JP2012233771A - 敷設鋳鉄管の材質判定方法及び敷設鋳鉄管材質判定システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面を清掃された敷設鋳鉄管の肉厚に関する肉厚情報に基づいて超音波伝播時間に関する第1材質判定条件を設定し、鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波伝播時間と第1材質判定条件との比較によって鋳鉄管がねずみ鋳鉄管かまたはダクタイル鋳鉄管かを判定する第1評価ステップと、第1評価ステップによる判定が不能の場合、鋳鉄管の超音波減衰度と第2材質判定条件との比較によって鋳鉄管がねずみ鋳鉄管またはダクタイル鋳鉄管のいずれであるかを判定する第2評価ステップとからなる敷設鋳鉄管の材質判定方法。
【選択図】図1
Description
超音波探傷器に付属しているモニタの画面では、反射波の振幅が縦軸で示され、反射波の伝播時間が横軸で表される。したがって、直接波と第1波との間の時間軸長さ(直接波の位置でゼロ点調整されていることにする)、あるいは第1波と第2波との間の時間長さが鋳鉄管の肉厚を往復した超音波の伝播時間となる。この伝播時間の半分で鋳鉄管の肉厚を除算すれば音速が求まるが、測定対象が敷設鋳鉄管であるためその肉厚を測定できない。従って、敷設鋳鉄管に刻印されている呼び径や既設管データベースに記録されている品番としての呼び径を通じて内径、外形、肉厚を知ることができるが、実際の肉厚は、許容誤差範囲でばらついているので、本発明では統計的な手法を用いている。つまり、呼び径毎に多数のサンプルを選んで、肉厚のバラツキを考慮して算定されたしきい値を利用して、音速による材質判定を行っている。
まず、判定対象となる敷設鋳鉄管の少なくとも一部の表面を露出させ、土などを除去する清掃を行う(#01)。露出した敷設鋳鉄管の呼び径を読み取り、この呼び径から求めることができる肉厚に適応する、音速による材質判定用の評価用透明板(以下単に第1パネルと称する)30を選択する(#02)。選択された第1パネル30をモニタ10の画面に装着し、清掃によってきれいにされた敷設鋳鉄管の測定箇所表面にカップラーを塗付する。さらに、超音波プローブの送受信面を測定箇所表面に当て超音波パルスを励起するとともに、敷設鋳鉄管の内周面からの反射波の振幅が最大となるような姿勢を維持して測定を行う(#03)。モニタ画面に表示された反射波と、第1パネル30に描画された、超音波伝播時間に関する第1材質判定条件としてのしきい帯とを比較して、超音波伝播時間(結果的には音速)に基づく材質判定を行う(#04)。
第1減衰度判定では、第1反射波を第1しきい帯41に合わせた状態で、第2反射波が第2しきい帯42を越えているか越えていないかをチェックする。第2反射波が第2しきい帯42を越えていれば、ダクタイル鋳鉄管と判定し、第2反射波が第2しきい帯42を越えていなければ、ねずみ鋳鉄管と判定する(#07)。
第2減衰度判定では、第2反射波を第1しきい帯41に合わせた状態で、第3反射波が第2しきい帯42を越えているか越えていないかをチェックする。第3反射波が第2しきい帯42を越えていれば、ダクタイル鋳鉄管と判定し、第3反射波が第2しきい帯42を越えていなければ、ねずみ鋳鉄管と判定する(#07)。
第1しきい帯41と第2しきい帯42との間隔がねずみ鋳鉄管とダクタイル鋳鉄管とを区分けする減衰度に対応するため、その間隔は、図2や図3で示したような、ねずみ鋳鉄管とダクタイル鋳鉄管とに対する繰り返し反射波の振幅低下(つまり減衰度差)の統計的な解析によって算定される。なお、第1減衰度判定と第2減衰度判定とでは、第1しきい帯41と第2しきい帯42との間隔を変えた別な第2パネル40を用いてもよい。
(1)上述した実施形態では、モニタ画面上に表示される反射波の状態から、検査者が超音波伝播特性である音速と減衰度とを評価して、敷設鋳鉄管がねずみ鋳鉄管かあるいはダクタイル鋳鉄管であるかを判定していたが、この判定を機械的に行うことも可能である。そのような自動材質判定システムの原理を説明する。
γ=f(α1,α2,β)、
で関数化された判定エンジンを構築することができる。そして、例えば、判定しきい値:THとして「0.5」を設定し、γ<0.5の場合ダクタイル鋳鉄管と判定し、γ>=0.5の場合ねずみ鋳鉄管と判定する。
このような判定エンジンの構築により、敷設鋳鉄管の材質判定を機械化することが可能であり、このようなシステムも本発明の権利範囲内である。
(4)上述した実施の形態では、第1評価ステップ(又は第1評価部)による判定が不能の場合に、第2評価ステップ(又は第2評価部)による判定を行うとしたが、並行して判定してもかまわない。
10:モニタ
11:第1超音波特性測定部
12:第2超音波特性測定部
13:第1評価部
14:第2評価部
15:表示制御部
3:評価用透明板
30:第1パネル(音波判定用透明板:第1判定条件設定部)
31:しきい帯(第1材質判定条件)
40:第2パネル(減衰度判定用透明板:第2判定条件設定部)
41:第1しきい帯
42:第2しきい帯(第2材質判定条件)
Claims (9)
- 敷設されている鋳鉄管の表面を清掃するステップと、
前記鋳鉄管の肉厚に関する肉厚情報を取得するステップと、
前記鋳鉄管の肉厚に関する肉厚情報に基づいて超音波伝播時間に関する第1材質判定条件を設定するステップと、
前記鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波伝播時間を測定するとともに前記鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波減衰度を測定するステップとを実行し、
さらに、前記測定された超音波伝播時間と前記第1材質判定条件との比較によって前記鋳鉄管がねずみ鋳鉄管かまたはダクタイル鋳鉄管かを判定する第1評価ステップと、前記鋳鉄管の超音波減衰度に関する第2材質判定条件を設定し、前記測定された超音波減衰度と前記第2材質判定条件との比較によって前記鋳鉄管がねずみ鋳鉄管またはダクタイル鋳鉄管のいずれであるかを判定する第2評価ステップのうち、少なくとも第1評価ステップを実行する敷設鋳鉄管の材質判定方法。 - 前記第1評価ステップを実行し、当該第1評価ステップで判定不能の場合に、前記第2評価ステップを実行し、第2評価ステップの判定結果を採用する請求項1に記載の敷設鋳鉄管の材質判定方法。
- 前記超音波伝播時間の測定結果は、前記鋳鉄管の表面で励起された超音波パルスの内周面からの反射波を時間軸に沿って表示する表示画面における反射波の時間軸位置で表され、前記第1材質判定条件は前記画面上に設定された時間範囲であり、かつ
前記超音波減衰度の測定結果は、前記鋳鉄管の表面で励起された超音波パルスの内周面からの反射波の振幅を表示する表示画面における反射波高さで示され、前記第2材質判定条件は前記表示画面上に設定された振幅範囲である請求項1又は2に記載の敷設鋳鉄管の材質判定方法。 - 前記時間範囲と前記振幅範囲とは、前記表示画面の前面に装着される評価用透明板に描画されている請求項3に記載の敷設鋳鉄管の材質判定方法。
- 敷設鋳鉄管材質判定システムにおいて、
鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波伝播時間を測定する第1超音波特性測定部と、
前記鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波減衰度を測定する第2超音波特性測定部と、
前記鋳鉄管の肉厚に関する肉厚情報に基づいて超音波伝播時間に関する第1材質判定条件を設定する第1判定条件設定部と、
前記鋳鉄管の超音波減衰度に関する第2材質判定条件を設定する第2判定条件設定部と、
前記第1超音波特性測定部によって測定された超音波伝播時間と前記第1材質判定条件との比較によって前記鋳鉄管がねずみ鋳鉄管かまたはダクタイル鋳鉄管かを判定する第1評価部と、
前記第2超音波特性測定部によって測定された超音波減衰度と前記第2材質判定条件との比較によって前記鋳鉄管がねずみ鋳鉄管またはダクタイル鋳鉄管のいずれであるかを判定する第2評価部とを備え、
前記第1評価部の判定と前記第2評価部の判定とに基づいて前記鋳鉄管がねずみ鋳鉄管またはダクタイル鋳鉄管のいずれであるかを最終的に判定する敷設鋳鉄管材質判定システム。 - 前記第1評価部による判定が不能の場合にのみ、前記第2評価部による判定が最終的な判定となる請求項5に記載の敷設鋳鉄管材質判定システム。
- 前記超音波伝播時間の測定及び前記超音波減衰度の測定のために前記鋳鉄管の表面で励起された超音波パルスの内周面からの反射波の到達時間を横軸に表示するとともに、当該反射波の振幅を縦軸に沿って表示するモニタが備えられており、
前記第1材質判定条件は前記モニタの横軸上に設定された時間範囲であり、前記第2材質判定条件は前記モニタの縦軸上に設定された振幅範囲である請求項6に記載の敷設鋳鉄管材質判定システム。 - 前記モニタの表示画面に装着される評価用透明板が備えられ、評価用透明板に前記時間範囲又は前記振幅範囲あるいはその両方が描画されている請求項7に記載の敷設鋳鉄管材質判定システム。
- 敷設鋳鉄管材質判定システムにおいて、
鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波伝播時間を測定する第1超音波特性測定部と、
前記鋳鉄管の表面から肉厚方向の超音波減衰度を測定する第2超音波特性測定部と、
前記第1超音波特性測定部によって得られた超音波伝播時間と、前記第2超音波特性測定部によって得られた超音波減衰度と、前記鋳鉄管の肉厚に関する肉厚情報とを入力パラメータとして、前記鋳鉄管がねずみ鋳鉄管かまたはダクタイル鋳鉄管かであるかを示す演算結果を、予め学習によって構築された演算機能を通じて導出する判定部と、
からなる敷設鋳鉄管材質判定システム。
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