JP2012232240A - ハニカム構造体およびこれを備えるガス処理装置 - Google Patents

ハニカム構造体およびこれを備えるガス処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】圧力損失の上昇が小さく、機械的強度の高いハニカム構造体を提供し、また信頼性の高いガス処理装置を提供する。
【解決手段】内部を流体が流れる筒状部5と、筒状部5の内側に配置された格子状の通気性を有する隔壁部4と、隔壁部4によって囲まれており、両端が交互に封止されて流体の流入路2aと流出路2bとなる複数の流通孔2とを有し、隔壁部4は、第1の隔壁部4aと第2の隔壁部4bとを備えるとともに、第2の隔壁部4bは、流入路側2aに、流体が流れる方向に沿って溝部6が設けられており、溝部6と対応する部分の厚さが第1の隔壁部4aの厚さより厚いので、溝部6によって圧力損失の上昇を抑制でき、微粒子の捕集効率が高く、かつ機械的強度が高い。また、このようなハニカム構造体を備えたガス処理装置によれば、信頼性の高いガス処理装置を提供することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関,焼却炉およびボイラー等から発生する排気ガスに含まれる炭素を主成分とする微粒子等を捕集するフィルタ、有害なダイオキシンを分解して除去するフィルタ等に用いられるハニカム構造体およびこれを備えるガス処理装置に関するものである。
従来、内燃機関、焼却炉およびボイラー等から発生する排気ガス中に含まれる炭素を主成分とする微粒子,硫黄が酸化してできる硫酸塩を主成分とする微粒子および高分子からなる未燃焼の炭化水素等の微粒子等は、環境汚染の原因となるため、フィルタでこれらの微粒子を捕集して除去している。
このようなフィルタとしては、隔壁によって区画されたガス流路となる多数の流通孔を備えたハニカム構造体が用いられており、例えば、特許文献1のように、各流通孔の圧力損失の増大を抑制するために、流通孔のコーナ部に軸方向に延びる凹部を有するハニカム構造体が提案されている。
特開2006-159020号公報
しかしながら、近年、ハニカム構造体の排ガス浄化特性の向上を目的として、隔壁の薄壁化、流通孔の高密度化が行われているものの、特許文献1に記載のハニカム構造体では、圧力が集中しやすい流通孔のコーナ部に凹部があるため流通孔に歪みが生じやすく、その流通孔の歪みによって圧力損失が上昇して微粒子の捕集効率が低下しやすく、また凹部によって隔壁の強度が低下して、ハニカム構造体の機械的強度が低くなるという課題があった。
本発明は上記課題を解決すべく案出されたものであり、圧力損失の上昇を抑制し、微粒子の捕集効率が高く、また機械的強度の高いハニカム構造体と、このハニカム構造体を備える信頼性の高いガス処理装置を提供するものである。
本発明のハニカム構造体は、内部を流体が流れる筒状部と、該筒状部の内側に配置された格子状の通気性を有する隔壁部と、該隔壁部によって囲まれており、両端が交互に封止されて前記流体の流入路と流出路となる複数の流通孔とを有し、前記隔壁部は、第1の隔壁部と第2の隔壁部とを備えるとともに、前記第2の隔壁部は、前記流入路側に、前記流体が流れる方向に沿って溝部が設けられており、該溝部と対応する部分の厚さが前記第1の隔壁部の厚さより厚いことを特徴とするものである。
また、本発明のガス処理装置は、上記ハニカム構造体を備えていることを特徴とするものである。
本発明のハニカム構造体によれば、内部を流体が流れる筒状部と、筒状部の内側に配置
された格子状の通気性を有する隔壁部と、隔壁部によって囲まれており、両端が交互に封止されて流体の流入路と流出路となる複数の流通孔とを有し、隔壁部は、第1の隔壁部と、流体が流れる方向に沿って溝部が設けられた第2の隔壁部とを備えるとともに、第2の隔壁部は、溝部と対応する部分の厚さが第1の隔壁部の厚さより厚く、また溝部が流入路側に設けられており、この溝部によって圧力損失の上昇を抑制することができる。また、溝部は第2の隔壁部の流入路側に流体の流れ方向に沿って設けられているので、流入路側の隔壁部の表面積が大きくなるので微粒子の捕集効率を高くすることができる。さらに、第2の隔壁部は、溝部と対応する部分の厚さが第1の隔壁部より厚い、すなわち第2の隔壁部の厚さが第1の隔壁部の厚さより厚いため、ハニカム構造体の径方向からの外圧に対して、強い梁として作用し、ハニカム構造体としての機械的強度を高くすることができる。
さらに、本発明のガス処理装置によれば、圧力損失の上昇を抑制でき、また微粒子の捕集効率を高くすることができ、さらに機械的強度の高い本発明のハニカム構造体を備えるので、信頼性の高いガス処理装置を提供することができる。
本実施形態のハニカム構造体の一例を示す(a)は斜視図であり、(b)は(a)におけるB−B’線での断面図である。 本実施形態のハニカム構造体の、(a)は部分断面図であり、(b)はハニカム構造体の第1の隔壁部および第2の隔壁部の厚さを説明するための模式図である。 本実施形態のハニカム構造体の他の例を示す部分断面図である。 本実施形態のハニカム構造体のさらに他の例を示す部分断面図である。 (a)および(b)は、本実施形態のハニカム構造体のさらに他の例を示す部分断面図である。 (a)および(b)は、本実施形態のハニカム構造体のさらに他の例を示す部分断面図である。 本実施形態のガス処理装置を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明のハニカム構造体およびこれを用いたガス処理装置の実施の形態の例について説明する。
図1は、本実施形態のハニカム構造体の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は(a)におけるB−B’線での断面図である。また、図2は、本実施形態のハニカム構造体の、(a)は一例を示す部分断面図であり、(b)は、第1の隔壁部および第2の隔壁部の厚さを説明するための模式図である。
図1(a)に示す例のハニカム構造体1は、内部を流体が流れる筒状部5と、筒状部5の内側に配置された格子状の通気性を有する隔壁部4と、隔壁部4によって囲まれており、両端が交互に封止されて流体の流入路2aと流出路2bとなる複数の流通孔とを有し、隔壁部4は、第1の隔壁部4aと第2の隔壁部4bとを備えている。
また、図1(a)に示す例のハニカム構造体1は、図1(b)に示すように、複数の流通孔2は、流体の流入側および流出側のそれぞれが封止材3で交互に封止されている。具体的には、流入路2aは流体の流出側が封止材3bで封止され、流出路2bは流体の流入側が封止材3aで封止されている。なお、ハニカム構造体1の筒状部5の軸方向を矢印A(以下、軸方向Aという)で示している。
このようなハニカム構造体1は、流入側にディーゼルエンジン,ガソリンエンジン等の
内燃機関(図示しない)が配置され、この内燃機関(図示しない)が駆動すると、排気ガスが発生し、この排気ガスは、ハニカム構造体1の流入路2aから導入され、封止材3aによってその流出が遮られる。流出が遮られた排気ガスは、通気性を有する隔壁部4aまたは4bを通過して、隣接する流出路2bに導入される。排気ガスが隔壁部4aまたは4bを通過するとき、隔壁部4aまたは4bの壁面や隔壁部4aまたは4bの気孔の表面で排気ガス中の炭素を主成分とする微粒子,硫黄が酸化してできる硫酸塩を主成分とする微粒子および高分子からなる未燃焼の炭化水素等の微粒子(以下、これらを総称して単に微粒子という。)が捕集される。微粒子が捕集された排気ガスは、浄化された状態で、流出路2bから外部に排出される。
そして、本実施形態のハニカム構造体1では、図2(a)に示すように、第2の隔壁部4bは、流入路側2aに流体が流れる方向に沿って溝部6が設けられている。また、第2の隔壁部4bは、溝部6と対応する部分の厚さが第1の隔壁部4aの厚さより厚い(なお、図1においては溝部6を省略して示している。)。
第2の隔壁部4bは、流入路側2aに、流体が流れる方向に沿って溝部6が設けられているので、第2の隔壁部4bの溝部6と対応する部分の厚さが薄くなり、溝部6が設けられない場合に比べて、第2の隔壁部4bの通気性がよくなるほか、第2の隔壁部4bの少なくとも一部で取り囲まれる流出路2aの体積が大きくなることで、圧力損失の上昇を抑制することができる。また、微粒子を捕集する隔壁部の表面積が大きくなるので、捕集効率が高くなる傾向がある。
さらに、本実施形態のハニカム構造体1は図2(b)に示すように、第2の隔壁部4bは、溝部6と対応する部分の厚さW(6)が第1の隔壁部4aの厚さW(4a)より厚い。すなわち、第2の隔壁部4bの厚さが、第1の隔壁部4aの厚さより厚いので、第2の隔壁4bは、ハニカム構造体1の径方向からの外圧に対して、強い梁として作用し、ハニカム構造体1の機械的強度を高くすることができる。なお、第2の隔壁部4bにおいて溝部6と対応する部分の厚さW(6)とは、第2の隔壁部4bにおいて、溝部6が設けられた残りの部分の厚さである。なお、第2の隔壁部4bにおいて、溝部6が設けられていない部分の厚さはW(4b)とした。
ここで、溝部6は、第2の隔壁部4bの流入路2a側に加えて、第2の隔壁部4bの流出路2b側に設けることもできるが、ハニカム構造体1の機械的強度を考慮して設けることが好ましい。
また、本実施形態のハニカム構造体は、第2の隔壁部4bが等間隔で配置されていることが好適である。この構成の場合には、第2の隔壁部4bが異なる間隔で配置されているときよりも、応力を分散しやすいので、機械的強度がより高くなる傾向がある。なお、第2の隔壁部4bは、X方向およびY方向に平行、かつ等間隔で配置されていることが好適であるが、または第2の隔壁部4bは、X方向およびY方向のいずれかに平行に配置されていても何等差し支えない。なお、図1に示したハニカム構造体1のように、各流通孔の大きさ(溝部6の部分を除く)が同じ大きさの場合には、第1の隔壁部4aおよび第2の隔壁部4bの間隔が等間隔で配置されていることが好適である。
また、第1の隔壁部4aは、隣り合う第2の隔壁部4bによって5個以上30個以下挟まれていることが好適である。この構成の場合には、ハニカム構造体1の機械的強度を高くすることができ、かつ適度に流通孔2の容積を大きく維持することができるので、圧力損失の上昇をさらに抑制できる傾向がある。
また、本実施形態のハニカム構造体1は、第2の隔壁部4bは直交して複数存在し、第
1の隔壁部4aまたは第2の隔壁部4bで囲まれる区画は、正方形状であることが好適である。
この構成の場合には、第1の隔壁部4aまたは第2の隔壁部4bで囲まれる区画が長方形状である場合よりも、異なる方向に対する機械的強度に偏りが生じにくくなるので、ハニカム構造体1の径方向から加えられる外圧の位置によって生じる機械的強度のばらつきが低減される。
なお、第2の隔壁部4bは、図1(a)に示すように、格子状に設けられていることが好ましいが、第2の隔壁部4bは格子状でなくても構わない。
また、本実施形態のハニカム構造体1は、隔壁部4は気孔率が35体積%以上60体積%以下であって、平均気孔径が5μm以上26μm以下である多孔質のセラミック焼結体からなることが好適である。このような隔壁部4を形成するセラミック焼結体の気孔率および平均気孔径がこの範囲であると、ハニカム構造体1の機械的強度を維持しながら、圧力損失の上昇を抑制することができる。なお隔壁部4の平均気孔径および気孔率は、水銀圧入法に準拠して求めればよい。
具体的には、まず、隔壁部4から質量が0.6g以上0.8g以下となるように平均気孔径および気孔率を測定するための試料を切り出す。
次に、水銀圧入型ポロシメータを用いて、試料の気孔に水銀を圧入し、水銀に加えられた圧力と、気孔内に浸入した水銀の体積を測定する。
この水銀の体積は気孔の体積に等しく、水銀に加えられた圧力と気孔径には以下の式(1)(Washburnの関係式)が成り立つ。
d=−4σcosθ/P・・・(1)
但し、d:気孔径(m)
P:水銀に加えられた圧力(Pa)
σ:水銀の表面張力(0.485N/m)
θ:水銀と気孔の表面との接触角(130°)
式(1)から各圧力Pに対する各気孔径dが求められ、各気孔径dの分布および累積気孔体積を導くことができる。そして、累積気孔体積の百分率が50%に相当する気孔径(D50)を平均気孔径とし、試料の体積に対する累積気孔体積の百分率を気孔率とすればよい。
また、隔壁部4の壁面に触媒を担持してもよく、触媒としては、例えば、ルテニウム,ロジウム,パラジウム,イリジウム,白金等の白金族金属およびその酸化物、金,銀,銅等の周期表第11族金属、酸化バナジウムのうちの少なくともいずれか1種からなり、流体、例えば、軽油等の燃料が気化したガスが供給されると、隔壁部4で捕集された排気ガス中の微粒子を酸化して燃焼させることで除去することができる。特に、金,銀,銅等の周期表第11族金属を選んだ場合、その触媒はナノメートルサイズの微粒であることが好適である。
さらに、触媒と排気ガスとの接触面積を大きくするために、γアルミナ,δアルミナおよびθアルミナ等の比表面積が大きい粉体を隔壁部4の壁面に担持して、その粉体に触媒を担持させてもよい。
本実施形態のハニカム構造体1では、上述したように、隔壁部4の壁面に触媒を担持し
ているときには、低い温度で微粒子を燃焼除去しやすくなるので、隔壁部4には溶損やクラックが生じにくくなる。さらに、壁面のみならず、隔壁部4の気孔の表面に触媒を担持させてもよい。
さらに、排気ガス中の微粒子を酸化して燃焼させるための触媒とともに、窒素酸化物(NOx)を吸蔵して還元するための触媒であるZSM−5,ZSM−11,ZSM−12,ZSM−18,ZSM−23,MCMゼオライト,モルデナイト,ファージャサイト,フェリエライトおよびゼオライトベータの少なくとも1種を隔壁部4の壁面および隔壁部4の気孔の表面の少なくともいずれかに担持させてもよい。
また、本実施形態のハニカム構造体1を構成する隔壁部4および筒状部5は、熱膨張係数が小さい成分、例えば、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO),β−ユークリプトタイト(LiO・Al・2SiO),β−スポジュメン(LiO・Al・4SiO),炭化珪素(SiC),窒化珪素(Si),サイアロン(Si6−ZAl8−Z,但しzは固溶量で0.1以上1以下である。),
ムライト(3Al・2SiO),燐酸ジルコニウムカリウム(KZr(PO)またはチタン酸アルミニウム(AlTiO)を主成分とする焼結体からなることが好適であるが、特に、本実施形態のハニカム構造体1は、隔壁部4および筒状部5がチタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることが好適である。このようなチタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体は耐熱衝撃性が高いので、隔壁部4の壁面および筒状部5の内周側の壁面に捕集した微粒子を燃焼して再生するために、バーナー,ヒーター等で加熱して急激な温度変化を与えても、隔壁部4および筒状部5にクラックが生じるのを抑制することができる。
同様に、本実施形態のハニカム構造体を構成する封止材3は、熱膨張係数が小さい成分、例えば、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO),β−ユークリプトタイト,(LiO・Al・2SiO),β−スポジュメン(LiO・Al・4SiO),炭化珪素(SiC),窒化珪素(Si),サイアロン(Si6−ZAl8−Z,但しzは固溶量で0.1以上1以下である。)ムライト(3A
・2SiO),燐酸ジルコニウムカリウム(KZr(PO))またはチタン酸アルミニウム(AlTiO)を主成分とする焼結体からなることが好適であるが、特に、本実施形態のハニカム構造体は、封止材3がチタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることが好適である。このようなチタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体は耐熱衝撃性が高いので、封止材3に堆積した微粒子を燃焼して再生するために、バーナー,ヒーター等で加熱して急激な温度変化を与えても封止材3はクラックが生じにくくなる。
特に、封止材3,隔壁部4および筒状部5がいずれもチタン酸アルミニウム(AlTiO)を主成分とする場合、チタン酸マグネシウム(MgTi)およびチタン酸鉄(FeTiO)をそれぞれ16mol%以上24mol%以下含んでいることが好適である。この比率は、耐熱性に優れたチタン酸アルミニウム(AlTiO)、耐食性に優れたチタン酸マグネシウム(MgTi)および耐熱劣化性に優れたチタン酸鉄(FeTiO)の最適比率であり、各部材の耐熱性,耐食性および耐熱劣化性が良くなるからである。
また、封止材3,隔壁部4および筒状部5がいずれもチタン酸アルミニウム(AlTiO)を主成分とする場合、封止材3,隔壁部4および筒状部5のそれぞれの粒界相の少なくともいずれかは、珪素酸化物を主成分とすることが好適である。これら粒界相の少なくともいずれかが、珪素酸化物を主成分とするときには、その粒界相と隣接する結晶粒子同士を強く結合するとともに、結晶粒子の異常な粒成長を抑制するため、機械的強度を
高くすることができる。
特に、この珪素酸化物は、粒界相を構成するそれぞれの酸化物の合計100質量%に対し
て90質量%以上であることが好適である。
なお、この珪素酸化物は、組成式がSiOで示される二酸化珪素が安定性が高いため好適であるが、組成式がSiO2−x(ただし、xは0<x<2である。)示される不定比の酸化珪素であってもかまわない。
また、各粒界相は、アルカリ金属の酸化物(例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化アルミニウム等。)を含んでいてもよいが、アルカリ金属の酸化物はエンジンオイルに含まれる硫酸ナトリウム,硫酸カルシウム等の硫酸塩に対する耐食性が低いので、その含有量は少ない方が好ましく、各粒界相をそれぞれ構成する酸化物100質量%に対して、10質量%以下であることが好適である。アルカリ金属の酸化物は、この範囲であれば、硫
酸塩に対して、耐食性が良い傾向があるからである。
なお、本実施形態における主成分とは、封止材3,隔壁部4および筒状部5をそれぞれ構成する焼結体の全成分100質量%に対して50質量%より多く占める成分をいう。封止材
3,隔壁部4および筒状部5をそれぞれ構成する成分の含有量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合高周波プラズマ)発光分析法により求めることができる。具体的には、主成分がチタン酸アルミニウムの場合には、各元素Ti,Alの含有量を測定して酸化物に換算した含有量の合計をチタン酸アルミニウムの含有量とすればよい。
ここで、ハニカム構造体1は、例えば、筒状部5の外径が140〜270mm、軸方向Aに対して垂直な断面における流通孔2の個数は、100mm当たり5〜124個(32〜800CPS
I)である。なお、CPSIとはCells Per Square Inchesのことである。また、軸方向
Aの長さが100〜250mmの円柱形状であって、第1の隔壁部4aおよび第2の隔壁部4bの厚さは、例えば、それぞれ0.14mm以上0.21mm以下,0.17mm以上0.24mm以下で、かつ第2隔壁部4bの溝部6と対応する部分の厚さが第1の隔壁部4aの厚さより厚い。また、溝部6の深さは、例えば、第2の隔壁部4bの厚さの1/7以上1/3以下で、溝部6の幅は、例えば、溝部6が設けられた第2の隔壁部4bの壁面と、第1の隔壁部4aの壁面とによって囲まれる流通孔2の円相当径の1/5以上1/2以下である。なお、封止材3a,3bの軸方向Aの厚さは、1mm以上5mm以下が好ましい。
図3は、本実施形態のハニカム構造体の他の例を示す部分断面図である。
図3に示す本実施形態のハニカム構造体11は、流体が流れる方向に垂直な断面において、溝部6の断面形状がU字形状である。
ハニカム構造体11は、溝部6の断面形状がU字形状であると、第2の隔壁部4bにおける溝部6の角部に相当する部位に応力が集中しにくくなるため、機械的強度をさらに高くすることができる。なお、断面形状がU字形状であるとは、溝部6の底部と側部の角部が弧状となっていることを意味している。また、溝部6の断面形状を半円形状とすることもできる。また、第2の隔壁部4bの溝部6の上部にあたる角部をR形状またはC形状として面取りすることで、第2の隔壁部4bの溝部6の上部にあたる角部に生じる応力集中を緩和することができる。
ここで、溝部6は、第2の隔壁部4bのうち、第1の隔壁部4aまたは第2の隔壁部4bとの交差部以外の部位に設けられていることが好ましい。
溝部6を、第2の隔壁部4bのうち、第1の隔壁部4aまたは第2の隔壁部4bとの交差部以外の部位に設けることで、第2の隔壁部4bにおける溝部6に生じる応力を小さくすることができ、機械的強度が高くなる傾向がある。
図4は、本実施形態のハニカム構造体のさらに他の例を示す部分断面図である。
図4に示す例のハニカム構造体12は、筒状部5の外周側に設けられた溝部6の深さが、筒状部5の内周側に設けられた溝部6の深さよりも浅く形成されている。
ハニカム構造体12は、外周側に設けられた溝部6が、内周側に設けられた溝部6よりも浅いので、筒状部5の径方向から外圧が加えられてもその外圧が内周側に伝わりにくい傾向があり、さらに機械的強度が高くなる傾向がある。また、溝部6の深さが、内周側より外周側が浅いことから、外周側の熱容量が大きくなるため、再生時の最高温度を抑制することができ、結果としてハニカム構造体の再生回数の限界値が向上する傾向がある。
図5(a),(b)および図6(a),(b)は、本実施形態のハニカム構造体のさらに他の例を示す部分断面図である。
図5に示す例のハニカム構造体13,14は、断面視で、流入路2aが八角形状で、流出路2bが四角形状であり、流入路2aは流出孔2aよりも開口面積が大きい。
ハニカム構造体13,14は、流入路2aの開口面積が、流出路2bの開口面積に比べてより大きいので、流体が流入する流入路2aを形成する隔壁部4の表面積がより大きくなるほか、流体がより流入路2aに流入しやすくなり、捕集効率が高くなる傾向がある。
また、ハニカム構造体14は、流体が流れる方向に垂直な断面において、溝部6の断面形状がU字形状であるので、第2の隔壁部4bにおける溝部6の角部に相当する部位に応力が集中しにくくなっており、ハニカム構造体13に比べて機械的強度がより高くなる傾向がある。
図6(a)および(b)は、本実施形態のハニカム構造体のさらに他の例を示す部分断面図である。
図6に示す例のハニカム構造体15,16は、流入路2aの開口面積が、流出路2bの開口面積に比べてより大きいので、流体が流入する流入路2aを形成する隔壁部4の表面積がより大きくなるほか、流体がより流入路2aに流入しやすくなり、捕集効率が高くなる傾向がある。
さらに、隔壁部4の流通孔2側の壁面同士のなす角部が曲面を有していることから、ハニカム構造体15,16の径方向からの外圧を受けても、隔壁部4における流通孔2の角部に相当する部位に応力が集中しにくいので、ハニカム構造体としての機械的強度がより高くなる傾向がある。
ハニカム構造体16は、流体が流れる方向に垂直な断面において、溝部6の断面形状がU字形状であるので、第2の隔壁部4bにおける溝部6の角部に相当する部位に応力が集中しにくくなっており、ハニカム構造体15に比べて機械的強度がより高くなる傾向がある。
ここで、図5および図6に示すハニカム構造体13〜16では、溝部6を除く流入路2aの直径は、流出路2bの直径(流出路2b側に溝部6を設けている場合には溝部6を除く流
出路2bの直径)に対して、1.55倍以上1.95倍以下であることが好適である。このように、直径の比が1.55倍以上1.95倍以下であれば、流入路2aを形成する隔壁部4の表面積をより大きくできるので、捕集効率を高く維持することができ、かつ機械的強度を高く維持することができる。ここで、流入路2aおよび流出路2bのそれぞれの直径とは、流入側の端面101,流出側の端面102における、溝部6を除く開口部の隔壁部4に接する内接円の直径をいい、光学顕微鏡を用いて、例えば、倍率を100倍として測定することができる。
図7は、本実施形態のガス処理装置の一例を模式的に示す概略断面図である。
図7に示す例のガス処理装置10は、本実施形態のハニカム構造体1を備え、流通孔2の封止されていない一端を入口とし、この他の流通孔2の封止されていない他端を出口として排気ガス(EG)を通過させることによって、排気ガス中の微粒子を隔壁部4で捕集するガス処理装置である。ハニカム構造体1は、その外周を断熱材層7に保持された状態でケース8に収容され、断熱材層7は、例えばセラミックファイバ,ガラスファイバ,カーボンファイバおよびセラミックウィスカーの少なくとも1種から形成されている。
また、ケース8は、例えば、SUS303,SUS304およびSUS316等のステンレスか
らなり、その中央部が円筒状に、両端部が円錐台状にそれぞれ形成され、排気ガスが供給されるケース8の流入口8aおよび排気ガスが排出される流出口8bにはそれぞれパイプ9a,9bが接続されている。
このようなガス処理装置10の流入側には、ディーゼルエンジン,ガソリンエンジン等の内燃機関(図示しない)が接続され、この内燃機関が作動して生じた排気ガスがパイプ9aからケース8に供給されると、ハニカム構造体1の流入路2aの中に、排気ガスが導入されるが、流出側に形成された封止材3aによってその流出が遮られる。流出が遮られた排気ガスは、通気性を有する隔壁部4を通過して、隣接する流出路2bに導入される。排気ガスが隔壁部4を通過するとき、隔壁部4の壁面や隔壁部4の気孔の表面で排気ガス中の微粒子が捕集される。微粒子が捕集された排気ガスは、浄化された状態で、流出路2bからパイプ9bを介して外部に排出される。
このような本実施形態のガス処理装置10は、例えば、前述したとおり、圧力損失の上昇を抑制でき、また微粒子の捕集効率を高くすることができ、さらに機械的強度の高い本実施形態のハニカム構造体1を備えているときには、信頼性の高いガス処理装置を提供することができる。
また、本実施形態では流体が気体である排気ガスを用いた例について説明したが、流体として液体を用いることも可能である。例えば、流体として上水または下水を用いることが可能であり、本実施形態のガス処理装置を液体の濾過用としても適用することができる。
次に、本実施形態のハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
封止材3,隔壁部4および筒状部5の主成分がいずれもチタン酸アルミニウムであるセラミック焼結体からなるハニカム構造体1を得る場合には、まず、酸化アルミニウムの粉末を29〜39質量%,酸化第二鉄の粉末を10〜16質量%,酸化マグネシウムの粉末を3〜5質量%および残部を酸化チタンの粉末として調合した調合原料を水,アセトンまたは2−プロパノールとともに混合して一次原料を得る。ここで、用いる前記各粉末は、いずれも純度が高い粉末を用いることが好ましく、その純度は99.0質量%以上、特に99.5質量%以上であることがさらに好適である。なお、チタン酸マグネシウム(MgTi)およびチタン酸鉄(FeTiO)をチタン酸アルミニウム(AlTiO)に固溶できれ
ば、これら金属酸化物の粉末以外に炭酸塩,水酸化物および硝酸塩などの粉末を用いてもよく、またこれらの化合物の粉末を用いてもよい。
次に、得られた一次原料を大気雰囲気中、温度を1400℃以上1500℃以下として、1時間以上5時間以下で仮焼することにより、元素Ti,Al,MgおよびFeが互いに固溶した擬ブルッカイト型の結晶からなる仮焼粉末を得ることができる。
この仮焼粉末に、例えば、平均粒径が1μm以上3μm以下であって、添加量が仮焼粉末100質量部に対して、0.4質量部以上1.2質量部以下である酸化珪素の粉末と、添加量が
仮焼粉末100質量部に対して、1質量部以上13質量部以下であるグラファイト,澱粉また
はポリエチレン樹脂等の造孔剤とを添加した後、さらに可塑剤,増粘剤,滑り剤および水等を加えて混合体とし、この混合体を万能攪拌機,回転ミルまたはV型攪拌機等に投入して混練物を作製する。そして、この混練物を三本ロールミルや混練機等を用いて混練し、可塑化した坏土を得る。また、前述した混合体の一部にさらに水を加えて封止材3を設けるためのスラリーを作製する。
次に、この坏土を押出成形機を用いて成形する。この押出成形機には成形型が装着され、その成形型は成形体の外径を決定する内径が、例えば155mm以上300mm以下であり、筒状部5の内側に配置され、第1の隔壁部4aと、軸方向Aに沿って延びた溝部6を備えるとともに、溝部6と対応する部分の厚さが第1の隔壁部4aの厚さよりも厚い第2の隔壁部4bとを形成するためのスリットを有している。
ここで、溝部6や流通孔2の形状を任意に変更するときは、坏土が押し出される側の成形型の端面の形状を変更すればよく、例えば、作製するハニカム構造体の軸方向Aに垂直な断面の形状を転写するようにすればよい。
そして、上述したような成形型が装着された押出成形機に坏土を投入し、圧力を加えてハニカム状の成形体を作製し、得られた成形体を乾燥して所定長さに切断する。
次に、切断された成形体の複数の流通孔2の流入側および流出側のそれぞれを交互に封止する封止材3を作製する。具体的には、まず、流出側の端面102で封止材3bが封止す
る部分ができるように市松模様にマスキングし、成形体の流出側の端面102側を、混合体
を用いて作製したスラリーに浸漬する。なお、マスキングが施されていない流入路2aには、流入側の端面101側から撥水性の樹脂が被覆された先端部を備え、この先端部が平坦
に形成されたピンを、予め挿入しておき、流出側で流入路2aに浸入したスラリーを常温にて乾燥する。このようにすることによって、成形体の流出側の封止材3bが形成される。そして、前記ピンを抜き、上述の作業と同じ作業を成形体の流入側でも行ない、封止材3aを形成する。
次に、得られた成形体を焼成する。具体的には、電気炉またはガス炉等の焼成炉の中に成形体を配置し、温度を1300℃〜1500℃として、2時間〜10時間保持することにより、本実施形態のハニカム構造体1を得ることができる。
なお、封止材3,隔壁部4および筒状部5の主成分がいずれもコージェライトであるセラミック焼結体からなるハニカム構造体1を得る場合には、焼結体におけるコージェライトの組成がSiOが40〜56質量%、Alが30〜46質量%、MgOが12〜16質量%となるように、カオリン,仮焼カオリン,アルミナ,水酸化アルミニウム,シリカ,タルクまたは焼タルクなどのコージェライト化する原料を調合して調合原料を得る。これ以降、ハニカム構造体1を得るまでの工程は、焼成の温度を1300℃〜1500℃から1350℃〜1450℃に変更する以外は、主成分がチタン酸アルミニウムの場合と同様である。
このように作製されたハニカム構造体1は、第2の隔壁部4bは、径方向からの外圧に対して、より強い梁として作用する。
また、隔壁部4の壁面に触媒を担持するハニカム構造体1を得るには、上述した製造方法によって得られたハニカム構造体1を、触媒となる、例えば、ルテニウム,ロジウム,パラジウム,イリジウムおよび白金等の白金族金属の可溶性の塩と、ポリビニルアルコール等のバインダーと水とからなるスラリーに浸漬させた後、温度を100℃以上150℃以下で1時間以上48時間以下保持することによって乾燥すればよい。そして、乾燥させた後、温度を600℃以上700℃以下で2時間以上4時間以下熱処理することにより、隔壁部4の壁面に触媒を担持したハニカム構造体1を得ることができる。
また、窒素酸化物(NOx)を吸蔵して還元するための触媒であるZSM−5,ZSM−11,ZSM−12,ZSM−18,ZSM−23,MCMゼオライト,モルデナイト,ファージャサイト,フェリエライトおよびゼオライトベータの少なくとも1種を隔壁部4の壁面および隔壁部4の気孔の表面の少なくともいずれかに担持させる場合には、白金族金属に加え、アルカリ金属,アルカリ土類金属,希土類金属から選択される少なくともいずれかをスラリーに添加しておけばよい。
そして、上述した方法によって作製されたハニカム構造体の外周を断熱材層7で被覆した状態で、ケース8に収容した後、パイプ9aをケース8の流入口8aに、また、パイプ9bをケース8の流出口8bに、それぞれ接続することで、図7に示す例の本実施形態のガス処理装置10を得ることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、酸化アルミニウムの粉末を33.4質量%,酸化第二鉄の粉末を15.5質量%,酸化マグネシウムの粉末を11.1質量%および酸化チタンの粉末を40質量%として、これら粉末を調合した調合原料を水とともに混合したスラリーを噴霧乾燥法によって乾燥し、平均粒径が175μmである顆粒を得た。ここで、酸化アルミニウム,酸化第二鉄,酸化マグネシウ
ムおよび酸化チタンの各粉末は、いずれも純度が99.5質量%の粉末を用いた。
次に、得られた顆粒を大気雰囲気中、温度を1450℃として、3時間で仮焼することにより、元素Ti,Al,MgおよびFeが互いに固溶した擬ブルッカイト型の結晶からなる仮焼粉末を得た。
そして、仮焼粉末100質量%に対して、平均粒径が2μmの酸化珪素の粉末を2.5質量%、ポリエチレン樹脂を7質量%添加した後、さらに可塑剤,増粘剤,滑り剤および水を加えて混合体とし、この混合体を万能攪拌機に投入して混練物を作製した。そして、この昆錬物を混練機にてさらに混練し、可塑化した坏土を得た。また、前述した混合体の一部にさらに水を加えて封止材3を設けるためのスラリーを作製した。
次に、図2および図3に示されるハニカム構造体1,11となる成形体を得るための成形型が装着された横型押出成形機に坏土を投入し、圧力を加えてハニカム状に成形し、乾燥させてから、所定長さに切断し、成形体を得た。
そして、成形体の流出側の端面102を市松模様にマスキングし、成形体の流出側を、混
練体に水を加えて得たスラリーに浸漬した。次に、このスラリーに成形体の端面102側を
浸漬した状態で、撥水性の樹脂が被覆された先端部を備え、この先端部が平坦に形成されたピンを、流入側の端面101側から封止材3bを形成する流入路2aに挿入して、ピンの
先端部の位置を調節して、封止材3bの厚さが2.5mmとなるようにした後、流出側で流
入路2aに浸入したスラリーを常温にて乾燥させることによって、封止材3bを形成した。そして、前記ピンを抜き、上述の作業と同じ作業を成形体の流入側でも行ない、封止材3aを形成した。
そして、電気炉を用いて成形体を、温度を1380℃として、5時間保持して、それぞれ図2および図3に示されるハニカム構造体である試料No.1,2を得た。
なお、試料No.1,2は、いずれも外径および軸方向Aの長さがそれぞれ144mm,156mmであって,軸方向Aに対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカム構造体とした。また、試料No.1,2は、第1の隔壁部
4a,第2の隔壁部4bおよび第2の隔壁部4bの溝部6と対応する部分の各厚さW(4a),W(4b)およびW(6)の各厚さが、表1で示すように作製した試料である。溝部6は第2の隔壁部4bの流入路2a側のみに設け、その幅は、試料No.1,2ともに0.4mmとした。また、試料No.1は、溝部6の断面形状が四角形状で、試料No.2
は、溝部6の断面形状がU字形状となるように作製した。
次に、比較例として、試料No1,2を作製した坏土を用い、外形寸法,第1の隔壁部4a,第2の隔壁部4bの厚さW(4a),W(4b),W(6)が表1の値で、溝部6が第2の隔壁4bの角部(隔壁部4の交差する部分)に設けられた試料No.3,4を作製した。また、試料No.3,4は、溝部6の断面形状は四角形状として、断面における溝部6の側面間の距離を0.4mmとした。
なお、試料No.3,4の厚さW(6)は、溝部6が設けられた隔壁部4の交差する部分において、対角線上に向かい合う溝部6の間にある隔壁部4の厚さを示す。
さらに、試料No1,2を作製した坏土を用い、外形寸法,第1の隔壁部4a,第2の隔壁部4bの厚さW(4a),W(4b),W(6)が試料No1,2と同じで、溝部6が流出路2b側のみに設けられた試料No.5、溝部6が流入路2a側および流出路2b側の両方に設けられた試料No.6を作製した。なお、試料No.6において溝部6はそれぞれが重ならないよう、位置をずらして設けた。
なお、試料毎にアイソスタティック破壊強度測定用試料,圧力損失測定用試料および微粒子の捕集量測定用試料を準備した。
そして、各試料の機械的強度を評価するために、各試料のアイソスタティック破壊強度をJASO M 505−87に準拠して測定し、その測定値を表1に示した。なお、このとき
の各試料は、内径および高さがそれぞれ175mm,640mmであるゴム製の容器の内部に個別に配置し、容器の内部を充填する媒体は水とし、圧力上昇速度を0.3MPa/分として
加圧した。
また、各試料の圧力損失については、各試料を図7に示すガス処理装置10のケース8にそれぞれ収容し、パイプ9aをカーボン発生装置(日本カノマックス(株)製,型式S4102図示せず)に接続した後、流入側の端面101に対する流出側の端面102の圧力損失(PL)をマノメーターによって測定した。そして、カーボン発生装置から微粒子を含む、温度25℃の乾燥空気を流量2.27Nm/分で直接噴射して、ハニカム構造体の体積0.001m
に対して、微粒子が12g捕集されたときの流入側の端面101に対する流出側の端面102の圧力損失(PL)をマノメーターによって測定し、これら測定値を表1に示した。また
、圧力損失の上昇を示すΔPL(=PL−PL)を算出し、その値を表1に示した。
また、微粒子の捕集量測定について、各試料をガス処理装置10に個別に設置し、エンジンの回転数およびトルクをそれぞれ3000min−1,50N・mとして、エンジンを所定時間運転させて排気ガスをガス処理装置10に導入し、微粒子を捕集した。次に、エンジンの回転数を4000min−1として、各試料の温度が700℃になったときに、エンジンの回転
数を1050min−1,トルクを30N・mにそれぞれ変更して微粒子を燃焼させるという耐久性試験を実施した。この排気ガスの導入,微粒子の捕集および燃焼という操作を、微粒子の捕集量が0.1mg/cm増加する毎に繰り返し、クラックが発生するまでの微粒子
の捕集量を求め、その値を表1に示した。
表1に示すように、試料No.3,4は、溝部6が、応力の集中しやすい第2の隔壁部4bの角部に設けられており、製造工程において流通孔2に歪みが生じており、試料No.1,2に比べて圧力損失の上昇値が大きく、またアイソスタティック破壊強度がその他の試料に比べて低い。
一方、試料No.1,2は、第2の隔壁部4bにおいて、流入路2a側に、流体が流れる方向に沿って溝部6が設けられていることから、圧力損失の上昇値が小さく、通気性が損なわれにくくなっているので、微粒子を除去する頻度が少なくなり、長期間に亘って効率よく使用することができると言える。また、試料No.1,2は、第2の隔壁部4において、溝部6と対応する部分の厚さW(6)が第1の隔壁部4aの厚さW(4a)より厚いので、試料No.3,4に比べてアイソスタティック破壊強度が高く、機械的強度が向上している。
また、溝部6が流入路2a側に設けられた試料No.1,2は、溝部6が流出路2b側に設けられた試料No.5に比べて、微粒子の捕集量が多く、微粒子の捕集効率がより高いことがわかった。
さらに、溝部6が流入路2a側にのみ設けられた試料No.1,2は、溝部6が流入路2a側および流出路2b側の両方に設けられた試料No.6よりもアイソスタティック破壊強度が高く、機械的強度が向上している。
ここで、試料No.2は、溝部6の断面形状がU字形状であることから、角部に応力が集中しにくく、試料No.1よりもアイソスタティック破壊強度が高くなっており、機械
的強度が向上している。
実施例1と同様の方法を用いて、図4に示すハニカム構造体12で、外形寸法は、いずれも外径および軸方向Aの長さがそれぞれ144mm,156mmであって,図1に示す軸方向A
に対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数を300CPSIである試料
No.7〜9を作製した。また、試料No.7〜9は、第1の隔壁部4a,第2の隔壁部
4bの各厚さW(4a),W(4b)は、表2に示す値となるようにした。さらに、試料No.7〜9の中心から外周に向かって12mmまでの領域を第1の領域,中心から36mmまでの領域(ただし第1の領域を除く)を第2の領域,中心から60mm以上離れた領域(ただし第1の領域および第2の領域を除く)を第3の領域としたとき、各領域における、第2の隔壁部4bの溝部6と対応する部分の厚さW(6)を、表2に示す値となるようにした。なお、試料No.7〜9の溝部6の幅は0.4mmとした。なお、溝部6は第2の隔
壁部4bの流入路2a側に設けた。
そして、各試料の機械的強度を評価するために、各試料のアイソスタティック破壊強度を実施例1で示した方法で測定し、その測定値を表2に示した。
表2に示すように、試料No.7,8は、筒状部5の外周側に設けられた溝部6の深さが、筒状部6の内周側に設けられた溝部6の深さよりも浅いことから、径方向からの外圧が加えられてもその外圧が試料No.9よりも内周側に伝わりにくくなっているため、アイソスタティック破壊強度が高く、機械的強度が向上している。
また、本実施形態のガス処理装置10は、上述した通り、圧力損失の上昇を抑制することができ、さらに機械的強度が高い実施例1,2で示した本実施形態のハニカム構造体1を備えているので、信頼性の高いガス処理装置を提供することができる。
1,11〜15:ハニカム構造体
2:流通孔
2a:流入路
2b:流出路
3:封止材
4:隔壁部
4a:第1の隔壁部
4b:第2の隔壁部
5:筒状部
6:溝部
7:断熱材層
8:ケース
9:パイプ

Claims (5)

  1. 内部を流体が流れる筒状部と、該筒状部の内側に配置された格子状の通気性を有する隔壁部と、該隔壁部によって囲まれており、両端が交互に封止されて前記流体の流入路と流出路となる複数の流通孔とを有し、前記隔壁部は、第1の隔壁部と第2の隔壁部とを備えるとともに、前記第2の隔壁部は、前記流入路側に、前記流体が流れる方向に沿って溝部が設けられており、該溝部と対応する部分の厚さが前記第1の隔壁部の厚さより厚いことを特徴とするハニカム構造体。
  2. 前記流体が流れる方向に垂直な断面において、前記溝部の断面形状がU字形状または半円形状であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記溝部は、前記第2の隔壁部のうち、前記第1の隔壁部または前記第2の隔壁部との交差部以外の部位に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記筒状部の外周側に設けられた前記溝部の深さが、前記筒状部の内周側に設けられた前記溝部の深さよりも浅いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のハニカム構造体を備えていることを特徴とするガス処理装置。
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JP2018126869A (ja) * 2017-02-06 2018-08-16 日本碍子株式会社 目封止ハニカム構造体の製造方法
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