JP2012221680A - 自動車用電線 - Google Patents

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佑子 中島
Yoshiaki Ueda
吉昭 上田
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Abstract

【課題】耐摩耗性の高い自動車用電線を提供する。
【解決手段】自動車用電線10は、公称導体断面積が0.3mm2未満である導体線11とそれを被覆する絶縁被覆層12とを備える。絶縁被覆層12の少なくとも表層部分は、JIS K7215に基づいて測定されるショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は自動車用電線に関する。
自動車内には、機器間の電気的接続を行うための自動車用電線が多数配索されている。
例えば、特許文献1には、導体断面積が0.3〜2.0mm2である塩化ビニル被覆電線で構成された自動車用のワイヤハーネスが開示されている。
特許文献2には、導体線が絶縁体で被覆された外径が1.1mm未満の自動車用電線であって、絶縁体の厚さが0.25mm以下であり、絶縁体の材料がハロゲン元素を含有せず、破断伸びが10%以上で、且つ曲げ弾性率が2.0GPa超であるものが開示されている。
特許文献3には、ショアD硬度72以上のポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする絶縁体を0.08〜0.2mmの厚みに押出成形して絶縁被覆層を形成した自動車用電線が開示されている。
特開2001−216848号公報 特開2009−181850号公報 特開平10−241462号公報
自動車には排ガス低減や燃費向上を目的とした軽量・省スペース化が求められている。かかる要求に応えるため、自動車に配索される自動車用電線には、軽量化・コンパクト化が求められている。
一般に、自動車用電線は、導体線とそれを被覆する絶縁被覆層とを備えているが、自動車用電線を細径化して軽量化・コンパクト化を図った場合、電線同士が接触した際の単位面積当たりに作用する力が大きくなり、そこに振動が加わると絶縁被覆層が摩耗するという問題がある。
本発明の課題は、耐摩耗性の高い自動車用電線を提供することである。
本発明は、公称導体断面積が0.3mm2未満である導体線と、該導体線を被覆する絶縁被覆層と、を備えた自動車用電線であって、
上記絶縁被覆層の少なくとも表層部分は、JIS K7215に基づいて測定されるショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されている。
本発明によれば、絶縁被覆層の少なくとも表層部分が、ショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されているので、絶縁被覆層の表面が硬く、従って、高い耐摩耗性を得ることができる。
実施形態1に係る自動車用電線の斜視図である。 単一の素線で構成された導体線の断面図である。 (a)〜(c)は複数の素線で構成された導体線の断面図である。 図3(a)の導体線の変形例の断面図である。 実施形態2に係る自動車用電線の斜視図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る自動車用電線10を示す。
実施形態1に係る自動車用電線10は、導体線11とそれを被覆する絶縁被覆層12とを備える。実施形態1に係る自動車用電線10のJASO D618の「自動車部品−低圧電線の試験方法」(以下「JASO D618」と略す。)に基づく構造試験で測定される外径は例えば0.35〜0.55mmである。つまり、この実施形態1に係る自動車用電線10はいわゆる細径自動車用電線である。
導体線11は、公称導体断面積が0.3mm2未満であり、自動車用電線10の細径化及び抗張力のバランスの観点から、0.08〜0.22mm2であることが好ましく、0.88〜0.13mm2であることがより好ましい。導体線11の自動車用電線10のJASO D618に基づく構造試験で測定される導体外径は例えば0.35〜0.45mmである。
導体線11を形成する金属材料としては、例えば、純銅、銅合金などの銅系金属の他、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの銅系金属以外の金属も挙げられる。これらのうち、電気特性や端子圧着性等の観点から銅合金が好ましく、スズ含有量が0.1〜2.0質量%であるCu−Sn合金がより好ましい。なお、導体線11を形成する金属材料には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
導体線11は、図2に示すように、単一の素線11aで構成されていてもよく、また、図3(a)〜(c)に示すように、複数の素線11aで構成されていてもよい。
導体線11が単一の素線11aで構成される場合、導体線11を構成する単一の素線11aの断面積が0.3mm2未満であり、その外径は例えば0.35〜0.55mmである。
導体線11を構成する単一の素線11aの断面形状は、典型的には円形であるが、特にこれに限定されるものではなく、偏平の楕円形等の形状であってもよい。
導体線11が複数の素線11aで構成される場合、導体線11を構成する複数の素線11aの断面積の総和が0.3mm2未満であり、それぞれの外径は例えば0.08〜0.22mmであり、また、本数は例えば7〜37本である。導体線11を構成する複数の素線11aのそれぞれの断面形状は、典型的には円形であるが、特にこれに限定されるものではなく、偏平の楕円形等の形状であってもよい。
導体線11を構成する複数の素線11aは、全ての外径が同一であってもよく、また、外径が異なるものが混在していてもよい。
導体線11を構成する複数の素線11aは、それらの外径にもよるが、本数が37本以下であることが好ましい。典型的な本数としては、例えば、7本、19本、37本等が挙げられる。特に、7本の場合、電線横断面における導体面積(A1)に対する導体線11と絶縁被覆層12との接触部の長さ(L1)の比(L1/A1)が大きくなり、導体線11と絶縁被覆層12との密着力向上に有利となる。
導体線11を構成する複数の素線11aは、全て同一の金属材料で形成されていてもよく、また、異なる金属材料で形成されたものが混在していてもよい。
導体線11を構成する複数の素線11aは、全ての断面形状が同一であってもよく、また、断面形状が異なるものが混在していてもよい。具体的には、導体線11は、例えば、図3(a)に示すように、円形断面で且つ同一外径の7本の素線11aからなり、1本の中心線の周りに6本の外層線が配された構成であってもよく、また、図4に示すように、それに丸ダイス等を用いて圧縮加工を施し、1本の円形断面の中心線の周りに外側部分が圧縮された断面の6本の外層線が配された構成であってもよい。後者のように圧縮加工が施されていると、導体線11の外周の凹凸が小さくなって導体線11の断面における導体の占有面積率が高くなり、その結果、自動車用電線10の細径化を図ることができる。
導体線11を構成する複数の素線11aは、絶縁被覆層12と接触する外層線のうち少なくとも1本のJIS C 3002に基づいて測定される引張強さが350MPa以上であることが好ましい。これにより、自動車用電線10の抗張力が高められ、配索時の断線等を回避することができる。自動車用電線10の抗張力が高める観点からは、外層線のうち半数以上の引張強さが350MPa以上であることが好ましく、全ての外層線の引張強さが350MPa以上であることがより好ましい。外層線の引張強さは、450MPa以上であることがより好ましい一方、可撓性を確保する観点から、850MPa以下であることが好ましい。なお、外層線のうち引張強さが350MPaより小さいものについては、それらの引張強さが300MPa以上であることが好ましい。
導体線11を構成する複数の素線11aは、外層線以外の素線11aの引張強さについては特に制限されないが、自動車用電線10の十分な抗張力を得る観点からある程度高い引張強さを有することが好ましく、具体的には、それらの引張強さが300MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましく、450MPa以上であることがさらに好ましい。一方、可撓性を確保する観点からは、それらの引張強さが850MPa以下であることが好ましい。
なお、素線11aの引張強さは、材料の選択の他、鋳造、伸線、熱処理などの加工条件の組み合わせ、外径等によって調整することができる。
導体線11が複数の素線11aで構成される場合、導体線11は、複数の素線11aを引き揃えた素線束で構成されていてもよく、また、複数の素線11aを撚った撚り線で構成されていてもよい。
導体線11が撚り線で構成される場合、導体線11を構成する撚り線は、集合撚りであってもよく、また、同心撚りであってもよい。
集合撚りは、素線11aを集めて撚り合わせただけのものである。集合撚りは、製造コストが安いというメリットがある。
同心撚りは、素線11aを同心円状に配設し、断面が正多角形や円形に近似した形状となるように撚り合わせたものである。複数の素線11aの外径が同一である場合、低張力で安定して撚ることができるという観点から、集合撚りよりも、中心線である1本の素線11aの周りに他の素線11aを撚る同心撚りが好ましい。また、同心撚りにおいても、自動車用電線10の細径化を図る観点から、素線11aを隙間無く最密充填状に配設することが好ましく、具体的には、例えば、図3(a)に示すように、1本の中心線の周りに6本の素線11aを最密充填状に1層配設した7(=1+6)本同心撚り、図3(b)に示すように、1本の中心線の周りに6本の素線11a及びその周りに12本の素線11aを最密充填状に配設した19(=1+6+12)本同心撚り、並びに、図3(c)に示すように、1本の中心線の周りに6本の素線11a、その周りに12本の素線11a、及びその周りに18本の素線11aを最密充填状に配設した37(=1+6+12+18)本同心撚りが好ましい。なお、素線11aの本数が多くなると1本の素線11aの断面積が小さくなって断線し易くなり、また、2層以上の撚りの場合に製造工程が煩雑になることから、7本同心撚りが特に好ましい。
導体線11を構成する撚り線は、撚りピッチが層芯径dの30倍以上であることが好ましい。撚りピッチが層芯径dの30倍以上であれば、素線11aの細径化に伴う撚り線の柔軟化を抑制することができ、ハーネス化のための作業性を向上させることができる。一方、撚りピッチは、自動車用電線10の実用上必要な耐屈曲性を確保する観点から、層芯径dの60倍以下であることが好ましい。ここで、「撚りピッチ」とは、撚りが一回転する間の長さ方向に沿った長さをいう。また、「層芯径」とは、撚り線の断面における外層線を構成する素線11aのうち両者の中心間の距離が最大となる2本の素線11aの中心間長さである。
導体線11を構成する撚り線は、表面に潤滑剤が付着し、導体線11と絶縁被覆層12との間に潤滑剤が介在していてもよい。かかる撚り線は、各々、予め潤滑剤を付着させた複数の素線11aを撚ることにより、或いは、複数の素線11aを撚った後の例えば巻替時等に潤滑剤を付着させることにより得ることができる。このように、導体線11を構成する撚り線の表面に潤滑剤を付着させることにより、導体線11同士の密着を防止するために行う巻替の回数を少なくすることができ、それによる低コスト化を図ることができる。撚り線表面に付着させる潤滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系潤滑剤等が挙げられる。潤滑剤は、単一種で用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。なお、導体線11が単一の素線11aで構成されている場合や導体線11が複数の素線束で構成されている場合であっても、導体線11の表面に潤滑剤が付着していてもよい。
絶縁被覆層12は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成された単一層で構成されている。絶縁被覆層12のJASO D618に基づく構造試験で測定される絶縁体厚は0.16〜0.25mmであることが好ましく、0.18〜0.22mmであることがより好ましい。
絶縁被覆層12を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系ポリマーを主成分とするベースポリマーに各種の配合剤を配合したものである。
ベースポリマーに含まれるポリ塩化ビニル系ポリマーの含有量は、20質量%以上であり、50質量%以上が好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
ポリ塩化ビニル系ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等が挙げられる。中でもポリ塩化ビニルが好ましい。ポリ塩化ビニル系ポリマーは、押出成形性が良好となるという観点から、JIS K6721に基づいた平均重合度が1300〜2500であることが好ましい。ポリ塩化ビニル系ポリマーは、単一種で構成されていてもよく、また、複数種が混合されて構成されていてもよい。
ポリ塩化ビニル系ポリマー以外のポリマー成分としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらのポリマー成分は、単一種がブレンドされていてもよく、また、複数種がブレンドされていてもよい。
配合剤としては、例えば、可塑剤、充填剤、安定剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤;トリクレジルホスフェートなどのホスフェート系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;塩素化パラフィン系可塑剤;トリメリテート系可塑剤;ピロメリテート系可塑剤;ビフェニルテトラカルボキシレート系可塑剤等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、トリメリテート系可塑剤が好ましい。可塑剤は、単一種が配合されていてもよく、また、複数種が配合されていてもよい。可塑剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば5〜30質量部、好ましくは5〜15質量部である。可塑剤の配合量が、ベースポリマー100質量部に対して5質量部以上であると加工性が良好であり、汎用のスクリューやダイスで容易に押出成形でき、耐低温性が良好である。可塑剤の配合が15質量部以下であると、耐摩耗性が良好である。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナケイ酸ナトリウム、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン等が挙げられる。充填剤は、単一種が配合されていてもよく、また、複数種が配合されていてもよい。充填剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば0〜10質量部である。
安定剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウムなどのカルシウム、亜鉛、バリウムを金属成分とする脂肪酸金属塩;ハイドロタルサイト類;ポリオール;β−ジケトン化合物及びその金属塩等が挙げられる。安定剤は、単一種が配合されていてもよく、また、複数種が配合されていてもよい。安定剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば4〜8質量部である。
絶縁被覆層12を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、その他必要に応じて、配合剤として、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、防曇剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤等が配合されていてもよい。
絶縁被覆層12を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、JIS K7215に基づいて測定されるショアD硬度がD55/10〜D70/10であり、D65/10〜D55/10であることが好ましい。このようにショアD硬度がD55/10以上であることにより、優れた耐摩耗性を得ることができ、一方、ショアD硬度がD65/10以下であることにより、外観が良好で且つ十分な柔軟性(伸び)を得ることができる。なお、「D55/10」は、ショアD型硬度計の押針を試料に押付けてから10秒後の硬度計の指示値(10秒値)が55であることを意味する。
絶縁被覆層12を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物の市販材料としては、例えば、リケンテクノス社製の製品番号IHV9743Nや三菱化学社製の製品番号AN95TD等が挙げられる。
実施形態1に係る自動車用電線10は、押出成形により、導体線11を被覆するように絶縁被覆層12を形成して製造することができる。このとき、導体線11の予熱温度は例えば90〜130℃、押出成形機のダイス温度は例えば190〜210℃、及び線速は例えば150〜400m/minである。
上記の実施形態1に係る自動車用電線10によれば、絶縁被覆層12がショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されているので、絶縁被覆層12の表面が硬く、従って、高い耐摩耗性を得ることができる。また、絶縁被覆層12がポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されているので、低コスト化を図ることができると共に、屈曲性に富むことから良好なハーネスの組立作業性を得ることができる。
実施形態1に係る自動車用電線10は、その耐摩耗性として、JASO D618に基づく耐摩耗試験で測定されるサイクル数が50サイクル以上であることが好ましく、100サイクル以上であることがより好ましい。
実施形態1に係る自動車用電線10は、その屈曲性として、JASO D618に基づく絶縁体引張試験で測定される伸び(破断時)が125%以上であることが好ましく、140〜200%であることがより好ましい。
また、実施形態1に係る自動車用電線10は、JASO D618に基づく絶縁体引張試験に準じて測定される100%モジュラス(M100)、つまり、伸び100%時の引張応力値が20〜30MPaであることが好ましく、25〜30MPaであることがより好ましい。
さらに、実施形態1に係る自動車用電線10は、JASO D618に基づく密着力試験で測定される最大引張力が2N以上であることが好ましく、7N以上であることがより好ましい。密着力が高ければ、例えば導体線11が撚り線で、撚りピッチが大きい場合に、いわゆる「わらい」の発生を抑制することができ、また、自動切圧機での端子圧着(エレメント製造)やその後のハーネス組立において、キンクやエレメントの絡みの発生が阻止され、それらについて良好な作業性を得ることができる。なお、端子圧着時の皮剥ぎ性の観点からは、最大引張力が35N以下であることが好ましく、20N以下であることがより好ましい。
(実施形態2)
図5は実施形態2に係る自動車用電線10を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
実施形態2に係る自動車用電線10では、絶縁被覆層12は、最外層の表層部分12aとその内側の内層部分12bとの二層で構成されている。
表層部分12aは、実施形態1の単一層の絶縁被覆層12と同様、ショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されている。表層部分12aの厚さは、0.01〜0.20mmであることが好ましく、0.05〜0.10mmであることがより好ましい。
内層部分12bは、ショアD硬度がD55/10〜D70/10で且つ表層部分12aのショアD硬度とは異なるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されていてもよく、また、ショアD硬度がD55/10よりも低い又はD70/10よりも高いポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されていてもよく、さらに、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物以外の樹脂組成物で形成されていてもよい。内層部分12bの厚さは、0.05〜0.15mmであることが好ましく、0.11〜0.15mmであることがより好ましく、また、表層部分12aの厚さと等しいことが好ましい。
実施形態2に係る自動車用電線10は、押出成形により、導体線11を被覆するように絶縁被覆層12を形成して製造することができる。このとき、単層押出成形機を用い、最初に内層部分12bを形成して一旦巻き取り、次に内層部分12bの上に表層部分12aを形成し、内層部分12b及び表層部分12aを一層ずつ形成してもよい。また、タンデム型押出成形機を用い、最初に内層部分12bを形成し、引き続いて内層部分12bの上に表層部分12aを形成し、内層部分12b及び表層部分12aを連続して形成してもよい。さらに、二層コモンヘッドを備えた押出成形機を用い、内層部分12b及び表層部分12aを同時に形成してもよい。
上記の実施形態2に係る自動車用電線10によれば、絶縁被覆層12の表層部分12aがショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されているので、絶縁被覆層12の表面が硬く、従って、高い耐摩耗性を得ることができる。また、絶縁被覆層12の表層部分12aがポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されているので、低コスト化を図ることができると共に、屈曲性に富むことから良好なハーネスの組立作業性を得ることができる。さらに、絶縁被覆層12の表層部分12aにより耐摩耗性は得られるので、内層部分12bを形成する樹脂組成物として、表層部分12aを形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物よりも安価な樹脂組成物を採用することにより、さらなる低コスト化を図ることができる。
その他の構成、作用効果は実施形態1と同一である。
なお、実施形態2に係る自動車用電線10では、絶縁被覆層12が表層部分12aと内層部分12bとの二層構造としたが、特にこれに限定されるものではなく、最外層の表層部分12aがショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されていれば、三層以上の複数層で構成されていてもよい。
(自動車用電線)
以下の実施例1〜10及び比較例1〜7の自動車用電線を作製した。それぞれの構成は表1にも示す。
<実施例1>
外径0.17mmの素線7本を撚りピッチ18mmで同心撚りで撚った公称導体断面積0.13mm2で且つ導体外径0.45mmの導体線を押出成形機に通して絶縁体厚0.215mmの絶縁被覆層で被覆することにより外径0.88mmの自動車用電線を作製した。このとき、導体線にはシリコーンオイルを付着させなかった。絶縁被覆層を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物には、リケンテクノス社製の製品番号IHV9743Nを用いた。押出成形時の導体線の予熱温度は90℃、押出成形機のダイス温度は190℃、及び線速は150m/minとした。
作製した自動車用電線を実施例1とした。
<実施例2>
押出成形時の線速を400m/minとしたことを除いて、実施例1と同様にして作製した自動車用電線を実施例2とした。
<実施例3>
押出成形時の導体線の予熱温度を110℃及び押出成形機のダイス温度を200℃としたことを除いて、実施例2と同様にして作製した自動車用電線を実施例3とした。
<実施例4>
押出成形時の押出成形機のダイス温度を195℃としたことを除いて、実施例3と同様にして作製した自動車用電線を実施例4とした。
<実施例5>
押出成形時の押出成形機のダイス温度を190℃としたことを除いて、実施例3と同様にして作製した自動車用電線を実施例5とした。
<実施例6>
押出成形時の導体線の予熱温度を100℃としたことを除いて、実施例3と同様にして作製した自動車用電線を実施例7とした。
<実施例7>
予めシリコーンオイルを付着させた素線を撚った導体線を用いたことを除いて、実施例7と同様にして作製した自動車用電線を実施例8とした。
<実施例8>
撚線後の巻替時に導体線にシリコーンオイルを付着させたことを除いて、実施例7と同様にして作製した自動車用電線を実施例9とした。
<実施例9>
絶縁被覆層を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物に三菱化学社製の製品番号AN95TDを用い、押出成形時の導体線の予熱温度を130℃及び押出成形機のダイス温度を210℃としたことを除いて、実施例7と同様にして作製した自動車用電線を実施例10とした。
<比較例1>
絶縁被覆層を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物にリケンテクノス社製の製品番号IHV9877Sを用いたことを除いて、実施例1と同様にして作製した自動車用電線を比較例1とした。
<比較例2>
押出成形時の線速を400m/minとしたことを除いて、比較例1と同様にして作製した自動車用電線を比較例2とした。
<比較例3>
絶縁被覆層を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物に三菱化学社製の製品番号AN95PAを用いたことを除いて、実施例1と同様にして作製した自動車用電線を比較例3とした。
<比較例4>
押出成形時の線速を400m/minとしたことを除いて、比較例3と同様にして作製した自動車用電線を比較例4とした。
<比較例5>
絶縁被覆層を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物にリケンテクノス社製の製品番号AGV9964Uを用い、押出成形時の押出成形機のダイス温度を175℃としたことを除いて、実施例1と同様にして作製した自動車用電線を比較例5とした。
<比較例6>
押出成形時の線速を400m/minとしたことを除いて、比較例5と同様にして作製した自動車用電線を比較例6とした。
Figure 2012221680
(試験評価方法)
<ショアD硬度>
実施例1〜9及び比較例1〜6の絶縁被覆層を形成するポリ塩化ビニル系樹脂組成物、具体的には、リケンテクノス社製のIHV9743N、三菱化学社製のAN95TD、リケンテクノス社製のIHV9877S、三菱化学社製のAN95PA、及びリケンテクノス社製のAGV9964UのそれぞれのショアD硬度をJIS K7215に基づいて測定した。
<耐摩耗性>
実施例1〜9及び比較例1〜6のそれぞれについて、JASO D618に基づく耐摩耗試験を行い、導体線が露出するまでのサイクル数を求めた。
<伸び(破断時)及び100%モジュラス>
実施例1〜9及び比較例1〜6のそれぞれについて、JASO D618に基づく絶縁体引張試験を行い、伸び(破断時)及び100%モジュラス(M100)を求めた。
<密着力>
実施例6〜9のそれぞれについて、JASO D618に基づく密着力試験を行い、最大引張力を求めた。
(試験評価結果)
試験結果を表2に示す。
Figure 2012221680
ショアD硬度は、実施例1〜8に用いたリケンテクノス社製のIHV9743NがD55/10、実施例9に用いた三菱化学社製のAN95TDがD65/10、比較例1及び2に用いたリケンテクノス社製のIHV9877SがD50/10、比較例3及び4に用いた三菱化学社製のAN95PAがD48/10、並びに、比較例5及び6に用いたリケンテクノス社製のAGV9964UがD39/10であった。
耐摩耗試験から求めたサイクル数は、実施例1が123回、実施例2が140回、実施例3が252回、実施例4が95回、実施例5が55回、実施例6が199回、実施例7が159回、実施例8が119回、及び実施例9が86回、並びに、比較例1が23回、比較例2が44回、比較例3が7回、比較例4が9回、比較例5が6回、及び比較例6が5回であった。
絶縁体引張試験から求めた伸び(破断時)は、実施例1が132%、実施例2が179%、実施例3が192%、実施例4が187%、実施例5が151%、実施例6が212%、実施例7が177%、実施例8が173%、及び実施例9が139%、並びに、比較例1が110%、比較例2が171%、比較例3が128%、比較例4が131%、比較例5が119%、及び比較例6が171%であった。
絶縁体引張試験から求めた100%モジュラス(M100)は、実施例1が25.2MPa、実施例2が24.0MPa、実施例3が25.2MPa、実施例4が26.1MPa、実施例5が28.4MPa、実施例6が25.1MPa、実施例7が26.8MPa、実施例8が26.2MPa、及び実施例9が27.3MPa、並びに、比較例1が22.7MPa、比較例2が22.4MPa、比較例3が20.5MPa、比較例4が24.5MPa、比較例5が20.8MPa、及び比較例6が20.5MPaであった。
密着力試験から求めた最大引張力は、実施例6が20.3N、実施例7が14.1N、実施例8が11.5N、及び実施例9が11.9Nであった。
本発明は自動車用電線について有用である。
10 自動車用電線
11 導体線
11a 素線
12 絶縁被覆層
12a 表層部分
12b 内層部分

Claims (6)

  1. 公称導体断面積が0.3mm2未満である導体線と、該導体線を被覆する絶縁被覆層と、を備えた自動車用電線であって、
    上記絶縁被覆層の少なくとも表層部分は、JIS K7215に基づいて測定されるショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成されている自動車用電線。
  2. 請求項1に記載された自動車用電線において、
    上記絶縁被覆層は、JASO D618の「自動車部品−低圧電線の試験方法」に基づく構造試験で測定される絶縁体厚が0.16〜0.25mmである自動車用電線。
  3. 請求項1又は2に記載された自動車用電線において、
    上記導体線が撚り線である自動車用電線。
  4. 請求項3に記載された自動車用電線において、
    上記導体線を構成する撚り線の表面に潤滑剤が付着している自動車用電線。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された自動車用電線において、
    上記絶縁被覆層は、上記ショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成された単一層で構成されている自動車用電線。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載された自動車用電線において、
    上記絶縁被覆層は、上記ショアD硬度がD55/10〜D70/10であるポリ塩化ビニル系樹脂組成物で形成された表層部分を含む複数層で構成されている自動車用電線。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013045529A (ja) * 2011-08-22 2013-03-04 Auto Network Gijutsu Kenkyusho:Kk 自動車用の電線およびワイヤハーネス
JP2015005485A (ja) * 2013-06-24 2015-01-08 矢崎総業株式会社 高屈曲電線

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