JP2012106239A - ハニカム構造体およびこれを用いたガス処理装置 - Google Patents

ハニカム構造体およびこれを用いたガス処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性に優れ、再生するための加熱を繰り返しても、クラックが生じにくいハニカム構造体およびガス処理装置を提供する。
【解決手段】筒状部5と、筒状部5の内側に格子状に配置されて複数の流通孔2を形成する隔壁部4とを備え、隔壁部4は、第1の部位4aと、第1の部位4aの内方に位置する第2の部位4bとを有するとともに、気孔率が、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に小さくなっているハニカム構造体1である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハニカム構造体およびこれを備えたガス処理装置に関するものである。
従来、内燃機関、焼却炉およびボイラー等から発生する排気ガス中に含まれる炭素を主成分とする微粒子(特に、ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンの排気ガス中の炭素を主成分とする微粒子),硫黄が酸化してできる硫酸塩を主成分とする微粒子および高分子からなる未燃焼の炭化水素等の微粒子等は、環境汚染の原因となるため、フィルタを用いて捕集・除去されている。
このようなフィルタとして、内部が微粒子を捕集するための隔壁で仕切られたハニカム構造体が用いられている。
ハニカム構造体は、長期間使用することにより、捕集した微粒子の蓄積によって隔壁の通気性が次第に損なわれるため、定期的に微粒子を除去することによって再生することが知られている。例えば、ハニカム構造体を再生する方法としては、600℃以上に加熱して
、微粒子を燃焼除去する方法や、ハニカム構造体の排気ガスの流入側に酸化触媒を配置し、この酸化触媒に軽油等の燃料を供給することによって生じる酸化反応によって発生する熱を利用して、微粒子を燃焼除去する方法等がある。
ところで、ハニカム構造体を再生するために上述した方法で加熱を繰り返すと、ハニカム構造体に生じる熱応力が蓄積して大きな残留応力となり、この残留応力によってハニカム構造体が破損することがあった。
このような残留応力による破損を抑制するために、近年では、機械的特性の向上したハニカム構造体が種々提案されている。例えば、特許文献1では、流体の流路となる多数のセルを形成する格子壁と、格子壁の周囲を覆う周壁とよりなるセラミックスハニカム構造体において、少なくとも周壁の近傍に位置する格子壁の外周部は、外周部よりも内部に位置する格子壁の内周部よりも気孔率が低いセラミックスハニカム構造体が提案されている。
特開2001−162177号公報
しかしながら特許文献1で提案されているセラミックスハニカム構造体は、外径が大きい場合には、特に周壁に生じる応力が大きくなりやすく、周壁にクラックが生じやすかった。この対策として、外周部の気孔率をさらに小さくすることが考えられるが、この場合、加熱による再生を繰り返すと、外周部と内周部とで生じる残留応力の差が大きくなりクラックが生じやすいという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑み、機械的特性に優れ、再生するために加熱を繰り返してもクラックが生じにくいハニカム構造体と、このハニカム構造体を備えるガス処理装置を提供することを目的とする。
本発明のハニカム構造体は、筒状部と、該筒状部の内側に格子状に配置されて複数の流通孔を形成する隔壁部とを備え、該隔壁部は、第1の部位と、該第1の部位の内方に位置する第2の部位とを有するとともに、気孔率が、前記第2の部位,前記第1の部位,前記筒状部の順に小さくなっていることを特徴するものである。
本発明のガス処理装置は、上記構成のハニカム構造体を備えていることを特徴とするものである。
本発明のハニカム構造体は、筒状部と、筒状部の内側に格子状に配置されて複数の流通孔を形成する隔壁部とを備え、該隔壁部は、第1の部位と、該第1の部位の内方に位置する第2の部位とを有するとともに、気孔率が、前記第2の部位,前記第1の部位,前記筒状部の順に小さくなっていることにより、加熱による再生を繰り返した場合にこれらの各部位で生じるそれぞれの残留応力の差を小さくすることができるため、クラックの発生を抑制することができる。
本発明のガス処理装置によれば、加熱による再生を繰り返してもクラックの発生が少ない本発明のハニカム構造体を備えていることから、長期間に亘って使用することができる。
本実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す、(a)は斜視図であり、(b)は(a)におけるC−C’線における断面図である。 図1に示す例のハニカム構造体を示す、(a)は流入側の端面の一部を示す側面図であり、(b)は流出側の端面の一部を示す側面図である。 図1に示す例のハニカム構造体の、軸方向に垂直な断面における、第2の部位,第1の部位および筒状部を示す模式図である。 本実施形態のハニカム構造体の他の例を示す、(a)は流入側の端面の一部を示す側面図であり、(b)は流出側の端面の一部を示す側面図である。 本実施形態のハニカム構造体の他の例を示す、(a)は流入側の端面の一部を示す側面図であり、(b)は流出側の端面の一部を示す側面図である。 本実施形態の一例を模式的に示すガス処理装置の概略断面図である。
以下、本発明のハニカム構造体およびこれを用いたガス処理装置の実施の形態の例について説明する。
図1は、本実施形態のハニカム構造体の一例を示す、(a)は斜視図であり、(b)は(a)におけるC−C’線での断面図である。また、図2は、図1に示す例のハニカム構造体を示す、(a)は流入側の端面の一部を示す側面図であり、(b)は流出側の端面の一部を示す側面図である。
図1(a)に示す例のハニカム構造体1は、筒状部5と、筒状部5の内側に格子状に配置されて複数の流通孔2を形成する隔壁部4とを備える。また、複数の流通孔2は、流体の流入側および流出側のそれぞれを封止材3で交互に封止されており、以降の説明において図1(b)で示すように、流入側が封止材3aで封止された流通孔2を流通孔2aとし、流出側が封止材3bで封止された流通孔2を流通孔2bとする。なお、ハニカム構造体1の筒状部5の軸方向を矢印X(以下、軸方向Xという)で示している。
また、図2に示す例のハニカム構造体1は、流通孔2bおよび2bの開口部の形状がいずれも4角形状で、また開口面積が同じである。なお、流入側の端面は符号101で示し、
流出側の端面は符号102で示してある。
そして、図1に示す例のハニカム構造体1は、例えば、外径が140〜270mm,軸方向Xの長さが100〜250mmの円柱形状であって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通孔2a,2bの個数は、100mm当たり5〜124個(32〜800CPSI)である。また、隔
壁部4は、幅が0.05mm以上0.25mm以下であり、封止材3a,3bは、厚みが1mm以上5mm以下である。なお、CPSIとはCells Per Square Inchesのことである。
なお、ハニカム構造体1の流入側に、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関(図示しない)が配置され、この内燃機関が作動すると、流体である排気ガスが発生し、この排気ガスは、ハニカム構造体1の流通孔2bから導入され、封止材3bによってその流出が遮られる。流出が遮られた排気ガスは、多孔質の隔壁部4を通過して、隣接する流通孔2aに導入される。排気ガスが隔壁部4を通過するとき、隔壁部4の壁面や気孔を形成している隔壁部4の表面で、排気ガス中の炭素を主成分とする微粒子,硫黄が酸化してできる硫酸塩を主成分とする微粒子,高分子からなる未燃焼の炭化水素等の微粒子等(以下、これらを総称して単に微粒子という。)が捕集される。微粒子が捕集された排気ガスは、浄化された状態で、流通孔2aから外部に排出される。
図3は、図1に示す例のハニカム構造体1の、軸方向Xに垂直な断面における、第2の部位,第1の部位および筒状部を示す模式図である。
図3に示すハニカム構造体1は、外径をL,筒状部5の内周面から中心方向に長さtまでにある隔壁部4を第1の部位4a,第1の部位4aの内方に位置する隔壁部4を第2の部位4bと示し、さらに第1の部位4aと第2の部位4bとの境界を破線Kで示す。また、図3では、第1の部位4aおよび第2の部位4bを部分的に拡大して示している。
本実施形態のハニカム構造体1は、第1の部位4aと、第1の部位4aの内方に位置する第2の部位4bとを有するとともに、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に気孔率が小さくなっている。
気孔率が、上述した順に小さくなっていることから、ハニカム構造体1は、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に熱容量が高くなっている。通常、ハニカム構造体1は、熱が外部に逃げやすい筒状部5側が冷めやすくなり、その一方でハニカム構造体1の内部である第2の部位4bが冷めにくくなる。それゆえ、熱容量が、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に高くなるように、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に気孔率を小さくすることで、加熱による再生を繰り返した場合にこれらの各部位で熱によって生じる残留応力の差を小さくすることができ、クラックの発生を抑制することができる。あわせて、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に気孔率が小さくなっていることから、微粒子の捕集効率に影響しやすい第2の部位4bの気孔率を比較的高くすることができ、微粒子の捕集効率を高く維持することができる。
また、本実施形態では、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に、ハニカム構造体1の中心から筒状部5の方向に、3段階で気孔率が小さくなる構成としているが、各部位で生じる残留応力の差をより小さくするために、ハニカム構造体1の中心から筒状部5の方向に4段階以上で気孔率が小さくなる構成としてもかまわない。また、徐々に気孔率が小さくなる構成としてもよい。
ここで、第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5の各気孔率は、上述した順序
を維持した上で、例えば、40体積%以上50体積%以下,33体積%以上43体積%以下,25体積%以上35体積%以下とすることができる。
また、ハニカム構造体1の平均気孔径は、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に小さくなっていることが好適である。それにより、加熱による再生を繰り返した場合にこれらの各部位で生じる残留応力の差をより小さくすることができるため、クラックの発生をさらに抑制することができる。
ここで、第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5の各平均気孔径は、上述した順序を維持した上で、例えば、10μm以上20μm以下,9μm以上19μm以下,8μm以上18μm以下とすることができる。
さらに、JIS Z 8831-2:2010(ISO 15901−2:2006(MOD))で規定されるメソ細孔およびミクロ細孔は、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に少ないことが好適である。それにより、さらに機械的特性が高くなる傾向になる。
なお、本実施形態におけるハニカム構造体1は、図3に示すように、第1の部位4aは、筒状部5の内周面から中心方向の長さtを外径Lの6%以内とすることが好適である。また、筒状部5の厚みは0.5mm以上1.5mm以下であることが好適である。第1の部位4aの領域を上記範囲とすることで、機械的特性を高くすることができるほか、捕集効率を向上することができる。
また、本実施形態のハニカム構造体1では、第1の部位4aにおける気孔率は、流体の流入側よりも流出側が大きいことが好適である。それにより、微粒子が捕集されることによって生じる圧力損失の上昇を抑制することができ、微粒子の燃焼除去が必要となるまでの時間をより長くすることができる。特に、第1の部位4aにおける気孔率は、流入側よりも流出側が7体積%以上大きいことが好適である。
また、第2の部位4bにおける平均気孔径は、流体の流入側よりも流出側が大きいことが好適である。それにより、圧力損失の上昇が比較的進みやすい流出側で、微粒子が捕集されることによって生じる圧力損失の上昇を抑制することができ、微粒子の燃焼除去が必要となるまでの時間をさらに長くすることができる。
なお、流入側および流出側のそれぞれの気孔率は、流入側と流出側の端部同士を比較すればよい。
また、本実施形態のハニカム構造体1では、筒状部5は、第1の部位4aよりも平均気孔径が小さいことが好適である。この場合には、筒状部5は第1の隔壁部4aよりも相対的に気孔が小さいため、高い機械的特性を得ることができるとともに、再生するための加熱を繰り返してもクラックが生じにくくなり、耐久性が高くなる傾向となる。また、筒状部5と第1の部位4aとの平均気孔径の差は1μm以上あることが好適である。
また、本実施形態のハニカム構造体1では、第1の部位4aは、第2の部位4bよりも平均気孔径が小さいことが好適である。この場合には、第1の部位4aは第2の部位4bよりも平均気孔径が相対的に小さいため、高い機械的特性が得られやすく、第2の部位4bは第1の部位4aよりも平均気孔径が相対的に大きくなり、高い捕集効率が得られやすいことから、高い機械的特性および高い捕集効率を兼ね備えた構成とすることができる。また、第1の部位4aと第2の部位4bとの平均気孔径の差は1μm以上あることが好適である。
また、本実施形態のハニカム構造体1では、第2の部位4bにおける隔壁部4の気孔は、気孔径の累積分布曲線における累積25体積%の気孔径(P25)に対する累積75体積%の気孔径(P75)の比(P75/P25)が1.1以上1.5以下であることが好適である。気孔径比(P75/P25)が1.1以上1.5以下であると、気孔径のばらつきが抑制されるため、極端に大きい気孔の個数が減少し、その結果、機械的特性が高くなり、外圧がかかっても破損しにくくなる。さらに、気孔径(P75)の比(P75/P25)が前記範囲であれば、極端に大きい気孔の個数が減少したとしても、微粒子の捕集効率を高く維持することができる。
ここで、累積25体積%の気孔径(P25)に対する累積75体積%の気孔径(P75)の比(P75/P25)を規定したのは、第2の部位4bにおける隔壁部4に存在する気孔の気孔径の分布の特徴が最も顕著に表れるからである。
また、第1の部位4aにおける隔壁部4の気孔は、気孔径の累積分布曲線における累積25体積%の気孔径(P25)に対する累積75体積%の気孔径(P75)の比(P75/P25)が1.1以上1.3以下であることがより好適である。
なお、第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5のそれぞれの平均気孔径および気孔率は、水銀圧入法に準拠して求めればよい。
具体的には、まず、これらの各部位から質量がそれぞれ0.6g以上0.8g以下となるように平均気孔径および気孔率を測定するための試料を切り出す。
次に、水銀圧入型ポロシメータを用いて、試料の気孔に水銀を圧入し、水銀に加えられた圧力と、気孔内に浸入した水銀の体積を測定する。
この水銀の体積は気孔の体積に等しく、水銀に加えられた圧力と気孔径には以下の式(1)(Washburnの関係式)が成り立つ。
d=−4σcosθ/P・・・(1)
但し、d:気孔径(m)
P:水銀に加えられた圧力(Pa)
σ:水銀の表面張力(0.485N/m)
θ:水銀と気孔の表面との接触角(130°)
式(1)から各圧力Pに対する各気孔径dが求められ、各気孔径dの分布および累積気孔体積を導くことができる。そして、累積気孔体積の百分率が50体積%に相当する気孔径(P50)を平均気孔径とし、試料の体積に対する累積気孔体積の百分率を気孔率とすればよい。
同様にして、第2の部位4bにおける隔壁部4に存在する気孔の気孔径を式(1)によって求め、その累積分布曲線における累積25体積%および75体積%に相当する気孔径をそれぞれ気孔径(P25)、(P75)とすればよい。なお、気孔径の累積分布曲線とは、2次元のグラフにおける横軸を気孔径、縦軸を気孔径の累積気孔体積の百分率とした場合、気孔径の累積分布を示す曲線をいい、気孔径の分布範囲を示すものである。
本実施形態のハニカム構造体1では、隔壁部4および筒状部5は、線膨張係数が小さい成分、例えば、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO),β−ユークリプタイト(LiO・Al・2SiO),β−スポジュメン(LiO・Al・4SiO),炭化珪素(SiC),窒化珪素(Si),サイアロン(Si6−ZAl8−Z,但しzは固溶量で0.1以上1以下である。),ムライト(3
Al・2SiO),アルミン酸カルシウム(CaAl),燐酸ジルコニウ
ムカリウム(KZr(PO)またはチタン酸アルミニウム(AlTiO)を主成分とするセラミック焼結体からなるのが好適である。
特に、本実施形態のハニカム構造体1では、隔壁部4および筒状部5は、チタン酸アルミニウムを主成分とし、酸化珪素を含むセラミック焼結体からなり、酸化珪素の含有量が、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に多くなっていることが好適である。チタン酸アルミニウムは耐熱衝撃性が高いため、長期信頼性を高いものとすることができ、熱伝導率の低い酸化珪素が外周側に向かって多くなっていることから、微粒子の燃焼除去を終えても外部に急激に放熱することなく、緩やかに冷えるので、隔壁部4および筒状部5に溶損やクラックが生じにくくなる。
第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5における酸化珪素の各含有量は、例えば、上述した順序を維持した上で、順に5質量%以下(0質量%を除く),1質量%以上15質量%以下,3質量%以上20質量%以下であることが好適であり、その含有量は、蛍光X線分析(XRF)法またはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析法を用いて、元素Siの含有量を測定し、組成式がSiOとして示される酸化珪素に換算すればよい。
また、酸化珪素は、粒界相を構成する成分であり、組成式がSiOで示される二酸化珪素は安定性が高いため好適であるが、組成式がSiO2−x(ただし、xは0<x<2である。)で示される不定比の酸化珪素であっても何等差し支えない。
また、本実施形態のハニカム構造体1では、筒状部5を形成するセラミック焼結体は、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が0.1質量%以上0.3質量%以下であることが好適である。酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの含有量の合計が0.1質量%以上である場合には、微粒子を燃焼除去すると、融点の低い
これらの酸化物がわずかに軟化することで結晶粒界の自由度が増すと考えられ、再生するための加熱を繰り返しても、ハニカム構造体1に生じる残留応力が分散されやすくなり、筒状部5でのクラックが発生しにくくなる。また、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの含有量の合計が0.3質量%以下である場合には、再生するための加熱を繰り返しても、筒
状部5の外形形状自体に変化が現れない程度にこれらの酸化物の軟化の影響の程度を抑制することができると考えられる。また、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムを含有する部位を筒状部5に特定しているが、これはハニカム構造体1の外形形状を決定する部位が筒状部5であるため、これらの酸化物の含有量の上限値を設定し、酸化物の軟化の影響の程度を抑制することが重要であるためである。なお、隔壁部4においても、上記理由から、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が0.1質量%以上0.3質量%以下であるとよい。また、本実施形態のハニカム構造体1では、第2の部位4bにおける隔壁部4を形成するセラミック焼結体は、アルミン酸カリウム,アルミン酸ナトリウム,チタン酸カリウムおよびチタン酸ナトリウムの少なくともいずれか1種を含むことが好適である。これらの成分は、融点が高いので、再生するために加熱を繰り返しても、第2の部位4bは溶損しにくくなる。
また、本実施形態のハニカム構造体1は、酸化珪素以外に、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの少なくともいずれか1種を含んでいてもよく、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの含有量は、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に多くなっていることが好適である。
ハニカム構造体1は、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの少なくともいずれか1種を含んでいると、加熱による再生を繰り返しても主成分であるチタン酸アルミニウムが分解しにくくなるため、ハニカム構造体1の機械的強度を高く維持することができる。
また、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの含有量は、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に多くなっていると、加熱による再生を繰り返してもハニカム構造体1の機械的強度を維持するとともに、微粒子の捕集効率をより高く維持することができる。特に、酸化珪素と酸化アルミニウムとからなるムライトが含まれていると、さらに好適であり、ムライトが含まれていると加熱による再生を繰り返してもチタン酸アルミニウムは分解しにくくなり、ハニカム構造体1の機械的強度をさらに高く維持することができる。
さらに、隔壁部4および筒状部5は、チタン酸アルミニウムを主成分とし、酸化珪素を含むセラミック焼結体からなり、さらに、チタン酸マグネシウムおよびチタン酸鉄を含んでいることが好適である。
ここで、チタン酸マグネシウムおよびチタン酸鉄は、それぞれ耐食性および耐熱劣化性を向上させる機能を有し、チタン酸マグネシウムが含まれていると、加熱による再生を繰り返してもチタン酸アルミニウムは分解しにくいので、ハニカム構造体1の機械的強度をより高く維持することができる。また、チタン酸鉄が含まれていると、チタン酸鉄は硫酸塩に浸されにくいので、硫酸塩を主成分とする微粒子の捕集が進んでもハニカム構造体1の劣化を抑制できる。チタン酸マグネシウムおよびチタン酸鉄の各含有量は、例えば、16質量%以上24質量%とすることができ、この場合、いずれもチタン酸アルミニウムに固溶する。
なお、本実施形態における隔壁部4および筒状部5を形成するセラミック焼結体の主成分とは、セラミック焼結体を構成する成分のうち最も含有量の多い成分をいい、主成分と,主成分以外の上記成分のそれぞれの同定はX線回折法によって行ない、またこれら成分の各含有量はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法または蛍光X線分析法により求めることができる。例えば、主成分であるチタン酸アルミニウムについては、チタン酸アルミニウムを構成する各元素TiおよびAlの含有量を上記方法によって測定し、酸化物に換算した含有量の合計をチタン酸アルミニウムの含有量とすればよい。
次に、図4は、本実施形態のハニカム構造体の他の例を示す、(a)は流入側の端面の一部を示す側面図であり、(b)は流出側の端面の一部を示す側面図である。
図4に示す例のハニカム構造体1’は、流出側の封止材3bによって封止された流通孔2bの開口部の形状が8角形状で、流入側の封止材3aによって封止された流通孔2aの開口部の形状が4角形状であり、流通孔2aよりも流通孔2bの開口面積が大きいハニカム構造体である。なお、図2と同様に、流入側の端面は符号101で示し、流出側の端面は
符号102で示してある。
図4に示す例のように、流通孔2bおよび流通孔2aは、開口部の形状がそれぞれ8角形状および4角形状であり、流通孔2bは流通孔2aよりも開口面積が大きいときには、流通孔2bおよび流通孔2aの各開口面積が同等であるときよりも微粒子を吸着することのできる隔壁部4および封止材3bのそれぞれの表面積が大きくなるので、微粒子を効率よく捕集することができる。
次に、図5は、本実施形態のハニカム構造体の他の例を示す、(a)は流入側の端面の一部を示す側面図であり、(b)は流出側の端面の一部を示す側面図である。
図5に示す例のハニカム構造体1”は、流出側の封止材3bによって封止された流通孔2bおよび流入側の封止材3aによって封止された流通孔2aの開口形状がいずれも4角形状であり、開口部の角部が円弧状である。また、開口面積が流通孔2aより流通孔2b
の方が大きいハニカム構造体である。また、図2および図4と同様に、流入側の端面は符号101で示し、流出側の端面は符号102で示してある。
図5に示すように、流通孔2bおよび流通孔2aは、開口部の形状がいずれも4角形状であり、開口部の角部が円弧状であることから、角部の周りに応力が集中しにくいので、加熱、冷却を繰り返しても角部からクラックが生じにくくなり、また、開口面積が流通孔2aより流通孔2bの方が大きいので、微粒子を吸着することのできる隔壁部4および封止材3bのそれぞれの表面積が大きくなり、微粒子を効率よく捕集することができる。
特に、図4および図5に示す例の本実施形態のハニカム構造体1’,1”では、流通孔2bの直径は、流通孔2aの直径に対して、1.55倍以上1.95倍以下であることが好適である。このように、直径の比を1.55倍以上とすることで、微粒子を吸着することのできる隔壁部4および封止材3bのそれぞれの表面積が大きくなるので、微粒子の捕集量を増大させることができるとともに、直径の比を1.99倍以下とすることで、隔壁部4が極端に薄くならないので、機械的強度がほとんど損なわれない。ここで、流通孔2a,2bのそれぞれの直径とは、流入側の端面101,流出側の端面102における開口部の隔壁部4に接する内接円の直径をいい、光学顕微鏡を用いて測定することができる。
図6は、本実施形態の一例を模式的に示すガス処理装置の概略断面図である。
図6に示す例のガス処理装置10は、本実施形態のハニカム構造体1が、その外周を断熱材層6に保持された状態でケース7に収容され、排気ガスの流入口7aおよび流出口7bにそれぞれ排気管9a,9bが接続されている。また、断熱材層6は、例えばセラミックファイバー,ガラスファイバー,カーボンファイバーおよびセラミックウィスカーの少なくとも1種から形成されている。また、ケース7は、例えば、SUS303,SUS304およびSUS316等のステンレスからなり、その中央部が円筒状に、両端部が円錐台状にそれ
ぞれ形成されている。
このガス処理装置10の排気ガスの流入側には、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関(図示しない)が排気管9aを介して接続される。そして、この内燃機関が作動して、排気ガスが排気管9aを通ってケース7に供給されると、ハニカム構造体1の流通孔2bの中に、排気ガスが導入され、封止材3bによってその流出が遮られる。流出が遮られた排気ガスは、多孔質の隔壁部4を通過して、隣接する流通孔2aに導入される。排気ガスが隔壁部4を通過するとき、隔壁部4の壁面や隔壁部4の気孔の表面で排気ガス中の微粒子が捕集される。そして、微粒子が捕集された排気ガスは、浄化された状態で、流通孔2aから排出され、排気管9bを介して外部に排出される。
なお、図6に示す例のガス処理装置10では、ハニカム構造体1の隔壁部4の壁面に触媒を担持してもよい。担持する触媒には、排気ガス中の微粒子を酸化して燃焼するための触媒と、排気ガス中のNOを酸化してNOを生じさせるための触媒があり、このいずれかの触媒を隔壁部4の壁面に担持すればよく、両方の触媒を担持するとさらによい。
また、排気ガス中の微粒子を酸化して燃焼するための触媒としては、例えば、ルテニウム,ロジウム,パラジウム,オスミウム,イリジウム,白金等の白金族金属およびその酸化物,金,銀,銅等の周期表第11族金属および酸化バナジウムのうちの少なくともいずれか1種からなることが好適である。このような触媒を隔壁部4の壁面に担持すれば、触媒が排気ガス中の微粒子を酸化して燃焼するので、担持していないときよりも低い温度で微粒子を燃焼除去することができ、隔壁部4に溶損やクラックが生じることをさらに低減させることができる。
また、排気ガス中のNOを酸化するための触媒は、例えば、ZSM−5,ZSM−11,ZSM−12,ZSM−18,ZSM−23,MCMゼオライト,モルデナイト,ファージャサイト,フェリエライトおよびゼオライトベータの少なくとも1種からなることが好適である。このような触媒を隔壁部4の壁面に担持することにより、排気ガス中に含まれる有害なNOはNOに酸化されて放出される。なお、放出されたNOはアンモニアによって、窒素に還元することができる。このように、排気ガス中のNOを酸化するための触媒を隔壁部4の壁面に担持させることによって、排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
なお、これらの触媒は隔壁部4の壁面および隔壁部4の気孔の表面の少なくともいずれかに担持すればよい。
さらに、壁面に担持された触媒と排気ガスとの接触面積を大きくするために、γアルミナ,δアルミナおよびθアルミナ等の比表面積が大きい粉体を隔壁部4の壁面に担持してから触媒を担持するとよい。
このような本実施形態のガス処理装置10は、クラック等が生じにくい本実施形態のハニカム構造体1を備えることで、長期間に亘って使用することができる。
また、本実施形態では流体が気体である排気ガスを用いた例について説明したが、流体として液体を用いることも可能である。例えば、流体として上水または下水を用いることが可能であり、本実施形態のガス処理装置を液体の濾過用としても適用することができる。
次に、ハニカム構造体の製造方法について説明する。
まず、酸化アルミニウムの粉末を27〜33質量%,酸化第二鉄の粉末を13〜17質量%,酸化マグネシウムの粉末を7〜13質量%および残部を酸化チタンの粉末とし、これら粉末を調合した調合原料を水,アセトンまたは2−プロパノールとともに混合したスラリーを噴霧乾燥法等で乾燥し、例えば、平均粒径が50μm以上300μm以下の顆粒を得る。ここで
、用いる前記各粉末は、いずれも純度が高い粉末を用いることが好ましく、その純度は99.0質量%以上、特に99.5質量以上であることがさらに好適である。なお、チタン酸マグネシウム(MgTi)およびチタン酸鉄(FeTiO)がチタン酸アルミニウム(AlTiO)に固溶することができるのであれば、これら金属酸化物の粉末以外に炭酸塩,水酸化物および硝酸塩などの粉末を用いてもよく、またこれらの化合物の粉末を用いてもよい。
次に、得られた顆粒を大気雰囲気中、温度を1400℃以上1500℃以下として、1時間以上5時間以下で仮焼することにより、元素Ti,Al,MgおよびFeが互いに固溶した擬ブルッカイト型の結晶からなる仮焼粉末を得ることができる。
この仮焼粉末をASTM E 11−61に記載されている粒度番号が230のメッシュの篩い
に通すことによって、例えば、粒径が25μm以下61μm以下に分級された仮焼粉末を得る。そして、この分級された仮焼粉末に、例えば、平均粒径が1μm以上3μm以下であって、添加量が仮焼粉末100質量部に対して、0.4質量部以上1.2質量部以下である酸化珪素
の粉末と、添加量が仮焼粉末100質量部に対して、1質量部以上13質量部以下であるグラ
ファイト,澱粉またはポリエチレン樹脂等の造孔剤とを添加した後、さらに可塑剤,増粘剤,滑り剤および水等を加えて、万能攪拌機,回転ミルまたはV型攪拌機等を使って混練物を作製する。そして、この混練物を三本ロールミルや混練機等を用いて混練し、可塑化した坏土を得る。
ここで、第2の部位4bにおける隔壁部4の気孔は、気孔径の累積分布曲線における累積25体積%の気孔径(P25)に対する累積75体積%の気孔径(P75)の比(P75/P25)が1.1以上1.5以下であるハニカム構造体を得るには、上記仮焼粉末に、造孔剤として、例えば、ポリエチレン樹脂からなる樹脂ビーズを添加して、焼結体の気孔径を制御すればよい。例えば、添加する造孔剤は、造孔剤の直径の累積分布曲線において、累積25体積%の直径(D25)に対する累積75体積%の直径(D75)の比(D75/D25)が1.1以上1.5以下となるように調製すればよい。
また、筒状部5を形成するセラミック焼結体が酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が0.1質量%以上0.3質量%以下であるハニカム構造体を得るには、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかの粉末を上記調合原料に0.1質量%以上0.3質量%以下含まれるようにしておけばよい。
次に、押出成形機を用いて成形する。この押出成形機には成形型が装着され、成形体の外径を決定する内径が、例えば155mm以上300mm以下であり、ハニカム構造体1の隔壁部4を形成するためのスリットを有している。この成形型が装着された押出成形機に坏土を投入し、圧力を加えてハニカム状の成形体を得る。そして、得られた成形体を乾燥して所定長さに切断する。なお、成形型を適宜変えることで任意の隔壁部4を形成することができ、例えば、本実施形態であるハニカム構造体1’,1”のような形状をもつ隔壁部4を作製することもでき、ハニカム構造体1の成形体を得るのに用いた方法と同様の方法を用いればよい。
次に、得られた成形体の複数の流通孔2の流入側および流出側のそれぞれを交互に封止する封止材3を作製する。具体的には、上述の杯土を製造するのに作製した混練物を溶媒を用いてスラリーとして、次に得られた成形体の流出側の端面102側で封止材3bが封止
する部分ができるように市松模様にマスキングし、得られた成形体の流出側の端面102側
を、スラリーに浸漬する。
そして、スラリーに成形体の流出側を浸漬した状態で、流入側の端面101から撥水性樹
脂がコーティングされたピンを挿入し、ピンの先端部の位置を調節した後、常温にて乾燥し、封止材3bを形成する。封止材3bを形成した後、ピンを抜き、上述した作業と同じ作業を成形体の流入側でも行ない、封止材3aを形成する。
次に、電気炉またはガス炉等の焼成炉に成形体を配置した後、大気雰囲気中、温度を1300℃〜1450℃として3〜15時間保持することによって、焼結体を得ることができる。なお、温度を1300℃〜1450℃として保持する前に、必要に応じて、大気雰囲気中、温度を800
℃〜1000℃として1〜10時間保持してもよい。
次に、得られた焼結体の軸方向Xを水平な状態に保持して、第1の部位4aおよび筒状部5をコロイダルシリカ溶液Sに浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を引き上げ、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で、乾燥させる。なお、第1の部位4aにおける気孔率が、流入側よりも流出側が大きいハニカム構造体1を得るには、例えば、コロイダルシリカ溶液Sに第1の部位4aおよび筒状部5を、浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出し、流出側を上向きにし、軸方向Xを垂直にした状態で、乾燥させればよい。それにより、ハニカム構造体1に付着したコロイダルシリカ溶液Sが重力によって流入側に片寄るため、この状態で乾燥させると第1の部位4aにおける気孔率が、流入側よりも流出側が大きいハニカム構造体1を得ることができる。そして、コロイダルシリカ溶液Sよりも酸化珪素の濃度が高いコロイダルシリカ溶液Sに筒状部5のみを浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を引き上げ、得ら
れた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で、乾燥させる。そして、大気雰囲気中、温度を1250℃〜1445℃として1〜14時間保持することによって、ハニカム構造体を得ることができる。
なお、ハニカム構造体を得るために保持する温度は、上記焼結体を得るために保持する温度よりも低く、ハニカム構造体を得るために保持する焼成時間は、上記焼結体を得るために保持する焼成時間よりも短いことが好適である。
また、筒状部5を、第1の部位4aよりも平均気孔径が小さく、その差が1μm以上とするには、コロイダルシリカ溶液Sの酸化珪素の濃度は、コロイダルシリカ溶液Sの酸化珪素の濃度の2倍以上とすればよい。
また、第1の部位4aを、第2の部位4bよりも平均気孔径が小さく、その差が1μm以上とするには、コロイダルシリカ溶液Sに含まれる酸化珪素の濃度を20質量%以上とすればよい。
あるいは、コロイダルシリカ溶液Sをコロイダルアルミナ溶液Aおよびコロイダルジルコニア溶液Zの少なくともいずれか1種に、また、コロイダルシリカ溶液Sをコロイダルアルミナ溶液Aよりも酸化アルミニウムの濃度が高いコロイダルアルミナ溶液Aおよびコロイダルジルコニア溶液Zの少なくともいずれか1種に変更し、上述した方法を用いてもよい。
ここで、コロイダルアルミナ溶液Aは、コロイダルアルミナ溶液Aよりも酸化アルミニウムの濃度が高く、コロイダルジルコニア溶液Zは、コロイダルジルコニア溶液Zよりも酸化ジルコニウムの濃度が高い溶液である。
さらに、隔壁部4の壁面に触媒を担持するハニカム構造体1を得るには、上述した製造方法によって得られたハニカム構造体1を、触媒となる、例えば、ルテニウム,ロジウム,パラジウム,オスミウム,イリジウムおよび白金等の白金族金属の可溶性の塩と、ポリビニルアルコール等のバインダーと水とからなるスラリーに浸漬させた後、温度を100℃
以上150℃以下で1時間以上48時間以下保持することによって乾燥すればよい。
ここで、可溶性の塩としては、例えば、硝酸パラジウム(Pd(NO),硝酸ロジウム(Rh(NO)),塩化ルテニウム(RuCl),塩化イリジウム酸(HIrCl・nHO),塩化白金酸(HPtCl・nHO)およびジニトロジアンミン白金(Pt(NO(NH)等があり、担持させようとする触媒に応じてこれら可溶性の塩から選べばよい。また、不純物の混入を防ぐため、水はイオン交換水であることが好適である。
そして、乾燥させた後、400℃以上600℃以下で1時間以上10時間以下保持することによって、触媒が隔壁部4の壁面に担持してなるハニカム構造体1を得ることができる。なお、前述に示したように、本実施形態のハニカム構造体1’,1”についてもハニカム構造体1と同様にして得ることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、酸化アルミニウムの粉末を30質量%,酸化第二鉄の粉末を14質量%,酸化マグネシウムの粉末を10質量%および酸化チタンの粉末を46質量%として、これら粉末を調合し
た調合原料を水とともに混合したスラリーを噴霧乾燥法によって乾燥し、平均粒径が175
μmである顆粒を得た。ここで、酸化アルミニウム,酸化第二鉄,酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末は、いずれも純度が99.5質量%の粉末を用いた。
次に、得られた顆粒を大気雰囲気中、温度を1450℃として、3時間で仮焼することにより、元素Ti,Al,MgおよびFeが互いに固溶した擬ブルッカイト型の結晶からなる仮焼粉末を得た。
この仮焼粉末をASTM E 11−61に記載されている粒度番号が230のメッシュの篩い
に通し、仮焼粉末を得た。そして、この仮焼粉末100質量部に対して、添加量が2.5質量部である、平均粒径が2μmの酸化珪素の粉末および添加量が7質量部であるポリエチレン樹脂を添加した後、さらに可塑剤,増粘剤,滑り剤および水等を加え、万能攪拌機を使って混練物を作製した。そして、この混練物を、混練機を用いて混練して、可塑化した坏土を得た。
次に、成形体の外径を決定する内径が250mmであり、ハニカム構造体1の隔壁部4を
形成するためのスリットを有する成形型が装着されたプランジャー式の縦型押出成形機に坏土を投入し、圧力を加えてハニカム状に成形することによって成形体を作製し、この成形体を乾燥させてから、所定長さに切断した。
次に、流出側の端面102側で封止材3bが封止する部分ができるように市松模様にマス
キングした後、得られた成形体の流出側の端面102側をスラリーに浸漬した。
そして、スラリーに成形体の流出側を浸漬した状態で、流入側の端面101から撥水性樹
脂がコーティングされたピンを挿入し、ピンの先端部の位置を調節した後、常温にて乾燥し、封止材3bを形成する。封止材3bを形成した後、ピンを抜き、上述した作業と同じ作業を成形体の流入側でも行ない、封止材3aを形成した。
そして、電気炉に成形体を配置した後、大気雰囲気中,温度を900℃として5時間保持
した後、温度を1380℃として5時間保持することにより、焼結体を得た。
そして、電気炉を用いて成形体を、温度を1300℃として、2時間保持して、流入側の端面101および流出側の端面102がそれぞれ図5(a),図5(b)に示される封止部3a,3bを備えた焼結体を得た。
次に、得られた焼結体の軸方向を水平な状態に保持して、筒状部5の内周面から2mmまでの範囲内にある第1の部位4aと、筒状部5とをコロイダルシリカ溶液Sに浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を引き上げ、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で、乾燥させた。そして、コロイダルシリカ溶液Sよりも酸化珪素の濃度が高いコロイダルシリカ溶液Sに筒状部5のみを浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を引き上げ、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で、乾燥させた。そして、大気雰囲気中、温度を1350℃として2時間保持することによって、ハニカム構造体である試料No.1〜9を得た。
なお、コロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の各濃度は、表1に示す通りである。また、表1でコロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の濃度の欄のうち、横線を施した欄は、その溶液に浸漬させなかったことを示す。また、試料No.1〜9は、いずれも外径L,軸方向Xの長さおよび筒状部の厚みがそれぞれ144mm,156mm,1mmであって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカム構造体とした。
そして、試料No.1〜9のアイソスタティック破壊強度をJASO M 505−87に
準拠して測定した。その測定値を表1に示した。
また、試料No.1〜9の第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5の各気孔率は、水銀圧入法に準拠して求めた。
具体的には、まず、これらの各部位から質量がそれぞれ0.7gとなるように気孔率を測
定するための試料を切り出した。
次に、水銀圧入型ポロシメータを用いて、試料の気孔に水銀を圧入し、水銀に加えられた圧力と、気孔内に浸入した水銀の体積を測定して、試料の体積に対する累積気孔体積の百分率を気孔率とした。
Figure 2012106239
表1に示す通り、試料No.1〜6,8は、気孔率が第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に小さくなっており、試料No.7または9に比べて、アイソスタティック破壊強度も高くなって、ハニカム構造体1を再生するための加熱を繰り返したとしても、クラックが生じにくい結果となった。
実施例1に示した方法と同じ方法で、封止部3a,3bを備えた焼結体を得た。
次に、試料No.10を作製するために、得られた焼結体の軸方向を水平な状態に保持し
て、筒状部5の内周面から2mmまでの範囲内にある第1の部位4aと、筒状部5とをコロイダルシリカ溶液Sに浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。そして、コロイダルシリカ溶液Sよりも酸化珪素の濃度が高いコロイダルシリカ溶液Sに筒状部5のみを浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。そして、大気雰囲気中、温度を1350℃として2時間保持することによって、ハニカム構造体である試料No.10を得た。
一方、試料No.11を作製するために、得られた焼結体の軸方向を水平な状態に保持して、筒状部5の内周面から2mmまでの範囲内にある第1の部位4aと、筒状部5とをコロイダルシリカ溶液Sに浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して流出側を上向きにして、軸方向Xを垂直にした状態で乾燥させた。
そして、コロイダルシリカ溶液Sに筒状部5のみを浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。そして、大気雰囲気中、温度を1350℃として2時間保持することによって、ハニカム構造体である試料No.11を得た。
なお、試料No.10,11を作製するために用いたコロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の各濃度は、表2に示す通りである。
また、試料No.10,11は、いずれも外径L,軸方向Xの長さおよび筒状部5の厚みがそれぞれ144mm,156mm,1mmであって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカム構造体1とした。
Figure 2012106239
表2に示す通り、試料No.11は、第1の部位4aにおける気孔率が、流入側よりも流出側が大きいことから、第1の部位4aにおける気孔率が、流入側および流出側で等しい試料No.10よりも微粒子が捕集されることによって生じる圧力損失の上昇を抑制するこ
とができているといえるので、微粒子を燃焼除去するための間隔を長くすることができる。
実施例1に示した方法と同じ方法で、封止部3a,3bを備えた焼結体を得た。
次に、得られた焼結体の軸方向を水平な状態に保持して、第1の部位4aおよび筒状部5をコロイダルシリカ溶液Sに浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。そして、コロイダルシリカ溶液Sよりも酸化珪素の濃度が高いコロイダルシリカ溶液Sに筒状部5のみを浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。なお、コロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の各濃度は、表3に示す通りである。
そして、大気雰囲気中、温度を1350℃として4時間保持することによって、ハニカム構造体1である試料No.12〜14を得た。
なお、試料No.12〜14は、いずれも外径L,軸方向Xの長さおよび筒状部5の厚みがそれぞれ144mm,156mm,1mmであって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカム構造体1である。
そして、試料No.12〜14をガス処理装置10に個別に設置し、このガス処理装置10をディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという。)に連結してエンジンの回転数およびトルクをそれぞれ3000min−1,50N・mに設定して所定時間運転した。この運転によって排気ガスをガス処理装置10に導入し、微粒子を捕集することができた。次に、エンジンの回転数を4000min−1として、各試料の温度が700℃になったときに、エンジンの回
転数を1050min−1,トルクを30N・mにそれぞれ変更して微粒子を燃焼させるという耐久性試験を実施した。この排気ガスの導入,微粒子の捕集および燃焼という操作を、微粒子の捕集量が0.1mg/cm増加する毎に繰り返し、クラックが発生するまでの微粒
子の捕集量を求め、その値を表3に示した。この微粒子の捕集量の値が大きいほど、クラックが生じにくく、ハニカム構造体1の耐久性が優れていることを意味する。なお、この微粒子の捕集量の増加量は、排気ガスの導入,微粒子の捕集の過程において、所定間隔で、試料を装置から取り外して試料の重量の増加量を測定して算出した。
なお、溶損およびクラックの確認については、各試料とも目視で外周側から観察した。
そして、試料No.12〜14のアイソスタティック破壊強度をJASO M 505−87に
準拠して測定した。その測定値を表3に示した。
また、第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5の各平均気孔径は、水銀圧入法に準拠して求めた。
具体的には、まず、これらの各部位から質量がそれぞれ0.7gとなるように平均気孔径
を測定するための試料を切り出した。
次に、水銀圧入型ポロシメータを用いて、試料の気孔に水銀を圧入し、水銀に加えられた圧力と、気孔内に浸入した水銀の体積を測定し、式(1)から各圧力Pに対する各気孔径dを求め、各気孔径dの分布および累積気孔体積を導いた。そして、累積気孔体積の百分率が50体積%に相当する気孔径(P50)を平均気孔径として、この値を表3に示した。
Figure 2012106239
表3に示す通り、試料No.13,14は、筒状部5は、第1の部位4aよりも平均気孔径が小さいことから、筒状部5は第1の部位4aよりも相対的に気孔が小さいので、高い機械的特性を得ることができるとともに、再生するための加熱を繰り返してもクラックも生じにくいので、耐久性が高いことが分かる。
併せて、試料No.14,13,12は、この順で酸化珪素の含有量は、第2の部位4b,第1の部位4a,筒状部5の順に多くなっていることから、微粒子の燃焼除去を終えても外部に急激に放熱しにくい。また、酸化珪素の含有量が多くなっている部位はより緩やかに冷えるので、隔壁部4および筒状部5に溶損やクラックが生じにくいといえる。
実施例1に示した方法と同じ方法で、封止部3a,3bを備えた焼結体を得た。
次に、得られた焼結体の軸方向を水平な状態に保持して、第1の部位4aおよび筒状部5をコロイダルシリカ溶液Sに浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。そして、コロイダルシリカ溶液Sよりも酸化珪素の濃度が高いコロイダルシリカ溶液Sに筒状部5のみを浸漬し、この状態で焼結体を回転させた後、焼結体を取り出して、得られた焼結体の軸方向Xを水平にした状態で乾燥させた。なお、コロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の各濃度は、表4に示す通りである。
そして、大気雰囲気中、温度を1375℃として4時間保持することによって、ハニカム構造体1である試料No.15〜17を得た。
なお、試料No.15〜17は、いずれも外径L,軸方向Xの長さおよび筒状部5の厚みがそれぞれ144mm,156mm,1mmであって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通
孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカム構造体1とした。
そして、試料No.15〜17をガス処理装置10に個別に設置し、実施例3で示した方法と同じ方法で微粒子の捕集量を求め、その値を表4に示した。
そして、試料No.15〜17のアイソスタティック破壊強度をJASO M 505−87に
準拠して測定した。その測定値を表4に示した。
また、第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5の各平均気孔径は、実施例3で示した方法と同じ方法で求めた。
Figure 2012106239
表4に示す通り、試料No.16,17は、第1の部位4aは、第2の部位4bよりも平均気孔径が小さいことから、第1の部位4aは第2の部位4bよりも気孔が相対的に小さくなっており、高い機械的特性を得ることができる。また、第2の部位4bは第1の部位4aよりも気孔が相対的に大きいため、高い捕集効率を得ることができる。したがって、試料No.16,17は、高い機械的特性および高い捕集効率を兼ね備えた構成であるといえる。
実施例1に示した方法と同じ方法で、酸化アルミニウムの粉末,酸化第二鉄の粉末,酸化マグネシウムの粉末,酸化チタンの粉末から仮焼粉末を得た。そして、この仮焼粉末100質量部に対して、平均粒径が2μmの酸化珪素の粉末を2.5質量部、さらに、累積25体積%の直径(D25)に対する累積75体積%の直径(D75)の比(D75/D25)が表5に示す値となるように調製したポリエチレン樹脂からなる樹脂ビーズを7質量部添加し、これらに可塑剤,増粘剤,滑り剤および水等を加え、万能攪拌機を使って混練物を作製した。そして、この混練物からハニカム構造体1を得るまでは、再び実施例1に示した方法と同じ方法を用いて試料No.18〜24を作製した。なお、コロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の濃度は、それぞれ30質量%,60質量%とした。
また、試料No.18〜24は、いずれも外径L,軸方向Xの長さおよび筒状部5の厚みがそれぞれ144mm,156mmおよび1mmであって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカム構造体1とした。
そして、試料No.18〜24のアイソスタティック破壊強度をJASO M 505−87に
準拠して測定し、その測定値を表5に示した。
また、試料No.18〜24の第2の部位4b,第1の部位4aおよび筒状部5の各気孔率は、実施例1に示した方法と同じ方法で求めたところ、45体積%,38体積%および36体積%であった。そして、第2の部位4bにおける隔壁部4の気孔径の比(P75/P25)を表5に示した。
また、エンジンにより発生させた微粒子を含む排気ガスをハニカム構造体1に、捕集量が1mg/cmになるまで通過させ、ハニカム構造体1を通過した排気ガスに含まれる微粒子を流出側に配置した濾紙で捕集し、この濾紙で捕集された微粒子の質量(W)を電子天秤によって測定した。
また、ハニカム構造体1における捕集量が1mg/cmになるまで通過させるのに要した時間と同じ時間で、エンジンにより発生させた微粒子を含む排気ガスを、ハニカム構造体1を通過させずに濾紙で捕集し、この濾紙で捕集された微粒子の質量(W)を電子天秤によって測定した。
次いで、得られた各質量(W),(W)を以下に示す式(2)に代入して捕集効率(Tr)を求め、その値を表5に示した。
Tr=(W−W)/W×100・・・(2)
Figure 2012106239
表5に示す通り、試料No.18〜24は、気孔径の比(P75/P25)が小さくなるにつれてアイソスタティック破壊強度が高くなっている。また、特に気孔径の比(P75/P25)
が1.1以上1.5以下である試料No.18〜22は、気孔径の比(P75/P25)が減少、つまり極端に大きい気孔の個数が減少したとしても、捕集効率Trが92%以上と、捕集効率を高く維持することができるといえる。なお、気孔径の比(P75/P25)が1.3以下では、ア
イソスタティック破壊強度が特に向上しており好適である。
まず、酸化アルミニウム,酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの各粉末を表6に示すように計量し、さらに、酸化第二鉄の粉末を14質量%,酸化マグネシウムの粉末を10質量%および酸化チタンの粉末を46質量%計量して、これら粉末を調合した調合原料を水とともに混合して作製したスラリーを噴霧乾燥法によって乾燥し、平均粒径が175μmである顆
粒を得た。ここで、酸化アルミニウム,酸化第二鉄,酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末は、いずれも純度が99.9質量%の粉末を用いた。
そして、顆粒からハニカム構造体1を得るまでは、実施例1に示した方法と同じ方法を用いた。なお、コロイダルシリカ溶液S,Sにおける酸化珪素の濃度は、それぞれ30質量%,60質量%とした。
また、表6に示す試料No.15〜27のハニカム構造体1は、いずれも外径L,軸方向Xの長さおよび筒状部5の厚みがそれぞれ144mm,156mm,1mmであって、軸方向Xに対して垂直な断面における流通孔2の単位面積当たりの個数が300CPSIであるハニカ
ム構造体とした。
筒状部5を形成するセラミック焼結体に含まれる酸化カリウムおよび酸化ナトリウムのそれぞれの同定は、X線回折法によって行ない、また、これら各成分の各含有量は、ICP発光分析法により求め、その値を表6に示した。
そして、試料No.25〜37の各筒状部5の円筒度をノギスによって測定した。具体的には、試料の図1におけるX軸方向の中央の位置における断面および両側の端面の各外径をノギスを用いて測定し、その最大値と最小値との差を円筒度Cとした。
また、試料No.25〜37をガス処理装置10に個別に設置し、このガス処理装置10をエンジンに連結してエンジンの回転数およびトルクをそれぞれ3000min−1,50N・mに設定して所定時間運転した。この運転によって排気ガスをガス処理装置10に導入し、微粒子を捕集した。
次に、エンジンの回転数を4000min−1として、各試料の温度が700℃になったとき
に、エンジンの回転数を1050min−1,トルクを30N・mにそれぞれ変更して微粒子を燃焼させるという耐久性試験を実施した。
この排気ガスの導入,微粒子の捕集および燃焼という操作を、微粒子の捕集量が0.1m
g/cm増加する毎に繰り返し、筒状部5にクラックが発生するまでの微粒子の捕集量を求め、その値を表6に示した。
この微粒子の捕集量の値が大きいほど、クラックが生じにくく、筒状部5の耐久性が優れていることを意味する。
なお、クラックについては、各試料ともガス処理装置10の流入側に当たる方向からハニカム構造体1を観察して目視で確認した。
また、微粒子の捕集量が1mg/cmとなったときに、試料No.25〜37の各筒状部
5の円筒度を上述した方法で測定し、その測定値を円筒度Cとした。
次いで、得られた各円筒度(C),(C)を以下に示す式(3)に代入して円筒度の変化率(ΔC)を求め、その値を表6に示した。
ΔC=(C−C)/C×100・・・(3)
Figure 2012106239
表6に示す通り、筒状部5を形成するセラミック焼結体が、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が0.1質量%以上である試料N
o.26〜37は、試料No.25に比べて、微粒子の捕集量が高くなっており、再生するため
に加熱を繰り返しても、クラックが筒状部5で発生しにくい。さらに、筒状部5を形成するセラミック焼結体が、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が0.1質量%以上0.3質量%以下である試料No.26〜28,30〜32,34〜36は、筒状部5の円筒度の変化率が試料No.29,33,37に比べて小さい。
この結果から、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの含有量の合計が0.1質量%以上で
あると、微粒子を燃焼除去するために加熱されると、融点の低いこれらの酸化物がわずかに軟化することで結晶粒界の自由度が増すので、ハニカム構造体1に生じる残留応力が分散されやすくなり、クラックが筒状部5で発生しにくくなったものと推測される。また、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの含有量の合計が0.3質量%以下であると、微粒子を
除去するために加熱されても、筒状部5の外形形状自体に変化が現れない程度にこれらの酸化物の軟化の影響の程度を抑制することができると推測される。
最後に、実施例1〜6から、本発明のハニカム構造体を備えるガス処理装置は、加熱による再生を繰り返してもクラックの発生が少なく、長期間に亘って効率よく使用することができるといえる。
1,1’,1”:ハニカム構造体
2,2a,2b:流通孔
3,3a,3b:封止材
4:隔壁部
4a:第1の部位
4b:第2の部位
5:筒状部
6:断熱材層
7:ケース
7a:流入口
7b:流出口
9a,9b:排気管
10:ガス処理装置

Claims (8)

  1. 筒状部と、該筒状部の内側に格子状に配置されて複数の流通孔を形成する隔壁部とを備え、該隔壁部は、第1の部位と、該第1の部位の内方に位置する第2の部位とを有するとともに、気孔率が、前記第2の部位,前記第1の部位,前記筒状部の順に小さくなっていることを特徴とするハニカム構造体。
  2. 前記複数の流通孔は、流体の流入側および流出側のそれぞれを封止材で交互に封止されており、前記第1の部位の気孔率が、流入側よりも流出側が大きいことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記筒状部は、前記第1の部位よりも平均気孔径が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記第1の部位は、前記第2の部位よりも平均気孔径が小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体。
  5. 前記第2の部位における前記隔壁部の気孔は、気孔径の累積分布曲線における累積25体積%の気孔径(P25)に対する累積75体積%の気孔径(P75)の比(P75/P25)が1.1以上1.5以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のハニカム構造体。
  6. 前記隔壁部および前記筒状部は、チタン酸アルミニウムを主成分とし、酸化珪素を含むセラミック焼結体からなり、前記酸化珪素の含有量が、前記第2の部位,前記第1の部位,前記筒状部の順に多くなっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のハニカム構造体。
  7. 前記筒状部を形成する前記セラミック焼結体は、酸化カリウムおよび酸化ナトリウムの少なくともいずれかを含み、その含有量の合計が0.1質量%以上0.3質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載のハニカム構造体。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のハニカム構造体を備えていることを特徴とするガス処理装置。
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CN115121063A (zh) * 2021-03-29 2022-09-30 日本碍子株式会社 蜂窝过滤器

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