JP2012221977A - 横型igbt - Google Patents

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Abstract

【課題】薄い活性層を有する積層基板に形成される横型IGBTの特性を改善する。
【解決手段】横型IGBT1は、p型のコレクタ領域46,48とp型のコレクタウェル領域44を備えている。コレクタウェル領域44は、コレクタ領域46,48を取り囲んでコレクタ領域46,48に接している。コレクタウェル領域44の不純物濃度は、コレクタ領域46,48の不純物濃度よりも薄い。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板と埋込み絶縁層と活性層が積層した積層基板に形成されている横型IGBTに関する。
特許文献1には、基板と埋込み絶縁層と活性層が積層した積層基板に形成されている横型IGBTが開示されている。図10に、特許文献1の技術が適用された横型IGBT3を例示する。
横型IGBT3は、基板210と埋込み絶縁層220と活性層230が積層したSOI基板に形成されている。横型IGBT3は、コレクタ部240(ドレイン部ともいう)と、n型のドリフト領域232と、絶縁ゲート部274と、p型のボディ領域292と、p型ボディコンタクト領域294と、n型のエミッタ領域296(ソース領域ともいう)を備えている。コレクタ部240は、n型のコレクタバッファ領域244とp型の高濃度コレクタ領域246とp型の低濃度コレクタ領域248を有している。コレクタバッファ領域244は、高濃度コレクタ領域246と低濃度コレクタ領域248よりも深く形成されており、高濃度コレクタ領域246と低濃度コレクタ領域248を取り囲んでいる。高濃度コレクタ領域246と低濃度コレクタ領域248は、コレクタ電極に接続されている。絶縁ゲート部274は、ゲート電極276とゲート絶縁膜278を有している。ゲート電極276は、エミッタ領域296とドリフト領域232の間のボディ領域292にゲート絶縁膜278を介して対向している。エミッタ領域296は、エミッタ電極に接続されている。ボディ領域292も、ボディコンタクト領域294を介してエミッタ電極に接続されている。
横型IGBT3では、コレクタ部240が濃度の異なる高濃度コレクタ領域246と低濃度コレクタ領域248を備えていることを特徴としている。横型IGBT3では、濃度の濃い高濃度コレクタ領域246を形成することによってコンタクト抵抗を低下させてオン電圧を低くするとともに、低濃度コレクタ領域248を形成することによって正孔の注入効率を低下させてターンオフ時間を短縮化させている。特に、特許文献1では、横型IGBT3のオン電圧とターンオフ時間が、低濃度コレクタ領域246に対する高濃度コレクタ領域248の面積比に依存するという結果が示されており、50%程度の面積比が望ましいことが示唆されている。
特開平11−40818号公報(特に、図2,3,4参照)
しかしながら、特許文献1では、活性層230の厚みに関して何ら考察されていない。本発明者らの検討によると、この種の横型IGBT3では、オン電圧及び正孔の注入効率が活性層230の厚みに依存することが分かってきた。
図11に、横型IGBT3のコレクタ部240近傍を拡大した断面図を示す。活性層230の厚みが薄くなると、コレクタ部240近傍では、活性層230内における厚み方向の電位差が小さくなる。このため、高濃度コレクタ領域246と低濃度コレクタ領域248から注入される正孔のうちの厚み方向に沿って注入される正孔は、コレクタバッファ層244のポテンシャル障壁を超えることが困難となり、その注入量が減少する。このため、図11に示されるように、コレクタ部240から注入される正孔の注入経路は、横方向に沿った注入経路が支配的となる。この結果、ドリフト領域232における電流経路は、活性層230の全体を有効に使うことができなくなり、活性層230の表面部の狭い範囲に制限されてしまう。このように、活性層230の厚みが薄くなると、コレクタ部240の形態によっては、オン電圧が急激に増加することが分かってきた。
本明細書で開示される技術は、上記知見を契機として創作されたものであり、薄い活性層を有する積層基板に形成される横型IGBTの特性を改善する技術を提供する。
本明細書で開示される横型IGBTは、基板と埋込み絶縁層と活性層が積層した積層基板に形成されている。横型IGBTは、第1導電型のコレクタ領域と第1導電型のコレクタウェル領域を備えている。コレクタ領域は、活性層に形成されているとともにコレクタ電極に接続されている。コレクタウェル領域は、活性層に形成されており、コレクタ領域を取り囲んでコレクタ領域に接している。活性層は、第2導電型である。コレクタウェル領域の不純物濃度は、コレクタ領域の不純物濃度よりも薄い。この態様の横型IGBTによると、コレクタ領域から注入されるキャリアは、コレクタウェル領域を介して活性層の厚み方向にも注入される。このため、活性層が薄い場合であっても、活性層の全体を有効に使って電流経路が形成され、低いオン電圧を実現することができる。
本明細書で開示される横型IGBTは、第2導電型のコレクタ埋込み領域をさらに備えているのが望ましい。コレクタ埋込み領域は、活性層に形成されており、コレクタウェル領域と埋込み絶縁層の間に形成されている。コレクタ埋込み領域の不純物濃度は、活性層の不純物濃度よりも濃い。この態様の横型IGBTでは、コレクタ埋込み領域が形成されているので、コレクタ領域に高電圧が印加されるようなオフ状態においても、空乏層がコレクタ領域に到達するリーチスルー現象が発生するのを抑制することができる。また、コレクタウェル領域とコレクタ埋込み領域が形成されているので、コレクタウェル領域とコレクタ埋込み領域の間の空間電荷をバランスさせることができる。この態様の横型IGBTは、活性層が薄い場合であっても、低いオン電圧と高い耐圧を両立させることができる。
本明細書で開示される横型IGBTでは、コレクタ埋込み領域の端部が、コレクタウェル領域よりもエミッタ側に位置しているのが望ましい。横型IGBTがオフしたときに、空乏層がコレクタ領域に到達するリーチスルー現象を効果的に抑制することができる。
本明細書で開示される横型IGBTでは、コレクタウェル領域が不純物濃度のピーク深さが異なる複数のコレクタウェル部分領域を有するのが望ましい。活性層の厚みが薄い場合でも、所望の形態を有するコレクタウェル領域を形成することができる。
本明細書で開示される横型IGBTは、活性層が薄い場合であっても、活性層の全体を有効に使って電流経路が形成され、低いオン電圧を実現することができる。
第1実施形態の横型IGBTの断面図を模式的に示す。 (A)1つの比較例のコレクタ部を示す。(B)他の1つの比較例のコレクタ部を示す。(C)他の1つの比較例のコレクタ部を示す。(D)本実施形態のコレクタ部を示す。 図2に示す比較例及び本実施形態のオン電圧を示す。 図2に示す比較例及び本実施形態の正孔電流割合を示す。 図2に示す比較例及び本実施形態の耐圧を示す。 コレクタウェル領域が複数個の部分領域で構成されている本実施形態のコレクタ部の例を示す。 図7に示す例の正孔電流割合を示す。 図7に示す例のオン電圧を示す。 第2実施形態の横型IGBTの断面図を模式的に示す。 従来の横型IGBTの断面図を模式的に示す。 従来の横型IGBTのコレクタ部近傍の正孔の挙動を示す。
図1に、第1実施形態の横型IGBT1の要部断面図を模式的に示す。横型IGBT1は、基板10と埋込み絶縁層20と活性層30に形成されている。基板10は、その材料に単結晶シリコンが用いられており、n型又はp型の不純物を高濃度に含んでおり、接地電位に固定されている。埋込み絶縁層20は、その材料に酸化シリコンが用いられており、その厚みが約1.0〜12.0μmである。本実施形態では、埋込み絶縁層20の厚みが4.0μmである。活性層30は、その材料に単結晶シリコンが用いられており、n型の不純物が約1×1014〜1×1016cm−3であり、その厚みが約0.5〜3.0μmである。本実施形態では、活性層30の不純物濃度が1×1015cm−3であり、活性層30の厚みが1.6μmである。
横型IGBT1は、コレクタ部40とコレクタ電極52とコレクタ配線54とコレクタ側フィールド電極56を備えている。コレクタ部40は、活性層30に形成されている複数の半導体領域で構成されている。具体的には、コレクタ部40は、p型の高濃度コレクタ領域48とp型の低濃度コレクタ領域46とp型のコレクタウェル領域44とn型のコレクタ埋込み領域42を有している。高濃度コレクタ領域48と低濃度コレクタ領域46は、両者を合わしてコレクタ領域と称される。
高濃度コレクタ領域48は、イオン注入技術を利用して活性層30の表面部に形成されている。高濃度コレクタ領域48は、コレクタ電極52に直接的に接触しており、コレクタ電極52に電気的に接続されている。高濃度コレクタ領域48は、低濃度コレクタ領域46よりもエミッタ側(図視左側)に配置されている。高濃度コレクタ領域48は、その表面不純物濃度が約5×1018〜1×1021cm−3であり、その深さが約0.05〜0.15μmである。本実施形態では、高濃度コレクタ領域48は、その表面不純物濃度が5×1020cm−3であり、その深さが0.1μmである。
低濃度コレクタ領域46は、イオン注入技術を利用して活性層30の表面部に形成されている。低濃度コレクタ領域46は、コレクタ電極52に直接的に接触しており、コレクタ電極52に電気的に接続されている。低濃度コレクタ領域46は、その表面不純物濃度が約1×1018〜3×1018cm−3であり、その深さが約0.1〜0.3μmである。本実施形態では、低濃度コレクタ領域46は、その表面不純物濃度が1×1018cm−3であり、その深さが0.2μmである。なお、高濃度コレクタ領域48と低濃度コレクタ領域46は、同一の表面不純物濃度を有する1つのコレクタ領域としてもよい。
コレクタウェル領域44は、多段のイオン注入技術を利用して活性層30に形成されており、複数のピーク濃度を有する部分領域の集合である。コレクタウェル領域44は、高濃度コレクタ領域48及び低濃度コレクタ領域46よりも深く形成されているとともに高濃度コレクタ領域48及び低濃度コレクタ領域46を取り囲んで形成されている。コレクタウェル領域44は、高濃度コレクタ領域48及び低濃度コレクタ領域46の双方に接している。上記したように、コレクタウェル領域44は、多段のイオン注入技術を用いて形成されているので、厚み方向の不純物濃度はほぼ一定と評価することができ、その不純物濃度は、約1×1017〜1×1018cm−3である。また、コレクタウェル領域44の深さは、活性層30の厚みに対して約0.4〜0.8倍である。本実施形態では、コレクタウェル領域44は、その不純物濃度が5×1017cm−3であり、その深さが1.0μmである。
コレクタ埋込み領域42は、イオン注入技術を利用して活性層30に形成されている。コレクタ埋込み領域42は、コレクタウェル領域44と埋込み絶縁層20の間に形成されており、上面がコレクタウェル領域44に接しており、底面が埋込み絶縁層20に接している。また、コレクタ埋込み領域42のエミッタ側の端部44aは、コレクタウェル領域44よりもエミッタ側(図示左側)に位置している。コレクタ埋込み領域42は、そのピーク深さが活性層30の厚みに対して約0.7〜0.9倍であり、そのピーク濃度が約1×1017〜1×1018cm−3である。本実施形態では、コレクタ埋込み領域42は、そのピーク深さが1.3μmであり、そのピーク濃度が5×1017cm−3である。
コレクタ電極52は、層間絶縁膜62を貫通して形成されており、一端がコレクタ配線54に直接的に接触しており、他端が高濃度コレクタ領域48と低濃度コレクタ領域46に直接的に接触している。コレクタ側フィールド電極56は、活性層30上に配設されており、コレクタ配線54に電気的に接続されている。コレクタ側フィールド電極56は、コレクタ部40近傍の電界を緩和するために設けられている。本実施形態では、コレクタ電極52とコレクタ配線54の材料にアルミニウムが用いられており、コレクタ側フィールド電極56の材料にポリシリコンが用いられている。
横型IGBT1はさらに、ドリフト領域32とゲート配線72と絶縁ゲート部74とエミッタ電極82とエミッタ配線84とp型のボディ領域92とp型のボディコンタクト領域94とn型のエミッタ領域96を備えている。
ドリフト領域32は、ボディ領域92とコレクタ部40の間に形成されており、その表面にはLOCOS酸化膜が形成されている。ドリフト領域32は、活性層30に各半導体領域を形成した残部であり、不純物濃度は活性層30の不純物濃度と同一である。
絶縁ゲート部74は、ゲート電極76とゲート絶縁膜78を有している。ゲート電極76は、エミッタ領域96とドリフト領域32の間のボディ領域92にゲート絶縁膜78を介して対向している。ゲート電極76はゲート配線72に電気的に接続されている。本実施形態では、ゲート電極76の材料にポリシリコンが用いられており、ゲート絶縁膜78の材料に酸化シリコンが用いられており、ゲート配線72の材料にアルミニウムが用いられている。
エミッタ電極82は、層間絶縁膜62を貫通して形成されており、一端がエミッタ配線84に直接的に接触しており、他端がボディコンタクト領域94とエミッタ領域96に直接的に接触している。本実施形態では、エミッタ電極82とエミッタ配線84の材料にアルミニウムが用いられている。
ボディ領域92は、イオン注入技術を利用して活性層30に形成されている。ボディ領域92は、ボディコンタクト領域94及びエミッタ領域96よりも深く形成されているとともにボディコンタクト領域94及びエミッタ領域96を取り囲んで形成されている。ボディ領域92は、ボディコンタクト領域94及びエミッタ領域96の双方に接しているとともに、埋込み絶縁層20にも接している。ボディ領域92は、ボディコンタクト領域94を介してエミッタ電極82に電気的に接続されている。ボディ領域92は、その表面不純物濃度が約5×1016〜5×1017cm−3である。本実施形態では、ボディ領域92の表面不純物濃度が2×1017cm−3である。
ボディコンタクト領域94は、イオン注入技術を利用して活性層30の表面部に形成されている。ボディコンタクト領域94は、エミッタ電極82に直接的に接触しており、エミッタ電極82に電気的に接続されている。ボディコンタクト領域94は、その表面不純物濃度が約1×1019〜1×1021cm−3であり、その深さが約0.05〜0.15μmである。本実施形態では、ボディコンタクト領域94は、その表面不純物濃度が5×1020cm−3であり、その深さが0.1μmである。
エミッタ領域96は、イオン注入技術を利用して活性層30の表面部に形成されている。エミッタ領域96は、エミッタ電極82に直接的に接触しており、エミッタ電極82に電気的に接続されている。エミッタ領域96は、その表面不純物濃度が約1×1019〜1×1021cm−3であり、その深さが約0.05〜0.15μmである。本実施形態では、エミッタ領域96は、その表面不純物濃度が5×1020であり、その深さが0.1μmである。
図2に、コレクタ部40を拡大した断面図を模式的に示す。図2(A)〜(C)が比較例のコレクタ部であり、図2(D)が本実施形態のコレクタ部である。なお、図2(A)は、図10及び図11で説明した従来のコレクタ部の構成に略対応しており、図2(B)及び(C)はその変形例である。図2(A)〜(C)の比較例では、埋込み絶縁層の厚みが4.0μmであり、活性層の不純物濃度が1×1015cm−3であり、活性層の厚みが1.6μmであり、p型の高濃度コレクタ領域の表面不純物濃度が5×1020cm−3であり、p型の高濃度コレクタ領域の深さが0.1μmであり、p型の低濃度コレクタ領域の表面不純物濃度が1×1018cm−3であり、p型の低濃度コレクタ領域の深さが0.2μmであり、n型のコレクタバッファ領域の表面不純物濃度が5×1017cm−3であり、n型のコレクタバッファ領域の深さが1.0μmである。
図3及び図4に示されるように、図2(A)の比較例のコレクタ部では、正孔電流割合(電流のうちの正孔キャリアが占める割合であり、正孔の注入効率の評価指標である)が低く、オン電圧が極めて高い。一方、p型の高濃度コレクタ領域とp型の低濃度コレクタ領域の位置関係を入れ替えた図2(B)の比較例では、図3及び図4に示されるように、正孔電流割合が増加するとともにオン電圧が低下している。これらの結果によれば、図2(A)及び(B)のような構成では、活性層の厚みが薄くて活性層における厚み方向の電位差が小さいことから、コレクタ領域から注入される正孔は、コレクタバッファ領域のポテンシャル障壁を超えて厚み方向に沿って注入される正孔量が少なく、横方向に沿って注入される正孔が支配的であることが推察される。このため、図2(B)に示されるように、p型の高濃度コレクタ領域をエミッタ側に配置することにより、正孔電流割合が増加するとともにオン電圧が低下したと推察される。
n型のコレクタバッファ領域を取り除いた図2(C)の比較例では、オン電圧がさらに低下している。この結果から、n型のコレクタバッファ領域を取り除くことにより、コレクタ領域から注入される正孔は、活性層の厚み方向にも拡散し、活性層の全体を有効に使って電流経路が形成され、低いオン電圧を実現しているのだと推察される。ただし、図5に示されるように、n型のコレクタバッファを取り除いた構成では、耐圧が悪化してしまう。これは、空乏層がコレクタ領域に到達するリーチスルー現象の発生が原因だと推察される。
本実施形態の図2(D)の構成は、p型のコレクタウェル領域44とn型のコレクタ埋込み領域42を備えていることを特徴としている。このため、コレクタ領域46,48から注入される正孔は、コレクタウェル領域44を介して活性層30の厚み方向に拡散することができる。さらに、コレクタ領域46,48に高電圧が印加されるようなオフ状態においても、空乏層がコレクタ領域46,48に到達するリーチスルー現象が発生するのを抑制することができる。また、コレクタウェル領域44とコレクタ埋込み領域42が形成されていることにより、コレクタウェル領域44とコレクタ埋込み領域42の間の空間電荷をバランスさせることができる。この結果、本実施形態の横型IGBT1は、活性層30が薄い場合であっても、低いオン電圧と高い耐圧を両立させることができる。
図6〜図8に、コレクタウェル領域44の注入段数と正孔電流割合及びオン電圧の関係を検討した結果を示す。なお、この検討では、コレクタ領域が高濃度コレクタ領域48のみで形成されており、その高濃度コレクタ領域48の表面不純物濃度を5×1018cm−3〜8×1020cm−3の範囲で変動させ、高濃度コレクタ領域48の深さを0.1μmで固定させている。コレクタウェル領域44の不純物濃度は5×1017cm−3であり、1段当たりの深さは0.2μmである。コレクタ埋込み領域42は、ピーク濃度が5×1017cm−3であり、ピーク深さが1.3μmである。
図7に示されるように、正孔電流割合は、高濃度コレクタ領域48の表面不純物濃度に依存しており、コレクタウェル領域44の注入段数に依存しない。正孔電流割合は、高濃度コレクタ領域48の表面不純物濃度が濃いほど高くなる。
図8に示されるように、オン電圧は、コレクタウェル領域44の注入段数に依存しており、注入段数が多いほどオン電圧が低下する。この結果によれば、コレクタウェル領域44の注入段数を増やしてコレクタウェル領域44の深さが深くなれば、高濃度コレクタ領域48から注入される正孔が厚み方向へ拡散することでオン電圧が低下したのだと推察される。
通常、正孔電流割合は30〜40%であるのが望ましいとされている。正孔電流割合が30〜40%の範囲内であれば、サージを抑制しながらターンオフ時のスイッチング速度を100nsec以下とすることができる。したがって、図7及び図8の結果から、高濃度コレクタ領域48の表面不純物濃度は5×1018cm−3〜1×1020cm−3の範囲が望ましく、コレクタウェル領域44の深さは0.6μm(注入段数が3段)〜1.0μm(注入段数が5段)が望ましい。換言すれば、コレクタウェル領域44の深さは、活性層30の1/3〜2/3であるのが望ましい。
第1実施形態の横型IGBT1の他の特徴を以下に示す。
(1)コレクタ領域46,48が低濃度コレクタ領域46と高濃度コレクタ領域48の組合わせで構成されている場合、高濃度コレクタ領域48が低濃度コレクタ領域46よりもエミッタ側に配置されているのが望ましい。コレクタ領域46,48の形成範囲のうちのエミッタ側の形成範囲は、オン電圧及び正孔注入効率に強く影響する。この形成範囲に高濃度コレクタ領域48を形成すれば、オン電圧及び正孔注入効率を所望の値に調整することが容易である。
(2)活性層30の厚みは約0.5〜3.0μmの範囲であるのが望ましい。従来のコレクタ部の構成において、コレクタ領域から厚み方向への注入が抑制される現象は、活性層30の厚みが3.0μm以下の範囲において顕著に現れる。したがって、第1実施形態の横型IGBT1のような構成は、活性層30の厚みが3.0μm以下の範囲で特に有用である。また、活性層30の厚みが3.0μm以下であれば、コレクタ埋込み領域42を一般的なイオン注入技術を利用して形成することができ、製造上の面でも好適である。なお、活性層30の厚みが0.5μm未満になると、コレクタ領域46,48、コレクタウェル領域44及びコレクタ埋込み領域42を高精度に形成することが困難となる。
図9に、第2実施形態の横型IGBT2の要部断面図を模式的に示す。横型IGBT2のコレクタ部40は、コレクタ電極52と高濃度コレクタ領域48の間にシリサイド層49を備えていることを特徴としている。本実施形態では、シリサイド層49はチタンを含む。また、コレクタ電極52の材料には、タングステンプラグが用いられていることを特徴としている。これにより、高濃度コレクタ領域48は、シリサイド層49とタングステンプラグのコレクタ電極52を介してコレクタ配線54に電気的に接続されている。
同様に、コレクタ側フィールド電極56もチタンを含むシリサイド層57とタングステンプラグを介してコレクタ配線54に電気的に接続されており、ゲート電極76もチタンを含むシリサイド層75とタングステンプラグを介してゲート配線72に電気的に接続されており、エミッタ領域96及びボディコンタクト領域94もチタンを含むシリサイド層97とタングステンプラグのエミッタ電極82を介してエミッタ配線84に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、コレクタ側フィールド電極56とゲート電極76がタングステンのポリサイドとなっている。
このような電極配線は、微細なCMOSで広く用いられている。このため、横型IGBT2は、制御回路等の周辺回路をCMOSで構成した高集積複合ICに適した構成である。
さらに、横型IGBT2は、ドリフト領域32の下方にコレクタ埋込み領域42に向けて不純物濃度が高くなるように濃度勾配を持たせたドリフト埋込み領域34を備えていることを特徴としている。ドリフト埋込み領域34は、ドリフト領域32よりも不純物濃度が濃い。ドリフト埋込み領域34は、そのピーク深さが活性層30の厚みに対して約0.7〜0.9倍であり、そのピーク濃度が約3×1016〜1×1017cm−3である。本実施形態のドリフト埋込み領域34は、そのピーク深さが1.3μmであり、そのピーク濃度が5×1016cm−3である。ドリフト埋込み領域34が形成されていると、ドリフト領域32の電位分布を均一化することができ、高耐圧な横型IGBT2が得られる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:基板
20:埋込み絶縁層
30:活性層
40:コレクタ部
42:コレクタ埋込み領域
44:コレクタウェル領域
46:低濃度コレクタ領域
48:高濃度コレクタ領域

Claims (4)

  1. 基板と埋込み絶縁層と活性層が積層した積層基板に形成されている横型IGBTであって、
    前記活性層に形成されているとともにコレクタ電極に接続される第1導電型のコレクタ領域と、
    前記活性層に形成されており、前記コレクタ領域を取り囲んで前記コレクタ領域に接している第1導電型のコレクタウェル領域と、を備えており、
    前記活性層は、第2導電型であり、
    前記コレクタウェル領域の不純物濃度は、前記コレクタ領域の不純物濃度よりも薄い横型IGBT。
  2. 前記活性層に形成されており、前記コレクタウェル領域と前記埋込み絶縁層の間に形成されている第2導電型のコレクタ埋込み領域をさらに備えており、
    前記コレクタ埋込み領域の不純物濃度は、前記活性層の不純物濃度よりも濃い請求項1に記載の横型IGBT。
  3. 前記コレクタ埋込み領域の端部が、前記コレクタウェル領域よりもエミッタ側に位置している請求項2に記載の横型IGBT。
  4. 前記コレクタウェル領域は、不純物濃度のピーク深さが異なる複数のコレクタウェル部分領域を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の横型IGBT。
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