JP2012209160A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルを提供すること。
【解決手段】それぞれの内表面に放電を発生させる電極24,32が形成された一対の基板21、31が空間を介して対向配置され、前記一対の基板21、31のうちの一方の基板21に形成された前記電極24を覆う誘電体層26と前記誘電体層26を覆う保護膜27とを備え、前記保護膜27は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、希土類酸化物のいずれか、またはこれらの混合物により形成され、前記保護膜27が5atm%以上30atm%以下のタングステンを含有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルに関し、特に、放電特性に優れたプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)として代表的な交流面放電型プラズマディスプレイパネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されているという基本構成を有する。
前面板は、ガラス製の前面基板とその内表面に形成された一対の走査電極と維持電極とからなる表示電極と、それらを覆う誘電体層および保護膜を有する。ここで保護膜は、電子放出を行って安定した放電を発生させるとともに、放電により発生したイオンが誘電体層をスパッタして静電容量が変動し、放電特性が変化してしまうことを防止する。
背面板は、ガラス製の背面基板とその内表面に形成されたデータ電極とそれを覆う誘電体層と隔壁と蛍光体層とを有する。そして、表示電極とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入される。表示電極とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成され、画像表示のための放電を発生させる。
プラズマディスプレイパネルでは、このように構成された各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線によって放電セル内に塗布された赤、緑、青各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
プラズマディスプレイパネルに用いられる保護膜としては、上記した、電子放出を行って安定した放電を発生させるとともに誘電体層を保護するというその配置目的から、電子放出特性やスパッタ耐性に優れた酸化マグネシウム(MgO)が主に使用されてきた。そして、近年のプラズマディスプレイパネルの省電力化に対する要求に応え、MgOを用いた保護膜でより低電力での安定した駆動を実現するために、例えば、MgOに所定濃度のセリウム(Ce)を添加することで、保護膜中の禁制帯にCeに起因するエネルギー準位を形成して2次電子放出特性と電荷保持特性の向上を図ることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−301841号公報
上記した従来のプラズマディスプレイパネルは、MgOを主成分とする保護膜において放電開始電圧を低減するという一定の効果があるものの、近年のエコロジーブームや液晶ディスプレイなどの他の平板型画像表示装置との比較から強まっている、プラズマディスプレイパネルへのさらなる省電力化の要請に十分に対応できているとは言えなかった。
本発明はこのような現状に鑑みてなされたもので、低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護膜とを備え、前記保護膜は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、希土類酸化物のいずれか、またはこれらの混合物により形成され、前記保護膜が5atm%以上30atm%以下のタングステンを含有していることを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、基板内表面に形成された電極を覆う誘電体層をさらに覆う、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、希土類酸化物のいずれか、またはこれらの混合物により形成された保護膜が、5atm%以上30atm%以下のタングステンを含有している。このため、二次電子放出特性の高い材料を保護膜材料として用いながら、大気中の水や二酸化炭素の吸着を抑えることができ、低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す要部分解斜視図である。 本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの、放電セルの構成を示す断面図である。 タングステンの含有率の違いによる保護膜からのH2Oのガス脱離量を示す図である。 タングステンの含有率の違いによる保護膜からのCO2のガス脱離量を示す図である。 本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルと、比較例のプラズマディスプレイパネルとの放電特性を示す図である。 本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの応用例における放電セルの構成を示す断面図である。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護膜とを備え、前記保護膜は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、希土類酸化物のいずれか、またはこれらの混合物により形成され、前記保護膜が5atm%以上30atm%以下のタングステンを含有している。
上記本発明のプラズマディスプレイパネルは、基板内表面の誘電体層を覆う保護膜が5atm%以上30atm%以下のタングステンを含有している。このため、大気中の水や二酸化炭素と反応しやすい、高い二次電子放出特性を有する酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、希土類酸化物のいずれか、またはこれらの混合物を保護膜材料として用いた場合でも、保護膜に水や二酸化炭素が吸着することを効果的に抑制することができ、低電圧で動作可能なプラズマディスプレイパネルを提供することが可能となる。
上記本発明のプラズマディスプレイパネルにおいて、放電空間内に、ゲッター材が配置されていることがより好ましい。このようにすることで、保護膜がタングステンを含んでいるために低下する、パネル内の不要なガス成分を吸着する作用を補うことができる。
以下、本発明のプラズマディスプレイパネルについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す要部分解斜視図である。
本実施形態のプラズマディスプレイパネル10は、前面板20と背面板30とを空間を介して対向配置し、周辺部を図示しない封着材を用いて封着することにより構成されており、前面板20と背面板30との間に多数の放電セルが形成されている。
前面板20は、一方の基板であるガラス製の前面基板21と、前面基板21の内表面に形成された走査電極22と維持電極23とからなる表示電極24と、表示電極24を覆う誘電体層26と、誘電体層を覆う保護膜27とを有している。
表示電極24は、前面基板21の内表面上に形成された一対の走査電極22と維持電極23とからなっていて、前面基板21上に互いに平行に複数本が形成されている。なお、図1では、表示電極24が、走査電極22、維持電極23、走査電極22、維持電極23という順番に繰り返して形成されている例を示したが、表示電極24は、走査電極22、維持電極23、維持電極23、走査電極22というように、走査電極22と維持電極23との順序が交互に異なるように形成されていてもよい。
また、図1では、走査電極22および維持電極23が、それぞれ所定の幅を持った電極パターンで構成されているように示しているが、走査電極22と維持電極23によって放電セルからの発光を遮ることを避けるために、走査電極22と維持電極23とを、それぞれ透明導電膜を用いた透明電極と金属材料のバス電極の組み合わせとして構成することができる。また、走査電極22と維持電極23それぞれを、幅の狭い電極の対としてそれぞれ2本ずつ形成することもできる。
表示電極24上と電極が形成されていない前面基板21の内表面上を覆うように、誘電体層26が形成され、誘電体層26上には誘電体層26を覆うように保護膜27が形成されている。
背面板30は、他方の基板であるガラス製の背面基板31と、背面基板31の内表面上に形成されたデータ電極32と、データ電極32を覆うように形成された誘電体層33と、誘電体層33上に形成された隔壁34と、隔壁の表面に形成された蛍光体層35とを有している。
背面基板31上のデータ電極32は、複数本が互いに平行に形成されている。そしてデータ電極32を覆う誘電体層33上に、縦隔壁34aと横隔壁34bとを有する井桁状の隔壁34が形成されている。さらに誘電体層33の表面と隔壁34の側面とに赤(R)、緑(G)、青(B)各色の蛍光体層35が形成されている。なお、隔壁34を縦隔壁34a横隔壁34bとで格子状に構成すること、また、蛍光体としてRGBの三色を用いることは、いずれも本実施形態のプラズマディスプレイパネル10において必須の要件ではなく、縦もしくは横方向のみの隔壁を用いることや、RGB三色以外の色の蛍光体を用いることもできる。
前面板20と背面板30とは、それぞれの内表面に形成された表示電極24とデータ電極32とが略直交に立体交差するように対向配置され、表示電極24とデータ電極32とが対向して交差する部分に放電セルが形成される。前面基板21および背面基板31において、放電セルが形成された部分が画像を表示する画像表示領域となり、図1では図示しない、画像表示領域を外側から囲む前面基板21および背面基板31の周縁部分が、低融点ガラスの封着材により封着されている。前面板20と背面板30との間に形成された放電空間には、放電ガスが封入されている。
本実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネル10においては、保護膜27として酸化カルシウム(CaO)を主成分とする蒸着膜が用いられ、放電ガスとしてキセノン(Xe)が20%のNe−Xe混合ガスが用いられている。また、一画素に相当する放電セル一つの大きさは、縦576μm、横160μmとしている。なお、その他の表示電極24、誘電体層26、蛍光体層35等の仕様は、一般的なプラズマディスプレイパネルのものと同様であるため詳細な説明は省略する。
本実施形態にかかるプラズマディスプレイパネル10では、保護膜27として、酸化カルシウム(CaO)を用いている。CaOは、従来代表的な保護膜材料として用いられているMgOと比較して、部材自体の二次電子放出特性に優れているため、プラズマディスプレイパネルの放電開始電圧を下げることができ、より低い消費電力での画像表示が可能となることが期待されている。
一方で、CaOはMgOと比較して活性に富むため、水(H2O)や大気中に存在する二酸化炭素(CO2)と反応しやすい。例えば、保護膜27を前面基板21の誘電体層上に蒸着形成した後に、前面板20と背面板30とを封着する封着工程などにおいて、保護膜27のCaOは、H2Oと反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)になり、CO2と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)に変化する。このように、CaOがCa(OH)2やCaCO3に変化した場合には、保護膜27のCaOが本来有する二次電子放出特性が著しく低下してしまい、γ特性の高いCaOを保護膜材料として用いてもプラズマディスプレイパネルの放電電圧が却って上昇してしまう。
そこで、本実施形態のプラズマディスプレイパネル10では、CaO保護膜27に5atm%のタングステン(W)を含んでいる。保護膜27として、Wを所定濃度含むことで、保護膜27材料であるCaOがH2OやCO2と反応してその二次電子放出特性が低下することを効果的に防ぐことができる。
図2は、本実施形態にかかるプラズマディスプレイパネル10の放電セルの状態を示す要部拡大断面図である。
図2に示すように、前面基板21の内表面に、表示電極24、誘電体層26、保護膜27が順次形成された前面板20と、背面基板31の内表面に、データ電極32、誘電体層33、縦隔壁34aが形成され、誘電体層33と縦隔壁34aが蛍光体層35で覆われている背面板30との対向部分が放電セルを形成している。なお、図2は、背面板30をデータ電極32の配設方向から見た断面図であるため、図1に示した隔壁34の内、縦隔壁34aのみが示されている。
図2に示すように、前面板20と背面板30とは所定の間隔を隔てて対向していて、この間隙部分である放電空間に、前面板20の保護膜27が面している。そして、本実施形態のプラズマディスプレイパネル10では、保護膜27中に5atm%のWが包含されている。
ここで、CaOの保護膜にWが含有されていることの効果について説明する。
図3は、本実施形態のプラズマディスプレイパネル10の保護膜27と同じ、CaO膜に所定量のWを含有させた場合の、H2Oの吸着量の変化を示す図である。また、図4は、CaO膜に所定量のWを含有させた場合の、CO2の吸着量の変化を示す図である。
図3および図4において、CaO膜におけるH2OおよびCO2の吸着量は、CaO膜をプラズマディスプレイパネルの製造工程における封着工程のパネル温度である約450度で大気に曝した後、試料に含まれるH2O、CO2を昇温脱離ガス分析(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)法を用いて、0度から500度までの温度で試料片の保護膜から脱離したCO2の総量を測定することで求めた。
昇温脱離ガス分析において検出される脱離ガスのイオン強度は、吸着物の脱離速度、および脱離量に対応している。このため、検出したイオン強度を時間積分することで脱離総量として吸着されているH2O、および、CO2の総量を求めることができる。すなわち、図3および図4において、検出されたイオン強度が描くグラフの面積が大きいほど、多くのガスが吸着されていたことを示す。
なお、測定は、昇温脱離ガス分析装置として、電子科学株式会社製の型式TDS1200を用い、昇温速度を10度/分に設定した。また、排気速度を400(L/s)とし、測定間隔時間を12(s)として測定データを得た。
図3において、実線41がWを含まないCaO膜からのH2Oの脱離量を示し、点線42がWを3atm%含んだCaO膜からのH2Oの脱離量、一点鎖線43がWを5atm%含んだCaO膜からのH2Oの脱離量を、それぞれ示している。図3から明らかなように、Wを3atm%含むCaO膜では、H2Oの脱離量がWを含まないCaO膜からの脱離量よりもむしろ多くなっているが、Wを5atm%含んだCaO膜からのH2Oの脱離量は、Wを含まないCaO膜からの脱離量と比較して大幅に少なくなっており、同じ温度と環境条件に置かれていたCaO膜が吸着するH2Oの吸着量が制限されたことが理解できる。
また、図4においては、実線51がWを含まないCaO膜からのCO2の脱離量を示し、点線52がWを3atm%含んだCaO膜からのCO2の脱離量、一点鎖線53がWを5atm%含んだCaO膜からのCO2の脱離量をそれぞれ示している。図4から明らかなように、Wを3atm%含むCaO膜は、CO2の脱離量がWを含まないCaO膜からの脱離量と大きな変化はないが、Wを5atm%含んだCaO膜からのCO2の脱離量は、Wを含まないCaO膜からの脱離量と比較して大幅に少なくなっている。したがって、CO2に対しても、Wを5atm%含むことで、効果的にCO2の吸着量を制限できることがわかる。
次に、図5は、本実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルと、比較例として作成したプラズマディスプレイパネルにおける、静特性における放電電圧を測定したデータを示している。
図5において、実施例と記載したものが、本実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネル10であり、CaOを材料とした保護膜27に5atm%のWを包含したものである。
実施例のパネルは、以下の手順で作成した。
なお、以下の製造方法の説明において、パネルの構成は図1もしくは図2を参照するものとし、図1および図2に示した各部材に同じ符号を付して説明する。
まず、前面板20の製造工程において、ガラス製の前面基板21上に走査電極22と維持電極23とからなる表示電極24を金属薄膜または透明導電膜の蒸着等により形成し、その上に誘電体層26を蒸着等して形成した後、誘電体層26上にCaOとWとを共蒸着することによって、5atm%のWを含有する保護膜27を形成した。
このように形成した前面板20と、ガラス製の背面基板31上にデータ電極32、誘電体層33、隔壁34、蛍光体層35を形成した背面板30とを、前面板20の表示電極と背面板30のデータ電極32とが隔壁34で区切られた画素部分で交差するように、かつ、それぞれの基板同士の間に所定の間隔を隔てて対向するように重ね合わせて保持し、背面板の周囲に形成されたフリットなどの低融点ガラスで封着した。本実施形態のプラズマディスプレイパネルは、450度程度の温度条件でフリットを溶融後再凝固させる封着工程を大気中で行った。
その後、パネル内の排気を行い、Xe−Neガスなどの放電ガスを所定ガス圧になるように導入、排気管をチップオフし、エージングなどの仕上げ工程を経て実施例のプラズマディスプレイパネル10を完成させた。
一方、保護膜27として、Wを含まずにCaOを蒸着等することにより形成し、他の条件は上記実施例の製造条件と同じとした比較例のプラズマディスプレイパネルを作成した。この比較例のプラズマディスプレイパネルの放電特性の測定データを、図5に比較例として示した。
図5中の放電特性欄において、Vsmnは、パネル全面の放電セルが点灯している状態から印加電圧を下げていっていずれかの放電セルが非点灯になったときの印加電圧であり、実動作時にパネルを点灯する場合に必要な電圧値を示している。また、Vsm1は、パネル全面の放電セルが点灯している状態から印加電圧を下げていって点灯状態の最後の1つの放電セルが非点灯となった状態、言い換えると、パネルの全ての放電セルが非点灯となったときの印加電圧値を示している。
図5から明らかなように、実施例のパネルでは、いわゆる放電維持電圧として把握できるVsmnの値が167Vで、比較例の値203Vよりも大幅に低く、低電圧での動作が可能であることがわかる。また、パネル内の各放電セルの放電特性のばらつきを示す「Vsmn−Vsm1」の値が7Vと、比較例の37Vに比べて低く、パネル内の各放電セルが、より均一な放電特性となっていることがわかる。
図3および図4の検討結果を踏まえて、図5に示した放電特性の結果から、本実施形態のプラズマディスプレイパネルでは、CaOの保護膜に5atm%のWを含有することで、活性が高くH2OやCO2と反応しやすいCaO保護膜を大気中で高温に曝す封着工程を行ったにもかかわらず、WによるCaOがCa(OH)2やCaCO3への変化を抑制効果が十分に発揮され、CaOの高い二次電子放出特性を活かした低電圧駆動が可能なプラズマディスプレイパネルが得られたことが確認できた。
なお、本実施形態では、5atm%のWを含有する保護膜27について例示して説明したが、保護膜27におけるWの含有量は5atm%に限られるものではない。ただし、図3に示したように、W含有量が3atm%の場合には、WのH2OやCO2との反応を抑制する効果が十分に得られたとは言えないため、Wの含有量としては、5atm%以上あることが好ましい。一方で、保護膜27中のWの含有量が増えることにより、WのH2OやCO2との反応を抑制する効果がより強く発揮されると考えられるが、Wの含有量が30atm%を越えると保護膜27の透過率が下がりプラズマディスプレイパネルの画像表示輝度が低下する場合がある。このため、Wの含有量としては、5atm%以上、30atm%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態のプラズマディスプレイでは、保護膜中にWを含有することによりH2OやCO2との反応を抑制するものであるが、このWの作用によってもともと保護膜が有していたプラズマディスプレイパネルのパネル内のガス不純物を吸着する効果も同時に抑制されることとなる。すなわち、プラズマディスプレイパネルでは、所定温度下でパネル内部を排気するものの、パネル内部の各種部材に含有している水分や酸素や二酸化炭素などの気体成分を完全に排出することができず、パネル内に残ったこれらのガス不純物がパネルの完成後に徐々に放電空間に放出されてくることを完全に避けることはできない。通常は、保護膜もこれらの不純物ガスを吸着する機能を果たしているが、本実施形態のプラズマディスプレイパネルでは、Wを含有しているため保護膜によるこの不純物ガスの吸着作用が弱い。
図6に、本実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの応用例の放電空間の構成を示す。なお、図6は、放電空間を表示電極の配設方向側から見た要部拡大断面図であり、本実施形態のプラズマディスプレイパネル10の断面構成を示した図2とは90度異なる方向からパネルを見ていることになる。
上記理由から、本実施形態の応用例のプラズマディスプレイパネル10’では、放電空間内に不純物ガスを吸着するゲッター36が配置されている。
図6に示すように、本実施形態の応用例のプラズマディスプレイパネル10’は、放電空間内で放電の妨げとならないように、表示電極24上、また、表示電極24とデータ電極32間の放電ギャップに重ならない位置である、表示電極24と横隔壁34bとの間隙部分に配置することが好ましい。
本実施形態の応用例のプラズマディスプレイパネル10’に用いられるゲッター36としては、ゼオライトや、ジルコニウム(Zr)バナジウム(V)鉄(Fe)などの遷移金属またはその合金など、所定のガス吸着性を有するプラズマディスプレイパネルのゲッター材として通常用いられているものをそのまま利用でき、その形状にも制限はない。
このように、パネル内部にゲッター36を配置することで、より安定して低電力駆動が可能となるプラズマディスプレイパネルを実現することができる。
以上、本実施形態のプラズマディスプレイパネルについて、保護膜材料として電子放出特性の高いCaOを用いたものを例示して説明してきた。しかし、本発明にかかるプラズマディスプレイパネルに用いることができる保護膜材料は、CaOに限られるものではない。
CaOと同様に、従来用いられてきたMgOと比較して二次電子放出特性が高くいわゆる高γ特性の保護膜部材として、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)を用いることができる。また、ランタン(La)、セシウム(Ce)、ネオジム(Nd)などの希土類の酸化物である、La23、CeO2、Nd23などの二次電子放出特性の高い材料を保護膜材料として用いることができる。さらに、上記したCaO、SrO、BaO、La23、CeO2、Nd23の2以上の物質を含む混合物を用いることができる。
そして、いずれの材料を用いた保護膜においても、保護膜中にWを5atm%以上30atm%以下含有させることで、大気中で封着工程を行っても低電圧での画像表示化が可能なプラズマディスプレイパネルを得ることができる。特に、活性の高い二次電子放出特性に優れた保護膜を用いているにもかかわらず、保護膜形成後の工程を大気中で行うことができるので、消費電力の少ない低電圧動作が可能なプラズマディスプレイパネルを、低コストで得ることができる。
なお、保護膜中のWは、保護膜材料がH2OやCO2と反応することを抑制するものであるから、保護膜材料中になるべく均一に分散して存在していることが好ましい。このため、保護膜形成工程において、Wのターゲットを複数個分散配置した状態で蒸着するなど、Wが均一に分散された保護膜が形成できるように、保護膜形成工程の条件を設定することが好ましい。
以上説明したように、本発明のプラズマディスプレイパネルは、消費電力を抑制した低電圧で駆動するプラズマディスプレイ装置を提供する上で有用である。
10 プラズマディスプレイパネル
20 前面板
21 前面基板(一方の基板)
24 表示電極(電極)
26 誘電体層
27 保護膜
30 背面板
31 背面基板
32 データ電極(電極)
36 ゲッター

Claims (2)

  1. それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、
    前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護膜とを備え、
    前記保護膜は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、希土類酸化物のいずれか、またはこれらの混合物により形成され、
    前記保護膜が5atm%以上30atm%以下のタングステンを含有していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 放電空間内に、ゲッター材が配置されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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