JP5033555B2 - 生産スケジュール作成方法及びそのシステム - Google Patents

生産スケジュール作成方法及びそのシステム

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Description

本発明は、複数工程からなる生産ラインで複数種類の製品を生産する際のスケジュール管理に係り、特に、ある工程にてロットまとめを行う必要がある場合における生産スケジュール作成方法及びそのシステムに関する。
従来、多工程からなる生産ラインであって、複数種類の製品を生産する際に、ある工程ではロットまとめを行うことが可能にされた生産ラインが知られている。例えば、溶解炉において複数のスラブを作成する造塊工程や複数のコイルを一度に焼鈍するバッチ焼鈍工程などが存在する素材系産業の生産ラインがある。
多工程を扱う生産ラインでは、それぞれの工程固有の操業条件や能力が異なるため、工程毎に望ましい生産スケジュールは異なる。また、生産ラインにロットまとめ(例えば、複数のジョブを一度に処理できるバッチ焼鈍工程)を行う工程が存在する場合、自工程で処理予定のロットに含まれるジョブの全てが前工程での処理を終了していなければ、自工程での処理を開始することができない。そのため、ロットまとめの結果により、前工程における対象のジョブの作業が計画期間に偏在している場合、自工程における処理開始が遅くなり、仕掛けが増えると共に納期遅れを引き起こす可能性がある。このように、工程毎に望ましいスケジュールが異なるといって、各工程が独自に自工程の都合のみを考えたスケジュールを単に組み合わせただけでは、全体として良質なスケジュールにはならない。そのため、各工程の生産スケジュールは、自工程の都合を考えると共に、ライン全体の効率性を考慮して作成する必要がある。一般に、ライン全体の効率性を考慮したスケジュール作成では、できるだけ短い時間で全体として良質の計画を作成すること、また外乱(設備トラブル)に柔軟に対応できること等の課題がある。
また、ロットまとめを考慮して計算時間の短縮化を図りつつ、良質なスケジュールを作成するべく、納期を基準としたバックワードスケジューリングにて生産スケジュールを作成し、その順序に従ってロットまとめを行う手法が特許文献1に提案されている。
特許文献1に開示の方法では以下の特徴を備えている。1)生産ラインはロットまとめを必要とする工程を第1工程に有するものである。2)各製品の最終工程での処理を納期に合わせる形で処理開始時刻、処理終了時刻を決定する。3)前記2)で決定した処理開始時刻、処理終了時刻をバックワードスケジューリングによって決定する。すなわち、事前にジョブの通過工程、納期、各工程での処理時間(処理を行うために機械を占有する時間)が判っているため、最終工程での処理完了時間を納期とする形で処理開始時刻を決定する。そして、その処理開始時刻−工程間のリードタイムを前工程の処理終了時刻とする。これを第1工程まで遡ることにより、スケジュールを立案するものである。4)ロットまとめを考慮しないスケジューリングが定まった後に、ロットまとめを必要とする工程において、元々の処理順序に従ってロットまとめを行う。この際、ロットをまとめることによって発生する下工程の矛盾を、下工程における処理時間帯をずらすことにより解消している。5)また、長期スパンにおける粗生産計画と、計画期間を直近に限定した精生産計画とを併用して計画を実行していく。
すなわち、かかる手法によれば、納期を基準としたバックワードスケジューリング手法により、納期を遵守し、ロットまとめを有する生産ラインのスケジュールを立案することが可能となる。また、粗計画と精計画の2種類の生産計画を併用することにより、計画立案に要する時間を短縮し、外乱が発生した場合には、粗計画と直近の精計画の見直しを図るのみでよいため、外乱にも柔軟に対応することができるものである。
特開2003−256020
しかしながら、特許文献1の方法によれば以下の問題点がある。すなわち、1)納期を基準として作成されたスケジュールを基にロットまとめを行っているため、納期が一定期間以上離れたジョブの作業をロットまとめすることが難しい。2)納期を基準として処理順序を決定しているため、複数工程で処理順序が同一になるものとなる。そのため、複数工程にて異なる情報を用いてロットまとめを行う生産ラインへの対応が難しい。3)納期を基準にスケジュールを立案しているため、ある工程では、段取りが多発するなど、生産性が著しく低下する場合が考えられる。
本発明は、上記問題点を解決するためのものであって、各工程側と全体とでスケジューリングの実行を行うことで、ロットまとめ行う工程を含む生産ラインに対して全体として良質のスケジュールをより短時間で作成可能にする分散型の生産スケジュール作成方法及びそのシステムを提供することを目的とするものである。
請求項1記載の発明は、複数工程によって生産する複数種類の製品を、1以上の当該製品で構成されるロット単位で生産するための生産スケジュールを作成する生産スケジュール作成システムであって、各工程におけるロットを生産する各工程スケジュールを作成する工程スケジュール作成手段と、前記工程スケジュール作成手段で作成された工程スケジュールの作業手順効率に関する第1の評価情報を算出する第1の評価情報算出手段と、前記各工程スケジュールに基づいて全工程に亘る全体スケジュールを作成する全体スケジュール作成手段と、前記全体スケジュール作成手段で作成された全体スケジュールの作業手順効率に関する第2の評価情報を算出する第2の評価情報手段と、前記第1、第2の評価情報を用いて記各工程スケジュールの修正のための制約条件を作成する修正処理手段とを備え、前記工程スケジュール作成手段は、前記修正処理手段が作成した制約条件に基づいて、工程ごとに、ロットを構成する製品の組み合わせを変更して新たなロットを作成し、作成したロットを生産する各工程スケジュールを作成するを特徴とするものである。
請求項11記載の発明は、数工程によって生産する複数種類の製品を、1以上の当該製品で構成されるロット単位で生産するための生産スケジュールを作成する生産スケジュール方法であって、各工程におけるロットを生産する各工程スケジュールを作成する工程スケジュール作成ステップと前記工程スケジュール作成ステップで作成された工程スケジュールの作業手順効率に関する第1の評価情報を算出する第1の評価情報算出ステップと前記各工程スケジュールに基づいて全工程に亘る全体スケジュールを作成する全体スケジュール作成ステップと前記全体スケジュール作成ステップで作成された全体スケジュールの作業手順効率に関する第2の評価情報を算出する第2の評価情報算出ステップと記第1、第2の評価情報を利用して記各工程スケジュールの修正のための制約条件を作成する修正処理ステップとを備え、前記工程スケジュール作成ステップは、前記修正処理ステップで作成した制約条件に基づいて、工程ごとに、ロットを構成する製品の組み合わせを変更して新たなロットを作成し、作成したロットを生産する各工程スケジュールを作成することを特徴とするものである。
この構成によれば、各工程におけるロットを生産する各工程の工程スケジュール作成され、作成された工程スケジュールに基づいて全体スケジュールが作成される。そして、複数工程の内のいずれかの工程でロットまとめを行うようにして複数種類の製品を生産するための生産スケジュールを作成する技術に適用される。程スケジュール作成手段によって、工程に対して設定された製品毎の処理順序、ロットまとめの組合せ及び所定の制約条件に基づいて工程の工程スケジュールが作成され、第1の評価情報算出手段によって、作成された工程スケジュールの作業手順効率に関する第1の評価情報が算出され、全体スケジュール作成手段によって、各工程スケジュールに基づいて全工程に亘る全体スケジュールが作成され、第2の評価情報手段によって、全体スケジュールの作業手順効率に関する第2の評価情報が算出される。次いで、修正処理手段によって、前記第1、第2の評価情報を用いて各工程スケジュールの修正のための新たな前記制約条件が作成される。そして、この新たな制約条件に基づいて、前記工程スケジュール作成手段にて、それぞれの工程スケジュールの作成、すなわち修正が行われる。
従って、各工程側と全体とでスケジューリングの実行を行うことで、ロットまとめ行う工程を含む生産ラインに対して全体として良質のスケジュールをより短時間で作成可能にする分散型の生産スケジュール作成方法及びそのシステムを提供することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の生産スケジュール作成システムにおいて、修正処理手段は、前記第1、第2の評価情報から前記工程スケジュールに対する修正の要否を判断する修正判断手段を備え、修正が必要であると判断した場合には、全体スケジュールの作業手順効率が向上する為の制約条件を作成することを特徴とする。この構成によれば、修正処理手段によって、前記第1、第2の評価情報から前記工程スケジュールに対する修正の要否が判断される。従って、各工程スケジュールに関する第1の評価情報と、全体スケジュールに関する第2の評価情報とから修正の要否が判断されるので、より良質の生産スケジュールを作成することが可能となる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の生産スケジュール作成システムにおいて、第1の評価情報は、新たに作成したロットの処理にかかる費用をコストに換算したコスト情報であり、第2の評価情報は、前記製品の納期に対する遅れをコストに換算したコスト情報であることを特徴とする。この構成によれば、第1、第2の評価情報が、処理をコストに換算したコスト情報として同次元に換算されて、評価されるので、修正の要否判断が容易に行われる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の生産スケジュール作成システムにおいて、第1の評価情報算出手段は、各工程における処理毎に設定された重み付けに従って換算し、第2の評価情報算出手段は、前記製品毎に設定された重みづけに従って換算するものであることを特徴とする。この構成によれば、第1、第2の評価情報算出手段によって、各工程での処理、及び、製品毎に設定された重み付けに従って換算するようにしたので、作業内容の品質面から見た軽重に応じたものとなり、より良質の生産スケジュールが作成可能となる。
請求項5記載の発明は、請求項3記載の生産スケジュール作成システムにおいて、第1の評価情報は、連続して処理するロット間に要する段取り替えの時間をコストに換算した値を含むことを特徴とする。この構成によれば、第1の評価情報に、連続するロット間に要する段取り替えの時間をコストに換算した値が含まれるので、現実に即した形で生産スケジュールが作成される。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の生産スケジュール作成システムにおいて、前記生産スケジュール作成システムは、更に、各工程スケジュール及び該各工程スケジュールから作成された全体スケジュールの前記第1、第2の評価情報に基づいて、前記各工程スケジュール及び前記全体スケジュールを暫定的に記憶部に記憶するか否かを判断する記憶判断手段を備え、前記修正処理手段は、前記修正判断手段が、前記全体スケジュールに対して修正要と判断した場合であって、前記記憶判断手段が、当該全体スケジュール前記記憶部に記憶ると判断たときは、この全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件を作成し、一方、該全体スケジュール前記記憶部に記憶ないと判断たときは、前記記憶部に既に記憶されている全体スケジュールの中から所定のルールに従って選択された1つの全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件を作成すことを特徴とする。
この構成によれば、記憶判断手段によって、作成された各工程スケジュール及び該各工程スケジュールから作成された全体スケジュールの前記第1、第2の評価情報に基づいて、前記各工程スケジュール及び前記全体スケジュールを暫定的に記憶部に記憶するか否かが判断される。この場合、記憶部は実施形態における全体スケジューラに設けてもよいが、各工程スケジュールを各工程スケジューラで、全体スケジュールを全体スケジューラで記憶する態様でもよい。そして、前記修正処理手段によって、作成された全体スケジュールが修正要と判断された場合に、記憶判断手段によって全体スケジュールが前記記憶部に記憶されると判断されていれば、この全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件が作成され、一方、記憶判断手段によって全体スケジュールが前記記憶部に記憶されないと判断されたときには、前記修正処理手段によって、前記記憶部に既に記憶されている全体スケジュールの中から所定のルールに従って選択された1つの全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件が作成される。従って、一応の条件を満たすとして記憶部に記憶されることとなった全体スケジュールの修正は、該全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報に基づいて修正のための制約条件が作成される。一方、今回の全体スケジュールが、一応の条件を満たさないとされ、記憶部に記憶されないこととなったときでも、既に記憶部に記憶されている全体スケジュールの中の1つの全体スケジュールが選択され、それに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件が作成されるので、終了に達するまでは、毎回制約条件が作成されることとなって、より良質のスケジュールを作成するべく、修正動作が繰り返される。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の生産スケジュール作成システムにおいて、記憶判断手段は、第1、第2の評価情報である各コスト情報を加算した値が最初に作成された各工程スケジュール及び全体スケジュールの加算されたコスト情報より所定分だけ低減したと判断したとき、作成された各工程スケジュール、全体スケジュール及び各コスト情報を前記記憶部に記憶することを特徴とする。この構成によれば、第1、第2の評価情報である両コスト情報を加算した値が、最初に作成された各工程スケジュール及び全体スケジュールの加算されたコスト情報よりも所定分、例えば所定比率又は所定値だけ低減したと判断されたとき、作成された各工程スケジュール、全体スケジュール及び各コスト情報が前記記憶部に記憶される。従って、記憶部への記憶対象としてある程度良質のスケジュールを取り込むことが可能となり、最終的に選出対象となるスケジュールとして良質のものが確保される。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の生産スケジュール作成システムにおいて、修正処理手段は、第1、第2の評価情報を用いて複数の製品に対する処理順序の優先情報を修正指示内容として作成するスケジュール修正指示作成手段と、前記修正指示内容に基づいて自工程での製品の処理順序及びロットまとめの組み合わせの変更に関する制約条件を決定する制約条件作成手段とを備えてなることを特徴とする。この構成によれば、スケジュール修正指示作成手段によって、第1、第2の評価情報を用いて複数の製品の各ジョブに対する処理順序の優先情報が修正指示内容として作成され、制約条件作成手段によって、前記修正指示内容に基づいて自工程での製品の処理順序及びロットまとめの組み合わせの変更に関する制約条件が決定される。従って、全体スケジュールの観点を含む評価を受けて修正するための指示内容の作成と、この修正指示内容を受けて、各工程スケジュールを作成するための制約条件を作成するので、全体観察と個別対応との双方を考慮した上での、良質のスケジュール修正が期待される。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の生産スケジュール作成システムにおいて、修正処理手段は、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報が所定の終了条件を満たしている場合に各工程スケジュール及び全体スケジュールの修正処理を終了と判断する終了判断手段を備え、この終了判断手段の判断結果が肯定である場合に、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報から、1つの全体スケジュールを選択し、その元となっている各工程スケジュールを前記各工程のスケジュールとすることを特徴とする。この構成によれば、終了判断手段によって、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報が所定の終了条件を満たしていると、各工程スケジュール及び全体スケジュールの修正処理が終了と判断される。そして、この終了判断手段の判断結果が肯定である場合に、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報から、1つの全体スケジュールが選択され、その元となっている各工程スケジュールが各工程のスケジュールとして、設定されることとなる。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の生産スケジュール作成システムにおいて、所定の終了条件を最初の第1、第2の評価情報が算出された後に入力可能な入力部を備えることを特徴とする。この構成によれば、入力部によって、最初の第1、第2の評価情報が算出された後に所定の終了条件が入力可能にされる。従って、作業者は最初の評価内容に基づいて好適な終了条件を設定することも可能となる。
請求項1,11記載の発明によれば、各工程側と全体とでスケジューリングの実行を行わせるようにしたので、ロットまとめ行う工程を含む生産ラインに対して全体として良質のスケジュールをより短時間で作成可能にする分散型の生産スケジュール作成方法及びそのシステムを提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、各工程スケジュールに関する第1の評価情報と、全体スケジュールに関する第2の評価情報とから修正の要否を判断するようにしたので、より良質の生産スケジュールを作成することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、第1、第2の評価情報を、処理をコストに換算したコスト情報として同次元に換算して、評価するようにしたので、修正の要否判断を容易に行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、第1、第2の評価情報算出手段によって、各工程での処理、及び、製品毎に設定された重み付けに従って換算するようにしたので、作業内容の品質面から見た軽重に応じたものとでき、より良質の生産スケジュールを作成することが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、第1の評価情報に、連続するロット間に要する段取り替えの時間をコストに換算した値を含めるようにしたので、現実に即した形で生産スケジュールを作成することができる。
請求項6記載の発明によれば、一応の条件を満たすとして記憶部に記憶されることとなった全体スケジュールの修正を、該全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報に基づいて修正のための制約条件を作成し、一方、今回の全体スケジュールが一応の条件を満たさないとされ、記憶部に記憶されないこととなったときでも、既に記憶部に記憶されている全体スケジュールの中の1つの全体スケジュールを選択させ、それに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件を作成するようにしたので、終了に達するまでは、毎回制約条件を作成することができ、より良質のスケジュールの作成が可能となる。
請求項7記載の発明によれば、第1、第2の評価情報である各コスト情報を加算した値が最初に作成された各工程スケジュール及び全体スケジュールの加算されたコスト情報より所定分、例えば所定比率又は所定値だけ低減したと判断したとき、作成された各工程スケジュール、全体スケジュール及び各コスト情報を前記記憶部に記憶するようにしたので、記憶部への記憶対象としてある程度良質のスケジュールを取り込むことを可能とし、最終的に選出対象となるスケジュールとして良質のものを確保することができる。
請求項8記載の発明によれば、スケジュール修正指示作成手段によって、第1、第2の評価情報を用いて複数の製品の各ジョブに対する処理順序の優先情報を修正指示内容として作成し、制約条件作成手段によって、前記修正指示内容に基づいて自工程での製品の処理順序及びロットまとめの組み合わせの変更に関する制約条件を決定するようにしたので、全体スケジュールの観点を含む評価を受けて修正するための指示内容の作成と、この修正指示内容を受けて、各工程スケジュールを作成するための制約条件を作成させることで、全体観察と個別対応との双方を考慮した上での、良質のスケジュールへの修正が期待できる。
請求項9記載の発明によれば、終了判断手段によって、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報が所定の終了条件を満たしていると、各工程スケジュール及び全体スケジュールの修正処理を終了と判断し、この終了判断手段の判断結果が肯定された場合に、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報から、1つの全体スケジュールを選択させ、その元となっている各工程スケジュールを各工程のスケジュールとするようにしたので、良質の工程スケジュールが各工程のスケジュールとして最終的に設定可能となる。
請求項10記載の発明によれば、入力部によって、最初の第1、第2の評価情報が算出された後に所定の終了条件を入力可能にしたので、作業者は最初の評価内容に基づいて、好適な終了条件を設定することができる。
図1は、本発明が適用される作業スケジュール作成システムを備えた生産設備の一例を示す全体概略構成図である。本実施形態に係る生産設備は、工程1〜工程4の各設備を備え、この工程順で製品を処理する生産ラインと、各工程に対応して設けられた工程スケジューラ11〜14と、各工程スケジューラ11〜14との間で通信可能な全体スケジューラ20とから構成されている。
生産ラインは注文された種々の製品を生産、製造、加工するラインを含むもので、ここでは銅板の製造を行う設備を想定しており、造塊工程やバッチ焼鈍工程を含む4つの工程を備えた態様を想定している。本生産ラインは、複数種類の製品が製造可能なもので、各工程の内、少なくとも1つ以上の工程、本実施形態では全ての工程で、異なる種類の製品をまとめて一度に処理可能な、いわゆるロットまとめとして対応可能なものである。
工程スケジューラ11〜14は、それぞれ自工程における製品(注文品)毎の処理順序及びロットまとめの組合せ、各作業時間帯を少なくとも決定する生産スケジュールを作成する処理部及び作成された工程スケジュールの評価を行う処理部を備えており、詳細は後述する。全体スケジューラ20は、各工程スケジューラ11〜14で作成された工程スケジュールを元に全工程に亘る全体スケジュールを作成する処理部、作成された全体スケジュールを評価する処理部、及び評価結果に基づく処理を指示する処理部を少なくとも備えている。
図2は、工程スケジューラの一実施形態を示すブロック図である。工程スケジューラ11〜14は同一構成であるので、ここでは工程スケジューラ11を代表として説明する。
工程スケジューラ11は、好ましくは、処理プログラムで稼働されるマイクロコンピュータで構成されており、スケジューリング制約作成部111、工程スケジュール作成部112、工程スケジュール記憶部113、工程コストシミュレーション部114及び全体スケジューラ20との間で所要の情報を送受信する通信部115を備える。
まず、以下に説明する生産対象製品に対する作業内容の諸条件の一例を表を用いて説明する。表1は、ロットまとめ条件(ロットまとめが可能な組合せ候補)を示すものである。
Figure 0005033555
表1に示すように、ここでは、製品A〜Fの6種類の注文を工程1〜工程4で生産する場合を想定している。工程1では、製品(AとB)、製品(CとD)、製品(EとF)がロットまとめとして処理可能とされている。工程2では、それぞれ独自に処理するものとされている。工程3では、製品(AとBとEとF)、製品(CとD)がロットまとめとして処理可能とされている。工程4では、製品(AとCとEとF)、製品(BとD)がロットまとめとして処理可能とされている。
表2は、段取り替え条件の一例を示すものである。段取り替え条件とは、同一工程において、直前に処理した製品に対し、直後に処理する製品との関係で、処理条件の変更や同設備での直前の処理に使用した薬剤の洗浄作業等の付加作業を必要とするか否かに関するもので、表2中、○は段取り替えが不要な場合、×は段取り替えが必要な場合に示している。
Figure 0005033555
表2において、例えば工程1では、直前の処理が製品Bの場合には、直後の処理に製品Aを予定することは可能であるが、直前の処理が製品Cの場合には、直後の処理に製品Aを予定することはできない。また、工程4では、直前の処理が製品Aの場合には、直後の処理に製品Cを予定することは可能であるが、直前の処理が製品Bの場合には、直後の処理に製品Cを予定することはできない。なお、段取り替えに要する時間は、工程毎、製品毎に設定することも可能であるが、説明の便宜上、ここでは一律の所定時間、例えば10分としている。また、この表2は、別の見方をすれば、ロットまとめが可能かどうかを表している。従って、表2は表1と整合している。
表3は、各工程における処理時間の一例を示している。
Figure 0005033555
表3において、工程1、工程3、工程4では全製品とも20分、30分、20分であり、工程2では、製品毎に異なっている。
図2に戻り、スケジューリング制約作成部111は、全体スケジューラ20の後述するスケジュール修正指示作成部207からの修正指示に対応する制約条件を作成するものである。スケジューリング制約作成部111は、最初のスケジュール(初期スケジュール)の作成時は、後述する表1に基づいてロットまとめ及び各ロットの処理順のみの制約条件であり、2回目以降のスケジュールの作成に際しては、スケジュール修正指示作成部207からの修正指示に対応する新たな制約条件を作成するようにしている。
工程スケジュール作成部112は、スケジューリング制約作成部111によって作成された制約条件を満たしつつ、自工程での作業手順効率に関する評価情報としての、後述するコスト(工程コスト)が最も低くなるようにスケジュールの作成を行うものである。
ここに、工程コストとは、段取り替え発生時にかかる段取り替えコスト、及びロットまとめを行う工程において1回の処理に伴い発生するロットまとめコストをいう。なお、ロットまとめコストは、一度に処理するロットの数によらず一定とする。また、コストの種類、工程毎にコストに重み付け(重み係数を付与)してもよいが、ここでは一定としている。なお、他の工程に高い影響を与えるような、いわゆるネック工程がある場合には、当該ネック工程に対して所定の重み係数を設定してもよい。
工程スケジュール作成部112は、最初の、すなわち初期スケジュールを作成するが、この初期スケジュールの作成は、具体的には、自工程での工程コストを最小化するように処理を組合せ範囲内でロットまとめを行い、またロットの処理順序の決定を行う。
スケジュールの作成手法としては、SA(Simulated Annealing)法、GA(Genetic Algorithm)法、MLS(Multi Start Local Search)法等の組み合わせ最適化アルゴリズムが採用可能である。これらの内容は公知であるので、以下簡単に触れておく。SA法は、スケジュールを、ジョブが処理される機械の組み合わせと処理される順序の組み合わせ、各ジョブの処理開始時刻、処理終了時刻によって表現するものである。この方法は、前記組み合わせをランダムで作成したものを出発点として、組み合わせの一部を変更し、この変更したものの評価を繰り返す事により、より良い組み合わせ、すなわちスケジュールを探索する。通常は、スケジュールの評価を行った際、より良いスケジュールが発見された場合のみスケジュールを更新する。しかし、本手法では探索したスケジュールが暫定的な解に対して悪い場合でもスケジュールを更新する確率を制御し、改悪を許すようにしている。GA法は、スケジュールを、ジョブが処理される機械の組合せと処理される順序の組み合わせ、各ジョブの処理開始時刻、処理終了時刻によって表現するものである。この方法は、まず母集団と呼ばれる一定数の解すなわちスケジュールからなる集合を作成し、それぞれの評価を行う。その後、良い評価を得た2つのスケジュールをランダムに選び、それぞれのスケジュールの一部を交換する事により、新しいスケジュールを作成する。これを繰り替えし、一定数のスケジュールを作成し、母集団を更新する。これらの処理を繰り替えし行い、集団としてよりスケジュールを作成していく部分が特徴である。MLS法は、スケジュールを、ジョブが処理される機械の組合せと処理される順序の組み合わせ、各ジョブの処理開始時刻、処理終了時刻によって表現するものである。この方法は、前記組合せをランダムで作成したもの出発点として、組み合わせの一部を変更し、変更したものの評価を繰り返すことにより、より良い組み合わせ、すなわちスケジュールを探索する。スケジュールの評価を行った際、より良いスケジュールが発見された場合のみスケジュールを更新し、より良いスケジュールが発見されなかった場合は一旦そこで終了し、暫定解を保管しておく。その後、一定時間、出発点を変更し、同様の処理を繰り返し行う。一定時間経過後、保管された暫定解群の中で、最も良いものを選択する。
工程スケジュール記憶部113は、RAM等からなり、工程スケジュール作成部112で作成された工程スケジュール(初期スケジュール、2回目以降の工程スケジュール)を記憶するものである。工程コストシミュレーション部114は、自工程での工程コストを計算するものである。初期スケジュールの作成時には全体スケジューラ20からの修正指示がない状態であるから、修正のための制約条件はなく、原則的には自工程における工程コストを0としている。一方、全体スケジューラ20からの修正指示に応じて、すなわち新たな制約条件のもとで工程スケジュールを修正する場合には、後述するように初期スケジュールとの対比において工程コストが発生する可能性がある。通信部115は、全体スケジューラ20の通信部208との間で情報の送受信を行うものである。各工程スケジューラ11〜14から全体スケジューラ20に送信する情報としては、それぞれの工程での、各ロットにおけるジョブの組み合わせ(ロットまとめ)、ロットの処理順序、各作業時間帯(幅)、計算した工程コストの情報である。なお、作業時間帯は、処理開始時刻、処理終了時刻、及び処理時間のいずれか2つにより決定されるものである。
図3は、全体スケジューラの一実施形態を示すブロック図である。全体スケジューラ20は、全体スケジュール作成部201、全体コストシミュレーション部202、コスト記憶部203、スケジュール更新判断部204、暫定スケジュール記憶部205、終了判定部206、スケジュール修正指示作成部207、及び通信部208を備える。全体スケジューラ20は、好ましくはマイクロコンピュータで構成されており、全体スケジュール作成部201、全体コストシミュレーション部202、スケジュール更新判断部204、終了判定部207及びスケジュール修正指示作成部207の各機能を実行すると共に、各機能部の処理手順を司る、スケジュール作成から、その評価、判断さらに修正指示のための処理プログラム及び処理に必要な初期データを格納するROMを備える。なお、外部メモリから処理プログラム等がインストールされる形態では、RAMを備え、その所定領域に処理プログラム等を取り込むと共に、他の一部領域をワークエリアとして使用するようにすればよい。これらの点は、工程スケジューラ11〜14も同様である。なお、表1〜表5のデータ類は、全体スケジューラ20の所定の記憶部の適所に格納乃至は外部メモリから取り込まれており、必要に応じて全体スケジューラ20へ、また各工程スケジューラ11〜14へ読み出されて用いられるようになっている。
全体スケジュール作成部201は、通信部208を介して得られた各工程スケジューラ11〜14からの工程スケジュールから、全体スケジュールの作成、すなわちここでは各工程のロットの処理開始時刻を決定するものである。処理開始時刻は、直前工程のロットに含まれるジョブが全て終了する時刻と、(自工程での直前ロットの処理終了時刻+必要な段取り替えに要する時間)とを比べ、その大きい方の時刻である。なお、工程1では、前工程での処理終了時刻は、原材料が到着する時刻や必要な部品が全て揃う時刻等として事前に与えられるが、本実施形態では、便宜上、0として扱う。ここで、上記処理終了時刻は、処理開始時刻+対応する設備及び製品の組み合わせにより決定する処理時間で求められる時刻である。
図5は、全体スケジューラが作成した初期スケジュールの一例及び表4に基づく各注文の納期を示す図である。図5に示すように、初期スケジュールは、各工程スケジューラ11〜14は自工程の都合のみを考慮して生産スケジュールを立案した結果、段取り替えは発生しておらず、また各工程の処理回数は最小になっているものの、間延びしたスケジュールとなっており、納期遅れが多数発生している。製品A、C以外は納期遅れを発生しており、例えば、製品Bは納期が110分であるのに対し、この初期スケジュールの結果によれば、製品完成時点は220分となっており、大幅に遅れている。なお、納期の時間単位は「分」に限定されないが、ここでは説明の便宜上、仮に「分」で説明している。
全体コストシミュレーション部202は、全体スケジュール作成部201で作成した全体スケジュールに基づいて、各製品に対する納期遅れコストの計算を行うものである。納期遅れコストの計算は、本実施形態では、各製品に対して、単位時間当たりの納期遅れに対するペナルティ係数×Max(最終工程での処理終了時刻―納期、0)で計算する。なお、Max(a、b)は大きい方の値を解とする演算子を示している。
表4は、各製品の納期と単位時間当たりの納期遅れに対するペナルティ係数の一例を示している。
Figure 0005033555
表4において、例えば、製品Cは単位時間当たりの納期遅れに対するペナルティ係数が値1であり、一方、製品Aは単位時間当たりの納期遅れに対するペナルティ係数が係数6であり、最も高い。
図5に示す初期の全体スケジュールに対して、納期遅れコストを計算すると、
製品A:6×Max(180−180,0)=0
製品B:3×Max(220−110,0)=330
製品C:1×Max(180−200,0)=0
製品D:3×Max(220−130,0)=270
製品E:2×Max(200−160,0)=80
製品F:4×Max(200−170,0)=120
総納期遅れコスト=800
となる。コストに関する重み(ここでは、便宜上、値1としている)を考慮する態様では、その重みと総納期遅れコスト800を乗算したものが、出力する総納期遅れコスト値となる。上記計算結果から判るように、この例では、製品Bに対する納期遅れコストが最大である。各工程のコストと、この納期遅れコストを加算した値800が、スケジュールの総コストとなる。
コスト記憶部203は、各工程スケジューラ11〜14で計算された各工程のコスト(第1の評価情報)と、全体コストシミュレーション部202で算出された納期遅れコストの加算値(第2の評価情報)、ここでは値800とを格納するものである。
スケジュール更新判断部204は、初期スケジュールについては無条件に暫定スケジュール記憶部205に取り込む一方、2回目以降において作成した全体スケジュールについては、その全体スケジュールの全体コストを考慮し、所定の条件を満たすと判断した場合には、該全体スケジュールを暫定スケジュールとして暫定スケジュール記憶部205に取り込む一方、条件を満たさないと判断した場合には、取り込まないこととしたものである。全体スケジュールを取り込む条件としては、本実施形態では、暫定スケジュール記憶部205に既に取り込まれている1又は複数の暫定スケジュール(初期スケジュールを含む)の各全体コストと比して全体コストが低い場合である。なお、全体スケジュールを更新する条件としては、種々の方法が設定可能であり、例えば前記条件に加えて、あるいは単独に、納期遅れコストの内の最大値が暫定スケジュールの納期遅れコストの内の最大値に比して所定値以下、ないしは所定比率分だけ低下した場合、あるいはコスト以外の条件によって、例えば全体スケジュールの作成が所定回数に達したか否かなどでもよい。また、初期スケジュールに対応する全体スケジュールの総コストとの対比としてもよい。
暫定スケジュール記憶部205は、スケジュール更新判断部204からの更新指示を受けて、該全体スケジュールに対応する、各工程におけるロットまとめ(ロットの組み合わせ)、ロット処理順序、各ロットの作業時間帯(処理開始時刻、処理終了時刻、処理時間)等の情報を書き込むものである。更新される全体スケジュールは対応するコスト情報と関連付けされて記憶されるようになっている。
終了判定部206は、初期スケジュールを受信した後に受信する新たな全体スケジュールの全体コストが初期スケジュールの全体コストの所定分、具体的には所定値以下、あるいは所定比率、例えば30%以下のものであったときにスケジュールの修正指示を終了するようにしている。例えば、初期スケジュールの全体コストが、上述例の値800の場合にあっては、全体コストが30%以下、すなわち560以下である全体スケジュールが作成され、暫定スケジュール記憶部205に書き込まれたときである。なお、終了条件はこれに限定されず、修正回数が所定回数に達した場合とか、修正されたスケジュールが暫定スケジュール記憶部205に取り込まれた場合などであってもよい。
スケジュール修正指示作成部207は、スケジュールの修正を予め設定された回数だけ行うようになされている態様では、スケジュール更新判断部204が条件を満たすと判断した場合に、前記設定回数に達するまでは、スケジュールの修正を指示し、各工程スケジューラ11〜14に送信するものである。スケジュール修正指示の内容は、今回の各工程スケジューラ11〜14から送られた各工程のコスト、及び各ジョブの納期遅れコストを比較し、最もコストが掛かっている要因を解消するように各工程のスケジュールの修正に関するものである。スケジュール修正指示に際して、コストの種類、工程毎のコストに重みを付加することで、重点的に解消したいコストや工程を選択する態様としてもよい。図5の例では、全体コストの増加要因は、製品Bの納期遅れコスト(330)である。従ってスケジュール修正指示作成部207は、製品Bの納期遅れを解消するようなスケジュールを各工程が立案するような指示を各工程スケジューラ11〜14に送信する。具体的には、例えば、「製品Bに対するジョブの処理順序を早くする」という内容である。
一方、スケジュール修正指示作成部207は、スケジュール更新判断部204が条件を満たさないと判断した場合には、その旨の信号を受けて、コスト記憶部203及び暫定スケジュール記憶部205に記憶されている各修正スケジュールの内から、全体コストの最大のものや納期遅れコストの最大のものを有する修正スケジュールを抽出し、その中から前記と同様な方法でスケジュール修正指示の内容を作成し、各工程スケジューラ11〜14に送信するようにしている。
ここで、図5に示す初期スケジュールに対して、「製品Bに対するジョブの処理順序を早くする」との修正指示が作成された場合の、後処理について説明する。
上記修正指示が各工程スケジューラ11〜14に送信されると、各工程スケジューラ11〜14のスケジューリング制約作成部111(〜141:図示せず)は、受信した修正指示の内容から制約条件を作成する。
各工程スケジューラ11〜14のスケジューリング制約作成部111(〜141:図示せず)は、「製品Bに対するジョブの処理順序を、工程スケジュール記憶部113(〜143:図示せず)に記憶されている順番よりも早くする」という制約条件を作成する。本実施形態においては、より具体的には、例えば、工程1では製品Bのジョブの処理順序は1番目、工程2では1番目か2番目、工程3では1番目、工程4では1番目か2番目に処理するという制約条件が作成される。なお、初期スケジュール作成時に1番目に処理されたジョブに対しては、処理順序が1番目に固定される。
そして、各工程スケジュール作成部112(〜142:図示せず)は、前述のスケジュール作成手法を用いて、商品Bのジョブに関する上記制約条件を遵守しつつ、コストを最小化するような工程スケジュールを作成する。
図6は、図5の全体スケジュールを1回修正した全体スケジュールの一例を示す図である。図6に示すように、1回修正した全体スケジュールは、各工程とも製品Bのジョブが1番目に順序付けられている。工程2では、製品Aと製品Bとのジョブの順序が逆となっている。工程3では、まず製品Bのジョブが優先され(製品Aとのロットまとめが解消され)、製品Aは製品E,Fとロットまとめとして組み合わされている。工程4では、工程3と同様に、まず製品Bのジョブが優先され(製品Dとのロットまとめが解消され)、製品Dは単独で処理されている。なお、工程3においては、製品Bの処理後、直後に製品A,Cの処理を行わせるために必要となった段取り換えが発生している。
工程コストシミュレーション部113(〜143:図示せず)は、図6の工程スケジュールの工程毎のコストを、表5を用いて計算する。
表5は、各工程の特徴パラメータの一例を示している。
Figure 0005033555
表5を用いると、
(工程1)
段取り替えコスト:10×0=0
処理コスト:15×3―15×3=0
従って、工程コスト=0
(工程2)
段取り替えコスト:30×0=0
処理コスト:10×6―10×6=0
従って、工程コスト=0
(工程3)
段取り替えコスト:40×0=0
処理コスト:40×3―40×3=0
従って、工程コスト=0
(工程4)
段取り替えコスト:20×1=20
処理コスト:70×4―70×3=70
従って、工程コスト=90、となる。
以上より、製品Bのジョブの処理順序を早くするために、工程4における工程コストが90だけ増加し、全工程で、総工程コストが90になったことが判る。なお、工程4において、段取り替えコストは製品Bに対するものであって表5を参照して算出されており、また処理コストは、初期スケジュールでは3回のジョブであったものが、工程4では4回のジョブになっているため、表5を参照して算出されたものである。すなわち、処理コストを考える場合には、表4から定まる最低限必要な処理回数分のコストは差し引くこととしている。
全体スケジュール作成部201は、各工程スケジューラ11〜14から受信した、図6に示す修正後の各工程スケジュールから全体スケジュールを作成する。図6に示す初期スケジュールに対して、全体コストシミュレーション部202で納期遅れコストを計算すると、
製品A:6×Max(180−180,0)=0
製品B:3×Max(100−110,0)=0
製品C:1×Max(180−200,0)=0
製品D:3×Max(220−130,0)=270
製品E:2×Max(200−160,0)=80
製品F:4×Max(200−170,0)=120
総納期遅れコスト=420
となる。上記計算値に示すように、製品Bは初期スケジュールでは、納期遅れが値330であったものが、制約条件により修正され、その納期遅れは値0となっており、納期遅れは完全に解消されている。
また、スケジュールの総コストは、各工程のコストの合計である総工程コスト90と、今回の納期遅れコスト420とを加算した値510となる。一方、初期スケジュールの総コストは前述のとおり、値800であるから、このときの修正スケジュールは直近に暫定スケジュール記憶部205に記憶されている修正スケジュール(なお、1回目の修正である場合には、初期スケジュールである。)よりも総コストが低減されているので、スケジュール更新判断部204によって更新と判断されて、暫定スケジュール記憶部205に記憶される。
更に、終了判定部206によって、終了判断の条件に達していないと判定されている場合には、スケジュール修正指示作成部207は今回の、すなわち暫定スケジュール記憶部205に書き込みされた全体スケジュールの各製品の納期遅れコストから修正指示を作成する。上記の例では、例えば、「製品Dの納期遅れをより減少させる」等である。
一方、スケジュール更新判断部204が更新しないと判断した場合には、今回の修正した全体スケジュールは消去され、かつ、終了判定部206によって終了判断の条件に達していないと判定されている場合には、スケジュール修正指示作成部207は、暫定スケジュール記憶部205に既に取り込まれている1又は複数の全体スケジュール(初期スケジュール含む)の中から所定の方法によって修正指示を作成する元になる全体スケジュールを特定し、特定された全体スケジュールに対応してコスト記憶部203に記憶されている各製品の納期遅れコストを考慮して修正指示の内容を作成する。修正指示を作成する元になる全体スケジュールを特定する所定の方法は、例えば、各全体スケジュールの内、総納期遅れコストが最大のもの、あるいは全体スケジュールの総納期遅れコストとその元となる各工程のコストの合計である総工程コストとを加算したスケジュールの総コストが最大のものを選出する方法である。
終了判定部206は、修正された全体スケジュールを受信し、該全体スケジュールのコスト情報が取得された時点で終了の有無を判定するものである。終了条件としては、修正された全体スケジュールの総コストが初期スケジュールの総コストに対して所定比率以下、例えば30%以上低減できた(70%以下となった)か否かである。例えば、前記の具体例の場合では、初期スケジュールの総コストが値800であり、1回目の修正スケジュールの総コストが値510となったので、この値510は値800の70%(すなわち値560)以下となっている。従って、この例では、1回目の修正で終了することになる。
なお、終了条件は、総コストの比率に限定されず、所定値以上減少したか否かでもよく、あるいは総コストの内、全体スケジュールの総納期遅れコストに対して処理比率、所定値以上低減できたときとしてもよい。また、終了条件を、暫定スケジュール記憶部205に修正スケジュールが取り込まれた数で設定してもよく、あるいは上記の種々の条件を総合的に行う態様としてもよい。
図7は、図5の全体スケジュールを何回か修正した後の最終の全体スケジュールの一例を示す図である。この例では、図6に続いて(あるいはその何回か修正した後における)「製品Dの納期遅れをより減少させる」との修正指示である。図7に示すように、段取り替えが3箇所で発生しているが、工程2〜3で製品Dの処理順序が図5、図6に比して繰り上げられている。この結果、製品Bに多少の納期遅れが生じているが、工程4において、製品BとDとをロットまとめで処理することで、表5に示す、1回当たりの処理コストである値70からすれば、図6の全体スケジュールに比して全体のコストは抑制されている。
図4は、工程スケジューラと全体スケジューラとの処理の関連を説明するための処理フローを示す図である。各種の製品の注文を受け、注文量、納期などの生産スケジュールに必要な注文情報が入手され、全体スケジューラ20から各工程スケジューラに送信されることで、本処理フローが開始される。まず、各工程スケジューラ11〜14で各自の工程の都合による工程スケジュールが作成され、作成された各工程スケジュールが全体スケジューラ20に送信されて、全体スケジュールが作成される。すなわち、初期スケジュールが作成される(ステップS1、例えば図5参照)。そして、各工程スケジュールの工程コスト及び全体スケジュールの納期遅れコスト等の作成スケジュールの作業手順効率の評価に関する評価情報がコスト情報に換算されて算出される。作成された全体スケジュールのコスト情報が評価され、最初の修正に対する修正指示が作成されて、各工程スケジューラ11〜14に送信される(ステップS2)。各工程スケジューラ11〜14では制約条件を作成して、各自の工程スケジュールを再スケジューリングする(ステップS4、例えば図6参照)。次いで、前述同様、工程コスト及び納期遅れコスト等が算出され、それに基づいて修正スケジュールの適合性(修正の要否、更新の可否)が判断される(ステップS4)。続いて、終了条件を満たしたか否かの判断が行われ(ステップS5)、終了条件を満たしていれば、本フローを終了する。一方、終了条件を満たしていなければ、修正指示を作成してステップS2に戻り、終了条件を満たすまで(、例えば図7参照)、スケジュールの修正処理(ステップS2〜ステップS4、ステップS5でNO)を繰り返す。
なお、製品の種類、作業工程数は本実施形態に限定されるものではなく、生産ラインを構成する各設備に対応して種々設定可能である。
本発明が適用される作業スケジュール作成システムを備えた生産設備の一例を示す全体概略構成図である。 工程スケジューラの一実施形態を示すブロック図である。 全体スケジューラの一実施形態を示すブロック図である。 工程スケジューラと全体スケジューラとの処理の関連を説明するための処理フローを示す図である。 全体スケジューラが作成した初期スケジュールの一例及び表4に基づく各注文の納期を示す図である。 図5の全体スケジュールを1回修正した全体スケジュールの一例を示す図である。 図5の全体スケジュールを何回目か修正した後の最終の全体スケジュールの一例を示す図である。
符号の説明
11〜14 工程スケジューラ
111 スケジューリング制約作成部(修正処理手段)
112 工程スケジュール作成部
113 工程スケジュール記憶部(記憶部)
114 工程コストシミュレーション部
115 通信部
20 全体スケジューラ
201 全体スケジュール作成部
202 全体コストシミュレーション部
203 コスト記憶部(記憶部)
204 スケジュール更新判断部(修正処理手段)
205 暫定スケジュール記憶部(記憶部)
206 終了判定部(修正処理手段)
207 スケジュール修正指示作成部(修正処理手段)
208 通信部

Claims (11)

  1. 複数工程によって生産する複数種類の製品を、1以上の当該製品で構成されるロット単位で生産するための生産スケジュールを作成する生産スケジュール作成システムであって、
    各工程におけるロットを生産する各工程スケジュールを作成する工程スケジュール作成手段と、
    前記工程スケジュール作成手段で作成された工程スケジュールの作業手順効率に関する第1の評価情報を算出する第1の評価情報算出手段と、
    前記各工程スケジュールに基づいて全工程に亘る全体スケジュールを作成する全体スケジュール作成手段と、
    前記全体スケジュール作成手段で作成された全体スケジュールの作業手順効率に関する第2の評価情報を算出する第2の評価情報手段と、
    前記第1、第2の評価情報を用いて記各工程スケジュールの修正のための制約条件を作成する修正処理手段と
    を備え
    前記工程スケジュール作成手段は、前記修正処理手段が作成した制約条件に基づいて、工程ごとに、ロットを構成する製品の組み合わせを変更して新たなロットを作成し、作成したロットを生産する各工程スケジュールを作成する
    ことを特徴とする生産スケジュール作成システム。
  2. 修正処理手段は、前記第1、第2の評価情報から前記工程スケジュールに対する修正の要否を判断する修正判断手段を備え
    修正が必要であると判断した場合には、全体スケジュールの作業手順効率が向上する為の制約条件を作成す
    ことを特徴とする請求項1記載の生産スケジュール作成システム。
  3. 第1の評価情報は、新たに作成したロットの処理にかかる費用をコストに換算したコスト情報であり、第2の評価情報は、前記製品の納期に対する遅れをコストに換算したコスト情報である
    ことを特徴とする請求項1又は2に生産スケジュール作成システム。
  4. 第1の評価情報算出手段は、各工程における処理毎に設定された重み付けに従って換算し、第2の評価情報算出手段は、前記製品毎に設定された重みづけに従って換算するものである
    ことを特徴とする請求項3記載の生産スケジュール作成システム。
  5. 第1の評価情報は、連続して処理するロット間に要する段取り替えの時間をコストに換算した値を含む
    ことを特徴とする請求項3記載の生産スケジュール作成システム。
  6. 前記生産スケジュール作成システムは、更に、各工程スケジュール及び該各工程スケジュールから作成された全体スケジュールの前記第1、第2の評価情報に基づいて、前記各工程スケジュール及び前記全体スケジュールを暫定的に記憶部に記憶するか否かを判断する記憶判断手段を備え、
    前記修正処理手段は、前記修正判断手段が、前記全体スケジュールに対して修正要と判断した場合であって、前記記憶判断手段が、当該全体スケジュール前記記憶部に記憶ると判断たときは、この全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件を作成し、一方、該全体スケジュール前記記憶部に記憶ないと判断たときは、前記記憶部に既に記憶されている全体スケジュールの中から所定のルールに従って選択された1つの全体スケジュールに対応する第1、第2の評価情報を利用して新たな制約条件を作成す
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生産スケジュール作成システム。
  7. 記憶判断手段は、第1、第2の評価情報である各コスト情報を加算した値が最初に作成された各工程スケジュール及び全体スケジュールの加算されたコスト情報より所定分だけ低減したと判断したとき、作成された各工程スケジュール、全体スケジュール及び各コスト情報を前記記憶部に記憶する
    ことを特徴とする請求6記載の生産スケジュール作成システム。
  8. 修正処理手段は、第1、第2の評価情報を用いて複数の製品に対する処理順序の優先情報を修正指示内容として作成するスケジュール修正指示作成手段と、前記修正指示内容に基づいて工程での製品の処理順序及びロットまとめの組み合わせの変更に関する制約条件を決定する制約条件作成手段とを備えてなる
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生産スケジュール作成システム。
  9. 修正処理手段は、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報が所定の終了条件を満たしている場合に各工程スケジュール及び全体スケジュールの修正処理を終了と判断する終了判断手段を備え、
    この終了判断手段の判断結果が肯定である場合に、前記記憶部に記憶されている全体スケジュールに関する情報から、1つの全体スケジュールを選択し、その元となっている各工程スケジュールを前記各工程の工程スケジュールとする
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の生産スケジュール作成システム。
  10. 所定の終了条件を最初の第1、第2の評価情報が算出された後に入力可能な入力部を備える
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の生産スケジュール作成システム。
  11. 数工程によって生産する複数種類の製品を、1以上の当該製品で構成されるロット単位で生産するための生産スケジュールを作成する生産スケジュール方法であって、
    各工程におけるロットを生産する各工程スケジュールを作成する工程スケジュール作成ステップと
    前記工程スケジュール作成ステップで作成された工程スケジュールの作業手順効率に関する第1の評価情報を算出する第1の評価情報算出ステップと
    前記各工程スケジュールに基づいて全工程に亘る全体スケジュールを作成する全体スケジュール作成ステップと
    前記全体スケジュール作成ステップで作成された全体スケジュールの作業手順効率に関する第2の評価情報を算出する第2の評価情報算出ステップと
    記第1、第2の評価情報を利用して記各工程スケジュールの修正のための制約条件を作成する修正処理ステップとを備え、
    前記工程スケジュール作成ステップは、前記修正処理ステップで作成した制約条件に基づいて、工程ごとに、ロットを構成する製品の組み合わせを変更して新たなロットを作成し、作成したロットを生産する各工程スケジュールを作成する
    ことを特徴とする生産スケジュール作成方法。
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