JP2012210761A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、回収リサイクルしても基材としてのフィルムの機械的強度や色目を悪化しない、リサイクル性を高めたフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】少なくともA層及びB層を含む積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)、(2)および(3)を満足することを特徴とする積層ポリエステルフィルムである。
(1)B層を構成するポリエステルが、平均二次粒子径が1.2μm以上2.8μm未満のシリカ粒子を0.02重量%以上0.08重量%以下含有し、B層の厚みが10μm以上60μm以下である。
(2)B層を構成するポリエステル中に、マロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤を少なくとも1種以上を、B層の総重量に対し1〜5重量%含有し、フィルム色調b値が4.0以下である。
(3)本発明の積層フィルムを顧客にて使用した後に回収し、その回収フィルムから製造した再生ポリエステル原料を、積層フィルム総重量の20重量%以上含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも2種類の樹脂からなる層を積層した構造を有し、屋外で使用されるときの紫外線に対する耐光性に対し優れた、POP広告用基材フィルムに関するものである。
二軸配向ポリエステルフィルムは、寸法安定性、機械的性質、耐熱性、透明性、電気的性質などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。一方、環境への意識の高まりにより、これら用途に使用されたポリエステルフィルムを回収して、ポリエステル原料に戻し、再度フィルム化してリサイクルすることが望まれている。中でもPOP広告の基材用として用いられるポリエステルフィルムは、交換サイクルが比較的短く、また、顧客の目に触れる機会も多く、回収リサイクル品を使用していることをアピールすることによって、広告主が環境へ配慮していることも同時にPRすることができるため、リサイクル性が強く求められている。
しかしながら、これら広告用の基材フィルムは、広告という性格上、自動販売機など屋外で使用されることも多く、使用中に紫外線や温度、湿度による樹脂の劣化が発生するため、使用済みのフィルムを回収してフィルム化しても、そのフィルムの機械的強度や色目などの特性が悪化してしまうことが多かった。
また、印字性やハンドリング性の向上のため、ポリエステルフィルムの表面にコーティングが施されているのが一般的であり、このコーティングに含まれる物質が回収再生処理を行った時のポリエステルの特性を悪化させてしまうことも多かった。
特許文献1〜4には、市場回収PETをそのまま使用するとリサイクルフィルムが脆くなったり、あるいは結晶化により透明性が失われたりするため、リサイクルフィルムを製造する際に、ゴム(特許文献1)や、ポリオレフィン等(特許文献2)、変性PET(特許文献3)、ポリアリレート樹脂(特許文献4)を添加する方法が提案されている。
特許文献5には、回収したフィルムを溶融して再生すると、フィルム表面に付加している易接着性塗膜や制電性塗膜が劣化して、リサイクルフィルムを着色させるため、回収前のフィルムに酸化防止剤を含んだ層を設け、酸化防止剤の効果により溶融時の塗膜層成分の劣化を抑え、再生フィルムの着色を防止する方法が提案されている。
また、特許文献6には、ポリエステル廃棄物をテレフタル酸やアルキレングリコール等のポリエステル粗原料に解重合し、リサイクルする方法が提案されている。
特開平07-268113号公報(第2頁 特開2000-297162号公報(第2頁) 特開2003-119355号公報(第2頁) 特許4494080号公報(第2頁) 特開平08-217892号公報(第2頁) 特開2002-60369号公報(第2頁)
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、回収リサイクルしても基材としてのフィルムの機械的強度や色目を悪化しない、リサイクル性を高めたフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のフィルムは、少なくともA層及びB層を含む積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)、(2)および(3)を満足することを特徴とする積層ポリエステルフィルムである。
(1)B層を構成するポリエステルが、平均二次粒子径が1.2μm以上2.8μm未満のシリカ粒子を0.02重量%以上0.08重量%以下含有し、B層の厚みが10μm以上60μm以下である。
(2)B層を構成するポリエステル中に、マロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤を少なくとも1種以上を、B層の総重量に対し1〜5重量%含有し、フィルム色調b値が4.0以下である。
(3)フィルムのヘイズが6%以下である。
本発明の積層フィルムは、回収してフィルムとして再生しても、機械的強度や色目がから製造したフィルムに比較して差異が小さいフィルムである。このため、従来はバージン原料から製造していたフィルムを回収してリサイクルすることが可能となり、製造時の環境負荷が小さくなる。またこのフィルムを広告に使用することにより広告主の環境への配慮を顧客にPRすることができる。
上記目的を達成するため本発明の積層フィルムは、少なくともA層及びB層を含む積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)、(2)および(3)を満足することを特徴とする積層ポリエステルフィルムである。
(1)B層を構成するポリエステルが、平均二次粒子径が1.2μm以上2.8μm未満のシリカ粒子を0.02重量%以上0.08重量%以下含有し、B層の厚みが10μm以上60μm以下である。
(2)B層を構成するポリエステル中に、マロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤を少なくとも1種以上を、B層の総重量に対し1〜5重量%含有し、フィルム色調b値が4.0以下である。
(3)フィルムのヘイズが6%以下である。
本発明で言うポリエステルとしては、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステル、もしくはその2種類以上のブレンドポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本発明における共重合ポリエステルとは、次にあげるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。
本発明で言う再生ポリエステル原料とは、本積層フィルムを顧客にて印刷し、市場で広告として使用されたものを回収し、広告表面に印刷されたインキ等を除去した後に、溶融、ペレタイズしたものと定義される。インキ等の除去は、アルカリ等の薬剤にて溶かして除去する方法や表面をマット加工等で削り取る方法などがあるが、これらのポリエステル以外の成分を完全に除去するために、併用するのが好ましい。溶融、ペレタイズは押出機での溶融前に乾燥を行い、水分を除去しておくことが望ましい。また押出機で溶融している時間を短縮して熱劣化を抑制することが望ましい。またペレタイズした原料ペレットは、製膜時の乾燥工程で融着を防ぐためにペレットの表面を結晶化しておく必要がある。
また、各ポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが、そのフィルム特性を低下させない程度に添加されていてもよい。
A層のポリエステルとB層のポリエステルの好ましい組み合わせとしては、両ポリエステルのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、ロール状の巻物としたときにフィルムの厚薄によりフィルムの平面性が悪化してしまう。また、積層フィルムを延伸する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
また、本発明の積層フィルムでは、フィルム中のB層にマロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤を含有することが必要である。本発明の積層フィルムは広告用基材フィルムという用途上、外観の色合いが重要視され、黄身を帯びたフィルムやヘイズの高いフィルムは広告基材のクリア感を損なってしまう。一方、広告用フィルムとしての機能上、本フィルムは常時外部からの光に晒されることが多い。一般に高分子化合物は多数の吸収波長を持っており、特に紫外領域の短波長領域の光を吸収すると、分子が破壊されてラジカルが形成され、経時でポリマー鎖が断裂していくという特性を持っているが、使用済みの広告基材を回収リサイクルして製造した再生フィルムの色目や機械的強度を考慮した場合、この紫外線による劣化を極力抑制する必要がある。紫外線によるポリマーの劣化を防止するためには、紫外線吸収剤を添加すれば、ポリマーの劣化は大きく抑制することが可能である。しかしながら、一般に使用されるベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤では、それ自身が近紫外の可視光を吸収してしまうために、添加されたフィルム自体が黄色に着色してしまうことが避けられない。
本発明に含有させるマロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤はベンゼン核のオルソ位がヒドロキシル基で置換されていないため、可視光領域に近接した350nm付近の長波長部に吸収ピークを有さず、一般的に使用されるベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤では避けられない黄味着色が極めて少ない。マロン酸エステル系化合物や蓚酸アニリド系化合物の内、中でもマロン酸エステル系は耐熱性にも優れるため特に好ましい。例えばマロン酸エステル系紫外線吸収剤としては、テトラエチル−2,2'−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネート、マロン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル、(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチルエステルがあり、また蓚酸アニリド系紫外線吸収剤は蓚酸とアニリンとの反応生成物から誘導された化合物であり、例えばN-(2-エトキシ-5-t- ブチルフェニル)蓚酸ジアミド、N-(2- エチルフェニル)-N'-(2-エトキシフェニル)蓚酸ジアミドなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤のフィルム中の含有量はB層中に1〜5重量%であることが必要である。より好ましくは2〜4重量%であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が1重量%未満の場合は、耐光性が不十分となり、長時間の使用によりポリマーが劣化し、回収リサイクルしたときに再生フィルムの特性が不十分となる。一方、5重量%を超える場合やA層にも紫外線吸収剤を添加した場合は、フィルム製膜時の破れによる生産性の低下や紫外線吸収剤に起因するコストアップが大きくなり、好ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、フィルムの色調b値が4.0以下であるであることが必要である。b値4.0を越えたフィルムではフィルムの黄味が強くなり、広告としての意匠性を損なうことがある。また、本発明の積層フィルムにUV照射試験を施したフィルムのb値が7.0以下であることが好ましい。これ以上のb値になると、顧客から回収したフィルムにも着色が顕著となることが多く、そこからリサイクルした再生ポリエステル原料も強く黄味を帯び、しいては本発明の積層フィルムの黄味も増加してしまうからである。
また、本発明の積層フィルムでは、滑り性を付与する観点とポリエステルとの屈折率差が小さくフィルムヘイズが上がりにくいことから、フィルムのB層中に平均二次粒子径が1.2μm以上2.8μm未満のシリカを主成分とする易滑剤を含有することが必要である。その形状としては、凝集粒子、真球状粒子、数珠状粒子、コンペイト状粒子、鱗片状粒子などの形状粒子を使うことができる。
易滑粒子のフィルム中の含有量はB層中に0.02〜0.08重量%であることが好ましい。より好ましくは0.03〜0.06重量%であることが最も好ましい。易滑剤の含有量が0.02重量%未満の場合は、フィルムの滑り性が不十分となり、フィルムをロール上に巻き取る工程でロールの外観不良が発生したり、広告印刷を行う際のハンドリングができなくなる。一方、0.08重量%を超える場合やA層にも易滑剤を添加した場合は、フィルムのヘイズが上昇して透明性を損ない、コスト面でも好ましくない。フィルムのヘイズとしては6%以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムのB層の厚みは、10〜60μmである必要がある。60μmを越える場合、フィルム全体への易滑粒子の総量が増加することで、フィルムのヘイズが上昇し、透明性を損なってしまう。また10μmより薄い場合は、紫外線吸収量の不足して耐光性が不足し、UV照射試験後のフィルムの黄味が悪化する。それを改善するためにB層に含有される紫外線吸収材の濃度が高くすると、濃度が高くなりすぎて、経時でフィルムの外に紫外線吸収剤がブリードアウトしてくる懸念がある。
また、本発明の積層フィルムでは、フィルム総重量に再生ポリエステル原料を20重量%以上含有することが必要である。本積層フィルムのように、本積層フィルムを回収して同じ製品を製造する場合(自己再資源化製品)、再生材料をフィルム総重量の20重量%以上含有することにより、(財)日本環境協会エコマーク事務局からエコマークの認定を受けることができる。エコマークをPOP広告に表示することで、広告主の環境への意識を強くPRすることが可能となる。
本発明の積層フィルムの厚みは、広告基材としてコシが必要なことから、125〜250μmが好ましい。より好ましくは150〜188μmである。
次に本発明のポリステルフィルムの好ましい製造方法について説明する。
1.再生ポリエステル原料
再生ポリエステル原料は、本積層フィルムを顧客にて印刷し、市場で広告として使用されたものを回収し、広告表面に印刷されたインキ等を除去した後に、溶融、ペレタイズしたものである。フィルム表面のインキ等の除去は、アルカリ等の薬剤にて溶かして除去する方法や表面をマット加工等で削り取る方法などがあるが、これらのポリエステル以外の成分を完全に除去するために、併用するのが好ましい。表面の非ポリエステル層を除去したフィルムは粉砕し、水分を除去するためにガラス転移温度〜160℃程度で乾燥する。乾燥後の水分率は100ppm程度以下に低減することがポリマーの加水分解を抑制するために好ましい。乾燥した粉砕フィルムを押出機にて溶融し、ダイからストランド状に吐出せしめて冷水で急冷固化させる。押出機で溶融している時間を短縮して熱劣化を抑制することが望ましい。
固化したストランドはストランドカッタにてペレット形状に切断した後、フィルム製膜時の乾燥工程で融着を防ぐために、熱風乾燥機等でペレットの表面を結晶化させる。
2.フィルム
先に述べたポリエステル原料から、粒子含有ペレットや粒子などを実質的に含有しないペレットを準備し、熱風中あるいは真空下で乾燥し水分を除去する。乾燥されたA層を構成するポリエステルのペレット、および、B層を構成するポリエステルのペレットと紫外線吸収剤を、別々の押出機に供給する。なお、紫外線吸収剤は、あらかじめB層のペレットにコンパウンドしておいたものを添加する方式でも構わない。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂ペレットは、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれ、それぞれフィードブロックに導入して積層する。次にダイにてシート形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。特に本発明では、面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。かかる温度、倍率範囲を外れると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こすことがある。特に延伸温度がガラス転移温度よりも低いとフィルムが破断しやすく製造が難しい場合がある。一方、延伸温度がガラス転移温度+120℃よりも高いとフィルムとして十分な機械的強度が得られない場合がある。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
本発明に使用した物性値の評価法を記載する。
(物性値の評価法)
(1)フィルム色調
日本電色(株)製色差計(Z−300A型)を使用し、L、a、b表色系におけるb値を算出し評価した。値が低いほど黄ばみが少なく色調が良好であることを示す。
(2)UV照射試験後の色調
岩崎電気(株)製耐候性促進試験機アイスーパーUVテスターSUV−W131を用い、波長365nm、UV照度100mW/cm2の紫外線をB層を有する側の面に24時間照射した。
照射後のフィルムを(1)に記載の方法で、色調b値を評価した。
(3)ヘイズ
サンプルを5cm×5cmで切り出し、直読式ヘイズメータHGM−2DP(スガ試験機器製作所製)を用いn=3で測定した。
(4)フィルムの生産性
フィルム製膜におけるテンターでの延伸工程においてフィルム破れが発生したり、フィルム製膜後にフィルムをロールに巻き取る工程においてロールの外観不良が発生した場合、×とした。
(実施例1)
A層のポリエステル樹脂(樹脂A)としては、バージンのポリエチレンテレフタレートの原料ペレットを72%、本発明の積層フィルムを顧客にて使用した後に回収しその回収フィルムから製造した再生ポリエステル原料ペレットを28%、で配合した混合ペレットを準備した。またB層のポリエステル樹脂(樹脂B)としては、バージンのポリエチレンテレフタレート原料ペレットに平均二次粒径が2.1μmの凝集シリカ粒子が0.04wt%、マロン酸エステル系の紫外線吸収剤(クラリアント・ジャパン社製 ”サンデュボアB−CAP”)を2.0wt%添加したポリエステルを準備した。この2種類の樹脂を、それぞれ別々に160℃で4時間乾燥した後、別々の押出機に供給した。
樹脂AおよびBは、それぞれ押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流させた後の積層体は、A層の両側にB層の樹脂が配置される構成とし、それぞれの層の重量比はB:A:B=約 1:5:1 とした。この比率から、再生ポリエステル原料の全体に占める比率は約20%となる。
このようにして得られた積層体を、マルチマニホールドダイに供給、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.0倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に8%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは、各層の厚みが25/125/25μmで、全厚みは175μmであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1における樹脂B中の紫外線吸収剤を蓚酸アニリド系の化合物(クラリアント・ジャパン(株)社製 ”サンデュボアVSU”)に変更し、その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られたフィルムの厚みは、175μmであった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2における凝集シリカの量を0.08wt%、紫外線吸収剤の量を4.0wt%、フィルム厚みを150μmに変更し、層厚み構成は実施例2の比率のまま層厚みのみ21/108/21μm、全厚みは150μmとし、その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、樹脂B中の紫外線吸収剤の添加量を0.5wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、樹脂B中の紫外線吸収剤の添加量を8.0wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、樹脂B中の紫外線吸収剤として一般的なトリアジン系の化合物(チバ・スペシャルティケミカルズ社製“CGX006”)に変更し、その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、樹脂B中の紫外線吸収剤として、一般的なベンゾフェノン系の化合物(旭電化(株)製“アデカスタブLA−51”)に変更し、その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、樹脂A中の再生ポリエステル原料の比率を減らし、フィルム総重量中の再生原料比率を10wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例1において、樹脂B中の凝集シリカとして平均二次粒径3.0μmのものを使用した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例7)
実施例1において、樹脂B中の凝集シリカとして平均二次粒径1.4μmのものを使用した。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例8)
実施例1において、樹脂B中の凝集シリカの添加量を1.0wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例9)
実施例1において、樹脂B中の凝集シリカの添加量を0.1wt%とした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例10)
実施例1において、フィルム全体の層厚み構成を5/165/5μmとした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
(比較例11)
実施例1において、フィルム全体の層厚み構成を70/35/70μmとした。その他の条件・装置については実施例1と同様とした。得られた結果を表1に示す。
Figure 2012210761
本発明は、少なくとも2種類の樹脂からなる層を積層した構造を有し、屋外で使用されるときの紫外線に対する耐光性に対し優れた、POP広告用基材フィルムに関するものである。

Claims (5)

  1. 少なくともA層及びB層を含む積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)、(2)および(3)を満足することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
    (1)B層を構成するポリエステルが、平均二次粒子径が1.2μm以上2.8μm未満のシリカ粒子を0.02重量%以上0.08重量%以下含有し、B層の厚みが10μm以上60μm以下である。
    (2)B層を構成するポリエステル中に、マロン酸エステル系化合物または蓚酸アニリド系化合物から選ばれた紫外線吸収剤を少なくとも1種以上を、B層の総重量に対し1〜5重量%含有し、フィルム色調b値が4.0以下である。
    (3)フィルムのヘイズが6%以下である。
  2. 前記マロン酸エステル系化合物が、テトラエチル−2,2'−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネート、マロン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル、(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチルエステルバージンであることを特徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記蓚酸アニリド系化合物が、N-(2-エトキシ-5-t- ブチルフェニル)蓚酸ジアミド、N-(2- エチルフェニル)-N'-(2-エトキシフェニル)蓚酸ジアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. UV照射試験による24時間後の色調b値が7.0以下であることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. POP広告の基材フィルム用途に使用される前記請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
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JP2015112768A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 大日本印刷株式会社 ポリエステルシート
JP2019137067A (ja) * 2019-04-25 2019-08-22 大日本印刷株式会社 ポリエステルフィルム

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