以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物の製造方法は、下記式(1)で表される化合物と、
下記式(2)で表される化合物とを反応させる、
下記式(3)で表される構造単位を含む化合物の製造方法である。
式(1)中、Ar1は、フッ素原子、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいヘテロアリーレン基を表す。Hは、水素原子を表す。
上記置換基を有していてもよいへテロアリーレン基は、置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基である。置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基としては、例えば、置換基を有していてもよい単環の芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基、置換基を有していてもよい単環の芳香族複素環式化合物2個以上が互いに縮合した、縮合多環式芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基、置換基を有していてもよい2個以上の芳香族複素環式化合物同士を、直接結合、又はメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する、置換基を有していてもよい有橋多環式芳香族複素環式化合物から水素原子を2個取り除いた基が挙げられる。
芳香族複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、ヘテロアリール基が挙げられる。
上記フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基であってもよい。フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基の炭素原子数は、通常1〜30であり、1〜20が好ましい。フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
上記フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよい。フッ素原子で置換されていてもよいアルキルオキシ基の炭素原子数は、通常1〜30程度であり、1〜20が好ましい。フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
上記フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素原子数は、通常1〜30程度であり、1〜20が好ましい。フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
上記アリール基は、置換基を有していてもよい芳香族炭素環化合物から水素原子を1個取り除いた基である。アリール基としては、例えば、置換基を有していてもよい単環の芳香族炭素環化合物から水素原子を1個取り除いた基、置換基を有していてもよい単環の芳香族炭素環化合物から選ばれる2個以上が互いに縮合した、縮合多環式芳香族炭素環化合物から水素原子を1個取り除いた基、置換基を有していてもよい2個以上の芳香族炭素環化合物同士を、直接結合、又はメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する、置換基を有していてもよい有橋多環式芳香族炭素環化合物から水素原子を1個取り除いた基が挙げられる。
芳香族炭素環化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基及びフッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよいフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基及びフッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素原子数及び具体例と同じである。アリール基の炭素原子数は、通常6〜60程度であり、6〜20が好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
ここで「C」は、炭素原子を表し、付された数字は直後に記載された基中の炭素原子数を表す。即ち、上記「C1〜C12アルキルオキシフェニル基」とは、炭素原子数が1〜12のアルキル(オキシ)基を有する基であることを表し、以下も同様である。アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例としては、上記フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基で説明し例示したものが挙げられる。
上記アリールオキシ基は、炭素原子数が通常6〜60程度であり、6〜20が好ましい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
上記アリールアルキル基は、炭素原子数が通常7〜60程度であり、7〜20が好ましい。アリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
上記アリールアルキルオキシ基は、炭素原子数が通常7〜60程度であり、7〜0が好ましい。アリールアルキルオキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基が挙げられる。
上記ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から水素原子を1個取り除いた基である。置換基を有していてもよいヘテロアリール基としては、例えば、置換基を有していてもよい単環の芳香族複素環式化合物から水素原子を1個取り除いた基、置換基を有していてもよい単環の芳香族複素環式化合物2個以上が互いに縮合した、縮合多環式芳香族複素環式化合物から水素原子を1個取り除いた基、置換基を有していてもよい2個以上の芳香族複素環式化合物同士又は置換基を有していてもよい1個以上の芳香族複素環式化合物と置換基を有していてもよい1個以上の芳香族炭素環化合物とを、直接結合、又はメチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する、置換基を有していてもよい有橋多環式芳香族複素環式化合物から水素原子を1個取り除いた基が挙げられる。
芳香族複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基が挙げられる。該フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基及びアリールアルキルオキシ基の炭素数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基及びアリールアルキルオキシ基の炭素原子数及び具体例と同じである。芳香族複素環式化合物としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジンが挙げられる。
本発明の製造方法において、上記式(3)で表される構造単位を含む化合物の有機溶媒に対する溶解性を高める観点からは、Ar1が有する置換基は、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基が好ましい。置換基がアルキル基である場合、上記式(3)で表される構造単位を含む化合物の有機溶媒に対する溶解性を高めることができるので、該アルキル基は分岐状であることが好ましい。
Ar1で表される置換されていてもよいヘテロアリーレン基としては、例えば、下記式39〜式171で表される基が挙げられる。
式39〜式171中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基又はヘテロアリール基を表す。該フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよいフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例と同じである。
本発明の製造方法の反応性を高める観点からは、Rは、好ましくは、フッ素原子、シアノ基、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基であり、さらに好ましくはシアノ基、アルキル基、アルキルオキシ基であり、特に好ましくはシアノ基、アルキル基である。アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
式39〜式171中、Ar1で表される置換されていてもよいヘテロアリーレン基は、好ましくは式85、式86、式87、式94、式98、式102〜式107、式109、式111〜式115、式128〜式141、式142、式145、式147、式150、式152、式155、式157、式160、式162で表されるヘテロアリーレン基である。さらに好ましくは式94、式128〜式130、式162で表されるヘテロアリーレン基であり、特に好ましくは式94、式128、式162で表されるヘテロアリーレン基である。
式(1)で表される化合物は、反応性を高めることができるので、硫黄原子を含有することが好ましく、チオフェンを含む環を有することがさらに好ましい。
式(1)で表される化合物は、架橋反応を発生しにくくするために、sp2混成軌道を形成する炭素原子と水素原子との単結合を2個含有することが好ましい。sp2混成軌道を形成する炭素原子と水素原子との単結合を3個含有すると、架橋反応が進行してしまう場合があり、得られる式(3)で表される構造単位を含む化合物の溶解性を低下させる原因となる場合がある。
式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(1−1)で表される化合物及び下記式(1−2)で表される化合物である。
式(1−1)中、R11は、水素原子、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基を表す。2個のR11は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。4個あるR11は、同一でも相異なってもよい。
R11で表されるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基及びフッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素原子数及び具体例と同じである。
2個のR11が互いに結合して形成される環状構造とは、2個のR11が互いに結合して形成される2価の基及び2個のR11がそれぞれ結合している炭素原子とを含む環状構造である。該2価の基としては、例えば、フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基、及び、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基が挙げられる。
フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基の炭素原子数は、通常1〜20である。フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ジフルオロメチレン基、及び、テトラフルオロエチレン基が挙げられる。
フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基は、下記式(4)で表される基である。
式(4)中、A
1は、フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基を表す。フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基の具体例は、前述と同じである。フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基の炭素原子数は、通常1〜20である。フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基の具体例としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブチレンジオキシ基、ジフルオロメチレンジオキシ基、及び、テトラフルオロエチレンジオキシ基が挙げられる。
フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基とは、式(5)で表される基である。
式(5)中、A
1は、フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基を表す。フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基の具体例は、前述と同じである。フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基の炭素原子数は、通常1〜20である。フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基の具体例としては、メチレンジチオ基、エチレンジチオ基、ジフルオロメチレンジチオ基、及び、テトラフルオロエチレンジチオ基が挙げられる。
式(1−2)中、R12は水素原子、フッ素原子、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基を表す。2個のR12は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。2個あるR12は、同一でも相異なってもよい。
R12で表されるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基及びフッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基の炭素原子数及び具体例と同じである。
2個のR12が互いに結合して形成される環状構造とは、2個のR12が結合して形成する2価の基及び該R12が結合している炭素原子とを含む環状構造である。該2価の基としては、例えば、フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基、及び、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基が挙げられる。該フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基、及び、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基の定義及び具体例は、前述の2個のR11が互いに結合して形成される環状構造に含まれる2価の基であるフッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基、及び、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基が挙げられる。該フッ素原子で置換されていてもよいアルカンジイル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジオキシ基、及び、フッ素原子で置換されていてもよいアルキレンジチオ基の定義及び具体例は前述と同じである。
式(2)中、Ar2は、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアリーレン基を表す。
Ar2で表されるアリーレン基は、芳香族炭素環から水素原子を2個取り除いた基である。アリーレン基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、ヘテロアリール基が挙げられる。該フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例と同じである。
Ar2で表される置換基を有していてもよいアリーレン基としては、例えば、下記式201〜式244で表される基が挙げられる。
式201〜式244中、Rは、前述と同じ意味を表す。式201〜式244中、Ar2で表される置換基を有していてもよいアリーレン基としては、好ましくは式236〜式244であり、さらに好ましくは式236〜式238であり、特に好ましくは式236である。
式(2)中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。2個あるXは、同一でも相異なってもよい。Xとしては、好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは臭素原子である。
式(2)で表される化合物の中でも、下記式(2−1)で表される化合物が好ましい。
式(2−1)中、Xは前述と同じ意味を表す。環A及び環Bは、芳香族炭素環であって、それぞれ独立に、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい芳香族炭素環を表す。Zは、下記式(Z−1)〜式(Z−3)で表される2価の基を表す。
式(Z−1)〜式(Z−3)中、Rは、前述と同じ意味を表す。
環A及び環Bで表される芳香族炭素環が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基及びアリールアルキルオキシ基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいアルコキシ基、フッ素原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基及びアリールアルキルオキシ基の炭素原子数及び具体例と同じである。
本発明の化合物の製造方法は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを反応させ、下記式(3)で表される構造単位を含む化合物を製造する。
式(3)中、Ar1及びAr2は、前述と同じ意味を表す。nは1以上の数を表し、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは5以上の整数を表す。
式(3)で表される構造単位を含む化合物の分子量としては500以上が好ましく、さらに好ましくは1000以上であり、特に好ましくは3000以上である。化合物(3)が分子量分布を有する場合、式(3)で表される構造単位を含む化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は500以上が好ましく、より好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは3000以上であり、さらにより好ましくは30000以上であり、特に好ましくは40000以上である。
式(3)で表される構造単位を含む化合物を電子素子の機能性材料として用いる場合、電子素子の特性をより向上させることができるので、式(3)で表される構造単位を含む化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、50000以上1000000以下が好ましく、100000以上500000以下がより好ましい。
式(3)で表される構成単位を含む化合物の好ましい一態様は、式(3)で表される構成単位のみからなる化合物である。
本発明の化合物の製造方法においては、分子量をより大きくすることができるので、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物とを反応させる際に、任意の有機酸を添加することが好ましい。有機酸の例としてはカルボン酸、スルホン酸などが挙げられる。有機酸としては、好ましくは炭素原子数が1〜20の有機酸であり、さらに好ましくは蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸、安息香酸であり、特に好ましくはピバル酸である。
有機酸の使用量には、特に制限はないが、塩基性化合物及び有機酸の両方を使用する場合には、塩基性化合物の使用量(mol)に対する有機酸の使用量を0.01mol%〜90mol%とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1mol%〜70mol%であり、特に好ましくは2mol%〜30mol%である。
本発明の化合物の製造方法において、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを、触媒としての遷移金属化合物の存在下で反応させることが好ましい。遷移金属化合物としては、パラジウム化合物、ルテニウム化合物、ロジウム化合物、ニッケル化合物、鉄化合物、銅化合物などが挙げられる。遷移金属化合物としては、好ましくはパラジウム化合物、ロジウム化合物であり、特に好ましくはパラジウム化合物である。
パラジウム化合物としては、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物が挙げられる。パラジウム化合物は、具体的には、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムが挙げられ、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度を向上させることができるので、パラジウムアセテートが好ましい。
パラジウム化合物の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよい。パラジウム化合物の添加量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.2モルである。
本発明の化合物の製造方法において、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを、塩基性化合物の存在下で反応させることが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、tert−ブトキシカリウムなどが挙げられる。塩基性化合物の中でも、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウムであり、さらに好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウムであり、特に好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウムである。
塩基性化合物の添加量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
本発明の化合物の製造方法において、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを、配位子の存在下で反応させてもよい。配位子としては、例えば、ホスフィン化合物、アミン化合物、ピリジン類などが挙げられる。ホスフィン化合物としては、例えば、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアリールモノアルキルホスフィン、モノアリールジアルキルホスフィンなどが挙げられる。トリアリールホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィンが挙げられる。トリアルキルホスフィンとしては、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィンが挙げられる。モノアリールジアルキルホスフィンとしては、ビス(シクロヘキシル)ビフェニルホスフィン、ビス(tert−ブチル)ビフェニルホスフィンが挙げられる。アミン化合物としては、トリアリールアミン、トリアルキルアミン、ジアリールモノアルキルホスフィン、モノアリールジアルキルホスフィンなどが挙げられる。ピリジン類としては、ピリジン、ビピリジンなどが挙げられる。配位子の中でも好ましくはホスフィン化合物であり、より好ましくは、トリアルキルホスフィンであり、さらに好ましくは、トリシクロヘキシルホスフィンである。
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという場合がある)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという場合がある)、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランが挙げられる。溶媒としては、式(3)で表される構造単位を含む化合物の溶解性を向上させることができるので、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
また、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とは、塩基性化合物の水溶液を加え、水相と有機相の2相からなる溶媒中で反応させてもよい。塩基性化合物として無機塩を用いる場合には、無機塩の溶解性を向上させることができるので、通常、無機塩の水溶液として加え、反応させる。
なお、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを、水相と有機相との2相からなる溶媒中で反応させる場合には、必要に応じて、第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を加えてもよい。
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との反応の温度は、前記溶媒に対応した温度とすることができ、通常、50〜160℃程度であり、式(3)で表される構造単位を含む化合物をより高分子量とすることができるので、60℃〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は、目的の重合度に達したときを終了時間としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。反応時間は、1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との反応を触媒の存在下で行う場合、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下など、触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガス、窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内の気体を窒素ガスで十分置換し、この重合容器に、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、パラジウム化合物を仕込み、さらに、重合容器内の気体を窒素ガスで十分置換し、あらかじめ窒素ガスでバブリングして脱気しておいた、例えば、N、N−ジメチルアセトアミドである溶媒を加えた後、得られた溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した、例えば、炭酸カリウムである塩基性化合物を添加した後、加熱して、昇温し、例えば、100℃で24時間、不活性雰囲気を保持しながら反応する。
本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物を電子素子の機能性材料として用いる場合、電子素子の特性をより高めることができるので、該化合物中に含まれる金属元素及びホウ素元素の量が少ないことが好ましい。中でも、式(3)で表される構造単位を含む化合物に含まれる遷移金属元素、典型金属元素及びホウ素元素の量が少ないことが好ましい。遷移金属元素としては、例えば、パラジウム、鉄、スズ、ニッケル、銅が挙げられる。中でも、パラジウム、鉄、スズの量が少ないことが好ましく、特に好ましくはスズの量が少ないことが好ましい。本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物に含まれる不純物元素の量は、元素分析で測定される。不純物元素の量は、スズの含有量とホウ素の含有量の合計量が、好ましくは50ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下であり、さらにより好ましくは1ppm以下であり、特に好ましくは0.5ppm以下である。
元素分析の方法としては、例えば、原子吸光分析法、発光分光分析法、プラズマ発光分析法、蛍光X線分析法、プラズマ質量分析法、グロー放電質量分析法、イオンクロマトグラフ分析法などが挙げられる。
本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物は、高い電子輸送性及び/又は正孔(ホール)輸送性を発揮し得ることから、該化合物を含む有機薄膜を電子素子の機能層として用いた場合、電極から注入された電子、正孔、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の電子素子に好適に用いることができる。以下、これらの電子素子について個々に説明する。
<光電変換素子>
本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物を有する光電変換素子は、第1の電極と第2の電極との間に、本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物を含む1層以上の機能層を有する。
光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、電子供与性化合物と電子受容性化合物との有機組成物から形成される活性層を有する。本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物は、電子供与性化合物として用いることが好ましい。
光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に化学的に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物を有する光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、フラーレン誘導体等の電子受容性化合物を含む第2の活性層とを備える光電変換素子である。
上記の光電変換素子に用いる式(3)で表される化合物は、高分子化合物であることが好ましい。
一対の電極のうち、透明又は半透明の電極材料としては、例えば、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、電極材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウムスズオキサイド(ITOという場合がある)、インジウム亜鉛オキサイド(IZOという場合がある)等からなる導電性材料を用いて形成された膜、NESA、金、白金、銀、銅等を用いて形成された膜、ITO、IZO、酸化スズを用いて形成された膜が好ましい。電極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体の膜、ポリチオフェン及びその誘導体の膜等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
一対の電極のうち、一方の電極は透明でなくてもよく、不透明な電極の電極材料としては、例えば、金属、導電性高分子等を用いることができる。不透明な電極の電極材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又は、1種以上の前記金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
光電変換効率を向上させるために、活性層以外の付加的な中間層を設けてもよい。中間層に用いられる材料としては、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
<活性層>
活性層は、本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物を1種単独で含んでいても2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、活性層の正孔輸送性を高めるため、活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、電子供与性化合物、電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
電子供与性化合物としては、本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物のほか、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体が挙げられる。
電子受容性化合物としては、本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物のほか、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントロリン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。
フラーレンとしては、例えば、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C84フラーレンが挙げられる。なお、Cは炭素原子を意味し、下付で付された数字はフラーレンの炭素原子数を表している(以下、同様である)。フラーレン誘導体は、これらのフラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を表す。
フラーレン誘導体としては、例えば、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物、下記式(III)で表される化合物、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
式(I)〜式(IV)中、Raは、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はエステル構造を有する基である。複数個あるRaは、同一であっても相異なってもよい。Rbはフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基又はアリール基を表す。複数個あるRbは、同一であっても相異なってもよい。
Raで表されるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例と同じである。
Rbで表されるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基及びアリール基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基及びアリール基の炭素原子数及び具体例と同じである。
Raで表されるエステル構造を有する基としては、例えば、式(V)で表される基が挙げられる。
式(V)中、u1は、1〜6の整数を表す、u2は、0〜6の整数を表す、Rcは、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
Rcで表されるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例は、前述のAr1で表されるヘテロアリーレン基が有していてもよい、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の炭素原子数及び具体例と同じである。
C60フラーレンの誘導体の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
C70フラーレンの誘導体の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
また、フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チエニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
本発明の製造方法で製造することができる式(3)で表される構造単位を含む化合物とフラーレン誘導体とを活性層中に含む場合、フラーレン誘導体の割合が、本発明の製造方法で製造することができる式(3)で表される構造単位を含む化合物100重量部に対して、10重量部〜1000重量部であることが好ましく、20重量部〜500重量部であることがより好ましい。
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
活性層は、如何なる方法で製造してもよく、形成方法としては、例えば、高分子化合物と溶媒とを含む溶液を用いて塗布成膜する塗布法、真空蒸着法が挙げられる。
<光電変換素子の製造方法>
光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物と溶媒とを含む溶液(インキ)を塗布法により塗布成膜して活性層を形成する工程と、該活性層上に第2の電極を形成する工程とを含む。
溶液を用いる塗布成膜に用いられる溶媒は、本発明の製造方法で得られる式(3)で表される構造単位を含む化合物を溶解させるものであればよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が挙げられる。本発明の製造方法で得られる式(3)で表される構造単位を含む化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
溶液を用いて塗布成膜する塗布法としては、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
成膜性を良好にできるので、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
<有機薄膜トランジスタ>
本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した式(3)で表される構造単位を含む化合物を含む有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型有機薄膜トランジスタ、静電誘導型有機薄膜トランジスタ等が挙げられる。
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物を含む有機薄膜によって構成される。
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物を含む有機薄膜によって構成される。
上記の有機薄膜トランジスタに用いられる式(3)で表される構造単位を含む化合物は、高分子化合物であることが好ましい。
<電子素子の用途>
本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物を用いた光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を入射させることにより、電極間に光起電力を発生させ、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を入射させると、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。
有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画素の制御、画面輝度の均一性、画面書き換え速度を制御するために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとり得る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を入射させる構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を入射させる構造とすることもできる。太陽電池モジュールのモジュール構造としては、具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の製造方法で製造される、式(3)で表される構造単位を含む化合物を用いて製造される有機薄膜太陽電池も使用目的、使用場所及び環境を勘案して、適宜これらのモジュール構造のうちから選択できる。
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュール構造は、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護性向上、集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム状又は充填樹脂として用いてもよい。また、太陽電池モジュールを外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくしてもよい。
支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームとの間は封止材料で密封シールする。また、セル自体、支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた柔軟性を有する太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
<有機EL素子>
本発明の方法で得られる式(3)で表される構造単位を含む化合物は、有機EL素子に用いることもできる。有機EL素子は、第1の電極と第2の電極との間に発光層を有する。有機EL素子は、発光層の他にも、正孔輸送層、電子輸送層を含んでいてもよい。該発光層、正孔輸送層、電子輸送層のいずれかの層中に本発明の製造方法で製造される式(3)で表される構造単位を含む化合物が含まれる。
有機EL素子は、式(3)で表される構造単位を含む化合物を含有する発光層を有していることが好ましい。この場合、発光層中には、本発明の方法で得られる式(3)で表される構造単位を含む化合物の他にも、電子輸送材料及び正孔輸送材料(これらを総称して電荷輸送材料と称する場合がある)を含んでいてもよい。有機EL素子としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子等が挙げられる。第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも一方は、透明又は半透明である。
上記の有機EL素子に用いられる式(3)で表される構造単位を含む化合物は、高分子化合物であることが好ましい。
以下、本発明にかかる実施例を示す。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<NMRスペクトル測定>
化合物(重合体)のNMRスペクトルは、重溶媒である重クロロホルムに重合体を溶解させ、核磁気共鳴スペクトル測定装置(JNM−ECS−400)を用いて測定した。
<分子量測定>
化合物の分子量は、溶離液としてクロロホルムを用いたGPCシステム(SHIMADZU C−R7A)により測定した。
実施例1(重合体Aの製造)
磁気回転子を入れた容量25mLのシュレンク管の内部の雰囲気を窒素で置換して窒素雰囲気とし、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンを274mg(0.50mmol)、ポリマー(Polymer)、1990年、第31巻、p.1379−1383に記載された方法で合成した3,4,3’,4’−テトラメチル−2,2’−ビチオフェンを111mg(0.50mmol)、酢酸パラジウムを2.24mg(0.010mmol)、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレートを7.36mg(0.020mmol)、炭酸カリウムを173mg(1.3mmol)、ピバル酸を0.0170mL(0.15mmol)、ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという場合がある)を3.33mL加えた。オイルバスを用いて反応液を100℃に加熱し、攪拌しながら24時間反応させた。反応終了後、オイルバスを外し、室温まで放冷した。その後、反応液にpH8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液を20mL加え、一晩攪拌した。その後、析出した生成物をろ別し、生成物をpH8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液及び純水で洗浄し、クロロホルムを加え、クロロホルム溶液を抽出した。得られたクロロホルム溶液を、セライトを用いてろ過し、ろ液を濃縮した。濃縮した溶液をメタノール中に加え、固体を再沈殿させることで、淡黄色の固体(以下、重合体Aという)を得た。重合体Aの収率は85%であった。重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量は33400であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は81000であった。重合体Aの分子量分布は2.45であった。
400 MHz 1H NMRの測定結果; δ(CDCl3):0.67-0.87 (m,10H), 1.00-1.28 (m, 20H), 1.93-2.08 (m,4H), 2.20 (s, 6H), 2.32 (s, 6H), 7.47 (d, J= 8.4 Hz, 4H), 7.74 (d, J= 8.0 Hz, 2H).
実施例2
DMAcを1.67mL使用した以外は実施例1と同様にして重合体Bを得た。重合体Bのポリスチレン換算の数平均分子量は42600であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は118000であった。重合体Bの分子量分布は2.76であった。
実施例3
実施例1において、DMAcを1.67mL使用したこと、及び、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレートを使用しなかった以外は実施例1と同様にして重合体Cを得た。重合体Cのポリスチレン換算の数平均分子量は42000であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は457000であった。重合体Cの分子量分布は10.9であった。
実施例4
DMAcを1.67mL使用したこと、トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレートを使用しなかったこと、及び、100℃での加熱攪拌時間を3時間としたこと以外は実施例1と同様にして重合体Dを得た。重合体Dのポリスチレン換算の数平均分子量は32300であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は93500であった。重合体Dの分子量分布は2.89であった。
実施例5
下記のスキームにしたがって、重合体Eを得た。
磁気回転子を入れた25mLのシュレンク管に、窒素雰囲気下で、シンセシス(Synthesis)、1998年、第5巻、p.386−388に記載された方法で合成した1,4−ジブロモ−2,5−ジオクチルベンゼンを230.2mg(0.5mmol)、ポリマー(Polymer)、1990年、第31巻、p.1379−1383に記載された方法で合成した3,4,3’,4’−テトラメチル−2,2’−ビチオフェンを111.2mg(0.5mmol)、酢酸パラジウムを2.24mg(0.01mmol)、炭酸カリウムを172.8mg(1.25mmol)、ピバル酸を0.017mL(0.15mmol)、ジメチルアセトアミドを1.67mL加えた。その後、磁気回転子で攪拌しながらオイルバスによりシュレンク管を100℃に加熱し、3時間反応を継続させた。反応終了後、シュレンク管からオイルバスを外し、シュレンク管を室温まで放冷させた。その後、シュレンク管に、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液を約20mL加え、一晩攪拌した。析出した生成物を濾別し、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液、0.1Mの塩酸、純水、メタノール及びヘキサンで濾物を洗浄後、濾物をクロロホルムに溶解させた。得られた溶液を、セライトを用いて濾過した後、濃縮した濾液をメタノールに注ぎ、固体を再沈殿させることで、薄緑色の固体として重合体Eを得た。重合体Eの収率は65%であった。重合体Eのポリスチレン換算の数平均分子量は13450であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は25560であり、分子量分布は1.95であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ0.85 (t, J= 6.6 Hz, 6H), 1.14-1.32 (br, 20H), 1.55 (br, 4H), 2.03 (s, 6H), 2.18 (s, 6H), 2.57 (br, 4H), 7.20 (s, 2H)。
実施例6
下記のスキームにしたがって、重合体Fを得た。
磁気回転子を入れた25mLのシュレンク管に、窒素雰囲気下で、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンを274.2mg(0.50mmol)、テトラヘドロン(Tetrahedron)、1982年、第38巻、p.3347−3354に記載された方法で合成した3,4−ジメチルチオフェンを56.1mg(0.50mmol)、酢酸パラジウムを2.2mg(0.010mmol)、炭酸カリウムを172.8mg(1.3mmol)、ピバル酸を0.017mL(0.15mmol)、ジメチルアセトアミドを1.67mL加えた。その後、磁気回転子で攪拌しながらオイルバスによりシュレンク管を100℃に加熱し、3時間反応を継続させた。反応終了後、シュレンク管からオイルバスを外し、シュレンク管を室温まで放冷させた。その後、シュレンク管に、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液を約20mL加え、一晩攪拌した。析出した生成物を濾別し、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液、0.1Mの塩酸、純水、メタノール及びヘキサンで濾物を洗浄後、濾物をクロロホルムに溶解させた。得られた溶液を、セライトを用いて濾過した後、濃縮した濾液をメタノールに注ぎ、固体を再沈殿させることで、淡黄色の固体として重合体Fを得た。重合体Fの収率は78%であった。重合体Fのポリスチレン換算の数平均分子量は10700であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は30100であり、分子量分布は2.81であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ0.63-0.88 (br,10H), 1.00-1.28 (br, 20H), 2.02 (br,4H), 2.34 (s, 6H), 7.48-7.51 (m, 4H), 7.77 (d, J= 7.6 Hz, 2H)。
実施例7
下記のスキームにしたがって、重合体Gを得た。
磁気回転子を入れた25mLのシュレンク管に、窒素雰囲気下で、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンを274.2mg(0.50mmol)、3,4−ジオクチルチオフェンを154.3mg(0.50mmol)、酢酸パラジウムを2.2mg(0.010mmol)、炭酸カリウムを172.8mg(1.3mmol)、ピバル酸を0.017mL(0.15mmol)、ジメチルアセトアミドを1.67mL加えた。その後、磁気回転子で攪拌しながらオイルバスによりシュレンク管を100℃に加熱し、3時間反応を継続させた。反応終了後、シュレンク管からオイルバスを外し、シュレンク管を室温まで放冷させた。その後、シュレンク管に、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液を約20mL加え、一晩攪拌した。析出した生成物を濾別し、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液、0.1Mの塩酸、純水、メタノール及びヘキサンで濾物を洗浄後、濾物をクロロホルムに溶解させた。得られた溶液を、セライトを用いて濾過した後、濃縮した濾液をメタノールに注ぎ、固体を再沈殿させることで、緑色の固体として重合体Gを得た。重合体Gの収率は54%であった。重合体Gのポリスチレン換算の数平均分子量は6400であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は10400であり、分子量分布は1.62であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ0.73(br,4H), 0.81 (m, 6H), 0.88 (m, 6H), 1.08-1.12 (br, 20H), 1.26 (br, 20H), 1.57 (br,4H), 2.02 (br,4H), 2.70 (br, 4H), 7.48-7.51 (m, 4H), 7.76 (d, J= 8.0 Hz, 2H)。
実施例8
下記のスキームにしたがって、重合体Hを得た。
磁気回転子を入れた25mLのシュレンク管に、窒素雰囲気下で、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレンを274.2mg(0.50mmol)、3,4−エチレンジオキシチオフェンを53.4μL(0.50mmol)、酢酸パラジウムを2.2mg(0.010mmol)、炭酸カリウムを172.8mg(1.3mmol)、ピバル酸を0.017mL(0.15mmol)、ジメチルアセトアミドを1.67mL加えた。その後、磁気回転子で攪拌しながらオイルバスによりシュレンク管を100℃に加熱し、3時間反応を継続させた。反応終了後、シュレンク管からオイルバスを外し、シュレンク管を室温まで放冷させた。その後、シュレンク管に、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液を約20mL加え、一晩攪拌した。析出した生成物を濾別し、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液、0.1Mの塩酸、純水、メタノール及びヘキサンで濾物を洗浄後、濾物をクロロホルムに溶解させた。得られた溶液を、セライトを用いて濾過した後、濃縮した濾液をメタノールに注ぎ、固体を再沈殿させることで、淡黄色の固体として重合体Hを得た。重合体Hの収率は80%であった。重合体Hのポリスチレン換算の数平均分子量は28200であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は60900であり、分子量分布は2.16であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ0.63-0.88 (br,10H), 1.00-1.28 (br, 20H), 1.92-2.11 (br,4H), 4.45 (s, 4H), 7.70 (m, 4H), 7.82 (d, J= 8.0 Hz, 2H)。
実施例9
下記のスキームにしたがって、重合体Iを得た。
磁気回転子を入れた25mLのシュレンク管に、窒素雰囲気下で、2,7−ジブロモ−9,−ジオクチルフルオレンを274.2mg(0.50mmol)、3,4−ジシアノチオフェンを67.1mg(0.50mmol)、酢酸パラジウムを2.2mg(0.010mmol)、炭酸カリウムを172.8mg(1.3mmol)、ピバル酸を0.017mL(0.15mmol)、ジメチルアセトアミドを1.67mL加えた。その後、磁気回転子で攪拌しながらオイルバスによりシュレンク管を100℃に加熱し、3時間反応を継続させた。反応終了後、シュレンク管からオイルバスを外し、シュレンク管を室温まで放冷させた。その後、シュレンク管に、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液を約20mL加え、一晩攪拌した。析出した生成物を濾別し、pHが8のエチレンジアミン四酢酸−ジカリウム水溶液、0.1Mの塩酸、純水、メタノール及びヘキサンで濾物を洗浄後、濾物をクロロホルムに溶解させた。得られた溶液を、セライトを用いて濾過した後、濃縮した濾液をメタノールに注ぎ、固体を再沈殿させることで、淡黄色の固体として重合体Iを得た。重合体Iの収率は58%であった。