JP2012214561A - インク組成物及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(成分A)一般式(1)で表される重合性化合物、
(成分B)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物、
(成分C)光重合開始剤、
(成分D)色材及び
(成分E)水を含有するインク組成物を用いる。
一般式(1)
(一般式(1)中、Zは3〜6価のポリオールから、水酸基の水素原子をn個除いたポリオール残基を表す。R1は水素原子又はメチル基を表す。nは3〜6の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
特許文献2には、特定構造の多官能(メタ)アクリルアミド化合物を含有する活性エネルギー線硬化型水性インク組成物が開示されている。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、形成した画像の柔軟性、インク組成物の保存安定性、吐出回復性、及び硬化性を同時に満足させることを課題とする。
項1.(成分A)一般式(1)で表される重合性化合物、(成分B)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物、(成分C)光重合開始剤、(成分D)色材及び(成分E)水を含有するインク組成物。
一般式(1)
項2.前記一般式(1)におけるZが、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールから、水酸基の水素原子をn個除いたポリオール残基である、項1に記載のインク組成物。
項3.前記(成分B)が下記一般式(2)で表される構造である、項1又は項2に記載のインク組成物。
一般式(2)
項4.前記(成分A)と(成分B)との質量比が、[(成分A):(成分B)]=[10:90]〜[70:30]の範囲である、項1〜項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
項5.インク組成物全量に対して、前記(成分A)を1〜14質量%含む、項1〜項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
項6.インク組成物全量に対して、前記(成分B)を6〜35質量%含む、項1〜項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
項7.インクジェット記録用である、項1〜項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
項8.項1〜項7のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。
項9.前記インク付与工程が、インクジェット法によりインク組成物を付与する工程である、項8に記載の画像形成方法。
本発明のインク組成物は、(成分A)一般式(1)で表される重合性化合物、(成分B)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物、(成分C)光重合開始剤、(成分D)色材及び(成分E)水を含有する。
一般式(1)
一般式(1)
前記ポリオールは、炭素数3〜12が好ましく、炭素数4〜10が更に好ましく、炭素数4〜6が特に好ましい。前記ポリオールは、分子内にエーテル結合を含んでいてもよい。
前記ポリオールの具体例としては、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、特に、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールが好ましい。
(第一工程)アクリロニトリルとポリオールとの反応によりポリシアノ化合物を得る工程、
(第二工程)ポリシアノ化合物の還元によりポリアミン化合物を得る工程、
(第三工程)ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド等との反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程。
前記いずれの工程の反応も、公知の反応である。
(成分B)としては、下記一般式(2)で表されるアクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物が好ましい。
一般式(2)
本発明のインク組成物における光重合開始剤の含有量は、固形分換算で0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましく、1.0〜5質量%が特に好ましい。
前記有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などが好ましい。前記アゾ顔料としては、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
本発明のインク組成物中における色材の含有量は、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
本発明のインク組成物において、色材として顔料を用いる場合、分散剤によって水系媒体に分散された着色粒子分散物であることが好ましい。前記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。さらに、前記着色粒子分散物は、顔料をポリマー分散剤によって水系媒体に分散させた後、架橋剤を添加してポリマー分散剤同士を架橋させて得られる、架橋ポリマーで被覆された着色粒子分散物であってもよい。
本発明のインク組成物においては、顔料粒子の分散安定性とインクジェット法に適用した場合の吐出性との観点から、水不溶性ポリマー分散剤または架橋ポリマーで被覆された着色粒子分散物であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、顔料を分散可能とする水不溶性ポリマー分散剤を含有することができる。前記水不溶性ポリマーは、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、疎水性の構成単位と親水性の構成単位とからなるポリマーである。
前記親水性構成単位となるモノマーは、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はなく、親水性基としてはノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基とを共に含むこともまた好ましい。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
分散剤の含有量が、顔料に対して上記範囲であることで、顔料粒子が適量の分散剤で被覆され、分散性、分散安定性、着色性に優れる着色粒子を得られる。
また、色材(または着色粒子)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、色材(または着色粒子)の体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明のインク組成物において、上記色材(または着色粒子)は1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物は、(成分E)水を含有する。本発明のインク組成物においては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。本発明のインク組成物における水の含有率は、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることが更に好ましく、50〜80質量%であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、水溶性有機溶剤を含有していても良い。水溶性有機溶剤は、乾燥防止あるいは浸透促進の効果が期待できる。乾燥防止剤は、噴射ノズルのインク吐出口付近に付着したインク組成物が、乾燥固化してインク吐出口を目詰まりさせてしまうのを防止するために用いる。乾燥防止剤としては、蒸気圧が水よりも低い水溶性有機溶剤が好適である。浸透促進剤は、インク組成物の紙への浸透性を高める目的で用いる。
以下、前記構造式(X)で表される化合物の例を示す。尚、例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
・n−C4H9O(AO)4−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・n−C4H9O(AO)10−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(AO)40−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(AO)55−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)3−H
・HO(PO)7−H
・1,2−ヘキサンジオール
また、水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物中に対して0〜40質量%が好ましく、0〜20質量%が更に好ましく、0〜10質量%が特に好ましい。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することができる。
前記樹脂粒子の体積平均粒径は、10nm〜1μmであることが好ましく、15〜200nmが更に好ましく、20〜50nmが特に好ましい。
前記樹脂粒子のガラス転移温度は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。
また、前記樹脂粒子の粒径分布は、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、表面張力調整剤として少なくとも1種の界面活性剤を含有することができる。
前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤として用いてもよい。
本発明のインク組成物においては、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でも特にアセチレングリコール誘導体が好ましい。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はないが、1質量%以上が好ましく、1〜10質量%が更に好ましく、1〜3質量%が特に好ましい。
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、その他成分として各種の添加剤を含有することができる。
その他成分としては、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。
このメカニズムは十分に明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推察している。即ち、(成分A)のポリオール残基と(メタ)アクリルアミド基との連結基をプロピレン基とすることで、加水分解を抑制でき、インク組成物の保存安定性が向上したものと推察する。また、3官能以上の重合性化合物(成分A)を用いることで重合性が向上し、硬化性が向上すると考えられる。更に、単官能重合性化合物(成分B)を用いることで、インク組成物を吐出した後、吐出部分を放置している間に、インク組成物から水が蒸発して濃縮した際の粘度上昇を緩和しているため、吐出回復性が向上したものと推察する。さらに、インク組成物に(成分A)を単独で用いると、架橋構造が強固に形成され硬化膜が脆くなってしまうが、(成分A)と(成分B)とを併用することで、硬化膜中の架橋度密度を低下させることができ、この結果、硬化膜に適度な柔軟性を付与できたものと推察する。尚、上記メカニズムは推察であり、本発明は上記メカニズムに限定されるものではない。
本発明の画像形成方法は、前記インク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含む。
本発明の画像形成方法に適用し得る記録媒体としては、特に制限はなく、上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙、軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料、樹脂材料を板状に成形した樹脂基板、あるいは樹脂材料をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができる。前記樹脂フィルムとしては、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、記録媒体として使用し得る樹脂としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も記録媒体として使用可能である。
本発明の画像形成方法におけるインク付与工程では、前記インク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、凸版法、平版法、凹版法、孔版法、インクジェット法等を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性との観点から、インクジェット法によってインク組成物を付与する工程であることが好ましい。
インクジェット法では、インク組成物にエネルギーを供与することにより、ヘッドからインク組成物を吐出し、記録媒体上に着色画像を形成する。
また、インクジェット法は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。さらに、使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
なお、本発明の画像形成方法では、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載のインクジェット法が適用できる。
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含む。活性エネルギー線の照射により、重合性化合物が硬化して色材を含む硬化膜を形成し、画像を定着させることができる。
活性エネルギー線の出力は、5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cm2が更に好ましく、20〜3000mJ/cm2が特に好ましい。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることができる。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明の画像形成方法に用いられる活性エネルギー線源は、水銀ランプ又はメタルハライドランプであることが好ましい。
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。
インク乾燥工程は、インク付与工程の後に行われればよく、活性エネルギー線照射工程の前であっても後であってもよいが、活性エネルギー線照射工程の前に行われることが好ましい。
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
−樹脂被覆シアン顔料分散物−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、BASF・ジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の分散物(着色粒子)を得た。
−重合性化合物1の合成−
(第一工程)
500mlの三口フラスコにグリセリン10.0g、トルエン100ml、および50%水酸化カリウム水溶液7.3gを加えて水浴下で攪拌した。次に、アクリロニトリル43.2gを、フラスコ内の温度を20〜25℃に保ちながら2時間かけて滴下した。滴下後、1.5時間攪拌した後、得られた反応混合物を分液して水層を除いた。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、セライトろ過を行った。ろ液を減圧濃縮することによりポリシアノ体25.9g(収率95%)を得た。得られたポリシアノ体は、特に精製することなく次の還元反応に用いた。
(第二工程)
1Lオートクレーブに、先に得られたポリシアノ体25.0g、Ni触媒(Raney Ni2400、W. R. Grace & Co.社製)25.0g、メタノール300ml、および25%アンモニア水300mlを加えて攪拌した。オートクレーブ内を窒素置換した後、5MPaの水素を導入して、25℃で16時間反応させた。得られた反応液をセライト濾過してNi触媒を除いた。濾液を減圧濃縮することによりポリアミン体24.5g(収率98%)を得た。得られたポリアミン体は、特に精製することなく次の反応に用いた。
(第三工程)
1Lの三口フラスコに先に得られたポリアミン体24.0g、トリエチルアミン41.5g、およびクロロホルム300mLを加えて氷浴下で攪拌した。次に、アクリル酸クロリド29.7gをフラスコ内の温度を10℃以下に保ちながら滴下した。滴下後、室温で2時間攪拌した。得られた反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液300mlを加えて分液を行い、水層をクロロホルム300mlで3回抽出した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて十分に乾燥させた後、セライトろ過を行った。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=85:15)により精製して、目的の重合性化合物1を20.5g(無色液体、収率53%)得た。上記3工程の収率は49%であった。以下に合成スキームを表す。
第一工程において、グリセリンの替わりにエリスリトール9.9gを加えた以外は、前記重合性化合物1の合成例と同様にして重合性化合物2(白色固体)を合成した。3工程の収率は53%であった。
第一工程において、グリセリンの替わりにキシリトール9.9gを加えた以外は、前記重合性化合物1の合成例と同様にして重合性化合物3(無色液体)を合成した。3工程の収率は24%であった。
第一工程において、グリセリンの替わりにD−マンニトール9.9gを加えた以外は、前記重合性化合物1の合成例と同様にして重合性化合物4(無色液体)を合成した。3工程の収率は15%であった。
第一工程において、グリセリンの替わりにペンタエリスリトール11.1gを加えた以外は、前記重合性化合物1の合成例と同様にして重合性化合物6(白色固体)を合成した。3工程の収率は45%であった。
第一工程において、グリセリンの替わりにジペンタエリスリトール13.8gを加えた以外は、前記重合性化合物1の合成例と同様にして重合性化合物7(無色液体)を合成した。3工程の収率は19%であった。
特開2005−314610号公報を参考にして、公知の合成方法を組み合わせて比較重合性化合物1(下記構造)を合成した。
特開2005−314610号公報を参考にして、公知の合成方法を組み合わせて比較重合性化合物2(下記構造)を合成した。
(シアンインク(C−1)の調製)
下記インク処方となるように、上記多官能重合性化合物、単官能重合性化合物、開始剤、樹脂被覆シアン顔料分散物、界面活性剤、及びイオン交換水を混合した後、5μmメンブランフィルタでろ過することでシアンインク(C−1)を調製した。
−インク処方−
・(成分A)重合性化合物1 ・・・ 10%
・(成分B)ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製) ・・・ 10%
・(成分C)イルガキュア2959(BASF・ジャパン社製)・・・ 3%
・(成分D)樹脂被覆シアン顔料分散物 ・・・ 6%
・オルフィンE1010(日信化学(株)製) ・・・ 1%
・(成分E)イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
(イエローインク(Y−1)の調製)
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にしてイエローインク(Y−1)を調製した。pH値は8.5であった。
(マゼンタインク(M−1)の調製)
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にしてマゼンタインク(M−1)を調製した。pH値は8.5であった。
(ブラックインク(K−1)の調製)
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、カーボンブラック分散物CAB−O−JETTM200(CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にしてブラックインク(K−1)を調製した。pH値は8.5であった。
実施例1において、(成分A)及び(成分B)の種類及び添加量を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5〜実施例15のインク組成物(C−2)〜(C−12)を調製した。
実施例1において、重合性化合物1の代わりに、比較重合性化合物1又は比較重合性化合物2を用い、(成分B)の種類及び添加量を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1〜比較例3のインク組成物(RC−1)〜(RC−3)を調製した。
上記で得られたインク組成物について、以下のようにしてインク組成物の経時安定性、硬化性、吐出回復性、及び形成した画像の柔軟性評価を行った。結果を表1に示す。
上記で得られたインク組成物をサンプル瓶に入れて密閉した後、60℃の恒温槽にて2週間経時保存した。2週間後に恒温槽から取り出し、インク組成物中のアクリルアミドの含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量した。
−評価基準−
A:アクリルアミドの含有量が検出限界以下(10ppm未満)であった。
B:アクリルアミドの含有量が10ppm以上500ppm未満であった。
C:アクリルアミドの含有量が500ppm以上であった。
(株)リコー製GELJET GX5000プリンターヘッドを用意し、96本のノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)を、ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に合わせ、プリンターヘッドをインクジェット装置に固定した。前記プリンターヘッドに繋がる貯留タンクには、上記実施例1〜15、または比較例1〜3で調製したインク組成物を充填した。
記録媒体として塩化ビニルフィルム(P280RW、リンテック社製)を用意し、ヘッドのノズル配列方向(走査方向)に対して直交方向(主走査方向)に移動するステージに貼り付けた。
ステージを211mm/secで搬送方向(副走査方向)に移動させながら、インク滴量3.4pL、吐出周波数10kHz、ノズル配列方向×搬送方向=75×1200dpiにて、1ノズル当り2000発打滴し、96本のラインを搬送方向に対して平行に印画した。このとき、すべてのノズルが吐出されていることを確認した。
印画後、Deep UVランプ(ウシオ電機(株)製、SP−7)を用いて600mJ/cm2になるように露光し、ベタ画像が形成された評価用サンプルを作製した。
未印画の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印画の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm2)、上記ベタ画像が形成された評価用サンプルの印画面を3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
A:印画面に画像(色材)のはがれはなかった。
B:印画面に画像(色材)のはがれがわずかに認められた。
C:印画面に画像(色材)の実用上問題になるレベルのはがれが生じた。
前記硬化性の評価で行った画像形成方法と同様にして、画像を形成した。インク吐出後、ヘッドをそのままの状態で5分から45分まで5分間隔で放置し、新しい記録媒体をステージに貼付し、再び同じ条件で打滴してラインを印画した。2000発打滴で96本のノズルすべてが吐出可能である放置時間を調べ、以下の評価基準に従って吐出回復性を評価した。放置時間が長いほど吐出回復性が良好である。
−評価基準−
A:45分の放置後、全てのノズルが吐出可能である。
B:30分以上45分未満の放置で、吐出不可のノズルがある。
C:20分以上30分未満の放置で、吐出不可のノズルがある。
D:20分未満の放置で、吐出不可のノズルがある。
上記で得たベタ画像が形成された評価用サンプルの印画面同士が合わさるように1回、さらに裏面同士が合わさる向きに1回折り曲げ、印画面を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
−評価基準−
A:割れやはがれはなかった。
B:わずかに割れが生じたが、はがれはなかった。
C:割れとはがれが生じた。
Claims (9)
- (成分A)一般式(1)で表される重合性化合物、
(成分B)(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物、
(成分C)光重合開始剤、
(成分D)色材及び
(成分E)水を含有するインク組成物。
一般式(1)
(一般式(1)中、Zは3〜6価のポリオールから、水酸基の水素原子をn個除いたポリオール残基を表す。R1は水素原子又はメチル基を表す。nは3〜6の整数を表す。) - 前記一般式(1)におけるZが、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールから、水酸基の水素原子をn個除いたポリオール残基である、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記(成分B)が下記一般式(2)で表される構造である、請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
一般式(2)
(一般式(2)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12はアルキレン基を表し、R13はアシル基、水酸基、3級アミノ基、第4級アンモニウム基又はスルホ基を表す。) - 前記(成分A)と(成分B)との質量比が、[(成分A):(成分B)]=[10:90]〜[70:30]の範囲である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インク組成物全量に対して、前記(成分A)を1〜14質量%含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インク組成物全量に対して、前記(成分B)を6〜35質量%含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。
- 前記インク付与工程が、インクジェット法によりインク組成物を付与する工程である、請求項8に記載の画像形成方法。
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