JP2012224835A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できるゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、窒素含有複素環基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物と、シリカとを含み、前記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10であるゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びこれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年省資源、省エネルギー、加えて、環境保護の立場から、排出炭酸ガスの低減に対する社会的要求が強まっている。自動車に対しても排出炭酸ガスの低減を目的として、自動車の軽量化、電気エネルギーの利用などの様々な対応策が検討されている。
自動車共通の課題として、タイヤの転がり抵抗改善による低燃費性の向上が必要とされ、更に走行時の安全性や耐久性向上の要求も強まっている。これらの特性はタイヤ性能に依存するところが大きいため、自動車用タイヤの低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性、耐久性(耐摩耗性など)の改善要求が強まっている。タイヤ性能は、タイヤの構造・使用材料など種々の要素に左右され、特に路面に接するトレッド部分のゴム組成物の性能に大きく左右されるため、トレッドなどのタイヤ用ゴム組成物の技術的改良が広く検討され、実用化されている。
ゴム組成物の低燃費性やウェットグリップ性能を改善する目的で、補強用充填剤としてシリカが広く使用されているが、カーボンブラックに比べて補強性が低いため、耐摩耗性などの耐久性が悪化するという問題がある。このような問題に対し、例えば、特許文献1には、シリカ配合のゴム成分として変性ブタジエンを使用する方法が開示されているが、更なる性能の改善が求められている。
特開2000−344955号公報
本発明は、上記課題を解決し、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できるゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、窒素含有複素環基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物と、シリカとを含み、前記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10であるゴム組成物に関する。前記窒素含有複素環基を有する化合物が、置換若しくは非置換のピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基及びトリアジン基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対して、前記重合体混合物の含有量が0.5〜100質量部であり、シリカの含有量が5〜150質量部であることが好ましい。
前記重合体混合物が下記式(1)、(2)又は(3)で表される構造を有する変性重合体を含むことが好ましい。
Figure 2012224835
(式中、XはCH、NH又は酸素原子を表す。Rは下記式(4)〜(10)のいずれかを表す。R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はヒドロキシル基を表す。m、n、pはそれぞれ0〜5の整数を表す。Aは前記変性重合体の残部を表す。)
Figure 2012224835
(式中、R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はカルボキシル基を表す。)
前記重合体混合物は、該重合体混合物を構成する重合体1分子あたり、前記官能基を平均0.1個以上有することが好ましい。また、前記重合体がスチレン重合体、ブタジエン重合体又はスチレンブタジエン重合体であることが好ましい。前記スチレンブタジエン重合体のスチレン含有量が5〜35質量%であることが好ましい。
前記重合体混合物のビニル結合量は、共役ジエン化合物に基づく構成単位の含有量を100モル%として、20〜80モル%であることが好ましい。また、前記重合体混合物は、水素添加率80モル%以下の水添重合体の混合物であることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物からなるタイヤ用ゴム組成物に関する。本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、窒素含有複素環基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物と、シリカとを含み、前記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10であるゴム組成物であるので、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できる。
本発明のゴム組成物は、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、窒素含有複素環基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物と、シリカとを含み、上記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である。
上記重合体混合物は、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体の一部又は全部に上記化合物を反応させて得られるものであって、該化合物との反応生成物である変性重合体と、任意に該化合物と未反応の非変性重合体とを含む重合体の混合物で、かつ該混合物は特定の重量平均分子量を有している。このような成分をシリカ配合に添加することで、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できる。なお、上記重合体混合物を構成する重合体は、水素添加されたものであってもよく、この場合、低燃費性、耐摩耗性が高い次元で得られる。
上記共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体としては、良好な低燃費性、耐摩耗性が得られるという理由から、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合体が好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点から1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点からスチレンが特に好ましい。
なお、1,3−ブタジエンを用いることでブタジエン重合体が得られ、スチレンを用いることでスチレン重合体が得られ、1,3−ブタジエン及びスチレンを用いることでスチレンブタジエン重合体が得られる。
上記重合体混合物は、例えば、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合して得られた重合体に必要に応じて水素添加処理を施し、次いで作製された重合体の末端の一部又は全部に対して上記化合物を反応させることで合成でき、具体的には以下の方法で合成できる。
共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を使用できる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を、有機リチウム化合物を重合開始剤として、必要に応じてランダマイザーの存在下でアニオン重合する方法などが挙げられる。
炭化水素系溶剤は、特に限定されないが、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。
有機リチウム化合物としては、炭素数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、入手容易性、安全性などの観点からn−ブチルリチウム又はsec−ブチルリチウムが好ましい。
また、上記ランダマイザーとは、共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1,2−結合の増加など)や、共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
重合の方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に重合体の設計の自由度、加工性などの観点から溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度(共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中のモノマー濃度が5質量%未満では、得られる共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中のモノマー濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
前述のとおり、本発明における重合体混合物を構成する重合体は、水素添加されたものでもよい。その場合、上記重合反応の後、得られた重合体に更に水素添加処理を施して水素添加重合体(水添重合体)を調製し、次いで上記化合物で変性することにより、目的の水素添加重合体混合物を合成できる。
水素添加処理は、公知の水添方法により実施でき、例えば、公知の水素化触媒(均一系水素化触媒、不均一系水素化触媒など)を使用し、1〜100気圧の加圧水素下で処理することで、重合体を水素化できる。
次いで、上記で得られた重合体を、窒素含有複素環基を有する化合物により変性することにより、重合体混合物が得られる。なお、上記化合物としては、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できる点から、置換若しくは非置換のピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基及びトリアジン基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物が好ましく、ピリジン基及び/又はピリミジン基を有する化合物がより好ましく、ピリジン基を有する化合物が更に好ましい。
ピリジン基を有する化合物としては、2−ビニルピリジン、2−エチニルピリジン、2−ピリジンメタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、2−ピリジンエタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、5−エチル−2−ピリジンエタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−アセチルピリジン、2−ベンゾイルピリジン、エチル−2−ピリジンカルボキシレート、n−ブチル−α−ピコリネート、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、2−シアノ−3−メチルピリジン、3−ビニルピリジン、3−エチニルピリジン、3−ピリジンメタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、3−ピリジンエタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、4−ビニルピリジン、4−エチニルピリジン、4−ピリジンメタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、4−ピリジンエタノールとp−トルエンスルホン酸のエステル、3−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−アセチルピリジン、3−ベンゾイルピリジン、メチルニコチネート、エチルニコチネート、n−ブチルニコチネート、ベンゾイルニコチネート、3−シアノピリジン、4−アセチルピリジン、4−ベンゾイルピリジン、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、メチルイソニコチネート、エチルイソニコチネート、2−アセチル−4−メチルピリジン、メチル−6−メチルニコチネート、6−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−シアノ−4−メチルピリジン、2−シアノ−5−メチルピリジン、イソニコチン酸無水物、4−シアノピリジン、イソニコチン酸メチルなどが挙げられる。
ピリミジン基を有する化合物としては、2−メチルピリミジン、2−シアノピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、ジアミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4−アミノ−2−メルカプトピリミジン、5−アミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、シトシン、5−ビニルピリミジン、5−エチニルピリミジン、5−アセチルピリミジンなどが挙げられる。
ピラジン基を有する化合物としては、2−ピラジンカルボニトリル、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,3,5−トリメチルピラジン、テトラメチルピラジン、2,5−ジエチルピラジン、2,6−ジエチルピラジン、2,3−ジエチル−5−メチルピラジン、2−エチル−3,5−ジメチルピラジン、2−ビニルピラジン、2−エチニルピラジン、2−アセチルピラジンなどが挙げられる。
ピリダジン基を有する化合物としては、6−メチル−8−ヒドロキシトリアゾロビリダジン、4,5−ジクロロピリダジン、6−メチルピリダジン、5−ビニルピリダジンなどが挙げられる。
トリアジン基を有する化合物としては、メラミン、メラミンシアヌレート、グアナミン、アジポグアナミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、サクシノグアナミン、メラム、メレム、メロンなどが挙げられる。
上記化合物の置換基としては特に限定されず、公知の基が挙げられるが、なかでも、シアノ基(−CN)、エチニル基(−CCH)、カルボキシル基(−COOH)、−COOR10(R10はアルキル基を表す。)で表される基、アセチル基(−COCH)、アルキル基又は無水カルボン酸基(−CO−O−CO−)が好ましく、シアノ基がより好ましい。ここで、R10のアルキル基としては、良好に変性でき、前述の性能が良好に得られるという理由から、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基が好適であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
上記化合物のなかでも、イソニコチン酸メチル、2−エチニルピリジン、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、2−アセチル−4−メチルピリジン、2−シアノピリミジンが好ましい。
また、上記化合物としては、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できる点から、下記式(11)〜(17)で表される化合物が好ましく、より好ましくは(11)〜(14)、更に好ましくは(11)で表される化合物である。
Figure 2012224835
(式中、R11は、シアノ基(−CN)、エチニル基(−CCH)、カルボキシル基(−COOH)、−COOR13(R13はアルキル基を表す。)で表される基又はアセチル基(−COCH)を表し、R12は、シアノ基、エチニル基、カルボキシル基、−COOR13(R13は同様)で表される基、アセチル基、アルキル基又は水素を表し、該R11及びR12で無水カルボン酸基(−CO−O−CO−)を形成してもよい。)
11としては、シアノ基が好ましく、R12としては、水素が好ましい。また、R12、R13のアルキル基としては、良好に変性でき、前述の性能が良好に得られるという理由から、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基が好適であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
上記化合物による変性方法としては特に限定されず、例えば、上記重合体と上記化合物とを接触させる方法などが挙げられる。具体的には、前述のアニオン重合により作製された活性末端を有する重合体溶液に変性剤を添加(クエンチせずに変性剤を添加)し、所定温度で一定時間撹拌する方法(1)、クエンチ後に変性剤を添加し、所定温度で一定時間撹拌する方法(2)などにより、重合体と変性剤とを反応させることで、変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(1)の変性反応において、上記化合物の添加量は、良好に変性できるという点から、重合体100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
方法(1)の変性反応の温度、時間は、適宜設定できるが、通常、20〜50℃、5分〜6時間である。撹拌方法は特に限定されず、公知の方法で実施できる。
なお、通常、変性後に重合反応を停止する目的で水、アルコール、酸などを混合する。さらに必要に応じて公知の老化防止剤を混合してもよい。
方法(1)により、少なくとも一方の末端が変性された変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(2)のクエンチ後に変性剤を添加する方法としては、例えば、前述のアニオン重合により作製され、クエンチして得られた重合体を有機溶剤、エーテル類などに溶解して得られた溶液に、第三級アミン類などのランダマイザー、有機リチウム化合物及び変性剤を添加する方法などが挙げられる。この場合、主鎖が変性された変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(2)の有機溶剤、エーテル類、ランダマイザー、有機リチウム化合物としては、前述と同様のものが好ましい。
方法(2)において、ランダマイザーの添加量は、有機リチウム化合物1モル当たり0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましく、1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。
方法(2)において、有機リチウム化合物の添加量は、重合体1gに対して、0.00001モル以上が好ましく、0.0001モル以上がより好ましく、0.1モル以下が好ましく、0.01モル以下がより好ましい。
また、方法(2)の上記化合物の添加量、変性反応の温度、時間は、方法(1)と同様であることが好ましい。
上記により得られた重合体混合物は、通常、下記式(1)、(2)又は(3)で表される構造を有する変性重合体を含む。
Figure 2012224835
(式中、XはCH、NH又は酸素原子を表す。Rは下記式(4)〜(10)のいずれかを表す。R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はヒドロキシル基を表す。m、n、pはそれぞれ0〜5の整数を表す。Aは前記変性重合体の残部を表す。)
Figure 2012224835
(式中、R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はカルボキシル基(−COOH)を表す。)
上記式(1)〜(3)において、Rは上記式(4)〜(10)のいずれかを表すが、なかでも、窒素含有量が多すぎるとスコーチが速くなるという理由から、好ましくは(4)〜(7)、より好ましくは(4)である。
上記式(4)〜(10)において、R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はカルボキシル基を表す。炭素数1〜2の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基などが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜10であり、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。
上記式(2)において、R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はヒドロキシル基を表す。炭素数1〜2の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基などが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜10であり、具体的には、R、Rのアリール基と同様のものが挙げられる。
Aは前記変性重合体の残部を表し、変性重合体の変性剤(上記化合物)に由来する部分を除く共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体由来の部分である。
上記で得られた重合体混合物は、該混合物を構成する重合体1分子あたり、上記官能基を平均0.1個以上有することが好ましい。
なお、本明細書において、重合体1分子あたりの上記官能基の平均個数(変性基含有量)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物の重量平均分子量(Mw)は1.0×10以上、好ましくは2.0×10以上である。Mwが1.0×10未満では、ヒステリシスロスが大きく充分な低燃費性が得られにくいだけでなく、耐摩耗性も低下する上、ブリードアウトする傾向がある。該Mwは1.0×10以下、好ましくは1.0×10以下である。Mwが1.0×10を超えると、加工性の悪化が懸念される。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物のスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。スチレン含有量が5質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。スチレン含有量が45質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、重合体混合物のスチレン含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物のビニル結合量は、共役ジエン化合物に基づく構成単位の含有量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは75モル%以下である。また、好ましくは20モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上である。
該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
重合体混合物における共役ジエン部の二重結合の水素添加率は、好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上である。水素添加率が30モル%未満では、水素添加処理による性能改善効果が充分に得られないおそれがある。また、水素添加率は、100モル%であってもよいが、好ましくは80モル%以下である。80モル%を超えると、マトリックスゴム中からのブリードアウトが懸念される。
ここで、水素添加率は、プロトンNMRを測定して得られたスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少率から計算することができる。
重合体混合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。0.5質量部未満であると、低燃費性、耐摩耗性を充分に改善できないおそれがある。また、グリップ性能を向上できないおそれがある。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは95質量部以下、更に好ましくは90質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。100質量部を超えると、ブリードアウトする上にコストが高くなる傾向がある。
本発明で使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)などのジエン系ゴムなどが挙げられる。なかでも、グリップ性能、耐摩耗性がバランスよく得られるという理由から、NR、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。なお、NR、SBRの併用、BR、SBRの併用、NR、BR、SBRの併用も好適である。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)などを使用できる。なかでも、低燃費性、耐摩耗性を良好に改善できるという点から、S−SBRが好ましい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。該スチレン含有量が上記範囲内であると、良好な低燃費性、耐摩耗性が得られる。
なお、スチレン含有量は、H−NMR測定によって算出される。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、低燃費性、耐摩耗性がバランスよく得られるという理由から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。50m/g未満では、補強効果が小さく、充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、該NSAは、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましい。300m/gを超えると、シリカの分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。5質量部未満であると、補強性が小さいため十分な耐屈曲疲労性、耐摩耗性が得られにくい傾向がある。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは70質量部以下である。150質量部を超えると、加工性や分散性が悪く、耐摩耗性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好ましい。シランカップリング剤の含有量はシリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く加工性が悪くなる傾向がある。該含有量は好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。20質量部を超えると、配合量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、コストが高くなる傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、各種老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、オイル、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(低燃費性に与える寄与率が大きいという理由から、好ましくはトレッド、サイドウォール、より好ましくはトレッド)に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
n−ヘキサン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:高千穂化学工業(株)製
スチレン:関東化学(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製
変性剤(1):和光純薬工業(株)製の2−シアノピリミジン
変性剤(2):和光純薬工業(株)製の2−エチニルピリジン
変性剤(3):和光純薬工業(株)製の2,3−ピリジンジカルボン酸無水物
変性剤(4):和光純薬工業(株)製のイソニコチン酸メチル
変性剤(5):和光純薬工業(株)製の2−アセチル−4−メチルピリジン
10%パラジウムカーボン:東京化成工業(株)製
製造例1(スチレンブタジエン共重合体(1)〜(4)の合成)
十分に窒素置換した撹拌翼つきの3Lオートクレーブに、表1の仕込み量に従い、n−ヘキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、テトラメチルエチレンジアミンを投入し、オートクレーブ内の温度を25℃に調整した。次に、1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液を加えて昇温条件下(30℃)で60分間重合し、モノマーの転化率が99%であることを確認し、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1.5g加え、スチレンブタジエン共重合体(1)〜(4)を合成した。
得られたスチレンブタジエン共重合体(1)〜(4)について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(スチレン含有量の測定)
25℃にてJEOL JNM−A 400NMR装置を用いてH−NMRを測定し、そのスペクトルより求めた6.5〜7.2ppmのスチレン単位に基づくフェニルプロトンと4.9〜5.4ppmのブタジエン単位に基づくビニルプロトンの比からスチレン含有量を決定した。
(重量平均分子量Mwの測定)
共重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
Figure 2012224835
製造例2(変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(17)の合成)
製造例1と同様の条件でスチレンブタジエン共重合体(1)〜(4)の重合を行い、クエンチしてスチレンブタジエン共重合体(1)〜(4)を得た。表2にしたがい、スチレンブタジエン共重合体(1)〜(4)をTHFに溶解し、変性剤などの薬品を加えて昇温条件下(30℃)で30分間撹拌した。次にメタノールを加え15分間撹拌し、その後、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1.5g加え、変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(17)を合成した。
Figure 2012224835
製造例3(水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6)の合成)
表3の仕込み量に従い重合した点、重合後老化防止剤添加前に、10%パラジウムカーボン5gを加え、窒素置換した後、圧力が5.0kg/cmとなるように水素置換して80℃で水素添加反応を行った点以外は製造例1と同様の条件で水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6)を合成した。
製造例4(水添処理変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(24)の合成)
製造例3と同様の条件で水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6)の重合を行い、クエンチして水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6)を得た。表4にしたがい、水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6)をTHFに溶解し、変性剤などの薬品を加えて昇温条件下(30℃)で30分間撹拌した。次にメタノールを加え15分間撹拌し、その後、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1.5g加え、水添処理変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(24)を合成した。
得られた水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6)、水添処理変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(24)について、下記にて水素添加率及び変性基含有量を測定するとともに、上記の評価を行った。結果を表3、4に示す。
(水素添加率の測定)
四塩化炭素を溶媒として用いて15質量%濃度の溶液を調製して、100MHzのプロトンNMRの不飽和結合部のスペクトル減少率から算出した。
(変性基含有量の測定)
−NMRを用いて、変性基由来の芳香族水素を示すピークの積分値増加量を測定し、変性基含有量を求めた。
Figure 2012224835
Figure 2012224835
製造例5(変性スチレンブタジエン共重合体(18)〜(47)及び変性ブタジエン重合体(1)の合成)
十分に窒素置換した撹拌翼つきの3Lオートクレーブに、表5の仕込み量に従い、n−ヘキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、テトラメチルエチレンジアミンを投入し、オートクレーブ内の温度を25℃に調整した。次に、1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液を加えて昇温条件下(30℃)で60分間重合し、クエンチせずにアニオン重合末端を活性のまま、表5にしたがい変性剤を加えて昇温条件下(30℃)で30分間撹拌した。次にメタノールを加え15分間撹拌し、その後、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1.5g加え、変性スチレンブタジエン共重合体(18)〜(47)及び変性ブタジエン重合体(1)を合成した。なお、モノマーの転化率が99%であることを確認した。
得られた変性スチレンブタジエン共重合体(18)〜(47)及び変性ブタジエン重合体(1)について、下記にてビニル結合量を測定するとともに、上記の評価を行った。結果を表5に示す。
(ビニル結合量の測定)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
Figure 2012224835
<実施例及び比較例>
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のNS116(スチレン含有量:22質量%、ビニル含有量:65質量%)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
スチレンブタジエン共重合体(1)〜(4):製造例1
変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(17):製造例2
水添処理スチレンブタジエン共重合体(1)〜(6):製造例3
水添処理変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(24):製造例4
変性スチレンブタジエン共重合体(18)〜(47)及び変性ブタジエン重合体(1):製造例5
表6〜8に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、老化防止剤、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りし排出した。得られた混練り物に老化防止剤を添加して混練りした。つぎに、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で15分間プレス加硫して加硫物を得た。
また、上記未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ195/65R15)を製造した。
得られた加硫物、試験用タイヤを下記により評価し、結果を表6〜8に示した。
(耐摩耗性指数)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1、5、6の容積損失量を100として、下記計算式により、各配合(加硫物)の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(比較例1、5、6の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(低燃費性指数(1))
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)の損失正接(tanδ)を測定し、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数(1))=(比較例1、5、6のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(低燃費性指数(2))
転がり抵抗試験機を用いて、得られた試験用タイヤを、リム15×6JJ、タイヤ内圧230kPa、荷重3.43kN及び速度80km/hの条件下で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1、5、6の転がり抵抗指数を100とし、下記計算式により、各配合の転がり抵抗を指数表示した。なお、指数大きいほど、転がり抵抗が低減され、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数(2))=(比較例1、5、6の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
Figure 2012224835
Figure 2012224835
Figure 2012224835
表6〜8から、重量平均分子量が特定値である共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を特定の化合物により変性(主鎖変性又は末端変性)して得られる重合体混合物と、シリカとを用いた実施例では、低燃費性、耐摩耗性能がバランスよく改善された。また、水素添加されたものを用いた場合にも、これらの性能が良好に得られた。

Claims (11)

  1. 共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、窒素含有複素環基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物と、シリカとを含み、
    前記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10であるゴム組成物。
  2. 前記窒素含有複素環基を有する化合物が、置換若しくは非置換のピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基及びトリアジン基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量部に対して、前記重合体混合物の含有量が0.5〜100質量部であり、シリカの含有量が5〜150質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記重合体混合物が下記式(1)、(2)又は(3)で表される構造を有する変性重合体を含む請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
    Figure 2012224835
    (式中、XはCH、NH又は酸素原子を表す。Rは下記式(4)〜(10)のいずれかを表す。R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はヒドロキシル基を表す。m、n、pはそれぞれ0〜5の整数を表す。Aは前記変性重合体の残部を表す。)
    Figure 2012224835
    (式中、R、Rは同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基、アリール基又はカルボキシル基を表す。)
  5. 前記重合体混合物は、該重合体混合物を構成する重合体1分子あたり、前記官能基を平均0.1個以上有する請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記重合体がスチレン重合体、ブタジエン重合体又はスチレンブタジエン重合体である請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 前記スチレンブタジエン重合体のスチレン含有量が5〜35質量%である請求項6に記載のゴム組成物。
  8. 前記重合体混合物のビニル結合量は、共役ジエン化合物に基づく構成単位の含有量を100モル%として、20〜80モル%である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 前記重合体混合物は、水素添加率80モル%以下の水添重合体の混合物である請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ用ゴム組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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