以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また以下では説明の便宜上、代表的な工場である形鋼工場を例として、本発明の一実施形態に係る取り合せ計画立案方法を実施するための最良の形態を説明する。ただし、本発明の一実施形態に係る取り合せ計画立案方法は、形鋼工場に限定されるものではなく、長さの異なる複数の金属製品を、長さの異なる複数の材料から取り合せるすべての工場、例えば、条鋼工場や棒鋼工場、パイプ工場など、他の工場の取り合せ計画を求める際にも利用可能な方法である。
<1.取り合せ計画立案装置による取り合せ計画立案方法の概要について>
まず、本発明の実施形態に係る取り合せ計画立案装置の基本的な処理概要に関して説明する。本発明の実施形態に係る取り合せ計画立案装置は、同一ロット内の複数の材料から複数の金属製品に対する注文を取り合せる計画を立案する装置である。取り合せ計画立案装置は、ロット内の材料はすべて、取り合せが算出されていない未取り合せの状態から取り合せ計画の立案を開始する。取り合せ計画立案装置は、該材料に予め付与された順序(通常圧延順である)に従い、まとめ鋸断する複数の材料毎に取り合せを算出し、取り合せの算出された材料を順次既取り合せ状態とすることを繰り返し行う。この際、取り合せ計画立案装置は、先頭から全ての既取り合わせ材料の取り合せ計画を1つに限定せず、評価値の良い順に複数の取り合せ計画を保持し、取り合せ計画立案完了条件(すなわち、未取り合せ材料がなくなるか、全ての注文を取り合せたか)を満たした後、保持している複数の取り合せ計画の中から、最も評価値の良い1つの取り合せ計画を最終的な取り合せ計画として決定する。
次に、より具体的に、図1に基づいて、本発明の実施形態に係る取り合せ計画立案装置による取り合せ計画立案方法の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置による取り合せ計画立案方法の概要を示すフローチャートである。
本実施形態に係る取り合せ計画立案装置による取り合せ計画立案方法は、図1に示すように、まず、取り合せ計画立案装置内の補助記憶装置(例えば、図26に示すストレージ装置913)に格納されている注文ファイル1および材料ファイル2から情報を取り込む処理が行われる(S1:データ入力ステップ)。注文ファイル1は、材料から取り合せる必要がある注文に関するデータを記憶しており、材料ファイル2は、取り合せ対象となる材料に関するデータを記憶している。取り合せ計画立案装置は、例えば、注文ファイル1から複数注文の注文長と注文本数を取り込み、材料ファイル2から複数材料の材料長を取り込む。これら、取り込んだ注文の製品と材料はすべて、取り合せが算出されていない未取り合せ状態とする。取り合せ計画立案装置に取り込まれた情報は、取り合せ計画立案装置内の主記憶装置(例えば、図26に示すRAM905)に記憶される。
次いで、未取り合せの複数の材料に対して、それら複数の材料から複数製品を取り合せるパターン(鋸断パターン)を複数算出する(S2:鋸断パターン算出ステップ)。そして、取り合せを既に算出済みの既取り合せ材料の取り合せ計画に、上記算出した複数の鋸断パターンを追加し、取り合せの異なる新たな取り合せ計画として、取り合せ計画立案装置内の主記憶装置(例えば、図26に示すRAM905)に記憶される。
さらに、取り合せ計画立案装置は、ステップS2で求めた新たな取り合せ計画すべてに対して、取り合せ計画の良否を表す評価値を計算することで、各鋸断パターンに優劣を付ける(S3:取り合せ計画評価ステップ)。
その後、ステップS2で求めた新たな取り合せ計画のうち、ステップS3で算出した評価値の良い順に設定個数の取り合せ計画のみ残し、それ以外の評価値の劣る新たな取り合せ計画は主記憶装置から削除する(S4:取り合せ計画選択ステップ)。
ステップS2〜S4の処理は、すべての注文の金属製品の取り合せが完了するまで、もしくは、すべての材料から金属製品の取り合せを完了するまで、繰り返し行われる。そして、最後に主記憶装置に残った複数の取り合せ計画の中から、ステップS3で算出した評価値が最も良い取り合せ計画を、実行する取り合せ計画として決定する(S5:取り合せ計画決定ステップ)。最後に、取り合せ計画立案装置は、取り合せ計画を取り合せファイル3として補助記憶装置(例えば、図26に示すストレージ装置913)あるいはネットワーク通信装置を介して接続された外部機器へ出力する(S6:データ出力ステップ)。なお、上記各ステップを実施する際に、主記憶装置(例えば、図26に示すRAM905)を、処理結果等の一時的な記憶等を行うバッファとして使用したり、補助記憶装置の代りに処理結果を記憶したりしてもよい。
なお、この取り合せ計画立案方法において、図1に示すデータ入力ステップS1の直後で、すべて注文からバランス良く均等に取り合せることを目的として、ステップS1にて取り込まれた複数の注文を複数のグループに分けるグループ作成処理を実行してもよい。このとき、例えば、取り合せ計画立案装置は、ステップS1にて取り込んだ複数の注文を、注文長の長さ順(昇順又は降順)、かつ、注文長と注文本数との積である注文合計長のグループについての合計値が均等となるように、予め設定された個数の複数のグループに分類する。例えば、グループの設定個数を3として、降順に分類する際には、注文長が長い注文をグループ1へ、注文長が中程度の注文をグループ2へ、注文長が短い注文をグループ3へ、注文合計長のグループについての合計値が片寄らないように分類する。なお、グループの設定個数は2以上であり、概ね3とすれば良い。
上記グループ作成処理を実行した後、取り合せ計画立案装置は、作成されたすべてのグループについて、各グループにおける注文合計長の合計値を算出し、鋸断割合を算出する鋸断割合計算処理を行う。鋸断割合は、グループの注文合計長の合計値を総計注文長で除した値であり、各グループにおいて各材料からどのくらいの注文を取り合せたら適当であるかを表している。以上、注文をグループへ分類するグループ作成処理と鋸断割合を計算する鋸断割合計算処理は、取り合せ計画を計算する際に、データ入力ステップS1の直後に一度だけ実施すれば良く、グループ分類結果と鋸断割合を、例えば取り合せ計画立案装置内の主記憶装置(例えば、図26に示すRAM905)に記憶すればよい。
グループ作成処理および鋸断割合計算処理を実行した場合、図1の取り合せ計画評価ステップS3では、グループ毎に累積鋸断目標長を算出した後、鋸断パターン算出ステップS2で求めたすべての取り合せ計画に対して、それぞれ累積鋸断計画長を求め、累積鋸断目標長と累積鋸断計画長との偏差(絶対値や2乗誤差等)を評価値の1つとして評価関数に加える。
ここで、累積鋸断目標長と累積鋸断計画長とは、グループ毎に計算される値であり、例えば、後述の実施例の式(13)〜式(18)で計算される値である。累積鋸断目標長は、材料長の合計値に鋸断割合を乗じた値である(既取り合せ材料と未取り合せ材料に対してそれぞれ累積鋸断目標長を計算する)。累積鋸断計画長とは、同様にグループ毎に計算される値であり、既取り合せ製品と、未取り合せ製品それぞれに対して、それら製品の長さの合計値(総製品長、すなわち「製品本数×注文長」の合計値)を計算し、それぞれ既取り合せ累積鋸断計画長、未取り合せ累積鋸断計画長とする。
このように、累積鋸断目標長はグループ毎に均等に取り合せを進めるための理想の取り合せ長であり、この累積鋸断目標長との偏差を評価関数に加えることにより、各グループから均等に注文の取り合せが進み、ロットの後半でも注文の種類数が極端に少なくなるようなことを防止することができる。本実施形態に係る取り合せ計画立案方法と組み合わせることで、ロットの後半での歩留りの悪化を更に防止することが可能となり、良好な取り合せ計画が得られる。
<2.取り合せ計画立案装置の構成>
本実施形態に係る取り合せ計画立案装置は、複数の材料から種類の異なる複数の金属製品を採取する鋸断工程の作業指示を計画立案する装置である。この鋸断工程の作業指示の計画が取り合せ計画である。本実施形態に係る取り合せ計画立案装置は、取り合せ計画を立案する際に、ロット後半でも材料の歩留りが悪化せず、鋸断能率ばらつきが少ない取り合せ計画を実用的な時間で立案することを目的とする。すなわち、この取り合せ計画立案装置により、ロット後半でも材料の切捨長が少なく、材料1本毎から取り合せる注文の本数がすべての材料に対して平準化された取り合せ計画を実用的な時間で立案する。
このような取り合せ計画立案装置100は、例えば図2に示すように、データ入力部110と、鋸断パターン算出部120と、取り合せ計画評価部130と、取り合せ計画選択部140と、取り合せ計画決定部150と、データ出力部160と、データ記憶部170とからなる。
データ入力部110は、注文ファイル1および材料ファイル2から、取り合せ計画の立案に必要な情報を取り込む。データ入力部110は、注文ファイル1から材料から取り合せる必要がある注文に関するデータとして複数注文の注文長と注文本数を取得し、材料ファイル2から取り合せ対象となる材料に関するデータとして複数材料の材料長を取得する。データ入力部110は、取得したデータを鋸断パターン算出部120へ出力する。なお、データ入力部110は、取得したデータを取り合せ計画立案装置100内の記憶部(図示せず。)に記憶させてもよく、この場合、後述する鋸断パターン算出部120は、当該記憶部より上記データを取得してもよい。
鋸断パターン算出部120は、複数の材料から複数製品を取り合せるための取り合せ計画を複数算出する。鋸断パターン算出部120は、データ入力部110から入力された複数注文の注文長、注文本数、および複数材料の材料長に基づいて、実行される取り合せ計画の候補となる取り合せ計画を複数算出する。この際、鋸断パターン算出部120は、取り合せ計画中の未取り合せ部分の連続する複数材料の鋸断パターンを、全数または指定された条件を満たす数だけ算出する処理を繰り返し行う。鋸断パターン算出部120の処理についての詳細な説明は後述する。鋸断パターン算出部120により算出された取り合せ計画は、取り合せ計画評価部130へ出力される。
取り合せ計画評価部130は、鋸断パターン算出部120で算出された新たな取り合せ計画すべてに対して、新たな取り合せ計画(鋸断パターン)の評価値を算出する。取り合せ計画評価部130により算出される評価値は、材料の歩留りの良否を表す切捨長や、鋸断能率の良否を表す取り合せ本数の標準偏差、結束率の良否を表す尺替り数を重要度に応じて重み付けして加え合わせた数値である。なお、取り合せ計画の評価値についての詳細な説明は後述する。取り合せ計画評価部130は、算出した取り合せ計画の評価値を、取り合せ計画選択部140へ出力する。
取り合せ計画選択部140は、取り合せ計画評価部130から入力された新たな取り合せ計画のうち、評価値の良い順に設定個数の取り合せ計画のみ残す選択処理を行う。そして、すべての材料から製品を取り合せたとき、あるいはすべての注文製品を材料から取り合わせたときのいずれかを満たしたとき、取り合せ計画選択処理を終了し、終了時の取り合せ計画を取り合せ計画決定部150へ出力する。なお、上記条件のいずれかを満たすまでは、鋸断パターン算出部120、取り合せ計画評価部130、および取り合せ計画選択部140による処理が繰り返し行われる。
取り合せ計画決定部150は、取り合せ計画選択部140により選択された複数の取り合せ計画のうち、取り合せ計画の評価値が最良の取り合せ計画を、実行する取り合せ計画として決定する。取り合せ計画決定部150は、実行を決定した取り合せ計画に関する情報をデータ出力部160へ出力する。
データ出力部160は、取り合せ計画決定部150から入力された取り合せ計画に関する情報を、取り合せファイル3に記録する。
データ記憶部170は、取り合せ計画立案処理に必要なデータを記憶する記憶部である。データ記憶部170には、例えば、データ入力部110により注文ファイル1および材料ファイル2から取得された情報や、鋸断パターン算出部120、取り合せ計画評価部130、および取り合せ計画選択部140の処理過程において算出されたデータ等が記憶されている。取り合せ計画立案装置100の各機能部は、必要に応じてデータ記憶部170にデータを記録し、データ記憶部170に記録されたデータを読み出すことができる。
<3.取り合せ計画立案方法>
以下、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法について、図3〜図25に基づき、詳細に説明していく。
[3−1.比較方法の説明]
本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法を説明する前に、その取り合せ計画立案方法との比較例として、先頭の材料から順番に各材料の取り合せを1つ求める処理を繰り返して、最終的に1つの取り合せ計画を求める取り合せ計画立案方法(比較方法)について、図3〜図8に基づき説明する。
図3は、比較例である取り合せ計画立案方法(比較方法)を示すフローチャートである。比較方法において、取り合せ計画の立案は、先頭材料から順次取り合せを求めることにより行われる。図3に示すように、まず、取り合せを求める材料の番号iを1に初期化する(S10)。本実施形態では、Z本の材料から製品を取り合せる取り合せ計画を立案することについて説明する。したがって、材料の番号iは1〜Zの値をとり得る。以下において、i番目の材料を「材料i」と表す。
次いで、鋸断パターン算出部120は、材料iから連続するN本以下の材料に対する鋸断パターンを複数算出する(S20)。本実施形態では、上記Nを最大まとめ鋸断本数とする。
さらに、取り合せ計画評価部130は、ステップS20にて算出された各鋸断パターン(取り合せ計画)の評価値を計算する(S30)。鋸断パターン(取り合せ計画)の評価値は、上述したように、材料の歩留りの良否を表す切捨長や、鋸断能率の良否を表す取り合せ本数の標準偏差、結束率の良否を表す尺替り数などを重要度に応じて重み付けして加え合わせた数値である。
切捨長は、材料から取り合せた後に残った材料の長さであり、図33の切捨て部20の長さである。切捨長の値として、切捨て部20の長さの代わりに切捨て部20の重量を用いてもよい。
また、取り合せ本数とは、1本の材料から取り合せる製品の本数であり、図33の場合は、12mの製品を2本、10mの製品を2本、8mの製品を3本取り合せているため、取り合せ本数は7本となる。本比較方法においては、鋸断能率の良否を表す数値として、このような取り合せ本数の標準偏差を用いることとする。しかし、本発明はかかる例に限定されず、まとめ鋸断による鋸断能率の向上代も考慮して、1本の材料当たりの鋸断回数の標準偏差を鋸断能率の良否に用いてもよい。例えば、図34(c)の取り合せの場合には、鋸断回数は8回であり(▲印と△印の合計値)、まとめ鋸断本数は3本であるため、1本の材料あたりの鋸断回数は8/3=2.7回となる。
また、尺替り数とは、パイリング機械で処理する注文が切替わる回数の合計値である。尺替わり数は、例えば、特許文献4のように、各パイリング機械への仕分けロジックを模擬した方法で算出することもできる。以下、各パイリング機械への仕分けロジックを、図4および図5に基づき説明する。なお、図4は、尺替り数の算出処理を説明するための説明図である。図5は、尺替り数の算出処理を示すフローチャートである。
パイリング機械の番号を記号sで表し、各パイリング機械で処理されている注文番号であるパイリング注文を記号Qsで表す。尺替り数Uiは、例えば、各材料の取り合せ計画を求めた後の各パイリング機械で処理されている注文番号を記憶し、パイリング注文Qsの値が変化した回数として尺替り数Uiを求めることができる。
図4(1)は材料iから取り合せる注文jの本数(取り合せ本数)pjの例であり、ここでは注文数を6としている。図4(a)は材料i−1の取り合せを求めた後のパイリング注文Qsであり、ここではパイリング機械台数を4台としている。すなわち、図4(a)の状態においては、パイリング機械1〜パイリング機械3で、それぞれ、注文1、注文2、注文4を処理しており、パイリング機械4は空いている状態を示している。また、図4(b)〜(e)は、図4(1)の注文(注文2、注文3、注文5、注文6)をパイリング機械へ振り分けた後のパイリング注文Qsを示している。なお、先頭の材料である材料1の尺替り数を求める際には、すべてのパイリング機械は空いている状態として、図4(a)に対応するパイリング注文Qsをすべて0として計算する。
材料iから取り合された注文(取り合せ本数pjが正の注文)をパイリング機械へ振り分ける場合、例えば、振り分ける注文を既に処理しているパイリング機械(第1優先)、空いているパイリング機械(第2優先)、注文残数が0本の注文を処理しているパイリング機械(第3優先)、取り合せ本数が0本の注文を処理しているパイリング機械(第4優先)、という優先順位に基づき注文をパイリング機械へ振り分ける。これらのパイリング機械が見つからない場合には、例えば、予め指定されたパイリング機械(例えばパイリング機械1)へ注文を振り分ける。
図4(a)〜(b)は(第1優先)が成り立つ例を示している。図4(a)より、注文2はパイリング機械2で既に処理されているため、注文2はパイリング機械2へ振り分けられる。このとき、図4(b)のように、パイリング注文Q2の値は変化しない。図4(b)〜(c)は(第2優先)が成り立つ例を示している。図4(b)より、パイリング機械4が空いているため、注文3はパイリング機械4へ振り分けられる。これにより、図4(c)に示すように、パイリング注文Q4は3に設定される。
図4(c)〜(d)は(第3優先)が成り立つ例として、注文4の注文残数が0本の場合を示している。すなわち、qjは注文jの既取り合せ本数、Njは注文jの注文数であり、図4に記載のq4+p4=N4は、今回の取り合せにより注文4はすべて取り終え、注文残数が0本となることを表している。図4(c)より、注文残数が0本である注文4を処理しているパイリング機械3へ注文5が振り分けられ、図4(d)に示すように、パイリング注文Q3は5に設定される。図4(d)〜(e)は、(第4優先)が成り立つ例を示している。パイリング機械1で処理している注文1の取り合せ本数は図8(1)より0本であるため、注文6はパイリング機械1へ振り分けられ、図4(e)に示すように、パイリング注文Q1は6に設定される。
このように、材料iから取り合わされた注文である、注文2、注文3、注文5、注文6をパイリング機械に振り分けた結果、パイリング注文Q1は1から6へ、パイリング注文Q3は4から5へ、パイリング注文Q4は0から3へと、合計3回変化する、これより、尺替り数Uiは3となる。
材料iの尺替り数Uiを求める具体的な処理フローは、図5に示すように、まず、注文番号jを1に、尺替り数Uiを0回に初期化する(S31)。次いで、材料iからの取り合せ本数pjが正であるか否かを判定し(S32)、取り合せ本数pjが正である注文jに対して、その注文jがパイリング機械で既に処理されているか否かを判定する(S33)。すなわち、ステップS33では、Qs=jであるパイリング注文Qsが存在するか否かを判定している。ステップS33にて注文jがパイリング機械で既に処理されていると判定した場合には、パイリング注文Qsの値を書き換えることなく、次の注文に処理を移す(S37)。
一方、注文jを処理するパイリング機械がないと判定した場合には、何れかのパイリング機械へ注文jを振り分ける必要がある。このため、尺替り数Uiをカウントアップした後(S34)、まず、空いているパイリング機械があるか否かを判定する(S35a)。すなわち、Qs=0であるパイリング注文Qsがあるか否かを判定し、空いているパイリング機械が存在すれば、そのパイリング機械へ注文jを振り分ける(S36a)。一方、ステップS35aにて空いているパイリング機械がないと判定した場合には、次に、注文残数が0本の注文を処理しているパイリング機械があるか否かを判定する(S35b)。注文残数が0本の注文を処理しているパイリング機械があれば、そのパイリング機械へ注文jを振り分ける(S36a)。
一方、注文残数が0本の注文を処理しているパイリング機械がないと判定した場合には、さらに、取り合せ本数が0本の注文を処理しているパイリング機械があるか否かを判定する(S35c)。取り合せ本数が0本の注文を処理しているパイリング機械があれば、そのパイリング機械へ注文jを振り分ける(S36a)。一方、取り合せ本数が0本の注文を処理しているパイリング機械がないと判定した場合には、予め設定されたパイリング機械、例えばパイリング機械1へ注文jを振り分ける(S36b)。このように、ステップS32〜37の処理を取り合せ本数pjの値が正のすべての注文jに対して行うことで(S38)、パイリング注文Qsの値が変化した回数である尺替り数Uiの値が求められる。
以上、各パイリング機械への仕分けロジックについて説明した。なお、図4および図5にて説明したように、尺替わり数を算出することもできるが、より簡易には、材料iからn本の材料から取り合せた注文と、その一回前に(材料(i−n)からn本の材料から)取り合せた注文を比べ、異なる注文の数を合計することで算出することもできる。
取り合せ計画(鋸断パターン)の評価値とは、当該鋸断パターン(材料iからn本の材料の鋸断パターン)のみの評価値ではなく、未取り合せ材料も含めたすべての材料からの取り合せ、すなわち取り合せ計画の評価値とするのが望ましい。例えば、未取り合せ材料に関しては、切捨長はゼロ、取り合せ本数は「すべての注文の未取り合せ製品本数/未取り合せ材料本数」、尺替り数は未取り合せ注文の種類数(未取り合せ製品が残っている注文の数)などとして、取り合せ計画全体の評価値を計算するのが望ましい。なお、取り合せ計画の評価値の算出方法についての詳細な説明は、後述の本実施形態に係る取り合せ計画立案方法の説明においてする。
図3の説明に戻り、ステップS30にてすべての鋸断パターンの評価値が算出されると、取り合せ計画選択部140は、すべての鋸断パターンの中から、取り合せ計画の評価値が最良の鋸断パターンを抽出し、当該複数材料の鋸断パターンとして確定する(S40)。そして、鋸断パターンを確定すると、材料番号iを更新し(S50)、取り合せ計画立案処理が完了したか否かを判定する(S60)。取り合せ計画立案処理は、例えば、すべての材料から取り合せたとき、あるいは、すべての注文の製品を取り合せたときに終了するようにしてもよい。この終了条件をみたすまで、ステップS20〜S50の処理を繰り返すことで、取り合せ計画を立案することができる。
このように、比較方法は、先頭の材料から順番に、各材料(まとめ鋸断可能な場合には複数の材料)の取り合せを1つ求める処理を繰り返し、1つの取り合せ計画を求める方法である。1つの取り合せを求める際には、複数の鋸断パターンの中から評価値が最良の鋸断パターンを選んでいるが、未取り合せ材料に対しては、その切捨長はゼロと仮定するなど簡易的な評価しかできないため、ロット前半の取り合せは良好であるが、ロット後半になると、歩留りや取り合せ本数のばらつきが悪化する傾向にある。
例えば、図6に示すように、注文ファイル1より、7mの注文45本および10mの製品27本を取り合せる注文情報を取得し、材料ファイル2より、100mの材料3本および96mの材料3本の計6本の材料からこれらの注文を取り合わせる場合を考える。比較方法で歩留まりのみを評価した場合には、例えば図7に示すような取り合せ計画が取得されることが想定される。この場合、ロット前半の材料1〜材料4の取り合せは歩留り100%(すなわち、切捨長ゼロ)と良好であるが、ロット後半の材料5および材料6の取り合せは、ロット前半で10mの注文を使い切っているため、歩留りの悪い取り合せとなってしまっている。しかも、7mの注文には未取り合せ製品が1本残ってしまっている。
一方、図8に示す取り合せ計画は、ロット前半の材料1〜材料3の歩留りは悪い(切捨長1m)が、ロット後半の歩留りは良好(すなわち、切捨長ゼロ)である。また、すべての材料の取り合せ本数は12本であるため、図7に示す取り合せ計画より図8に示す取り合せ計画の方が、歩留りと鋸断能率に優れた計画となっているといえる。
本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法は、図8に示す取り合せ計画のように、ロット前半の評価値だけを比べると、他により良い評価値の取り合せが存在するが、ロット後半も含めたロット全体の評価値に優れた取り合せ計画を求めるための手法である。そのため、本実施形態に係る取り合せ計画立案方法では、ロットの先頭の材料から順次取り合せを求める際に、評価値の最も良い1つの鋸断パターンに確定してしまうのではなく、評価値が劣る取り合せ計画も設定個数残しておく。これにより、取り合せ計画のバリエーションを増やし、比較例の取り合せ計画立案方法(比較方法)と比べて優れた取り合せ計画をすることができる。
なお、以下では、図7および図8に示すような、1回のまとめ鋸断の作業指示に相当する材料の取り合せのパターンを鋸断パターン210と記載し、連続する複数の鋸断パターン210を取り合せ計画200と記載する。
[3−2.本実施形態に係る取り合せ計画立案処理]
以下、図9〜図25に基づいて、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法について、具体的に説明していく。なお、以下の説明においては、図6の注文ファイルに示す注文を、同図の材料ファイルに示す材料から取り合せる取り合せ計画を作成する場合を例に説明する。ここで、最大まとめ鋸断本数Nを2本、取り合せ計画を残す設定個数Mを4個とし、材料iまで取り合せを求めたときの取り合せ計画の評価値を下記式(1)〜式(6)を用いて計算することとする。
評価値(i)=歩留り評価値(i)+0.5×鋸断能率評価値(i) ・・・式(1)
歩留り評価値(i)=材料1〜材料iの切捨長の合計値 ・・・式(2)
鋸断能率評価値(i)
=√{(既取り合せ偏差平方和+未取り合せ偏差平方和)/材料本数}・・・式(3)
既取り合せ偏差平方和=Σj≦i(材料jの取り合せ本数−平均取り合せ本数)2
・・・式(4)
未取り合せ偏差平方和
=未取り合せ材料本数
×(未取り合せ製品本数/未取り合せ材料本数−平均取り合せ本数)2
・・・式(5)
平均取り合せ本数=製品本数/材料本数 ・・・式(6)
図9は、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法の詳細処理を示すフローチャートである。図9の処理フローは図1のステップS2〜S5に相当し、図1のステップS2とS3の処理が合わせて図9のステップS300とS400の処理に相当し、図1のステップS4の処理がステップS500の処理に、ステップS5の処理がステップS800の処理に相当する。以下、図9に示す詳細処理の流れに沿って、具体例を交えながら説明していく。
(ステップS100:初期化処理、ステップS200:計画リスト登録処理)
本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法は、まず、次に取り合せを求める材料番号iを1に初期化し(S100)、計画リストに空の取り合せ計画を登録する(S200)。取り合せ計画にはロット内のすべての材料の取り合せが求まっていない中間状態も含まれ、空の取り合せ計画とはすべての材料の取り合せ計画が求まっていない状態をいう。本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100は、複数の取り合せ計画を同時並行で求める手法であるため、複数の取り合せ計画をデータ記憶部170等のメモリ中に記憶する必要がある。この複数の取り合せ計画を記憶するメモリ内の領域を計画リストという。
空の取り合せ計画が記憶されている計画リストの一例を図10に示す。計画リスト300には、例えば、製品を取り合わせる材料に関する材料情報310、切捨長320、未取り合せの製品情報330、偏差平方和340、評価値350等が記憶される。
材料情報310には、製品を取り合わせる材料毎に、鋸断パターンを識別するための識別番号311と、取り合せ内容を示す鋸断パターン312が記録される。なお、識別番号311が「=」となっている鋸断パターンは、前材料(リストにおける左隣の材料)とまとめ鋸断することを表す。例えば、図23において、材料1と材料2、材料3と材料4、および材料5と材料6は、まとめ鋸断されることを示している。また、識別番号311の数字に「’」が付与されている鋸断パターンは、端尺切りを表しており、その右隣の材料と鋸断パターンが異なっている。例えば、図23において、材料3と材料4の鋸断パターンはすべての鋸断パターンで端尺切りとなっている。
切捨長320には、既取り合せ材料(取り合せが求まっている材料)の長さから、取り合せ長(鋸断パターンの製品数とその注文長の積和)を差し引いた長さが記録される。未取り合せの製品情報330には、取り合せが決まっていない製品本数が記録される。偏差平方和340には、上記式(4)で計算される既取り合せ材料の平均取り取り合せ本数からのばらつきである既取り合せ偏差平方和341と、上記式(5)で計算される未取り合せ材料の平均取り合せ本数からのばらつきである未取り合せ偏差平方和342とが記録される。
評価値350には、上記式(2)式で計算される歩留り評価値351、上記式(3)で計算される鋸断能率評価値352、上記式(1)で計算される取り合せ計画の評価値である合計値353等が記録される。なお、歩留り評価値351は、切捨長320の値と同一である。本実施形態に係る取り合せ計画立案方法では、このような計画リスト300の材料情報310の鋸断パターン312を左から順番に(すなわち、材料番号順に)算出し、最終的に1つの取り合せ計画を取得する。
(ステップS300:鋸断パターン算出処理)
図9の説明に戻り、ステップS200にて空の取り合せ計画が計画リスト300に登録されると、鋸断パターン算出部120によりすべての取り合せ計画に対して、材料1から連続するN本以下の材料の鋸断パターンを複数算出し、取り合せ計画評価部130により各鋸断パターンの評価値を計算する(S300)。ステップS300の処理が最初に実行されるときには計画リスト300には空の取り合せ計画が1つ記録されているのみであり、これに対して複数の鋸断パターンが算出される。本実施形態では、連続する材料本数(すなわち、最大まとめ鋸断本数)Nは2本と設定されているため、鋸断パターン算出部120は、材料1と材料2のまとめ鋸断の鋸断パターン、もしくは、材料1のみの鋸断パターンを複数算出する。
ここで、図11〜図15に基づき、ステップS300の処理についてより詳細に説明する。なお、図11は、図9のステップS300の処理の詳細を示すフローチャートである。図12は、図9のステップS300の処理が最初に実行された後の計画リスト300の一例を示す説明図である。図13は、図11のステップS320の処理の詳細を示すフローチャートである。図14は、図13のステップS322の処理の詳細を示すフローチャートである。図15は、図13のステップS325の処理の詳細を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、鋸断パターン算出部120は、取り合せ計画の識別番号jを1に初期化し(S310)、取り合せ計画jに対して、材料iから連続するN本以下の材料の鋸断パターンを複数算出する(S320)。ステップS320の処理は、図13のフローチャートに従って行われる。
ここで、鋸断能率の観点から、鋸断パターン算出部120は、まとめ鋸断を優先して鋸断パターンを算出し、材料1と材料2のまとめ鋸断が求まった場合には、材料1のみの鋸断パターンは求めないこととする。長さの異なる材料をまとめ鋸断する場合、端尺切りを行うと歩留まり向上させることができる。そこで、ステップS320において鋸断パターンを求める場合、鋸断パターン算出部120は、図13に示すように、まず、鋸断パターンの材料本数nに最大材料本数を設定する(S321)。ここでの最大材料本数は最大まとめ鋸断本数であり、n=2に設定される。なお、図13のステップS321において、「最大材料本数」と記載しているが、これは、ステップS320において図13のステップS321の処理を行うときには「最大まとめ鋸断本数」を意味しており、ステップS430において図13のステップS321の処理を行うときには「max(nk)−nk本」を意味している。
次いで、取り合せ計画jに対して、材料iから連続するn本の材料の鋸断パターンとして、完全まとめ切りパターンを複数求める(S322)。完全まとめ切りパターンとは、すべての材料から同じ数の注文を取り合せる鋸断パターンをいい、例えば図34(a)の状態が完全まとめ切りパターンである。ステップS322の完全まとめ切りパターンを複数求める処理は、図14に示すフローチャートに従って行われる。
すなわち、図14に示すように、まず、鋸断パターン算出部120により、注文毎の鋸断本数(鋸断パターン)を格納する配列P[S](S:注文の種類数)をゼロにし、鋸断パターンが格納される計画リスト300を空にする初期化処理が行われる(S3221)。
次いで、鋸断パターン算出部120は、長さ条件を満足し、かつ、取り合せ長が最も長くなるように、短い注文を優先して鋸断本数P[j]を増加させる(S3222)。ここで、長さ条件は、取り合せ長が材料の最短長以下である(取り合せ長≦材料の最短長)とする。例えば、材料1と材料2のまとめ鋸断の鋸断パターンを求める場合を考える。このとき、P[1]は7mの製品の鋸断本数、P[2]は10mの製品の鋸断本数とする。鋸断パターン算出部120は、7mの製品を優先してP[1]を増やすことで、P[1]=14、P[2]=0の鋸断パターンを得る。これ以上P[1]を増やすと、長さ条件(P[1]×7m+P[2]×10m≦100m)を満たさなくなるため、これが7mの製品の最大鋸断本数となる。
鋸断パターン算出部120は、ステップS3222にて得られた鋸断パターンを計画リスト300に追加する(S3223)。その後、鋸断パターン算出部120は、注文長の短い順に鋸断本数が正(P[j]>0)の注文を探し、その注文の鋸断本数をゼロにリセットする(P[j]=0)(S3224)。そして、鋸断パターン算出部120は、ステップS3224にてリセットされた注文より長さの長い注文kの鋸断本数を可能であれば1つ増加させる(S3225)。例えば、上記例では、P[1]=0、P[2]=1とすることができる。
ステップS3222〜S3225の処理は、鋸断本数を増加可能な注文kが見つからなくなるまで繰り返される。すなわち、ステップS3226にて、ステップS3225で鋸断本数を増加可能な注文kが見つかった場合には、ステップS3222に戻り、ステップS3222〜S3225の処理を繰り返す。一方、ステップS3226にて鋸断本数を増加可能な注文kが見つからなかった場合には、図14の処理を終了する。このようにして複数の鋸断パターンが取得される。
例えば、2回目のステップS3222〜S3225の処理の繰返しでは、P[1]=12、P[2]=1、3回目のステップS3222〜S3225の処理の繰返しではP[1]=11、P[2]=2となる。このようにステップS3222〜S3225の処理を繰り返すと、11回目の繰返しではP[1]=0、P[2]=10となる。このとき、ステップS3224で10mの製品の鋸断本数をゼロ(P[2]=0)とすると、ステップS3225において10mより長い注文が見つからず、全体の処理が終了となる。なお、図14の処理フローは長さ条件を満たす鋸断パターンの組合せを全数探索する手法であるが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、指定された条件の鋸断パターンのみ探索するようにしてもよい。指定される条件としては、例えば、「切捨長が所定値以内である」、「取り合せ本数がa本〜b本以内である」等が考えられる。この場合、ステップS3222の直後で上記条件の判断を行い、条件を満たしていないときにはステップS3223をスキップするようにすればよい。
図13の説明に戻り、鋸断パターン算出部120は、ステップS322にて複数の鋸断パターンの算出を試みて、ステップS322にて完全まとめ切り鋸断パターンが算出されたか否かを判定する(S323)。完全まとめ切り鋸断パターンが1つも算出されなければ、鋸断パターン算出部120は、鋸断パターンの材料本数nを1つ減らし(S324)、ステップS322の処理を繰り返す。一方、1つ以上の完全まとめ切り鋸断パターンが算出されれば、鋸断パターン算出部120は、完全まとめ切りパターンに含まれる注文の本数を1つ減少させるとともに、当該注文より長い注文の本数を1つ増加させる(S325)。すなわち、ステップS325では、短い製品と長い製品とを入れ替える処理を行うことで、最も歩留まりが向上する端尺切りパターンを算出する。
ステップS325の端尺切りパターンの算出処理は、図15に示すフローチャートに従って行われる。まず、鋸断パターン算出部120は、完全まとめ切りパターンの処理数hを1に初期化する(S3251)。そして、鋸断パターン算出部120は、各完全まとめ切りパターンに対して、完全まとめ切りパターンに含まれる任意の1つの注文の製品本数を1つ減少させ、それより長い注文の製品本数を1つ増やす処理を行い、完全まとめ切りパターンとは異なる鋸断パターンを算出する(S3252)。
さらに、鋸断パターン算出部120は、ステップS3252にて新たに算出された鋸断パターンの長さより長い材料がある場合には、この材料の鋸断パターンを新たに算出された鋸断パターンに置き換える(S3253)。新たに算出された鋸断パターンの長さより材料の長さの方が短い取り合せは、長さ条件を満たさなくなるため、既存の鋸断パターンのままとする。
その後、鋸断パターン算出部120は、ステップS3253において新たに算出された鋸断パターンに置き換えられた材料があるか否かを判定する(S3254)。ステップS3254にて置き換えられた材料があると判定した場合には、鋸断パターン算出部120は、当該置き換えられた材料すべてについて切捨長を計算し、最も切捨長が短い鋸断パターンを計画リスト300に登録する(S3255)。一方、ステップS3254にて置き換えられた材料はないと判定した場合、すなわち、すべての材料が新たに算出された鋸断パターンの長さより短ければ、ステップS3255の処理はスキップし、ステップS3256の処理へ進む。
鋸断パターン算出部120は、すべての注文に対してステップS3252〜S3255の処理を行ったか否かを判定し(S3256)、未処理の注文があれば、ステップS3252に戻り、ステップS3252〜S3255の処理を繰り返す。一方、すべての注文に対して処理が完了した場合には、完全まとめ切りパターンの処理数hの数を1増やし(S3257)、完全まとめ切りパターンの処理数hが完全まとめ切りパターン数m3より大きいか否かを判定する(S3258)。そして、完全まとめ切りパターンの処理数hが完全まとめ切りパターン数m3以下であれば、ステップS3252に戻り、ステップS3252〜S3255の処理を繰り返す。一方、完全まとめ切りパターンの処理数hが完全まとめ切りパターン数m3より大きい場合には、図15に示す処理を終了する。
このように、ステップS3252〜S3255の処理を完全まとめ切りパターンに含まれるすべての注文に対して行うことで、切捨長が最も小さい端尺切りパターンを算出することができる。なお、図15に示す処理フローは、1つの完全まとめ切りパターンに対して、それと一部異なる1つの鋸断パターンを求め、端尺切りパターンとする方法である。すなわち、まとめ鋸断本数が3本以上であっても鋸断パターンの数は2つであるが、より複雑な端尺切りパターンの算出方法により端尺切りパターンを算出してもよい。例えば、材料1本ごとに異なる鋸断パターンを求め、端尺切りパターンとしてもよい。
図13の説明に戻り、ステップS325にて最も歩留まりのよい端尺切りパターンが算出されると、鋸断パターン算出部120は、ステップS322で算出した完全まとめ切りパターンとステップS325で算出した端尺切りパターンとを鋸断パターンとする(S326)。このようにして、鋸断パターン算出部120は、複数の鋸断パターンを算出する。
図11の説明に戻り、ステップS320にて複数の鋸断パターンが算出されると、取り合せ計画評価部130は、新たに算出された取り合せ計画の評価値を計算する(S330)。取り合せ計画の評価値の算出は、上述したように行うことができる。取り合せ計画評価部130は、取り合せ計画の評価値を算出すると、取り合せ計画の数jを1増やし(S340)、取り合せ計画の数jが既取り合せ計画数m1より大きいか否かを判定する(S350)。ステップS350にて取り合せ計画の数jが既取り合せ計画数m1以下である場合には、ステップS320に戻り、ステップS320〜S340の処理を繰り返す。一方、取り合せ計画の数jが既取り合せ計画数m1より大きい場合には、図11に示す処理を終了する。
以上、図11〜図15に基づき、図9のステップS300の詳細な処理について説明した。まとめ鋸断した方が鋸断工程の能率は向上することから、本実施形態では、図13に示すように、最大まとめ鋸断本数から処理を開始し、そのまとめ鋸断本数の完全まとめ切りパターンが求まらない場合に1つずつまとめ鋸断本数を減らして完全まとめ切りパターンを求めている。これにより、なるべく多くの材料をまとめ鋸断する鋸断パターンを求めることができる。
図6に示す例においては、材料1と材料2をまとめ鋸断することが可能である。ステップS300の処理を実行すると、例えば図12に示すように、材料1と材料2をまとめ鋸断する複数の鋸断パターンからなる計画リスト300が作成される。
ここで、図12の計画リスト300における切捨長、未取り合せの製品情報、偏差平方和、および評価値の算出方法について補足説明する。まず、切捨長については、例えば、図12の4番目の鋸断パターン(7m×4本+10m×7本、7m×4本+10m×7本)について、材料1と材料2の合計の材料長が200mであるのに対し、この鋸断パターンの取り合せ長は196m(=7m×4本+10m×7本+7m×4本+10m×7本)となっている。これより、切捨長は4mとなる。
また、平均取り合せ本数については、式(6)より算出することができる。ここで、製品本数は72本(=45本+27本)、材料本数は6本であるから、平均取り合せ本数は12本(=72本/6本)となる。そして、4番目の鋸断パターンの取り合せ本数は材料1と材料2ともに11本(=4本+7本)であるから、既取り合せ偏差平方和は、式(4)より2(=(11本−12本)2+(11本−12本)2)となる。また、未取り合せ注文の製品本数が50本(=37本+13本)、未取り合せ材料本数が4本であるから、未取り合せ偏差平方和は、式(5)より1(=4×(50/4−12)2)となる。従って、鋸断能率評価値は、式(3)より0.71(=√{(2+1)/6})となる。
このように、各鋸断パターンについて切捨長、未取り合せの製品情報、偏差平方和、および評価値が算出される。
(ステップS400:不揃い取り合せ計画補正処理)
図9の説明に戻り、ステップS300にてすべての取り合せ計画に対して鋸断パターンおよび当該鋸断パターンの評価値を算出すると、鋸断パターン算出部120は、ステップS300で算出された各鋸断パターンの材料本数nkを調べ、それらの最大値max(nk)より小さい取り合せ計画に対しては、最大値より不足しているmax(nk)−nk本の材料の鋸断パターンを求め計画リスト300に追加し、その評価値を計算する(S400)。ここで、ステップS400の処理について、図16および図17に基づき詳細に説明する。図16は、図9のステップS400の処理の詳細を示すフローチャートである。図17は、図9のステップS400における取り合せ計画の算出処理を説明するための説明図である。
ステップS400における取り合せ計画の算出処理は、図16に示すように、まず、鋸断パターン算出部120により取り合せ計画kの値が1に初期化されることから行われる(S410)。そして、鋸断パターン算出部120は、図9のステップS300にて新たに追加された鋸断パターンの材料本数nkが、それらの鋸断パターンの材料本数の最大値max(nk)と等しいか否かを判定する(S420)。ステップS420では、材料本数の最大値max(nk)より小さい材料本数の鋸断パターンが存在するか否かを判定している。
ステップS420にて新たに追加された鋸断パターンの材料本数nkがそれらの鋸断パターンの材料本数の最大値max(nk)と等しい場合には、鋸断パターン算出部120は、取り合せ計画kの値を1増やし(S460)、取り合せ計画kが新たな取り合せ計画の数m2を超えているか否かを判定する(S470)。取り合せ計画kが新たに追加された取り合せ計画の数m2以下である場合には、ステップS420に戻り、処理を繰り返す。一方、取り合せ計画kが新たな取り合せ計画の数m2を超えている場合には、図16に示す処理を終了する。
一方、ステップS420にて新たに追加された鋸断パターンの材料本数nkがそれらの鋸断パターンの材料本数の最大値max(nk)より少ない場合には、鋸断パターン算出部120は、不足している材料本数の鋸断パターンを求める(S430)。ステップS430の処理は、図13に示す処理と同様に行うことができる。このとき、鋸断パターン算出部120は、新たに算出されたすべての取り合せ計画に対して、材料i+nkから連続するmax(nk)−nk以下の材料の鋸断パターンを算出する。ここで、各鋸断パターンの材料本数をpkとする。
ステップS430にて鋸断パターンを算出すると、取り合せ計画評価部130は、各鋸断パターンの評価値を算出し、取り合せ計画選択部140によって最良の評価値を有する鋸断パターンを計画リスト300に追加する(S440)。そして、鋸断パターンの材料本数nkに各鋸断パターンの材料本数をpkを加算して(S450)、ステップS420に戻り、処理を繰り返す。
例えば、図17の(計画a)のような複数の取り合せ計画があった場合、「取り合せ計画1」は、「取り合せ計画2」および「取り合せ計画3」に比べて、取り合せ済みの材料本数が少ない。そこで、鋸断パターン算出部120によりステップS430にて不足している「材料4(96m)」の鋸断パターンを複数求め、ステップS440にて、これら複数の鋸断パターンの中から、取り合せ計画の評価値が最良となる鋸断パターンを計画リストに追加する。これにより、図19の(計画b)のように、「取り合せ計画1」に「材料4(96m)」の鋸断パターンが追加される。
図16に示すステップS400の処理を行わない場合、取り合せ済みの材料本数が異なる取り合せ計画を比較して優劣を付けることになる。そうすると、本来計画リスト300に登録されるべき取り合せ計画が採用されず、良い取り合せ計画を算出できなくなる可能性がある。そこで、ステップS400にて、取り合せ済みの材料本数を等しくしてから後続の処理を実行することで、適切な取り合せ計画を計画リスト300に残し、良い取り合せ計画を算出できるようにしている。
(ステップS500:取り合せ計画選択処理)
図9の説明に戻り、ステップS400の処理を終えると、取り合せ計画選択部140は、新たに求めたすべての取り合せ計画の中から、評価値の良い順にM個の取り合せ計画を計画リスト300に残し、それ以外の取り合せ計画は削除する(S500)。本例のステップS500の1回目の処理を終えた後の計画リストを図12に示す。本例では、取り合せ計画を計画リスト300に残す数Mを4個に設定している。ここで、ステップS500の処理について、図18〜図20に基づき詳細に説明する。図18は、図9のステップS500の処理の詳細を示すフローチャートである。図19は、評価値と未取り合せ本数とが等しい取り合せ計画の一例を示す説明図である。図20は、図9のステップS500の処理が実行された後の計画リスト300の一例を示す説明図である。
ステップS500は、計画リスト300の中から、評価値の良い取り合せ計画のみを残し、それ以外を削除する処理である。図18に示すように、取り合せ計画選択部140は、まず、取り合せ計画kの値が1を初期化する(S510)。そして、取り合せ計画選択部140は、計画リスト300の先頭から取り合せ計画を順次処理し、当該取り合せ計画kより番号の若い(行番号の小さい)取り合せ計画hに、評価値が同一であり、かつ、各注文の未取り合せ製品数が同一である取り合せ計画hが存在するか否かを判定する(S520)。
ステップS520にて、上記判定条件を満たす取り合せ計画hが存在すると判定した場合、取り合せ計画選択部140は、取り合せ計画kを削除する(S530)。一方、ステップS520にて、上記判定条件を満たす取り合せ計画hは存在しないと判定した場合、取り合せ計画選択部140は、取り合せ計画h(h≦k)の数が、取り合せ計画を計画リスト300に残す数Mより大きいか否かを判定し(S540)、これを満たす場合に評価値が最も悪い取り合せ計画を計画リスト300から削除する(S550)。なお、ステップS540の判定条件を満たさない場合には、ステップS550の処理は行わずに後続の処理が行われる。
ステップS520〜S550の処理を終えると、取り合せ計画選択部140は、取り合せ計画kの値を1増やし(S560)、取り合せ計画kが新たな取り合せ計画の数m2を超えているか否かを判定する(S570)。取り合せ計画kが新たに追加された取り合せ計画の数m2以下である場合には、ステップS520に戻り、処理を繰り返す。一方、取り合せ計画kが新たな取り合せ計画の数m2を超えている場合には、図18に示す処理を終了する。
以上、ステップS500の処理について説明した。ここで、ステップS520の処理を行う理由は、計画リスト300の中に似通った取り合せ計画が複数存在するのを防止するためである。例えば、図19に示すように、材料1および材料2の鋸断パターンが得られた2つの取り合せ計画が計画リスト300に存在しているとする。なお、ここではまとめ鋸断不可としている。図19の2つの取り合せ計画は、材料1および材料2の鋸断パターンが入れ替わっただけであって各注文の未取り合せ製品数が同一であり、評価値も同一である。このため、この2つの取り合せ計画を計画リスト300に残したとしても、以降の両者の取り合せは同一となり、似通った取り合せ計画を重複して記憶してしまうことになる。このような理由から、評価値と各注文の未取り合せ製品数とが等しい取り合せ計画はいずれか片方のみ(例えば、最初に処理した方のみ)残す方がよい。
なお、必ずしもステップS520の処理を行う必要はないが、当該処理を行わない場合には、計画リスト300の中に似通った取り合せ計画が多数存在することになり、取り合せ計画のバリエーションが少なくなる。そうすると、設定個数Mの値を大きくしなければ、よい取り合せ計画を算出できなくなる。
図9のステップS500の処理を終えた状態では、本例では図20に示すような材料1および材料2の鋸断パターンが取得される。図20では、評価値の高い順に4つの取り合せ計画が計画リスト300に残されている。
(ステップS600:材料番号更新処理、ステップS700:完了判定処理、ステップS800:取り合せ計画決定処理)
図9の説明に戻り、ステップS500の処理を終えると、取り合せ計画選択部140は、材料番号iに鋸断パターンの材料本数の最大値max(nk)を加えて材料番号iを更新する(S600)。そして、取り合せ計画の立案が完了したか否か、すなわち、未取り合せ注文が残っており、かつ未取り合せ材料が残っているか否かを判定し(S700)、未取り合せ注文が残っており、かつ未取り合せ材料が残っている場合には、ステップS300に戻り、ステップS300〜S600の処理を繰り返す。一方、未取り合せ注文か未取り合せ材料が残っていない場合には、取り合せ計画の立案が完了したと判断し、取り合せ計画決定部150により、評価リスト300の中から最も評価値のよい取り合せ計画のみを残して処理を終了する(S800)。
例えば、ステップS500にて、図20に示すような材料1および材料2をまとめ鋸断する鋸断パターンが算出されると、ステップS600にて次の材料番号iは3(=1+2)となる。そして、ステップS700の判定において、未取り合せ注文が残っており、かつ未取り合せ材料も残っているため、取り合せ計画立案装置100は、ステップS300に戻り、ステップS300〜S600の処理を繰り返す。
2回目のステップS300〜S600の処理では、ステップS300にて、1回目のステップS300〜S600の処理により採用された4つの取り合せ計画に対して、複数の鋸断パターンが算出され、各鋸断パターンの評価値が算出される。すなわち、鋸断パターン算出部120により、材料3と材料4とのまとめ鋸断の鋸断パターン、もしくは、材料3のみの鋸断パターンが複数算出され、計画リスト300に追加される。そして、取り合せ計画評価部130により、これらの新たな取り合せ計画すべてについてそれぞれ評価値が計算される。かかる処理により、計画リスト300には、例えば図21に示すように、材料3および材料4について算出された鋸断パターンが記録される。
図21に示すように、ステップS300の処理により、図20に含まれる4つの取り合せ計画それぞれに対して、材料3と材料4の鋸断パターンが複数求められている。なお、図21において、材料3および材料4の鋸断パターンの識別番号にダッシュが付与されている(例えば、1’や2’など)鋸断パターンが存在するが、これらは、ダッシュが付されていない識別番号の完全まとめ切りパターンから派生した端尺切りパターンであることを示している。
その後、ステップS500で評価値のよいものから順にM個(本例では4個)の取り合せ計画を計画リスト300に残す。なお、図21に示すように、材料3および材料4の鋸断本数はすべて2本であるため、ステップS300で新たに算出された鋸断パターンの不揃い箇所を補うステップS400の処理は実行されない。
2回目のステップS500を終えた状態では、図21に示す計画リスト300は、例えば図22のようになる。ここで、1回目のステップS500を終えた状態(図20)では、1番目の取り合せ計画(材料1の鋸断パターン:10m×10本、材料2の鋸断パターン:10m×10本)の評価値は2番目に良い値であったが、2回目のステップS500を終えた状態(図22)では、その取り合せ計画の評価値は4番目以降になったため、計画リスト300には残されていない。この取り合せ計画は、ロット前半で評価値の良い取り合せであるが、ロット全体を考えると必ずしも良い取り合せではないものといえる。
2回目のステップS500の処理を終えると、ステップS600にて次の材料番号iは5(=3+2)となる。そして、ステップS700の判定において、未取り合せ注文が残っており、かつ未取り合せ材料も残っているため、取り合せ計画立案装置100は、再びステップS300に戻り、ステップS300〜S600の処理を繰り返す。
3回目のステップS300〜S600の処理では、ステップS300にて、2回目のステップS300〜S600の処理により採用された4つの取り合せ計画(図22)に対して、複数の鋸断パターンが算出され、各鋸断パターンの評価値が算出される。かかる処理により、計画リスト300には、例えば図23に示すように、材料5および材料6について算出された鋸断パターンが記録される。その後、ステップS500で評価値のよいものから順にM個(本例では4個)の取り合せ計画を計画リスト300に残す。なお、図23に示すように、材料5および材料6の鋸断本数はすべて2本であるため、ステップS400の処理は実行されない。
3回目のステップS500を終えた状態では、図23に示す計画リスト300は、例えば図24のようになる。ここで、図23の計画リスト300において、2番目の取り合せ計画(材料1の鋸断パターン:7m×10本、10m×3本、材料2の鋸断パターン:7m×10本、10m×3本、材料3の鋸断パターン:7m×4本、10m×7本、材料4の鋸断パターン:7m×5本、10m×6本、材料5の鋸断パターン:7m×8本、10m×4本、材料6の鋸断パターン:7m×8本、10m×4本)の評価値は、2番目によい。しかし、3回目のステップS520において1番目の取り合せ計画と似通っていると判断され、結果として図23の2番目の取り合せ計画は図24では削除されている。このように、重複する取り合せ計画が削除され、取り合せ計画のバリエーションが狭まるのを防止している。
3回目のステップS500の処理を終えると、ステップS600にて次の材料番号iは7(=5+2)となる。その後、ステップS700の判定において未取り合せ材料が残っていないことから、ステップS800にて、取り合せ計画立案装置100の取り合せ計画決定部150により、図24において最も評価値のよい取り合せ計画を実行することが決定される。すなわち、取り合せ計画決定部150は、図24で評価値合計が最も小さい2番目の取り合せ計画を採用する。そして、データ出力部160により、図25に示す取り合せ計画が取り合せファイル3に出力される。図25の取り合せ計画は、図8に示した取り合せ計画と同一である。
以上、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100による取り合せ計画立案方法について説明した。かかる取り合せ計画立案方法では、設定個数(M個)の取り合せ計画を同時並行で求めることができる。設定個数Mを1とすると上記比較方法と同じになる。設定個数Mを増やせば、取り合せ計画のバリエーションが多くなり、より良い取り合せ計画が求まる可能性が高くなる。このため、設定個数Mは、数値実験を行い、設定個数と評価値との関係や計算時間等との関係を調査して適宜決定すればよい。
なお、設定個数Mが多い方が原理的に取り合せ計画の多様性が増加し、より良い計画が得られる可能性が高まる。しかし、設定個数Mを増やすと計算負荷や記憶容量も増加してしまうため、問題規模と計算機の能力から数値実験により設定個数Mを決定する必要がある。ただし、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100は、図11のステップS320およびS330、図16のステップS430〜S450の処理を複数のCPUを有する計算機(もしくは、クラスタ計算機)を用いて並列計算させることは容易である。したがって、設定個数Mを増やしても、計算機の有するCPU個数以内であれば、計算時間はあまり増加することもない。
<4.取り合せ計画立案装置のハードウェア構成>
次に、図26に基づいて、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100のハードウェア構成について、詳細に説明する。図26は、本実施形態に係る取り合せ計画立案装置100のハードウェア構成を説明するブロック図である。
取り合せ計画立案装置100は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、取り合せ計画立案装置100は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、取り合せ計画立案装置100内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、取り合せ計画立案装置100の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。取り合せ計画立案装置100のユーザは、この入力装置909を操作することにより、取り合せ計画立案装置100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、取り合せ計画立案装置100が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、取り合せ計画立案装置100が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、取り合せ計画立案装置100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、取り合せ計画立案装置100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を取り合せ計画立案装置100に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、取り合せ計画立案装置100は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る取り合せ計画立案装置100の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以下、図27〜図31に基づいて、上記実施形態に係る取り合せ計画立案装置100を用いて、図27の注文ファイル1の注文を、図28材料ファイル2の材料から取り合せる計画を求めた実施例を説明する。本実施例においては、最大まとめ鋸断本数Nを3本とし、設定個数Mを1、4、8、12、16と変化させたときの評価値の値を算出した。その結果を図31に示す。設定個数Mが1の場合は比較方法による結果を示している。図31より、設定個数Mを増加させると、設定個数Mが1の場合と比較して取り合せ計画の評価値は小さくなっており、設定個数Mを増加させると評価値の良い取り合せ計画が得られることが確認された。
ここで、取り合せ計画を求めたときの評価関数を下記式(10)〜式(18)に示す。
評価値(i)=2.0×切捨率評価値(i)+1.0×鋸断能率評価値(i)
+0.02×尺替り評価値(i)+0.5×進捗率評価値(i)
・・・式(10)
切捨率評価値(i)=歩留り評価値(i)/材料長 ・・・式(11)
進捗率評価値(i)=√Σg(既取り合せ累積鋸断長偏差g2
+未取り合せ累積鋸断長偏差g2)/材料本数・・・式(12)
既取り合せ累積鋸断長偏差g
=既取り合せ累積鋸断目標長g−既取り合せ累積鋸断計画長g・・・式(13)
既取り合せ累積鋸断目標長g=鋸断割合g×既取り合せ総材料長 ・・・式(14)
既取り合せ累積鋸断計画長g=グループgに属する注文の既取り合せ総製品長
・・・式(15)
未取り合せ累積鋸断長偏差g
=未取り合せ累積鋸断目標長g−未取り合せ累積鋸断計画長g・・・式(16)
未取り合せ累積鋸断目標長g=鋸断割合g×未取り合せ総材料長 ・・・式(17)
未取り合せ累積鋸断計画長g=グループgに属する注文の未取り合せ総製品長
・・・式(18)
式(10)の切捨率評価値は、式(2)の歩留り評価値を材料長で除して規格化した値である。鋸断能率評価値は、式(3)〜式(6)で計算される値である。尺替り評価値は、図4および図5に基づき説明したパイリング機械(4台)への仕分けロジックを模擬した方法で計算した値であり、予め定められたロジックで4台のパイリング機械に製品を仕分け、製品の注文種類が切替わった回数の合計値である。進捗率評価値は、グループ毎の累積鋸断目標長と累積鋸断計画長との偏差を使用した評価値であり、式(12)〜式(18)で計算される。
各注文は、図27の右列のように3つのグループに分けられており、各グループに属する製品の長さの合計値(Σ(製品本数数×注文長))から計算される鋸断割合は図29に示す通りである。進捗率評価値は、ロット後半でも注文の種類数が少なくなることを防ぐように注文を複数グループに分類し、1つのグループの注文を偏って取り合せることがないように各グループの累積鋸断目標長を既取り合せ(未取り合せ)総材料長(材料長の合計値)から定める。すなわち、進捗率評価値は、各グループから均等に取り合せるための評価値であり、累積鋸断目標長からのズレを極力小さくするために用いられる。
すべての材料からの取り合せ計画を求めた後の評価値の内訳を図30に示す。比較方法(設定個数Mが1の場合)と比べて、上記実施形態の手法(設定個数Mが1より大きい場合)を用いることで、図30に示すようにすべての評価値は小さくなっており、取り合せ計画の質が改善されたことがわかる。また、設定個数Mが大きい方が概ね評価値の良い取り合せ計画が得られることが確認された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。