JP2012218206A - 熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法及び熱水耐性を有するガスバリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧1×10−1〜1×10−3Torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理工程を実施した後に、その表面にシラノール基を有する鱗片状シリカを主剤に対して添加した第1高分子樹脂層、ガスバリア層、シラノール基を有する鱗片状シリカを主剤に対して添加した第2高分子樹脂層、をこの順に積層してなる備えてなる製造方法、及び該方法により得られるガスバリアフィルムとした。
【選択図】 なし
Description
本願発明に係る熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法に関して、第1の実施の形態として説明する。
まず基材となるプラスチックフィルムの表面に対し不活性ガス導入下においてプラズマ処理を実施するのであるが、この際の気圧は本実施の形態においては気圧1×10−1〜1×10−3Torrであるものとする。即ち本実施の形態におけるプラズマ処理とは、不活性ガス導入下におけるGDプラズマ処理である。そして更に本実施の形態におけるプラズマ処理はグロー放電プラズマ処理であり、更にグロー放電プラズマ処理工程が施された基材表面に、周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着するようにされている。(以下、本願発明におけるプラズマ処理を「GDプラズマ処理」とも記す。)
従来のガスバリアフィルムでは基材フィルム表面に直接金属又は金属酸化物による層を積層していたところ、得られたものを実際に使用するに際して、また積層後更に加工処理を施している最中に基材フィルムと金属層との層間密着力が充分でないために剥離してしまい、その結果好適なガスバリアフィルムが製造できない、また使用中にガスバリア性が低下してしまう、といった問題が生じていた。
従来のガスバリアフィルムでは基材フィルム表面に直接金属又は金属酸化物による層を積層していたところ、得られたものを実際に使用するに際して、また積層後更に加工処理を施している最中に基材フィルムと金属層との層間密着力が充分でないために剥離してしまい、その結果好適なガスバリアフィルムが製造できない、また使用中にガスバリア性が低下してしまう、といった問題が生じていた。
表面が未処理(プレーン)な状態のPETフィルム表面に何らかの積層を行おうとしても、積層物が「滑らか」な表面を有するPETフィルム表面に定着せず、いわば「ハジキ」と呼ばれる現象が生じ、所望のレベルの密着性を確保した積層が行えない。
まず最初に基材表面に鉄が積層されるが、そもそも前述の通り基材表面には異物等が存在しない状況となっているので、緻密な状態で鉄が付着する、即ち積層されていく。次いで基材表面及びその表面の鉄にシリカが順次積層されるのであるが、鉄とシリカとにより強固な結合が形成される。その状況で更にシリカが積層され続けるのであるが、鉄とシリカとにより形成される結合が強いことより、鉄とシリカとの密着性が良いと言え、即ち基材と蒸着層(シリカ層)との密着性が非常に強固である、と言える。そしてこの過程において、先に形成された鉄とシリカとの強固な結合の影響により、更にシリカの積層において、シリカがより凝集した形で暫時積層され続けるので、得られるシリカ層は緻密な蒸着膜となり、その結果バリア性が向上するのである。そして鉄の表面にシリカを蒸着し続けていくと、やがて鉄がシリカ層の中に展開していき、最終的にはシリカ層の中に鉄が散在している状態の層が基材表面に積層されることとなる。つまり、単純に基材/鉄層/シリカ層、という積層となるのではなく、基材表面に、鉄とシリカとが混合した状態の層が積層されてなるのである。その結果、ガスバリア層はシリカ単独による層の場合に比して、よりバリア性が向上したものとなせる。また基材と蒸着層との層間密着力がより向上する。更に凝集応力に強い層となり、また結果的に濡れ性を向上したものとなせる。
まず基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧が1×10−1〜1×10−3Torrという環境下にて予めグロー放電プラズマ処理を施すプラズマ処理工程を最初に実行した後に、
(A) ガスバリア性を有する層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
(B) 第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程と、
(C) 第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程と、
の各工程を、以下の条件に沿って実行する。
尚、ここで用いる第1高分子樹脂及び第2高分子樹脂には前述の鱗片状シリカが含有されているものとする。そして鱗片状シリカを用いること等の説明については前記の通りであり、ここでの詳述は省略する。
(条件2) 同じ工程を繰り返し実行しない。
(条件3) (B)又は(C)のいずれかを実行しなくとも良い。
(条件4) (A)〜(C)のいずれかの工程を1回実行するごとに1回工程を実行したと捉えて、全体で2回以上の工程を実行する。
本実施の形態に係る熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法は、要するにGDプラズマ処理を施した基材フィルムの表面に、ガスバリア層、第1高分子樹脂層、第2高分子樹脂層、を積層するための各工程を実行する、ということである。そしてこれらの層は規則的に複数積層されていても良いし、ランダムに積層されていても良い。
基材フィルム/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層・・・
という形態も考えられ、また
基材フィルム/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層・・・
という形態も考えられる。
「第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層」というユニットを「基材フィルム/ガスバリア層」のガスバリア層側に繰り返し積層することが考えられる。この場合、第1高分子樹脂層と第2高分子樹脂層とは異なった樹脂であることは自明のことである。
基材フィルム/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
という構成を得るものとする。
Claims (8)
- 少なくとも、
基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧1×10−1〜1×10−3Torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
前記プラズマ処理を施された基材表面に対し、シラノール基を有する鱗片状シリカを主剤に対して添加した第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行してなり、
前記第1高分子樹脂積層工程を実施した後に、その表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
前記ガスバリア層積層工程の後に、
前記ガスバリア層の表面に、シラノール基を有する鱗片状シリカを主剤に対して添加した第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程と、
を備えてなり、
前記プラズマ処理がグロー放電プラズマ処理であり、
前記グロー放電プラズマ処理工程が施された前記基材表面に、周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着してなること、
を特徴とする、熱水耐性を有するガスバリア性フィルムの製造方法。 - 請求項1に記載した耐加水分解性を有するガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記シラノール基を有する鱗片状シリカを添加した第1又は第2高分子樹脂層の断面視において、
前記シラノール基を有する鱗片状シリカが略水平方向に、かつ断面視厚み方向に互い違いになるよう層状に積み重なったように分散させてなることで、迷路効果が発揮されること、
を特徴とする、耐加水分解性を有するガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の耐加水分解性を有するガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記シラノール基を有する鱗片状シリカが、前記第1又は第2高分子樹脂層の主剤固形分濃度に対して0.01重量%以上1重量%以下の範囲にあること、
を特徴とする、耐加水分解性を有するガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記第1高分子樹脂又は前記第2高分子樹脂のいずれか一方若しくは双方が、シランカップリング剤によるものであること、又はシランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層を構成する物質が、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、の一群よりなる群のいずれか1つ若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物のいずれか、又は前記一群の中の複数若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物、であり、
前記ガスバリア層が、真空蒸着法により積層されてなるものであること、
を特徴とする、熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層がSiOxで示される酸化珪素であって、なおかつそのxが1.0≦x≦2.0であること、
を特徴とする、熱水耐性を有するガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法により製造されてなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルム。 - 請求項7に記載のガスバリアフィルムを用いてなること、
を特徴とする、太陽電池バックシート。
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