JP2012241837A - 継ぎ手 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール性能の向上を図る。
【解決手段】シールリング40の筒状締付部42はパイプPの外周に気密状に食い込む。シールリング40の保持部43がロックナット32の係止部36に係止すると、シールリング40とロックナット32が組み付けられて筒状締付部42がロックナット32内に収容された状態に保持される。筒状締付部42がパイプPに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには検知部35がストッパ24から離間し、筒状締付部42がパイプPに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに検知部35がストッパ24に突き当たる。
【選択図】図5

Description

本発明は、継ぎ手に関するものである。
特許文献1には、熱交換機器の間をパイプで接続して冷媒を循環させるようにした熱交換装置において、熱交換機器とパイプと接続部分をシール可能な継ぎ手が開示されている。この継ぎ手は、熱交換機器の流路の端部にテーパ状のフレア状シール面を形成し、パイプの接続端部をテーパ状に拡径変形させてフレア状接続部を形成し、熱交換機器のフレア状シール面にパイプのフレア状接続部を密着させてナットで締め付ける構造となっている。
特開2002−277003号公報
しかし、上記の継ぎ手では、フレア状シール面とフレア状接続部とを面接触させるようになっているので、パイプ側のフレア状接続部のフレア角度を、フレア状シール面と高い精度で同じ角度に加工する必要がある。ところが、パイプの加工は、施工者が施工現場で手作業で行うため、施工者の熟練度が低い場合には、フレア状接続部を高い精度で加工することが難しい。フレア状接続部の加工精度が低い場合には、フレア状シール面とフレア状接続部の隙間から、熱交換機器間を流動する冷媒(フロンガスや二酸化炭素)が大気中へ漏出する虞がある。冷媒の漏出は、地球温暖化やオゾン層破壊などの地球環境破壊の原因となるため、熱交換装置における冷媒の漏出防止対策は重要課題である。
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、シール性能の向上を図ることを目的としている。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、パイプが同軸状に挿入されるようになっていて、内周面にパイプの挿入方向前方に向かって縮径するテーパ面が形成された筒部と、前記筒部にねじ込んで取り付けられ、回転しながら前記挿入方向前方へ移動し得る筒状のロックナットと、前記筒部内に挿入されたパイプを囲むような筒状をなし、少なくとも一部が前記ロックナット内に収容されるように配置されたシールリングと、前記シールリングに形成され、パイプの挿入方向後方から前記ロックナットの押圧力を受ける受圧面と、前記シールリングに形成され、前記シールリングが前記ロックナットに押圧されて前記挿入方向前方へ押し動かされるのに伴い、前記テーパ面に摺接しながら縮径変形してパイプの外周に気密状に食い込む筒状締付部と、前記筒部側に設けたストッパと、前記ロックナットに設けられ、前記筒状締付部がパイプに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには前記ストッパから離間し、前記筒状締付部がパイプに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに前記ストッパに突き当たる検知部と、前記ロックナットの内周に形成した係止部と、前記シールリングに形成され、前記筒状締付部を前記ロックナット内に収容した状態で前記係止部に係止することにより、前記シールリングと前記ロックナットとを組付け状態に保持する保持部とを備えているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ロックナットを前記挿入方向前方に移動させる過程では、前記検知部が前記ストッパに到達する前に前記筒状締付部が前記正規シール状態となり、この正規シール状態は前記検知部が前記ストッパに当接するまで維持されるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、
前記正規シール状態では、前記筒状締付部の外周面と前記テーパ面が気密状に密着するとともに、前記筒部に形成した角縁部と前記シールリングに形成したシール面とが気密状に密着するところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記筒部には、取外し可能なスペーサが設けられ、前記スペーサのうち前記検知部と対向する面が、前記ストッパとなっているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、熱交換機器に取り付けられるハウジングと、前記ハウジング内に形成された冷媒の流路を開閉する弁体とを備えて構成される閉鎖バルブの前記ハウジングに、前記筒部が一体に形成されており、前記ロックナット内に挿通され且つ前記筒状締付部とは非接触の状態で前記筒部の内周に取り付けられることによって、前記筒部における冷媒の流動を規制可能であって、前記筒部から外すことが可能な封止部材を備えているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記ロックナットには、前記ロックナットの内面側から外面側へ連通する逃がし孔が形成されているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
パイプとの接続は、面接触ではなく、シールリングの筒状締付部を食い込ませるようにしたので、気密性の高いシール性能が発揮される。また、筒状締付部は、係止部と保持部の係止により、ロックナット内に収容された状態に保持されるので、ロックナットと一緒に落下したとしても傷付く虞がない。これにより、シール性能の低下を防止することができる。
さらに、筒状締付部がパイプに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには検知部がストッパから離間し、筒状締付部がパイプに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに検知部がストッパに突き当たるようにしたので、検知部がストッパに突き当たるか否かに基づいて、シール状態を検知できる。これにより、確実にシールすることができる。
<請求項2の発明>
ロックナットを挿入方向前方へ移動させる過程では、検知部がストッパに到達する前に正規シール状態となり、これより後は、検知部がストッパに当接するまで正規シール状態が維持されるようにした。したがって、検知部がストッパに当接するまでロックナットを締め付けることをマニュアル上で定めておけば、筒状締付部が確実にパイプに食い込むので、施工作業者の熟練度が低くても、確実に正規シール状態を実現できる。
<請求項3の発明>
正規シール状態では、筒状締付部の外周面とテーパ面が気密状に密着するとともに、筒部に形成した角縁部とシールリングに形成したシール面とが気密状に密着するので、シールリングと筒部との間を2箇所で確実にシールできる。
<請求項4の発明>
検知部をストッパに突き当てて正規シール状態にした後、一旦、ロックナットを緩め、再び、ロックナットを締め付ける場合には、スペーサを外せばロックナットを増し締めすることができる。
<請求項5の発明>
筒状締付部は、封止部材と接触しないので、封止部材によって傷付けられる虞はない。したがって、封止部材を取り付けることに起因してシールリングのシール性能が損なわれることはない。これにより、パイプを接続した状態で冷媒の漏出を確実に防止することができる。また、パイプを接続する際には、封止部材を筒部から外すのであるが、このとき、ロックナットは、筒部から外す必要がないので、作業性が良い。
<請求項6の発明>
ロックナットの内周側の空間で凝結した氷が体積膨張しても、ロックナットの割れを防止することができる。
実施形態1において継ぎ手に封止部材を取り付けた状態をあらわす断面図 継ぎ手にパイプを接続した状態をあらわす断面図 図1の部分拡大断面図 継ぎ手にパイプを挿入した状態をあらわす断面図 図2の部分拡大断面図 閉鎖バルブを構成するバルブ本体の断面図 ロックナットにシールリングを組み付けて構成されるロック部材の断面図 実施形態2の継ぎ手においてパイプを接続した状態をあらわす断面図 図7の部分拡大断面図 増し締めした状態をあらわす部分拡大断面図 実施形態3の継ぎ手をあらわす断面図 実施形態4の継ぎ手の部分拡大断面図
<実施形態1>
本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態1の継ぎ手20は、熱交換装置用の閉鎖バルブAに一体的に設けられたものであり、シール機能を有している。閉鎖バルブA(継ぎ手20)は、圧縮機及び凝縮器を備えた室外機B(本発明の構成要件である熱交換機器)と、膨張弁及び蒸発器を備えた室内機(図示省略)を、金属(銅又は銅合金)製のパイプPで接続し、室外機Bと室内機との間で冷媒(フロンガス)を循環させるようにした家庭用エアコン(熱交換装置)に適用される。
尚、フロンガスを冷媒として用いた熱交換装置として、家庭用エアコン以外には、業務用に広く用いられるパッケージエアコン等の空調装置、及び業務用冷凍冷蔵装置等の冷熱装置がある。また、冷媒として二酸化炭素用いた熱交換装置としては、エコキュート(登録商標)と称される自然冷媒ヒートポンプ給湯機等がある。これらの熱交換装置にも本実施形態1の閉鎖バルブA(継ぎ手20)を適用することができる。
図1,2に示すように、閉鎖バルブAは、バルブ本体Vと、バルブ本体Vに組み付けられるロック部材Lとを備えて構成されている。バルブ本体Vは、真鍮製のハウジング10と、第1バルブ機能部11(開閉バルブ)と、第2バルブ機能部12(サービスバルブ)と、継ぎ手20を構成する筒部21とを備えて構成されている。ハウジング10内には、略L字形(略直角)に屈曲するとともに、両端がハウジング10の外面に開口した流路13と、流路13における屈曲部に連通してハウジング10の外面に開口する分岐路14とが形成されている。閉鎖バルブAは、ボルトを用いて室外機Bの外面に露出した形態で固定されるようになっている。閉鎖バルブAを室外機Bに固定した状態では、流路13の一方の端部が、圧縮機(図示省略)の接続管にロー付け等の手段で気密にシールされた状態で離脱不能に固着される。
第1バルブ機能部11の第1弁体15(本発明の構成要件である弁体)を手動操作すると、流路13における冷媒の流動を許容する開弁状態と、流路13における冷媒の流動を規制する閉弁状態との間で切り換えることができる。また、第2バルブ機能部12の第2弁体16を手動操作すると、分岐路14内、及びこれに連なる流路13とパイプP内を真空引きすることができる。
図3〜5に示すように、継ぎ手20は、ロック部材Lと、筒部21と、テーパ面31を含む縮径手段54とを備えて構成されている。ロック部材Lは、筒状をなすロックナット32と、同じく筒状をなすシールリング40とを備えて構成されている。筒部21は、ハウジング10における第2バルブ機能部12とは反対側の外面から円筒状に突出した形態であり、ハウジング10と一体部品化されているとともに、流路13と連通している。
尚、この後の説明では、方向に関して、継ぎ手20に対するパイプPの挿抜方向と平行な方向を前後方向とする。パイプPの挿抜方向は、ロックナット32を回転させながら軸方向に移動させる方向及びシールリング40の締付けに伴う移動方向と平行な方向である。継ぎ手20に対するパイプPの挿入方向前方(図1〜6における右方)を、単に「前方」と記載し、継ぎ手20に対するパイプPの挿入方向後方を、単に「後方」と記載する。また、前後方向と、継ぎ手20の軸線と平行な軸方向とを同義で用いる。
筒部21の後端部外周には、ロックナット32をねじ込むための雄ネジからなる雄側ネジ部22が形成され、筒部21の外周における雄側ネジ部22より前方の位置には外周が正六角形とされた治具受け部23が形成されている。治具受け部23の後端面には、軸方向と直交する平坦面からなるストッパ24が、後方に面する形態で形成されている。筒部21の後端面は、パイプPの挿抜方向と直角をなす平坦面25となっている。そして、この平坦面25の内周縁(即ち、後述するテーパ面31との境界となる周縁)は、エッジ状の角縁部26となっている。
筒部21の中空内は、流路13に連通するとともに筒部21と同心の円形をなす接続孔27となっている。接続孔27の内周は、その前端部から後端部に向かって順に、雌ネジ部28と、封止面29と、定径面30と、テーパ面31とによって構成されている。
雌ネジ部28のネジ溝の内径(即ち、後述する封止部材60の雄ネジ部63の外径)は、パイプPの外径より小さく、パイプPに接続される前の状態におけるシールリング40の最小内径より小さい。封止面29は前方に向かって次第に縮径するようなテーパ状をなしている。封止面29の前端の内径(封止面29の最大内径)はパイプPの外径より小さく、封止面29の後端の内径(封止面29の最大内径)はパイプPの外径より僅かに大きい。定径面30は、前端から後端まで一定の内径寸法となっており、その内径寸法は封止面29の後端と同じ寸法である。テーパ面31は前方に向かって次第に縮径しており、テーパ面31の前端の内径(テーパ面31の最小内径)は、定径面30と同じ寸法とされている。
ロックナット32は、真鍮製であって、その内周における前端側領域には、雌ネジからなる雌側ネジ部33が形成されている。ロックナット32は、筒部21に対し後方から同軸状に外嵌して雌側ネジ部33を雄側ネジ部22にねじ込むことで筒部21に組み付けられている。ロックナット32の外周は、正六角形をなす治具嵌め部34となっている。この治具嵌め部34の前端面(軸方向において筒部21のストッパ24と対向する面)は、軸方向と直交する平坦面からなる検知部35となっている。この検知部35は、ロックナット32を回転させながら軸方向に移動させるのに伴って、ストッパ24に対し接近・離間するとともに、ストッパ24に面当たり(面接触)状態で当接するようになっている。
ロックナット32の内周のうち雌側ネジ部33より後方の領域(後端部)には、全周に亘って内側へロックナット32と同心の円形に突出する係止部36が保持手段として形成されている。係止部36の内周のうち最小径部37より前方の領域は前方に向かって拡径するようなテーパ状をなし、最小径部37より後方の領域(係止部36の内周後端部)は後方に向かって拡径するようなテーパ状をなしている。そして、係止部36の前端面は、パイプPの挿抜方向と直角であって、ロックナット32を筒部21に組み付けたときに後述するシールリング40の拡径部44を挟んで平坦面25と対向するように位置する平坦な押圧面38となっている。
シールリング40は、パイプPと同じく銅又は銅合金製であり、筒部21及びロックナット32と同軸状に配される。この後は、パイプPが継ぎ手20に接続されていない状態(シールリング40がパイプPと接触していない状態)のシールリング40の形態を説明する。シールリング40は、継ぎ手20内に同軸状に挿入されたパイプPを囲むような円筒状をなしている。シールリング40の最小内径は、パイプPの外径より大きく、定径面30とほぼ同じ内径となっている。シールリング40の最大外径は、ロックナット32の雌側ネジ部33の内径より小さい。軸方向におけるシールリング40の全長はロックナット32の全長より短い。
シールリング40は、肉厚のリング本体部41と、リング本体部41より肉薄であってリング本体部41から前方へ延出する筒状締付部42と、リング本体部41より肉薄であってリング本体部41から後方へ延出する保持部43とからなる。リング本体部41の外周は、筒状締付部42及び保持部43の外周から段差状に拡径した拡径部44となっている。拡径部44の前面は、軸線方向と直角に近い角度であるが前方に向かって縮径した形態のシール面45となっており、このシール面45は、筒部21との間を気密状にシールするための第2シール領域として機能する。拡径部44の後面は、軸方向と直角をなす受圧面46となっている。
筒状締付部42の外周面は、前方に向かって縮径するように傾斜した締付用テーパ面47となっている。軸方向(パイプPの挿入方向及び継ぎ手20の軸線方向)に対する締付用テーパ面47の傾斜角度は、筒部21のテーパ面31より小さい角度に設定されている。締付用テーパ面47の前端部は、筒部21との間を気密にシールするための第1シール領域として機能する。筒状締付部42の内周の略前半領域は、締付用テーパ面47と略平行なシール用傾斜面48となっており、筒状締付部42の内周における前端縁は、第1食い込み部49となっている。
筒状締付部42の内周の略後半領域は、内径が全長に亘り一定寸法(シール用傾斜面48の後端より小さい寸法)であって、リング本体部41の内周面と面一状に連なっている。筒状締付部42の内周のうちシール用傾斜面48の後端部(パイプPの挿入方向において第1食い込み部49から後方へ離間した部分)は、段差状に凹んだ形態となっており、この段差部分が、斜め前内向きに尖ったエッジ状の第2食い込み部50となっている。
縮径手段54は、パイプPの挿入方向とは斜めをなす上記のテーパ面31と締付用テーパ面47とを有する。ロックナット32を回転させながら締付け方向へ移動させ、そのロックナット32でシールリング40を前方へ押圧すると、シールリング40が、筒部21の内周に気密状に密着しつつ縮径方向へ塑性変形し、パイプPの外周に食い込んで相対変位を規制し、且つ気密状に密着する形態で締め付けるようになっている。
保持部43の後端部は、径方向外向きに斜め後方へ拡径するように片持ち状に延出した形態の外向き突部51となっている。保持部43の内周面のうち外向き突部51より前方の全領域は、内径がほぼ一定であって、リング本体部41の内周面に面一状に連なっている。保持部43の外周のうち外向き突部51の前端より少し前方の位置から、保持部43の前端(拡径部44)に至る領域は、前方に向かって拡径するように傾斜した保持用傾斜面52となっている。保持部43の外面のうち保持用傾斜面52の後端と外向き突部51の前端との間の領域は、保持部43の外径が最も小さい凹部53となっている。
かかるシールリング40は、外向き突部51を径方向外向きに曲げ加工する前の状態で前方からロックナット32内に収容され、収容状態のままで治具(図示省略)を使って保持部43の後端部を曲げ加工することによって、外向き突部51を形成している。外向き突部51の最大外径と保持用傾斜面52の最大外径は、いずれも、係止部36の最小内径より大きい寸法である。したがって、係止部36が保持用傾斜面52と外向き突部51との間で前後に挟まれると、シールリング40とロックナット32は前後両方向への離脱を規制された状態に組み付けられる。つまり、外向き突部51を形成する工程と、シールリング40をロックナット32に組み付ける工程が同時に行われる。組み付けられたシールリング40とロックナット32は、ロック部材Lを構成する。
また、保持部43の外周の凹部53の外径は、係止部36の最小内径と同じかそれより少し小さい寸法となっている。したがって、ロックナット32に組み付けられたシールリング40は、外向き突部51を係止部36の最小径部37に係止(当接)させる最前端位置(図7を参照)と、保持用傾斜面52を係止部36の最小径部37に係止(当接)させる最後端位置との間で、ロックナット32に対して所定の量だけ前後方向に相対変位することができる。
シールリング40が最後端位置にあるときには、外向き突部51の後端部がロックナット32より後方へ突出し、受圧面46は押圧面38から前方へ離間した位置にある。つまり、外向き突部51の後端部を除いてシールリング40のほぼ全体がロックナット32の内部に収容される。また、シールリング40が最前端位置にあるときには、シールリング40の全体がロックナット32の内部に収容される。シールリング40がいずれの位置にあっても、シールリング40のうちパイプP及び筒部21との間でシールを行う筒状締付部42は、ロックナット32の内部に収容された状態に保たれる。
図1,3に示すように、閉鎖バルブAには、継ぎ手20への取付けと継ぎ手20からの取外しが可能であって、シールリング40におけるパイプPとのシール領域(第1食い込み部49及び第2食い込み部50)とは非接触の状態で継ぎ手20における冷媒の流動を規制可能な封止部材60を備えている。封止部材60は、真鍮製であり、全体として円柱形をなす封止本体部61と、封止本体部61の後端部に一体に形成された外周が正六角形の頭部62とを備えている。頭部62の外周に外接する仮想円(図示省略)の径寸法は、封止本体部61の外径、及びロックナット32の最小内径(外向き突部51の最大外径)より大きい。
封止本体部61の前端部には雄ネジ部63が形成されている。この雄ネジ部63の螺旋ピッチは、筒部21の雌ネジ部28と同じピッチであるが、雄側ネジ部22及び雌側ネジ部33の螺旋ピッチとは異なるピッチとなっている。封止本体部61の外周のうち雄ネジ部63の後方に隣接する領域には、封止本体部61と同心の円形をなす縮径部64が形成されている。縮径部64の後端面と封止本体部61の外周面との境界部は、弧状に面取りが施されているとともに全周に亘って連続した封止用当接部65となっている。封止本体部61の外径は、シールリング40の最小内径より小さく、封止面29の前端の最小内径より大きい寸法とされている。
次に、本実施形態の作用を説明する。閉鎖バルブAにおける継ぎ手20の組付けは、次の手順で行う。ハウジング10に第1弁体15と第2弁体16を閉弁状態となるように取り付け。その後、シールリング40を収納(内蔵)した状態のロックナット32を、後方から筒部21に組み付ける。このとき、雌側ネジ部33を雄側ネジ部22に係合してロックナット32を手で摘んで回転させ、ロックナット32の回転が停止したところで、ロックナット32の組付けが完了する。この状態では、シールリング40の筒状締付部42の前端が筒部21のテーパ面31に軽く当接するので、ロックナット32の締付け方向へのねじ込み動作が規制される。このときシールリング40は殆ど変形は生じていない。また、ロックナット32の検知部35は筒部21のストッパ24よりも後方に離間した位置にある。
この後、図1,3に示すように、継ぎ手20内に後方から封止部材60を組み付ける。組み付けるときには、封止部材60の封止本体部61を手で摘んでロックナット32内に挿入し、雄ネジ部63を筒部21の雌ネジ部28にねじ込んでいく。封止本体部61と雄ネジ部63の外径はシールリング40の内径より小径なので、封止本体部61がシールリング40の内周(特に、パイプPとのシール領域である第1食い込み部49と第2食い込み部50)を傷付ける虞はない。手作業で封止部材60をねじ込んでいくと、封止用当接部65が封止面29に当接し、手掴みでのねじ込みはできなくなる。
この後は、頭部62にレンチなどの工具を嵌めて、更に封止部材60をねじ込んでいく。この更なるねじ込みにより、封止用当接部65が封止面29に対し全周に亘って気密状に食い込むように密着する。この封止用当接部65と封止面29との密着により、筒部21の内周と封止部材60の外周との隙間が気密状にシールされる。これで、継ぎ手20の組付け作業が完了する。
このようにして組付けが完了した閉鎖バルブAは、熱交換装置の室外機Bに取り付けられる。また、室外機B内には冷媒が充填されるが、流路13が第1弁体15で閉弁されているので、室外機B内の冷媒が継ぎ手20側へ漏出する虞はない。万一、冷媒が第1弁体15を通過して継ぎ手20側へ流出しても、継ぎ手20内は、封止部材60のシール作用によって気密状に封止されているので、冷媒が継ぎ手20を通過して大気中へ漏出することはない。
尚、作業者が誤ってロックナット32を緩み方向(筒部21から外れる方向)へ回転させたとしても、ロックナット32が筒部21から外れる前に、ロックナット32の後端又はシールリング40の後端が封止部材60の頭部62に当接するので、ロックナット32の緩み方向(後方)への移動が規制される。また、頭部62への当接によって緩み方向(後方)への移動を規制されている状態から、ロックナット32が強い力で緩み方向へ回されても、ロックナット32の雌側ネジ部33と封止部材60の雄ネジ部63とは螺旋ピッチが異なっているので、封止部材60は、ロックナット32と連れ回れすることなくロックされる。このロックナット32により、封止部材60の緩みを確実に防止できる。
継ぎ手20にパイプPを接続する際には、封止部材60を緩み方向へ回転させて筒部21(継ぎ手20)から外しておく。ここで、封止部材60は、筒部21とロックナット32との間で挟まれた状態で組み付けられているのではなく、ロックナット32を貫通して筒部21のみに組み付けられているので、封止部材60を外すときに、ロックナット32は筒部21に組み付けたままでよい。このように、封止部材60を外すときにロックナット32を筒部21から外す必要がないので、作業性がよい。また、封止部材60を外した後の封止面29は、封止用当接部65からの押圧力によって変形を生じることがあるが、この封止面29は、パイプPとのシールを行う領域でもなく、シールリング40とのシールを行う領域でもないので、パイプPと継ぎ手20とのシール機能に支障を来す虞はない。
封止部材60を外す作業と前後して、ロックナット32を手で摘んで回転させ、筒状締付部42がテーパ面31に当接する位置までねじ込み方向(前方)へ移動させる。この後、図4に示すように、後方からパイプPの前端部を手作業でロックナット32及びシールリング40内に貫通させるようにして筒部21内に挿入する。このとき、パイプPの外径がシールリング40最小内径より小さくて、パイプPの外周とシールリング40の内周との間にクリアランスが確保されているので、パイプPの挿入作業を円滑に行うことができる。また、パイプPの外周前端縁がシールリング40の内周(特に、パイプPとのシール領域である第1食い込み部49と第2食い込み部50)を傷付ける虞もない。そして、挿入したパイプPは、その前端が封止面29に当接することによって前止まりされる。つまり、封止面29は、封止部材60と協動して継ぎ手20の内部をシールする機能と、パイプPを前止まりさせる機能とを兼ね備えている。パイプPが前止まりされたところで、手作業によるパイプPの挿入が終了する。
この後、ロックナット32の治具嵌め部34と筒部21の治具受け部23にスパナなどの治具(図示せず)を嵌め、ロックナット32を前方(締付け方向)へ移動する方向に回転させる。ロックナット32が締付け方向へねじ込む間、係止部36が保持用傾斜面52に摺接することにより、保持部43が次第に縮径方向(パイプPの外周に接近する方向)へ塑性変形していく。押圧面38が受圧面46に当接すると、保持部43の縮径変形が完了する。また、押圧面38が受圧面46を軸方向に押圧することにより、シールリング40が筒部21に対して相対的に前方へ押し動かされる。これに伴い、筒状締付部42が、テーパ面31上を摺接しながらその傾斜によって縮径するように塑性変形していく。
図2,5に示すように、筒状締付部42が縮径変形するのに伴い、第1食い込み部49と第2食い込み部50が、パイプPの外周に対し、全周に亘って楔のように食い込んで軸方向への相対変位を規制する。この食い込み作用によって、シールリング40の内周とパイプPの外周との間が、軸方向(パイプPの長さ方向)に間隔を空けた前後2箇所おいて気密状にシールされるとともに、パイプPの後方への抜けを規制された状態にロックされる。また、筒状締付部42の外周面における前端部が、塑性変形した状態でテーパ面31に対し全周に亘って気密状に密着するとともに、筒部21の角縁部26が、シールリング40のシール面45に対し全周に亘って塑性変形(潰れ変形)した状態で気密状に密着する。この密着作用によって、シールリング40の外周と筒部21の内周との間が、軸方向に間隔を空けた前後2箇所おいて気密状にシールされる。
上記の塑性変形を伴う気密状の食い込み状態と気密状の密着状態は、縮径手段54において、継ぎ手20とパイプPとが正しく接続した正規シール状態(正規の締付け状態)である。この正規シール状態では、パイプPと継ぎ手20との間における冷媒の漏れが確実に阻止される。そして、ロックナット32が締付け方向へ移動する過程においては、検知部35がストッパ24に到達する直前に、縮径手段54が正規シール状態となる。
縮径手段54が、不完全シール状態(筒状締付部42がパイプPに気密状に食い込まない状態)から正規シール状態へ移行した時点では、作業者は、外観からは正規の締め付け状態になっていることを認知することはできない。しかし、作業マニュアル上では、検知部35がストッパ24に突き当たるまでロックナット32の締付けを続けるように定められているので、作業者は、このマニュアルに従ってロックナット32の締付け作業を続けることになる。そして、検知部35がストッパ24に当接するまでロックナット32を締め付けたところで、ロックナット32が前止まりされて締付け作業を続けることができなくなる。これをもって、パイプPの接続作業が完了する。
ロックナット32を締付け方向へねじ込んでいく過程において、筒状締付部42がパイプPに対して気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには検知部35がストッパ24から離間した位置にある。不完全シール状態から正規シール状態へ移行してから、検知部35とストッパ24が当接するまでの間、第1食い込み部49と第2食い込み部50の食い込みが進むとともに、筒状締付部42の前端部とテーパ面31との密着状態及び角縁部26とシール面45との密着状態が維持されるので、正規シール状態がそのまま維持される。正規シール状態では、高機能の防水性能(シール性能)とパイプPの抜止め機能(ロック機能)が維持される。そして、筒状締付部42がパイプPに対して気密状に食い込んで正規シール状態になっているときには、検知部35がストッパ24に突き当たる。したがって、検知部35がストッパ24に突き当たるまでロックナット32を締め付ければ、作業者の熟練度が低くても、パイプPを正規の形態に確実に接続することができ、確実に正規シール状態を実現することができる。また、接続作業が完了したことを、目視によって確認することもできる。
本実施形態の継ぎ手20は、シールリング40がロックナット32によって前方へ押し動かされるのに伴い、筒状締付部42がテーパ面31に摺接しながら縮径変形して第1食い込み部49と第2食い込み部50がパイプPの外周に気密状に食い込むようにしたので、面接触のシール形態に比べると、気密性の高いシール性能が発揮される。また、この食い込み作用によって、パイプPが確実にロックされて抜け止めされる。
また、筒状締付部42がパイプPに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには検知部35がストッパ24から離間し、筒状締付部42がパイプPに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに検知部35がストッパ24に突き当たる。この構成によれば、検知部35がストッパ24に突き当たっているか否かに基づいて、筒状締付部42とパイプPとのシール状態を目視により検知できる。これにより、確実にシールすることができる。
また、パイプPの挿入方向においてシールリング40とパイプPとのシール領域(第1食い込み部49及び第2食い込み部50)より後方の位置には、パイプPの外周と対応するように保持部43が設けられ、ロックナット32が締付け方向へ移動するのに伴い、保持部43が、ロックナット32によってパイプPの外周に接近する方向へ縮径するように変位(変形)して、パイプPの径方向への変位を抑えるようになっている。
この構成によれば、ロックナット32を締付け方向へねじ込んでシールリング40をパイプPの外周に締め付けてシールすると、シールリング40とパイプPとのシール領域(筒状締付部42がパイプPの外周に気密状に食い込む領域)から後方へ離間した位置では、保持部43がパイプPの外周に接近するように変位し、パイプPが、シールリング40とパイプPとのシール領域を支点として径方向へ首を振るように変位するのを抑える。このとき、保持部43は、パイプPの外周に当接していることが望ましいが、パイプPの外周面との間にシール性能を低下させない程度の僅かな隙間があってもよい。このようにパイプPがシールリング40とパイプPとのシール領域を支点として首を振るように変位するのを規制したことにより、シールリング40とパイプPとのシール領域では不正な変形や位置ずれ等が防止されるので、シールリング40とパイプPとの間では高いシール性能が保たれる。
また、シールリング40は、リング本体部41と、リング本体部41からパイプPの挿入方向前方へ延出した形態であってパイプPとのシール領域(第1食い込み部49と第2食い込み部50)が形成された筒状締付部42とを備えており、保持部43は、リング本体部41からパイプPの挿入方向後方へ延出した形態とされている。この構成によれば、保持部43がシールリング40と一体に形成されているので、保持部をシールリングとは別体の部品に形成した場合に比べて部品点数が少なくて済んでいる。しかも、保持部43によってパイプPの変位を抑制する位置と、シールリング40とパイプPとのシール領域が、パイプPの挿入方向において大きく離間しているので、万一、パイプPが首振り変位を生じたとしても、その首振り角度がごく僅かに抑えられる。したがって、シールリング40とパイプPのシール領域における不正な変形を効果的に防止し、高いシール性能を発揮させることができる。
また、ロックナット32の内周には係止部36が形成され、保持部43の外周には、係止部36と係止することでシールリング40がロックナット32に対して軸方向へ離脱するのを規制する凹部53が形成されている。この構成によれば、保持部43は、パイプPの径方向の首振り変位を抑える変位抑制機能に加えて、シールリング40をロックナット32に対して組付け状態に保持するための係止機能も兼ね備えている。したがって、両機能をシールリング40における別々の部位に形成する場合に比べると、シールリング40の形状を簡素化することができる。
また、パイプPを封止面29に当てて前止まりした状態からロックナット32を締付け方向へねじ込むと、シールリング40と一緒にパイプPが挿入方向前方へ押し動かされ、パイプPの前端部と封止面29とが互いに食い込むように密着するので、この食い込みによる摩擦抵抗によってパイプPの戻りが規制される。したがって、パイプPが後方へ不正に移動することに起因してシールリング40との間のシール性能が低下する、という虞はない。
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図8〜図10を参照して説明する。本実施形態2の継ぎ手80は、ロックナット32を増し締めできるようにしたものであって、この点が上記実施形態1とは異なっている。その他の構成は上記実施形態1と同じであるため、同じ構成は、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
図9,10に示すように、筒部21の治具嵌め部23の後端面は、第4ストッパ24dとなっている。筒部21には、第4ストッパ24dに重ねるようにして3枚の円環形をなすスペーサ81a,81b,81cが設けられている。最も前方に位置する第3スペーサ81cは第4ストッパ24dに当たっている。第3スペーサ81cの後面は第3ストッパ24cとなっている。前から2番目に位置する第2スペーサ81bは第3ストッパ24cに当たっている。第2スペーサ81bの後面は第2ストッパ24bとなっている。最も後に位置する第1スペーサ81aは第2ストッパ24bに当たっている。第1スペーサ81aの後面は第1ストッパ24aとなっている。したがって、第1ストッパ24aが検知部35と直接対向している。
パイプPを接続する際には、実施形態1と同様に、ロックナット32を締付け方向へねじ込む。筒状締付部42が不完全シール状態から正規シール状態へ移行した時点では、ロックナット32の検知部35は第1ストッパ24aから後方へ離間している。そして、ロックナット32を更に締め付けて、検知部35が第1ストッパ24aに突き当たると、図9に示すように、パイプPの接続が完了して、正規シール状態となる。
本実施形態2の継ぎ手80は、再使用することができる。この場合、まず、ロックナット32を緩めて、パイプPとロックナット32を筒部21から外し、次に、第1スペーサ81aを筒部21から外す。この後、ロックナット32を筒部21に取り付けると、検知部35が第2ストッパ24bと対向する。この状態で、図10に示すように、パイプPを接続し、検知部35が第2ストッパ24bに突き当たるまでロックナット32を締め付ければ、ロックナット32が増し締めされる。ロックナット32を増し締めすれば、パイプPを正規シール状態に接続することができる。
また、本実施形態2の継ぎ手80は、検知部35を第2ストッパ24bに突き当ててパイプPを接続した後も、再使用することができる。この場合は、上記と同様にして、ロックナット32と第2スペーサ81bを外せば、検知部35が第3ストッパ24cに突き当たるまでロックナット32を増し締めしてパイプPを接続することができる。更に、この後も、第3スペーサ81cを外せば、検知部35が第4スペーサ24dに突き当るまでロックナット32を増し締めしてパイプPを接続することができる。
本実施形態2は、筒部21に取外し可能なスペーサ81a,81b,81cを設け、スペーサ81a,81b,81cのうち検知部35と対向する後面をストッパ24a,24b,24cとした。この構成によれば、検知部35をストッパ24a,24b,24cに突き当てて正規シール状態にした後も、スペーサ81a,81b,81cを外すことによってロックナット32を増し締めすることができる。
尚、本実施形態2の継ぎ手80では、スペーサ81a,81b,81cを3枚設けたが、スペーサの数は、1枚でも、2枚でもよく、3枚より多い枚数でもよい。
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3を図11を参照して説明する。上記実施形態1の継ぎ手20は室外機Bの閉鎖バルブAに一体的に設けられていたが、本実施形態3の継ぎ手70は、室内機(図示省略)に取り付けられるものである。即ち、継ぎ手の筒部21の前端部には、室内機の管路(図示省略)をロー付けによって接続するための筒状接続部71が一体に形成されている。その他の構成は上記実施形態1と同じであるため、同じ構成は、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
<実施形態4>
次に、本発明を具体化した実施形態4を図12を参照して説明する。本実施形態4の継ぎ手100は、実施形態1と同じ形態のバルブ本体Vと、実施形態1とは異なる形態のロック部材101とを備えて構成されている。ロック部材101は、実施形態1のロックナット32とは異なる形態のロックナット102と、実施形態1と同じ形態のシールリング40とを合体させて構成されている。ロックナット102には、その内周面(内周側)から外周面(外周側)に連通する複数の逃がし孔103が貫通して形成されている。複数の逃がし孔103は、周方向に間隔を空けて配置されている。尚、逃がし孔103の数は、ロックナット32の大きさや使用環境などに応じて適宜(例えば、2〜3)の数を形成することができる。
前後方向(継ぎ手100に対するパイプPの挿抜方向と平行な方向)における逃がし孔103の開口領域(形成位置)は、図12に示す正規シール状態においてシールリング40の拡径部44と対応する範囲である。つまり、逃がし孔103の開口領域は、押圧面38及び受圧面46よりも僅かに前方の位置から、平坦面25よりも僅かに後方の位置に至る範囲である。この逃がし孔103の形成範囲は、ロックナット102の内周とシールリング40の外周との間において空気溜まりとなる空間104の容積が最大となる領域である。また、ロックナット102の内周面における逃がし孔103の開口領域は、筒部21とシールリング40との間のシール領域から後方へ外れており、継ぎ手100とパイプPとのシール領域を挟んでパイプPの内部(冷媒の流通経路)とは反対側の範囲である。したがって、パイプPの内部が逃がし孔103を介して大気中に連通することはない。尚、この逃がし孔103の開口領域は、図12に記載した範囲よりも前方又は後方にずれた領域であってもよく、図12に記載した範囲よりも前後方向において狭い範囲であってもよく、図12に記載した範囲よりも前後方向において広い範囲であってもよい。
このような逃がし孔103を形成したことの技術的意義は次の通りである。パイプPを継ぎ手100に接続した状態では、ロックナット102の内周面とシールリング40の外周面との間が空気溜まりの空間104となる。そして、この空気溜まりの空間104内においては、水蒸気や水分が残留することが避けられない。一方、冷蔵庫や冷凍庫などにおいて冷媒を充填する時には、継ぎ手100(空気溜まりの空間104)の温度が−30℃から−40℃の低温になる。そのため、空気溜まりの空間104に残留していた水蒸気や水分が、凝固(氷結)して体積を膨張させ、この氷の体積膨張によってロックナット102に割れが生じることが懸念される。しかし、本実施形態4では、氷が生じる空間104は、密閉されておらず、逃がし孔103を介してロックナット102の外部(大気中)へ解放されているので、体積膨張した氷の一部が逃がし孔103内に収容される。したがって、ロックナット102とシールリング40との間の空気溜まりの空間104に生じた氷が体積膨張しても、この氷の体積膨張に起因してロックナット102に割れ(破損)が生じるのを防止できる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)パイプの材料は銅又は銅合金以外の金属でもよい。
(2)シールリングの材料は銅又は銅合金以外の金属でもよい。
(3)シールリングとパイプは異なる材料であってもよい。
(4)筒部とロックナットの材料は真鍮以外の金属であってもよい。
(5)シールリングが最後端位置にあっても、外向き突部の後端部がロックナットから後方へ突出せず、シールリングの全体がロックナットの内部に収容されるようにしてもよい。
(6)シールリングをロックナットに組み付けた状態で、シールリングがロックナットに固定されて動かないようにしてもよい。
(7)シールリングとパイプとのシール部の数は、1箇所だけでもよく、2箇所より多くてもよい。
(8)シールリングと筒部とのシール部の数は、1箇所だけでもよく、2箇所より多くてもよい。
(9)ストッパと検知部の当接形態は、線接触や点接触でもよい。
(10)ストッパと検知部は、全周に亘って連続して当接せずに、周方向において間隔を空けた複数箇所で当接してもよい。
(11)ストッパは、軸線とは斜め方向に傾斜したテーパ面でもよい。
(12)検知部は、軸線とは斜め方向に傾斜したテーパ面でもよい。
(13)本発明は、継ぎ手が、熱交換装置用の閉鎖バルブとは別体の製品として扱われる場合にも適用できる。
(14)本発明は、熱交換装置以外の機器装置に用いられる継ぎ手にも適用できる。
(15)上記実施形態では、係止部をロックナットの内周から内向きに突出する形態としたが、係止部は、ロックナットの内周を凹ませた形態でもよい。この場合、シールリングの外周に形成した凸部を係止部に係止させればよい。
<ロック部材L及び継ぎ手20に関する技術思想Ta>
上記実施形態からロック部材L及び継ぎ手20に関して下記の技術思想(発明)Taを抽出することができる。
<背景技術>
特許文献1(特開2002−277003号公報)には、熱交換機器の間をパイプで接続して冷媒を循環させるようにした熱交換装置において、熱交換機器とパイプと接続部分をシール可能な継ぎ手が開示されている。この継ぎ手は、熱交換機器の流路の端部にテーパ状のフレア状シール面を形成し、パイプの接続端部をテーパ状に拡径変形させてフレア状接続部を形成し、熱交換機器のフレア状シール面にパイプのフレア状接続部を密着させてナットで締め付ける構造となっている。
しかし、上記の継ぎ手では、フレア状シール面とフレア状接続部とを面接触させるようになっているので、パイプ側のフレア状接続部のフレア角度を、フレア状シール面と高い精度で同じ角度に加工する必要がある。ところが、パイプの加工は、施工者が施工現場で手作業で行うため、施工者の熟練度が低い場合には、フレア状接続部を高い精度で加工することが難しい。フレア状接続部の加工精度が低い場合には、フレア状シール面とフレア状接続部の隙間から、熱交換機器間を流動する冷媒(フロンガスや二酸化炭素)が大気中へ漏出する虞がある。冷媒の漏出は、地球温暖化やオゾン層破壊などの地球環境破壊の原因となるため、熱交換装置における冷媒の漏出防止対策は重要課題である。
冷媒の漏出量を効果的に抑える手段として、次のような継ぎ手が考えられる。この継ぎ手は、流路の一方の端部を構成する筒部と、筒部のネジ部にねじ込まれる筒状のロックナットと、ロックナットと筒部に挿入したパイプを包囲する金属製のシールリングと、パイプ挿入方向に対して傾斜したテーパ面とを有している。ロックナットをねじ込んでいくと、テーパ面の傾斜により、シールリングが、筒部の内周に気密状に密着しつつ縮径方向へ塑性変形し、パイプの外周に食い込んで気密状に密着して締め付ける。このように、シールリングを縮径させてパイプを接続する構造は、冷媒の漏出防止という観点からは非常に有効と考えられる。
<解決しようとする課題>
上記の継ぎ手において、筒部にロックナットとシールリングを取り付ける際には、シールリングを筒部の先端部内周に嵌め込み、その状態を保ちながら、ロックナットを筒部にねじ込むことになる。このように、ロックナットとシールリングを別々に取り付ける必要があるため、作業性が良くない。また、シールリングは単に筒部の先端部に嵌め込んでいるだけであるため、ロックナットをねじ込む前にシールリングが筒部から外れ易いという問題がある。
技術思想Taは上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ロックナットとシールリングを筒部に取り付ける際の作業性向上を図ることを目的としている。
<技術思想Ta−1>
パイプPが挿入される筒部21の外周にねじ込まれる筒状のロックナット32と、
前記筒部21の内周のテーパ面31に対応するとともに、前記ロックナット32の内周に沿うように配されるシールリング40とを備えて構成され、
前記ロックナット32を締付け方向へねじ込むと、前記ロックナット32で押された前記シールリング40が、前記テーパ面31により前記筒部21の内周に気密状に密着しつつ縮径するように変形するとともに、前記筒部21に挿入されたパイプPの外周に気密状に食い込んで締め付けるようになっているロック部材Lにおいて、
前記ロックナット32の内周には係止部36が形成され、
前記シールリング40の外周には凹部53が形成され、
前記係止部36と前記凹部53との係止により、前記シールリング40が前記ロックナット32から軸方向へ外れるのを規制されているロック部材Lを用いることで、上記課題を解決することができる。
この構成によれば、ロック部材Lは、シールリング40がロックナット32から外れることがないので、ロックナット32とシールリング40を筒部21に対してワンアクションで取り付けることができ、作業性が良い。また、ロックナット32を筒部21にねじ込む前に、シールリング40が筒部21から外れる虞もないので、この点においても作業性に優れている。
<技術思想Ta−2>
上記の技術思想Ta−1に記載したロック部材Lにおいて、
前記シールリング40のうち、前記筒部21の内周に気密状に密着するとともにパイプPの外周に気密状に食い込む筒状締付部42は、凹部53と係止部36の係止により、ロックナット32内に収容された状態に保持されている構成とすることができる。
この構成のロック部材Lは、シール手段として機能する筒状締付部42が、ロックナット32の内部に収容されて保護されている。したがって、ロックナット32と一緒にシールリング40が落下しても、筒状締付部42に傷が付く虞がなく、シール性能の低下を防止することができる。
<技術思想Ta−3>
技術思想Ta−1又は技術思想Ta-2に記載したロック部材Lと、
パイプPが挿入される筒部21と、
前記筒部21の内周に形成されて、前記シールリング40を縮径方向へ変形させるテーパ面31とを備えることを特徴とする継ぎ手20を用いることで、上記課題を解決することができる。
上記構成の継ぎ手20は、シールリング40がロックナット32から外れることがないので、ロックナット32とシールリング40を筒部21に対してワンアクションで取り付けることができ、作業性が良い。また、シールリング40が筒部21から外れる虞もない。
<技術思想Ta−4>
上記の技術思想Ta−3に記載した継ぎ手20において、
前記筒部21側に設けたストッパ24と、
前記ロックナット32に設けられ、前記シールリング40がパイプPに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには前記ストッパ24から離間し、前記シールリング40がパイプPに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに前記ストッパ24に突き当たる検知部35とを備える構成とすることができる。
上記構成の継ぎ手20は、シールリング40がパイプPに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには検知部35がストッパ24から離間し、シールリング40がパイプPに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに検知部35がストッパ24に突き当たるようにした。この構成によれば、検知部35がストッパ24に突き当たるか否かに基づいてシール状態を検知できるので、確実にシールすることができる。
<技術思想Ta−5>
上記の技術思想Ta−3または技術思想Ta−4に記載した継ぎ手20において、
前記筒部21に、ロー付けによる接続手段としての筒状接続部71が一体に形成されている構成としてもよい。
この構成の継ぎ手20は、室内機(図示省略)に取り付けることができる。
<技術思想Taに関する他の実施形態>
技術思想Taは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術思想Taの技術的範囲に含まれる。
(1)パイプの材料は銅又は銅合金以外の金属でもよい。
(2)シールリングの材料は銅又は銅合金以外の金属でもよい。
(3)シールリングとパイプは異なる材料であってもよい。
(4)筒部とロックナットの材料は真鍮以外の金属であってもよい。
(5)シールリングが最後端位置にあっても、外向き突部の後端部がロックナットから後方へ突出せず、シールリングの全体がロックナットの内部に収容されるようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、シールリングをロックナットに組み付けた状態で、シールリングがロックナットに対して軸方向へ自由に相対変位し得るようにしたが、シールリングをロックナットに組み付けた状態で、シールリングがロックナットに対して軸方向へ自由に相対変位しないようにしてもよい。尚、この場合でも、ロックナットを回転させて締付け方向へ螺進させれば、シールリングはロックナットに対して相対的に後方へ変位する。
(7)シールリングとパイプとのシール部の数は、1箇所だけでもよく、2箇所より多くてもよい。
(8)シールリングと筒部とのシール部の数は、1箇所だけでもよく、2箇所より多くてもよい。
(9)ストッパと検知部の当接形態は、線接触や点接触でもよい。
(10)ストッパと検知部は、全周に亘って連続して当接せずに、周方向において間隔を空けた複数箇所で当接してもよい。
(11)ストッパは、軸線とは斜め方向に傾斜したテーパ面でもよい。
(12)検知部は、軸線とは斜め方向に傾斜したテーパ面でもよい。
(13)技術思想Taは、ロック部材や継ぎ手が、熱交換装置用の閉鎖バルブとは別体の製品として扱われる場合にも適用できる。
(14)技術思想Taは、熱交換装置以外の機器装置に用いられるロック部材や継ぎ手にも適用できる。
(15)上記実施形態では、係止部をロックナットの内周から内向きに突出する形態としたが、係止部は、ロックナットの内周を凹ませた形態でもよい。この場合、シールリングの外周に形成した凸部を係止部に係止させればよい。
(16)上記実施形態では、筒部をハウジングに一体に形成したが、筒部は、ハウジングとは別体の部品としたものをハウジングに組み付けてもよい。
(17)上記実施形態では、閉鎖バルブが、流路を開閉するための第1弁体(開閉バルブ)と流路内を真空引きするための第2弁体(サービスバルブ)を備えた三方弁である場合について説明したが、技術思想Taは、第2弁体(サービスバルブ)を有しない二方弁にも適用できる。
(18)上記実施形態では、閉鎖バルブが1つの継ぎ手を有する場合について説明したが技術思想Taは、複数の継ぎ手を有する閉鎖バルブにも適用することができる。
(19)上記実施形態では、シールリングが最後端位置にあるときに、外向き突部の後端部がロックナットから後方へ突出するようにしたが、シールリングが最後端位置にあっても、外向き突部の後端部はロックナットから後方へ突出せず、シールリングの全体がロックナットの内部に収容されてもよい。
(20)上記実施形態では、シールリングとパイプとのシール部を、パイプ挿入方向に間隔を空けて2箇所に設けたが、シール部は、1箇所だけでもよく、パイプ挿入方向に間隔を空けた3箇所以上に設けてもよい。
(21)上記実施形態では、シールリングと筒部とのシール部を、パイプ挿入方向に間隔を空けて2箇所に設けたが、シール部は、1箇所だけでもよく、パイプ装入方向に間隔を空けた3箇所以上に設けてもよい。
(22)上記実施形態では、ロックナットを締付け方向へ螺進させる過程では、ロックナットの当接面が筒部の受け面に到達する前にシールリングがパイプに対して正規の締付け状態となり、これ以降は、当接面が受け面に当接するまでシールリングによる正規の締付け状態が保たれる構造とし、その上で、当接面を受け面に当接させるまでロックナットを締め付けることをマニュアル上で義務づけることによって、シールリングが確実にパイプに締め付けられるようにしたが、これに替えて、ロックナットの締付けトルクを管理することで、シールリングが確実にパイプに締め付けられるようにしてもよい。
(23)上記実施形態では、封止面を、筒部に対するパイプの挿入方向において雌ネジ部よりも後方に配置したが、封止面は、パイプの挿入方向において雌ネジ部より前方に配置してもよい。
<閉鎖バルブAに関する技術思想Tb>
上記実施形態から閉鎖バルブAに関して下記の技術思想(発明)Tbを抽出することができる。
<背景技術>
特許文献2(特開2005−325872号公報)には、熱交換機器の間をパイプで接続して冷媒を循環させるようにした熱交換装置において、熱交換機器とパイプとを接続する閉鎖バルブが開示されている。この閉鎖バルブは、冷媒の流路が形成されたハウジングと、流路に連通するようにハウジングに形成されてパイプ接続用の継ぎ手を構成する筒部と、流路を開閉するバルブ機能部とを備えている。
特許文献2の図19には、現状の継ぎ手を示している。この継ぎ手は、筒部に形成したテーパ状のフレア状シール面と、筒部にねじ込みにより取り付けられる筒状のロック部材とを有する。フレア状シール面には、パイプのテーパ状に拡径変形させた接続端部が当接され、ロック部材を締め付けることによって、パイプの接続端部をフレア状シール面に密着させるようになっているが、このフレア状シール面による接続方法では冷媒が漏出し易い。冷媒(フロンガスや二酸化炭素)の漏出は、地球温暖化やオゾン層破壊などの地球環境破壊の原因となるため、熱交換装置における冷媒の漏出防止対策は重要課題である。
<解決しようとする課題>
ところで、上記のような熱交換装置では、熱交換機器に閉鎖バルブを取り付けるとともに熱交換機器内に冷媒を充填した状態で商取引されるのであるが、パイプを接続するまでの間は、冷媒漏出防止のために、バルブ機能部の弁体によってハウジング内の流路を遮断するとともに、二次的な漏出防止対策として、継ぎ手にも、流路を外気から遮断するための封止手段が設けられる。
特許文献2の図19に示す現状の閉鎖バルブの場合は、フレア状シール面にキャップ形をなす金属製の封止部材を被せ、その封止部材をロック部材の締付けによって筒部に固定するようになっている。つまり、封止部材を取り付ける際には、予め、ロック部材を筒部から外しておく必要があり、また、封止部材を外す際にも、予め、ロック部材を筒部から外しておく必要があり、作業性が良くないという問題がある。
技術思想Tbは上記のような事情に基づいて完成されたものであって、筒状のロック部材を筒部に取り付けてパイプを接続する継ぎ手を備え、筒部に取り付けた封止部材によってバルブに連なる流路を封止する閉鎖バルブにおいて、封止部材を着脱する際の作業性向上を図ることを目的とする。
<技術思想Tb−1>
室外機B(熱交換機器)に取り付けられるハウジング10と、
前記ハウジング10内に形成された冷媒の流路13と、
前記流路13に連通するように前記ハウジング10に設けられ、パイプ接続用の継ぎ手20を構成する筒部21と、
前記流路13を開閉する第1弁体15(弁体)とを備え、
前記筒部21に取り付けた筒状のロック部材Lにより、前記筒部21にパイプPを接続するようになっている閉鎖バルブAにおいて、
前記筒部21の内周に形成され、前記ロック部材Lを貫通した封止部材60をねじ込むための雌ネジ部28と、
前記筒部21の内周に形成され、前記封止部材60が前記雌ネジ部28にねじ込まれた状態で前記封止部材60の外面を気密状に密着させる封止面29とを備えた閉鎖バルブAを用いることで、上記課題を解決することができる。
この構成によれば、筒部21における冷媒の流動を規制する際には、筒部21にロック部材Lを取り付けた状態で、そのロック部材Lを貫通するように封止部材60を筒部21内に挿入して雌ネジ部28にねじ込むことが可能である。封止部材60を外す際には、ロック部材Lを筒部21に取り付けたままの状態で、封止部材90を雌ネジ部28から外して抜き取ることができる。封止部材60は、ロック部材Lを筒部21に取り付けたままで着脱できるので、作業性がよい。
<技術思想Tb−2>
上記の技術思想Tb−1に記載した閉鎖バルブAにおいて、
前記筒部21に同軸状にねじ込みにより取り付けられる筒状のロックナット32と、
前記筒部21に挿入されたパイプPを包囲するシールリング40と、
前記筒部21の内周における前記封止面29とは異なる領域に形成され、パイプ挿入方向とは斜めをなすテーパ面31とを備え、
前記ロックナット32を締付け方向へねじ込むと、前記ロックナット32で押された前記シールリング40が、前記テーパ面31により前記筒部21の内周に気密状に密着しつつ縮径するように変形するとともに、前記筒部21に挿入されたパイプPの外周に気密状に食い込んで締め付けるようになっており、
前記シールリング40におけるパイプPへの食い込み部分の内径は、前記雌ネジ部28にねじ込まれた前記封止部材60と非接触となる寸法となっている構成とすることができる。
この構成によれば、シールリング40におけるパイプPへの食い込み領域は、封止部材60と接触しないので、封止部材60によって傷付けられる虞はない。したがって、封止部材60を取り付けることに起因してシールリング40の気密性能が損なわれることはなく、パイプPを接続した状態において冷媒の漏出を確実に防止することができる。
<技術思想Tb−3>
上記の技術思想Tb−1又は技術思想Tb-2に記載した閉鎖バルブAにおいて、
前記ロックナット32の内周には係止部36が形成され、
前記シールリング40の外周には凹部53が形成され、
前記係止部36と前記凹部53との係止により、前記シールリング40と前記ロックナット32が軸方向への離脱を規制された状態でロック部材Lを構成してもよい。
ロック部材Lは、シールリング40がロックナット32から外れることがないので、ロックナット32とシールリング40を筒部21に対してワンアクションで取り付けることができ、作業性が良い。また、ロックナット32を筒部21にねじ込む前に、シールリング40が筒部21から外れる虞もないので、この点においても作業性に優れている。
<技術思想Tbに関する他の実施形態>
技術思想Tbは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術思想Tbの技術的範囲に含まれる。
(1)パイプの材料は銅又は銅合金以外の金属でもよい。
(2)シールリングの材料は銅又は銅合金以外の金属でもよい。
(3)シールリングとパイプは異なる材料であってもよい。
(4)筒部とロックナットの材料は真鍮以外の金属であってもよい。
(5)シールリングが最後端位置にあっても、外向き突部の後端部がロックナットから後方へ突出せず、シールリングの全体がロックナットの内部に収容されるようにしてもよい。
(6)シールリングをロックナットに組み付けた状態で、シールリングがロックナットに固定されて動かないようにしてもよい。尚、この場合でも、ロックナットを回転させて締付け方向へ螺進させれば、シールリングはロックナットに対して相対的に後方へ変位する。
(7)シールリングとパイプとのシール部の数は、1箇所だけでもよく、2箇所より多くてもよい。
(8)シールリングと筒部とのシール部の数は、1箇所だけでもよく、2箇所より多くてもよい。
(9)ストッパと検知部の当接形態は、線接触や点接触でもよい。
(10)ストッパと検知部は、全周に亘って連続して当接せずに、周方向において間隔を空けた複数箇所で当接してもよい。
(11)ストッパは、軸線とは斜め方向に傾斜したテーパ面でもよい。
(12)検知部は、軸線とは斜め方向に傾斜したテーパ面でもよい。
(13)上記実施形態では、係止部をロックナットの内周から内向きに突出する形態としたが、係止部は、ロックナットの内周を凹ませた形態でもよい。この場合、シールリングの外周に形成した凸部を係止部に係止させればよい。
(14)上記実施形態では、筒部をハウジングに一体に形成したが、筒部は、ハウジングとは別体の部品としたものをハウジングに組み付けてもよい。
(15)上記実施形態では、閉鎖バルブが、流路を開閉するための第1弁体(開閉バルブ)と流路内を真空引きするための第2弁体(サービスバルブ)を備えた三方弁である場合について説明したが、技術思想Tbは、第2弁体(サービスバルブ)を有しない二方弁にも適用できる。
(16)上記実施形態では、閉鎖バルブが1つの継ぎ手を有する場合について説明したが、技術思想Tbは、複数の継ぎ手を有する閉鎖バルブにも適用することができる。
(17)上記実施形態1では、封止部材を真鍮製としたが、封止部材の材料は真鍮以外の金属であってもよい。
(18)上記実施形態では、シールリングが最後端位置にあるときに、外向き突部の後端部がロックナットから後方へ突出するようにしたが、シールリングが最後端位置にあっても、外向き突部の後端部はロックナットから後方へ突出せず、シールリングの全体がロックナットの内部に収容されてもよい。
(19)上記実施形態では、シールリングをロックナット内に組み付けた状態に保持し、これを筒部にワンアクションで組み付けるようにしたが、シールリングとロックナットは、組付け状態に保持されず、筒部に別々に組み付けるようにしてもよい。
(20)上記実施形態では、封止面を、継ぎ手に対するパイプの挿入方向において雌ネジ部よりも後方に配置したが、封止面は、パイプの挿入方向において雌ネジ部より前方に配置してもよい。
(21)上記実施形態では、ロックナットを締付け方向へ螺進させる過程では、ロックナットの当接面が筒部の受け面に到達する前にシールリングがパイプに対して正規の締付け状態となり、これ以降は、当接面が受け面に当接するまでシールリングによる正規の締付け状態が保たれる構造とし、その上で、当接面を受け面に当接させるまでロックナットを締め付けることをマニュアル上で義務づけることによって、シールリングが確実にパイプに締め付けられるようにしたが、これに替えて、ロックナットの締付けトルクを管理することで、シールリングが確実にパイプに締め付けられるようにしてもよい。
A…閉鎖バルブ
B…室外機(熱交換機器)
P…パイプ
10…ハウジング
13…流路
15…第1弁体(弁体)
20…継ぎ手
21…筒部
24…ストッパ
26…角縁部
31…テーパ面
32…ロックナット
35…検知部
36…係止部
40…シールリング
42…筒状締付部
43…保持部
46…受圧面
60…封止部材
70,80…継ぎ手
81a,81b,81c…スペーサ
24a,24b,24c,24d…ストッパ

Claims (6)

  1. パイプが同軸状に挿入されるようになっていて、内周面にパイプの挿入方向前方に向かって縮径するテーパ面が形成された筒部と、
    前記筒部にねじ込んで取り付けられ、回転しながら前記挿入方向前方へ移動し得る筒状のロックナットと、
    前記筒部内に挿入されたパイプを囲むような筒状をなし、少なくとも一部が前記ロックナット内に収容されるように配置されたシールリングと、
    前記シールリングに形成され、パイプの挿入方向後方から前記ロックナットの押圧力を受ける受圧面と、
    前記シールリングに形成され、前記シールリングが前記ロックナットに押圧されて前記挿入方向前方へ押し動かされるのに伴い、前記テーパ面に摺接しながら縮径変形してパイプの外周に気密状に食い込む筒状締付部と、
    前記筒部側に設けたストッパと、
    前記ロックナットに設けられ、前記筒状締付部がパイプに気密状に食い込まない不完全シール状態であるときには前記ストッパから離間し、前記筒状締付部がパイプに気密状に食い込んで正規シール状態になっているときに前記ストッパに突き当たる検知部と、
    前記ロックナットの内周に形成した係止部と、
    前記シールリングに形成され、前記筒状締付部を前記ロックナット内に収容した状態で前記係止部に係止することにより、前記シールリングと前記ロックナットとを組付け状態に保持する保持部とを備えていることを特徴とする継ぎ手。
  2. 前記ロックナットを前記挿入方向前方に移動させる過程では、前記検知部が前記ストッパに到達する前に前記筒状締付部が前記正規シール状態となり、この正規シール状態は前記検知部が前記ストッパに当接するまで維持されることを特徴とする請求項1記載の継ぎ手。
  3. 前記正規シール状態では、前記筒状締付部の外周面と前記テーパ面が気密状に密着するとともに、前記筒部に形成した角縁部と前記シールリングに形成したシール面とが気密状に密着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の継ぎ手。
  4. 前記筒部には、取外し可能なスペーサが設けられ、
    前記スペーサのうち前記検知部と対向する面が、前記ストッパとなっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の継ぎ手。
  5. 熱交換機器に取り付けられるハウジングと、前記ハウジング内に形成された冷媒の流路を開閉する弁体とを備えて構成される閉鎖バルブの前記ハウジングに、前記筒部が一体に形成されており、
    前記ロックナット内に挿通され且つ前記筒状締付部とは非接触の状態で前記筒部の内周に取り付けられることによって、前記筒部における冷媒の流動を規制可能であって、前記筒部から外すことが可能な封止部材を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の継ぎ手。
  6. 前記ロックナットには、前記ロックナットの内面側から外面側へ連通する逃がし孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の継ぎ手。
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