JP2009259462A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

プラズマディスプレイパネル Download PDF

Info

Publication number
JP2009259462A
JP2009259462A JP2008104432A JP2008104432A JP2009259462A JP 2009259462 A JP2009259462 A JP 2009259462A JP 2008104432 A JP2008104432 A JP 2008104432A JP 2008104432 A JP2008104432 A JP 2008104432A JP 2009259462 A JP2009259462 A JP 2009259462A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
layer
phosphor layer
discharge
pdp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008104432A
Other languages
English (en)
Inventor
Takehito Zukawa
武央 頭川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2008104432A priority Critical patent/JP2009259462A/ja
Publication of JP2009259462A publication Critical patent/JP2009259462A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

【課題】Xe圧力が高いPDPでも、緑色蛍光体の輝度飽和がなく、高輝度で、しかも画面のちらつきがない高画質なPDPを実現する。
【解決手段】前面基板上に形成した表示電極対24と誘電体層25と保護層26とを有する前面板21と、背面基板上に形成したデータ電極32と下地誘電体層33と隔壁34と赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、および青色蛍光体層35Bを有する背面板31とを、放電空間36を形成するように対向配置したPDPであって、赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、青色蛍光体層35Bの膜厚を1μm〜10μmとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、65インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPが要求されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、そのガラス基板の一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(以下、MgOと表現する)からなる保護層とで構成されている。
一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のデータ電極と、データ電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
蛍光体材料としてはZnSiO:Mnあるいは、(Y,Gd)BO:Tbからなる緑色蛍光体材料、(Y,Gd)BO:Eu、Y:Euからなる赤色蛍光体材料、BaMgAl1017:Euからなる青色蛍光体材料からなる各色蛍光体層が形成されている。
これらの蛍光体層はそれぞれ膜厚が10μmを超え20μm以下となる厚みを有して形成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にキセノン(Xe)を5%〜20%含むネオン(Ne)−キセノン(Xe)の混合ガス、あるいはネオン(Ne)−キセノン(Xe)−ヘリウム(He)の混合ガスなどが5×10Pa〜7×10Paの圧力で充填されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
近年期待されているフルスペックの42インチクラスのハイビジョンテレビでは、画素数が1920×1080で、セルピッチは0.15mm×0.48mmと小さくなっている。このような高精細で、セルピッチが0.25mm以下のPDPにおいては、輝度と効率の低下が特に顕在化するという課題が発生するため、Ne−Xe放電ガス系において、Xe分圧を20%以上に高める例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
Xe分圧を高めると、放電電圧が高くなるとともにアドレス放電ミスが多く発生し、画像にちらつきが発生すると言う課題がある。また、Xe分圧を高めると放電によって発生する紫外線の波長が従来の共鳴線(波長147nm)から分子線(173nm)に変化することが知られており、分子線での(173nm)の発光効率の高い蛍光体が求められている。
放電電圧を低減させるために、保護層としてSrO、CaO、BaOとMgOとの複合酸化膜を用いる例が開示され、さらに、保護層がH2Oを吸着するのを抑制するために、保護層形成工程から封着工程までを、真空雰囲気中や乾燥雰囲気中で行う例が開示されている(例えば、特許文献2、3、4参照)。
特開2007−323922号公報 特開平05−211031号公報 特開2007−317484号公報 特開2007−32392号公報
しかしながら、高輝度化のために放電ガス中のXe分圧を高めると、放電電圧が上昇し結果として効率が低下するという課題や、XeイオンやXeの励起原子の量も増大してこれらの励起粒子による保護層や蛍光体への衝撃によって、水分吸着量の多い蛍光体から大量の水が放出されるといった課題が発生する。
一方、放電電圧の上昇を抑制するためのSrO、CaO、BaOとMgOとの複合酸化膜を用いる例では、保護膜形成工程から封着工程までを真空雰囲気中や乾燥雰囲気中で行っても、十分に水分が除去できず放電中に水分が放出されて、駆動電圧を上昇させ、アドレス放電がより不安定になり、高品質の画像が得られないという新たな課題が発生する。
さらに、これらの保護層が蛍光体から放出される水分を吸湿し、2次電子やエキソ電子の放出を妨げてしまうといった課題が発生する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、Xe圧力が高いPDPでも、放電電圧が低く、放電特性が安定した高輝度のPDPを提供することを目的としたものである。
上記の目的を達成するために、本発明のPDPは、前面基板上に形成した表示電極と表示電極を覆う誘電体層と誘電体層を覆う保護層とを有する前面板と、背面基板上に形成したデータ電極とデータ電極を覆って設けた下地誘電体層と下地誘電体層に設けた隔壁と隔壁の側面と下地誘電体層に形成した赤色蛍光体層、緑色蛍光体層および青色蛍光体層を有する背面板とを、放電空間を形成するように対向配置したPDPであって、保護層をCa元素を含むMgO材料で構成し、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層、青色蛍光体層の膜厚を1μm〜10μmとしている。
このような構成とすることにより、Xe分圧を高めたPDPにおいても、蛍光体層の膜厚を薄くして蛍光体層からの水分放出を抑制するとともに、Ca元素を含むMgO材料による放電電圧低減効果を維持し、高輝度と放電特性の優れたPDPを実現することができる。
さらに、Ca元素を含むMgO材料がCaOを1%〜32%含有させたMgO材料であることが望ましい。このような構成によれば、放電電圧をさらに低減することが可能となる。
さらに、放電空間にXeガスを封入圧力12kPa以上で封入することが望ましい。このような構成によれば、Xe分圧を高めて放電遅れが大きくなっても、蛍光体層の膜厚を薄くしているために放電遅れの増加を抑制することができる。
本発明は、Xe分圧を高めたPDPでも、放電電圧の上昇を抑制し、高輝度で画面のちらつきがない高画質なPDPを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるPDP10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、PDPの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料から形成されている。
なお、保護層26は、Ca元素を含むCaOを含むMgO材料から構成されている。この保護層26は、CaO材料とMgO材料とを混合し焼成したペレットをターゲットとして用い、電子ビーム蒸着方法により約0.6μmの厚みで誘電体層25上に形成している。このとき、MgOに対するCaOの添加量は、0.1%〜2%以下では水分の吸着量は、MgO単体の場合と変わらないが、2%を超えると水分の吸着量が増大し32%以上になるとさらに増大する。一方、放電電圧低下は1%以上のCaOの添加があればMgO単体よりも放電電圧が低下する。また、添加量が32%を超えると、パネルエージングの後に保護層26から水分が放出されて放電電圧が増大するため好ましくない。
背面板31上にはデータ電極32が複数形成されて、データ電極32を覆うように下地誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および下地誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、青色蛍光体層35Bが設けられている。
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間36を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして、内部の放電空間36には、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン(Xe)分圧を約10kPa以上とした放電ガスを用いている。放電空間36は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、PDP10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの種類も上述した種類に限られるわけではなく、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)にさらにヘリウム(He)を混合した放電ガスであってもよい。
放電空間36内における放電ガスのキセノン(Xe)分圧を10kPaから20kPaとなるようにキセノン(Xe)の占める割合を調整している。
図2は、本発明の実施の形態におけるPDP10の電極の配列を示す図である。PDP10には、行方向に延長されたn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に延長されたm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がPDP10の表示領域となる。
図3は、本発明の実施の形態におけるPDPを用いたプラズマディスプレイ装置1の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、PDP10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路41は、PDP10の画素数に応じて、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路42は、サブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換し、タイミング信号にもとづいて各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
タイミング発生回路45は、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vからの出力にもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロック(画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44)へ供給する。
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形を発生するための初期化波形発生回路、複数の走査ICを備え書込み期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生するための走査パルス発生回路、維持期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路(図示せず)を有する。そして、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜走査電極SCnをそれぞれ駆動する。
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路(図示せず)を備え、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
PDP10はこれらの駆動回路によって、書込みがなされた放電セルにおいて表示電極対24間に交流電圧を印加して放電を発生させる。このような維持放電の発生により、表示発光は、放電空間36の励起Xe原子からは147nmの共鳴線が、励起Xe分子からは173nm主体の分子線が放射され、これらの真空紫外線を赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、青色蛍光体層35Bで可視光に変換して画像表示をしている。
次に蛍光体層35R、35G、35Bの詳細について説明する。
蛍光体層35R、35G、35Bの各々は、それぞれの蛍光体層を形成する蛍光体材料の粒子径を平均粒径が0.1μm〜3.2μmとし、各蛍光体層の膜厚は1μm〜10μmとしている。
各色の蛍光体材料としては、赤色蛍光体としては、(Y、Gd)BO3:EuやY(V、P)O4:Euやその混合体を用い、緑色蛍光体としては、BaAl1219:Mn、BaMgAl1017:Mn、BaMgAl1017:Eu,MnなどのBAM−Mn系やZnSiO:Mnやその混合体を用いている。青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Euを用いている。
次に、これらの蛍光体材料の製造方法について説明する。
まず、赤色蛍光体層35Rを形成する赤色蛍光体の製造方法について述べる。赤色蛍光体のY(V、P)O:Euは、蛍光体の原料である、酸化イットリウム(Y)、酸化バナジウム(V)、5酸化燐(P)と、発光中心の原料である酸化ユーロピウム(Eu2O3)とを蛍光体組成に合うように混合し、空気中600℃〜800℃で焼成した後に、酸素(O)、窒素(N)雰囲気中で1100℃〜1300℃で焼成して赤色蛍光体Y(V、P)O:Euを作成する。
また、(Y、Gd)BO:Eu赤色蛍光体の製造方法は、(Y、Gd)BO:Eu蛍光体の原料である、酸化イットリウム(Y)と、酸化ガドリニウム(Gd)と、酸化ホウ素(B)と、酸化ユーロピウム(Eu2O3)とを蛍光体組成に合うように混合後、空気中800℃〜1100℃で焼成し、その後、酸素―窒素雰囲気中1100℃〜1300℃で焼成して赤色蛍光体(Y、Gd)BO:Euを作成する。
各種の赤色蛍光体材料のうち、Y(V、P)O:Eu蛍光体は、蛍光体組成中のP、Vが焼成の際に一部フラックス(融剤)となり、格子欠陥のない蛍光体結晶を実現することができる。そのため、水分の吸着量を少なくすることができ、赤色蛍光体材料としてより好ましい。
次に、緑色蛍光体層35Gを形成する緑色蛍光体の製造方法について述べる。BAM−Mn系蛍光体の原料となる、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(Al23)と、発光中心の原料である酸化マンガン(Mn23)、酸化ユーロピウム(Eu23)などを蛍光体組成のモル比で秤量し、秤量された原料に結晶成長促進剤としてフッ化アルミニウムを添加し混合する。その後、大気雰囲気で1000℃〜1400℃で焼成し、その後、焼成された混合粉末を、窒素(N)、水素(H)雰囲気(弱還元雰囲気)中で1100℃〜1400℃で焼成を行い、Mn元素やEu元素の価数を2価にした緑色蛍光体を作成する。
さらに、この緑色蛍光体を酸化雰囲気中で600℃〜900℃で焼成してMnあるいはEuの2価の一部を3価にすると、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減することができ、水分の吸着量を低減することができる。また、Mnの2価あるいはEuの2価の一部を3価にする量は多い方が水分の吸着量が少なくなるが、蛍光体の輝度が低下するため、それぞれ、2価のうちの1%〜20%程度が好ましい。
また、発光中心であるMnの2価を、Mgの2価あるいはBaの2価と置換し、その置換量を2モル%〜20モル%とするのが好ましい。またEuの2価をBaの2価と置換し、その置換量を0.0005モル%〜5モル%とするのが好ましい。
また、ZnSiO:Mnの緑色蛍光体は、ZnSiO:Mn蛍光体の原料となる
酸化亜鉛(ZnO)と、酸化珪素(SiO)と、酸化マンガン(MnO)とを蛍光体組成に合うように混合後、空気中800℃〜1100℃で焼成し、その後、窒素中雰囲気中1100℃〜1300℃で焼成して緑色蛍光体ZnSiO:Mnを作成する。
次に、青色蛍光体層35Bを形成する青色蛍光体の製造方法について述べる。BaMgAl1017:Eu蛍光体の原料となる、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(Al23)、および発光中心の原料である酸化ユーロピウム(Eu23)を蛍光体組成のモル比で秤量し、結晶成長促進剤としてフッ化アルミニウムを添加して混合する。その後、大気雰囲気中で1100℃〜1300℃で焼成し、その後、焼成された混合粉末を、還元雰囲気中で1100℃〜1400℃で焼成を行いEu元素の価数を2価にした青色蛍光体を作成する。さらにその後、この青色蛍光体を酸化雰囲気中600℃〜900℃で焼成してEuの2価の一部を3価にすると、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減して水分の吸着量を低減することができる。
なお、Euの2価の一部を3価にする量は多い方が水分の吸着量が少なくなるが、蛍光体の輝度が低下するため10%〜40%程度が好ましい。また、発光中心であるEuの2価をBaの2価と置換し、その置換量を0.5モル%〜20モル%とするのが好ましい。
このように、緑色蛍光体や青色蛍光体の製造方法のように、還元雰囲気中の焼成でEuを2価にした蛍光体を、600℃〜900℃の酸化雰囲気で焼成することによって表面近傍のEu2価の一部を3価にすると、蛍光体の酸素欠陥が大幅に低減することができ、水分の吸着量を大幅に低減することができる。
なお、緑色蛍光体として従来の緑色蛍光体である(Y、Gd)BO:Tbとの混合蛍光体を用いてもよい。
なお、本願発明は、蛍光体層中の水分量を低減することによって放電電圧を低下させるようにし、蛍光体層の材料が同じであれば蛍光体層を薄くすることによっても、放電電圧を低下させることができることを確認している。そのため、蛍光体層の膜厚を薄くするために蛍光体材料の粒径はできるだけ小さいことが望ましく、本発明の実施の形態では各色の蛍光体粒子を平均粒径で0.2μmから3.2μmとしている。また、本発明の実施の形態では、蛍光体層の厚みを1μm〜10μmとしている。厚みが1μm以下になると輝度が低下し、厚みが10μm以上になると水分の放出が多くなりエージングの後に放電電圧が上昇する。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPでは、PDP10の放電空間36内に充填されている放電ガスとしてキセノン(Xe)、ネオン(Ne)ガスを用い、キセノン(Xe)ガスの圧力を10kPa以上と高く設定している。さらに、赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、青色蛍光体層35Bの蛍光体層の厚みを1μm〜10μmとし、なおかつ、保護層としては駆動電圧の低減が可能なCa元素を含むMgOを用いている。そのため、Xe圧力を10kPa以上に高く設定しても、XeイオンやXeの励起原子による衝撃によって蛍光体層から発生する水分の放出を抑制し、2次電子やエキソ電子の放出を容易として放電電圧を低くすることができる。これらの結果、高輝度、高効率で放電が安定した高品質の画像表示を実現することができる。
次に、上記の実施の形態で述べた検討実験の詳細を実施例として説明する。
(実施例)
本実施例では、各色の蛍光体の材料組成と、保護層26の材料組成を変えた42インチのフルハイビジョンテレビ用のPDP装置を作製し、放電ガスとしてのキセノン(Xe)の圧力を変化させ、以下の実験とともに、画像表示の輝度、放電電圧、放電の安定性について検討した。その結果を表1に示す。表1では、蛍光体材料の組成、蛍光体粉末への水分吸着量、キセノン(Xe)圧力、保護層26の材料組成をパラメータとして、PDPの輝度、放電の安定性、放電電圧を検討した。
Figure 2009259462
なお、表1において、各色の蛍光体の組成は、Y(V、P)O:EuはY(PV)O、(Y、Gd)BO:EuをYBG、BAM−Mn系をBAM:Mn、BAM−Eu系をBAM:Eu、ZnSiO:MnをZSMと略記している。
表1には、蛍光体粉体に吸着された水分量を示している。蛍光体粉体へのガスの吸着量は市販のTDS装置で測定した。蛍光体粉体をTDS装置の試料室に設置して高真空中で加熱昇温させ、昇温中に脱離してくるガスを四重極質量分析して脱離した水分(HO)量を測定した。
また、表1には、PDPの輝度を、表示電極対を構成する走査電極22と維持電極23との間に、通常180V、200kHzの交流電圧を印加し輝度計によって測定した結果を示す。
また、走査電極22と維持電極23との間に、交流電圧を印加して安定に放電が維持できる放電維持電圧を測定するとともに、走査電極22とデータ電極32との間に、交流電圧を印加し、安定に放電が維持できる電圧(Vdata)も測定した。
また、保護層26の材料組成として、MgOに対するCaOの添加量を変えている。添加量は、電子ビーム蒸着をする際のターゲットの組成割合を変えて保護層26の材料組成を変えている。
さらに、PDP装置を10分間点灯させ、画面にちらつき(アドレスミス)が発生するかどうかを目視によって行った結果も示す。
本発明の実施の形態における結果は表1の試料No1〜9であり、試料No10〜13はその比較例である。
また、表1の試料No1〜9に示すように、それぞれの蛍光体層の膜厚を1μm〜10μmと薄くして、保護層としてCaOを1%〜30%添加したMgOを用いたPDPでは、キセノン(Xe)ガスの圧力が10kPa以上になっても、放電維持電圧、Vdataが低く、さらに高輝度で放電ミスのない安定した画像表示を実現できることがわかった。
また、このとき、各色蛍光体層は、蛍光体層の膜厚が薄いために、それぞれの水分吸着量が、0.185cc/g以下であり、比較例としての従来例である試料No13よりも大幅に低減している。したがって、各色蛍光体層からの水分放出が抑制され、CaOとMgOとの複合酸化膜を用いる場合の水分による放電電圧上昇を抑制することができる。
したがって、保護層としてCaOを1%〜32%添加したMgOを用いて蛍光体層の膜厚を1μm〜10μmと薄くすると、高キセノン(Xe)圧力でも、保護層に吸着する水分が少なくなり、高キセノン(Xe)圧力、すなわち、放電ガス中のキセノン(Xe)濃度を高めても放電電圧の上昇が抑えられるものである。
一方、試料No10は、蛍光体層の膜厚が10μmを超えた厚い場合であり、蛍光体層への水分の吸着量が多いため、放電電圧が高く画面のちらつきが見られる。また、試料No11は、各色蛍光体層の厚さは10μm以下であるが、CaOの添加量が35%と多くなりすぎ、そのために保護層への水分の吸着量が多く、放電維持電圧が高くなるとともに画面のちらつきも見られる。
また、試料No12は、各色蛍光体層の厚さが10μm以下で水分の吸着量は少ないが、保護層を構成する材料がMgOのみであるため、放電維持電圧が高くなっている。また、試料No13は、蛍光体材料としては水分吸着量の少ない各蛍光体を用いているが、蛍光体層の厚さが10μm以上と厚いために全体の水分の吸着量が多くなり、そのために放電維持電圧が上昇している。
以上のように、表1に示す結果から、試料No1〜9と、比較例となる試料No10〜13から、水分の吸着量を抑えるために各色蛍光体の膜厚を10μm以下にした蛍光体層と、CaOが1%〜32%添加されたMgO保護層とを有するPDPは、Xeガスの圧力が10kPa以上になっても、放電維持電圧が低く、高輝度で放電の安定したPDPを実できることがわかる。
上記実施の形態は、本発明の構成およびそこから奏される作用効果を説明するために一例として用いたものであって、本発明は、上記特徴とする部分以外の点において、これに限定を受けるものではない。例えば、放電ガスとして、上記実施の形態では、キセノン(Xe)−ネオン(Ne)の2元系の混合ガスについて説明したが、これらに、第3のガスを添加してなる放電ガスに対しても適用が可能である。
本発明は、高い発光効率を維持しながら、安定した表示性能を維持することができ、大型で高精細なテレビジョンあるいは大型表示装置などに適用することが可能である。
本発明の実施の形態におけるPDPの構成を示す分解斜視図 同PDPの電極の配列を示す図 同PDPを用いたプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図
符号の説明
1 プラズマディスプレイ装置
10 プラズマディスプレイパネル(PDP)
21 前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25 誘電体層
26 保護層
31 背面板
32 データ電極
33 下地誘電体層
34 隔壁
35R 赤色蛍光体層
35G 緑色蛍光体層
35B 青色蛍光体層
36 放電空間
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路

Claims (3)

  1. 前面基板上に形成した表示電極と前記表示電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを有する前面板と、背面基板上に形成したデータ電極と前記データ電極を覆って設けた下地誘電体層と前記下地誘電体層に設けた隔壁と前記隔壁の側面と前記下地誘電体層に形成した赤色蛍光体層、緑色蛍光体層および青色蛍光体層を有する背面板とを、放電空間を形成するように対向配置したプラズマディスプレイパネルであって、
    前記保護層をCa元素を含むMgO材料で構成し、前記赤色蛍光体層、前記緑色蛍光体層、前記青色蛍光体層の膜厚を1μm〜10μmとしたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. Ca元素を含むMgO材料がCaOを1%〜32%含有させたMgO材料であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記放電空間にXeガスを封入圧力12kPa以上で封入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
JP2008104432A 2008-04-14 2008-04-14 プラズマディスプレイパネル Withdrawn JP2009259462A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008104432A JP2009259462A (ja) 2008-04-14 2008-04-14 プラズマディスプレイパネル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008104432A JP2009259462A (ja) 2008-04-14 2008-04-14 プラズマディスプレイパネル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009259462A true JP2009259462A (ja) 2009-11-05

Family

ID=41386656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008104432A Withdrawn JP2009259462A (ja) 2008-04-14 2008-04-14 プラズマディスプレイパネル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009259462A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011114699A1 (ja) * 2010-03-15 2011-09-22 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネル
JP2012092428A (ja) * 2010-09-29 2012-05-17 Mitsubishi Materials Corp 薄膜形成用の蒸着材及び該薄膜を備える薄膜シート並びに積層シート

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011114699A1 (ja) * 2010-03-15 2011-09-22 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネル
JPWO2011114699A1 (ja) * 2010-03-15 2013-06-27 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネル
JP2012092428A (ja) * 2010-09-29 2012-05-17 Mitsubishi Materials Corp 薄膜形成用の蒸着材及び該薄膜を備える薄膜シート並びに積層シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4654520B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP4415578B2 (ja) プラズマディスプレイ装置
JP4244727B2 (ja) プラズマディスプレイ装置
JP4244726B2 (ja) プラズマディスプレイ装置
JP4171059B2 (ja) 蛍光体および発光装置
US8410677B2 (en) Blue phosphor, light-emitting device, and plasma display panel
WO2006112404A1 (ja) 蛍光体および発光装置
JP2009259462A (ja) プラズマディスプレイパネル
KR100742061B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 패널 및 그 제조 방법
WO2006112405A1 (ja) 蛍光体および発光装置
JP3753128B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2009259459A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP5011082B2 (ja) 画像表示装置
JP2009259461A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2009259460A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP5564146B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよび蛍光体
JP2004091622A (ja) プラズマディスプレイパネルおよび蛍光体
JP3412570B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP3374789B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP2010177072A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4846884B1 (ja) プラズマディスプレイパネルおよび緑色蛍光体層
JP2010177073A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2008262927A (ja) プラズマディスプレイ表示装置及びそれを用いた映像表示システム
JP2013016338A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2011086426A (ja) プラズマディスプレイパネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110414

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20110512

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120125

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20120126