JP2012235696A - 回転電機の固定子 - Google Patents

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【課題】回転電機の固定子巻線と固定子コアとが相対変移することが抑えられた回転電機の固定子及び回転電機を提供すること。
【解決手段】本発明の回転電機の固定子は、固定子コア30と、固定子巻線4と、を備えた回転電機1の固定子3であって、固定子コア30は、軸方向の端面から、固定子巻線4のターン部45方向に突出した、固定子巻線4と固定子コア30の変移を規制する突起部322,323を有することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、固定子コアと固定子巻線との位置のズレを規制する回転電機の固定子に関する。
近年、電動機及び発電機として使用される回転電機において、小型高出力及び品質の向上が求められている。
例えば、車両に搭載される回転電機においては、車両のエンジンルームで回転電機を搭載するためのスペースが小さくなってきている一方で、車両負荷の増大による発電出力の向上が求められている。また、信頼性の向上も求められている。
特許文献1及び2には、固定子コアと固定子巻線との間に絶縁スペーサ(固定部材)を設置している回転電機が開示されている。
近年は、回転電機の固定子コアに、複数の分割コアを周方向に配列したものが用いられている。この分割コアを用いてなる固定子コアにおいては、少なくとも分割コアの周方向の当接部(当接面)を挟んだ周方向の両側に、この絶縁スペーサを挿入している。この絶縁スペーサの具体的な例としては、図15に示したように、固定子巻線を挟み込む略コ字状の絶縁スペーサをあげることができる。
そして、固定子コアは、多数の分割コアを組み合わせて形成しており、一つの回転電機の固定子を形成するためには多数の絶縁スペーサが要求されている。この結果、絶縁スペーサの数や組付けに起因するコストが高くなるという問題があった。具体的には、図15に示した場合には、分割コアの周方向の当接部(当接面)をまたいだ状態で絶縁スペーサが組み付けられる。このため、絶縁スペーサの数が、分割コアの周方向の当接部の数と同じ数となっていた。
さらに、従来の絶縁スペーサは、固定子コア及び固定子巻線の間に挿入してあるのみであり、両者のいずれにも支持されていない。このため、回転電機の使用時に振動や熱・機械ストレス等により絶縁スペーサがズレたり脱落する可能性がある。絶縁スペーサが脱落すると、固定子巻線と固定子コアとの接触が起こり固定子巻線を構成する固定子巻線の絶縁性能の低下や振動等のストレスが加わることにより巻線が損傷し、回転電機の信頼性が低下するおそれがある。
特開2000−166158号公報 特開2006−33918号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、回転電機の固定子巻線と固定子コアとが相対変移することが抑えられた回転電機の固定子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は検討を重ねた結果、固定子コアの固定子巻線に対向した端面に、突起をもうけることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、請求項1に記載の本発明の回転電機の固定子は、複数のスロットを周方向に有する固定子コアと、周方向の異なるスロットに収容されるスロット収容部と、スロットの外部でスロット収容部同士を接続しているターン部と、を有する複数の導線を該固定子コアに周方向に沿って波状に巻回してなる固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子であって、固定子コアは、軸方向の端面から、固定子巻線のターン部方向に突出した、固定子巻線と固定子コアの変移を規制する突起部を有するものであって、突起部は、固定子コアと固定子巻線との間に介在することを特徴とする。
本発明の回転電機の固定子は、固定子コア自身に固定子巻線と固定子コアの変移を規制する突起部を有することで、従来の絶縁スペーサの脱落といった不具合が発生しなくなっている。この結果、本発明の回転電機の固定子を用いた回転電機に振動や熱・機械ストレス等が付与されても、固定子巻線の損傷が抑えられ、回転電機の性能の低下が抑えられる。さらに、固定子コア自身に突起部が形成されているため、部品点数の減少及び組み付けに要するコストを低減することができる。
請求項2に記載の本発明の回転電機の固定子は、固定子コアは複数の板状部材が積層されてなり、軸方向の端面を形成する板状部材にのみ、突起部が形成されていることを特徴とする。請求項2に記載の本発明の回転電機の固定子は、軸方向の端面を形成する板状部材にのみ突起部が形成されていることで、突起部を備えた固定子コアを簡単に形成することができる。ここで、突起部が形成される軸方向の端面を形成する板状部材は、固定子コアを形成する金属と同じ材質であっても異なる材質であっても、いずれでもよい。
請求項3に記載の本発明の回転電機の固定子は、固定子コアが、複数の金属板が積層されてなることを特徴とする。請求項3に記載の本発明の回転電機の固定子において、固定子コアが複数の金属板が積層されてなることで、従来公知の金属板が積層されてなる固定子コアと同様に形成することができる。
請求項4に記載の本発明の回転電機の固定子は、突起部は、径方向に沿ってのびる突条よりなることを特徴とする。請求項4に記載の本発明の回転電機の固定子は、突起部が径方向に伸びる突条よりなることで、突条が径方向にわたって介在して固定子巻線と固定子コアの変移を規制することができる。
請求項5に記載の本発明の回転電機の固定子は、突起部が、径方向に沿って引き起こされた立設体よりなることを特徴とする。請求項5に記載の本発明の回転電機の固定子は、突起部が立設体よりなることで、固定子巻線と固定子コアの変移を規制することができる。
請求項6に記載の本発明の回転電機の固定子は、固定子コアが、周方向に配列した複数の分割コアよりなることを特徴とする。請求項6に記載の本発明の回転電機の固定子は、複数の分割コアにより形成された固定子コアを備えた固定子においても、固定子巻線と固定子コアの変移を規制することができる。
請求項7に記載の本発明の回転電機の固定子は、固定子コアのうち、突起部を設けた固定子コアの板厚が、突起部のない固定子コアの板厚より厚い固定子コアよりなることを特徴とする。請求項7に記載の本発明の回転電機の固定子は、突起部を設けた固定子コアの板厚が、突起部のない固定子コアの板厚よりも厚いことで、突起部がより突出することとなり、突起部が固定子巻線と固定子コアの変移を規制することができる。ここで、突起部を設けた固定子コアの板厚とは、突起部が形成される板状部材の板厚や、固定子コアが分割コアよりなるときの突起部が形成された分割コアの厚さを示す。
請求項8に記載の本発明の回転電機は、突起部は、固定子巻線の軸方向の変移を規制するものであることを特徴とする。
第一実施形態の回転電機の構成を示した断面図である。 第一実施形態の回転電機の固定子を示した図である。 第一実施形態の回転電機の固定子コアの構成を示した図である。 第一実施形態の回転電機の固定子コアを構成する分割コアを示した図である。 第一実施形態の回転電機の分割コアの端面を構成する鋼板を示した図である。 第一実施形態の回転電機の分割コアの端面を構成する鋼板の断面図である。 第一実施形態の回転電機の固定子巻線を構成する各相巻線の構成を示す断面図である。 第一実施形態の回転電機の固定子巻線の結線を示した図である。 第一実施形態の回転電機の巻線集積体を示した図である。 第一実施形態の回転電機の巻線集積体を巻回した巻回体を示した図である。 第二実施形態の回転電機の分割コアの端面を構成する鋼板を示した図である。 第二実施形態の回転電機の分割コアの端面を構成する鋼板の断面図である。 第三実施形態の回転電機の分割コアの端面を構成する鋼板を示した図である。 第三実施形態の回転電機の分割コアの端面を構成する鋼板の断面図である。 従来の固定部材を示した図である。
以下に本発明の回転電機の固定子及び回転電機を、実施の形態を用いてより具体的に説明する。
(第一実施形態)
本実施形態の回転電機の構成を図1に示した。本実施形態の回転電機1は、略有底筒状の一対のハウジング部材100,101とが開口部同士で接合されてなるハウジング10と、ハウジング10に軸受け110,111を介して回転自在に支承される回転軸20に固定された回転子2と、ハウジング10の内部で回転子2を包囲する位置でハウジング10に固定された固定子3と、を備えている。
回転子2は、永久磁石により周方向に交互に異なる磁極を、固定子3の内周側と向き合う外周側に複数形成している。回転子2の磁極の数は、回転電機により異なるため限定されるものではない。本実施形態においては、8極(N極:4、S極:4)の回転子が用いられている。
固定子3は、図2に示したように、固定子コア30と、複数の各相巻線から形成される三相の固定子巻線4と、固定子コア30と固定子巻線4との間に配された絶縁紙5と、を備えた構成を有している。
固定子コア30は、図3に示したように、内周に複数のスロット31が形成された円環状を有している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように形成されている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子2の磁極数に対し、固定子巻線4の一相あたり2個の割合で形成されている。すなわち、8×3×2=48個のスロット31が形成されている。
固定子コア30は、図4に示した分割コア32を24個、周方向に配設して形成されている。分割コア32は、ひとつのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア32との間でひとつのスロットを区画する形状(径方向内方に伸びるティース部320と、ティース部320が形成されるバックコア部321)に形成されている。
固定子コア30(を構成する分割コア32)は、0.3mmの厚さの電磁鋼板410枚を積層させて形成されている。なお、積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。なお、固定子コア30は、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板及び絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
固定子コア30(を構成する分割コア32)は、その表面から突出した突条322(請求項1の突起部に相当)が形成されている。突条322は、ティース部320にそってのびる形状に形成されている。また、突条322は、図5〜6に示したように、周方向及び径方向での断面が略かまぼこ状をなすように形成されている。なお、図5は鋼板32Aを、図6(A)は図5中のI−I線での断面を、図6(B)は図5中のII−II線での断面を、それぞれ示した。突条322は、固定子コア30(を構成する分割コア32)を構成する鋼板のうち、厚さ方向の両端面側に位置する鋼板32Aを曲成して形成されている。
固定子3は、図4に示したように、固定子コア30の端面に突条322を備えており、固定子3を形成したときに、突条322が固定子コア30と固定子巻線4(のターン部45)との間に介在する。これにより、固定子コア30と固定子巻線4との変移が規制される。ここで、図4においては、一方の端面側のみに突条322が確認できるが、他方の端面側にも同様な突条が形成されている。
固定子巻線4は、複数の巻線40を所定の巻回方法で巻回してなる。固定子巻線4を構成する巻線40は、図7(A)に示したように、銅製の導体41と、導体41の外周を覆い導体41を絶縁する内層420及び外層421からなる絶縁皮膜42とから形成されている。内層420及び外層421を合わせた絶縁皮膜42の厚みは、100μm〜200μmの間に設定されている。このように、内層420及び外層421からなる絶縁皮膜42の厚みが厚いので、巻線40同士を絶縁するために巻線40同士の間に絶縁紙等を挟み込んで絶縁する必要がなくなっているが、線材同士を絶縁するためにあるいは固定子コア30との間に絶縁紙を配してもよい。
外層421はナイロン等の絶縁材、内層420は外層よりもガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂またはポリアミドイミド等の絶縁材で形成されている。これにより、回転電機に発生する熱により外層421は内層420よりも早く軟化するので、同じスロット31に設置されている巻線40同士が外層421同士で熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の巻線40が一体化し巻線40同士が剛体化するので、スロット31内の線巻線40の機械的強度が向上する。また、過剰な振動が発生しても、内層420と導体41の接着箇所よりも内層420と外層421との接着箇所が先に剥離するので、内層420と導体41との接着を維持し絶縁を確保できる。
さらに、固定子巻線4の巻線40は、図7(B)に示したように、内層420及び外層421からなる絶縁皮膜42の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材43で被覆してもよい。これにより、回転電機に発生する熱により融着材43は絶縁皮膜42よりも早く溶融するので、同じスロット31に設置されている複数の巻線40同士が融着材43同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の巻線40が一体化し巻線40同士が剛体化することで、スロット31の巻線40の機械的強度が向上する。
固定子巻線4を構成する巻線40の絶縁皮膜42には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)よりなる皮膜を用いてもよい。
固定子巻線4は、図8に示したように、それぞれ二本の三相巻線(U1,U2,V1,V2,W1,W2)により形成されている。
そして、固定子巻線4は、所定の波形形状に成形した12本の巻線40を所定の状態に積み重ねて帯状に形成した巻線集積体46(図9)を渦巻き状に巻き付けることにより円筒状に形成されている(図10)。なお、本実施形態では、巻線集積体46が6周巻き付けられている。
固定子巻線4は、固定子コア30に形成されたスロット31に収容される直線状のスロット収容部44と、隣り合ったスロット収容部44同士を接続するターン部45と、を備えている。スロット収容部44は、所定のスロット数(本実施形態では3相×2個=6個)ごとのスロット31に収容されている。ターン部45は、固定子コア30の軸方向の端面から突出して形成されている。
そして、固定子巻線4は、複数の巻線40を一方の端部が固定子コア30の軸方向の端面から突出した状態で、周方向に沿って波状に巻装して形成されている。固定子巻線4の巻線40は、径方向外方から径方向内方に向かって巻装されている。最内周面側で巻線40の端部が固定子巻線4の端面から突出している。
なお、固定子巻線4の巻線40の巻回方法は、特に限定されるものではなく、固定子巻線4の1相は、周方向に沿って波状でありかつ異なる巻装方向に巻装された2本の巻線を巻装方向が反転する折り返し部で接続された構成としてもよい。
本実施形態は、固定子コア30の端面に形成された突条322が、固定子巻線4と固定子コア30の間に介在することとなり、固定子巻線4と固定子コア30の変移を規制される。そして、本実施形態では、固定子コア30自身に突条322が形成されており、従来の絶縁スペーサの脱落といった不具合が発生しなくなっている。この結果、本実施形態の回転電機の固定子3を用いた回転電機1に振動や熱・機械ストレス等が付与されても、固定子巻線4の損傷が抑えられ、回転電機1の性能の低下が抑えられる。さらに、固定子コア30自身に突条322が形成されているため、部品点数の減少及び組み付けに要するコストを低減することができる。
さらに、本実施形態においては、図示されない装置により、回転電機1内の固定子3の固定子コア30の端面から突出した固定子巻線4のターン部45にATF等の冷媒をかけて固定子3の冷却を行うことができる。本実施形態では、固定子巻線4のターン部45から固定子コア30の端面に流れた冷媒が、突条322にそって径方向内方に流れることとなる。これにより、固定子巻線4のターン部45の厚さ方向の内部が、冷媒により冷却される。すなわち、本実施形態は、冷却性能にも優れたものとなっている。
(第二実施形態)
本実施形態は、突条322に替えて、立設体323が形成された以外は、第一実施形態と同様な固定部材である。
立設体323は、図11〜12に示したように、固定子コア30(を構成する分割コア32)を構成する鋼板のうち、厚さ方向の両端面側に位置する鋼板32Aのティース部320に、略コ字状の切れ目を入れ、引き起こして形成される。なお、図11は鋼板32Aを、図12(A)は図11中のIII−III線での断面を、図12(B)は図11中のIV−IV線での断面を、それぞれ示した。
本実施形態においても、立設体323が第一実施形態の突条322と同様に機能するため、第一実施形態と同様な効果を発揮できる。
(第三実施形態)
本実施形態は、突条322に替えて、立設体324が形成された以外は、第一実施形態と同様な固定部材である。
立設体323は、図13〜14に示したように、固定子コア30(を構成する分割コア32)を構成する鋼板のうち、厚さ方向の両端面側に位置する鋼板32Aのティース部320に、径方向に平行に伸びる二本の切れ目を入れ、挟まれた部分を盛り上げて形成される。なお、図13は鋼板32Aを、図14(A)は図13中のV−V線での断面を、図14(B)は図13中のVI−VI線での断面を、それぞれ示した。
本実施形態においても、立設体324が第一実施形態の突条322と同様に機能するため、第一実施形態と同様な効果を発揮できる。
1:回転電機 10:ハウジング
110,111:軸受け
2:回転子 20:回転軸
3:固定子 30:固定子コア
31:スロット 32:分割コア
320:ティース部
4:固定子巻線 40:巻線
41:導体 42:絶縁皮膜
43:融着材 44:スロット収容部

Claims (8)

  1. 複数のスロットを周方向に有する固定子コアと、
    周方向の異なる該スロットに収容されるスロット収容部と、該スロットの外部で該スロット収容部同士を接続しているターン部と、を有する複数の導線を該固定子コアに周方向に沿って波状に巻回してなる固定子巻線と、
    を備えた回転電機の固定子であって、
    該固定子コアは、軸方向の端面から、該固定子巻線の該ターン部方向に突出した、該固定子巻線と該固定子コアの変移を規制する突起部を有するものであって、
    前記突起部は、前記固定子コアと前記固定子巻線との間に介在することを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記固定子コアは複数の板状部材が積層されてなり、
    軸方向の端面を形成する該板状部材にのみ前記突起部が形成されている請求項1記載の回転電機の固定子。
  3. 前記固定子コアは、複数の金属板が積層されてなる請求項1〜2のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  4. 前記突起部は、径方向に沿ってのびる突条よりなる請求項1〜3のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  5. 前記突起部は、径方向に沿って引き起こされた立設体よりなる請求項1〜3のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  6. 前記固定子コアは、周方向に配列した複数の分割コアよりなる請求項1〜5のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  7. 前記固定子コアのうち、前記突起部を設けた固定子コアの板厚が、前記突起部のない固定子コアの板厚より厚い固定子コアよりなる請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  8. 前記突起部は、前記固定子巻線の軸方向の変移を規制するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の回転電機の固定子。
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