JP2012226142A - 像加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】寄り検知手段を用いることなく簡易で低コストな構成で定着フィルムの寄りを調整して定着フィルムの寿命を延ばし、プリント時間にも影響を与えない寄り調整手段を有した定着装置およびこの定着装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着フィルム41の長手方向両端近傍に所定間隔Aをおいて配設され前記定着フィルムの長手方向への寄り移動を規制する2つの規制部材45L・45を有し、前記定着フィルムを一方側に寄せる力を発生させる第1の状態と前記定着フィルムを他方側に寄せる力を発生させる第2の状態とに順次可変な寄り調整手段81・82・83を有する構成である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式などの適宜の画像形成プロセスにより記録材に画像形成を行う画像形成装置に搭載される画像定着装置として用いて好適な像加熱装置に関する。
像加熱装置としては、記録材上の未定着画像を加熱加圧して固着画像として定着或いは仮定着する定着装置、記録材に定着された画像を加熱加圧することにより画像の光沢を増大させる光沢増大装置(画像改質装置)などを挙げることが出来る。画像形成装置としては、記録材上に画像を形成する複写機、プリンタ(例えばレーザプリンタ、LEDプリンタ)、ファクシミリ、それらの複合機能機などが挙げられる。
上記のような画像形成装置においては、画像形成手段により未定着のトナー像を形成担持させた記録材を加熱加圧し、記録材にトナー像を固着像として定着させる定着手段としての加熱定着装置を有する。
従来、特にスタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、クイックスタート性や省エネルギー性に優れた定着フィルム(ベルト)を有するフィルム(ベルト)加熱方式を採用した加熱定着装置が広く実用化されている。
すなわち、アルミナや窒化アルミ等を基板に用いたセラミックヒータと、加圧ローラとの間に耐熱性の薄肉定着フィルムを挟んで圧接ニップ部(定着ニップ部)を形成させる。その定着フィルムと加圧ローラとの間に未定着のトナー画像を形成担持させた記録材を導入して、定着フィルムと一緒に挟持搬送させる。定着フィルムを介してセラミックヒータの熱エネルギーを記録材に与えるとともに、定着ニップ部での加圧力を受けて未定着トナー画像を定着させるものである。
しかしながら、このようなフィルム加熱方式の加熱定着装置には以下の問題点があった。すなわち、回転駆動される定着フィルムと該定着フィルムを挟み定着ニップ部を形成する加圧ローラおよびヒータの部品精度がバラついたり、ヒータの長手幅方向で中央を境に左右の温度分布のバランスが崩れたりする。これに起因して、定着フィルムの搬送力はその長手幅方向で不均一となり、方向を限定できない定着フィルムの寄りが生じる。
従来、定着フィルムの端部を規制する規制部材を設けて寄り制御を行う構成のものが多くある。定着フィルムは一度規制部材に突き当たるまで寄るとその後も突き当たった状態で定着フィルムと規制部材とが長時間、場合によっては加熱定着装置が寿命を迎えるまで摺擦し続けることが多い。この場合、定着フィルムが薄肉であるために定着フィルムに折れ、シワを生じ、定着画像の劣化、定着フィルムの走行不能に至ることがある。
これを防ぐためには、長手幅方向で定着フィルムの搬送力を均等にする必要があり、フレーム、加圧ローラ、ヒータ、定着フィルムおよび加圧バネといった多くの部品の精度のばらつきをある程度以上に保たなければならないという問題があった。
以上の問題を解決するために、定着フィルムの端部を折り曲げて補強することが提案されている(特許文献1)。また、定着フィルムの寄りを制御するものとしては、無端ベルトの寄りを検知する寄り検知手段を設ける。また、無端ベルトを搬送駆動する駆動ローラと無端ベルトを挟んで対向配置された押圧部材間の押圧力を長手方向両端で互いに異なるように調節可能な押圧力調節手段を設ける。そして、寄り検知手段からの信号を基に両端の押圧力を調節して無端ベルトの寄りを制御するものがある(特許文献2)。
特開2008−122580号公報 特開2010−151906号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来例では、定着フィルムの端部を折り曲げるという製造上の困難性の問題があった。また、定着フィルムとして高熱伝導性に優れた金属を基層として形成される金属製の薄肉スリーブを用いる場合には、製造上の困難性はさらに高まる。
また、特許文献2に記載の従来例では、寄り検知手段が必要であり、コストが上がるという問題があった。また、寄り検知手段に頼る構成であり、寄りを検知する度に寄りを修正するための押圧力調整動作に入らなければならず、連続プリント時に途中でプリントを中断させなければならない可能性があるという問題もあった。
本発明は、フィルム加熱方式の像加熱装置の上述した問題点を解決するためになされたものである。本発明は、寄り検知手段を用いることなく簡易で低コストな構成でフィルムの寄りを調整してフィルムの寿命を延ばし、プリント時間にも影響を与えない寄り調整手段を有した像加熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の代表的な構成は、回転可能なエンドレスのフィルムと、前記フィルムの内側に配置されたバックアップ部材と、前記フィルムの外側に配置されて前記バックアップ部材と共に前記フィルムを挟んで前記フィルムとの間にニップ部を形成する加圧部材と、前記フィルムを加熱する加熱手段と、前記フィルムのスラスト方向の一端側と他端側に対向して配設されており前記フィルムのスラスト方向への寄り移動をフィルム端部を受け止めて規制する第1の規制部材及び第2の規制部材と、前記スラスト方向における装置両端に設けられており前記ニップ部に圧力を掛ける加圧機構と、前記装置両端に設けられており前記加圧機構に作用して前記ニップ部に掛る圧力を解除する圧解除機構と、を有し、前記ニップ部で像を担持した記録材を挟持搬送して加熱加圧する像加熱装置において、前記圧解除機構は、前記ニップ部の前記スラスト方向の一端と他端に掛る圧力を順に解除できる構成であることを特徴とする。
本発明においては、フィルムを一方側に寄せる力を発生させる第1の状態においてフィルムを一方側の寄り規制部材に突き当て、他方側に寄せる力を発生させる第2の状態において、フィルムを他方側へ所定量移動させる寄り調整手段を有する。これにより、寄り検知手段を用いることなく簡易で低コストな構成でフィルムを両端の寄り規制部材から離間させるように調整することができる。そして、装置の稼働時間におけるフィルムと寄り規制部材との摺擦時間の割合を減らすことができるため、フィルムの寿命を延ばすことができる。
実施例1に係る定着装置の圧解除動作を説明するための概略模式図である。 同定着装置を備えた画像形成装置の一例の概略構成図である。 同定着装置の概略正面図である。 同定着装置の概略縦断正面図である。 同定着装置の概略左側面正面図である。 同定着装置の概略右側面正面図である。 図3における(7)−(7)線に沿う拡大横断右面図である。 ステイとヒータの分解斜視図である。 (a)はフランジ部材を外側から見た斜視図、(b)は内側から見た斜視図である。 (a)と(b)はそれぞれヒータの層構成例を示す概略横断面模式図である。 左側の圧解除カムの形状および圧解除動作を示す概略図である。 右側の圧解除カムの形状および圧解除動作を示す概略図である。 実施例2に係る定着装置の右側のフィルム端部規制フランジおよび圧解除カムの形状および圧解除動作を説明するための斜視図である。 同定着装置の長手方向の構成を示す概略模式図である。 同定着装置の圧解除動作を説明するための概略模式図である。
(1)画像形成装置例
図2は、本実施形態に係る定着装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は電子写真4色フルカラーレーザープリンタである。1Y・1M・1C・1Kは並べて配設された第1〜第4の4つのプロセスカートリッジであり、それぞれ、像担持体である表面に有機光導電体層を塗布された感光体ドラム2を有する。各ドラム2は図示しない駆動モータおよび駆動伝達手段により一方の端部から駆動伝達され、図2において時計回りに回転駆動される。
そして、各ドラム1はそれぞれ帯電ローラ3に帯電バイアスを印加することにより、その表面が一様に帯電させられ、露光手段であるレーザースキャナユニット6から発せられたレーザー光により選択的に露光され、静電潜像が形成される。各ドラム2の静電潜像は、現像手段4によりそれぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として現像される。
8は中間転写ベルトであり、駆動ローラ9、および従動ローラ10により張架されている。ベルト8は、各カートリッジ1Y・1M・1C・1Kにそれぞれ対応する1次転写ローラ5の付勢により各ドラム1に当接している。ベルト8は図示しない駆動モータおよび駆動伝達手段により駆動ローラ9が回転することにより図2において反時計回りに回転駆動される。各1次転写ローラ9には所定の転写バイアスが印加される。これにより、各ドラム1の表面上の各色トナー像がベルト8上に順次重ね合わされて転写されて、ベルト8上に4色重ねのトナー像が形成される。
給紙カセット12にはシート状の記録材(記録媒体)Pが積載されている。記録材Pは図示しない駆動モータおよび駆動伝達手段により所定のタイミングで駆動される給送ローラ13により搬送路14に送りだされる。そして、搬送ローラ対15、レジストローラ対16を通ってベルト8と2次転写ローラ11とが当接する2次転写位置に搬送される。2次転写位置では、所定のバイアスを印加された2次転写ローラ11により、ベルト8上の4色のトナー像が記録材Pに転写される。
4色のトナー像を転写された記録材Pは、加熱定着装置17に搬送され、トナー像が熱と圧力により記録材P上に溶融固着される。定着装置17を出た記録材Pは、排出ローラ対18を通過して出口19から排出トレイ20上にカラー画像形成物として排出、積載される。
(2)定着装置17
以下の説明において、装置17に関して、正面とは装置17を記録材入口側から見た面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)、左右とは装置17を正面から見て左と右である。上下とは図3〜図7の図面上において上または下である。装置17または装置を構成している部材に関して、長手方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。上流側と下流側は記録材搬送方向において上流側と下流側である。装置100や装置17に対する記録材Pの通紙はいわゆる中央基準(中央基準搬送)でなされる。
本実施例において、装置17は、加圧回転体駆動式、フィルム(ベルト)加熱方式の像加熱装置である。図3は装置17の正面図、図4は縦断正面図、図5は左側面図、図6は右側面図、図7は図3における(7)−(7)線に沿う拡大横断右面図である。なお、図3において図7における定着入口ガイド70は省略してある。
30は装置枠体(装置フレーム、シャーシー)である。この枠体30の左右の側板31L・31R間にフィルムユニット40が配置されている。ユニット40の下側には側板31L・31R間に左右両端部を回転可能に軸受保持させて加圧部材としての弾性加圧ローラ50が配設されている。
1)ユニット40
ユニット40は、可撓性を有する回転可能なエンドレスのフィルム(定着フィルム、定着ベルト)41を有する。フィルム41は左右方向に長い耐熱性部材である。また、フィルム41の内側に配置された、フィルム41の内面と摺動する左右方向に長い非回転のバックアップ部材(摺動部材、断熱ステイホルダー:以下、ステイと記す)43を有する。ステイ43は剛性、耐熱性、断熱性、耐摩耗性等に優れた、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS,PEEK等の樹脂材料により形成されている。
本実施例においては、ステイ43の下面側に長手に沿って、フィルム41を加熱するための加熱手段(加熱部材: 加熱体)としての左右方向に長いセラミックヒータ42を取り付けてある。従ってステイ43はヒータホルダー(ヒータ支持部材)を兼用している。また、ヒータ42はフィルム41の内面と摺動するバックアップ部材でもある。
フィルム41の左右両側(フィルム41の長手方向(母線方向)の一端側と他端側)の開口部からは、それぞれ、ステイ43の延長腕部43aが外方に突出している。図8はステイ43の外観斜視図である。ステイ43の下面にはステイ長手に沿ってヒータ嵌め込み溝43bが形成されている。この溝43bにヒータ42が嵌め込まれて取り付けられている。
ステイ43の左側の腕部43aと右側の腕部43aとにそれぞれフィルム端部規制フランジとしての左側フランジ部材(第1の規制部材)45Lと右側フランジ部材(第2の規制部材)45Rが配設されている。フランジ部材45L・45Rは左右対称構造の耐熱樹脂成型品である。図9の(a)はフランジ部材45を外側から見た斜視図、(b)は内側から見た斜視図である。
部材45は、下側の一部を切り欠いた欠円盤状のフランジ部45a、フランジ部45aの外面側に一体に突出させて具備させたバネ受け座部45b、フランジ部45aの内面側に一体に突出させて具備させた円弧状のフィルム端部支え部45cを有する。フランジ部45aの欠円部にはステイ端部が嵌係合する嵌着穴部45dを有する。フランジ部45aとバネ受け座部45bとの結合部には縦方向スリット溝部45eを有する。
左右のフランジ部材45L・45Rはそれぞれ内面側を内向きに対向させて嵌着穴部45dをステイ43の左側端部と右側端部とに嵌係合させることによりフランジ部45a・45a間に所定間隔A(図3)をあけてステイ43に装着されている。フィルム41はこの装着された左右のフランジ部材45L・45Rのフランジ部45a・45a間に位置する。フィルム41の長さBは上記の間隔Aよりも小さい。
左側の部材45Lのフィルム端部支え部45cはフィルム41の左側端部の内側に挿入されて位置し、フィルム左側端部を内側から支える。右側の部材45Rのフィルム端部支え部45cはフィルム41の右側端部の内側に挿入されて位置し、フィルム右側端部を内側から支える。
かくして、フィルム41はヒータ42とステイ43とフランジ部材45L・45Rとのアセンブリに対してルーズに外嵌している。また、ステイ43の左側の腕部43aに対して左側の部材45Lのバネ受け座部45bが対応位置して当接している。ステイ43の右側の腕部43aに対して右側の部材45Rのバネ受け座部45bが対応位置して当接している。
そして、上記ユニット40の左右の部材45L・45Rはそれぞれ縦方向スリット溝部45eがそれぞれ左右の側板31L・31Rの縦ガイドスリット部31aに係合されている。これにより、左右のフランジ部材45L・45Rはそれぞれスリット部31aにガイドされて左右の側板31L・31Rに対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。すなわち、ユニット40が左右の側板31L・31Rに対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。
フィルム41は、クイックスタートを可能にするために、耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の純金属あるいは合金を薄肉円筒状にしたものを基層として形成されている。全体に薄肉で可撓性を有し、自由状態において自身の弾性によりほぼ円筒形状を保持する。
また、オフセット防止や記録材の分離性を確保するために、表層にはフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱性樹脂を混合ないし単独で被覆して離型性層を形成してある。
具体的には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)が挙げられる。また、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等が上げられる。
図10の(a)と(b)はそれぞれヒータ42の層構成を示す横断面模型図である。(a)は、ヒータ基板42aとしてアルミナや窒化アルミ等の細長い高絶縁性セラミックス基板を用いている。この基板42aの表面(フィルム41との対向面側)に、長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層42bが、厚み約10μm、幅約1〜5mm程度でスクリーン印刷等により塗工してある。
そして、この抵抗層42bを覆わせて、フィルム41との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコートやポリイミド、ポリアミドイミド等の潤滑性樹脂層などの保護層42cを設けている。
(b)のヒータ42は、基板42aとして細長い金属製基板を用いている。この基板42aの背面側(フィルム41との対向面側とは反対側の面)に、絶縁層42d、通電発熱抵抗層42b、保護層42eが順次積層されて形成されている。
ヒータ42の背面には抵抗層42bの発熱に応じて昇温した基板の温度を検知するためのサーミスター等の温度検知素子THが配設されている。左右のフランジ部材45L・45Rの嵌着穴部45dからそれぞれ外方に突出しているガイド43の腕部43aの一方にはヒータ42の抵抗層42bに対する給電用コネクタ(不図示)が、他方には素子THに対する温調用コネクタ(不図示)が嵌着されている。
2)加圧ローラ50
加圧部材としての弾性加圧ローラ50は、SUS、SUM、Al等の金属製芯金51の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層52からなる弾性ローラである。この上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層53を形成してあってもよい。
ローラ50は、芯金51の左右両端部をそれぞれ左右の側板31L・31Rに対して軸受部材54を介して回転可能に支持されて配設されている。芯金51の右端部(他端側)にはドライブギアG1が固定されている。ローラ50は、駆動手段としての定着モータM1が駆動されることによってその駆動力が駆動伝達手段(不図示)を介してギアG1に伝達されて、図7において矢印の反時計方向(記録材搬送方向)に所定の速度で回転駆動される。
3)加圧機構60(60L・60R)
加圧機構60は、フィルム41のスラスト方向における装置両端に設けられており、ユニット40とローラ50とのニップ部Nに圧力を掛ける機構である。本実施例においては、機構60を左右の側板31L・31Rのそれぞれの外側に左右対称に2組を配設してある。60Lが左側加圧機構(一端側付勢手段)である。60Rが右側加圧機構(他端側付勢手段)である。即ち、ニップ部Nを形成するための付勢手段をフィルム41の一端側と他端側とに2組配設してある。
本実施例における機構60(60L・60R)は、側板31(31L・31R)の外側においてフランジ部材45(45L・45R)のバネ受け座部45bの上側に加圧レバー(加圧板金)61を有する。レバー61の、バネ受け座部45bよりも記録材搬送方向下流側の端部(下流側端部)は差し込み部61aとされている。その差し込み部61aが側板31の後側折り曲げ部31bに設けた穴部31cに挿入されて支持されている。これによりレバー61が差し込み部61aと穴部31cとの係合部を中心に上下方向に回動可能である。
レバー61の差し込み部61a側と反対側は、バネ受け座部45bよりも記録材搬送方向上流側に上流側端部61bとして延長されている。レバー61の長手中央部の上面とその上方部に配設されている側板31側の上側折り曲げ部31dとの間には加圧バネ62が設けられている。このバネ62の反力によりレバー61が差し込み部61aと穴部31cとの係合部を中心に下方向に回動付勢されてフランジ部材45(45L・45R)のバネ受け座部45bの上に押し付けられる。これにより、フランジ部材45がスリット部31aに沿って下方に押し下げられる。
このフランジ部材45の押し下げによりステイ43が押し下げられてヒータ42を含むステイ43の下面がフィルム41を介してローラ50の上面に対して弾性層52の弾性に抗して所定の加圧力(圧接力)で加圧される。即ち、バックアップ部材であるヒータ42及びステイ43とローラ50とがフィルム41を挟んで互いに圧接してフィルム41とローラ50との間に記録材搬送方向aにおいて所定幅のニップ部Nが形成される。
4)定着動作
装置17のローラ50は、制御回路部101で制御される駆動手段M1の駆動力がギアG1を介して軸51に伝達されることで図7において矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される(加圧回転体駆動方式)。ローラ50の回転によりニップ部Nにおけるローラ50の表面とフィルム41の表面との摩擦力でフィルム41に回転力が作用する。フィルム41はその内面がニップ部Nにおいてヒータ42とガイド43の一部に密着して摺動しながらヒータ42とステイ43とフランジ部材45L・45Rのアセンブリの外回りをローラ50の回転速度とほぼ同じ速度にて従動して回転する。
ステイ43はヒータ42を保持するヒータホルダ、フィルム41の回転を案内するフィルムガイド、加圧部材として機能している。フィルム41とヒータ42との間には、フッ素系やシリコーン系の耐熱性グリース等の潤滑材を介在させることにより、摩擦抵抗を低く抑えスムーズに回転が可能となる。
また、ヒータ42の通電発熱抵抗層42bに対して、給電部(不図示)から給電用コネクタ(不図示)を介して電力供給がなされる。これにより、抵抗層42bが発熱してヒータ42の有効発熱領域が迅速に昇温する。そのヒータ42の昇温温度が素子THにより検知され、検知温度に関する情報が温調用コネクタ(不図示)を介して制御回路部101に入力する。制御回路部101は素子THから入力する情報が所定の温度(定着温度:像加熱温度)に対応した情報に立ち上がって維持されるように給電部から抵抗層42bに対する電力供給を制御する。
即ち、制御回路部101は、素子THの信号に応じて、抵抗層42bに印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、ニップ部N内での温調温度を一定に保ち、記録材上のトナー像を定着するのに必要な加熱を行う。
上記の状態において、耐熱性の定着入口ガイド70に沿ってニップ部Nに未定着のトナー像tを担持した記録材Pがトナー像担持面側をフィルム41側にして導入される。ガイド70は左右の側板31L・31R間に位置決めされて配置されている。
記録材Pはニップ部Nにおいてフィルム41の外面に密着し、フィルム41と一緒にニップ部Nを挟持搬送されていく。これにより、記録材Pにフィルム41の熱が付与され、またニップ部Nの加圧力を受けてトナー像tが記録材Pの面に固着画像として加熱加圧定着される。ニップ部Nを通った記録材Pはフィルム41の面からフィルム41がニップ部Nの出口部分において変形することにより自己分離して装置17の外に出る。
(3)加圧解除およびフィルム41の寄り調整
装置17のフィルム41は回転動作時(回転状態時)に種々の原因によりスラスト方向に寄り力を受けてステイ43の長手に沿ってステイ43の左側(一端側)または右側(他端側)のいずれかの方向に移動する。即ち、フィルム41は回転に伴いスラスト方向へ寄り移動する。原因としては次のi)〜iii)のような事項が挙げられる。i)ニップ部Nの長手左右での加圧力が部品公差のばらつき等で不均衡になる場合。ii)フィルム41の外径形状の差あるいは長手方向(母線方向)の厚みムラがある場合。iii)ヒータの長手幅方向で中央を境に左右の温度分布のバランスが崩れたりする場合。
このフィルム41の回転動作時におけるスラスト方向の寄り移動を規制するために、左右のフランジ部材45L・45Rがある。フィルム41が左方に寄り移動した場合には、そのフィルム41の左側端部(一端側の端部)が、左側のフランジ部材45Lのフランジ部45aの内面45fに突き当たって受け止められて寄り移動が規制される。フィルム41が右方に寄り移動した場合には、そのフィルム41の右側端部(他端側の端部)が、右側のフランジ部材45Lのフランジ部45aの内面45fに突き当たって受け止められて寄り移動が規制される。
また、ユニット40とローラ50とが互いに圧接してニップ部Nが形成された状態で装置17の駆動が停止されて長時間保持されると、ローラ50の弾性層52のニップ部対応部分に塑性変形が残る。これが原因して、その後に装置17が駆動されたときに、ローラ50およびフィルム41の回転ムラが発生し、記録材P上のトナー画像に不良を来す場合がある。これを解決するためには、装置17の駆動停止状態時にはニップ部Nでの圧接力を解除する必要がある。
本実施例においては、前述した左右の加圧機構60L・60Rについて、フィルム41の寄り調整手段を兼ねる圧解除機構(圧解除手段)80を具備させてある。圧解除機構80は装置両端に設けられており左右の加圧機構60L・60Rに作用してニップ部Nに掛る圧力を解除する機構である。そして、圧解除機構80は前記ニップの前記スラスト方向の一端と他端に掛る圧力を順に解除できる構成である。
機構80は、ユニット40よりも記録材搬送方向上流側において、左右の側板31L・31Rの間に回転可能に軸受保持させた一本のカム軸81を有する。軸81の左側端部は左側の側板31Lの外側に突出されていて、その突出軸部に左側圧解除カム(一端側解除カム)82が固着されている。
カム82は左側の加圧機構60Lにおいてレバー61の上流側端部61bの下側に位置していて、そのレバー61に対して作用する。また、軸81の右側端部も右側の側板31Rの外側に突出されていて、その突出軸部に右側圧解除カム(他端側解除カム)83と圧解除ギアG2が固着されている。カム83は右側の加圧機構60Rにおいてレバー61の上流側端部61bの下側に位置していてそのレバー61に対して作用する。
軸81は制御回路部101で制御される駆動手段(圧解除モータ)M2の駆動力がギアG2に対して駆動伝達手段(不図示)を介して所定のタイミングで伝達されることで、図5、図6において矢印B方向に回転駆動される。カム82・83も軸81と一体に回転する。
軸81の回転による左側のカム82と右側のカム83の回転によりそれぞれの側の加圧機構60L・60Rのレバー61の上流側端部61bに対する当接と、所定の間隙を有する離間とがそれぞれの側のカム82・83のカムプロフィルに従ってなされる。レバー61はカム隆起部との当接によってバネ62に抗して持ち上げ回動される。これによりそのレバー側のニップ部Nの圧接力が解除される。また、レバー61からカムが離間することで、そのレバー側のニップ部Nが加圧状態になる。
記録材Pが画像形成装置内を搬送されているとき、軸81は、図3、図5、図6に示すように左右のカム82・83とそれぞれの側のレバー61との間には所定の間隙を有している回転角に保持されている。即ち、ニップ部Nの左右側が共に圧接状態にされている。
次に、本発明の特徴であるフィルム41の寄り調整手段となるニップ部Nの左右側の圧接力を解除する圧解除手段について、図1、図11および図12を用いて説明する。図1は圧解除動作を説明するための概略模式図である。図11は左側の圧解除カム82の形状および圧解除動作を示す概略図である。図12は右側の圧解除カム83の形状および圧解除動作を示す概略図である。
1)図11の(a)、図12の(a)は、図3、図5、図6の状態、つまり記録材Pが画像形成装置内を搬送されているときの左右のカム82・83の状態を示している。このようにニップ部Nの左右側が共に圧接状態にされていて、かつローラ50が駆動されている状態において、記録材Pがニップ部Nに導入されて画像定着が実行される。
2)制御回路部101は、記録材Pの搬送が終了したら、フィルム41が前回の圧解除時から所定の回転数以上回転した場合にのみ、圧解除の信号を駆動手段M2に送る。圧解除の信号を受けた駆動手段M2によりギアG2に駆動が所定時間だけ伝達され、軸81を介して左右のカム82・83は矢印B方向に90°回転する。
このとき、図11の(b)、図12の(b)に示すように、左右のカム82・83上の点82a・83aがそれぞれ上側に位置する。これにより、左側のカム82はその側のレバー61をバネ61に抗して押し上げてレバー61とバネ受け座部分45bとが離間し、ニップ部Nの左側の圧接力のみが解除される。
これにより、ニップ部Nの左右の圧バランスが崩れ、図1の(a)に示すようにステイ43、ヒータ42およびフィルム41は左側(一端側)においてローラ50から離れる方向に移動する。そのため、ローラ50に対して傾いた状態になる。即ち、フィルム41のスラスト方向の軸線とローラ50の軸線とがなす角度が変化する。
この状態でギアG1に駆動手段M1から駆動が伝達されると、フィルム41は圧接力の弱い方つまり左側に従動回転しながら寄り移動する。この寄り調整手段81・82・83の状態が、フィルム41の回転状態時においてフィルム41をスラスト方向の一方側(左側)に寄せる力を発生させる第1の状態である。
ギアG1に駆動が伝達される時間は、フィルム41が右側に寄っていた場合でも左側のフランジ部材45Lのフランジ部45aの内面45fに突き当たるに十分な第1の所定時間である。この状態でフィルム41は左側のフランジ部材45Lのフランジ部45aの内面45fに必ず突き当たることになる。
3)次に、再び駆動手段M2によりギアG2に駆動が所定時間だけ伝達され、軸81を介して左右のカム82・83は矢印B方向に90°回転する。このとき、図11の(c)、図12の(c)に示すように、左右のカム82・83上の点82b・83bがそれぞれ上側に位置する。これにより、左側のカム82はその側のレバー61から離間してニップ部Nの左側において圧接力が再び加わる。右側のカム83はその側のレバー61をバネ82に抗して押し上げて、右側のレバー61とバネ受け座部分45bとが離間し、ニップ部Nの右側の圧接力のみが解除される。
これにより、ニップ部Nの左右の圧バランスが崩れ、図1の(b)に示すようにステイ43、ヒータ42およびフィルム41は右側においてローラ50から離れる方向に移動する。そのため、ローラ50に対して傾いた状態になる。即ち、フィルム41のスラスト方向の軸線とローラ50の軸線とがなす相対的な角度が変化する。
この状態でギアG1に駆動手段M1から再び駆動が伝達されると、フィルム41は圧接力の弱い方つまり右側に従動回転しながら移動する。この寄り調整手段81・82・83の状態が、フィルム41の回転状態時においてフィルム41をスラスト方向の他方側(右側)に寄せる力を発生させる第2の状態である。
このときギアG1に駆動が伝達される時間は、左端に寄っていたフィルム41が右に移動してフィルム41の両端と左右のフランジ部材45L・45Rのフランジ部45aの内面45fとの間隙がほぼ均等となるまでの第2の所定時間である。この状態でフィルム41は中央位置に寄り調整されたことになる。第2の所定時間は前記第1の所定時間よりも短い。より具体的には、第2の所定時間は第1の所定時間のほぼ半分とされる。
4)その後、再び駆動手段M2によりギアG2に駆動が所定時間だけ伝達され、軸81を介して左右のカム82・83は矢印B方向に90°回転する。このとき、図11の(d)、図12の(d)に示すように、カム82・83上の点82c・83cがそれぞれ上側に位置する。左右のカム82・83はそれぞれの側のレバー61を押し上げてレバー61とバネ受け座部分45bとが離間する。これにより、図1の(c)に示すようにニップ部Nの圧接力は長手全幅で解除される。この寄り調整手段81・82・83の状態が、フィルム41の一端側と他端側との圧接力を解除させる第3の状態である。
以上の圧解除動作は、画像形成装置の電源をOFFにした時にも行われる。これにより、定着装置17はニップ部Nの圧接力が長手全幅で解除された状態で待機するので、ローラ50の弾性層60が塑性変形することを回避できるとともに、工場出荷後などの物流振動時にフィルムと寄り規制部材との衝突によるフィルムの破損を防止できる。
以上の本実施例1における寄り制御手段をまとめると次のとおりである。
a)寄り制御手段81・82・83は、フィルム41の回転状態時において、フィルム41をスラスト方向の一方側に寄せる力を発生させる第1の状態と他方側に寄せる力を発生させる第2の状態とに順次可変である。
b)寄り調整手段81・82・83は、ニップ部Nの圧接力に関してフィルム41の一端側と他端側とで独立して可変である。
c)フィルム41の一端側と他端側とにおいてニップ部Nを形成するための一端側付勢手段60Lと他端側付勢手段60Rとを有する。そして、寄り調整手段81・82・83は一端側付勢手段60Lと他端側付勢手段60Rの付勢状態をそれぞれ解除するための一端側解除カム82と他端側解除カム83とを有する。
d)一端側解除カム82と他端側解除カム83は形状が異なり、一つの回転可能な軸81に固定されて回転駆動される。
e)寄り調整手段81・82・83は、フィルム41のスラスト方向の軸線と加圧部材50の軸線とがなす相対的な角度を可変である。
f)寄り調整手段81・82・83はフィルム41の一端側と他端側との圧接力を解除させる第3の状態を有し、第1の状態と第2の状態と第3の状態とが順次可変である。
g)フィルム41は、寄り調整手段81・82・83の第1の状態において第1の所定時間だけ回転され、第2の状態において第2の所定時間だけ回転駆動され、第2の所定時間は第1の所定時間よりも短い。
h)第2の所定時間は第1の所定時間のほぼ半分である。
i)寄り調整手段81・82・83は、ニップ部Nが圧接された状態でフィルム41が所定の回転数以上回転した後に、且つ記録材が搬送されないときに第1の状態および第2の状態に順次可変である。
j)寄り調整手段81・82・83は、装置の電源がOFFされる信号を受けたときに第1の状態および第2の状態に順次可変である。
以上詳述したように、本実施例においては、ニップ部Nの圧接力を解除する際に左右の圧バランスを順次変えることができる。これにより、左右どちらに寄っているか分からないフィルムであっても中央位置に寄り調整することができる。また、圧解除動作は一連のプリント動作が終了し記録材が搬送されていないときに行われる。従って、画像形成装置のプリント時間に影響を与えずにフィルムを寄り調整することができる。
なお、本実施形態においては、先に左側(一端側)の圧接力を解除するカムプロファイルとしたが、先に右側(他端側)の圧接力を解除するカムプロファイルとしても良い。
また、本実施例においては、加圧ローラ50の回転駆動を圧解除カムの回転に合わせて断続的なものとしたが、連続回転していても良い。
また、本実施例においては、圧解除時にカムの回転角度を一定にして左右の圧バランスを崩す順番を毎回同じとしたが、カムの回転角度を可変制御する、または逆回転させる等の手段により、先に圧接力を解除する側を交互に変えるようにしても良い。
加圧解除およびフィルム41の寄り調整手段は、ユニット40に対してローラ50を揺動させる構成にすることもできる。
[実施例2]
以下、実施例2に係る加熱定着装置について、図13〜図15に基づいて説明する。本実施例の定着装置においては、右側のフランジ部材45Rおよび圧解除カム83の構造が実施例1の定着装置における右側のフランジ部材45Rおよび圧解除カム83と異なる。その他の定着装置構成は実施例1の定着装置と同様であるから同一部分については同一の符号で表し、その説明を省略する。また、本実施例に係る加熱定着装置は、実施例1で説明した画像形成装置(図2)に搭載されるものである。
図13は、本実施例における右側のフランジ部材45Rおよび圧解除カム83の形状を説明するためのもの斜視図であり、(a)〜(d)は圧解除動作時の状態を順次示したもので、図12の(a)〜(d)と対応している。フランジ部材45Rは、バネ受け座部45bとフィルム端部支え部45cとが一体的に形成された端部支持部材45Aと、フランジ45Bとの2部品から構成される。
フランジ45Bは円筒状に形成されたフィルム端部支え部45cに嵌合されており、フィルム端部支え部45cに左右方向にスライド可能に保持されている。圧解除カム83の左面には斜面83dを有した突起83eが一体的に形成されている。また、フランジ45Bの右面には斜面45gを有した突起45hが一体的に形成されている。
図14は、定着装置17の長手方向の構成を示す概略模式図である。端部支持部材45Aには一体的に形成され突出したバネ掛け部45iがあり、このバネ掛け部45iとフランジ45Bとの間に戻しバネ451が配設されている。フランジ45Bは、戻しバネ451の引っ張り力により図14において右側に移動付勢されており、図13の(a)に示すようにフランジ45Bに形成された突起45hが圧解除カム83の左面に突き当たって左右方向の位置が決まっている。左右の圧解除カム82、83のカムプロファイルは実施例1の左右の82・83と同じである。
図14の状態つまり記録材が画像形成装置内を搬送されているときは、左右の圧解除カム82・83と左右のレバー61・61との間には所定の間隙を有しており、ニップ部Nは長手全幅に渡って略均一に圧接されている。この状態で、かつローラ50が駆動されている状態において、記録材Pがニップ部Nに導入されて画像定着が実行される。
図15の(a)〜(c)は本実施例2におけるフィルム41の寄り調整手段の圧解除動作を説明するための概略模式図である。
1)制御回路部101は、記録材Pの搬送が終了し、フィルム41が前回の圧解除時から所定の回転数以上回転した場合にのみ駆動手段M2(図3)に圧解除の信号を送る。圧解除の信号を受けた駆動手段M2によりギアG2に駆動が所定時間だけ伝達され、軸81を介して圧解除カム82・83は図11の(a)、図12の(a)と同様に矢印B方向に90°回転する。
このとき、左側の圧解除カム82はレバー61を加圧バネ62に抗して押し上げて、レバー61とバネ受け座部45bとが離間し、ニップ部Nの左側の圧接力のみが解除される。これにより、左右の圧バランスが崩れ、図15の(a)に示すように、ステイ43、ヒータ42およびフィルム41は左側においてローラ50から離れる方向に移動するためローラ50に対して傾いた状態になる。また、図13の(b)に示すように、フランジ45Bに形成された突起45hは圧解除カム83の左面に突き当たったままで、左右方向には動かない。
この状態でギアG1に駆動手段M1(図2)から駆動が伝達されると、フィルム41は圧接力の弱い方つまり左側に従動回転しながら移動する。ギアG1に駆動が伝達される時間は、実施例1と同様に、フィルム41が右側に寄っていた場合でも左側のフランジ部45aに突き当たるに十分な第1の所定時間であり、この状態でフィルム41は左側のフランジ部45aに必ず突き当たることになる。
2)次に、再び駆動手段M2によりギアG2に駆動が所定時間だけ伝達され、軸81を介して圧解除カム82・83は矢印B方向に90°回転する。このとき、左側の圧解除カム82はレバー61から離間してニップ部Nの左側において圧接力が再び加わる。右側の圧解除カム83はレバー61を加圧バネ62に抗して押し上げて、右側のレバー61とバネ受け座部45bとが離間し、ニップ部Nの右側の圧接力のみが解除される。
これにより、左右の圧バランスが崩れ、図15の(b)に示すようにステイ43、ヒータ42およびフィルム41は右側においてローラ50から離れる方向に移動するためローラ50に対して傾いた状態になる。
このとき、図13の(c)に示すようにフランジ45Bに形成された斜面45gが圧解除カム83に形成された斜面83dに乗り上げて、フランジ45Bは戻しバネ451に抗して左方向に移動し、お互いの突起45h・83eが突き当たる位置で移動は停止する。このときの移動量つまり突起83eの高さは、図14の状態での左右のフランジ45a・45B間の距離とフィルム41の長さとの差のほぼ半分である。
この状態でギアG1に駆動手段M1から再び駆動が伝達されると、フィルム41は圧接力の弱い方つまり右側に従動回転しながら移動する。このときギアG1に駆動が伝達される時間は、左端に寄っていたフィルム41が右に移動してフィルム41の右端が右側のフランジ45Bと突きあたるのに十分な第2の所定時間であり、この状態でフィルム41は中央位置に精度良く寄り調整されたことになる。
3)その後、再び駆動手段M2によりギアG2に駆動が所定時間だけ伝達され、軸81を介して圧解除カム82・83は矢印B方向に90°回転し、左右の圧解除カム82・83はそれぞれレバー61を押し上げてレバー61とバネ受け座部45bとが離間する。これにより、図15の(c)に示すように、ニップ部Nの圧接力は長手全幅で解除され、ローラ50の弾性層52が塑性変形するという問題を回避できる。
このとき、図13の(d)に示すように、右側のフランジ45Bの突起45hは圧解除カム83の突起83eから離れ、戻しバネ451の付勢により右側に移動し、突起45hが圧解除カム83の左面に突き当たった状態に位置決めされる。これにより、図15の(c)の状態において、フィルム41の両端と左右のフランジ45a、45Bとのそれぞれの間隙は等しくなる。
以上の本実施例2におけるフィルム41の寄り制御手段をまとめると次のとおりである。
a)フィルム41の回転状態時において、フィルム41をスラスト方向の一方側に寄せる力を発生させる第1の状態と他方側に寄せる力を発生させる第2の状態とに順次可変な第1の寄り調整手段81・82・83を有する。この第1の寄り調整手段81・82・83は実施例1の寄り調整手段81・82・83と同様である。
また、フィルム61を他方側への寄せる力を発生させる第1の状態と一方側への寄せる力を発生させる第2の状態とに順次可変な第2の寄り調整手段45A・45B(45g・45h)・83(83d・83e)・451を有する。
そして、上記の第1の寄り調整手段と第2の寄り調整手段とによる寄り調整が交互に行われる。
b)第1の規制部材(45L)と第2の規制部材(45R)うちの少なくとも一つは、フィルム41の長手方向に移動可能であり、第2の状態のとき前記所定間隔とフィルムの長さとの差がほぼ半分となるように移動する。
c)移動可能な規制部材(45R)は、解除カム(83)の回転により移動される。
d)実施例1におけるb)〜j)の構成は本実施例2においても同様である。
以上詳述したように、本実施例においては、ニップ部Nの圧接力を解除する際に左右の圧バランスを順次変えることができる。さらにフランジ45Bを移動可能にしてフィルム41の寄り位置を調整する際の基準板として利用することにより、左右どちらに寄っているか分からないフィルム61であっても中央位置に精度良く寄り調整することができる。
なお、本実施例においては、先に左側の圧接力を解除するカムプロファイルとしたが、左側のフランジ部を移動可能として先に右側の圧接力を解除するカムプロファイルとしても良い。
また、本実施例においては、加圧ローラ50の回転駆動を圧解除カムの回転に合わせて断続的なものとしたが、連続回転していても良い。
また、本実施例においては、圧解除時にカムの回転角度を一定にして左右の圧バランスを崩す順番を毎回同じとした。これに限られず、左右のフランジを適宜移動させる構成にして、カムの回転角度を可変制御する、または逆回転させる等の手段により、先に圧接力を解除する側を交互に変えるようにしても良い。
また、本実施例においては、加圧ローラ50のギアG1に駆動が伝達される時間は、フィルム61が右側に寄っていた場合でも左側のフランジに突き当たるに十分な所定時間とした。しかし、少なくとも中央より左側に寄せることができれば良く、必ずしも左側のフランジに突き当てる必要はない。
上述の実施例1及び実施例2では、二つのカム82及び83が一本の軸81に取り付けられており、軸81を回転させることにより二つのカムが同時に回転する構成であったが、本発明はこれに限らず、二つのカムを各々単独で駆動する構成でもよい。この場合、二つのカムの加圧機構に作用する面のプロファイルは同一であっても構わない。
[その他の装置構成]
1)本発明に係る像加熱装置は、実施例の画像加熱装置17としての使用に限られない。記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大装置(画像改質装置)としても有効に使用することができる。
2)フィルム41を加熱する加熱手段は実施例のヒータ42に限られない。フィルム41に通電により発熱する抵抗発熱層を具備させ、その抵抗発熱層に電力供給してフィルム41を加熱する加熱手段構成にすることもできる。また、フィルム41に電磁誘導発熱する金属層を具備させ、フィルム41の内側または外側に交番磁界を発生する誘導コイルアセンブリを配設して、フィルム41を金属層の誘導発熱により加熱する加熱手段構成にすることもできる。
これらの装置構成の場合にはバックアップ部材43にはヒータ42は無く、ベルト41の内面はバックアップ部材43と摺動する。バックアップ部材43は回転体にすることもできる。
3)加圧部材50はローラ体に限られない。回転駆動されるエンドレスベルト体にすることもできる。
4)ベルト41は、少なくとも駆動ローラとバックアップ部材との複数の懸架部材間に懸回張設して駆動ローラの駆動により回転駆動させる装置構成にすることもできる。この構成において、加圧部材50はベルト41の回転に従動して回転させる構成にすることもできる。また、加圧部材50を表面(記録材やベルトとの当接面)の摩擦係数が小さい非回転部材(加圧パッドなど)の形態にすることもできる。
17・・像加熱装置、41・・フィルム、42・・加熱手段、43・・バックアップ部材、50・・加圧部材、N・・ニップ部、P・・記録材、t・・像、45L・・第1の規制部材、45R・・第2の規制部材、A・・所定間隔、81・82・83・・寄り調整手段

Claims (4)

  1. 回転可能なエンドレスのフィルムと、前記フィルムの内側に配置されたバックアップ部材と、前記フィルムの外側に配置されて前記バックアップ部材と共に前記フィルムを挟んで前記フィルムとの間にニップ部を形成する加圧部材と、前記フィルムを加熱する加熱手段と、前記フィルムのスラスト方向の一端側と他端側に対向して配設されており前記フィルムのスラスト方向への寄り移動をフィルム端部を受け止めて規制する第1の規制部材及び第2の規制部材と、前記スラスト方向における装置両端に設けられており前記ニップ部に圧力を掛ける加圧機構と、前記装置両端に設けられており前記加圧機構に作用して前記ニップ部に掛る圧力を解除する圧解除機構と、を有し、前記ニップ部で像を担持した記録材を挟持搬送して加熱加圧する像加熱装置において、
    前記圧解除機構は、前記ニップ部の前記スラスト方向の一端と他端に掛る圧力を順に解除できる構成であることを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記圧解除機構は、一本の軸の両端に前記加圧機構に作用する一端側解除カムと他端側解除カムを有しており、前記一端側解除カムと前記他端側解除カムの前記加圧機構に作用する面のプロファイルが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記圧解除機構は、前記加圧機構に作用する一端側解除カムと他端側解除カムを有しており、前記一端側解除カムと前記他端側解除カムを各々単独で駆動できる構成であることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  4. 前記一端側解除カムと前記他端側解除カムの少なくとも一方には、同じ側の前記規制部材に作用して前記規制部材を前記スラスト方向に移動させる突起が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の像加熱装置。
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