JP2012239786A - 食器洗い機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビルトインタイプの食器洗い機において、引き出し操作時や長期間使用した場合でも、洗浄槽の接合部から水漏れしない上下分割構成の洗浄槽を備えた食器洗い機を実現する。
【解決手段】前方に引き出し自在に設けられた洗浄槽29を底部構成部材41と洗浄槽部材40とで構成し、底部構成部材41の上端部と洗浄槽部材40の下端部で構成される接合部を水封するシール部54を備え、シール部54へ浸入した洗浄水を洗浄槽29内へ回収する洗浄水回収経路57を設けたことにより、引き出し操作時や長期間の使用などにより、シール部54へ洗浄水が浸入することになった場合でも、洗浄槽29の接合部から洗浄槽29外に水漏れが発生しない。
【選択図】図2

Description

本発明は洗浄水の噴射により食器等の洗浄を行うビルトインタイプの食器洗い機に関するものである。
従来、この種の食器洗い機は、図7に示すように、システムキッチンに収容され、筐体1の内部に設けられ、底部と側面部を一体で形成された洗浄槽2は、上方に開口部3を設け、内部に食器類4を収納する食器かご5を配置している。食器かご5の下方には洗浄ノズル6を回転自在に設けており、洗浄槽2内に溜めた洗浄水を洗浄ポンプ7によって加圧循環させ、洗浄ノズル6より噴射して食器類4を洗浄する。
また、洗浄槽2の下方にはレール8を固定し、前後方向へ平行移動可能に支持されている。食器類4の出し入れを行う際には、筐体1内に格納されている洗浄槽2を前方に引き出し、開口部3より食器類4を収容する。次に、洗浄槽2を筐体1内に戻し、収納するとともに筐体1内の上部空間に待機していた蓋体9が筐体1内の側面に配置したリンク機構10等により後方へ移動しつつ降下して洗浄槽2の開口部3を閉塞するように構成しており、蓋体9には、洗浄槽2の開口部3を閉塞した状態で洗浄槽2に当接しシールするための弾性体で構成された第1のシール部材11を備えている(例えば、特許文献1参照)。
一方、図8に示すような食器洗い機も提案されている。図8に示すように、食器類12を収容する洗浄槽13は、底部構成部材14と、この底部構成部材14の上に設けた洗浄槽部材15とで構成している。洗浄槽13は、洗浄槽部材15の前方に開口部16を有し、この開口部16を扉17により開閉するとともに、底部構成部材14に洗浄水を噴射する洗浄ノズル18を回転自在に配設しており、洗浄槽13内に食器類12を収容する食器かごを配置している。
また、洗浄槽13は、底部構成部材14の上方より、洗浄槽部材15を挿着し、上下の抜け方向に規制した結合構成としており、接合部19からの水漏れを底部構成部材14に設けた上方への立ち上がり部20によって、底部構成部材14内へ回収する構成としている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−87271号公報 特開2000−296087号公報
しかしながら、特許文献1に示す前記従来の構成において、図9に示すように洗浄槽21の底部を構成する底部構成部材22と側面を構成する洗浄槽部材23に分割する構成として、底部構成部材22と洗浄槽部材23を特許文献2に示すような結合構成を適用した場合、洗浄槽21は引き出し自在に構成されているため、洗浄槽21内に洗浄水が貯められた状態で、引き出し操作を行うと、操作の勢いにより、洗浄水が規定の水位より高い位置まで達し、立ち上がり部24を乗り越え、洗浄槽21の外へ漏れ出すこととなる。
その対策として、弾性体などで構成されるシール部材(図示しない)を用いて底部構成部材22と洗浄槽部材23の当接面25を水封することが考えられるが、この構成による
と洗浄槽21の引き出し操作により、当接面25に振動や力がかかるため、長期間の使用を考えると全周にわたりシール性を維持することは困難である。シール性が損なわれると、シール性を失った部分から、洗浄ノズル26より噴射された洗浄水が、運転中、継続的に当接面25の外へ漏れ出すこととなる。そのとき他の部分は水封されているため、漏れ出した水を回収することができず、水漏れに至るという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、前方に開口を有する食器洗い機本体と、開口から引き出し自在に設けられ、底部構成部材と洗浄槽部材を接合して構成される洗浄槽を有する食器洗い機において、長期間使用した場合や引き出し操作時においても、前記接合部から洗浄槽外へ水漏れが発生しない食器洗い機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の食器洗い機は、前方に開口を有する食器洗い機本体と、前記開口から引き出し自在に設けられた洗浄槽と、前記洗浄槽の底部を構成する底部構成部材と、前記洗浄槽の少なくとも側面を構成する洗浄槽部材と、前記底部構成部材の上端部と前記洗浄槽部材の下端部で構成され接合部を水封するシール部と、前記洗浄槽と連通するように構成される補助タンクとを備え、前記シール部は、前記底部構成部材に上方に向けて設けられた第1のリブとその外側に位置する第2のリブとで構成される溝部と、前記溝部へ設置される弾性体よりなるシール部材と、前記洗浄槽部材に設けられ前記シール部材を圧迫しシールするシールリブと、前記洗浄槽部材に設けられ前記溝部よりも内方に位置する遮蔽リブとで構成され、前記溝部へ浸入した洗浄水を前記洗浄槽へ回収する洗浄水回収経路を有するものである。
これによって、長期間の使用によりシール部のシール性が低下した場合においても、洗浄槽の接合部からの水漏れをなくすことができる。また、引き出し操作を行うことにより、洗浄水が規定の水位より高い位置まで達する場合においても、洗浄槽の接合部から洗浄槽外への水漏れをなくすことができる。
本発明の食器洗い機は、ビルトインタイプの食器洗い機において、引き出し操作時や長期間使用した場合でも、洗浄槽の接合部から洗浄槽外へ水漏れしない上下分割構成の洗浄槽を備えた食器洗い機を実現することができる。
本発明の実施の形態1における食器洗い機の縦断面図 図1のC部における要部拡大図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄槽の前方から見た斜視図 本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄槽の前方から見た要部断面斜視図 図4のA−A線における要部断面図 図4のB−B線における要部断面図 従来の食器洗い機の縦断面図 従来の他の食器洗い機の縦断面図 従来のさらなる他の食器洗い機の縦断面図
第1の発明は、前方に開口を有する食器洗い機本体と、前記開口から引き出し自在に設けられた洗浄槽と、前記洗浄槽の底部を構成する底部構成部材と、前記洗浄槽の少なくとも側面を構成する洗浄槽部材と、前記底部構成部材の上端部と前記洗浄槽部材の下端部で構成され接合部を水封するシール部と、前記洗浄槽と連通するように構成される補助タン
クとを備え、前記シール部は、前記底部構成部材に上方に向けて設けられた第1のリブとその外側に位置する第2のリブとで構成される溝部と、前記溝部へ設置される弾性体よりなるシール部材と、前記洗浄槽部材に設けられ前記シール部材を圧迫しシールするシールリブと、前記洗浄槽部材に設けられ前記溝部よりも内方に位置する遮蔽リブとで構成され、前記溝部へ浸入した洗浄水を前記洗浄槽へ回収する洗浄水回収経路を有することにより、長期間の使用などによりシール性を失った部分から、洗浄水が継続的にシール部の外へ漏れ出した場合においても、洗浄槽外に漏らすことなく、洗浄槽内へ回収することができ、洗浄槽外への水漏れを防止することができる。また、引き出し操作時の波立ちにより、洗浄水が規定の水位以上に達し、シール部へ洗浄水が浸入する場合でも、洗浄水を洗浄槽内へ回収することができ、洗浄槽の外への水漏れを防止することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の食器洗い機において、前記溝部へ浸入した洗浄水の前記洗浄水回収経路による前記洗浄槽への回収は、前記補助タンクを経由して行われるように構成したことにより、洗浄槽の底部を構成する底部構成部材の加工が容易であり、洗浄水回収経路の清掃も比較的容易とすることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の食器洗い機において、前記第1のリブを略全周にわたり前記第2のリブよりも低くしたことにより、多量の洗浄水がシール部へ浸入した場合においてもその大半を洗浄槽内に回収することができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれかの発明の食器洗い機において、前記第2のリブと前記シールリブの間に、洗浄水が毛細管現象にて上昇して前記洗浄槽の外に漏れることを防止する第1の回収空間を設けたことにより、溝部へ浸入した洗浄水が、第2のリブとシールリブとの間の毛細管現象により洗浄槽外へ漏れ出すことを防止し、確実に洗浄水回収経路より洗浄槽内へ回収することができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれかの発明の食器洗い機において、前記第1のリブと前記遮蔽リブの間に、洗浄水が毛細管現象にて上昇して前記溝部に達することを防止する第2の回収空間を設けたことにより、遮蔽リブの下端から浸入した洗浄水が毛細管現象でシール部へ吸い上がるのを防止することができるため、洗浄槽外への水漏れに対する信頼性をさらに向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態の食器洗い機の縦断面図、図2は図1のC部の拡大図、図3は同食器洗い機の洗浄槽の前方から見た斜視図、図4は同食器洗い機の洗浄槽の前方から見た要部断面斜視図、図5は図4のA−A線における断面図、図6は図4のB−B線における断面図である。
図1において、システムキッチンに収容された筐体27は、食器類28を収容して洗浄する洗浄槽29を内部に設けている。洗浄槽29は、その下部で筐体27の両側面の内側に略水平方向に架設された一組のレール30に沿って前後方向に引き出し自在に設けてあり、洗浄槽29の内部には食器類28を収容する食器かご31を配置し、食器かご31の下方で洗浄槽29の底部に洗浄ノズル32を回転自在に設けている。洗浄槽29の内部には、貯留した洗浄水を加熱するヒータ等の加熱手段33と、洗浄槽29の底部に排水口34を設けている。
洗浄槽29の底部外側には、排水口34に溜まる洗浄水を加圧して洗浄ノズル32に送
る洗浄ポンプ35を配置している。排水口34に溜まる洗浄水を洗浄ポンプ35により加圧して循環させ、洗浄ノズル32の噴射孔48から洗浄槽29内に噴射して食器類28を洗浄するよう構成している。
また、洗浄槽29の底部外側に、排水口34と連通した補助タンク55を配置し、その上部には、フロートと検知スイッチより成り、洗浄槽29内の所定の洗浄水位47を検知する水位検知手段56を設けている。
洗浄槽29内に溜められる洗浄水は水道配管から給水ホースおよび給水弁(いずれも図示しない)を介して供給される。水位検知手段56により所定の洗浄水位47まで洗浄水が供給されたことを検知すると、制御手段によって給水弁を閉じて洗浄槽29への洗浄水供給を停止するよう構成している。
また、筐体27の上方には、洗浄槽29の開口部36を閉塞するための蓋体37を可動自在に配置し、前後一対のリンクを含む左右一対の平行リンク機構38により上下動自在に支持されるとともに、洗浄槽29の開口部36をシールするゴム等の弾性体よりなる第1のシール部材39が固定され、洗浄槽29を引き出したとき、第1のシール部材39が洗浄槽29の前後の移動に干渉しないよう上方へ変位するように構成している。
ここで、図2〜図6を参照して、洗浄槽29の構成について説明する。洗浄槽29は、上方に開口部36を有し、側面を構成する樹脂製の洗浄槽部材40と底部を構成する樹脂製の底部構成部材41とで構成される。
底部構成部材41は有底トレー状に構成され、その外周上端部には、ゴム等の弾性体よりなる第2のシール部材42が配置され、底部構成部材41には第2のシール部材42を上方に向けて立設された第1のリブ43aとその外側に位置する第2のリブ43bとで挟み込み保持する溝部43が環状に構成される。ここで、第1のリブ43aは第2のリブ43bよりも略全周にわたり低く構成される。
また、溝部43は補助タンク55より上方に位置させ、溝部43には溝部43へ侵入した洗浄水を補助タンク55内へ導き洗浄槽29内へ回収する洗浄水回収経路57が構成される。この洗浄水回収経路57は、第2のリブ43bの一部を切り欠いて外側に向けて形成され、その出口57aを補助タンク55の上方に設けた開口部55aの直上に位置させている。
また、底部構成部材41には、レール30の可動レール部、洗浄ノズル32、加熱手段33、洗浄ポンプ35、ポンプモータ、水位検知手段56、温度センサ等、食器洗い機の動作制御に必要な電装部品および機構部品の大半を搭載してユニット化してある。
洗浄槽部材40の前後左右の外周下端部には、第2のシール部材42を上方から抑え、底部構成部材41の溝部43と共働して水密性を発揮するシールリブ44がそれぞれ設けられ、その内方側に遮蔽リブ45を下垂させて設けている。洗浄槽29の両側面部の遮蔽リブ45は洗浄槽部材40の側面の内壁40aと段差なく設けられている。
底部構成部材41の外周上端部と洗浄槽部材40の外周下端部とは上下方向で接合され、この接合部には、溝部43、シールリブ44および第2のシール部材42で構成されるシール部54を設けて、水密にシールしている。
シールリブ44と溝部43の第2のリブ43bとの間には洗浄水が毛細管現象により吸い上げられない程度の第1の回収空間58を洗浄槽29全周にわたり連通するように設け
て、溝部43へ浸入した洗浄水が洗浄槽29の外へ漏れ出ることを防止すると同時に、洗浄水は第1の回収空間58と連通する洗浄水回収経路57を通じて洗浄槽29内へ確実に回収される構成としている。逆に、溝部43の第1のリブ43aとシールリブ44は近接した位置に構成され、溝部43へ浸入した洗浄水は毛細管現象により、洗浄槽29内側へ引張られることにより、洗浄槽29外への漏れを防止している。
また、遮蔽リブ45と溝部43の間は洗浄水が毛細管現象により吸い上げられない程度の第2の回収空間46を洗浄槽29全周にわたり連通するように設けて、上記シール部54に洗浄水が達することを防止している。遮蔽リブ45先端は底部構成部材41との隙間つまり第2の回収空間46の入り口46aの寸法が上方の第2の回収空間46の主空間46bより小さくなるように構成される。
また、遮蔽リブ45先端は、規定の洗浄水位47よりも上方かつ、洗浄ノズル32に複数個設けられた噴射孔48よりも下方に位置するように構成され、かつ、底部構成部材41の底面部からの洗浄水の跳ね返り水流がかからない位置に構成されている。さらに遮蔽リブ45先端は、洗浄槽29の全周にわたり底部構成部材41の側壁部49よりも外側に位置しないように構成される。
一般に食器洗い機では専用洗剤を水に溶解させて食器類28の洗浄を行うが、洗剤に含まれる界面活性剤などの成分により洗浄槽29表面のぬれ性が格段に上がる。ぬれ性が上がると毛細管現象が非常に強く発生するため、第1の回収空間58および第2の回収空間46(主空間46b)の幅は通常の水を対象とする場合と比べ広く構成している。また、第1の回収空間58に対し、第2の回収空間46は洗浄水に触れる頻度が高いため、第1の回収空間58に比べ広く構成している。第1の回収空間58および第2の回収空間46は全周にわたり連通した形状つまり、図5に示す断面形状を、食器かご支持部53を除いた洗浄槽29の全周にわたり略同一の形状で構成している。
図4に示すように、洗浄槽29内の底部の左右側壁近傍には食器かご31を載置して支持する食器かご支持部53が左右各数箇所設けられている。この食器かご支持部53は、底部構成部材41に設けた支持部下部53aと、洗浄槽部材40に設けた支持部上部53bとに分割して構成されている。そして、後述するように、洗浄槽部材40と底部構成部材41とが接合されることにより、図6に示すように、支持部上部53bが支持部下部53aの上方に対向させられて食器かご支持部53が形成されるよう構成してある。また、その分割面である支持部上部53bの下面53cの高さ位置は洗浄槽部材40の遮蔽リブ45の下端と略同一高さとしてある。
また、底部構成部材41の両側面には洗浄槽29の重量を支えるレール受け部50を側壁部49より外側で溝部43のほぼ直下に構成している。レール受け部50の外端部にはリブ50aをレール30の可動レール部を上方および外方から覆うように下方に向けて延設し、レール受け部50の機械的強度を増強するとともに、蓋体37から洗浄槽部材40の外壁に滴下した洗浄水がレール30内に浸入することを防止する構成としている。
洗浄槽部材40の前後左右の外周部下端に設けられたシールリブ44の外方には係合部52をリブ状に下方に向けて延設してある。底部構成部材41の溝部43の外周には数箇所の凸部51が設けられ、洗浄槽部材40の係合部52には凸部51に対応した位置に係合孔52aが構成され、洗浄槽部材40を底部構成部材41の上方から挿着することで、係合部52が弾性変形して凸部51が係合孔52aに係合し、洗浄槽部材40と底部構成部材41とが接合される構成としている。そして、接合された状態で、左右両側面部の係合部52の下端はレール受け部50の上面に当接するよう構成してある。洗浄槽部材40と底部構成部材41との接合部を上記のような構成とすることにより、簡単な構成で両者
を接合できるとともに、蓋体37から洗浄槽部材40の外壁に滴下した洗浄水が第2のシール部材42の部分に浸入することを防止できる。
また、図5に示すように、レール30の固定レール部の断面形状を、可動機構部30aの外側に隆起部30bを設け、さらにその外側を一段低いレール溝部30cとする形状としている。そして、底部構成部材41のレール受け部50の外端部に設けたリブ50aの下端外側を、隆起部30bの直上もしくは外側に位置させ、蓋体37から洗浄槽部材40の外壁を経由してリブ50aの下端外側に滴下してきた洗浄水をレール溝部30cに導きレール30の可動機構部30aに浸入することを防止する構成としている。さらに、図示はしていないが、可動機構部30aとレール溝部30cのいずれかの後方部に貫通孔を設け、滴下し導かれた洗浄水を筐体27の内底部に落下させ、その近傍に配設した漏水検知センサによって検知するようにしてある。
以上のように構成された食器洗い機について、以下その動作、作用を説明する。洗浄槽29は、洗浄槽部材40を第2のシール部材42をセットした底部構成部材41の上方より挿着することで、係合部52がそれ自身の弾性にて一時的に変形し、係合孔52aが洗浄槽部材40に設けた凸部51に係合し、上下方向の規制がされ、洗浄槽部材40と底部構成部材41とを結合して一体化する。その際に、洗浄槽部材40のシールリブ44が第2のシール部材42を上方から押圧して規定の締め位置まで変形させ、接合部を水封している。洗浄槽29を一体化することで、洗浄槽部材40に設けた遮蔽リブ45と底部構成部材41の溝部43とで第2の回収空間46が構成される。また、同時に溝部43の第2のリブ43bとシールリブ44とで第1の回収空間58が構成される。なお、ここでは第2のシール部材42を弾性体として構成しているが、シリコン接着剤のようなもので水封することも可能である。
溝部43の内方側に設けられた遮蔽リブ45は第2の回収空間46の入り口46aの寸法が上方の第2の回収空間46の主空間46bより小さくなるように配置されているため、第2の回収空間46への水の浸入を減らすことができる。また、遮蔽リブ45の下端は規定の洗浄水位47よりも上方に位置しているため、食器類28から洗い流された異物や油などが第2の回収空間46に堆積することがなく、洗浄水の回収を妨げることがない。また、異臭などの発生を抑制することができる。
さらに、遮蔽リブ45の下端は洗浄ノズル32の噴射孔48よりも下方に位置する構成とすることにより、噴射孔48より噴射される洗浄水は遮蔽リブ45により確実にさえぎられるため、第2の回収空間46の入り口46aには洗浄槽29の上方から落下してくる勢いの少ない洗浄水のみが接触することとなり、圧力をもった水流が溝部43へ到達することがなくなる。
噴射孔48より噴射された洗浄水は食器類28に当たりそのまま落下するか、洗浄槽部材40の側面に沿って流れ落ち、遮蔽リブ45下端へ流れてくる。このとき、遮蔽リブ45先端は洗浄槽29の全周にわたり底部構成部材41の側壁部49よりも外側に位置しないように構成されていることにより、上方から遮蔽リブ45に沿って流れ落ちる洗浄水は、第2の回収空間46に浸入することなく、底部構成部材41の底面へ回収される。
また、洗浄槽29の両側面の遮蔽リブ45は洗浄槽部材40の内壁40aと段差なく設けられているため、不要な段差がなく、洗浄水の回収速度を落とすことがなく、またデザイン性も向上される。
また、底部構成部材41と洗浄槽部材40の接合と同時に、その接合部を水封するシール部54および第1の回収空間58および第2の回収空間46が形成されるので、接合作
業およびシール部54および第1の回収空間58および第2の回収空間46の形成が簡易になり組立作業性を向上させることができる。
このような構成とした場合でも、第2の回収空間46(主空間46b)の隙間をせまく構成してしまうと、第2の回収空間46の入り口46aに触れた洗浄水が毛細管現象により吸い上げられ、溝部43へ到達してしまうが、遮蔽リブ45と溝部43の間の第2の回収空間46を洗浄水が毛細管現象で吸い上げられない程度の隙間を設けているため、第2の回収空間46の入り口46aに洗浄水が接触しても、溝部43へ洗浄水が吸い上げられることはない。
以上のように、洗浄ノズル32から噴射される洗浄水が溝部43に達することはなく、仮に第2のシール部材42がない構成とした場合でも、接合部より水漏れしない。ただし、洗浄水が加熱されると、蒸気が発生するため、溝部43付近へ結露し、少量の水が洗浄槽29の外へ漏れ出す場合がある。このために、第2のシール部材42を第2の回収空間46の外側上方に配置している。また、第2のシール部材42がなくても水漏れしない構成としているため、長期間の使用による第2のシール部材42の劣化や、引き出し操作による振動や力が繰り返し溝部43にかかることによるシール性の低下がおきても、水漏れは発生しない。
また、第2の回収空間46は洗浄槽29全周にわたり連通した構成としているため、勢いよく洗浄槽29を引き出し操作した場合などに、規定の洗浄水位47よりも上方まで洗浄水が達し、第2の回収空間46に洗浄水が浸入しても、連通した第2の回収空間46により、横方向に洗浄水が逃げるスペースが存在するため、溝部43まで到達する洗浄水を大幅に減らすことが可能である。
さらに、何らかの要因(例えば、割れなど)により、洗浄ノズル32からの噴射が第2の回収空間46の入り口46aに直撃することにより、溝部43へ洗浄水が到達する場合を説明する。溝部43の第1のリブ43aを乗り越えた洗浄水は溝部43内へたまることになるが、溝部43はシールリブ44と第2のシール部材42とで全周にわたり水封されているため、その大半はシールリブ44の外側へ漏れ出ることはない。ただし、第2のシール部材42の継ぎ目部分や長期間の使用により、シール性が部分的に損なわれていた場合、シールリブ44の外側へ洗浄水が達する場合がある。その際は、シールリブ44と第2のリブ43bの間には第1の回収空間58があり、さらに、シールリブ44と第1のリブ43aとの間はせまく設定しているため、洗浄水は内側(洗浄槽29内側)へ引張る方向へ毛細管現象が発生するため、第2のリブ43bを乗り越えて洗浄槽29外へ洗浄水が漏れ出ることはない。また、さらに、第1のリブ43aを略全周にわたり第2のリブ43bに比べ低く構成していることで、洗浄槽29外へ洗浄水が漏れ出ることがないようにさらに余裕度を持たせた構成としている。
前述したように、溝部43へ浸入した洗浄水のほとんどは、第2の回収空間46を経て洗浄槽29内へ回収されることとなるが、溝部43内へ残った少量の洗浄水は、洗浄槽29外へ漏れ出ることなく、洗浄水回収経路57を通って、補助タンク55を経由して洗浄槽29内へ回収される。このため、シールリブ44外へ継続的に洗浄水が漏れ出る場合でも、継続的に補助タンク55を経由して洗浄槽29内へ回収されるため、洗浄槽29外への水漏れにいたることはない。
以上のように、洗浄水が溝部43まで到達した場合でも、第1のリブ43aが略全周にわたり第2のリブ43bよりも低く構成されること、シールリブ44と第1のリブ43a間で毛細管現象が発生することにより、その大半は洗浄槽29内へ回収され、さらに、溝部43に残る少量の洗浄水は第1の回収空間58により洗浄水回収経路57を介して補助
タンク55を経由して洗浄槽29内へ回収されるため、洗浄槽29外への水漏れが発生することはない。
食器洗い機は長期間の使用に際し、加熱による熱サイクル・熱衝撃、食材の油や洗剤の化学成分、水道水に含まれるミネラル分の析出による堆積、洗浄槽29の開閉による振動など、部材に対し多くの負荷がかかるため、どのような故障が発生するかを予測することが難しく、洗浄槽29を接合して構成する場合には、水漏れ防止に対し何重にも余裕度を持たせた構成とすることが長期間の水漏れ保証に対し重要である。特に樹脂製の洗浄槽とした場合、また、安価な構成を実現するために、第2のシール部材42を廃止する構成とする場合にもこの余裕度が重要となることはいうまでもない。
以上のように、本実施の形態においては、底部構成部材41の上端部と洗浄槽部材40の下端部で構成される接合部を水封するためのシール部54を構成し、シール部54は底部構成部材41に設けられた第1のリブ43aとその外側に位置する第2のリブ43bとで構成される溝部43と、溝部43へ設置される弾性体よりなる第2のシール部材42と、洗浄槽部材40に構成され、第2のシール部材42を圧迫しシールするシールリブ44と、洗浄槽部材40に設けられ溝部43よりも内方に位置する遮蔽リブ45とで構成され、溝部43へ浸入した洗浄水を洗浄槽29内へ回収する洗浄水回収経路57を設けたことにより、洗浄水が溝部43まで到達した場合でも水漏れに至ることなく、洗浄槽29内へ回収されるため、引き出し操作時に洗浄水が波立った場合や長期間の使用で第2のシール部材42のシール性が低下した場合でも、洗浄槽29外に水漏れしないようにすることができる。
また、溝部43へ浸入した洗浄水を洗浄槽29内へ回収するための具体構成としては、例えば、底部構成部材41の側壁部49に、その内壁面に出口を有する回収経路を設けて、溝部43から直接洗浄槽29内に洗浄水を回収する構成とすることも可能であるが、底部構成部材41の加工上の課題や回収経路の清掃が困難という課題がある。本実施の形態では、洗浄水回収経路57を底部構成部材41の外側に向けて形成し、洗浄槽29の外側に設けられた補助タンク55を経由して洗浄槽29内へ回収する構成としたので、底部構成部材41の加工が容易であり、洗浄水回収経路57の清掃も比較的容易となる。
また、第1のリブ43aを略全周にわたり第2のリブ43bよりも低くしたので、多量の洗浄水がシール部54へ浸入した場合においてもその大半を第2の回収空間46から直接洗浄槽29内に回収することができる。
また、第2のリブ43bとシールリブ44の間に、洗浄水が毛細管現象にて上昇して洗浄槽29の外に漏れることを防止する第1の回収空間58を設けたので、溝部43へ浸入した洗浄水が第2のリブ43bとシールリブ44との間の毛細管現象により洗浄槽29外へ漏れ出すことを防止し、確実に洗浄水回収経路57より洗浄槽29内へ回収することができる。
さらに、第1のリブ43aと遮蔽リブ45の間に、洗浄水が毛細管現象にて上昇して溝部43に達することを防止する第2の回収空間46を設けたことにより、遮蔽リブ45の下端から浸入した洗浄水が毛細管現象でシール部54へ吸い上がるのを防止することができるため、洗浄槽29外への水漏れに対する信頼性をさらに向上することができる。
また、従来の食器洗い機の洗浄槽のように、食器かご支持部53を底部構成部材41から一体形成して上方に立ち上げるように構成すると、図6に当てはめれば容易に類推できるように、食器かご支持部53と遮蔽リブ45との間に上方に開口した隙間が生じることになり、噴射された洗浄水がこの隙間から入り口46aを通って第2の回収空間46に浸
入しやすくなるが、本実施の形態では、食器かご支持部53は、底部構成部材41に設けた支持部下部53aと、支持部下部53aの上方に対向させて洗浄槽部材40に設けた支持部上部53bとに分割して構成するとともに、その分割面の高さ位置を洗浄槽部材40の遮蔽リブ45の下端と略同一高さとしたことにより、底部構成部材41に設けた支持部下部53aと洗浄槽部材40に設けた支持部上部53bとの間の隙間が略水平方向に形成されるので、この隙間に噴射された洗浄水が浸入しづらく、また浸入した洗浄水が洗浄槽29側に滴下して戻ることが期待でき、洗浄水が食器かご支持部53から第2の回収空間46に流入することを防ぐことができる。
また、本実施の形態では、上下接合構成とした洗浄槽29の下側部材である底部構成部材41の両側面に洗浄槽29の重量を支えるレール受け部50を構成していることにより、洗浄槽29およびその他の部品の重量がシール部54を引き離す方向にかかることがなく、長期的に第2のシール部材42のシール性を維持することができる。
また、本実施の形態では、底部構成部材41を電装部品および機構部品の大半を搭載してユニット化したことにより、洗浄槽部材40のシール部54より上方の部分を大型、小型化することで、底部構成部材41を単一のものを使用しても、容量の異なる洗浄槽を得ることができるため、洗浄槽容量の異なる食器洗い機の生産に容易に対応することができ、製造効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、洗浄槽29の内底部に回転自在な洗浄ノズル32のみを備えたものとして説明したが、例えば洗浄槽29の内側部にさらに別の洗浄ノズルを備えたものであっても、本発明による効果を得ることができ、本発明から除外されるものではない。
以上のように、本発明にかかる食器洗い機は、ビルトインタイプの食器洗い機において、引き出し操作時に洗浄水が波立った場合や長期間の使用によりシール部材のシール性が低下した場合でも、洗浄槽の接合部から洗浄槽外へ水漏れしないようにすることが可能となるので、洗浄水の噴射により食器類の洗浄を行う食器洗い機等として有用である。
27 筐体(食器洗い機本体)
29 洗浄槽
30 レール
32 洗浄ノズル
40 洗浄槽部材
41 底部構成部材
42 第2のシール部材(シール部材)
43 溝部
43a 第1のリブ
43b 第2のリブ
44 シールリブ
45 遮蔽リブ
46 第2の回収空間
47 洗浄水位
48 噴射孔
50 レール受け部
51 凸部
52 係合部
52a 係合孔
53 食器かご支持部
54 シール部
55 補助タンク
56 水位検知手段
57 洗浄水回収経路
58 第1の回収空間

Claims (5)

  1. 前方に開口を有する食器洗い機本体と、前記開口から引き出し自在に設けられた洗浄槽と、前記洗浄槽の底部を構成する底部構成部材と、前記洗浄槽の少なくとも側面を構成する洗浄槽部材と、前記底部構成部材の上端部と前記洗浄槽部材の下端部で構成され接合部を水封するシール部と、前記洗浄槽と連通するように構成される補助タンクとを備え、前記シール部は、前記底部構成部材に上方に向けて設けられた第1のリブとその外側に位置する第2のリブとで構成される溝部と、前記溝部へ設置される弾性体よりなるシール部材と、前記洗浄槽部材に設けられ前記シール部材を圧迫しシールするシールリブと、前記洗浄槽部材に設けられ前記溝部よりも内方に位置する遮蔽リブとで構成され、前記溝部へ浸入した洗浄水を前記洗浄槽へ回収する洗浄水回収経路を有する食器洗い機。
  2. 前記溝部へ浸入した洗浄水の前記洗浄水回収経路による前記洗浄槽への回収は、前記補助タンクを経由して行われるように構成した請求項1に記載の食器洗い機。
  3. 前記第1のリブを略全周にわたり前記第2のリブよりも低くした請求項1または2に記載の食器洗い機。
  4. 前記第2のリブと前記シールリブの間に、洗浄水が毛細管現象にて上昇して前記洗浄槽の外に漏れることを防止する第1の回収空間を設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の食器洗い機。
  5. 前記第1のリブと前記遮蔽リブの間に、洗浄水が毛細管現象にて上昇して前記溝部に達することを防止する第2の回収空間を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の食器洗い機。
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