JP2012215812A - 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦傷性に優れる、膜厚6μm以下のハードコート層を有する光学フィルムの提供。
【解決手段】セルロースエステルフィルムと、その少なくとも一方の表面上に厚みが0.1〜6μmのハードコート層を有し、前記セルロースエステルフィルムの搬送方向(MD)及び搬送方向と直交する方向(TD)の双方の引張り弾性率が4.0GPa以上である光学フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示装置の表面保護フィルム等として有用な光学フィルム、及びそれを有する偏光板及び画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)などに代表される画像表示装置の表面には、保護フィルムが設けられている。使用される保護フィルムには一般的に耐擦傷性などの物理強度を付与するためにハードコート層が設けられている。ハードコート層は、脆性やカール抑制などの物性改善、軽量化および製造コスト低減の観点では、薄いほど好ましく、6μm以下とすることが必要とされているが、一方で耐擦傷性の観点では、薄層化は好ましくない。ハードコート層を薄くしていくと、耐擦傷性の指標となる鉛筆硬度が低下する。即ち、従来技術では、ハードコート層の薄型化とハードコート層の鉛筆硬度の改善とを両立することは困難であった。
ハードコート層の硬度の改善技術については、ハードコート層そのものの材料等に注目されたものが多く、基材フィルムに関するものは少ない。
特許文献1には、偏光膜の保護フィルムとして、ハードコート層を有する第1の保護フィルムとともに、硬度が所定の範囲である重合性液晶化合物層と、幅方向の弾性率が所定の範囲の透明フィルムとから構成される第2の保護フィルムを有する偏光板が開示されている。
また、特許文献2には、ハードコート層を設けた面の表面弾性率が所定の範囲である光学フィルターが開示されている。
しかし、これらの特許文献に開示の技術は、ハードコート層の薄層化を目的とするものではない。
一方、セルロースアセテートに代表されるセルロースエステルフィルムは透明性が高く、従来、画像表示装置に種々の用途で利用されている。例えば、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性を容易に確保できることから液晶表示装置における偏光板保護フィルムとして使用されている。
例えば、特許文献3には、TD弾性率/MD弾性率がそれぞれ所定の範囲であるセルロースエステルフィルムの2枚で偏光子を挟持してなる偏光板が開示されている。また、2枚のセルロースアシレートフィルムのうち、TD弾性率/MD弾性率が1.4〜2.2であるセルロースアシレートフィルム上にハードコート層を形成することについて開示されている。
また、特許文献4にも、セルロースエステル等を含有する、TD弾性率/MD弾性率が所定の範囲の光学フィルム、及びそれを保護フィルムとして有する偏光板が開示されている。
特開2010−107639号公報 特開2002−55225号公報 特開2009−265365号公報 特開2009−210777号公報
しかし、本発明者らが検討したところ、上記特許文献3及び4に開示されているセルロースエステルフィルム等に、膜厚6μm以下の薄層のハードコート層を形成すると、鉛筆硬度試験を行う方向によっては、顕著に硬度が低くなる場合があることがわかった。
本発明は、上記諸問題に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、耐擦傷性に優れる、膜厚6μm以下のハードコート層を有する光学フィルム、並びにそれを利用した偏光板及び画像表示装置を提供することである。
本発明者らが上記課題を解決することを目的として鋭意研究したところ、MD及びTDの双方の引張り弾性率を高くすることで、上記課題を解決できるとの知見を得、この知見に基づきさらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] セルロースエステルフィルムと、その少なくとも一方の表面上に厚みが0.1〜6μmのハードコート層を有し、前記セルロースエステルフィルムの搬送方向(MD)及び搬送方向と直交する方向(TD)の双方の引張り弾性率が4.0GPa以上である光学フィルム。
[2] 前記セルロースエステルフィルムのMDの引張り弾性率に対するTDの引張り弾性率の比が、1.4未満である[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記セルロースエステルフィルムが、少なくとも1種の糖エステルを含有する[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記糖エステルが、置換基の種類が同一であり、かつ、エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の混合物であり、該エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換率が62〜94%である[3]に記載の光学フィルム。
[5] 前記セルロースエステルフィルムが、延伸処理されたフィルムである[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[6] 前記ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレート系のハードコート層である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルムを表示面側表面に有する画像表示装置。
[8] 偏光子と、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルムを有する偏光板。
[9] [8]に記載の偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
本発明によれば、耐擦傷性に優れる、膜厚6μm以下のハードコート層を有する光学フィルムを提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書中、「MD」は、セルロースエステルフィルムの送り出し方向、及び「TD」はそれに直交する方向を意味し、長尺状のセルロースエステルフィルムでは、「MD」は長手方向と一致し、「TD」は幅方向と一致する。「MD」及び「TD」が特定困難な場合もあるが、その場合は矩形状のフィルムの長辺・短辺の一方をMD及び他方をTDとして任意に決定し、引張り弾性率を算出するものとする。
1.光学フィルム
本発明は、セルロースエステルフィルムと、その少なくとも一方の表面上に厚みが0.1〜6μmのハードコート層を有し、前記セルロースエステルフィルムの搬送方向(MD)及び搬送方向と直交する方向(TD)の双方の引張り弾性率が4.0GPa以上である光学フィルムに関する。本発明の光学フィルムは、ハードコート層の基材となるセルロースエステルフィルムの引張り弾性率が、MD及びTDのいずれ方向においても、4.0GPa以上であるという特徴がある。本発明者らが鋭意検討した結果、ハードコート層が薄いと、基材フィルムの引張り弾性率に異方性があると、ハードコート層の硬度に影響を与え、例えば、所定の方向では高い硬度を示しても、他の方向では硬度が顕著に低くなることがわかった。本発明では、MD及びTDのいずれ方向においても高い引張り弾性率を有するセルロースエステルフィルムを用いることで、膜厚6μm以下の薄層のハードコート層であっても、高い鉛筆硬度(即ち優れた耐擦傷性)を達成している。しかも、ハードコート層が薄層であることから、軽量化および製造コスト低減ができ、取り扱い性を損なうカールの発生がなく、また脆性の問題もない。さらに、ハードコート層とその基材フィルムであるセルロースエステルフィルムとの密着性にも優れることが好ましい。
本発明に用いる前記セルロースエステルフィルムのMD及びTDの引張り弾性率は、4.0GPa以上である。引張り弾性率は高いほど好ましいが、脆くない程度に高いことが好ましくない。これらの観点から、MD及びTDの引張り弾性率は、4.0〜5.5GPaであるのが好ましい。また、MD及びTDの引張り弾性率の差は大きくないほうが好ましく、実質的に等しいのが理想である。具体的には、前記セルロースエステルフィルムのMDの引張り弾性率に対するTDの引張り弾性率の比(TD引張り弾性率/MD引張り弾性率)は、1.4未満であるのが好ましく、1.3未満であるのがより好ましく、0.9〜1.2であるのが特に好ましい。
なお、セルロースエステルフィルムの引張り弾性率は、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、相対湿度60%雰囲気中、引張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、求めることができる。
以下、本発明の光学フィルムを構成している、セルロースエステルフィルム及びハードコート層について詳細に説明する。
[セルロースエステルフィルム]
(セルロースエステル)
本発明の光学フィルムが有するセルロースエステルフィルムは、セルロースアシレートを主成分として含有するのが好ましい。本発明で用いるセルロースアシレートは、特に制限はない。その中でも、アセチル置換度が2.70〜2.95のセルロースアシレートを用いることが好ましい。アセチル置換度が2.7以上であると、後述する条件を満たす糖エステル(例えば、特定の置換度のスクロースベンゾエートなど)との相溶性が良好であり、フィルムが白化しにくいため好ましい。さらに、透明性に加えて、透湿度や含水率が良好となるため好ましい。また、偏光板耐久性やフィルム自体の湿熱耐久性も良好となるため好ましい。一方、置換度が2.95以下であることが光学性能の観点で好ましい。
前記セルロースアシレートのアセチル置換度は、2.75〜2.90であることがさらに好ましく、2.82〜2.87であることが特に好ましい。
なお、総アシル置換度の好ましい範囲も、前記アセチル置換度の好ましい範囲と同様である。
なお、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。
セルロースの水酸基に置換する炭素原子数2〜22のアシル基のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明に使用されるセルロースアシレートは、置換基がアセチル基であるものが好ましい。
また、混合脂肪酸セルロースアシレートを用いてもよく、該混合脂肪酸セルロースアシレートとしては、具体的には、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが挙げられる。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。
前記セルロースアシレートを得るには、具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。エステル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理を行う等して、前記の特定のセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートの分子量は数平均分子量(Mn)で40000〜200000のものが好ましく、100000〜200000のものが更に好ましい。本発明で用いられるセルロースアシレートはMw/Mn比が4.0以下であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.3である。
本発明において、セルロースアシレート等の平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、国際公開WO2008−126535号公報に記載の方法により、その比を計算することができる。
前記セルロースエステルフィルムは、主成分であるセルロースアシレートとともに、少なくとも1種の可塑剤を含有していてもよい。但し、可塑剤は、一般的に、フィルムの弾性率を低下させるものであるので、用いる可塑剤の種類及び添加量の調整は重要である。糖エステル及び重縮合オリゴマー系可塑剤を低添加量で添加すると、引張り弾性率の上昇に寄与するので好ましい。中でも、芳香族基を有する糖エステル及び重縮合オリゴマー系可塑剤が好ましく、糖エステルがより好ましい。例えば、糖エステルを含むセルロースエステルフィルムを、延伸処理(好ましくは二軸延伸処理)することにより、MD及びTDの引張り弾性率を上記範囲まで上昇させることができる。また、糖エステルは、セルロースエステルフィルムのハードコート層との密着性の改善にも寄与する。
(糖エステル)
本発明に使用可能な糖エステルは、単糖類のエステルであっても多糖類のエステルであってもよい。単糖類又は2〜4多糖類のエステルであるのが好ましく、単糖類又は2もしくは3多糖類のエステルであるのがより好ましく、2糖類のエステルであることが特に好ましい。糖類(単糖及び多糖のいずれも含む意味)には、一分子中に複数のOH基が存在するが、その全てがエステル基で置換されている必要はない。特に芳香環を含む基を有するエステル基で置換された糖エステルは、未置換のOH基が残存しているほうが、セルロースアシレートとの相溶性や弾性率の上昇効果の観点で好ましい。
前記糖エステルとしては、複数の化合物の混合物を用いることも好ましい。前記糖エステルとしては、置換基の種類が同一であり、かつ、エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の混合物がより好ましい。前記エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換度は特に制限はなく、無置換体が含まれていてもよい。
なお、置換基の種類が同一であり、かつ、エステル置換度が異なる糖エステル化合物の混合物における「平均エステル置換率」は、下記式
平均エステル置換率=100%×(混合物中の各糖エステルの含有率)×(混合物中の各糖エステル一分子中のエステル化されたOHの数)/(無置換糖の一分子中のOHの総数)
によって算出でき、上記式中の「混合物中の各糖エステルの含有率」は、HPLC測定し、ピーク面積の比率から算出することができる。
なお、本明細書では、単糖類及び多糖類には、これらの糖類から誘導される、グルコン酸のような糖残基を構造として含む糖誘導体も含まれ、これらのエステル体を用いてもよい。グルコン酸のようなカルボキシル基を有する糖誘導体のエステル体では、母核となる糖類の一分子中のOH基のみならず、COOH基もエステル置換可能であるので、当該糖誘導体のエステル体の平均エステル置換率については、COOH基に対するエステル置換も前記平均エステル置換率の算出時には勘案するものとする。
前記糖エステル中には、糖エステルを構成する単糖又は多糖由来の構造(以下、糖残基とも言う)が含まれる。前記糖残基の単糖当たりの構造を、糖エステルの構造単位と言う。前記糖エステルの構造単位は、ピラノース構造単位またはフラノース構造単位を含むことが好ましく、全ての糖残基がピラノース構造単位またはフラノース構造単位であることがより好ましい。また、前記糖エステルが多糖から構成される場合は、ピラノース構造単位またはフラノース構造単位をともに含むことが好ましい。
前記糖エステルの糖残基は、5単糖由来であっても6単糖由来であってもよい。
本発明では、前記糖エステルはヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位またはフラノース構造単位を1〜3個含む糖エステルであることがより好ましく、ヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位またはフラノース構造単位を2個含む糖エステルであることがより好ましい。
前記単糖または2〜4多糖類の例としては、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、トレハロサミン、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルチトール、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクトサミン、ラクチトール、ラクツロース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、スクロース、スクラロース、ツラノース、ビシアノース、セロトリオース、カコトリオース、ゲンチアノース、イソマルトトリオース、イソパノース、マルトトリオース、マンニノトリオース、メレジトース、パノース、プランテオース、ラフィノース、ソラトリオース、ウンベリフェロース、リコテトラオース、マルトテトラオース、スタキオース、バルトペンタオース、ベルバルコース、マルトヘキサオース、キシリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
好ましくは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、スクラロース、キシリトール、ソルビトールであり、さらに好ましくは、アラビノース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロースであり、特に好ましくは、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、キシリトール、ソルビトールである。
前記糖エステルのエステル基−OC(=O)Rについては特に制限はない。Rは、脂肪族基であってもよく、また芳香族基であってもよい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。また芳香族基はヘテロ環系であっても炭化水素系であってもよい。さらに、一分子中に互いに異なる2以上のエステル置換基を有していてもよい。さらに、互いに異なるエステル置換基を有する2種以上の糖エステルを使用してもよい。
前記糖エステルのエステル基−OC(=O)Rを構成しているアシル基−C(=O)Rの好ましい例には、炭素原子数1〜22、より好ましくは炭素原子数2〜12、特に好ましくは炭素原子数2〜8の脂肪族又は芳香族アシル基が含まれ、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基が含まれる。中でも、少なくともベンゾイル基を有する糖エステルを少なくとも1種用いるのが好ましい。
また、本発明に使用可能な糖エステルは、エステル基とともに、OH基のHが、アシル基−C(=O)R以外の置換基で置換された置換基を有していてもよい。当該置換基を−OXとして表すと、Xの例には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基、ベンジル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、アミド基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアミド、例えばホルムアミド基、アセトアミド基など)、イミド基(好ましくは炭素数4〜22、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数4〜8のアミド基、例えば、スクシイミド基、フタルイミド基など)が含まれる。
本発明に使用する糖エステルは、置換基としてエステル基−OC(=O)Rのみを有し、一部に置換されていないOH基が残存している糖エステルが好ましい。
本発明に用いられる前記糖エステルの好ましい例には、下記一般式(1)で表される構造を有する糖エステルが好ましい。
一般式(1) (OH)p−G−(L1−R11q(O−R12r
一般式(1)中、Gは糖残基を表し、L1は−O−、−CO−、−NR13−のいずれか一つを表し、R11は水素原子または一価の置換基を表し、R12はエステル結合で結合した一価の置換基を表す。p、qおよびrはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、p+q+rは前記Gが環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しい。
前記Gの好ましい範囲は、前記糖残基の好ましい範囲と同様である。
前記L1は、−O−または−CO−であることが好ましく、−O−であることがより好ましい。前記L1が−O−である場合は、エーテル結合またはエステル結合由来の連結基であることが特に好ましく、エステル結合由来の連結基であることがより特に好ましい。
また、前記L1が複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
11およびR12の少なくとも一方は芳香環を有することが好ましい。
特に、前記L1が−O−である場合(すなわち前記糖エステル中のヒドロキシル基にR11、R12が置換している場合)、前記R11、R12およびR13は置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアミノ基の中から選択されることが好ましく、置換または無置換のアシル基、置換または無置換のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基であることがより好ましく、無置換のアシル基、置換または無置換のアルキル基、あるいは、無置換のアリール基であることが特に好ましい。
また、前記R11、R12およびR13がそれぞれ複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記pは0以上の整数を表し、好ましい範囲は後述する単糖ユニット当たりのヒドロキシル基の数の好ましい範囲と同様である。
前記rは前記Gに含まれるピラノース構造単位またはフラノース構造単位の数よりも大きい数を表すことが好ましい。
前記qは0であることが好ましい。
また、p+q+rは前記Gが環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しいため、前記p、qおよびrの上限値は前記Gの構造に応じて一意に決定される。
前記糖エステルの入手方法としては、市販品として(株)東京化成製、アルドリッチ製等から商業的に入手可能であり、もしくは市販の炭水化物に対して既知のエステル誘導体化法(例えば、特開平8−245678号公報に記載の方法)を行うことにより合成可能である。
前記糖エステルは、数平均分子量が、好ましくは200〜3500、より好ましくは200〜3000、特に好ましくは250〜2000の範囲が好適である。
以下に、本発明で好ましく用いることができる前記糖エステルの具体例を挙げるが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算には、Daylight Chemical Information Systems社のシステム:PCModelsに組み込まれたCLOGPプログラムを用いた。
Figure 2012215812
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前記糖エステルは、主成分であるセルロースアシレートに対し2質量%以上25質量%未満含有することが、好ましく、5〜20質量%含有することがより好ましく、5〜15質量%含有することが特に好ましい。
本発明では、置換基が同一であり、かつ、エステル置換度が異なる糖エステル化合物を複数含み、前記エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換度が62%〜94%であることが好ましい。前記置換基が同一であり、かつ、エステル置換度が異なる糖エステル化合物としては、芳香環を含む基を有するエステル基で置換された糖エステルを用いるのが好ましく、ベンゾイル基を有するエステル基で置換された糖エステルを用いるのがより好ましく、平均エステル置換率が62%〜94%の該糖エステルを用いるのが特に好ましい。
なお、前記糖エステル化合物が2糖類である場合、エステル化された置換基の数の平均値は5〜7.5個であることが好ましく、エステル化された置換基が6〜8個の高置換体の含有率が80%以下であり、エステル化された置換基が3〜4個の置換体の含有率が5〜30%であることがより好ましいこととなる。
また、他の好ましい態様は、芳香環を含む基(好ましくはベンゾイル基、以下同じ)を有するエステル基で置換された糖エステルと、脂肪族アシル基(アセチル基、ブチリル基、又はプロピオニル基等)を有するエステル基で置換された糖エステルとの混合物を用いるのが好ましい。このときの芳香環を含む基を有するエステル基で置換された糖エステルの平均エステル置換率が62%〜94%であることが好ましい。また、脂肪族アシル基を有するエステル基で置換された糖エステルは、エステル置換度が単一の糖エステルであっても、同一の脂肪族アシル基であってエステル置換度が異なる糖エステル化合物を複数含む混合物であってもよい。芳香環を含む基を有するエステル基で置換された糖エステルと、脂肪族アシル基を有するエステル基で置換された糖エステルとの混合比は、1:0〜1:3であることが好ましく、1:0〜1:1であることがより好ましい。
(UV吸収剤)
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、主成分セルロースアシレートとともに、UV吸収剤を含有しているのが好ましい。UV吸収剤は、フィルムの耐久性の改善に寄与する。特に、本発明の光学フィルムを画像表示装置の表面保護フィルムとして利用する態様において、UV吸収剤の添加は有効である。
本発明に使用可能なUV吸収剤については特に制限はない。従来セルロースエステルに使用されているUV吸収剤はいずれも用いることができる。前記紫外線吸収剤としては、特開2006−184874号公報に記載の化合物を挙げることができる。高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、前記紫外線吸収剤が、主成分であるセルロースアシレートに対して1〜3質量%の割合で含まれていることがより好ましい。
例としてUV−1〜3を挙げるが、添加する紫外線吸収剤はこれらに限定されない。
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(他の添加剤)
前記セルロースエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤の少なくとも1種をさらに含有していてもよい。他の添加剤の例には、糖エステル以外の可塑剤(例えば、リン酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、重縮合オリゴマー系可塑剤等)等が含まれる。上記した通り、芳香族基を有する重縮合オリゴマー系可塑剤は、糖エステルと同様、添加により引張り弾性率を上昇できるので好ましい。使用可能な芳香族基を有する重縮合オリゴマー系可塑剤については、特開2010−242050、特開2006−64803号公報等に記載があり、本発明において用いることができる。
(セルロースエステルフィルムの製造方法)
前記セルロースエステルフィルムを製造する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いて製膜することができる。例えば、溶液流延製膜法及び溶融製膜法のいずれを利用して製膜してもよい。フィルムの面状を改善する観点から、前記セルロースエステルフィルムは、溶液流涎製膜法を利用して製造するのが好ましい。以下、溶液流延製膜法を用いる場合を例に説明するが、本発明は溶液流延製膜法に限定されるものではない。なお、溶融製膜法を用いる場合については、公知の方法を用いることができる。
(ポリマー溶液)
溶液流延製膜方法では、前記セルロースアシレート、糖エステル、及び必要に応じて各種添加剤を含有するポリマー溶液(セルロースアシレート溶液)を用いてウェブを形成する。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができるポリマー溶液(以下、適宜セルロースアシレート溶液と称する場合もある)について説明する。
(溶媒)
本発明で用いられるセルロースアシレートは溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させる。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。
更に、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、かつ流延用基材を溶解しないものである。又、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
また、セルロースアシレートと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合してもよい。
ここで、上記セルロースアシレートに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
前記良溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ-ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよび塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。
これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロースアシレートのドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースアシレートの溶解を促進したりする役割もあり、反応性金属化合物のゲル化、析出、粘度上昇を抑える役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。
これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロースアシレートに対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
本発明においてセルロースエステルの原料であるセルロースアシレートは、水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含むため、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。
また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めたりするのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させてもよく、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。
本発明におけるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例については、特開2009−262551号公報に挙げられている。
また、必要に応じて、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とすることもでき、詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。
本発明におけるポリマー溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。
前記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。たとえば、糖エステルやUV吸収剤は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
このような条件を満たし好ましい高分子化合物であるセルロースアシレートを高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶剤である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
(1)溶解工程
セルロースアシレートに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該セルロースアシレート、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロースアシレート溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
セルロースアシレートの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースアシレートの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
く用いられる。
(2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
(3)溶媒蒸発工程
ウェブ(セルロースエステルフィルム)の完成品となる前の状態であって、まだ溶媒を多く含むものをこう呼ぶ)を金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が、乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
(4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロースアシレートに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
また、該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜150質量%とすることが好ましく、更に10〜120質量%とすることが好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)=[(M−N)/N]×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
(5)乾燥または熱処理工程、延伸工程
前記剥離工程後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、および/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥することが好ましい。
本発明において熱処理をする場合、該熱処理温度はTg−5℃未満であり、Tg−20℃以上Tg−5℃未満であることが好ましく、Tg−15℃以上Tg−5℃未満であることがより好ましい。
また、熱処理温度は、30分以下であることが好ましく、20分以下であることがより好ましく、10分程度であることが特に好ましい。
乾燥および熱処理の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。使用する溶媒によって、温度、風量及び時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて条件を適宜選べばよい。
(引張り弾性率の調整)
前記セルロースエステルフィルムは、MD及びTDの引張り弾性率が、4.0GPa以上という特徴がある。MD及びTDの引張り弾性率は、上記製造方法において、流延時及び流延によって形成された膜を搬送する際に、MDに負荷をかけることで、及び/又は延伸処理を施すことによって、上記範囲に調整することができる。延伸処理は、MD及びTDのいずれか一方向に行ってもよいし、双方の方向に2軸延伸してもよい。2軸延伸が好ましい。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。また、引張り弾性率は、使用するセルロースアシレートの種類やアシル置換度を調整したり、添加剤、例えば糖エステルの種類を選択することで、又はその割合を調整したりすることで、上記範囲に調整することができる。
フィルム搬送方向MDへの延伸における延伸倍率は、0〜20%であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0〜10%であることが特に好ましい。前記延伸の際のウェブの延伸倍率(伸び)は、金属支持体速度と剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)との周速差により達成することができる。例えば、2つのニップロールを有する装置を用いた場合、入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)にフィルムを好ましく延伸することができる。このような延伸が施されることによって、MDの引張り弾性率を調整できる。
なお、ここでいう「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
フィルム搬送方向に直交する方向TDへの延伸における延伸倍率は、0〜60%であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましく、20〜50%であることが特に好ましい。
なお、本発明においては、フィルム搬送方向に直交する方向TDに延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。
2軸延伸の際に縦方向に、例えば0.8〜1.0倍に緩和させて所望のリターデーション値を得ることもできる。延伸倍率は目的の光学特性に応じて設定される。前記セルロースエステルフィルムを製造する場合、長尺方向に一軸延伸することもできる。
延伸の際の温度が、Tg以下であると、延伸方向の引張り弾性率が上昇するので好ましい。延伸温度は、Tg−50℃〜Tgであることが好ましく、Tg−30℃〜Tg−5℃であることがより好ましい。一方、上記温度条件で延伸すると、延伸方向の引張り弾性率が上昇する一方で、それに直交する方向の引張り弾性率は低下する傾向がある。従って、延伸によりMD及びTDの双方の方向の引張り弾性率を上昇するためには、上記温度範囲で、双方の方向に延伸処理する、即ち2軸延伸処理するのが好ましい。
なお、延伸工程後に乾燥してもよい。延伸工程後に乾燥する場合、使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。本発明では、延伸工程後の乾燥温度は、延伸工程の延伸温度よりも低い方が、フィルムを液晶表示装置に組み込んだときの正面コントラストを上昇させる観点から好ましい。
(6)巻き取り
以上のようにして得られた、フィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。フィルムの幅は、0.5〜5.0mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mであり、さらに好ましくは1.0〜2.5mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
このようにして得られたウェブを巻き取り、セルロースエステルフィルムを得ることができる。
(層構成)
本発明で使用するセルロースエステルフィルムは単層フィルムであっても、2層以上の積層構造を有していてもよい。例えば、コア層と表層の2層からなる積層構造であって、共流延によって製膜された態様であることも好ましい。
(セルロースエステルフィルムの厚み)
前記セルロースエステルフィルムの厚みについては特に制限はない。ハードコート層の基材フィルムとしての機能を達成できればよい。一般的には、30〜80μmである。
[ハードコート層]
本発明の光学フィルムは、厚みが0.1〜6μm(好ましくは3〜6μm)のハードコート層を有する。前記範囲の薄いハードコート層を有することで、脆性やカール抑制などの物性改善、軽量化および製造コスト低減がなされたハードコート層を含む光学フィルムになる。また、基材フィルムがTD及びMD方向に大きな弾性率を有するセルロースエステルであると、前記範囲の薄いハードコート層とした場合に従来MDまたはTDのうち弾性率が少ない方向で損なわれていた鉛筆硬度をTD方向もMD方向も顕著に高めることができ、さらに前記特定の弾性率の範囲以上とすることで、顕著に鉛筆硬度を高めることができる。
また、本発明の光学フィルムのより好ましい態様では、基材フィルムがTD及びMD方向に大きな弾性率により、硬化性組成物をそのフィルム上で硬化させることにより、ハードコート層と基材フィルムとの密着性にも優れた光学フィルムとなる。
本発明に係るハードコート層はフィルムに硬度や耐傷性を付与するための層である。例えば、塗布組成物を基材フィルム(セルロースエステルフィルム)上に塗布し、硬化させることによって形成することができる。また、他の機能を付加することを目的として、ハードコート層上に、他の機能層を積層してもよい。またハードコート層にフィラーや添加剤を加えることで、機械的、電気的、光学的な物理的な性能や撥水・撥油性などの化学的な性能をハードコート層自体に付与することもできる。
ハードコート層は、硬化性組成物を硬化することで形成するのが好ましい。硬化性組成物は、液状の塗布組成物として調製されるのが好ましい。前記塗布組成物の一例は、マトリックス形成バインダー用モノマー又はオリゴマー、ポリマー類及び有機溶媒を含有する。この塗布組成物を塗布後に硬化することでハードコート層を形成することができる。硬化には、架橋反応、又は重合反応を利用することができる。
(マトリックス形成バインダー用モノマー又はオリゴマー)
利用可能なマトリックス形成バインダー用モノマー又はオリゴマーの例には、電離放射線硬化性の多官能モノマー及び多官能オリゴマーが含まれる。多官能モノマーや多官能オリゴマーは架橋反応、又は、重合反応可能なモノマーであるのが好ましい。前記電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等や、エポキシ系化合物等の開環重合型の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等が挙げられる。
更には、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、イソシアヌル酸アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
上記の中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーがより好ましい。
具体的には、(ジ)ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリル酸又はメタクリル酸」、「アクリロイル又はメタクリロイル」を表す。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等も挙げられる。
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、特開2007−256844の[0096]等を参考にすることができる。
ウレタンアクリレート類としては、例えば、アルコール、ポリオール、および/またはヒドロキシル基含有アクリレート等のヒドロキシル基含有化合物類とイソシアネート類を反応させ、または必要によって、これらの反応によって得られたポリウレタン化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化して得られるウレタンアクリレート系化合物を挙げることができる。
具体的な化合物の具体例としては特開2007−256844号公報の[0017]等の記載を参考にすることができる。
イソシアヌル酸アクリレート類を利用すると、カールをより低減できるので好ましい。これには、イソシアヌル酸ジアクリレート類、イソシアヌル酸トリアクリレート類が挙げられ、具体的な化合物の事例としては特開2007−256844の[0018]〜[0021]等を参考にすることができる。
前記ハードコート層には、さらに硬化による収縮低減のために、エポキシ系化合物を用いることができる。これを構成するためのエポキシ基を有するモノマー類としては、1分子中にエポキシ基を2基以上有するモノマーが用いられ、これらの例としては特開2004−264563号、同2004−264564号、同2005−37737号、同2005−37738号、同2005−140862号、同2005−140862号、同2005−140863号、同2002−322430号等に記載されているエポキシ系モノマー類が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレートのようなエポキシ系とアクリル系の両官能基を持つ化合物を用いることも好ましい。
(高分子化合物)
前記ハードコート層は、高分子化合物を含有していてもよい。高分子化合物を添加することで、硬化収縮を小さくしたり、樹脂粒子の分散安定性(凝集性)に関わる塗布液の粘度調整をより優位に行うことができ、さらには、乾燥過程での固化物の極性を制御して樹脂粒子の凝集挙動を変えたり、乾燥過程での乾燥ムラを減じたりすることもでき、好ましい。
高分子化合物は、塗布液に添加する時点で既に重合体を形成しており、該高分子化合物としては、例えばセルロースエステル類(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート等)、ウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン等の樹脂が好ましく用いられる。
(硬化性組成物)
前記ハードコート層の形成に利用可能な硬化性組成物の一例は、アクリレート系化合物を含む硬化性組成物である。前記硬化性組成物は、アクリレート系化合物とともに、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤を含有するのが好ましく、所望により、さらにフィラー、塗布助剤、その他の添加剤を含有していてもよい。該硬化性組成物の硬化は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により重合反応を進行させることで実行できる。電離放射線硬化と熱硬化の双方を実行することもできる。光及び熱重合開始剤としては市販の化合物を利用することができ、それらは、「最新UV硬化技術」(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)や、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のカタログに記載されている。
前記ハードコート層の形成に利用可能な硬化性組成物の他の例は、エポキシ系化合物を含む硬化性組成物である。前記硬化性組成物は、エポキシ系化合物とともに、光の作用によってカチオンを発生させる光酸発生剤を含有しているのが好ましく、所望により、さらにフィラー、塗布助剤、その他の添加剤を含有していてもよい。該硬化性組成物の硬化は、光酸発生剤の存在下で、光照射により重合反応を進行させることで実行できる。光酸発生剤の例としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の化合物やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物等が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。
また、アクリレート系化合物とエポキシ系化合物を併用してもよく、その場合は、開始剤は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
前記硬化性組成物は、塗布液として調製されるのが好ましい。該塗布液は、前記成分を有機溶媒に溶解及び/又は分散することで、調製することができる。
(ハードコート層の性質)
前記ハードコート層は、耐擦傷性に優れるのが好ましい。具体的には、耐擦傷性の指標となる鉛筆硬度試験を実施した場合に、MD及びTDのいずれの方向においても、3H以上を達成するのが好ましく、4H以上を達成するのがより好ましい。
[光学フィルムの用途]
本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルム、画像表示面に配置される表面保護フィルム、等種々の用途に有用である。各用途に適する機能を示すために、前記セルロースエステルフィルム、及び前記ハードコート層とともに、他の層を有していてもよい。例えば、防眩層、クリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層等を有していてもよい。
2.偏光板
本発明は、本発明の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板にも関する。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の光学フィルムのセルロースエステルフィルムの裏面(ハードコート層が形成されていない側の面)と、偏光子とを貼り合わせることで作製することができる。前記セルロースエステルの貼合面は、アルカリ鹸化処理を行うことが好ましい。また、貼合には、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いることができる。
前記偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールあるいはエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%であるエチレン変性ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。
偏光子の膜厚としては、5〜30μmのものが好ましく用いられる。こうして得られた偏光子を、偏光板保護フィルムと貼合する。
偏光子の前記光学フィルムが貼合されていない面にも、保護フィルムを貼合するのが好ましい。該保護フィルムについては、光学特性及び材料のいずれについても特に制限はない。光学的に等方性のフィルムを用いても光学的に異方性の位相差フィルムを用いてもよい。本発明の偏光板を液晶表示装置に利用する態様では、ハードコート層を有する本発明の光学フィルムを表示面外側にして配置するのが一般的である。従って、他の保護フィルムは、偏光子と液晶セルとの間に配置されるので、他の保護フィルムとして、液晶セルの複屈折の光学補償に寄与する位相差フィルムを用いることもできる。他の保護フィルムとしては、セルロースエステルフィルム、環状ポリオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等を用いることができる。
表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層を有することが好ましい。
また、偏光板の作製時には、本発明の光学フィルムが有するセルロースエステルフィルムが面内遅相軸を有する場合は、該面内遅相軸と偏光子との透過軸が平行もしくは直交するように貼合することが好ましい。
3.画像表示装置
本発明は、本発明の光学フィルムを有する画像表示装置にも関する。本発明の光学フィルムの画像表示装置における機能については特に制限はない。一例は、表示面外側に配置される表面保護フィルムである。
画像表示装置についても制限はない、液晶セルを含む液晶表示装置であっても、有機EL層を含む有機EL画像表示装置であっても、またプラズマ画像表示装置であってもよい。本発明の光学フィルムは、セルロースエステルフィルムを含むことから、偏光子との貼合性が良好であり、偏光板を必須の部材とする液晶表示装置に利用するのに適する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を有することを特徴とする。本発明の偏光板は、表示面側に配置される偏光板であるのが好ましく、本発明の光学フィルムを表示面側外側にして配置されるのが好ましい。その他の構成については、公知の液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。そのモードについても特に制限はなく、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の様々な表示モードの液晶表示装置として構成することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1〜12、比較例1〜6]
1.光学フィルムの作製
(1)セルロースエステルフィルムの作製
下記の組成物をそれぞれミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、各溶液を調製した。
Figure 2012215812
各ドープを用いて、溶液流延法により製膜し、その後、場合によって、下記表に記載の倍率でTD延伸を行い、各セルロースエステルフィルムを作製した。延伸後の各フィルムの膜厚はいずれも40μmであった。なお、いずれのフィルムも、MDに搬送されることによりMDに0〜10%の範囲内の倍率でそれぞれ延伸されていた。特に実施例1、3、4、12は3%、実施例2、5〜7は5%、実施例8〜10は7%、実施例11は10%、比較例3は7%の延伸倍率であった。また延伸時の温度は、いずれもフィルムのガラス転移点をTgとした場合、Tg−30〜Tg−5℃の範囲であった。
作製された各フィルムについて、MD及びTDの引張り弾性率をそれぞれ測定した。測定結果を、下記表に示す。
(2)ハードコート層の形成
ハードコート層形成用の塗布液として、下記ハードコート用硬化性組成物を調製した。
Figure 2012215812
Figure 2012215812
上記ハードコート1を、各セルロースエステルフィルムの一方の表面上へ塗布し、その後、100℃で60秒乾燥し、窒素0.1%以下の条件でUVを1.5kW 300mJにて照射し、硬化させ、下記表に記載の厚みを有するハードコート層を形成した。なお、膜厚の調整は、スロットダイを用い、ダイコート法において塗布量を調整することにより行った。
この様にして、各セルロースエステルフィルム上にハードコート層を有する、実施例及び比較例の各光学フィルムを作製した。
2.光学フィルムの評価
(1)ハードコート層の鉛筆硬度
各光学フィルムを、25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、各フィルムが有するハードコート層のMD及びTDの双方の方向の鉛筆硬度を、評価した。具体的には、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆でハードコート層表面を5回繰り返し引っ掻き、傷が1本までの硬度を測定した。なお、JIS−K5400で定義される傷は塗膜の破れ、塗膜のすり傷であり、塗膜のへこみは対象としないと記載されているが、本評価では、塗膜のへこみも含めて傷と判断した。実用上は、3H以上が好ましく、数値が高いほど、高硬度なため好ましい。結果を下記表に示す。
(2)密着性
各光学フィルムについて、JIS K 5600に準処した碁盤目試験を行った。具体的にはハードコート塗布し、UV硬化後のハードコートフィルムに切れ込みを入れる前にXeを50時間照射した。Xeの照射後のサンプル表面上に1mm間隔で縦横に11本の切れ込みを入れて1mm角の碁盤目を100個作った。この上にセロハンテープおよびマイラーテープを貼り付け、素早く剥がし剥がれた箇所を目視観察により密着評価した。
Xeの照射にはスガ試験機株式会社製のスーパーキセノンウェザーメーターSX75を用いた。セルロースエステルフィルムとハードコート層との密着性を、以下の基準で評価した。
密着性 ◎ :剥がれ箇所0〜10マス。
密着性 ○〜×:剥がれ箇所11〜50マス。
密着性 ××:剥がれ箇所51マス以上
下記表に結果を示す。
Figure 2012215812
上表中、リン酸エステルはトリフェニルホスフェート(TPP)とビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)の7:3(モル比)混合物であり、トリメリット酸エステルはトリメリット酸トリブチルである。
上記表6中、糖エステル1、糖エステル1−SBおよび糖エステル2は以下の構造の化合物または混合物である。なお、スクロースベンゾエートである糖エステル1および糖エステル1−SBの平均エステル置換度の測定法は、以下の方法で測定した。
以下のHPLC条件下での測定により保持時間が31.5min付近にあるピークを8置換体、27〜29min付近にあるピーク群を7置換体、22〜25min付近にあるピーク群を6置換体、15〜20min付近にあるピーク群を5置換体、8.5〜13min付近にあるピーク群を4置換体、3〜6min付近にあるピーク群を3置換体としてそれぞれの面積比を合計した値に対する平均置換度を算出した。
《HPLC測定条件》
カラム:TSK−gel ODS−100Z(東ソー)、4.6*150mm、ロット番号(P0014)
溶離液A:H2O=100、 溶離液B:AR=100。A,BともにAcOH、NEt3各0.1%入り
流量:1ml/min、カラム温度:40℃、波長:254nm、感度:AUX2、注入量:10μl、リンス液:THF/ H2O=9/1(vol比)
サンプル濃度:5mg/10ml(THF)
なお、糖エステル2についても同様にして平均エステル置換度を測定することができるが、下記糖エステル2はエステル置換度がほぼ100%の単一の化合物であった。
また実施例で使用したスクロースベンゾエートは、全て反応溶媒であるトルエンの減圧乾燥(10mmHg以下)を行い100ppm未満であるものを使用した。
Figure 2012215812
Figure 2012215812
上記表に示す結果から、本発明の実施例の光学フィルムは、鉛筆硬度の評価結果がMD及びTDのいずれにおいても3H以上であり、耐擦傷性に優れるとともに、さらに密着性も良好であることが理解できる。
一方、比較例2及び6は、基材フィルムとして利用したセルロースエステルフィルムの引張り弾性率が小さいため、実施例と厚みが同程度のハードコート層を有していても、耐擦傷性は顕著に劣っていることが理解できる。
比較例3〜5では、TD又はMD方向のみに高い引張り弾性率を有するセルロースエステルフィルムを基材フィルムとして用いているが、いずれか一方の方向の耐擦傷性が顕著に劣り、満足いくものではなかった。
さらに、比較例1は、ハードコート層の厚みを厚くすることで、耐擦傷性が改善されたものの、近年求められている6μm以下の薄層とするという前提を満たしておらず、実用に沿うものではなかった。
[実施例101〜112、比較例101〜106]
実施例1〜12および比較例1〜6において、用いたセルロースエステルフィルムの膜厚を40μmから25μmに変更した以外は同様にして、各実施例および比較例の光学フィルムを製造し、同様に評価を行った。その結果、実施例1〜12および比較例1〜6と同様の傾向が得られた。
[実施例201〜212、比較例201〜206]
(液晶表示装置の作成)
実施例1〜12および比較例1〜6のフィルムをフロント側表面の保護フィルムとして用いた偏光板をIPS液晶パネルに実装し評価したところ、性能上問題ないことを確認した。
得られた液晶表示装置は、高温高湿下における耐久性に優れることが分かった。
[実施例301、比較例301および302]
ハードコート層形成用の塗布液として、ハードコート用硬化性組成物として下記ハードコート2の塗布液を調製した。
Figure 2012215812
上記ハードコート用塗布液に使用した化合物を以下に示す。
イルガキュア907:UV重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製)
MIBK:メチルイソブチルケトン
MEK:メチルエチルケトン
得られたハードコート2の塗布液を用いて、下記表9に記載の膜厚となるように塗布した以外は実施例6と同様にして、実施例301、比較例301および302の光学フィルムを製造した。
得られた各実施例および比較例の光学フィルムについて、ハードコート層のTD方向の鉛筆硬度を実施例6と同様に評価した。その結果を下記表9に示す。
(カールの評価)
作成した各実施例および比較例の光学フィルムを35mm×125mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%で平板上2時間後、4隅の浮いた高さを測定し、平均値を元に以下の4段階評価を行った。その結果を下記表9に示す。
○ : 10mm未満
× : 10mm以上15mm未満
×× : 15mm以上
Figure 2012215812
上記表9より、膜厚6μm以下のハードコート層を有する実施例301の光学フィルムは、カールの評価が良好であることがわかった。一方、比較例301および302より、膜厚6μmを超えるハードコート層を有する比較例301および302の光学フィルムは、カールが悪化することがわかった。
[実施例401:ドラムによるセルロースエステルフィルム101の作製]
(セルロースエステル溶液1−Aの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースエステル溶液1−Aを調製した。アセチル置換度はASTM D−817−91に準じて測定した。粘度平均重合度は宇田らの極限粘度法{宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁(1962年)}により測定した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースエステル溶液1−Aの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースエステル(アセチル置換度2.86、粘度平均重合度310)
100.0質量部
糖エステル1 5.5質量部
糖エステル2 1.5質量部
メチレンクロライド 384質量部
メタノール 69質量部
ブタノール 9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤分散液1−Bの調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤分散液1−Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液1−Bの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 10.0質量部
メチレンクロライド 72.8質量部
メタノール 3.9質量部
ブタノール 0.5質量部
セルロースエステル溶液1−A 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(紫外線吸収剤溶液1−Cの調製)
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液1−Cを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液1−Cの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(下記UV−1) 10.0質量部
紫外線吸収剤(下記UV−2) 10.0質量部
メチレンクロライド 55.7質量部
メタノール 10質量部
ブタノール 1.3質量部
セルロースエステル溶液1−A 12.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2012215812
(セルロースエステルフィルム101の作製)
セルロースエステル溶液1−Aに、マット剤分散液1−Bを、セルロースエステル100質量部当たり、前記糖エステル1および前記糖エステル2が下記表10に記載の添加量になるように加えた。得られた溶液にさらに紫外線吸収剤(UV−1)及び紫外線吸収剤(UV−2)がそれぞれ1.0質量部となるように紫外線吸収剤溶液1−Cを加え、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。得られたドープを30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定し、塗布幅は1470mmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースエステルフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターでクリップした。剥ぎ取り直後のセルロースエステルウェブの残留溶媒量は70%およびセルロースエステルウェブの膜面温度は5℃であった。
ピンテンターで保持されたセルロースエステルウェブは、乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風した。次に110℃で5分、さらに140℃で10分乾燥した。
出来上がったセルロースエステルフィルム101の膜厚は40μmであった。
前記ハードコート1を、得られたセルロースエステルフィルム101の一方の表面上へ塗布し、その後、100℃で60秒乾燥し、窒素0.1%以下の条件でUVを1.5kW 300mJにて照射し、硬化させ、下記表10に記載の厚みを有するハードコート層を形成した。なお、膜厚の調整は、スロットダイを用い、ダイコート法において塗布量を調整することにより行った。
このようにして、セルロースエステルフィルム上にハードコート層を有する、実施例401の光学フィルムを作製した。
[実施例402:バンドによるセルロースエステルフィルム102の作製]
(セルロースエステル溶液2−Aの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースエステル溶液2−Aを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースエステル溶液2−Aの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースエステル(アセチル置換度2.86、粘度平均重合度310)
100.0質量部
糖エステル1 6質量部
糖エステル2 3質量部
メチレンクロライド 402.0質量部
メタノール 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤分散液2−Bの調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤分散液2−Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液2−Bの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド 75.0質量部
メタノール 12.7質量部
セルロースエステル溶液2−A 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(紫外線吸収剤溶液1−Cの調製)
下記の組成物を別のミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液1−Cを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液1−Cの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(前記UV−1) 10.0質量部
紫外線吸収剤(前記UV−2) 10.0質量部
メチレンクロライド 67.2質量部
メタノール 10.0質量部
セルロースエステル溶液2−A 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液2−Bの1.3質量部と、紫外線吸収剤溶液1−Cの3.1質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液2−Aを95.6質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合した。混合した溶液を、バンド流延機を用いて流延し、100℃で残留溶媒含量40%まで乾燥した後、フィルムを剥ぎ取った。剥ぎ取ったフィルムは、さらに150℃の雰囲気温度でテンター延伸装置を用いて搬送方向と垂直方向に30%の拡幅率で延伸した。140℃でさらに延伸後のフィルム20分乾燥させた。得られたセルロースエステルフィルム102の膜厚は40μmであった。
前記ハードコート1を、得られたセルロースエステルフィルム102の一方の表面上へ塗布し、その後、100℃で60秒乾燥し、窒素0.1%以下の条件でUVを1.5kW 300mJにて照射し、硬化させ、下記表10に記載の厚みを有するハードコート層を形成した。なお、膜厚の調整は、スロットダイを用い、ダイコート法において塗布量を調整することにより行った。
このようにして、セルロースエステルフィルム上にハードコート層を有する、実施例402の光学フィルムを作製した。
(評価)
得られた各実施例の光学フィルムについて、ハードコート層の鉛筆硬度とセルロースエステルフィルムとハードコート層との密着性を実施例1と同様に評価した。その結果を下記表10に示す。
Figure 2012215812
上記表10より、ドラムにて製造したセルロースエステルフィルムを用いた実施例401の光学フィルムも、バンドにて製造したセルロースエステルフィルムを用いた実施例402の光学フィルムも、鉛筆硬度の評価結果がMD及びTDのいずれにおいても3H以上であり、耐擦傷性に優れるとともに、さらに密着性も良好であることがわかった。

Claims (9)

  1. セルロースエステルフィルムと、
    その少なくとも一方の表面上に厚みが0.1〜6μmのハードコート層を有し、
    前記セルロースエステルフィルムの搬送方向(MD)及び搬送方向と直交する方向(TD)の双方の引張り弾性率が4.0GPa以上である光学フィルム。
  2. 前記セルロースエステルフィルムのMDの引張り弾性率に対するTDの引張り弾性率の比が、1.4未満である請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記セルロースエステルフィルムが、少なくとも1種の糖エステルを含有する請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記糖エステルが、置換基の種類が同一であり、かつ、エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の混合物であり、
    該エステル置換度が異なる複数の糖エステル化合物の平均エステル置換率が62〜94%である請求項3に記載の光学フィルム。
  5. 前記セルロースエステルフィルムが、延伸処理されたフィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレート系のハードコート層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムを表示面側表面に有する画像表示装置。
  8. 偏光子と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムを有する偏光板。
  9. 請求項8に記載の偏光板を少なくとも有する液晶表示装置。
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