JP2012232444A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大ドットと小ドットを用いてチップ間の濃度ばらつきを補正しながら、不吐補完処理も実行する構成において、突発的に吐出不良が発生した場合でもデータ欠落を最小限に抑えることが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】大小ドット分配率と吐出不良ノズル情報に応じてチップごとに大小ドット分配パターンを作成する。この際、吐出不良ノズルが存在するノズル位置についての大小ドット分配率は、吐出不良ノズルが存在しないノズル位置よりも、大ドットと小ドットの使用率に偏りを持たせないようにする。その上で、上記吐出不良ノズルが記録すべきドットデータを、正常な吐出が可能な大ドットノズルと、小ドットノズルで均等に分散する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクを吐出する複数のノズルが配列されたチップの、更に複数を用いて画像を記録するインクジェット記録装置に関する。特に、複数のチップ間の記録特性のばらつきを補正しながら、チップ上のノズルに吐出不良が発生した場合の不吐補完処理に関する。
長尺の記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置では、複数のチップを張り合わせて構成された記録ヘッドを用いることが多い。このような記録ヘッドでは、チップごとに吐出量等の吐出特性が異なり、この吐出特性のばらつきが画像上の濃度むらとなって現れることがある。
特許文献1には、このようなチップ間の吐出特性ばらつきを補正するために、個々のチップに大ドットを吐出するノズル列と小ドットを吐出するノズル列を配備し、チップごとに大ドットと小ドットを吐出する割合を調整する技術が開示されている。このように大ドットと小ドットの記録の割合を調整する構成であれば、吐出特性にばらつきがある複数のチップで同じ濃度を表現する場合であっても、各チップが吐出するドットの数は一定である。よって、ドットの数を調整することで濃度むらを補正する従来のヘッドシェーディング技術に比べ、ドット数の違いに伴う画像上の違和感を招致することなく、濃度むらを緩和することが出来る。
米国特許第7249815号明細書
しかしながら、本発明者らの検討によれば、複数のノズルのいずれかに吐出不良ノズルが含まれ、この吐出不良ノズルのデータを他のノズルで補間する不吐補完処理を行う場合、上記特許文献1を採用すると新たな問題が発生することが判った。
特許文献1によれば、例えば、比較的濃度が低いチップについては大ドットの使用率が小ドットの使用率よりも高く設定される。このようなチップにおいて、大ドットのノズルの何れかに吐出不良が含まれる場合、当該ノズルと同じ位置を記録可能な別の大ノズルが代替ノズルとなって補間データを記録するのが一般の不吐補完処理である。その結果、代替ノズルは、自身の吐出データと吐出不良ノズルの吐出データの両方について、吐出を行うことになる。このような状況において、代替ノズルに突発的な吐出不良が生じた場合、当該代替ノズルが記録すべきデータ、すなわち代替ノズルの吐出データと吐出不良ノズルの吐出データの両方が欠落してしまう。その結果、多数のデータ欠落によってスジなどの画像弊害が確認されるおそれがある。
一般に、インクジェット記録ヘッドでは、その使用中において、ノズル中の異物や泡などが原因で突発的に吐出不良が発生する場合がある。このような突発的な吐出不良は、しばらく記録を継続したり、回復処理を行ったりすることによって、再び正常な吐出に戻ることも多い。しかし、このような突発的な不吐出であっても、画像にはデータの欠落が発生してしまう。よって、多くのインクジェット記録装置では、1つのラインを複数のノズルを用いて互いに片寄らないように分担して記録し、突発的な吐出不良によるデータ欠落を目立たないようにしている。
しかし、特許文献1を採用して、大ドットと小ドットの使用率が片寄っているチップで、不吐補完処理によって更に使用ノズルの片寄りが増大する状況においては、突発的な吐出不良が発生した場合のリスクは、従来に比べて高くなってしまう。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とする所は、大ドットと小ドットを用いてチップ間の濃度ばらつきを補正しながら、不吐補完処理も実行する構成において、突発的に吐出不良が発生した場合でもデータ欠落を最小限に抑えることが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
そのために本発明は、記録媒体に大ドットを記録するノズルを所定方向に配列して構成される大ドットノズル列の複数と、記録媒体に小ドットを記録するノズルを前記所定方向に配列して構成される小ドットノズル列の複数を、前記所定方向とは交差する方向に並列して構成されるチップの複数を、前記ノズルの配列が前記所定方向に連続するように配置して構成される記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記大ドットノズル列の吐出特性に係る大ドット吐出特性情報と、前記小ドットノズル列の吐出特性に係る小ドット吐出特性情報と、吐出状態が不良な吐出不良ノズルが含まれるノズル列と前記所定方向のノズル位置を、前記チップごとに取得する吐出特性取得手段と、記録媒体に記録した画像の濃度が前記複数のチップ間で一定になるように、前記チップごとに、前記大ドット吐出特性情報および前記小ドット吐出特性情報から大ドットと小ドットを記録する割合を規定する大小ドット分配率を決定する大小ドット分配率決定手段と、前記吐出不良ノズルのドットデータを、前記複数の大ドットノズル列および複数の小ドットノズル列のうち、前記吐出不良ノズルとほぼ等しいノズル位置であって吐出が正常な複数の吐出正常ノズルに、均等に移動する移動手段と、を備え、前記分配率決定手段は、前記吐出不良ノズルのノズル位置の前記大小ドット分配率の偏りが、前記吐出不良ノズルのノズル位置以外の前記大小ドット分配率の偏りよりも小さくなるように、前記大小ドット分配率を決定することを特徴とする。
本発明によれば、複数の記録チップが異なる記録特性を持っていても、突発的な吐出不良の発生に伴う画像劣化を最低限に抑えた不吐補完処理を行いながら、各チップの平均吐出量を一定の目標吐出量に収束させ、チップ間の濃度むらを低減することが出来る。
実施例1の画像処理の構成を示すブロック図である。 本発明に使用可能な記録装置の概略構成を示す図である。 (a)および(b)は、記録ヘッドの詳細構成図である。 (a)および(b)実施例1のCPUが実行する処理工程のフローチャートである。 (a)および(b)は、多値誤差拡散処理を説明するための図である。 各レベルに対応するドットの配置を説明するための模式図である。 入力画像データが変換される様子を具体的に説明するための模式図である。 決定したドット配置パターンと、対応する大小ドット分配パターンである。 (b)〜(d)は、様々な分配率に応じて作成される、大小ドット分配パターンを示す図である。 必要ドット数、配置済みのドット数、不足ドット数を、示す図である。 大小ドット分配パターンを作成する工程を説明するフローチャートである。 大小ドット分配パターンの作成の様子を段階的に説明するための模式図である。 個々のノズル位置に対応して決定する大小ドットの分配率を示す図である。 大小ドット分配率と不吐補完処理の有無に伴う大小ドットノズル列の記録率を示す図である。 個々のノズル位置に対応して決定する大小ドットの分配率を示す図である。 ドット配置パターンと、対応する大小ドット分配パターンを示す図である。 入力画像データが、変換される様子を説明するための模式図である。 大小ドット分配率と不吐補完処理の有無に伴う大小ドットノズル列の記録率を、示す図である。 吐出不良ノズルの数と、対応する大小ドット分配率の範囲を説明する図である。 (a)および(b)は、別例としての記録ヘッドの詳細構成図である。
<ラインプリンタ概要>
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図2は本発明の実施形態に使用可能な記録装置A1の概略構成を示す図である。記録装置A1はインクジェット式のラインプリンタであり、制御ユニットA2、インクカートリッジA61〜A64、記録ヘッドA7、記録媒体搬送機構A8などを備えている。
記録ヘッドA7はフルラインタイプの記録ヘッドであり、記録媒体と対向する面に、搬送方向(y方向)と交差するx方向に並列して配置されたサーマル方式のノズルを複数備えている。インクカートリッジA61〜A64には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに対応したインクがそれぞれ収容され、インク導入管A61a〜A64aを通じて記録ヘッドA7の個々のノズルに供給される。そして、画像データに従って、これらのノズルからインクが吐出され、y方向に一定速度で搬送される記録媒体A100に記録が行われる。記録ヘッドA7の詳細については、図3を用いて後で説明する。
記録媒体搬送機構A8は、紙送りモータA81と紙送りローラA82を備えている。紙送りモータA81は紙送りローラA82を回転させることで、記録媒体A100を記録ヘッドA7に対しx方向に一定の速度で搬送する。
制御ユニットA2は、主にCPU A3、RAM A41、ROM A42によって構成され、受信した画像データを処理したり、記録ヘッドA7や紙送りローラA81を制御して記録動作を行ったりする。CPU A3はROM A42内に記憶された制御プログラムをRAM A41に展開して実行することで、後述するような様々な画像処理を行う。そして、記録ヘッドA7で記録可能な画像データを生成し、記録ヘッドA7と記録媒体搬送機構A8を制御して、記録媒体に画像を記録する。
図3(a)および(b)は、記録ヘッドA7の詳細構成図である。図3(a)に示すように、本実施形態の記録ヘッドA7には、複数のノズル列が配列された複数のチップA71〜A74が、x方向に交互にずれながらy方向に連続するように配置している。このような記録ヘッドの個々のノズルから、x方向に搬送される記録媒体に対しインクを吐出することにより、記録ヘッド幅wに対応する画像を記録することが出来る。
図3(b)は、1つのチップA71におけるノズル列の配置状態を示す図である。1つのチップA71にはA71a〜A71hの8列のノズル列が配置しており、個々のノズル列は、所定のピッチで所定方向(ここではy方向)に配列する複数のノズルによって構成されている。ここで、ノズル列A71a、A71c、A71e、A71gは、相対的に多量のインク滴を吐出して記録媒体に大ドットを記録する大ドットノズル列である。一方、A71b、A71d、A71f、A71hは、相対的に少量のインク滴を吐出して記録媒体に小ドットを記録する小ドットノズル列である。これら8つのノズル列に含まれる同一ノズル位置の8つのノズルによって、搬送される記録媒体の同一列(カラム)の記録が行われる。
以下、上記インクジェット記録装置における実施例1の画像処理について説明する。まず、本実施例では、記録ヘッドA7に配備された各記録チップA71〜A74から吐出されるインク量(以下、吐出量ともいう)を記録特性とする。そしてここでは、小ドットノズル列A71fのノズル位置2と、小ドットノズル列A71hのノズル位置2のノズルが、予め不吐出であることが確認され、これらノズルに対する不吐補完処理を実行する場合を例に説明する。
<画像処理部概要>
図1は本実施例の画像処理の構成を示すブロック図である。図1に示すブロックA31〜A53は、図2において、記録装置A1の制御部A2が有する個々の機能を示す。また、図4(a)および(b)は、本実施例のCPU A3が実行する処理工程を、図1のブロック図に対応づけながら説明するためのフローチャートである。
図4(a)は、CPU A3が、濃度むら補正のためにチップA71〜A74のそれぞれの、大ドットと小ドットの記録率を定めるための工程を示すフローチャートである。図4(a)の工程は、実際の画像記録に先立って行われる。一方、図4(b)は、実際の画像を記録する際に、CPU A3が行う画像処理のフローチャートである。
まず、図1を参照しながら、図4(a)に従って説明する。CPU A3は、ステップD01において、吐出特性取得部 A51を用いて、記録チップA71〜A74に配列した8列のノズル列それぞれの平均吐出量の情報(大ドット吐出特性情報と小ドット吐出特性情報)および吐出不良ノズル情報を取得する。このような情報は、記録装置出荷時に判定した情報をROMなどに記憶しておき、吐出特性取得部A51がこれを読み出しても良い。また、スキャナやエリアセンサなどの画像読み取り手段を設け、個々のノズル列が実際に記録したパターンを読み取ることによって、吐出特性取得部A51が吐出量や不吐出ノズルの有無や位置を検出しても良い。ここでは、チップA71について、大ドットノズル列A71a、A71c、A71e、A71gの各平均吐出量が3ng、小ドットノズル列A71b、A71d、A71f、A71hの各平均吐出量が2ngであったとする。また、吐出不良ノズル情報とは、吐出状態が不良なノズルの、チップ上の位置を示す情報であり、このような吐出不良ノズル情報は、後述する大小ドット分配率決定部A53や、吐出不良ノズル記録データ移動手段A37にも送られる。
続くステップD02において、CPU A3は、補正目標値設定部A52にて、各チップA71〜A74のための目標吐出量を設定する。目標吐出量とは、標準的な画像濃度を得るために各チップに共通して求められる理想的な吐出量であり、本実施例では、各チップの目標吐出量を2.25ngに設定する。
ステップD03では、大小ドット分配率決定部A53において、ステップD01で取得した吐出量情報とステップD02で設定した目標吐出量とから、大ドットへの分配率と小ドットへの分配率を、個々のチップ、個々のノズル位置に対して規定する。つまり、大ドット(3ng)で記録するドットの数と小ドット(2ng)で記録するドットの数の割合を調整することによって、チップ全体の平均吐出量が2.25ngになるようにする。つまり、本例の場合は、各ノズル位置の大ドットと小ドットの分配率を1:3に設定する。但し、本実施例の特徴として、ステップD01で取得した吐出不良ノズル情報で吐出不良と設定されたノズル位置については、吐出量情報によらず分配率を一律1:1に設定する。
図13は、本例において、大小ドット分配率決定部A53が、個々のノズル位置に対応して決定する大小ドットの分配率を示す図である。吐出正常とされるノズル位置(0、1、3、4・・・)については、いずれのレベルについても分配率を1:3に決定している。これに対し、吐出不良とされるノズル位置2については、いずれのレベルについても分配率を1:1に決定している。
再度図4(b)に戻る。ステップD04では、大小ドット分配パターン作成部A40において、ステップD03で決定された分配率に基づいて、大ドットの記録位置と小ドットの記録位置を定める大小ドット分配パターンの作成を行う。これら分配パターンは、後述するレベル0〜レベル4の量子価値それぞれに応じて、また、チップA71〜A74のそれぞれの分配率に応じて用意されている。作成された大小ドット分配パターンは大小ドット分配パターン記憶部A41に格納される。これら大小ドットの分配パターンおよびその作成方法については後に詳しく説明する。
以上により、吐出量情報および不吐出情報に従った大小ドット分配パターンが各ノズル位置に対して設定されると、本処理は終了する。
次に、図1を参照しながら、図4(b)に従って画像記録時の画像処理の工程を説明する。記録コマンドが入力されると、CPU A3は、画像入力部A31によって、メモリーカードA91より記画像データを読み込み、RAM A41に記憶する(ステップD11)。本例において、画像データの解像度は600dpi(ドット/インチ)とし、各画素はRGB各8bit256階調のカラー画像であるとする。無論これは一例であり、例えばモノクロ画像でも同様に適用することができる。
ステップD12において、CPU A3は、色変換処理部A32にて画像データの色変換処理を行う。色変換処理とは、各画素が有するRGB(レッド、グリーン、ブルー)の輝度データを、記録装置が使用するインク色に対応したCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の濃度データに変換する処理である。これにより、600dpiの8bitRGBデータは、同じく600dpiの8bitCMYKデータに変換される。
続くステップD13では、色変換後のCMYKデータに対し、量子化処理部A33を用いて量子化処理を行う。この量子化処理では、256値で表される8bitのCMYKデータを、より少ないレベル値(ここでは5値)で表されるCMYKデータに変換する。当該量子化処理としては、ディザ法を採用することも出来るが、ここでは、多値誤差拡散処理を採用するものとする。
図5(a)および(b)は、本実施例における多値誤差拡散処理を説明するための図である。図において、8bitの濃度データである入力信号(In)は、加算器51によって、周辺の画素より発生した累積誤差(dIn)が加算され(In+dIn)、その後比較器52によって予め用意されている複数の閾値と比較される。図5(b)は、比較器にて比較される複数の閾値と比較の結果得られる出力値(Out)および評価値の関係を示す図である。
比較器52において、入力値(In+dIn)は、その値に応じてレベル0〜レベル4の5値に量子化される。例えば、入力値(In+dIn)<32の場合、量子価値はレベル0となる。96>(In+dIn)>32の場合、量子価値はレベル1となる。このように、入力値(In+dIn)と4つの閾値(32、96、160、224)との大小関係に応じて、比較器52はレベル0〜レベル4のいずれかの量子価値を、出力値(Out)として出力する。この際、比較器52は、それぞれの量子価値に対応する評価値Ev(0、64、128、192、255)も、減算器53に対して出力する。
減算器53には、比較器52からの評価値Evのほか、加算器51からの加算値(In+dIn)も入力される。減算器53は、これらの差すなわち、Err=(In+dIn)−Evを、量子化で発生する誤差Errとして算出する。更に、これを周辺の画素に分配するため、所定の重み付け演算を行って、周辺の画素に対応づけて用意されている誤差バッファ54に加算する。図では、誤差バッファ54において、注目画素(*)の画素位置で発生した誤差を、周辺画素へ分配する際の重み付け係数の一例が示されている。誤差バッファの個々の画素に対応する領域では、注目画素が変わるたびに新たな誤差値が加算される。そして、新たな注目画素の量子化を行う際には、該当する画素位置の累積誤差を誤差バッファ54から読み出して、重み係数の総和で正規化したものを、累積誤差dInとして加算器51に送信する。
以上説明したように、本実施例で採用する多値誤差拡散処理では、個々の画素で発生する誤差を周辺画素に分散させながら、個々の画素の256階調の濃度データを5値の濃度データに変換する。
図4(b)に戻る。量子化処理D13が終了すると、CPU A3は600dpi5値の量子価値をドット記録位置決定部A34に入力し、注目画素内におけるドット配置を決定する。その結果、600dpi5値の量子価値は、1200dpi2値のデータに変換される。
図6は、それぞれのレベルに対応するドットの配置を説明するための図である。600dpiの画素領域は、1200dpiの2画素×2画素の領域に相当し、0〜4の値は、ドットの記録(1)或いは非記録(0)を示す1200dpiの2値データに変換される。
例えば量子価値がレベル1の場合、2×2画素の中の1つの画素だけにドットが配置される。この場合、その配置パターンはa〜dの4通りを用意することが出来る。そして、レベル2およびレベル3では2通り、レベル4では1通りの配置パターンを用意することが出来る。本実施例では、同じレベル値に対するこのような複数パターンは、x方向に順番に繰り返されて使用される。
再度図4(b)に戻る。続くステップD15において、CPU A3は、ドット分配処理部A35によって、ドット配置パターンで記録(1)と設定されたドットを、大ドットと小ドットに分配する。具体的には、大小ドット分配パターン記憶部A41に既に格納されている大小ドット分配パターンを読み出し、これに従って、ドット記録位置決定部A34が決定したドット配置パターンを、大ドット用のドットデータと小ドット用のドットデータに分配する。
図8は、ドット記録位置決定部A34が決定したドット配置パターンと、これに対応する大小ドット分配パターンを示す図である。(a−1)〜(a−4)はそれぞれ、ドット記録位置決定部A34から出力された、レベル1〜レベル4に対応するドット配置パターンである。ここでは、同じレベルを有する600dpiの画素がx方向およびy方向に8×8画素配列している場合を各レベルについて示している。例えば、レベル1に対応するドットパターン(a−1)では、図6のレベル1に対応するa〜dのパターンがx方向に順番に配置しているのが判る。
一方、(b−1)〜(b−4)は、大小ドットへの分配率が1:3であり、ノズル列A71f及びA71hのノズル位置2が吐出不良であった場合の、大小ドット分配パターン作成部A40が作成したレベル1〜レベル4の分配パターンの一例を示している。図において、◎で示した位置が大ドットを記録する画素、○で示した位置が小ドットを記録する画素を示している。いずれのレベルについても、ドット配置パターンでドットが存在する位置には、大ドット◎或いは小ドット○のいずれかが対応付けられている。そして、吐出不良ノズル位置2を除くいずれのノズル位置においても、大ドットと小ドットの数は1:3になっている。矢印で示した吐出不良ノズル位置2については、大小ドット分配率決定部A53によって分配率が1:1に設定されているので、(b−1)〜(b−4)のいずれにおいても、ノズル位置2の大ドットと小ドットの数は1:1になっている。このように、大小ドット分配パターン作成部A40は、大小ドット分配率決定部A53で決定された個々のノズル位置に対応した分配率に応じて、レベル1〜レベル4に対応した大小ドット分配パターンを作成し、大小ドット分配記憶部A41に格納する。
記録ドット分配処理部A35は、対応するレベル値の対応する画素位置のドットパターンを読み出すことにより、画素ごとに大ドット用データと小ドットデータを生成する。
図8では、分配率が一様に1:3の場合について説明したが、大小ドット分配率決定部A53が決定する大小ドットの分配率は個々のチップに対し、図13のように個々のノズル位置について設定することが出来る。よって、大小ドット分配パターン作成部A40は、大小ドット分配率決定部A53が決定した分配率に応じて、個々のノズル位置で分配率を調整した分配パターンを複数のチップのために用意する。
図9(a)〜(d)は、様々な大小ドットの分配率に応じて、大小ドット分配パターン作成部A40が作成する分配パターンを示す図である。図9(a)は、ドット記録位置決定部A34から出力された、レベル1に対応するドット配置パターンを示しており、図8の(a−1)の左上部分に相当している。また、図9(b)〜(d)は、図9(a)の領域に対応して、大小ドット分配パターン作成部A40が作成した大小ドット分配パターンを示している。図9(b)は、大小ドットの分配率が3:1で、ノズル列A71fおよびA71hのノズル位置2のノズルが吐出不良であった場合の、レベル1用の分配パターンを示している。同様に図9(c)は大小ドットの分配率が1:1、図9(d)は大小ドットの分配率が1:3、である場合の、レベル1用の分配パターンを示している。いずれにおいても、対応する分配率に合うように、各ノズル位置の大ドットと小ドットが決定されている。ノズル位置2については、大小ドット分配率決定部A53が分配率を1:1に設定しているので、図9(b)〜(d)のいずれにおいても、大ドットと小ドットの数は1:1になっている。なお、ここでは、ノズル位置2が吐出不良である例を示したが、無論異なる位置に吐出不良ノズルが存在する場合は、そのノズル位置の分配率が1:1に設定され、そのような大小ドット分配パターンが作成される。そして、記録ドット分配処理部A35は、大小ドット分配パターンの、対応する分配率、対応するレベル値、対応する画素位置のドットパターンを読み出すことにより、画素ごとに大ドットデータと小ドットデータを生成する。
再び図4(b)に戻る。ステップD16において、CPU A3は使用ノズル列決定部A36を用い、大ドットデータと小ドットデータのそれぞれを、チップ上の複数のノズル列に分配する。具体的には、予めノズル列分配パターン部A42に格納されているマスクパターンを読み出し、当該マスクパターンと、記録ドット分配処理部A35が決定した大ドットデータ、あるいは小ドットデータとの間でAND処理を行う。その結果、個々のノズル列が実際に記録するドットパターンが決定される。上記マスクパターンについては、後に詳しく説明する。
続くステップD17において、CPU A3は、吐出不良ノズル記録データ移動手段A37を用いて、吐出不良ノズルのドットデータを吐出不良ノズルと同じノズル位置の複数のノズルに移動する。この際、吐出不良ノズルと同じノズル位置であって正常な吐出が可能な複数のノズルに対し、なるべく均等にデータが分散されるようにデータの移動を行う。このような、不吐補完処理のための記録データの移動方法はすでに公知の技術であるため詳しい説明は省略する。
ステップD18では、個々のノズル列に定められた記録データに従って、個々のノズルからインクを吐出して、画像を記録する。すなわち、CPU A3は、紙送りモータA81を駆動し、この動きに合わせてノズル列別記録データに基づいて、記録ヘッドA7からインクを吐出する。結果、大ドットと小ドットが1:3の割合で記録され、目標吐出量2.25ngに見合った濃度を有する画像が、吐出不良の弊害を目立たせること無く出力される。
図7は、所定の入力画像データが、以上説明した各工程によって変換される様子を具体的に説明するための模式図である。
701は、画像入力部A31が受信した入力画像データであり、ノズル位置0〜ノズル位置7に対応する600dpiの4×4画素領域を示している。本例において、各画素は、(R,G,B)=(128,128,128)のデータを有するものとする。702は、上記画像領域の各画素のデータを色変換処理部A32が色変換した後の、シアンの多値データを示している。ここでは、シアン多値データの信号値をC=127とする。703は、多値データ702を量子化処理部A33が、図5(a)および(b)で説明した多値誤差拡散法に従って量子化した結果を示している。ここでは、いずれの画素もレベル2に量子化されている。704は、ドット記録位置設定部A34が、図6で説明したドットパターンに基づいて、量子化値703から変換したドットパターンである。
一方、705は、大小ドット分配パターン作成部A40が作成した大小ドット分配パターンである。ノズル位置2以外のノズル位置については大ドット◎の数と小ドット○の数が1:3になっているが、ノズル位置2では1:1になっている。記録ドット分配処理部A35が、この大小ドット分配パターン705に基づいて、ドットパターン704を分配した結果、大ドットデータ706aと小ドットデータ706bが得られる。
707a〜707bは、大ドットデータ706aを大ドットノズル列のいずれかに分配し、小ドットデータ706bを小ドットノズル列のいずれかに分配するためのマスクパターンである。これらマスクパターンは、ノズル列分配パターン記憶部A42に予め格納されている。具体的には、707aが、大ノズル列A71aと小ノズル列A71bの記録許容画素を決定するためのマスクパターンである。707bが、大ノズル列A71cと小ノズル列A71dの記録許容画素を決定するためのマスクパターンである。707cが、大ノズル列A71eと小ノズル列A71fの記録許容画素を決定するためのマスクパターンである。707dが、大ノズル列A71gと小ノズル列A71hの記録許容画素を決定するためのマスクパターンである。個々のマスクパターンにおいて、グレーで示した画素(ON)が対応するノズル列のドットの記録を許容する画素、白で示した画素(OFF)がドットの記録を許容しない画素を示している。これら4つのマスクパターンそれぞれが25%の記録許容率となっており、互いに補完の関係を有している。
使用ノズル列決定部A36は、予めノズル列分配パターン部A42に格納されているこのようなマスクパターンを読み出す。そして、当該マスクパターンと、記録ドット分配処理部A35が決定した大ノズルのドットデータ、あるいは小ノズルのドットデータとの間でAND処理を行う。その結果、大ドットデータ706aは、ノズル列A71aのドットデータ708a、ノズル列A71cのドットデータ708b、ノズル列A71eのドットデータ708c、ノズル列A71gのドットデータ708dに分配される。一方、小ドットデータ706bは、ノズル列A71bのドットデータ709a、ノズル列A71dのドットデータ709b、ノズル列A71fのドットデータ709c、ノズル列A71hのドットデータ709dに分配される。すなわち、大ドットデータ706aの全ては、A71a、A71c、A71e、A71gのいずれかによって記録され、小ドットデータ706bの全てはA71b、A71d、A71f、A71hのいずれかによって記録される。
なお、本例では、大ドットと小ドットで同じマスクパターンを用いたが、大ドット用の4つのマスクパターン、小ドット用の4つのマスクパターンのそれぞれが補完の関係にあれば、大ドットと小ドットでは異なるマスクパターンを用いても良い。
710a〜710dは、吐出不良ノズル記録データ移動手段A37によって、吐出不良ノズルの記録データが同じノズル位置の他のノズルに移動された後の大ドットノズル列A71a、A71c、A71e、A71gのドットデータを示している。同じく、711a〜711dは、小ドットノズル列A71b、A71d、A71f、A71hのドットデータを示している。
本例では、小ドットノズル列A71f、A71hのノズル位置2のノズルが吐出不良であることが吐出特性取得部A51によって判っている。よって、吐出不良ノズル記録データ移動手段A37は、小ドットノズル列A71fのドットデータ709cと、小ドットノズル列A71hのドットデータ709dのうち、ノズル位置2に相当するドットデータを、他のノズル列に移動する。本例では、小ドットノズル列A71fのノズル位置2に対応する2つのドットデータを、大ドットノズル列A71cと小ドットノズル列A71bに移動している。一方、小ドットノズル列A71hのノズル位置2に対応するドットデータは存在しないので、これに関するデータ移動は行わない。以上の処理により、4つの大ドットノズル列のデータ708a〜708dは、ドットデータ710a〜710dに変換される。また、4つの小ドットノズル列のデータ709a〜709dは、ドットデータ711a〜711dに変換される。
712は、上記ドットデータに従って実際に記録される大ドットと小ドットの分布を示している。当該画像領域において、大小ドットの分配率はほぼ1:3を満足し、目標吐出量2.25ngに見合った濃度を実現することが出来る。また、吐出不良ノズルがあるノズル位置2については、局所的に目標吐出量2.25ngより大きくなるが、チップ間の濃度むらを目立たせるほどの吐出量増加には至らず、吐出不良の弊害を目立たせること無く画像を出力することが出来る。
以上は、主にチップA71の平均吐出量を目標吐出量に一致させながら不吐補完処理を行う場合について説明したが、以上の説明した画像処理は、他のチップについても同様に且つ独立に実行される。以下、大ドットノズル列の各平均吐出量が2.5ng、小ドットノズル列の各平均吐出量が1.5ngであるチップA72について、目標吐出量をチップA71と等しく2.25ngとする場合の処理について簡単に説明する。
上記のような吐出量バランスの場合、大小ドット分配率決定部A53は、大ドットと小ドットの分配率を3:1に決定する。そして、大小ドット分配パター作成部A40は、当該分配率と、チップA72についての吐出不良情報に基づいて、大小ドット分配パターンを作成する。もし、チップA71と同じ位置に吐出不良ノズルが存在する場合は、例えばレベル1の大小ドット分配パターンは、既に説明した図9の(b)のようになる。このように作成された大小ドット分配パターンは、大小ドット分配パターン記憶部A41に記憶され、チップA72の画像処理を行う際に、記録ドット分配処理部A35によって読み出される。以降の処理は上述したチップA71の場合と同等である。
以上説明したように本実施例によれば、大小ドット分配率と吐出不良ノズル情報に応じてチップごとに大小ドット分配パターンを作成する。この際、吐出不良ノズルが存在するノズル位置についての大小ドット分配率は、一律に1:1として、大ドットと小ドットの使用率に偏りを持たせないようにする。その上で、上記吐出不良ノズルが記録すべきドットデータを、正常な吐出が可能な大ドットノズルと、小ドットノズルで均等に分散する。このような構成により、複数の記録チップが異なる記録特性を持っていても、突発的な吐出不良の発生に伴う画像劣化を最低限に抑えた不吐補完処理を行いながら、各チップの平均吐出量を一定の目標吐出量に収束させ、チップ間の濃度むらを低減することが出来る。
<大小ドット分配パターンの生成方法>
以下、本実施形態の大小ドット分配パターン作成部A40が実行する、大小ドット分配パターンの作成工程の一例を説明する。
図11は、大小ドット分配パターン作成部A40が、大小ドット分配パターンを作成する工程を説明するためのフローチャートである。また、図12は、量子化レベル1の場合の大小ドット分配パターンの作成の様子を段階的に説明するための模式図である。本実施例では、大ドットをなるべく一定の空間周波数で分散性の高い状態で配置させるために、斥力ポテンシャルを利用する。
まず、図11のステップN01において、大小ドット分配パターンを生成する対象となる量子化レベルのドットパターンを取得する。ここでは、レベル1の場合を例に以下の説明を進める。よって、ステップN01において取得するドットパターンは図12のa1のようになる。
ステップN02では、大小ドット分配率決定部A53が示す分配率と、ドットパターンA1から、ドットパターンa1の中で必要とされる大ドット数と小ドット数(必要大ドット数および必要小ドット数)を、ノズル位置ごとに算出する。ドットパターンa1を参照するに、本例では、各ノズル位置のドット数が4であり、大小ドット分配率決定部A53が示す分配率は1:3である。よって、各ノズル位置の必要大ドット数は1となり、必要小ドット数は4となる。但し、ノズル位置2については、分配率が1:1であるので、必要大ドット数は2、必要小ドット数も2となる。
図10(a)および(b)は、大小ドット分配パターンを作成していく各段階における、上記必要ドット数や、配置済みのドット数、不足ドット数などを、ノズル位置ごとに示す図である。図10(a)は、ステップN02が完了した段階の状態を示している。ステップN02の段階では、ドットパターンに配置されるいずれのドットも、まだ大ドットとするか小ドットとするか決定していないので、配置済み大ドット数は0となる。結果、必要大ドット数に対し不足しているドット数(不足大ドット数)は、ノズル位置2では2、ノズル位置2以外では1となる。また、大ドットを配置するに当たって、配置可能なドット位置(選択可能ドット位置)は4となる。
ステップN03では、選択可能ドット位置のうち “斥力ポテンシャル_積算値”が最も小さい位置を選択する。1ドット目の分配については、“斥力ポテンシャル_積算値”はいずれの位置も“0”であるため、任意のドット位置を選択する。本説明では左上の隅の画素すなわち(X,Y)=(0,0)のドットが選択されたものとする。
ステップN04では、ステップN03で選択したドットを大ドットに分配する。図12のb1は、ドットパターンa1から左上のドットが大ドット(◎)に変換された状態を示している。
ステップN05では、“斥力ポテンシャル_積算値”に、分配された大ドットの斥力ポテンシャルを加算する。以下斥力ポテンシャルについて説明する。
本実施例では、配置された大ドットを中心に、傾きの大きい斥力ポテンシャルとするため、配置ドットの中心が“50000”、それ以外の点では、「10000÷距離の4乗」とする等方的な斥力ポテンシャルを用いる。ここで、単ドットの斥力ポテンシャルを、 Pot_aloneとすると、位置(x,y)のポテンシャルは、
Pot_alone= 50000 (x=0、y=0)
10000÷(x^2+y^2)^2 (x≠0、y≠0)
となる。境界条件を満たすために、右・右下・下にも同じパターンが連続すると仮定すると、(x、y)における斥力ポテンシャルPot(x,y)は
Pot_0(x,y)=Pot_alone(x,y)
+Pot_alone(x+array_X,y)
+Pot_alone(x−array_X ,y)
+Pot_alone(x,y−array_Y)
+Pot_alone(x+array_X,y−array_Y)
+Pot_alone(x−array_X,y−array_Y)
+Pot_alone(x,y+arrya_Y)
+Pot_alone(x+array_X,y+array_Y)
+Pot_alone(x−array_X,y+array_Y)


array_X:ドットパターンのx方向の画素数(本実施例では16)
array_Y:ドットパターンのy方向の画素数(本実施例では16)
となる。
任意の位置(a,b)に大ドットが配置された場合の(x、y)の斥力ポテンシャルは、(a,b)からの相対位置を上記Pot_0(x,y)に代入すればよいので、斥力ポテンシャルは
Pot_ab(x,y)=Pot_0(Pos_x,Pos_y)
Pos_x=x−a (x≧a)
a−x (x≦a)
Pos_y=y−b (y≧b)
b−y (y≦b)
となる。
図12のb2は、大ドットを配置したことによって生じる斥力ポテンシャルを、x−y平面に対するz方向の値として示した図である。
図11に戻る。ステップN06では、ステップN04における大ドットの配置に伴い、図10(a)で説明した各種パラメータを書き換える。すなわち、ノズル位置0の配置済み大ドット数を1に、不足大ドット数を0に、選択可能ドット位置を0に書き換える。図10(b)は、ステップN06にて各種パラメータを書き換えた後の図である。
続くステップN07では、全てのノズル位置の不足大ドット数が0であるか否かを判断する。全てのノズル位置の不足ドット数が0ではないと判断した場合、次の大ドットを配置するためにステップN03に戻る。ここでは、2つ目の大ドットを配置するために、再びステップN03に戻って説明を続ける。
ステップN03では、残された選択可能ドット位置のうち “斥力ポテンシャル_積算値”が最も小さい位置を選択する。“斥力ポテンシャル_積算値”が最小値であるドットが複数存在する場合は、乱数を発生させて、1つのドットを選択する。ここでは、例えば、(x、y)=(8,8)が選択されたとする。
続くステップN04ではステップN03で選択したドットを大ドットに分配する。図12のc1は、ドットパターンb1から更に(x、y)=(8,8)の位置のドットが大ドット(◎)に変換された状態を示している。更にステップN05では、“斥力ポテンシャル_積算値”に、分配された大ドットの斥力ポテンシャルを加算する。図12のc2は、斥力ポテンシャルのグラフb2に対し、更に(x、y)=(8,8)の位置に大ドット(◎)が配置された状態を示している。その後ステップN06にて再びパラメータの書き換えを行う。
以上説明したステップN03〜N06の工程は、全てのノズル位置に不足ドットが無いと判断されるまで繰り返される。全てのノズル位置の不足ドット数が0であると判断された場合は、ステップN08へ進み、大ドットに分配された以外の残りのドットの全てを小ドットに分配する。以上で本処理が終了する。
このように斥力ポテンシャルを用いて大ドットを配置することにより、大ドットがほぼ一定の空間周波数で配置され、大ドットの分散性を高めることが出来る。その結果、大小ドットの分配率が異なる複数のチップで記録した場合であっても、チップ間のパターンの違いなどが目立ち難い。また、比較的視認されやすい大ドットの空間周波数の低周波成分が抑えられるため、粒状性や一様性についても良好な結果が得られる。
なお、図8のフローチャートでは、量子価値がレベル1である場合を例にして説明したが、レベル2以上の大小ドット分配パターンを作成する場合には、一つ下のレベルで作成した分配パターンをそのまま利用することも出来る。この場合、ステップN01において、1つ下のレベルの大小ドット分配パターンは規定値として取得し、残りの未配分ドットについてのみ、ステップN03以降の処理を行えばよい。この様にすれば、大小ドット分配パターン作成部A40における処理時間を短縮できるほか、レベル間の連続性が得られ、大ドットまたは小ドットの意図しない塊の発生を回避することが出来る。図8の(b−1)〜(b−4)はこのようにして作成した大小ドット分配パターンである。
図14は、目標吐出量2.25ngに対し、吐出量3.0ngの大ドットノズル列4列と、吐出量2.0ngの小ドットノズル列4列を用いた場合の、大小ドット分配率と不吐補完処理の有無に伴う大小ドットノズル列の記録率を示す図である。
図において、条件1は、目標吐出量を実現するために大小ドットの分配率を1:3とし、且つ吐出不良ノズルが存在しなかった場合を示している。この場合、1つの大ドットノズル列の記録率は6.25%(=100×(1/(1+3))×(1/4))となり、1つの小ドットノズル列の記録率は18.75%(=100×(3/(1+3))×(1/4))となる。そして、1チップあたりの平均吐出量は、目標吐出量と等しく2.25(=3.0×(1/4)+2.0×(3/4))となる。
条件2は、条件1に対し2つの小ドットノズルに吐出不良が生じ、不吐補完処理を実行した場合を示している。この場合、小ドットの4ノズルのうち2ノズルのデータが、残りの大ドット4ノズル小ドット2ノズルに均等に分配される。つまり、2つの小ドットノズル列の記録率が、上記6つのノズルに分散され、夫々のノズルの記録率は6.25(=18.75%×2/6)%ずつ上昇する。その結果、1つの大ドットノズル列の記録率は12.5%(=6.25+6.25)となり、1つの小ドットノズル列の記録率は25%(=18.75+6.25)となる。ここで、1つの小ドットノズル列のように、記録率が25%まで上昇すると、当該小ドットノズル列に突発的な吐出不良が発生した場合、画像上白スジが目立ってしまう懸念が高まる。
一方、条件3は、大小ドットの分配率を1:1とし、吐出不良ノズルが存在しなかった場合を示している。この場合、1つの大ドットノズル列の記録率も1つの小ドットノズル列の記録率も、12.5%(=100×1/(4+4))となる。そして、1チップあたりの平均吐出量は、2.5(=3.0×(1/2)+2.0×(1/2))となる。但し、平均吐出量2.5ngが目標吐出量2.25ngに比べて大きいので、全てのノズル位置において分配率をこのように1:1にしてしまうと、そのチップ全体の濃度が高くなり濃度むらを招致してしまう。
条件4は、条件3に対し2つの小ドットノズルに吐出不良が生じ、不吐補完処理を実行した場合を示している。この場合も条件2と同様、2つの小ドットノズル列の記録率が、上記6つのノズルに分散され、夫々のノズルの記録率は4.17%(=12.5×2/6)ずつ上昇する。その結果、1つの大ドットノズル列の記録率も1つの小ドットノズル列の記録率も、16.67%(=12.5+4.17)となる。このような条件4を条件2と比べると、記録率の偏りがない分、1つのノズル列に突発的な吐出不良が発生した場合であっても、画像上の白スジを目立たせてしまうというリスクは低減される。
以上の内容を鑑みて、本実施例では、不吐補完処理を行うノズル位置については、突発的な吐出不良に伴う画像劣化を回避することを優先し、大小ノズルの分配率を1:1とする。その一方で、不吐補完処理を行わない他のノズル位置については、チップ間の濃度むらを抑えるために目標吐出量を実現することを優先し、大小ノズルの分配率を1:3とする。このような構成にすれば、吐出不良が発生していない多数のノズル位置によってチップ間の濃度ばらつきを補正するとともに、吐出不良が発生している少数のノズル位置では、確実な不吐補完処理を行いながら突発的な吐出不良に伴う画像劣化を回避することが出来る。すなわち、本実施例によれば、特許文献1と同じようにチップ間の濃度むらを補正しながらも、より確実でリスクの少ない不吐補完処理を実現することが可能となる。
実施例1では、吐出不良ノズルが存在するノズル位置では、吐出不良ノズルの数によらず、大ドットと小ドットの分配率を一律1:1とした。そして、大小それぞれのドットデータを4種類のマスクパターンを用いて個々のノズル列に分配した後、吐出不良ノズルのデータを同じノズル位置の他のノズルに移動した。
これに対し、本実施例では、吐出不良ノズルが存在するノズル位置では、吐出不良ノズルを差し引いた大ドットノズルと小ドットノズルの数(割合)に応じて、個々のノズルの記録率が等しくなるように、大ドットと小ドットの分配率を決定する。また、吐出特性取得部が取得した吐出不良ノズルの情報を利用して、吐出不良ノズルに対し記録許容画素が存在しないようなマスクパターンを使用することにより、大小それぞれのドットデータを吐出が正常なノズル列に分配する。以下、本実施例の具体的な処理を説明する。
本実施例でも、図4(b)のフローチャートに従って、大小ドット分配パターンを作成する。但し、本実施例のステップD03では、吐出不良ノズルのノズル位置に対し、大小ドットの分配率を一律1:1には設定しない。本実施例では、吐出不良ノズルを差し引いた、すなわち正常な吐出が可能なノズルの間で記録率が等しくなるように、大ドットと小ドットの分配率を決定する。具体的には、再度図3(b)を参照するに、ノズル位置2においてA71fとA71hの2つの小ドットノズル列が吐出不良である場合、残りのノズル列、即ち4つの大ドットノズル列と2つの小ドットノズル列で記録率が等しくなるように大小ドットを分配する。つまり、本例の場合は、大ドットノズル列の数と小ドットノズル列の数の割合が4:2であるので、分配率を2:1に設定することにより、大ドットノズル列の記録率(=2/4)と小ドットノズル列の記録率(=1/2)を等しくすることが出来る。
図15は、本例において、大小ドット分配率決定部A53が、個々のノズル位置に対応して決定する大小ドットの分配率を示す図である。吐出正常とされるノズル位置(0、1、3、4・・・)については、いずれのレベルについても分配率を1:3に決定している。これに対し、吐出不良とされるノズル位置2については、いずれのレベルについても分配率を2:1に決定している。
図16は、本実施例において、ドット記録位置決定部A34が決定したドット配置パターンと、これに対応する大小ドット分配パターンを示す図である。a1〜a4は、実施例1で説明した図8のa1〜a4と同様、ドット記録位置決定部A34から出力された、レベル1〜レベル4に対応するドット配置パターンである。
一方、d1〜d4は、本実施例において、大小ドット分配パターン作成部A40が作成するレベル1〜レベル4の分配パターンの一例である。吐出不良ノズル位置以外のノズル位置においても、大ドットと小ドットの数は1:3になっている。吐出不良ノズル位置2については、大小ドット分配率決定部A53によって分配率が2:1に設定されているので、d1〜d4のいずれにおいても、ノズル位置2の大ドットと小ドットの数は2:1になっている。
図17は、本実施例において、所定の入力画像データが、本実施例の各工程によって変換される様子を図7と比較しながら説明するための模式図である。図において、701〜704は、実施例1で説明した図7の701〜704と同等である。
161は、本実施例の大小ドット分配パターン作成部A40が作成した大小ドット分配パターンである。ノズル位置2以外のノズル位置については大ドット◎の数と小ドット○の数が1:3になっているが、ノズル位置2では2:1になっている。記録ドット分配処理部A35が、この大小ドット分配パターン161に基づいて、ドットパターン704を分配した結果、大ドットデータ162aと小ドットデータ162bが得られる。
707a〜707bは、実施例1と同様、大ドットデータ706aを大ドットノズル列のいずれかに分配し、小ドットデータ706bを小ドットノズル列のいずれかに分配するためのマスクパターンである。但し、本実施例において、これらマスクパターン707a〜707bは、吐出不良ノズルが存在する組み合わせには用いられない。すなわち、本例の場合、マスクパターン707a〜707bは、大ドットノズル列(A71a、A71c、A71e、A71h)には使用されるが、小ドットノズル列(A71b、A71d、A71f、A71g)には使用されない。
これに対し、163a〜163bは、吐出不良ノズルが存在する組み合わせ(本実施例における4つの小ドットノズル列)に対して用いられるマスクパターンである。これら4つのマスクパターンも互いに補完の関係は有しているが、吐出不良ノズルを有する2つのノズル列(A71f、A71h)に対応するマスクパターン163cおよび163dでは、ノズル位置2に記録許容画素が存在しない。そして、吐出不良ノズルを含まない2つのノズル列(A71b、A71d)に対応するマスクパターン161cおよび162dでは、ノズル位置2の記録許容画素が他のノズル位置よりも多くなっている。このように、本実施例では、吐出不良ノズルが発生したノズルと同じ大きさのドットによって不吐補完処理を行うことが出来る。そして、本実施例では、このようなマスクパターンを吐出不良情報に応じて作成する手段を用意する。
その後、マスクパターン(707a〜707d)と、大ノズルのドットデータ162aの間でAND処理を行うことにより、大ドットノズル列(A71a、A71c、A71e、A71g)のドットデータ(164a、164b、164c、164d)が得られる。また、マスクパターン(163a〜163d)と、小ノズルのドットデータ162bの間でAND処理を行うことにより、小ドットノズル列(A71b、A71d、A71f、A71h)のドットデータ(165a、165b、165c、165d)が得られる。
166は、上記ドットデータに従って実際に記録される大ドットと小ドットの分布を示している。当該画像領域において、大小ドットの分配率はほぼ1:3を満足し、目標吐出量2.25ngに見合った濃度を実現することが出来る。また、吐出不良ノズルがあるノズル位置2については、局所的に目標吐出量2.25ngを上回るが、吐出不良の弊害を目立たせること無く画像を出力することが出来る。
図18は、本実施例における大小ドット分配率と不吐補完処理の有無に伴う大小ドットノズル列の記録率を、実施例1の図14と同様に説明するための図である。図において、条件1は図14と同様である。
条件2は、条件1に対し2つの小ドットノズルに吐出不良が生じ、本実施例の不吐補完処理、すなわち2つの小ドットノズル列のデータ(記録許容画素)を他の2つの小ドットノズル列のデータ(記録許容画素)に移動した場合を示している。この場合、2つの小ドットノズル列の記録率が、他の2つの小ノズルに分散され、これら小ドットノズル列の記録率は倍増する。その結果、大ドットノズル列の記録率は6.25%のままであるが、小ドットノズル列の記録率は37.5%(=18.75×2)となる。このように、1つの小ドットノズル列の記録率が実施例1の場合よりも高くなり、当該小ドットノズル列に突発的な吐出不良が発生した場合、画像上白スジが目立ってしまう。
一方、条件3は、大小ドットの分配率を2:1とし、吐出不良ノズルが存在しなかった場合を示している。この場合、1つの大ドットノズル列の記録率は、16.67%(=100×2/(2+1)×1/4)となる。一方、1つの小ドットノズル列の記録率は、8.33%(=100×1/(2+1)×1/4)となる。
条件4は、条件3に対し2つの小ドットノズルに吐出不良が生じ、本実施例の不吐補完処理、すなわち2つの小ドットノズル列のデータ(記録許容画素)を他の2つの小ドットノズル列のデータ(記録許容画素)に移動した場合を示している。この場合も条件2と同様、2つの小ドットノズル列の記録率が、他の2つの小ノズルに分散され、これら小ドットノズル列の記録率は倍増する。その結果、大ドットノズル列の記録率は16.67%のままであり、小ドットノズル列の記録率も16.67%(=8.33×2)となる。このような条件4を条件2と比べると、記録率の偏りがない分、1つのノズル列に突発的な吐出不良が発生した場合であっても、画像上の白スジを目立たせてしまうというリスクは低減される。
以上の内容を鑑み、本実施例においては、吐出不良ノズルのデータは同じサイズの吐出正常ノズルに移動すると共に、そのノズル位置では、吐出不良ノズルを差し引いた大ドットノズルと小ドットノズルの数(割合)に応じて、大小ノズルの分配率を調整する。
その一方で、不吐補完処理を行わない他のノズル位置については、チップ間の濃度むらを抑えるために目標吐出量を実現することを優先し、大小ノズルの分配率を1:3とする。このような本実施例によれば、吐出不良が無い多数のノズル位置によってチップ間の濃度ばらつきを補正するとともに、吐出不良が発生している少数のノズル位置では、確実な不吐補完処理を行いながら突発的な吐出不良に伴う画像劣化を回避することが出来る。すなわち、本実施例においても、特許文献1と同じようにチップ間の濃度むらを補正しながらも、より確実でリスクの少ない不吐補完処理を実現することが可能となる。
以上の実施例では、2つの小ドットノズルで吐出不良が発生した場合を例に説明したが、無論吐出不良ノズルの有無や数は、チップごと或いは記録ヘッドごとに様々である。そして、吐出不良ノズルの数が多いほど、同じノズル位置を記録する他のノズルの記録率は高まり、突発的な吐出不良に伴うリスクも高くなる。よって、本実施例では、実施例1と同様の構成をとりながらも、チップ内に存在する吐出不良ノズルの数が大きいほど、大小ドット分配率の偏りが少なくなるように調整する。
図19は、本実施例における吐出不良ノズルの数と、これに対応して大小ドット分配率決定部A53が決定可能な大小ドット分配率の範囲を説明するための図である。
吐出不良ノズルが存在しない場合、大小ドット分配率決定部A53は、全てのノズル位置に対し、1:3〜3:1の範囲で大小ドット分配率を設定可能とする。すなわち、大小ドット分配率決定部A53は、吐出特性取得部A51から得られた各チップの吐出量情報に基づき、なるべく平均吐出量を目標吐出量に近付けるように、3:1〜1:3の範囲で大小ドット分配率を設定する。
一方、1つのチップ内の同じノズル位置に吐出不良ノズルが1つ存在する場合、大小ドット分配率決定部A53は、当該吐出不良ノズルのノズル位置に対し、1.5:1〜1:1.5の範囲で大小ドット分配率を設定することを可能とする。1つのチップ内に複数の吐出不良ノズルが存在しても、これらが同じ記録位置で無ければ、本例に含まれる。
また、上記実施例のように、1つのチップ内の同じノズル位置に吐出不良ノズルが2つ存在する場合、大小ドット分配率決定部A53は、実施例1と同様、吐出不良ノズルのノズル位置に対し、1:1で大小ドット分配率を設定する。
更に、1つのチップ内の同じノズル位置に吐出不良ノズルが3ノズル以上存在する場合、本実施例のCPU A3は、吐出不良ノズルが多く画像弊害が発生するリスクがあることをユーザに告知する。その上で、大小ドット分配率決定部A53は、吐出不良ノズルのノズル位置に対し、1:1で大小ドット分配率を設定する。
このように本実施例では、たとえ吐出不良ノズルが存在しても、その数が少なく、分配率の偏りが画像に与えるリスクが少ないような場合には、分配率に偏りを持たせて目標吐出量に近づける度合いを高くする。その一方で、吐出不良ノズルが多く、分配率の偏りが画像に与えるリスクが大きいような場合には、目標吐出量に近づけるよりも、分配率の偏りを抑える度合いを高くする。このような構成により、チップ間の濃度むらと突発的な吐出不良の発生に伴う画像へのリスクを、バランスよく抑えながら、一様で安定した画像を出力することが可能となる。
なお、以上の実施例では、図3(a)および(b)に示したように、4つの大ドットノズルと4つの小ドットノズルが、x方向の同じノズル位置に配置する構成の記録ヘッドを例に説明した。このような記録ヘッドでは、大小ドットの分配比を変えても、ドットが記録される位置に変わりは無いため、分配比の違いに伴う空間周波数や粒状感の変化を小さく抑えることが出来る。しかしながら、本発明はこのような記録ヘッド構成に限定されるものではない。例えば、図20(a)および(b)のように、4つの大ドットノズルと4つの小ドットノズルが、x方向に互いに半ピッチずれた位置に配置しているような構成の記録ヘッドを用いることも可能である。
また、1つのチップに配備される大ドットノズル列の数と小ドットノズル列の数も4列に限定されるものではない。大ドットノズル列、小ドットノズル列夫々が2列以上存在すれば、吐出不良ノズルが存在した場合であっても、大小ドットの分配率を調整することが出来、本発明の効果を得ることが出来る。
更に、上記実施形態では、サーマル式の記録ヘッドを例に説明したが、例えばピエゾ式など他のインク吐出方式のインクジェット式記録ヘッドであっても良い。
更にまた、上記実施例において、吐出特性取得部が取得する吐出特性情報は、個々のノズル列の平均吐出量としたが、吐出特性情報は吐出量に限定されるものではない。個々のチップが記録媒体上で表現する画像濃度は、インクの吐出量だけでなく吐出方向によるヨレなどにも影響される。吐出量であれ、ヨレであれ、チップ間の画像濃度に係るようなパラメータであれば、上記実施例の吐出特性として有用することが出来る。
A1 インクジェット記録装置
A2 制御ユニット
A3 CPU
A7 記録ヘッド
A36 使用ノズル列決定部
A37 吐出不良ノズル記録データ移動手段
A40 大小ドット分配パターン作成部
A51 吐出特性取得部
A53 大小ドット分配率決定部

Claims (8)

  1. 記録媒体に大ドットを記録するノズルを所定方向に配列して構成される大ドットノズル列の複数と、記録媒体に小ドットを記録するノズルを前記所定方向に配列して構成される小ドットノズル列の複数を、前記所定方向とは交差する方向に並列して構成されるチップの複数を、前記ノズルの配列が前記所定方向に連続するように配置して構成される記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記大ドットノズル列の吐出特性に係る大ドット吐出特性情報と、前記小ドットノズル列の吐出特性に係る小ドット吐出特性情報と、吐出状態が不良な吐出不良ノズルが含まれるノズル列と前記所定方向のノズル位置を、前記チップごとに取得する吐出特性取得手段と、
    記録媒体に記録した画像の濃度が前記複数のチップ間で一定になるように、前記チップごとに、前記大ドット吐出特性情報および前記小ドット吐出特性情報から大ドットと小ドットを記録する割合を規定する大小ドット分配率を決定する大小ドット分配率決定手段と、
    前記吐出不良ノズルのドットデータを、前記複数の大ドットノズル列および複数の小ドットノズル列のうち、前記吐出不良ノズルとほぼ等しいノズル位置であって吐出が正常な複数の吐出正常ノズルに、均等に移動する移動手段と、
    を備え、
    前記分配率決定手段は、前記吐出不良ノズルのノズル位置の前記大小ドット分配率の偏りが、前記吐出不良ノズルのノズル位置以外の前記大小ドット分配率の偏りよりも小さくなるように、前記大小ドット分配率を決定することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記分配率決定手段は、前記吐出不良ノズルのノズル位置の前記大小ドット分配率を、前記大ドット吐出特性情報および前記小ドット吐出特性情報によらず、1:1に決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記分配率決定手段は、前記大ドット吐出特性情報および前記小ドット吐出特性情報によらず、前記移動手段によって前記吐出不良ノズルのドットデータが移動された後の前記複数の吐出正常ノズルの記録率が均等になるように、前記吐出不良ノズルのノズル位置の前記大小ドット分配率を決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記分配率決定手段は、同じノズル位置に含まれる前記吐出不良ノズルの数が多くなるほど、前記吐出不良ノズルのノズル位置の前記大小ドット分配率の偏りが小さくなるように、前記大小ドット分配率決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記大小ドット分配率決定手段によって決定された大小ドット分配率に従って、大ドットが一定の空間周波数で配置されるように、大ドットを記録する画素位置と小ドットを記録する画素位置を規定する大小ドット分配パターンを作成する大小ドット分配パターン作成手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記大小ドット分配パターン作成手段は、前記大小ドット分配率決定手段によって決定された大小ドット分配率に従って作成した前記大小ドット分配パターンを、階調のレベルに応じて複数パターンを用意することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記大ドット吐出特性情報は前記大ドットノズル列の平均吐出量であり、前記小ドット吐出特性情報は前記小ドットノズル列の平均吐出量であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 記録媒体に大ドットを記録するノズルを所定方向に配列して構成される大ドットノズル列の複数と、記録媒体に小ドットを記録するノズルを前記所定方向に配列して構成される小ドットノズル列の複数を、前記所定方向とは交差する方向に並列して構成されるチップの複数を、前記ノズルの配列が前記所定方向に連続するように配置して構成される記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録方法において、
    前記大ドットノズル列の吐出特性に係る大ドット吐出特性情報と、前記小ドットノズル列の吐出特性に係る小ドット吐出特性情報と、吐出状態が不良な吐出不良ノズルが含まれるノズル列と前記所定方向のノズル位置を、前記チップごとに取得する吐出特性取得工程と、
    記録媒体に記録した画像の濃度が前記複数のチップ間で一定になるように、前記チップごとに、前記大ドット吐出特性情報および前記小ドット吐出特性情報から大ドットと小ドットを記録する割合を規定する大小ドット分配率を決定する大小ドット分配率決定工程と、
    前記吐出不良ノズルのドットデータを、前記複数の大ドットノズル列および複数の小ドットノズル列のうち、前記吐出不良ノズルとほぼ等しいノズル位置であって吐出が正常な複数の吐出正常ノズルに、均等に移動する移動工程と、
    を有し、
    前記分配率決定工程は、前記吐出不良ノズルのノズル位置の前記大小ドット分配率の偏りが、前記吐出不良ノズルのノズル位置以外の前記大小ドット分配率の偏りよりも小さくなるように、前記大小ドット分配率を決定することを特徴とするインクジェット記録方法。
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