系ポリマーの官能化を促進する。
さらに意外にも、このシンナモイル誘導体は、従来の劣化抑制剤と同様に、ラジカル官能化プロセスを通じてのポリマー劣化を抑制するために無水マレイン酸の存在を必要としないことを発見した。よって、このシンナモイル誘導体を無水マレイン酸以外の他の官能性物質と併用することができる。当該官能性物質は、シンナモイル誘導体と組み合わせることで、分子量低下を抑制する相乗効果を奏してもよいし、しなくてもよい。
一実施形態において、該組成物は、遊離ラジカル開始剤、オレフィン系ポリマーおよびシンナモイル誘導体を含む。遊離ラジカル開始剤は、既に本明細書に開示されている任意の遊離ラジカル開始剤であり得る。遊離ラジカル開始剤は、シンナモイル誘導体と、遊離ラジカル開始剤によって形成された遊離ラジカルとのモル比が約0.5:1から約5:1になる量で存在する。さらなる実施形態において、遊離ラジカル開始剤は、LUPEROX(登録商標)101である。
一実施形態において、該組成物は、組成物の重量に基づいて、約2重量%から約10重量%、または約4重量%から約8重量%、または約6重量%の官能性物質を含む。
一実施形態において、官能性物質は、無水マレイン酸である。
別の実施形態において、組成物に存在する無水マレイン酸の量は、10phr(100分率、オレフィン系ポリマーの重量に基づく)以下、5phr以下、または約0.5phrから約10phr、または約0.5phrから約5phrである。0.05phrから10phrまでのすべての個別値および小範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
別の実施形態において、官能化反応に使用される遊離ラジカル開始剤の量は、プロピレン系ポリマー100グラム当たりラジカル20ミリモル以下、またはプロピレン系ポリマー100グラム当たりラジカル6ミリモル以下、またはプロピレン系ポリマー100グラム当たりラジカル3ミリモル以下である。プロピレン系ポリマー100グラム当たりラジカル0.01ミリモル以下から20ミリモル以下までのすべての個別値および小範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
一実施形態において、オレフィン系ポリマーおよびシアノ−アクリレート化合物を含む別の組成物が提供される。シアノ−アクリレート化合物は、以下の構造(III)を有する。
[式中、
R1は、C1〜C20アルキル基であり、
R2は、水素、インドリル基またはフェニル基であり、
R3は、水素またはフェニル基である]。R2および/またはR3のフェニル基は、置換されているか、または非置換であり得る。一実施形態において、R2および/またはR3のフェニル基は、C1〜C10アルコキシ基で置換されている。好適なシアノ−アクリレート組成物の非限定的な例を以下の表3に示す。
一実施形態において、シアノ−アクリレート化合物は、2−シアノ−3,3ジフェニルアクリル酸エチルである。
一実施形態において、シアノ−アクリレート化合物は、トランス−α−シアノ−3−インドールアクリル酸エチルである。
オレフィン系ポリマーは、既に本明細書に記載されている任意のエチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーであり得る。一実施形態において、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマーである。
一実施形態において、該組成物は、遊離ラジカル開始剤、オレフィン系ポリマーおよびシアノ−アクリレート組成物を含む。遊離ラジカル開始剤は、既に本明細書に開示されている任意の遊離ラジカル開始剤であり得る。遊離ラジカル開始剤は、シアノ−アクリレート化合物と、遊離ラジカル開始剤によって形成された遊離ラジカルとのモル比が約0.5:1から約5:1になる量で存在する。さらなる実施形態において、遊離ラジカル開始剤は、LUPEROX(登録商標)101である。
一実施形態において、該組成物は、官能性物質、遊離ラジカル開始剤、オレフィン系ポリマーおよびシアノ−アクリレート組成物を含む。意外にも、ラジカル官能化プロセスを通じてのこのシアノアクリレート化合物の提供は、ポリマー劣化を抑制もしくは低減し、かつ/または分子量変化を最小限に抑える(エチレン系ポリマーのラジカル官能化と併用されると、このシアノ−アクリレート化合物は、架橋に起因する分子量増大を低減するか、または最小限に抑える)ことを発見した。さらに意外にも、このシアノ−アクリレート化合物は、ラジカル官能化プロセスを通じてのポリマー劣化を抑制するために、無水マレイン酸の存在を必要としないことを発見した。特定の理論に縛られることを望まないが、シアノ−アクリレート化合物は、シンナモイル誘導体に関して以上に記載されている同様の、または実質的に同様の原理に基づいてポリマー劣化を抑制すると考えられる。
官能性物質は、既に本明細書に開示されている任意の官能性物質であり得る。さらなる実施形態において、該組成物は、組成物の重量に基づいて、約2重量%から約10重量%、または約4重量%から約8重量%、または約6重量%の官能性物質を含む。さらに別の実施形態において、官能性物質は、無水マレイン酸である。
一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーを製造するための方法が提供される。該方法は、オレフィン系ポリマーと、遊離ラジカル開始剤と、官能性物質と、共助剤とを混合して混合物を形成するステップを含む。本明細書に使用されているように、「共助剤」は、シンナモイル誘導体および/またはシアノ−アクリレート化合物である。該方法は、遊離ラジカル開始剤とポリマーラジカルを形成するステップと、共助剤を用いて、官能性物質をポリマーラジカルにグラフトするステップとをさらに含む。
官能化プロセスは、ポリマー骨格へのグラフトを最大限にし、プロピレン系ポリマーにグラフトされない官能性物質の単独重合、または官能性物質と、プロピレン系ポリマーにグラフトされない共助剤との共重合などの副反応を最小限に抑える条件下で実施される。官能化プロセスは、連続的または不連続的な溶融混合法であり、押出機および/またはバッチ式混合機で起こり得る。あるいは、官能化プロセスは、固体状態反応により起こり得る。該反応は、周囲環境下または不活性環境(すなわち窒素ガスブランケットまたは稀ガスブランケット下)にて起こり得る。
一実施形態において、溶融混合プロセスは、オレフィン系ポリマーを混合機に導入する段階;オレフィン系ポリマーを溶融し、機械的に混合する段階;官能性物質を混合機に導入する段階;オレフィン系ポリマー/官能性物質混合物を均一化する段階;共助剤を混合機に導入する段階;ラジカル反応開始剤を混合機に導入する段階;オレフィン系ポリマーを官能性反応させる段階;およびラジカル反応抑制剤を(場合により)導入する段階に従って実施され得る。
ロータにより伝達された混合物のトルクが安定化したときに、オレフィン系ポリマーの溶融および混合が完了したと考えることができる。共助剤および官能性物質がオレフィン系ポリマーに添加され、混合が進行して均一な混合物を形成する。混合物成分の均一化が完了すると遊離ラジカル開始剤が導入される。続いて、遊離ラジカル開始剤が導入され、官能性物質のオレフィン系ポリマーに対する官能化が生じる。
一実施形態において、共助剤および官能性物質は、混合物が溶融反応する前に、オレフィン系ポリマーに吸収される。さらなる実施形態において、該組成物は、吸収プロセスを通じて乾燥ブレンドの形である。別の実施形態において、吸収は、室温で生じる。
一実施形態において、混合機におけるオレフィン系ポリマーの全体的な滞留時間は、約1分から約45分である。プロセス温度は、約120℃から約230℃である。混合機ロータは、約1rpmから約100rpmの角速度である。
遊離ラジカル開始剤のラジカルへの分解は、熱分解により生じる。ラジカルは、水素をポリマー骨格から引き抜いて、ポリマーマクロラジカルを形成する。プロピレン系ポリマーの場合は、混合物における共助剤の存在は、付随的な切断反応の発生を防止、抑制または低減する。特定の理論に縛られることを望まないが、共助剤は、求核的であり、求電子的なポリプロピレンマクロラジカルとより容易に反応して、競合するβ−切断反応を拒絶すると考えられる。官能性物質は、共助剤によりポリマーマクロラジカルに結合して、官能化オレフィンポリマーを形成する。換言すれば、官能性物質は、共助剤に結合し、共助剤は、ポリプロピレン巨大分子に結合する。
一実施形態において、共助剤の最高被占分子軌道(HOMO)エネルギーが測定される。特定の理論に縛られることを望まないが、より陰性の弱いHOMOエネルギーを有する共助剤は、求電子ポリプロピレン巨大分子とより容易に反応して、競合するβ−切断反応を拒絶すると考えられる。不飽和基質と反応するポリプロピレンマクロラジカルの求電子性の概念を用いると、不飽和基質のHOMO計算値を使用して、共助剤候補を識別することができる。電子ボルト(eV)の単位のHOMOエネルギーを使用して、不飽和基質の求核性を評価することができる。不飽和基質の求核性が強いほど、HOMOエネルギーの陰性が弱くなる。すなわち、HOMOの基底がより高くなる。
密度関数理論(B3LYP)(A.D、Becke、Phys.Rev.A 38、3098(1988);およびC.Lee、W.Yang、R.G.Parr、Phys.Rev.B 37、785(1988)参照)、およびSPARTAN分子軌道プログラムパッケージに含まれる6−31G*基底系(P.C.Hariharan and J.A.Pople、Chem.Phys.Lett.66、217(1972)参照)、ならびにIBMワークステーションおよびXP動作システムを使用して、考えられる不飽和基質の幾何学構造およびHOMOエネルギーを最適化した(SPARTANは、Wavefunction,Inc.(18401 Von Karman Avenue,Suite 370,Irvine,CA 92715)の製品、Spartan ’04 Mechanics Program:(P6/X86);Spartan ’04 Properties Program(P6/X86)である)。
例えば、N−ビニルピロリジノン(60電子)に対するHOMO計算によって以下の結果が得られた。a)HOMOは、分子軌道(MO)#30であり;b)−0.21963auおよび−5.97645eVの対応する固有値は、それぞれ原子単位(au)および電子ボルト(eV)におけるHOMOエネルギーである(注:1au=27.21eVであるため、−0.21963au=−5.97645eVである)。
本明細書に開示されている共助剤のHOMOエネルギーは、約−8eVから約−4eV、または約−7eVから約−5eVである。有望な共助剤の非限定的な例およびそれぞれのHOMO値を以下の表4に示す。
一実施形態において、ラジカル反応抑制剤を添加して、ポリマーマクロラジカルの形成を終了させることができる。好適なラジカル反応抑制剤の非限定的な例は、3,5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシトルエン(BHT)、Irganox 1010および/またはIrganox 1076を含む。
一実施形態において、官能性物質は、無水マレイン酸である。該方法は、無水マレイン酸をグラフトして、組成物の全重量に基づいて、約0.01重量%から約2.0重量%の無水マレイン酸、または約0.05重量%から約1.5重量%もしくは約0.25重量%から約1.5重量%の無水マレイン酸を有する官能化オレフィン系ポリマーを形成するステップを含む。無水マレイン酸グラフトプロピレン系ポリマーは、少量の加水分解生成物および/または他の誘導体を含んでも含まなくてもよい。無水マレイン酸の重量パーセントは、滴定分析、FTIR分析または任意の他の適切な方法によって測定される。
一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーが提供される。オレフィン系ポリマーは、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーであり得る。一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー鎖、およびポリマー鎖に付加されたグラフト共助剤を含む。共助剤は、既に開示されている任意のシンナモイル誘導体および/または任意のシアノ−アクリレート化合物であり得る。グラフト共助剤は、ポリマー鎖に結合または付加される。
一実施形態において、グラフト共助剤は、グラフトシンナモイル誘導体である。グラフトシンナモイル誘導体は、以下の構造(IV)を有する。
[式中、
R1は、カルボキシル基、エステル基およびシアノ基から選択され、
R2は、水素およびシアノ基から選択され、
R3は、水素およびアルキル基から選択され、
R4は、水素およびC1〜C10アルコキシ基から選択され、
Xは、官能性物質である]。
官能性物質は、本明細書に開示されている任意の官能性物質であり得る。一実施形態において、官能性物質は、カルボン酸、エステル、無水物、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシル基およびそれらの組合せから選択される。一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーは、ポリマーの全重量に基づいて、約0.1重量%から約2.0重量%の官能性物質を含む。
一実施形態において、グラフトシンナモイル誘導体を有する官能化オレフィン系ポリマーは、ASTM D−128に従って測定されたMFRが約30g/10分から約100g/10分(またはそれらの間の任意の値もしくは小範囲)、または約40g/10分から約90g/10分、または42g/10分から約80g/10分である。
一実施形態において、グラフトシンナモイル誘導体は、トランス−4−エトキシ桂皮酸エチルおよび/またはトランス桂皮酸エチルを含む。
一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーは、官能化オレフィン系ポリマーの重量に基づいて、約0.5重量%から約5.0重量%、または約1重量%から約4重量%のグラフトシンナモイル誘導体を含む。
一実施形態において、官能性物質は、無水マレイン酸である。官能化オレフィン系ポリマーは、以下の構造(V)を有する。
一実施形態において、構造(V)の官能化オレフィン系ポリマーは、官能化オレフィン系ポリマーの重量に基づいて、約0.1重量%から約2.0重量%の無水マレイン酸を含む。
一実施形態において、グラフト共助剤は、グラフトシアノ−アクリレート化合物である。グラフトシアノ−アクリレート化合物は、以下の構造(VI)を有する。
[式中、
R1は、C1〜C20アルキル基であり、
R2は、水素、インドリル基およびフェニル基から選択され、
R3は、水素およびフェニル基から選択され、
Xは、官能性物質である]。R2および/またはR3のフェニル基は、置換されているか、または非置換であり得る。一実施形態において、R2および/またはR3のフェニル基は、C1〜C10アルコキシ基で置換されている。
官能性物質は、本明細書に開示されている任意の官能性物質であり得る。一実施形態において、官能性物質は、カルボン酸、エステル、無水物、第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル基、ホルミル基、ヒドロキシル基およびそれらの組合せから選択される。一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーは、官能化オレフィン系ポリマーの全重量に基づいて、約0.1重量%から約2.0重量%の官能性物質を含む。
一実施形態において、グラフトシアノ−アクリレート化合物を有する官能化オレフィン系ポリマーは、MFRが約30g/10分から約100g/10分、または約60g/10分から約90g/10分、または65g/10分から約85g/10分である。
一実施形態において、グラフトシアノ−アクリレート化合物は、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルを含む。
一実施形態において、グラフトシアノ−アクリレート化合物は、トランス−α−シアノ−3−インドールアクリル酸エチルを含む。
一実施形態において、官能化オレフィン系ポリマーは、官能化オレフィン系ポリマーの重量に基づいて、約0.5重量%から約5.0重量%、または約1重量%から約4重量%のグラフトシアノ−アクリレート化合物を含む。
一実施形態において、官能性物質は、無水マレイン酸である。官能化オレフィン系ポリマーは、以下の構造(VII)を有する。
官能化オレフィン系ポリマーは、官能化オレフィン系ポリマーの重量に基づいて、約0.1重量%から約2.0重量%の無水マレイン酸を含む。
本開示のさらなる実施形態は、他のカルボニル含有化合物がグラフトされたプロピレン系ポリマーを提供する。一実施形態において、これらのグラフトプロピレン系ポリマーは、官能化オレフィン系ポリマーについて以上に記載されているものと同じまたは類似の分子量分布および/または密度を有することができる。別の実施形態において、これらのグラフトプロピレン系ポリマーは、上記の官能化オレフィン系ポリマーに使用されたものと同じまたは類似の量の官能性物質および過酸化物を使用して製造される。別の実施形態において、これらのグラフトプロピレン系ポリマーは、上記の官能化オレフィン系ポリマーの場合と同じまたは類似の量のグラフト化合物を含む。
本開示は、また、処理要素と、最終生成物における独自の物理特性との独自の組合せを必要とする用途にこの官能化ポリマーを使用する方法に関する。本開示は、また、それぞれが、上記のように、この官能化オレフィン系ポリマーから形成された少なくとも1つの成分で構成され、または該成分を含む物体に関する。製品としては、成形品、フィルム(単層および/または多層、鋳物、幅出物、インフレーションフィルム)、シート(押し出しまたは熱成形)、分散体(水性および非水性)ならびに発泡体が挙げられるが、それらに限定されない。これらの製品を成形(射出成形、押し出し成形、スラッシュ成形、インサート成形、ブロー成形および/またはロト成形)、熱成形、押し出しまたは他の処理によって製造することができる。この官能化オレフィン系ポリマーは、接着剤、結合層、積層体、ポリマーブレンドおよび他の末端使用に有用である。得られた製造物を、形材、バンパおよび装備品またはタイヤなどの自動車用部品の製造に使用することができ、あるいは包装材料、電線絶縁体(ワイヤおよびケーブル被覆物)、塗料、ジオメンブレンおよび他の応用物の製造に使用することができる。さらなる製品としては、コンパウンド配合物、相溶化剤、接着剤、フィルム、粉末塗料、積層体、分散体、ペイント、塗料、紙補強剤、複合材料、繊維、織物、充填剤および他の従来の熱可塑性製造物が挙げられる。
さらなる物体としては、弾性フィルムおよび繊維(ステープルファイバー、短線、マルチコンポーネント、シース/コア、より糸、スピンボンド布、溶融吹込布、モノフィラメント);織物、ソフトタッチ品、例えば、歯ブラシの柄および家庭電気器具の柄;ガスケットおよび形材;接着剤(ホットメルト接着剤および感圧接着剤を含む);履物構成要素(靴底および靴裏張を含む);自動車内装部品および形材;発泡品(開放および独立気泡);高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレンまたは他のオレフィンポリマーなどの他の熱可塑性ポリマーの耐衝撃性改良剤;塗装布;ホース;配管;隙間ふさぎ;キャップライナー;床材;および潤滑剤のための流動点改良剤としても知られる粘度指数改良剤が挙げられる。
これらの官能化オレフィン系ポリマーを含む熱可塑性組成物は、他の天然もしくは合成ポリマーとのブレンド、添加剤、補強剤、発火防止添加剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、連鎖延長剤、架橋剤、発泡剤および/または可塑剤を含むことができる。
一実施形態において、これらの官能化オレフィン系ポリマーは、1つまたは複数の添加剤および/または補助剤を含む。好適な非限定的な添加剤としては、充填剤、例えば、クレー、タルク、デンプン、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポリマー繊維(ナイロン、レーヨン、木綿、ポリエステルおよびポリアラミドを含む)、金属繊維、フレームもしくは粒子、発泡性層状珪酸塩、リン酸塩もしくは炭酸塩、例えば、クレー、マイカ、シリカ、アルミナ、アルミノ珪酸塩もしくはアルミノリン酸塩、炭素ホイスカー、炭素繊維、ナノチューブを含むナノ粒子、珪灰岩、グラファイト、ゼオライトおよびセラミック、例えば、炭化珪素、シラン系カップリング剤、窒化珪素もしくはチタニア、二酸化チタン、ゼオライト、粉末状金属、炭素繊維、窒化珪素繊維、鋼線もしくは網およびナイロンもしくはポリエステルコーディングを含む有機もしくは無機繊維、ナノサイズ粒子、クレーおよびカーボンブラックなどを含む有機もしくは無機粒子;粘着剤;蝋;脂肪酸塩;グリコール;パラフィン系油もしくはナフテン系油を含むエキステンダー油;ならびに本開示による他のポリマーを含む他の天然および合成ポリマーが挙げられる。さらなる非限定的な添加剤としては、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、UV安定剤(ヒンダードアミン光安定剤(HALS)など)、架橋剤、促進剤、硬化活性剤および加硫遅延剤が挙げられる。
これらの官能化オレフィン系ポリマーとのブレンドに好適なポリマーとしては、天然および合成ポリマーを含む熱可塑性および非熱可塑性ポリマーが挙げられる。ブレンドのための例示的なポリマーとしては、ポリプロピレン(耐衝撃性改良ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンおよびランダムエチレン/プロピレンコポリマー)、マルチリアクタPE(チーグラー・ナッタPEとメタロセンPEとの「インリアクタ」ブレンド、例えば、米国特許第6,545,088号、同第6,538,070号、同第6,566,446号、同第5,844,045号、同第5,869,575号および同第6,448,341号に開示されている製品)を含む、高圧遊離ラジカル低密度ポリエチレン(LDPE)、チーグラー・ナッタ直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンPEを含む様々な種類のポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)、ならびに熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。均一ポリマー、例えばオレフィンプラストマーおよびエラストマー、エチレンおよびプロピレン系コポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから商品名VERSIFY(商標)として入手可能なポリマー、およびExxonMobilから入手可能なVISTAMAXX(商標))も、官能化インターポリマーを含むブレンドにおける成分として有用であり得る。
ブレンドのためのさらなるポリマーとしては、熱可塑性加硫物、スチレンポリマーブレンド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、他の工学熱可塑性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ならびにセルロースおよび木繊維などの天然物が挙げられるが、それらに限定されない。好適なポリアミドとしては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)などの脂肪族ポリアミド;および芳香族ポリアミド(またはポリアラミド)が挙げられるが、それらに限定されない。好適なポリエステルとしては、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)およびポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)が挙げられるが、それらに限定されない。エポキシおよび不飽和ポリエステルなどの熱硬化性系は、熱硬化性系の硬化の前または最中に官能化マルチブロックポリマーをそれらにブレンドさせることができる。
一実施形態において、本開示は、熱可塑性マトリックスポリマー、特に、ポリアミド、ポリエステルまたはオレフィン系ポリマー、例えばポリプロピレン、およびコア−シェルまたはコア−マルチシェル形態を含む分散相を含む熱可塑性組成物を提供する。シェルは、本開示による官能化マルチブロックインターポリマーを含み、コアは、マルチブロック非官能化インターポリマーおよび/または他の種類のオレフィン系ポリマーを含む。
官能化プロピレン系ポリマーは、硬質ポリマーの閉塞領域の周囲に「シェル」を形成する軟質または弾性ブロックによって取り囲まれた「コア」の形の硬質結晶性または半結晶性ブロックを有する内部コア−シェル型粒子を形成することもできる。これらの粒子を、溶融混合またはブレンド中に受ける力によってマトリックスポリマー内に形成および分散させることができる。
この所望のコア−シェルまたはコア−マルチシェル形態は、プロピレン系ポリマーの官能化部分とマトリックス樹脂との間の化学的相互作用に起因し得るか、または当該化学的相互作用によって強化され得る。これらの化学的相互作用は、共有結合または非共有結合をもたらすことができる。例えば、無水マレイン酸グラフトは、ポリアミドの末端アミンとアミド結合を形成するか、またはポリエステルの末端ヒドロキシルとエステル結合を形成することができる。化学的相互作用は、官能化プロピレン系ポリマーの官能基と、マトリックスポリマーにおける化学的部分との強い結合からも生じ得る。当該結合は、双極子−双極子相互作用、水素結合、親水性相互作用および疎水性相互作用を含むが、それらに限定されない。
本明細書に記載のブレンドを、成分の一方または両方の融点温度付近またはそれを超える温度でそれぞれの成分を混合または混練することによって製造することができる。いくつかの官能化プロピレン系ポリマーでは、この温度は、90℃を超えるか、または100℃を超えるか、または110℃を超えてよい。所望の温度に達することが可能であると共に、混合物を溶融可塑化することが可能である典型的なポリマー混合または混練装置を採用することができる。これらは、粉砕機、混練機、押出機(一軸スクリューおよび二軸スクリューの両方)、バンバリー混合機およびカレンダーなどを含む。混合の手順および方法は、最終的な組成に左右され得る。バンバリーバッチ式混合機と連続式混合機との組合せ、例えば、バンバリー混合機の後にミル混合機を使用し、その後に押出機を使用する組合せを採用することができる。
官能化オレフィン系ポリマー含有組成物が少なくとも部分的に架橋されている場合は、該組成物を指定時間にわたって溶媒に溶解させ、ゲルまたは抽出不可能な成分の割合を計算することによって、架橋の程度を測定することができる。ゲルの割合は、通常、架橋の程度が増加するにつれて増加する。本開示による硬化製品では、ゲル含有率は、望ましくは、5から100パーセントの範囲である。
本開示の官能化プロピレン系ポリマー、ならびにそれらのブレンドは、より安価なシンナメートおよびアクリレート官能性共助剤の使用による分子量の保存によって、先行技術の組成物と比較して、物理特性が向上すると共に、コストをより低くすることができる。したがって、該組成物またはブレンドは、特に、成形品または押出品に成形された場合に、向上した表面外観を有することもできる。同時に、これらの組成物およびそれらのブレンドは、向上した溶融強度特性を有することによって、これらの官能化マルチブロックコポリマーおよびそれらのブレンド、特にTPOブレンドを、溶融強度が全体的に不十分である発泡および熱形成用途に有益に採用することを可能にすることができる。
それぞれが、本開示による官能化プロピレン系ポリマーを含む熱可塑性組成物および熱硬化性組成物は、前記有機もしくは無機充填剤および/または他の添加剤のいずれかを含むこともできる。
定義
本明細書における元素周期表のすべての言及は、CRC Press,Inc.、2003によって発行され、著作権が取得された元素周期表を指すものとする。また、1つまたは複数の族のあらゆる言及は、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用して、この元素周期表に反映された1つまたは複数の族を指すものとする。そうでないことが記載されているか、文脈から示唆されるか、または当該技術分野において通例である場合を除いて、すべての部およびパーセントは、重量に基づく。米国特許慣例の目的では、本明細書に参照される任意の特許、特許出願または文献の内容は、特に、合成技術、(本明細書に示される定義と矛盾しない程度の)定義および当該技術分野における一般的知識に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれる(またはその同等のUS版が、参照により本明細書に組み込まれる)。
「含む(comprising)」という用語およびその派生語は、任意のさらなる成分、ステップまたは手順の存在を、それが本明細書に開示されているか否かにかかわらず、排除することを意図しない。疑問を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を介して本明細書に主張されるすべての組成物は、そうでないことが記載されている場合を除いて、またはポリマーであるか否かにかかわらず、任意のさらなる添加剤、補助剤または化合物を含むことができる。対照的に、「実質的に〜からなる」という用語は、実施可能性に不可欠なものを除いて、任意の他の成分、ステップまたは手順を任意の後続の記載の範囲から除外する。「〜なる」という用語は、具体的に叙述または列挙されていない成分、ステップまたは手順を除外する。「または」という用語は、他に指定されている場合を除いて、個別に、ならびに任意の組合せで列挙された構成要素を指す。
「官能化オレフィン系ポリマー」、「官能化プロピレン系ポリマー」または「官能化プロピレン/α−オレフィンインターポリマー」および「官能化プロピレン/エチレンインターポリマー」ならびに類似の用語は、本明細書に使用されているように、基材ポリマーと、官能性物質および/または共助剤などの1つまたは複数の化合物との反応生成物を指す。
「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、本明細書に使用されているように、2つ以上のポリマーのブレンドである。当該ブレンドは、混和性であってもなくてもよい(分子レベルで相分離されていなくてもいてもよい)。当該ブレンドは、相分離されていてもいなくてもよい。当該ブレンドは、透過型電子分光法、光散乱法、x線散乱法、および当該技術分野で既知の他の方法により測定された1つまたは複数の領域構成を含んでも含まなくてもよい。
「組成物」という用語は、本明細書に使用されているように、組成物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
「ポリマー」という用語は、同じ、または異なる種類のモノマーを重合することによって製造された巨大分子化合物である。「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーおよびインターポリマーなどを含む。「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの種類のモノマーまたはコモノマーの重合によって製造されたポリマーを指す。それは、コポリマー(通常、2つの異なる種類のモノマーまたはコモノマーから製造されたポリマーを指す)、ターポリマー(通常、3つの異なる種類のモノマーまたはコモノマーから製造されたポリマーを指す)、テトラポリマー(通常、4つの異なる種類のモノマーまたはコモノマーから製造されたポリマーを指す)などを含むが、それに限定されない。
「インターポリマー」という用語は、本明細書に使用されているように、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって製造されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという汎用的な用語は、通常、2つの異なるモノマーから製造されたポリマー、および2つを超える異なる種類のモノマーから製造されたポリマーを指すために採用される、コポリマーを含む。
「オレフィン系ポリマー」という用語は、ポリマーの全重量に基づいて、大きな重量パーセントのオレフィン、例えば、エチレンまたはプロピレンを重合された形で含むポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
「エチレン系ポリマー」という用語は、本明細書に使用されているように、(重合性モノマーの全重量に基づいて)大きな重量パーセントの重合エチレンモノマーを含み、少なくとも1つの重合コモノマーを場合により含むことができるポリマーを指す。
「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は、本明細書に使用されているように、(重合性モノマーの全量に基づいて)大きな重量パーセントの重合エチレンモノマーおよび少なくとも1つの重合α−オレフィンを含むインターポリマーを指す。
「プロピレン系ポリマー」という用語は、本明細書に使用されているように、(重合性モノマーの全量に基づいて)大きな重量パーセントの重合プロピレンモノマーを含み、少なくとも1つの重合コモノマーを場合により含むことができるポリマーを指す。
「プロピレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は、本明細書に使用されているように、(重合性モノマーの全量に基づいて)大きな重量パーセントの重合プロピレンモノマーおよび少なくとも1つの重合α−オレフィンを含むインターポリマーを指す。
「プロピレン/エチレンインターポリマー」という用語は、本明細書に使用されているように、(重合性モノマーの全量に基づいて)大きな重量パーセントの重合プロピレンモノマー、重合エチレンモノマー(第2の主要モノマー)、および場合により少なくとも1つの重合α−オレフィンを含むインターポリマーを指す。
「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の原子を指す。好適なヘテロ原子は、F、Cl、Br、N、O、P、B、S、Si、Sb、Al、Sn、As、SeおよびGeを含む。
「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は、分枝状または非分枝状の飽和または不飽和環式、多環式または非環式種を含めて、水素および炭素原子のみを含む置換基を指す。例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基およびアルキニル基が挙げられる。「置換ヒドロカルビル」および「置換炭化水素」は、1つまたは複数の非ヒドロカルビル置換基で置換されたヒドロカルビル基を指す。「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」、「ヘテロヒドロカルビル」および同様の用語は、水素または炭素以外の少なくとも1つの原子が、1つまたは複数の炭素原子および1つまたは複数の水素原子と共に存在する基を指す。
本明細書に使用されているように、「芳香族」という用語は、(4δ+2)π電子(δは1以上の整数である)を含む多原子環式共役環系を指す。2つ以上の多原子環式環を含む環系に関して、本明細書に使用されている「縮合」という用語は、その少なくとも2つの環に関して、少なくとも1組の隣接原子が両方の環に含まれることを意味する。「アリール」という用語は、互いに縮合した、共有結合した、またはメチレンもしくはエチレン部分などの共通の基に結合した単一の芳香族環または複数の芳香族環であってよい一価芳香族置換基を指す。芳香族環の例としては、とりわけフェニル、ナフチル、アントラセニルおよびビフェニルが挙げられる。
「置換アリール」は、任意の炭素に結合した1つまたは複数の水素原子が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アルキルハロ(例えばCF3)、ヒドロキシ、アミノ、ホスフィド、アルコキシ、アミノ、チオ、ニトロ、ならびに芳香族環に縮合した、共有結合した、またはメチレンもしくはエチレン部分などの共通の基に結合した飽和および不飽和両方の環式炭化水素などの1つまたは複数の官能基によって置き換えられたアリール基を指す。共通の結合基は、ベンゾフェノンにおけるようなカルボニル、またはジフェニルエーテルにおけるような酸素、またはジフェニルアミンにおけるような窒素であってもよい。
フェニルという用語は、以下の構造を指す。
フリルという用語は、以下の構造を指す。
無水マレイン酸という用語は、以下の構造を指す。
「グラフト無水マレイン酸」という用語は、ポリマー骨格および/またはグラフト共助剤に結合し、以下に示される少なくとも1つの化学的部分を含み、加水分解誘導体および他の関連構造を含むことができる構造を指す。
試験方法
密度は、米国材料試験協会(ASTM)手順ASTM D792−00、方法Bに従って測定される。
プロピレン系ポリマーについてのg/10分単位のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238−04(条件230℃/2.16kg)を使用して測定される。エチレン系ポリマーについてのg/10分単位のメルトインデックス(I2)は、ASTM D−1238−04(条件190℃/2.16kg)を使用して測定される。
グラフト無水マレイン酸の重量パーセント(滴定)は、非グラフト無水マレイン酸を除去するために、沸騰キシレンに溶解され、アセトンに再析出された生成物に対する滴定を介して測定される。滴定のための基本的な滴定手順は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許6,884,850号に記載されている。
グラフト無水マレイン酸の重量パーセント(FT−IR)は、高温キシレンに溶解され、アセトンから析出され、150℃の真空炉で終夜乾燥された生成物に対するFT−IRによって測定される。赤外スペクトルは、170℃で30分間圧縮成形されたフィルムを使用して測定される。成形後、フィルムは、スペクトルが回収されるまでデシケータ内に保管される。スペクトルは、1166cm−1におけるポリプロピレン吸光度を1.0に設定することによってフィルム厚さに対して正規化された。既知量の無水コハク酸オクタデシルをMFR35ポリプロピレンにブレンドすることによって調製された標準を使用する検量線を作成した後、1790cm−1の無水物吸光度を使用して、無水マレイン酸グラフトの量を測定する。
次に、例として、かつ限定することなく、本開示の例を以下に示す。
すべての材料を、供給元から受け取ったままの状態で使用する。VERSIFY(商標)DP2000、プロピレン/エチレンコポリマー、密度0.886〜0.890g/cc、MFR1.6〜2.4g/10分(2.16kg、230℃、ASTM D−1238−04);ポリプロプレンホモポリマー、MFR=4.0、密度0.9g/cc(Aldrich);2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、90%(Aldrich LUPEROX(商標)101);無水マレイン酸ブリケット(Aldrich);3−(2−フラニル)プロペン酸ブチル、トランス桂皮酸エチル(Aldrich);シンナモニトリル(Aldrich);トランス−4−エトキシ桂皮酸エチル(Aldrich);トランス−4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル(Aldrich);1−トランス−シンナモイルイミダゾール(Alfa Aesar);トランス−α−シアノ桂皮酸エチル(Aldrich);トランス−α−シアノ−3−インドールアクリル酸エチル(Aldrich);2−シアノ−3−フェニル−2−ブテン酸塩エチル(Aldrich);2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル(Aldrich);(エトキシメチレン)シアノ酢酸エチル(Aldrich);アリルフェニルエーテル(Aldrich)。
使用前に、無水マレイン酸ブリケットを粉砕して微粉末にする。粉砕無水マレイン酸および固体共助剤のポリエチレン供給バッグを、Haakeに対する充填のために調製する。空のポリエチレンバッグの重量は、約0.25gである。液体共助剤およびAldrich LUPEROX(商標)101を、シリンジを介して添加する。
基本的な官能化手順では、ローラロータおよび手動ラムを備えたThemoHaake Rheomix(Haake)の3つの帯域を170℃まで予め加温し、トルクを50rpmで0にする。ポリプロピレンまたはVERSIFY(商標)DP2000を、10rpmで撹拌しながら混合機に加える。撹拌機速度を2.0分間にわたって段階的に50rpmまで上昇させる。無水マレイン酸の添加前に材料を1.0分間にわたって融解させる。指定の共助剤を添加する前にこの混合物を2.0分間にわたって融解させる。1.0分間混合した後、シリンジでLUPEROX(商標)101を注入する。材料をさらに12.5分間にわたって混合し、次いで混合機から除去する。
無水マレイン酸が樹脂に添加されていない対照サンプルでは、反応手順において共助剤および過酸化物を同時に加えながら混合時間を続行させた。
Haakeから除去された材料の一部を190℃で2分間にわたって圧縮成形して薄いシートとし、メルトフローレート装置への充填のために裁断して細片とする。
無水マレイン酸滴定およびFTIRのためのサンプルを再析出させて、非グラフト無水マレイン酸を除去する。約3gの生成物を70mLの沸騰キシレンに溶解させる。高温キシレン溶液を250mLのアセトンに添加することによってポリマーを析出させる。繊維状生成物を濾過によって回収し、50mL新鮮なアセトンで洗浄し、50℃の真空炉にて乾燥させる。官能化結果をこれらのサンプルに対する滴定によって測定する。FTIR分析のためのポリマーサンプルを150℃の真空炉にてさらに終夜乾燥させて、任意の残留する無水マレイン酸を除去し、二酸の形に加水分解させることができる任意のグラフト材料を脱水する。
以下の表には、官能化実験に利用される試薬の量および種類が記載されている。報告されているモル%共助剤、mmol R・/100gおよび重量%MAH量は、45gのポリマー充填量に基づく。
表5〜8に示される例は、ポリプロピレンの遊離ラジカルマレイン酸化中における共助剤、すなわちシンナモイル誘導体およびシアノ−アクリレート化合物の使用を示す。両種類の共助剤は、遊離ラジカルマレイン酸化プロセスを通じてポリプロピレン劣化を抑えながら、無水マレイン酸の基材ポリマーへの約0.7重量%の導入を可能にした。シンナモイル試薬の効果は、二重結合およびエステル置換基の付近の立体阻害が大きくなるに従って低下した。フェニル環のパラ位における電子供与基は、遊離ラジカルポリマー劣化を抑制するための共助剤の効果を向上させる。4−エトキシ桂皮酸エチルを共助剤として使用すると、0.92重量%の無水マレイン酸導入を含み、44g/10分のメルトフローレートを有する官能化ポリプロピレンを得た。
特に、本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例に限定されず、以下の特許請求の範囲内にある実施形態の部分および異なる実施形態の要素の組合せを含む実施形態の改造型を含むことを意図する。