JP2010260958A - 親水性表面層を有する樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、親水性表面層を有する樹脂成形体およびその製造方法に関する。
プラスチックなど絶縁抵抗が高い材料は静電気を帯びやすく、そのため塵や埃などが付着しやすいという問題がある。一般に、物質表面の静電気の帯びやすさの指標として、表面抵抗率(Ω/□)が用いられ、物質表面の表面抵抗率が1012(Ω/□)以下程度であれば静電気を帯びにくい性質であることが知られている。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックは、一般に親水性が低く、高湿度下や低温下での使用では、曇りまたは結露が起こりやすいという問題があった。
プラスチックなどの表面の帯電性を低くする方法として、例えば、酸化チタン/シリカの複合材料からなる光触媒膜を基材表面に形成した後、紫外光を照射することにより基材表面に親水性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、該方法は紫外光が充分に得られない環境下では親水性を付与することができず、また、紫外光によって有機物が分解されるためプラスチック基材には直接使用できないという問題があった。
また、プラスチック基材中に親水性界面活性剤を添加して練り込んだり、界面活性剤を表面に塗布することにより親水性を付与する方法も提案されているが、界面活性剤が溶出してしまい、効果が長期に亘って持続しないという問題があった(特許文献2)。
さらに、加水分解性シラン化合物(スルホン酸エステル基を含有するシラン化合物)と、基材となるシラン化合物とを反応させて皮膜を形成し、水および/または酸の存在下で加熱することでスルホン酸エステル基を加水分解して表面に遊離のスルホン酸を形成することにより、透明で高い親水性を持つ皮膜を形成する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、該方法は、シリカ質皮膜を形成するために、基材に塗布した後、高温(150℃)で1時間程度加熱する必要があるため、プラスチックなどの耐熱性に劣る基材には利用できないという問題があった。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックは、一般に親水性が低く、高湿度下や低温下での使用では、曇りまたは結露が起こりやすいという問題があった。
プラスチックなどの表面の帯電性を低くする方法として、例えば、酸化チタン/シリカの複合材料からなる光触媒膜を基材表面に形成した後、紫外光を照射することにより基材表面に親水性を付与する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、該方法は紫外光が充分に得られない環境下では親水性を付与することができず、また、紫外光によって有機物が分解されるためプラスチック基材には直接使用できないという問題があった。
また、プラスチック基材中に親水性界面活性剤を添加して練り込んだり、界面活性剤を表面に塗布することにより親水性を付与する方法も提案されているが、界面活性剤が溶出してしまい、効果が長期に亘って持続しないという問題があった(特許文献2)。
さらに、加水分解性シラン化合物(スルホン酸エステル基を含有するシラン化合物)と、基材となるシラン化合物とを反応させて皮膜を形成し、水および/または酸の存在下で加熱することでスルホン酸エステル基を加水分解して表面に遊離のスルホン酸を形成することにより、透明で高い親水性を持つ皮膜を形成する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、該方法は、シリカ質皮膜を形成するために、基材に塗布した後、高温(150℃)で1時間程度加熱する必要があるため、プラスチックなどの耐熱性に劣る基材には利用できないという問題があった。
本発明は、親水性が高く、高い帯電防止性と防曇性を有し、かつ高い透明性を有する表面層を有する樹脂成形体を提供することを課題とする。さらに、本発明は、特殊な装置等を用いることなく、簡便な操作と温和な条件で、前記性能を有する表面層を有する樹脂成形体を製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の重合体を用いて皮膜を形成し、その表面を適切な条件で加水分解処理することにより、透明性を損なうことなく、表面に高い親水性層が形成され、その結果、高い帯電防止性や防曇性などが付与されることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、下記の親水性表面層を有する樹脂成形体およびその製造方法に係る。
項1.一般式(1):
〔式中、Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基またはシトラコノイルオキシ基を示し、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
〔式中、Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基またはシトラコノイル基を示す。ZはOまたはNを示す。nは、ZがOの場合は1、Nの場合は2を示す。ZがOの場合、Qは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示し、ZがNの場合、Qは同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体[A]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなる、親水性表面層を有する樹脂成形体。
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体[A]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなる、親水性表面層を有する樹脂成形体。
項2.前記樹脂成形体が、樹脂皮膜である項1に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
項3.前記共重合体[A]が、単量体混合物の合計モル数を100モル%としたとき、前記重合性単量体(1)を30〜80モル%含む単量体混合物から得られるものである、項1または2に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
項4.前記重合性単量体(1)が、下記式(1a):
で示される2−オキソ−n−プロピルアクリレートである、項1〜3のいずれかに記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
項5.前記共重合体[A]が、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
〔式中、R8は、水素原子またはメチル基を示す。Q’は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位とを含むものである、項1〜4のいずれかに記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
項6.項1に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法であって、
一般式(1):
で表される繰り返し単位とを含むものである、項1〜4のいずれかに記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
項6.項1に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法であって、
一般式(1):
〔式中、Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基またはシトラコノイルオキシ基を示し、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
〔式中、Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基またはシトラコノイル基を示す。ZはOまたはNを示す。nは、ZがOの場合は1、Nの場合は2を示す。ZがOの場合、Qは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示し、ZがNの場合、Qは同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から共重合体[A]を製造する工程と;
得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する工程と;
得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程と、を含む方法。
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から共重合体[A]を製造する工程と;
得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する工程と;
得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程と、を含む方法。
項7.一般式(1):
〔式中、Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基またはシトラコノイルオキシ基を示し、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
〔式中、Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基またはシトラコノイル基を示す。ZはOまたはNを示す。nは、ZがOの場合は1、Nの場合は2を示す。ZがOの場合、Qは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示し、ZがNの場合、Qは同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理することにより得られる架橋性重合体[B]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなる、親水性表面層を有する樹脂成形体。
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理することにより得られる架橋性重合体[B]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなる、親水性表面層を有する樹脂成形体。
項8.前記樹脂成形体が、樹脂皮膜である項7に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
項9.項7に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法であって、
一般式(1):
一般式(1):
〔式中、Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基またはシトラコノイルオキシ基を示し、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
〔式中、Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基またはシトラコノイル基を示す。ZはOまたはNを示す。nは、ZがOの場合は1、Nの場合は2を示す。ZがOの場合、Qは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示し、ZがNの場合、Qは同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理して架橋性共重合体[B]を得る工程と;
得られた架橋性共重合体[B]から樹脂成形体を形成する工程と;
得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程と、を含む方法。
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理して架橋性共重合体[B]を得る工程と;
得られた架橋性共重合体[B]から樹脂成形体を形成する工程と;
得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程と、を含む方法。
本発明は、樹脂成形体を構成する共重合体が適度な加水分解性を有するエステル結合部分を有しているので、樹脂の表面にあるエステル結合部分を加水分解させることで、高い防曇性、帯電防止性などを示し、かつ透明性の高い親水性表面層を有する樹脂成形体を提供することができる。
特に成形体を皮膜とした場合には、様々な材質、形状の基材を被覆することができる、高い防曇性、帯電防止性などを示し、かつ透明性の高い親水性樹脂皮膜を提供することができる。
また、本発明の方法によれば、特殊な装置等を用いることなく、簡便な操作と温和な条件で、親水性表面層を有する樹脂成形体を製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂成形体を構成する樹脂組成物は、
一般式(1):
一般式(1):
〔式中、Xはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基またはシトラコノイルオキシ基を示し、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体(以下、単に「単量体(1)」ともいう)と、
一般式(2):
で表される重合性単量体(以下、単に「単量体(1)」ともいう)と、
一般式(2):
〔式中、Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基またはシトラコノイル基を示す。ZはOまたはNを示す。nは、ZがOの場合は1、Nの場合は2を示す。ZがOの場合、Qは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示し、ZがNの場合、Qは同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される重合性単量体(以下、単に「単量体(2)」ともいう)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体[A]を含有する。
で表される重合性単量体(以下、単に「単量体(2)」ともいう)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体[A]を含有する。
<共重合体A>
前記共重合体[A]は、単量体(1)と、単量体(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体である。
前記共重合体[A]は、単量体(1)と、単量体(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体である。
前記単量体(1)は、下記に示す構造を持つことを特徴とする。
上記構造はエステル結合を含んでおり、このエステル結合部分が適度な加水分解性を有する。そのため、単量体(1)を重合してなる重合体の表面は、適切な加水分解処理により、エステル結合部分が速やかに加水分解されてカルボン酸塩が形成されることになる。そして、この重合体の表面に形成されたカルボン酸塩によって高い親水性が付与されるのである。また、加水分解を樹脂表面の表層のみで行うことにより、樹脂の透明性を損なうことなく、かつ高い親水性を付与することが可能となるのである。
ここで、樹脂が表層でのみ加水分解されていることを以下の方法で確認した。当該共重合体より薄膜を形成し、この薄膜の片面のみに加水分解処理を行い、加水分解処理を行った面、および加水分解処理を行わなかった面の双方の表面赤外吸収スペクトル分析を行った。その結果、加水分解処理を行った面のみカルボン酸金属塩由来のスペクトルを有していたため、加水分解は加水分解処理表面でのみ起こっていることが確認された。
前記単量体(1)について具体的に説明する。
一般式(1)中、Xは、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基またはシトラコノイルオキシ基を表す。前記マレイノイルオキシ基、フマロイルオキシ基、イタコノイルオキシ基およびシトラコノイルオキシ基は、COO−基を2個有しており、その一方又は両方が−CR1R2COR3と結合してエステルを形成することができる。一方だけが−CR1R2COR3と結合している場合には、他方のCOO−基は、アルキル基と結合してアルキルエステルを形成してもよい。アルキルエステルのアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基が好ましい。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基等が挙げられる。
特に、前記単量体(1)としては、一般式(I)のXが、アクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基またはイソクロトノイルオキシ基であるものが好ましく、アクリロイルオキシ基であるものがより好ましい。
一般式(1)中、R1およびR2はそれぞれ同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
R1およびR2で示される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R1およびR2としては、特に、水素原子が好ましい。
R3で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が適度な加水分解性の観点から好ましく、特にメチル基が好ましい。
前記単量体(1)としては、例えば、下記のものを好ましく使用することができる。
R3で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が適度な加水分解性の観点から好ましく、特にメチル基が好ましい。
前記単量体(1)としては、例えば、下記のものを好ましく使用することができる。
これらの中でも、特に好ましくは、下記式(1a):
で表される2−オキソ−n−プロピルアクリレートである。
前記共重合体[A]を得るための単量体混合物中における前記単量体(1)の含有量は、樹脂皮膜への十分な親水性付与の観点から、単量体混合物の合計モル数を100モル%としたとき、30〜80モル%が好ましく、40〜60モル%程度がより好ましい。
前記単量体(1)は、一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
前記単量体(1)は、例えば、α−ハロケトンおよび不飽和カルボン酸またはその他カルボン酸化合物、およびそれらの金属塩から製造することが可能である。具体的な製造方法としては、例えば、メチルメタクリレートより調製されるメタクリル酸ナトリウム塩等の不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩水溶液と、クロロアセトン等のα−ハロケトン(カルボニル基のα位にハロゲン元素が置換されたケトン)とを反応させる方法(米国特許第2376033号)または、トリエチルアミン存在下、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸と、クロロアセトン等のα−ハロケトンとを反応させる方法(Jurnal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.26 2295−2303(1988))等が挙げられる。
前記単量体(1)は、例えば、α−ハロケトンおよび不飽和カルボン酸またはその他カルボン酸化合物、およびそれらの金属塩から製造することが可能である。具体的な製造方法としては、例えば、メチルメタクリレートより調製されるメタクリル酸ナトリウム塩等の不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩水溶液と、クロロアセトン等のα−ハロケトン(カルボニル基のα位にハロゲン元素が置換されたケトン)とを反応させる方法(米国特許第2376033号)または、トリエチルアミン存在下、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸と、クロロアセトン等のα−ハロケトンとを反応させる方法(Jurnal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.26 2295−2303(1988))等が挙げられる。
前記単量体(2)について具体的に説明する。
前記単量体(2)は、分子内に親水性の高い、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はアミド基を有し、単量体(1)中のエステル結合部分の加水分解性の調整および加水分解後の樹脂成形体の親水性を調整することを目的として用いられる。重合体に単量体(2)が含まれない場合、加水分解が非常に遅くなる、または加水分解後の親水性が十分に得られない場合がある。また、単量体(2)の使用量が多すぎる場合は、加水分解処理において塗膜が白化または膨潤する場合があるので、適切な量を使用することが重要である。
一般式(2):
前記単量体(2)は、分子内に親水性の高い、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はアミド基を有し、単量体(1)中のエステル結合部分の加水分解性の調整および加水分解後の樹脂成形体の親水性を調整することを目的として用いられる。重合体に単量体(2)が含まれない場合、加水分解が非常に遅くなる、または加水分解後の親水性が十分に得られない場合がある。また、単量体(2)の使用量が多すぎる場合は、加水分解処理において塗膜が白化または膨潤する場合があるので、適切な量を使用することが重要である。
一般式(2):
の中で、Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基またはシトラコノイル基を示す。前記マレイノイル基、フマロイル基、イタコノイル基およびシトラコノイル基は、CO−基を2個有しており、その一方又は両方が−Z−(Q)nと結合することができる。一方だけが−Z−(Q)nと結合している場合には、他方のCO−基は、水酸基と結合してカルボン酸を形成していてもよい。
一般式(2)中、ZはOまたはNを示す。nは、ZがOの場合は1、Nの場合は2を示す。
ZがOの場合、Qは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基、またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。
ZがNの場合、Qは同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。
Qで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
ZがOの場合、Qで表される水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基の炭素数2〜8のアルキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。この炭素数2〜8のアルキル基に結合する水酸基の数は、1〜4個である。
ZがNの場合、Qで表される水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基の炭素数1〜8のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。この炭素数1〜8のアルキル基に結合する水酸基の数は、1〜4個である。
Qで表されるNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基の炭素数2〜8のアルキル基として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。この炭素数2〜8のアルキル基に結合するNR4 2のR4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。R4で表される炭素数1〜3のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
重合性単量体(2)としては以下の構造のものが考えられる。
上記構造式(2a)で表される単量体(以下、「単量体(2a)」ともいう)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸モノアルキルエステル(例えば、マレイン酸モノメチル)、フマル酸モノアルキルエステル(例えば、フマル酸モノメチル)、イタコン酸モノアルキルエステル(例えば、イタコン酸モノメチル)、シトラコン酸モノアルキルエステル(例えば、シトラコン酸モノメチル)等が挙げられる。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中における単量体(2a)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(1)1モルに対して0.01〜0.1モル程度が好ましく、0.02〜0.07モル程度がより好ましい。
上記構造式(2b)で表される単量体(以下、「単量体(2b)」ともいう)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(1−プロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(1−プロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−プロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(2−プロピル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中における単量体(2b)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(1)1モルに対して0.02〜0.2モル程度が好ましく、0.03〜0.15モル程度がより好ましい。
上記構造式(2c)で表される単量体(以下、「単量体(2c)」ともいう)としては、例えば、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリ(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有アルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中における単量体(2c)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(2c)に結合した水酸基の1モル当量に対し単量体(1)が1.2〜10モル当量程度となる量が好ましく、1.6〜5モル当量程度となる量がより好ましい。
上記構造式(2d)で表される単量体(以下、「単量体(2d)」ともいう)としては、例えば、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有アルキル(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中における単量体(2d)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(2d)に結合した水酸基の1モル当量に対し単量体(1)が1.2〜10モル当量程度となる量が好ましく、1.6〜5モル当量程度となる量がより好ましい。
上記構造式(2e)で表される単量体(以下、「単量体(2e)」ともいう)としては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中における単量体(2e)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(1)1モルに対して0.05〜0.2モル程度が好ましく、0.07〜0.15モル程度がより好ましい。
上記構造式(2f)で表される単量体(以下、「単量体(2f)」ともいう)としては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3−N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中における単量体(2f)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(1)1モルに対して0.05〜0.2モル程度が好ましく、0.07〜0.15モル程度がより好ましい。
前記単量体(2a)〜(2f)は、一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
N−ビニルピロリドン(3)は、単量体(2)と同様、高い親水性を有しており、前記単量体(2)と構造は異なるが、同様の目的、効果をもって使用される。
N−ビニルピロリドン(3)は、単量体(2)の代わりに用いてもよく、または単量体(2)とともに用いることも可能である。
前記共重合体[A]を得るための、単量体混合物中におけるN−ビニルピロリドン(3)の含有量は、加水分解性および加水分解後の親水性の観点から、単量体(1)1モルに対して0.02〜0.2モル程度が好ましく、0.08〜0.15モル程度がより好ましい。
前記共重合体[A]には、重合体の溶解性、樹脂成形体の硬度その他の樹脂物性を好適に調整する目的で、その他の重合性単量体(4)を用いることができる。
前記単量体(4)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の側鎖にアルコキシ基を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のエチレン系芳香族モノマー;ジメチルマレート、ジエチルマレート等のマレイン酸ジエステル;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル;シリルエステル基を含有する各種単量体等が挙げられ、特に、樹脂物性の観点から、メチルメタクリレートが好ましい。
前記単量体(4)の使用量は、特に限定されず、また、前記単量体(4)は、一種または二種以上を組み合わせて使用できる。
前記共重合体[A]は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、またはブロック共重合体のいずれの共重合体であってもよい。
前記共重合体[A]の中で、下記式:
〔式中、R1、R2およびR3は、上述した一般式(1)中の定義と同様である。〕
で表される繰り返し単位と、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
〔式中、Q’は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位、および/または、下記式:
で表される繰り返し単位、および/または、下記式:
〔式中、Q”は、同一または異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数1〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位、および/または、下記式:
で表される繰り返し単位、および/または、下記式:
で表される繰り返し単位とを含むものが好ましい。
この共重合体[A]の中で、下記式:
で表される繰り返し単位と、下記式:
〔式中、R8は、水素原子またはメチル基を示す。Q’は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、水酸基が結合した炭素数2〜8のアルキル基またはNR4 2(R4は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。)が結合した炭素数2〜8のアルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位とを含むものがさらに好ましい。
で表される繰り返し単位とを含むものがさらに好ましい。
この共重合体[A]は、エステル結合を含んでおり、このエステル結合部分が適度な加水分解性を有する。そのため、エステル結合部分を有する共重合体[A]の表面に対して、適切な加水分解処理を行うことにより、エステル結合部分が速やかに加水分解されてカルボン酸塩が形成される。そして、この共重合体[A]の表面に形成されたカルボン酸塩によって高い親水性が付与される。
共重合体[A]の重量平均分子量(Mw)としては、適度な塗膜物性の観点から、1,500〜200,000程度が好ましく、5,000〜100,000程度がより好ましい。
親水性表面層を有する樹脂成形体
本発明の親水性表面層を有する樹脂成形体は、共重合体[A]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなるものである。
共重合体[A]からなる樹脂成形体には、樹脂から成形されるあらゆる形状の成形品が含まれる。その形状として、例えば、平面状(膜状)、三次元の構造が挙げられる。成形体の具体例として、例えば、皮膜、レンズ、照明用蛍光灯のカバー、タッチパネル等が挙げられる。
本発明の親水性表面層を有する樹脂成形体は、共重合体[A]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなるものである。
共重合体[A]からなる樹脂成形体には、樹脂から成形されるあらゆる形状の成形品が含まれる。その形状として、例えば、平面状(膜状)、三次元の構造が挙げられる。成形体の具体例として、例えば、皮膜、レンズ、照明用蛍光灯のカバー、タッチパネル等が挙げられる。
親水性表面層は、樹脂成形体の表面に存在するカルボン酸塩を有する層である。このカルボン酸塩は、樹脂成形体の表面に存在するエステル結合部分が加水分解されることによって形成される。
この表面層は、親水性が高いだけでなく、高い帯電防止性と防曇性を有し、且つ高い透明性を有するものである。
本発明の共重合体[A]を用いて親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法は、(a)上述した重合性単量体(1)と、重合性単量体(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から共重合体[A]を製造する工程(以下、「工程(a)」ともいう)と;
(b)得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する工程(以下、「工程(b)」ともいう)と;
(c)得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程(以下、「工程(c)」ともいう)と、を含む。
(b)得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する工程(以下、「工程(b)」ともいう)と;
(c)得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程(以下、「工程(c)」ともいう)と、を含む。
<工程(a):共重合体[A]の製造工程>
共重合体の製造方法としては特に限定されるものではないが、例えば、前記単量体(1)と前記単量体(2)との単量体混合物から得ることができる。
共重合体の製造方法としては特に限定されるものではないが、例えば、前記単量体(1)と前記単量体(2)との単量体混合物から得ることができる。
前記共重合体[A]は、前記単量体混合物中の前記単量体(1)および前記単量体(2)を重合させることにより得られる。前記重合は、例えば、重合開始剤の存在下で行われる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記重合開始剤としては、 特に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。
重合方法としては、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が挙げられる。この中でも特に、簡便に、且つ、精度良く、前記共重合体[A]を合成できる点で、溶液重合が好ましい。
重合反応においては、必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、例えば、酢酸n−ブチル、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等を使用することができる。これらのうち、共重合体の溶解性の観点からエステル系溶剤が好ましい。これらの溶剤は、単独または二種以上を組み合わせて使用できる。
過酸化物を重合開始剤とする重合反応における反応温度は、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、通常60〜180℃程度、好ましくは80〜120℃程度である。重合反応における反応時間は、反応温度等に応じて適宜設定すればよく、通常1〜8時間程度である。
重合開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン等の光重合開始剤を使用することも可能である。光重合開始剤を使用する重合において、重合方法、成膜方法は特に限定されるものではない。光重合反応においては、重合性単量体および前記光重合開始剤の混合物に、紫外線を照射することにより重合を行うことができる。
紫外線の発生源としては、高圧水銀ランプ等を使用することができる。
重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
樹脂組成物には、共重合体[A]以外のその他の樹脂[C]を混合して使用することができる。樹脂[C]を添加することにより樹脂物性等の調整を行うことができる。樹脂[C]は、共重合体[A]に対して1〜300重量%程度添加することができる。
さらに、樹脂組成物には、樹脂皮膜物性等を好適に調整することを目的として、必要に応じて、可塑剤、紫外線吸収材等を添加することができる。
前記可塑剤としては、フタル酸エステル系、エポキシ系、ポリエステル系、塩素化パラフィン等が挙げられる。
前記紫外線吸収材としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系などが挙げられる。
<工程(b):樹脂成形体の形成工程>
工程(b)は、工程(a)で得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する方法であれば、特に限定されないが、共重合体[A]そのものを部材に成形して樹脂成形体とする方法、共重合体[A]を基材に塗布して樹脂皮膜を形成する方法等が挙げられる。
工程(b)は、工程(a)で得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する方法であれば、特に限定されないが、共重合体[A]そのものを部材に成形して樹脂成形体とする方法、共重合体[A]を基材に塗布して樹脂皮膜を形成する方法等が挙げられる。
共重合体[A]を加工して成形体とする場合、塊状重合または懸濁重合等により、直接樹脂成形体を形成する方法、または二次加工可能な樹脂ペレットまたは樹脂板等を形成し、これを更に加工形成することにより成形体を得る方法がある。
共重合体[A]の成形体を、特に皮膜とする場合、共重合体[A]の溶液を各種基材に塗布する方法を使用することができる。この場合、共重合体[A]の溶液を、ディッピング、スピンコート、バーコート、スプレー、刷毛塗り等の方法で塗布した後、乾燥することにより皮膜を形成することができる。その後、後述するように加水分解処理を行えば、基材表面の樹脂皮膜に親水層が形成されることになる。
乾燥して成膜を行う際、特に加熱する必要はない。そのためプラスチックなど耐熱性の低い基材に対しても使用可能であり、高温の乾燥機等も必要としない。ただし、乾燥時間短縮のため加熱して乾燥を行ってもよい。
前記基材としては、例えば、ガラス、プラスチックス、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、繊維、紙、石等の鉱物、皮革などが挙げられる。
前記基材の具体例としては、車両用や道路用ミラー、車両用ガラス、車両用照明灯とそのカバー、レンズ、照明用蛍光灯とそのカバー、板ガラス、トンネル用内装材および照明灯とそのカバー、プラスチックフィルムおよびシート、プラスチック成形体、各種建材/内装材および建物付属物、食器、換気扇、眼鏡、鏡、天然および合成繊維および布帛、紙、皮製品、ブラウン管、カバーガラス、ゴーグル、マスクシールド、標識、看板、金属板、家電製品のハウジング、焼結金属フィルター、ガードレール、ビニールハウス、調理レンジとそのフード、流し台、衛生器具、浴槽、家具、屋外照明用固定材、室内もしくは屋外展示物と表示物、屋外用家具と遊具、屋外固定構造物等がある。
このようにして得られた成形体は、その表面を後述するように加水分解することにより、表面に帯電防止性と防曇性を備えた親水性層を有する透明成形体となる。
<工程(c):樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程>
工程(b)で得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより、親水性を簡便に付与することができる。
工程(b)で得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより、親水性を簡便に付与することができる。
加水分解処理をする際に、その条件が適切でない場合、表面層の親水性が十分に得られない、加水分解後の表面層の透明性が損なわれるなどの問題を生じる場合がある。
加水分解処理をするには、アルカリ性水溶液を用いることが好ましく、加水分解性の観点から、特にアルカリ金属の水酸化物水溶液が好ましい。アルカリ金属の水酸化物水溶液としては、例えば、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液など(以下、「アルカリ水溶液」という。)が挙げられる。
加水分解に用いられるアルカリ水溶液の濃度は、高過ぎると透明性を保ったまま親水性を得ることが困難となり、低すぎると加水分解に時間がかかり過ぎるという問題がある。そこで、加水分解に用いられるアルカリ水溶液の濃度としては、0.1〜3mol/L程度が好ましく、0.2〜2mol/L程度がより好ましい。
加水分解を行う温度としては、高過ぎると過度に加水分解が進み皮膜の透明性を損なう場合がある。そこで、加水分解を行う温度としては、30℃以下程度が好ましい。
加水分解時間は、使用する単量体の種類および量、アルカリ水溶液の濃度、加水分解を行う温度等に応じて適宜設定すればよく、例えば、約0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて室温(15〜25℃程度)で加水分解を行う場合、通常1〜60分程度である。
加水分解処理の具体的な方法としては、まず、樹脂表面とアルカリ水溶液を、浸漬やスプレー噴射することにより適切な時間接触させ、その後、中性の水で洗浄した後、十分に乾燥を行う方法が挙げられる。
得られた親水性表面層は、加水分解処理前と比較し外観上はほとんど変化がなく透明な外観を保持しているが、表面の親水性は非常に高くなっており、低表面抵抗率と高い防曇性等を有している。
<架橋性重合体[B]>
本発明の親水性表面層を有する樹脂成形体は、共重合体[A]を架橋剤で架橋処理することにより得られる架橋性重合体[B]から製造することもできる。共重合体[A]に替えて架橋性重合体[B]を用いることにより、硬度等の樹脂物性の改善を図ることができる。
本発明の親水性表面層を有する樹脂成形体は、共重合体[A]を架橋剤で架橋処理することにより得られる架橋性重合体[B]から製造することもできる。共重合体[A]に替えて架橋性重合体[B]を用いることにより、硬度等の樹脂物性の改善を図ることができる。
前記共重合体[B]は、単量体(1)と、単量体(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理することにより得られる共重合体である。
前記架橋剤は、単量体混合物を適切に架橋できるものであれば特に限定さないが、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物等を利用することができる。
ジイソシアネート化合物を用いた架橋反応では、単量体混合物に含まれる、単量体(2)に由来する活性水素を含む官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、またはアミド基)を利用することができる。すなわち、単量体(1)と、単量体(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)の共重合体にジイソシアネート化合物を加えることで、共重合体中の活性水素を含む官能基とイソシアネート基とが反応し、架橋反応が進行するというものである。
ジイソシアネート化合物を用いた架橋反応には、必要に応じて、反応の促進を目的として触媒を用いることができる。触媒は、架橋反応を好適に促進するものであれば特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジアザビシクロオクタン等の3級アミン化合物、有機スズ化合物などの金属化合物が挙げられる。
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
エポキシ化合物を用いた架橋反応では、単量体混合物に、エポキシ構造を有する重合性単量体(例えば、グリシジルアクリレート等)を加えることにより、エポキシ構造を有する重合体を得ることができ、この重合体と、例えば、コハク酸等の多価カルボン酸とを、必要に応じ、3級アミン、金属カルボン酸塩、金属アルコキシド等を触媒に用いて反応させることにより架橋反応を行うことができる。または、重合体中にカルボキシル基を有する場合には、重合体中の該カルボキシル基とエポキシ基とを反応させることにより架橋反応を行ってもよい。
本発明の共重合体[B]を用いて親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法は、
(a’)重合性単量体(a)と、および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理して架橋性共重合体[B]を得る工程(以下、「工程(a’)」ともいう)と;
(b’)得られた架橋性共重合体[B]から樹脂成形体を形成する工程(以下、「工程(b’)」ともいう)と;
(c’)得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程(以下、「工程(c’)」ともいう)と、を含む。
(a’)重合性単量体(a)と、および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理して架橋性共重合体[B]を得る工程(以下、「工程(a’)」ともいう)と;
(b’)得られた架橋性共重合体[B]から樹脂成形体を形成する工程(以下、「工程(b’)」ともいう)と;
(c’)得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程(以下、「工程(c’)」ともいう)と、を含む。
<工程(a’):共重合体[B]の製造工程>
共重合体[B]は、架橋剤の種類によって、単量体(1)、(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)を重合させた後に架橋剤で架橋させることにより製造することもできるし、単量体(1)、(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)を重合させる際に架橋剤を加えて重合と架橋とを同時に行うことにより製造することもできる。
共重合体[B]は、架橋剤の種類によって、単量体(1)、(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)を重合させた後に架橋剤で架橋させることにより製造することもできるし、単量体(1)、(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)を重合させる際に架橋剤を加えて重合と架橋とを同時に行うことにより製造することもできる。
架橋剤として、上述したジイソシアネート化合物を用いる場合には、例えば、単量体(1)、(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)を重合開始剤を用いて上記工程(a)と同様にして重合させた後、ジイソシアネート化合物を添加して架橋させる。
ジイソシアネート化合物の使用量は、共重合体の製造に使用した単量体(2)のモル数を100とした時、ジイソシアネート化合物のモル数を5〜20程度とすることが好ましい。これよりも少ない場合は十分な架橋を得られない場合があり、これより多い場合は加水分解が遅くなるまたは加水分解後の親水性が十分に得られない場合がある。
ジイソシアネート化合物と共重合体とは、均一に混合した上で架橋させることが好ましい。
ジイソシアネート化合物を用いた架橋反応における反応温度は、通常10〜100℃程度、好ましくは15〜80℃程度である。架橋反応における反応時間は、反応温度等に応じて適宜設定すればよく、通常5分〜10時間程度である。
架橋剤として、上述したエポキシ化合物を用いる場合には、例えば、単量体(1)、(2)および/またはN−ビニルピロリドン(3)とともに、エポキシ構造を有する重合性単量体(例えば、グリシジルアクリレート等)を加えることにより、エポキシ構造を有する重合体を得ることができ、この重合体と、例えば、コハク酸等の多価カルボン酸とを、必要に応じ、3級アミン、金属カルボン酸塩、金属アルコキシド等を触媒に用いてを反応させることにより架橋反応を行うことができる。または、重合体中にカルボキシル基を有する場合には、重合体中の該カルボキシル基とエポキシ基とを反応させることにより架橋反応を行ってもよい。
<工程(b’):樹脂成形体の形成工程>
工程(b’)は、上記工程(b)と同様にして行うことができる。
工程(b’)は、上記工程(b)と同様にして行うことができる。
<工程(c’):樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程>
工程(c’)は、上記工程(c)と同様にして行うことができる。
工程(c’)は、上記工程(c)と同様にして行うことができる。
以下に実施例等を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例中、「部」は特に断りがない限り「重量部」を意味する。また、分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算重量平均分子量である。
GPCの条件は下記の通りである。
装置・・・東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム・・・TSKgel SuperHZM−M 2本
流量・・・0.35 mL/min
検出器・・・RI
カラム恒温槽温度・・・40℃
遊離液・・・THF
また、加熱残分とは、共重合体[A]を125℃で1時間加熱した後の、加熱前の重量に対する重量%である。
装置・・・東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム・・・TSKgel SuperHZM−M 2本
流量・・・0.35 mL/min
検出器・・・RI
カラム恒温槽温度・・・40℃
遊離液・・・THF
また、加熱残分とは、共重合体[A]を125℃で1時間加熱した後の、加熱前の重量に対する重量%である。
製造例1(共重合体[A−1]の製造)
温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた反応容器に、溶剤プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(以下PMA)400部、2−オキソ−n−プロピルアクリレート50部(0.390モル)、メチルメタクリレート30部(0.300モル)、ヒドロキシエチルメタクリレート20部(0.154モル)および重合開始剤t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート2.2部を仕込み、窒素雰囲気下、約105℃で2時間撹拌し反応を行うことにより、重量平均分子量:69,000、加熱残分20.6%の共重合体溶液[A−1]を得た。A−1の製造条件、加熱残分および重量平均分子量を表1に示す。
温度計、還流冷却器、撹拌機および滴下ロートを備えた反応容器に、溶剤プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(以下PMA)400部、2−オキソ−n−プロピルアクリレート50部(0.390モル)、メチルメタクリレート30部(0.300モル)、ヒドロキシエチルメタクリレート20部(0.154モル)および重合開始剤t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート2.2部を仕込み、窒素雰囲気下、約105℃で2時間撹拌し反応を行うことにより、重量平均分子量:69,000、加熱残分20.6%の共重合体溶液[A−1]を得た。A−1の製造条件、加熱残分および重量平均分子量を表1に示す。
製造例2 (共重合体[A−2]の製造)
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート20部(0.200モル)、ヒドロキシエチルメタクリレート20部(0.154モル)とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:65,000、加熱残分20.6%の共重合体溶液[A−2]を得た。
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート20部(0.200モル)、ヒドロキシエチルメタクリレート20部(0.154モル)とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:65,000、加熱残分20.6%の共重合体溶液[A−2]を得た。
製造例3 (共重合体[A−3]の製造)
2−オキソ−n−プロピルアクリレート53部(0.414モル)、メチルメタクリレート23部(0.230モル)、ヒドロキシエチルメタクリレート24部(0.184モル)、重合開始剤を1.8部とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:41,000、加熱残分21.0%の共重合体溶液[A−3]を得た。
2−オキソ−n−プロピルアクリレート53部(0.414モル)、メチルメタクリレート23部(0.230モル)、ヒドロキシエチルメタクリレート24部(0.184モル)、重合開始剤を1.8部とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:41,000、加熱残分21.0%の共重合体溶液[A−3]を得た。
製造例4 (共重合体[A−4]の製造)
2−オキソ−n−プロピルアクリレート55部(0.429モル)、メチルメタクリレート43部(0.429モル)、メタクリル酸2部(0.023モル)、重合開始剤を1.9部とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:29,000、加熱残分20.7%の共重合体溶液[A−4]を得た。
2−オキソ−n−プロピルアクリレート55部(0.429モル)、メチルメタクリレート43部(0.429モル)、メタクリル酸2部(0.023モル)、重合開始剤を1.9部とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:29,000、加熱残分20.7%の共重合体溶液[A−4]を得た。
製造例5 (共重合体[A−5]の製造)
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート32.5部(0.325モル)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート7.5部(0.052モル)、重合開始剤を1.3部、重合温度95℃とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:10,000、加熱残分20.4%の共重合体溶液[A−5]を得た。
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート32.5部(0.325モル)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート7.5部(0.052モル)、重合開始剤を1.3部、重合温度95℃とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:10,000、加熱残分20.4%の共重合体溶液[A−5]を得た。
製造例6 (共重合体[A−6]の製造)
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート35部(0.350モル)、メタクリルアミド5部(0.059モル)、重合開始剤を1.9部とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:30,000、加熱残分20.8%の共重合体溶液[A−6]を得た。
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート35部(0.350モル)、メタクリルアミド5部(0.059モル)、重合開始剤を1.9部とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:30,000、加熱残分20.8%の共重合体溶液[A−6]を得た。
製造例7 (共重合体[A−7]の製造)
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート35部(0.350モル)、N−ビニルピロリドン5部(0.045モル)、重合開始剤を1.9部、とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:32,000、加熱残分20.5%の共重合体溶液[A−7]を得た。
2−オキソ−n−プロピルアクリレート60部(0.468モル)、メチルメタクリレート35部(0.350モル)、N−ビニルピロリドン5部(0.045モル)、重合開始剤を1.9部、とした以外は製造例1と同様にして、重量平均分子量:32,000、加熱残分20.5%の共重合体溶液[A−7]を得た。
上記A−2〜A−7の製造条件、加熱残分および重量平均分子量についても表1に示す。
製造例8 (架橋性重合体[B−1]の調製)
温度計、還流冷却器および撹拌機を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、製造例3で製造した重合体溶液[A−3]100部、トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの80:20混合物、以下、「TDI」と略記する)0.6部およびジアザビシクロオクタン(以下、「DABCO」と略記する)0.003部を仕込み、5分間撹拌を行い均一に溶解し、架橋性重合体溶液[B−1]を得た。B−1の製造条件を表2に示す。
温度計、還流冷却器および撹拌機を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、製造例3で製造した重合体溶液[A−3]100部、トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの80:20混合物、以下、「TDI」と略記する)0.6部およびジアザビシクロオクタン(以下、「DABCO」と略記する)0.003部を仕込み、5分間撹拌を行い均一に溶解し、架橋性重合体溶液[B−1]を得た。B−1の製造条件を表2に示す。
実施例1〜11
乾燥樹脂皮膜の製造
前記重合体溶液[A−1]〜[A−7]および[B−1]を、アプリケーターを用いて、厚さ1mmの透明アクリル板に塗布し、80℃の恒温槽で1時間乾燥して、乾燥樹脂皮膜試験板を得た。この試験板を室温まで冷却した後、乾燥膜厚および水接触角を測定した。
結果を表2に示す。
乾燥樹脂皮膜の製造
前記重合体溶液[A−1]〜[A−7]および[B−1]を、アプリケーターを用いて、厚さ1mmの透明アクリル板に塗布し、80℃の恒温槽で1時間乾燥して、乾燥樹脂皮膜試験板を得た。この試験板を室温まで冷却した後、乾燥膜厚および水接触角を測定した。
結果を表2に示す。
親水性皮膜の製造
前記重合体溶液[A−1]を用いて製造した乾燥皮膜試験板を表2に示す条件でアルカリ水溶液に浸漬して加水分解処理を行った。浸漬後イオン交換水にて皮膜表面を洗浄し、乾燥を行い、親水性樹脂皮膜を得た。この皮膜について、全光透過率、ヘーズ値、鉛筆硬度、表面抵抗率、防曇性および水接触角の試験を行った。前記重合体溶液[A−2]〜[A−7]および[B−1]を用いて製造した乾燥皮膜についても同様に試験を行った。
試験結果を表3に示す。
前記重合体溶液[A−1]を用いて製造した乾燥皮膜試験板を表2に示す条件でアルカリ水溶液に浸漬して加水分解処理を行った。浸漬後イオン交換水にて皮膜表面を洗浄し、乾燥を行い、親水性樹脂皮膜を得た。この皮膜について、全光透過率、ヘーズ値、鉛筆硬度、表面抵抗率、防曇性および水接触角の試験を行った。前記重合体溶液[A−2]〜[A−7]および[B−1]を用いて製造した乾燥皮膜についても同様に試験を行った。
試験結果を表3に示す。
≪各試験方法≫
〔全光透過率、ヘーズ値〕
全光透過率およびヘーズ値は、東京電色社製ヘーズメーター モデル:TC−HIIIA で測定をした。表2中、全光透過率には基材アクリル板を含む値を表記した。また、ヘーズ値として、アクリル板を含む値と、アクリル板を含むヘーズ値からアクリル板のヘーズ値を差し引いた値(ΔH)とを表記した。
〔全光透過率、ヘーズ値〕
全光透過率およびヘーズ値は、東京電色社製ヘーズメーター モデル:TC−HIIIA で測定をした。表2中、全光透過率には基材アクリル板を含む値を表記した。また、ヘーズ値として、アクリル板を含む値と、アクリル板を含むヘーズ値からアクリル板のヘーズ値を差し引いた値(ΔH)とを表記した。
〔鉛筆硬度〕
鉛筆硬度の測定はJIS K−5600−5−4(引っかき硬度 鉛筆法)に準拠して行った。
鉛筆硬度の測定はJIS K−5600−5−4(引っかき硬度 鉛筆法)に準拠して行った。
〔表面抵抗率〕
表面抵抗率は、三菱化学社製 ハイレスタ−UP モデル:MCP−HT450を用い、気温24℃、湿度40%、印加電圧500Vで測定した。
表面抵抗率は、三菱化学社製 ハイレスタ−UP モデル:MCP−HT450を用い、気温24℃、湿度40%、印加電圧500Vで測定した。
〔防曇性〕
防曇性は、保温容器に60℃の熱湯をいれ、水面上3センチのところに樹脂皮膜面を下にして固定し、10秒保持した時点の塗膜面の状態を観察した。
評価
○:曇りがない
△:一部に曇りがある
×:全体が曇る
防曇性は、保温容器に60℃の熱湯をいれ、水面上3センチのところに樹脂皮膜面を下にして固定し、10秒保持した時点の塗膜面の状態を観察した。
評価
○:曇りがない
△:一部に曇りがある
×:全体が曇る
〔水接触角〕
水接触角の測定は、気温23℃、湿度42%の下で行った。また、測定は水滴滴下5分経過後に行った。
水接触角の測定は、気温23℃、湿度42%の下で行った。また、測定は水滴滴下5分経過後に行った。
Claims (9)
- 一般式(1):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から得られる共重合体[A]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなる、親水性表面層を有する樹脂成形体。 - 前記樹脂成形体が、樹脂皮膜である請求項1に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
- 前記共重合体[A]が、単量体混合物の合計モル数を100モル%としたとき、前記重合性単量体(1)を30〜80モル%含む単量体混合物から得られるものである、請求項1または2に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
- 請求項1に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法であって、
一般式(1):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物から共重合体[A]を製造する工程と;
得られた共重合体[A]から樹脂成形体を形成する工程と;
得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程と、を含む方法。 - 一般式(1):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理することにより得られる架橋性重合体[B]からなる樹脂成形体の表面を加水分解処理させてなる、親水性表面層を有する樹脂成形体。 - 前記樹脂成形体が、樹脂皮膜である請求項7に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体。
- 請求項7に記載の親水性表面層を有する樹脂成形体を製造する方法であって、
一般式(1):
で表される重合性単量体と、
一般式(2):
で表される重合性単量体および/またはN−ビニルピロリドン(3)とを含む単量体混合物を架橋剤で架橋処理して架橋性共重合体[B]を得る工程と;
得られた架橋性共重合体[B]から樹脂成形体を形成する工程と;
得られた樹脂成形体の表面を加水分解処理することにより樹脂成形体の表面に親水性を付与する工程と、を含む方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009112883A JP2010260958A (ja) | 2009-05-07 | 2009-05-07 | 親水性表面層を有する樹脂成形体およびその製造方法 |
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ID=43359322
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JP2009112883A Pending JP2010260958A (ja) | 2009-05-07 | 2009-05-07 | 親水性表面層を有する樹脂成形体およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012214561A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Fujifilm Corp | インク組成物及び画像形成方法 |
JP2019099749A (ja) * | 2017-12-06 | 2019-06-24 | 東芝メモリ株式会社 | パターン形成方法、ブロックコポリマー、及びパターン形成材料 |
-
2009
- 2009-05-07 JP JP2009112883A patent/JP2010260958A/ja active Pending
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US8690306B2 (en) | 2011-03-31 | 2014-04-08 | Fujifilm Corporation | Ink composition and image forming method |
JP2019099749A (ja) * | 2017-12-06 | 2019-06-24 | 東芝メモリ株式会社 | パターン形成方法、ブロックコポリマー、及びパターン形成材料 |
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