JP2012210694A - 動力工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源としての駆動モータと該駆動モータの動力を変速するトラクションドライブ式の無段変速機構とを具備する動力工具において、無段変速機構を冷却できるようにすることにある。
【解決手段】駆動モータ10のモータスピンドル11を回転軸にして回転して駆動モータ10に風を送る送風ファン12を備えている。この送風ファン12により送られる風で駆動モータ10を冷却することができる。さらに送風ファン12により送られる風を、無段変速機構30も冷却するように導く導風構造が設けられている。これにより、送風ファン12により駆動モータ10に送られた風を利用して無段変速機構30も冷却することができる。また、導風構造は、送風ファン12により送られる風を機構本体収容ケースの外側面に接触させながら通気させる構造を有している。
【選択図】図3

Description

この発明は、例えば電動モータを駆動源として内装するディスクグラインダやねじ締め工具あるいは孔明け用のドリル等の動力工具に関する。
この種の動力工具では、一般に駆動モータの出力回転数を減速(変速)するための減速歯車列や出力方向を変換するための歯車列を備えている。
また、駆動モータの変速機構としては、上記のような歯車列を用いるものの他に、減速比を無段階で変化させる無段変速機構(CVT:Continuously Variable Trans-mission)が公知になっている。従来、この無段変速機構として、いわゆるトラクションドライブ機構を利用したものが公知になっている。このトラクションドライブ式の無段変速機構に関する技術が例えば下記の特許文献1〜3に開示されている。
このトラクションドライブ式の無段変速機構は、ホルダに支持した複数の円錐形の遊星ローラに太陽ローラを圧接して、これにより得られる転がり接触を利用して遊星ローラを自転させながら出力軸回りに回転させて動力を伝達するとともに、各遊星ローラの円錐面に圧接した変速リングの圧接位置を小径側と大径側との間で変位させて圧接径を変化させることにより出力回転数を無段階で変速する構成となっている。
特許文献1には、係るトラクションドライブ式の無段変速機構を内装したねじ締め工具が開示されている。このねじ締め工具では、ねじ締めビットに付加される負荷トルクの増大(ねじ締めの進行)に伴って変速リングを低速側に変位させることにより、出力モードを低速高トルク出力モードに無段階で変速することができ、これにより迅速かつ確実なねじ締め作業を楽に行うことができる。
特開平6-190740号公報 特開2002-59370号公報 特公平3-73411号公報
ところで上記したねじ締め工具等の動力工具にあっても、トラクションドライブ式の無段変速機構により駆動モータの回転数を作業形態に合わせて変速させて出力することができるが、この動力工具を使用し続けると、駆動モータと同様、トラクションドライブ式の無段変速機構も熱を帯びていくようになる。このため、このトラクションドライブ式の無段変速機構にあっても、駆動モータと同様、熱が帯びていくことによる温度上昇を避けるように冷却しておきたい。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、駆動源としての駆動モータと該駆動モータの動力を変速するトラクションドライブ式の無段変速機構とを具備する動力工具において、無段変速機構を冷却できるようにすることにある。
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る動力工具は次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係る動力工具は、駆動源としての駆動モータと、該駆動モータの動力を変速するトラクションドライブ式の無段変速機構とを具備する動力工具であって、前記駆動モータの回転駆動軸を回転軸にして回転して該駆動モータに風を送って該駆動モータを冷却する送風ファンと、前記無段変速機構も冷却するように前記送風ファンにより送られる風を導く導風構造と、を備えることを特徴とする。
この第1の発明に係る動力工具によれば、駆動モータの回転駆動軸を回転軸にして回転して駆動モータに風を送る送風ファンを備えているので、駆動モータを冷却することができる。さらに、この第1の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構も冷却するように送風ファンにより送られる風を導く導風構造が設けられているので、この送風ファンにより駆動モータに送られた風を利用して無段変速機構も冷却することができる。これによって、駆動モータとトラクションドライブ式の無段変速機構とを具備する動力工具において、無段変速機構を冷却することができる。
第2の発明に係る動力工具は、前記第1の発明に係る動力工具において、前記無段変速機構は、該無段変速機構の機構本体を収める機構本体収容ケースを備え、前記導風構造は、前記送風ファンにより送られる風を前記機構本体収容ケースの外側面に接触させながら通気させる構造を有していることを特徴とする。
この第2の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構は無段変速機構の機構本体を収める機構本体収容ケースを備え、導風構造は送風ファンにより送られる風を機構本体収容ケースの外側面に接触させながら通気させる構造を有しているので、送風ファンにより送られた風を利用して無段変速機構も冷却するにあたって機構本体収容ケースを介して冷却することができる。これによって、無段変速機構は、圧接された互いのローラ間の転がり接触を得るにあたって、圧接された互いのローラ間に介在されるトラクショングリス等の潤滑剤等を外部に飛ばすことなく、この無段変速機構を冷却するための風を当てることができる。したがって、無段変速機構の機能を損なうことなく、送風ファンにより送られた風を利用して無段変速機構を冷却することができる。
第3の発明に係る動力工具は、前記第2の発明に係る動力工具において、前記機構本体収容ケースは、金属製で形成されており、前記機構本体収容ケースの外側面には、前記外側に向けて張り出すフィンが設けられていることを特徴とする。
この第3の発明に係る動力工具によれば、機構本体収容ケースは金属製で形成されているので、機構本体収容ケースを介して無段変速機構を冷却するにあたって機構本体収容ケースの熱伝導性を向上させることができる。さらに、機構本体収容ケースの外側面には、外側に向けて張り出すフィンが設けられているので、機構本体収容ケースを介して無段変速機構を冷却するにあたって送られてくる風との接触領域を拡げることができて、この機構本体収容ケースの熱交換能力を向上させることができる。これによって、機構本体収容ケースを介して無段変速機構を冷却するにあたっての、無段変速機構の冷却性能を向上させることができる。
第4の発明に係る動力工具は、前記第2または前記第3の発明に係る動力工具において、前記無段変速機構の機構本体を収める前記機構本体収容ケースの外側には、前記機構本体収容ケースを覆う樹脂製の外側ケースが設けられていることを特徴とする。
この第4の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構の機構本体を収める機構本体収容ケースの外側には、機構本体収容ケースを覆う樹脂製の外側ケースが設けられているので、この機構本体収容ケース内部に収められる無段変速機構の機構本体が熱を帯びる場合であっても、この機構本体収容ケース外部への熱伝導を抑えることができる。これによって、無段変速機構の機構本体が熱を帯びる場合であっても、この無段変速機構の機構本体の外部をユーザは触って把持することができることとなる。
第5の発明に係る動力工具は、前記第4の発明に係る動力工具において、前記導風構造は、前記送風ファンにより送られる風を通気させる通風路を備え、前記通風路は、少なくとも前記機構本体収容ケースと前記外側ケースとの間に設けられていることを特徴とする。
この第5の発明に係る動力工具によれば、送風ファンにより送られる風を通気させる通風路が、機構本体収容ケースと外側ケースとの間に設けられているので、送風ファンにより送られる風は、機構本体収容ケースと外側ケースとの間に生じる熱と熱交換できることとなる。これによって、無段変速機構の機構本体が熱を帯びる場合であっても、この無段変速機構の機構本体の外部への熱伝導を効率良く抑えることができる。
第6の発明に係る動力工具は、前記第2から前記第5のいずれかの発明に係る動力工具において、前記導風構造は、前記機構本体収容ケースの外側周囲360度の範囲のうち、合わせて該機構本体収容ケースの外側周囲180度以上の範囲に亘るように設けられていることを特徴とする。
この第6の発明に係る動力工具によれば、導風構造は、合わせて機構本体収容ケースの外側周囲180度以上の範囲に亘るように設けられているので、機構本体収容ケースの半分以上の範囲に亘って機構本体収容ケースを介して無段変速機構を冷却することができる。これによって、無段変速機構を冷却するにあたっての冷却効率を、向上させることができる。
第1の発明に係る動力工具によれば、駆動モータとトラクションドライブ式の無段変速機構とを具備する動力工具において、無段変速機構を冷却することができる。
第2の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構の機能を損なうことなく、送風ファンにより送られた風を利用して無段変速機構を冷却することができる。
第3の発明に係る動力工具によれば、機構本体収容ケースを介して無段変速機構を冷却するにあたっての、無段変速機構の冷却性能を向上させることができる。
第4の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構の機構本体が熱を帯びる場合であっても、この無段変速機構の機構本体の外部をユーザは触って把持することができることとなる。
第5の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構の機構本体が熱を帯びる場合であっても、この無段変速機構の機構本体の外部への熱伝導を効率良く抑えることができる。
第6の発明に係る動力工具によれば、無段変速機構を冷却するにあたっての冷却効率を、向上させることができる。
動力工具としてのディスクグラインダの全体斜視図である。 図1のディスクグラインダを上面視した上面図である。 ディスクグラインダの内部構造を示す縦断面図である。 図3の(IV)-(IV)線断面矢視図であり、変速部の内部構造断面図である。 図3の(V)-(V)線断面矢視図であり、変速制御部の内部構造断面図である。 図3の(VI)-(VI)線断面矢視図であり、変速制御部の内部構造図である。 調圧カム機構を拡大して示す断面図である。 図1のディスクグラインダを正面視した正面図である。 送風ファンにより送られる風の風路を示すディスクグラインダの縦断面図である。
次に、本発明に係る動力工具を実施するためディスクグラインダ1について図面を参照にしながら説明する。なお、以下では、本発明に係る動力工具としてディスクグラインダ1を例示する。図1は、動力工具としてのディスクグラインダ1の全体斜視図である。図2は、図1のディスクグラインダ1を上面視した上面図である。図3は、ディスクグラインダ1の内部構造を示すものであり、図1のディスクグラインダ1の前後中心線方向に沿った縦断面を示す断面図である。図4は、図3の(IV)-(IV)線断面矢視図であり、変速部3の内部構造断面図である。図5は、図3の(V)-(V)線断面矢視図であり、変速制御部20の内部構造断面図である。図6は、図3の(VI)-(VI)線断面矢視図であり、変速制御部の内部構造図である。図7は、調圧カム機構60を拡大して示す断面図である。図8は、図1のディスクグラインダ1を正面視した正面図である。なお、図示するディスクグラインダ1は、説明をする上で分かり易くするために図示記載の通りで上下前後左右を規定する。
図1および図2に示すように、ディスクグラインダ1は、後側から順に工具本体部2と変速部3とギヤヘッド部4とを備えている。図3に示すように、ギヤヘッド部4の下側部分には出力スピンドル51が下方へ突き出されて設けられている。この出力スピンドル51は、減速ユニット40から外部に回転駆動を出力する出力軸に相当する。この出力スピンドル51の下端部分には円形の砥石Bが取り付けられている。このギヤヘッド部4の下側部分のうち砥石Bの後側には、砥石カバー52が装備されている。この砥石カバー52は、砥石Bの後側半周範囲を覆うように設けられる砥石Bのカバー構造体であり、砥石Bによる研削粉の飛散を防止するためのものである。なお、図示符号53は、工具本体部2を右手で把持した使用者が左手で把持するためのサイドグリップである。
図3に示すように、工具本体部2は、使用者が把持するハンドル部分としての機能を有する円筒形状の本体ケース2aを備える。この本体ケース2aの後ろ側には、次に説明する送風ファン12により工具本体部2に外気を吸気するための吸気口29が設けられている。この吸気口29は、本体ケース2aのうち駆動モータ10の内装位置後ろ側に設けられており、外気を吸気可能な適宜のスリット形状にて形成されている。この本体ケース2aの内部には、駆動源としての駆動モータ10が内装されている。この駆動モータ10は、モータスピンドル11を回転駆動させるブラシモータにて構成される。モータスピンドル11は、軸受け11a,11bにより本体ケース2aに回転可能に支持されている。なお、モータスピンドル11には、モータ冷却用の送風ファン12が取り付けられている。この送風ファン12は、遠心式のファンであり、駆動モータ10のモータスピンドル(回転駆動軸)11を回転軸にして回転し、工具本体部2内部の後ろ側から前側に風を送るようになっている。つまり、工具本体部2内部のうち送風ファン12後ろ側における気圧は、送風ファン12前側における気圧に比して負圧となる。このため、上記した吸気口29から吸気された外気は、駆動モータ10に接触しながら、工具本体部2内部後ろ側から工具本体部2内部前側に送られる風となる。なお、このように工具本体部2内部後ろ側から工具本体部2内部前側に送られた風は、後に説明するギヤヘッド部4に設けられた排気口47,49(図3等参照)から排気される。このように送風ファン12は、モータスピンドル11の回転にしたがい、駆動モータ10を冷却する冷却風を形成する。
なお、この駆動モータ10のモータスピンドル11は、駆動モータ10から出力される出力軸として機能するとともに、トラクションドライブ式の無段変速機構30に入力する入力軸として機能する。なお、無段変速機構30は、モータスピンドル11から入力された回転駆動を減速(変速)して、出力軸として機能する中間伝達軸31から減速ユニット40に出力される。つまり中間伝達軸31は、後に詳述する減速ユニット40の入力軸として機能し、中間伝達軸31から入力された減速ユニット40の回転駆動力は、減速ユニット40にて減速されて出力スピンドル51から出力される。
変速部3は、本体ケース2aの前側に結合された変速ケース3aと、この変速ケース3a内に装置されるトラクションドライブ式の無段変速機構30と、この変速ケース3a内に装置され無段変速機構30を制御する変速制御部20とを備える。なお、この変速ケース3aは、主として無段変速機構30と変速制御部20とを内蔵する本発明に係る外側ケースに相当する部材である。
無段変速機構30は、無段変速機構30として機能する機構本体300と、この機構本体300を収める機構本体収容ケース71とを備える。機構本体300は、モータスピンドル11から入力され中間伝達軸31にて出力するにあたり、太陽ローラ32、遊星ローラ33、推力ローラ34、調圧カム機構60(調圧ばね67を含む)、変速リング36、ホルダ37等を備えて構成される。これに対して機構本体収容ケース71は、これらの無段変速機構30として機能する機構本体300を構成する各種の部材を収容するケース部材として構成される。
この機構本体収容ケース71は、上記した各種の収容部材を含めてケース構造をなしている。なお、この機構本体収容ケース71は、図4および図5に示すように、各種の部材が組み付けられることにより閉塞構造をなした中空円筒形状にて形成されている。この機構本体収容ケース71は、上記した太陽ローラ32、遊星ローラ33、推力ローラ34、調圧カム機構60(調圧ばね67を含む)、変速リング36、ホルダ37を内装する。
この機構本体収容ケース71は、アルミニウムを材料とした金属製にて形成されている。また、この機構本体収容ケース71の外側には、この機構本体収容ケース71を覆う外側ケースとしての変速ケース3aが配設されている。この変速ケース3aは、断熱性能を有したプラスチック樹脂製にて形成されている。なお、この機構本体収容ケース71の外側面72には、適宜の間隔を有して外側に向けて張り出すフィン73が複数設けられている。この機構本体収容ケース71は、機構本体収容ケース71の外側面72に設けられた複数のフィン73により、ケース構造をなす変速ケース3aから支持されるためのリブとしての機能も有している。なお、機構本体収容ケース71と変速ケース3aとの間におけるフィン73同士の隙間空間が、送風ファン12により送られる風を通気させる通風路75として機能する隙間空間である。
この導風構造70は、駆動モータ10を冷却するために送風ファン12により送られる風によって、無段変速機構30も冷却するための構造であり、通風路75を含んで形成されている。この導風構造70をなすための通風路75は、変速部3における左右両側部分および下側部分にて複数設けられている。この通風路75は、機構本体収容ケース71の外側周囲360度の範囲のうち、左右両側部分および下側部分となる、合わせて機構本体収容ケース71の外側周囲180度以上の範囲に亘るように設けられている。ここで通風路75は、上記した無段変速機構30の機構本体300を収める機構本体収容ケース71に対して、送風ファン12により送られる風を機構本体収容ケース71の外側面72に接触させながら通気させる構造にて形成されている。なお、送風ファン12により送られた風は、上記した吸気口29から外気を吸気して駆動モータ10を冷却し、上記した通風路75を通じた後に下側排気口47および上側排気口49から外部に排気するようになっている。つまり、この変速ケース3aには、変速ケース3aの内外連通するように開口した下側排気口47および上側排気口49が設けられている。下側排気口47および上側排気口49は、送風ファン12により送られた風を通風路75(導風構造70)を通じた後に外部に排気する。
ところでモータスピンドル11の回転駆動は、この変速部3を構成するトラクションドライブ式の無段変速機構30によって減速(変速)される。すなわち無段変速機構30は、3点圧接式の無段変速機構であり、駆動モータ10のモータスピンドル11に取り付けた太陽ローラ32と、円錐形の周面(円錐面33b)を有する複数(3つ)の遊星ローラ33〜33と、各遊星ローラ33に圧接された推力ローラ34と、推力ローラ34に推力を発生させるための調圧カム機構60と、遊星ローラ33〜33を内接させた状態で円錐面33bに外接にて圧接される変速リング36を備えている。
太陽ローラ32は、駆動モータ10のモータスピンドル11の先端部に結合されて一体で回転する。この太陽ローラ32は、軸受け32aを介して変速ケース3aに回転可能に支持されている。この太陽ローラ32は、3つの遊星ローラ33〜33のそれぞれの首部に圧接されている。出力軸として機能する中間伝達軸31の後部側は、太陽ローラ32に取り付けた軸受け31aを介して回転自在に支持されている。太陽ローラ32と中間伝達軸31は、駆動モータ10のモータスピンドル11の回転軸線と同一の回転軸線上に配置されている。また、中間伝達軸31の前部側は、後にも詳述するが、変速ケース3aに支持される軸受け31bを介して回転自在に支持されている。なお、この軸受け31bにて支持される中間伝達軸31の前側部分は、ギヤヘッド部4内に入り込むまで延びている。
3つの遊星ローラ33〜33は、ホルダ37の周方向3等分位置(図4参照)に設けた支持孔37eに挿入した支軸部33aを介してその軸線回りに回転自在に支持されている。各遊星ローラ33は、その回転軸線(支軸部33a)を直立位置(中間伝達軸31に対して直交させた位置)から図示右側に一定角度傾斜させた向きに支持されている。
推力ローラ34は、中間伝達軸31に相対回転可能かつ軸方向に変位可能に支持されている。推力ローラ34は、各遊星ローラ33の内側面に圧接されている。推力ローラ34の後面に設けたボス部34aは、遊星ローラ33〜33を支持するホルダ37を回転自在に支持している。この推力ローラ34の前側には、後に説明する調圧カム機構60の調圧ばね67が配設されている。この調圧ばね67は、駆動モータ10のモータスピンドル11からの回転駆動を受けて無段変速機構30が初期駆動するに際し、上記した太陽ローラ32、遊星ローラ33〜33、推力ローラ34、変速リング36との間で必要な摩擦伝動が得られるように、推力ローラ34を図示後ろ側に付勢している。
このように構成された無段変速機構30は、変速リング36が遊星ローラ33〜33の小径側に位置する状態では、モータスピンドル11からの回転駆動に対する無段変速機構30の減速比は小さくなる。このため、無段変速機構30は、出力スピンドル51へと向けた中間伝達軸31を高速に回転させることとなる。また逆に、変速リング36が遊星ローラ33〜33の大径側に位置する状態では、モータスピンドル11からの回転駆動に対する無段変速機構30の減速比は大きくなる。このため、無段変速機構30は、出力スピンドル51へと向けた中間伝達軸31を低速に回転させることとなる。
また、上記した無段変速機構30と減速ユニット40との間には、調圧カム機構60が設けられている。調圧カム機構60は、図7に示すように、推力ローラ34の前側であり減速ユニット40の後ろ側に配設されている。
調圧カム機構60は、推力ローラ34の前面と押圧板61との間に複数の鋼球62〜62を挟み込んだ構成を備えている。各鋼球62は、推力ローラ34の前面と押圧板61の後面にそれぞれ設けた周方向に深さが変化するカム溝内に嵌り込んだ状態で挟み込まれている。また、推力ローラ34と押圧板61との間には調圧ばね67が介装されている。この調圧ばね67によって押圧板61は、中間伝達軸31の段差部31cに圧接されて軸方向の移動が規制されている。さらに、押圧板61は、キー68を介して中間伝達軸31にキー結合されて回転について一体化されている。
このため、中間伝達軸31に回転負荷(加工抵抗)等が作用すると、これが推力ローラ34と押圧板61との間に相対回転を発生させて各鋼球62をカム溝内の浅い側へ変位させるための外力として作用し、従って推力ローラ34に各遊星ローラ33に対する圧接力を増大させる方向の力として作用する。この外力と調圧ばね67の付勢力により推力ローラ34が各遊星ローラ33の下面に押し付けられ、その結果各遊星ローラ33の首部に太陽ローラ32が圧接され、また各遊星ローラ33の円錐面33bに変速リング36がそれぞれ同じ圧接力で圧接される。
変速部3は、この無段変速機構30を変速するための変速制御部20を備えている。この変速制御部20は、変速リング36の外周であって変速部3の上側に設けられている。この変速制御部20は、図6に示すように、変速モータ21と、変速モータ21の出力軸に取り付けた駆動プーリ22と、変速モータ21の出力軸に平行に配置した作動軸23と、作動軸23に取り付けた従動プーリ24と、駆動プーリ22と従動プーリ24との間で掛け渡された駆動ベルト25(図5参照)と、を備えている。変速モータ21が起動すると、駆動プーリ22と従動プーリ24との間で掛け渡された駆動ベルト25が動いて、作動軸23をその軸回りに回転させる。作動軸23には、ねじ軸部23aが設けられている。作動軸23の周囲には作動スリーブ26が介装されている。この作動スリーブ26のねじ孔部26aが作動軸23のねじ軸部23aに噛み合わされている。ねじ孔部26aに対するねじ軸部23aの噛み合いを通じて作動軸23が軸回りに回転すると、作動スリーブ26が作動軸23の軸方向(図示前後方向)に移動する。作動スリーブ26には、二股形状の作動アーム27が軸方向について一体に設けられている。この作動アーム27の二股部には、変速リング36の外側部分が軸方向両側から挟まれるように係合されている。このため、作動軸23の回転により作動スリーブ26が図示前後方向に移動すると、これと一体で変速リング36は3つの遊星ローラ33〜33を内接させた状態で低速側または高速側に平行移動する。
このように変速制御部20は、変速モータ21が高速側に起動すると、作動軸23の回転により変速リング36を遊星ローラ33〜33の高速側(小径側)に移動させ、無段変速機構30の減速比を小さくする。また逆に変速モータ21が低速側に起動すると、作動軸23の回転により変速リング36を遊星ローラ33〜33の低速側(大径側)に移動させ、無段変速機構30の減速比を大きくする。なお、駆動モータ10および変速モータ21における起動および停止に関する各種の制御は、図示省略のモータ制御部により行われる。また、このモータ制御部の各種の制御のうち、無段変速機構30の減速比は、図1にて示すディスクグラインダ1の後ろ側に設けられた操作ダイヤル28から操作入力に依存するものとなっている。
中間伝達軸31は、上記したように無段変速機構30からの回転駆動を出力軸を構成するとともに、減速ユニット40に無段変速機構30からの回転駆動を入力する入力軸としても機能するように、無段変速機構30と減速ユニット40とに対して回転駆動の出入を兼ねる同一軸として機能している。この中間伝達軸31は、太陽ローラ32に取り付けられた軸受け31aと、変速ケース3aに取り付けられた軸受け31bとにより回転自在に支持されている。
ギヤヘッド部4は、上記した変速部3の前側に配設される。このギヤヘッド部4は、砥石Bが取り付けられる出力スピンドル51が下方へ突き出すことができるヘッドケース4aに対して、減速ユニット40が内装されるようにして構成されている。このヘッドケース4aは、内装される減速ユニット40に変速部3からの回転駆動力を入力することができるように、変速ケース3aと内部が連通する形状を有している。ここで、上記した無段変速機構30の出力軸となる中間伝達軸31は、このギヤヘッド部4に内装される減速ユニット40に対しての入力軸となっている。
減速ユニット40は、本発明に係る出力側歯車列であり、無段変速機構30の出力側に設けられ、無段変速機構30からの回転駆動を当該回転駆動とは相違する回転駆動に変換する。具体的には、図3に示すように、減速ユニット40は、この減速ユニット40の入力軸をなす中間伝達軸31の先端(図示前側)に嵌合固定される駆動側ギヤ41と、この減速ユニット40の出力軸をなす出力スピンドル51の基端(図示上側)に嵌合固定される従動側ギヤ45とにより構成される。なお、図示符号42は、中間伝達軸31の先端(図示前側)に嵌合固定される駆動側ギヤ41を留めておくための先端留め具である。ここで出力スピンドル51は、基端側(図示上側)と先端側(図示下側)とに配設された軸受け51a,51bにて回転自在に支持されている。なお、これらの軸受け51a,51bは、ヘッドケース4aに固定されている。
これら駆動側ギヤ41と従動側ギヤ45とは、互いにベベルギヤ(傘歯車)にて構成されている。つまり、駆動側ギヤ41と従動側ギヤ45とは、互いに円錐の形をした歯車にて交差する2軸間で回転運動を伝達するように互いの歯筋が噛み合う構造となっている。具体的には、駆動側ギヤ41と従動側ギヤ45とは、直交交差する2軸間で回転運動を伝達するスパイラルベベルギヤ(曲がり歯傘歯車)にて構成されている。このため、駆動側ギヤ41と従動側ギヤ45は、互いに歯筋が曲がり歯にて形成されており、回転駆動時における噛合いは静かなものとなっている。なお、従動側ギヤ45の歯数は、駆動側ギヤ41の歯数に比べて多い歯数となっているため、駆動側ギヤ41から従動側ギヤ45に回転運動を伝達するにあたっては、当該回転運動は減速されたものとなる。
このようにして、減速ユニット40は、中間伝達軸31の回転駆動方向を当該回転駆動方向と直交する回転駆動方向となるように中間伝達軸31からの回転駆動を変換するとともに、中間伝達軸31の回転駆動速度を当該回転駆動速度から減速された回転速度となるように中間伝達軸31からの回転駆動を変換する。また、減速ユニット40に入力される中間伝達軸31の回転軸線と、減速ユニット40から出力される出力スピンドル51の回転軸線とは、互いに直交する方向にて交差している。
上記した実施の形態のディスクグラインダ1によれば、次の作用効果を奏する。
すなわち上記した無段変速機構30では、上記した3点圧接状態で駆動モータ10の起動に伴う太陽ローラ32の回転により各遊星ローラ33がその軸回りに自転すると、当該各遊星ローラ33の変速リング36に対する圧接状態を介して当該遊星ローラ33〜33が中間伝達軸31回りに公転する。ホルダ37に支持された遊星ローラ33〜33が中間伝達軸31回りに公転することにより、推力ローラ34が一体で回転する。推力ローラ34が回転すると、調圧カム機構60を介して中間伝達軸31が一体で回転する。こうして、駆動モータ10が起動すると、その回転動力が3点圧接状態の無段変速機構30及びギヤヘッド部4の減速ユニット40を経て出力スピンドル51に伝達されて砥石41を回転させる。
図9は、送風ファン12により送られる風の風路を示すディスクグラインダ1の縦断面図である。図9に示す太線矢印は、送風ファン12により送られる風の風路である。この太線矢印にて示す風路は、上記した通風路75を含んで形成される導風構造70により導かれている。
上記したディスクグラインダ1によれば、駆動モータ10のモータスピンドル11を回転軸にして回転して駆動モータ10に風を送る送風ファン12を備えているので、駆動モータ10を冷却することができる。さらに、このディスクグラインダ1によれば、無段変速機構30も冷却するように送風ファン12により送られる風を導く導風構造70が設けられているので、この送風ファン12により駆動モータ10に送られた風を利用して無段変速機構30も冷却することができる。これによって、駆動モータ10とトラクションドライブ式の無段変速機構30とを具備する動力工具において、無段変速機構30を冷却することができる。また、上記したディスクグラインダ1によれば、無段変速機構30は無段変速機構30の機構本体300を収める機構本体収容ケース71を備え、導風構造70は送風ファン12により送られる風を機構本体収容ケース71の外側面72に接触させながら通気させる構造を有しているので、送風ファン12により送られた風を利用して無段変速機構30も冷却するにあたって機構本体収容ケース71を介して冷却することができる。これによって、無段変速機構30は、圧接された互いのローラ間の転がり接触を得るにあたって、圧接された互いのローラ間に介在されるトラクショングリス等の潤滑剤等を外部に飛ばすことなく、この無段変速機構30を冷却するための風を当てることができる。したがって、無段変速機構30の機能を損なうことなく、送風ファン12により送られた風を利用して無段変速機構30を冷却することができる。
また、上記したディスクグラインダ1によれば、機構本体収容ケース71は金属製で形成されているので、機構本体収容ケース71を介して無段変速機構30を冷却するにあたって機構本体収容ケース71の熱伝導性を向上させることができる。さらに、機構本体収容ケース71の外側面72には、導風構造70内に向けて張り出すフィン73が設けられているので、機構本体収容ケース71を介して無段変速機構30を冷却するにあたって送られてくる風との接触領域を拡げることができて、この機構本体収容ケース71の熱交換能力を向上させることができる。これによって、機構本体収容ケース71を介して無段変速機構30を冷却するにあたっての、無段変速機構30の冷却性能を向上させることができる。また、このフィン73は、ケース構造をなす変速ケース3aから機構本体収容ケース71を支持するためのリブとしての機能も有しているので、落下強度の向上等の内部構造の剛性を高めることができる。また、上記したディスクグラインダ1によれば、無段変速機構30の機構本体300を収める機構本体収容ケース71の外側には、機構本体収容ケース71を覆う樹脂製の変速ケース3aが設けられているので、この機構本体収容ケース71内部に収められる無段変速機構30の機構本体300が熱を帯びる場合であっても、この機構本体収容ケース71外部への熱伝導を抑えることができる。これによって、無段変速機構30の機構本体300が熱を帯びる場合であっても、この無段変速機構30の機構本体300の外部をユーザは触って把持することができることとなる。また、上記したディスクグラインダ1によれば、送風ファン12により送られる風を通気させる通風路75が、機構本体収容ケース71と外側ケースとの間に設けられているので、送風ファン12により送られる風は、機構本体収容ケース71と外側ケースとの間に生じる熱と熱交換できることとなる。これによって、無段変速機構30の機構本体300が熱を帯びる場合であっても、この無段変速機構30の機構本体300の外部への熱伝導を効率良く抑えることができる。また、上記したディスクグラインダ1によれば、導風構造70は、合わせて機構本体収容ケース71の外側周囲180度以上の範囲に亘るように設けられているので、機構本体収容ケース71の半分以上の範囲に亘って機構本体収容ケース71を介して無段変速機構30を冷却することができる。これによって、無段変速機構30を冷却するにあたっての冷却効率を、向上させることができる。
なお、本発明に係る動力工具にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、上記した実施の形態のディスクグラインダ1における送風ファン12は、遠心式のファンにて構成されるものであった。しかしながら、本発明に係る送風ファンとしては、これに限定されるものではなく、軸方向に風を流す軸流ファンにて構成されるものであってもよい。また、上記した実施の形態のディスクグラインダ1に設けられる排気口としては、上記した下側排気口47および上側排気口49の配設位置に限定されることなく、上記した上側排気口49のみに纏められるものであってもよい。この上側排気口49のように排気方向が上側に向いていると、排気による粉塵の舞上りを抑えることができて、ユーザの衛生上において有利である。
また、本発明に係る導風構造としては、通風路を含んで構成されるものであればよく、上記した実施の形態の通風路75の構成に対して他の構成が付加されるものであってもよい。また、上記した実施の形態では、本発明に係る動力工具としてディスクグラインダを例示した。しかしながら、本発明に係る動力工具としては、これに限定されることなく、適宜のねじ締め機や孔明け用の電気ドリル等、適宜の動力工具にて構成されるものであってもよい。さらに動力の駆動源となる駆動モータとしては、電動モータに限らず、エア工具に用いられるエアモータで代替されるものであってもよい。
1 ディスクグラインダ(動力工具)
2 工具本体部
2a 本体ケース
3 変速部
3a 変速ケース
4 ギヤヘッド部
4a ヘッドケース
10 駆動モータ
11 モータスピンドル(回転駆動軸)
11a,11b 軸受け
12 送風ファン
20 変速制御部
21 変速モータ
22 駆動プーリ
23 作動軸
23a 軸部
24 従動プーリ
25 駆動ベルト
26 作動スリーブ
26a 孔部
27 作動アーム
28 操作ダイヤル
29 吸気口
30 無段変速機構
300 無段変速機構の機構本体
31 中間伝達軸
31a,31b 軸受け
31c 段差部
32 太陽ローラ
32a 軸受け
33 遊星ローラ
33a 支軸部
33b 円錐面
34 推力ローラ
34a ボス部
36 変速リング
37 ホルダ
37e 支持孔
40 減速ユニット(出力側歯車列)
41 駆動側ギヤ
42 先端留め具
45 従動側ギヤ
47 下側排気口
49 上側排気口
51 出力スピンドル
51a,51b 軸受け
52 砥石カバー
53 サイドグリップ
60 調圧カム機構
61 押圧板
61c 嵌挿孔
61d カム溝
62 鋼球
65 鋼球保持部材
67 調圧ばね
68 キー
70 導風構造
71 機構本体収容ケース
72 機構本体収容ケースの外側面
73 フィン(リブ)
75 通風路
B 砥石

Claims (6)

  1. 駆動源としての駆動モータと、該駆動モータの動力を変速するトラクションドライブ式の無段変速機構とを具備する動力工具であって、
    前記駆動モータの回転駆動軸を回転軸にして回転して該駆動モータに風を送って該駆動モータを冷却する送風ファンと、
    前記無段変速機構も冷却するように前記送風ファンにより送られる風を導く導風構造と、を備えることを特徴とする動力工具。
  2. 請求項1に記載の動力工具において、
    前記無段変速機構は、該無段変速機構の機構本体を収める機構本体収容ケースを備え、
    前記導風構造は、前記送風ファンにより送られる風を前記機構本体収容ケースの外側面に接触させながら通気させる構造を有していることを特徴とする動力工具。
  3. 請求項2に記載の動力工具において、
    前記機構本体収容ケースは、金属製で形成されており、
    前記機構本体収容ケースの外側面には、前記外側に向けて張り出すフィンが設けられていることを特徴とする動力工具。
  4. 請求項2または請求項3に記載の動力工具において、
    前記無段変速機構の機構本体を収める前記機構本体収容ケースの外側には、前記機構本体収容ケースを覆う樹脂製の外側ケースが設けられていることを特徴とする動力工具。
  5. 請求項4に記載の動力工具において、
    前記導風構造は、前記送風ファンにより送られる風を通気させる通風路を備え、
    前記通風路は、少なくとも前記機構本体収容ケースと前記外側ケースとの間に設けられていることを特徴とする動力工具。
  6. 請求項2から請求項5のいずれかに記載の動力工具において、
    前記導風構造は、前記機構本体収容ケースの外側周囲360度の範囲のうち、合わせて該機構本体収容ケースの外側周囲180度以上の範囲に亘るように設けられていることを特徴とする動力工具。
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