JP6431384B2 - 絶縁電線 - Google Patents

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本発明は絶縁電線に関する。詳細には本発明は、耐熱性を向上させた絶縁電線に関する。
自動車のエンジンルーム等の高温環境下で使用される絶縁電線には、高い耐熱性が要求されている。そのため、このような場所で使用される絶縁電線の被覆材は、架橋ポリエチレンが主流となっている。被覆材として架橋ポリエチレンを用いている主な理由は、その耐熱老化特性が優れること、さらには架橋処理により耐熱性を高めることができることに由来している。
ただ、架橋ポリエチレンは架橋処理を施さないと耐熱性を高めることができないため、製造面で環境へ与える負荷が大きい。そのため、架橋処理を施す必要がなく、安価で加工も容易な塩化ビニル樹脂を被覆材として用いることが検討されている。
例えば、特許文献1では、ポリ塩化ビニルに、(A)トリメリット酸系可塑剤及び/又はピロメリット酸系可塑剤を含む可塑剤、(B)塩素化ポリオレフィン、(C)メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンを含有する電線被覆材料が開示されている。そして、このような電線被覆材料により、耐寒性、耐摩耗性及び耐外傷性が改善することが記載されている。また、特許文献2では、ポリ塩化ビニル、可塑剤、塩素化ポリエチレン、MBS系樹脂を含有する電線被覆材料が開示されている。そして、このような電線被覆材料により、座屈することなく端子に挿入可能であると共に可とう性が向上することが記載されている。
特開2011−126980号公報 特開2012−252869号公報
しかしながら、特許文献1及び2の電線は耐熱性が不十分であり、高温環境下で使用した場合には電気絶縁性を十分に確保できない恐れがあった。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、耐熱性を向上させた絶縁電線を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る絶縁電線は、塩化ビニル樹脂とガラス転移点が100℃以上である改質樹脂と可塑剤とを含有する絶縁被覆層と、絶縁被覆層により被覆される導体とを備える。そして、絶縁被覆層において、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の合計100質量部に対する可塑剤の含有量が25〜50質量部であり、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の含有比が質量比で90:10〜70:30(塩化ビニル樹脂:改質樹脂)である。
本発明の第2の態様に係る絶縁電線は、第1の態様の絶縁電線に関し、改質樹脂は、マレイミド系樹脂を含む。
本発明の絶縁電線は、絶縁被覆層が、塩化ビニル樹脂、ガラス転移点が100℃以上である改質樹脂及び可塑剤をそれぞれ所定量含有している。そのため、長期間に亘り高い耐熱性を確保でき、高温環境下で使用した場合でも良好な電気絶縁性を得ることができる。
本発明の実施形態に係る絶縁電線を示す断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る絶縁電線について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態に係る絶縁電線1は、図1に示すように、導体2と、導体2の周囲を被覆する絶縁被覆層3とを備えている。
導体2としては、1本の素線で構成された単線を用いてもよく、複数の素線を撚り合わせて構成された撚り線を用いてもよい。撚り線も、1本又は数本の素線を中心とし、その周囲に素線を同心状に撚り合わせた同心撚り線;複数の素線を一括して同方向に撚り合わせた集合撚り線;複数の集合撚り線を、同心状に撚り合わせた複合撚り線のいずれも使用することができる。
導体2の直径及び導体2を構成する各素線の直径も特に限定されない。さらに、導体2の材料も特に限定されず、例えば銅、銅合金及びアルミニウム、アルミニウム合金等の公知の導電性金属材料を用いることができる。また、導体2の表面にはめっきを施してもよく、例えば錫めっき、銀めっき、ニッケルめっきを施してもよい。
導体2の外周を被覆する絶縁被覆層3は、導体2に対する電気絶縁性を確保できる樹脂組成物により形成されている。具体的には、絶縁被覆層3は、塩化ビニル樹脂と可塑剤とを含有する。さらに本実施形態では、絶縁被覆層3の耐熱性を向上させるために、ガラス転移点が100℃以上である改質樹脂を含有する。塩化ビニル樹脂及び可塑剤と共にこのような改質樹脂を混合することにより、長期間に亘り絶縁被覆層の耐熱性を向上させ、自動車のエンジンルーム等の高温環境下においても電気絶縁性を確保することが可能となる。
絶縁被覆層3に使用される塩化ビニル樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などを挙げることができる。これらの塩化ビニル樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、塩化ビニル樹脂の重合方法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合など特に限定されない。
塩化ビニル樹脂の平均重合度(重量平均重合度)は特に限定されないが、500〜5000であることが好ましく、1500〜3000であることがより好ましい。平均重合度が500以上であることにより、得られる絶縁被覆層3の耐熱性の低下を抑制することができる。また、平均重合度が5000以下であることにより、押出成形時の溶融粘度の上昇を抑制し、さらに成形加工性の悪化を防止することができる。なお、本実施形態の絶縁被覆層3では、上記重合度の範囲にある塩化ビニル樹脂を一種又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
絶縁被覆層3に使用される可塑剤は、塩化ビニル樹脂の分子間に浸透して樹脂の分子間力を弱め、塩化ビニル樹脂に柔軟性を与えるものであれば特に限定されない。ただ本実施形態では、可塑剤は、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤から選択される一種又は二種以上を含むことが好ましい。トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤は、耐熱性及び耐候性に優れ、さらに低揮発性であるため、長期間の耐熱性が要求される絶縁被覆層3に好適である。
トリメリット酸系可塑剤としては、トリメリット酸エステルを挙げることができる。また、ピロメリット酸系可塑剤としては、ピロメリット酸エステルを挙げることができる。なお、トリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルにおいて、脱水縮合によりエステルを構成するアルコールとしては、炭素数が8〜13の飽和脂肪族アルコールなどを挙げることができる。これらのアルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
絶縁被覆層3に使用される可塑剤は、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤以外の可塑剤を含んでいてもよい。他の可塑剤としては、フタル酸系可塑剤及び脂肪族系可塑剤などを挙げることができる。可塑剤全体の配合量が後述する特定の範囲内にあると共に、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤の配合量が特定の範囲内にあるならば、絶縁被覆層3に柔軟性を与えつつも耐熱性を向上させることができる。なお、絶縁被覆層3に使用される可塑剤は、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤の少なくとも一方が主成分であることが好ましい。つまり、絶縁被覆層3に使用される可塑剤において、トリメリット酸系可塑剤及びピロメリット酸系可塑剤の合計含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
フタル酸系可塑剤としては、フタル酸エステルを挙げることができる。フタル酸エステルにおいて、脱水縮合によりエステルを構成するアルコールとしては、炭素数が8〜13の飽和脂肪族アルコールなどを挙げることができる。また、これらのアルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、フタル酸系可塑剤は、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル及びフタル酸ジトリデシルからなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
脂肪族系可塑剤としては、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル及びアゼライン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。また、これらのエステルにおいて、脱水縮合によりエステルを構成するアルコールとしては、炭素数が3〜13の飽和脂肪族アルコールなどを挙げることができる。また、これらのアルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、脂肪族系可塑剤は、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸イソノニル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル及びアゼライン酸ジオクチルからなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
上述のように、高温条件下での長期間における耐熱性及び電気絶縁性を確保するために、絶縁電線1の絶縁被覆層3は改質樹脂を含有している。このような改質樹脂としては、ガラス転移点(Tg)及び流動開始点(流動開始温度)の少なくともいずれか一方が塩化ビニル樹脂よりも高い樹脂を用いることが好ましい。具体的には、改質樹脂は、100℃以上のガラス転移点(Tg)を持つ樹脂が好ましい。改質樹脂のガラス転移点が100℃未満の場合には、添加量を増加しても耐熱性の向上に乏しいことから、ガラス転移点は100℃以上であることが好ましい。
なお、改質樹脂のガラス転移点が高くなるにつれて材料の加工温度も上がることから、加工時に熱の影響により塩化ビニル樹脂の脱塩化水素が進行し、得られる絶縁被覆層3の長期耐熱性が低下してしまう可能性がある。そのため、改質樹脂は、好ましくは100℃〜160℃のガラス転移点を持つ樹脂が好ましい。ただ、塩化ビニル樹脂の脱塩化水素が進行し難いように加工方法等を調整することにより、改質樹脂としてガラス転移点が160℃を超える樹脂を使用することも可能である。
また、改質樹脂としては、100℃以上の流動開始点を持つ樹脂も好ましい。改質樹脂の流動開始点が100℃未満の場合には、絶縁被覆層3の耐熱性が改善し難いため、流動開始点は100℃以上であることが好ましい。
改質樹脂は、マレイミド系樹脂を含有することが好ましい。改質樹脂としてマレイミド系樹脂を使用することにより、塩化ビニル樹脂と容易にポリマーアロイ化し、高温時の耐摩耗性を向上させることが可能となる。特に改質樹脂は、マレイミド系樹脂からなることがより好ましい。
マレイミド系樹脂は、マレイミド系共重合体であることが好ましい。また、マレイミド系共重合体は、N−フェニルマレイミドと他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。なお、N−フェニルマレイミドと共重合化する他のモノマーとしては、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。特に改質樹脂がN−フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル及びスチレンの共重合体である場合には、塩化ビニル樹脂との相溶性が高いため、耐熱性をより向上させることが可能となる。なお、マレイミド系共重合体では、N−フェニルマレイミドを主成分として50質量%以上含有することが好ましい。
なお、絶縁被覆層3において、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の合計100質量部に対する可塑剤の含有量は、25〜50質量部であることが好ましい。可塑剤の含有量が25質量部未満の場合には、柔軟性が低下し低温時の耐久性が不十分となる恐れがある。また、可塑剤の含有量が50質量部を超える場合には、柔軟性が高くなるため加工性は向上するが、改質樹脂を添加したとしても高温時における耐摩耗性が不十分となる恐れがある。
また、絶縁被覆層3において、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の含有比が、質量比で90:10〜70:30(塩化ビニル樹脂:改質樹脂)であることが好ましい。改質樹脂の含有比が10未満の場合には、絶縁被覆層3の硬度が低下し、高温時における耐摩耗性が不十分となる恐れがある。また、改質樹脂の含有比が30を超える場合には、絶縁被覆層3の硬度が高くなるため、低温時の耐久性が低下し、さらに得られる絶縁電線1の取り扱いが難しくなる可能性がある。なお、可塑剤が上述の含有量の場合、改質樹脂の含有比が30を超えると長期耐熱性が若干低下する恐れがあるため、この観点からも改質樹脂の含有比は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態の絶縁被覆層3は、上記材料に加えて種々の添加剤を配合することが可能である。添加剤としては、安定剤、顔料、酸化防止剤、増量剤、金属不活性剤、老化防止剤、滑剤、充填材、補強剤、紫外線吸収剤、染料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。
次に、本実施形態の絶縁電線1の製造方法について説明する。絶縁電線1の絶縁被覆層3は、上述の材料を加熱して混練することにより調製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。例えば、上述の材料をバンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールミル等の公知の混練機を用いて混練することにより、絶縁被覆層3を構成する樹脂組成物を得ることができる。また、上述の材料を予めタンブラー等を用いてドライブレンドした後、上述の混練機を用いて混練してもよい。なお、加熱混練後は、混練機から取り出して樹脂組成物を得る。その際、ペレタイザーなどで当該樹脂組成物をペレット状に成形してもよい。
そして、絶縁電線1の製造方法において、導体2を絶縁被覆層3で被覆する方法も公知の手段を用いることができる。例えば絶縁被覆層3は、一般的な押出成形法により形成することができる。そして、押出成形法で用いる押出機としては、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用し、スクリュー、ブレーカープレート、クロスヘッド、ディストリビューター、ニップル及びダイスを有するものを使用することができる。
具体的な絶縁電線1の製造方法としては、まず、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂が十分に溶融する温度に設定された二軸押出機に、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂を投入する。この際、可塑剤、さらには必要に応じて上述の添加剤も投入する。そして、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂等はスクリューにより溶融及び混練され、一定量がブレーカープレートを経由してクロスヘッドに供給される。溶融した塩化ビニル樹脂及び改質樹脂等は、ディストリビューターによりニップルの円周上へ流れ込み、ダイスにより導体の外周上に被覆された状態で押し出される。これにより、導体2の外周を被覆する絶縁被覆層3を得ることができる。
本実施形態の絶縁電線1は、塩化ビニル樹脂とガラス転移点が100℃以上である改質樹脂と可塑剤とを含有する絶縁被覆層3と、絶縁被覆層3により被覆される導体2とを備える。そして、絶縁被覆層3において、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の合計100質量部に対する可塑剤の含有量が25〜50質量部であり、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の含有比が質量比で90:10〜70:30(塩化ビニル樹脂:改質樹脂)である。本実施形態における絶縁被覆層3は、長期間に亘り高い耐熱性を確保できることから、高温環境下で使用した場合でも良好な電気絶縁性を得ることが可能となる。また、可塑剤を所定量含有しており、絶縁被覆層の柔軟性も高まるため、長期耐熱性だけでなく低温時の耐久性も向上する。さらに、塩化ビニル樹脂及び改質樹脂の含有比が上記範囲内であることにより、長期耐熱性だけでなく、耐摩耗性及び取り扱い性も高めることが可能となる。
本実施形態の絶縁電線1は、改質樹脂がマレイミド系樹脂を含むことが好ましい。改質樹脂としてマレイミド系樹脂を使用することで、塩化ビニル樹脂と良好に相溶し、高温時の耐摩耗性を向上させることが可能となる。
本実施形態の絶縁電線1は、良好な耐熱性を有する樹脂組成物によって絶縁被覆層3が形成されているため、高温部品としての内燃機関やモーター、コンバーター等の近傍に配置することが可能である。その結果、絶縁電線1は、電気自動車等の車両に好適に用いることができる。そして、このような絶縁電線1は、高い耐熱性、強度、導電性等が要求される自動車用のワイヤーハーネスに用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、混練機を用い、以下に示す塩化ビニル樹脂、改質樹脂、可塑剤、充填材、安定剤及び加工助剤を表1乃至3に示す配合量で溶融混練することにより、各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。
(塩化ビニル樹脂)
ポリ塩化ビニル 信越化学工業株式会社製 商品名:TH2000(重合度2000)、商品名TH3000(重合度3000)
(改質樹脂)
マレイミド系共重合体 日本触媒株式会社製 商品名:ポリイミレックス(登録商標)PML−203(ガラス転移点:140℃、主モノマー:N−フェニルマレイミド,メタクリル酸メチル及びスチレン)
(可塑剤)
・トリメリット酸系可塑剤 (株)ADEKA製 商品名:アデカサイザー(登録商標)C−N9(トリメリット酸イソノニルエステル)
・ピロメリット酸系可塑剤 (株)ADEKA製 商品名:アデカサイザー(登録商標)UL−100(ピロメリット酸混合直鎖アルキルエステル)
(充填材)
炭酸カルシウム 白石カルシウム株式会社製 商品名:Calmos(登録商標)
(安定剤)
Ca/Zn系塩ビ用安定剤 (株)ADEKA製 商品名:アデカスタブ(登録商標)RUP−110
(加工助剤)
アクリル系加工助剤 三菱レイヨン株式会社製 商品名:メタブレン(登録商標)P−551
次に、金属導体として、断面積が1.8mmの銅芯線を準備した。そして、当該金属導体に対し、電線製造用の押出被覆装置を用いて約210℃の温度条件で押出成形を行い、各実施例及び比較例の樹脂組成物で被覆した電線試験サンプルを作製した。なお、押出成形の際、被覆後の絶縁被覆層の厚さが0.4mmとなるように調整した。
Figure 0006431384
Figure 0006431384
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[評価]
上記実施例及び比較例の電線試験サンプルについて、次の方法により長期耐熱性、高温摩耗性、及び低温性の評価を実施した。各評価結果を表1乃至3に合わせて示す。
<長期耐熱性>
まず、実施例及び比較例で得られた電線試験サンプルから銅芯線を除去し、絶縁被覆層のみを160℃で所定時間加熱した。次に、加熱後の絶縁被覆層の伸び率を測定し、伸び率が100%以上となるか否かを測定した。この操作を繰り返し、伸び率が100%未満となったときの加熱時間を求めた。絶縁被覆層の伸び率が100%未満となったときの加熱時間が280時間以上を「○」と評価し、240時間以上280時間未満を「△」と評価し、240時間未満を「×」と評価した。なお、絶縁被覆層の伸び率は、ストログラフにより200mm/minにて測定した。
<高温摩耗性>
上記で得られた各例の電線試験サンプルに対し、摩耗子として直径0.45mmの針金を用い、IS06722のスクレープ摩耗規格に準拠して、摩耗試験を実施した。なお、この試験では、100℃の環境下、5Nの荷重を摩耗子にかけた状態で、摩耗子を絶縁被覆層上で繰り返しスライドさせた。そして、スクレープ回数が10回以上でも金属導体と針金との間で導通しなかった場合を「○」と評価し、スクレープ回数が10回未満で導通した場合を「×」と評価した。
<低温性>
まず、実施例及び比較例で得られた電線試験サンプルを、空気中、−40℃の環境下で4時間以上冷却した。次に、当該電線試験サンプルの直径と同じ直径を有する金属マンドレルへ、冷却後の電線試験サンプルを螺旋状に巻き付けた。その後、巻き付けた電線試験サンプルの金属導体と金属マンドレルとの間に1kVで1分間の耐電圧を印加した結果、絶縁破壊が発生しなかったものを「○」と評価し、絶縁破壊が発生したものを「×」と評価した。
表1より、本実施形態に係る実施例1乃至10の電線試験サンプルは、長期耐熱性に優れることが分かる。つまり、長期耐熱性は「○」及び「△」であるならば、車両用の電線として好適に用いることができる。また、実施例の電線試験サンプルは、長期耐熱性に加え、高温時の摩耗性や低温時の耐久性にも優れていることが分かる。
これに対し、改質樹脂が過少又は含有されていない比較例1及び6〜8は、高温時の耐摩耗性が不十分となることが分かる。また、改質樹脂が過剰の比較例2及び3は、低温時の耐久性が不十分となることが分かる。そして、可塑剤が過剰の比較例4は高温時の耐摩耗性が不十分となり、可塑剤が過少の比較例5は低温時の耐久性が不十分となることが分かる。
以上、本発明を実施例及び比較例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 絶縁電線
2 導体
3 絶縁被覆層

Claims (1)

  1. 塩化ビニル樹脂と、ガラス転移点が100℃以上であり、かつ、N−フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル及びスチレンの共重合体である改質樹脂と、可塑剤とを含有する絶縁被覆層と、
    前記絶縁被覆層により被覆される導体と、
    を備え、
    前記絶縁被覆層において、前記塩化ビニル樹脂及び前記改質樹脂の合計100質量部に対する可塑剤の含有量が25〜50質量部であり、前記塩化ビニル樹脂及び前記改質樹脂の含有比が質量比で90:10〜70:30(塩化ビニル樹脂:改質樹脂)であることを特徴とする絶縁電線。
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