JP2009259459A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】Xe圧力が高いPDPでも、緑色蛍光体の輝度飽和がなく、高輝度で、しかも画面のちらつきがない高画質なPDPを実現する。
【解決手段】前面基板上に形成した表示電極対24と誘電体層25と保護層26とを有する前面板21と、背面基板上に形成したデータ電極32と下地誘電体層33と隔壁34と赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、および青色蛍光体層35Bを有する背面板31とを、放電空間36を形成するように対向配置したPDPであって、放電空間36にXeガスを封入圧力12kPa以上で封入するとともに、緑色蛍光体層35Gを形成する緑色蛍光体材料がBaAl1219:Mn2+、BaMgAl1017:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+のうちのいずれか1種としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、65インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPが要求されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、そのガラス基板の一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(以下、MgOと表現する)からなる保護層とで構成されている。
一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のデータ電極と、データ電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
蛍光体材料としてはZnSiO:Mnあるいは、(Y,Gd)BO:Tbからなる緑色蛍光体材料、(Y,Gd)BO:Eu、Y:Euからなる赤色蛍光体材料、BaMgAl1017:Euからなる青色蛍光体材料からなる各色蛍光体層が形成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にキセノン(Xe)を5%〜20%含むネオン(Ne)−キセノン(Xe)の混合ガス、あるいはネオン(Ne)−キセノン(Xe)−ヘリウム(He)の混合ガスなどが5×10Pa〜7×10Paの圧力で充填されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
近年期待されているフルスペックの42インチクラスのハイビジョンテレビでは、画素数が1920×1080で、セルピッチは0.15mm×0.48mmと小さくなっている。このような高精細で、セルピッチが0.25mm以下のPDPにおいては、輝度と効率の低下が特に顕在化するという課題が発生するため、Ne−Xe放電ガス系において、Xe分圧を20%以上に高める例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、Xe分圧が20%以上になると、表示電極に印加するパルス電圧の周波数を上げると、蛍光体に輝度飽和が起こる。特に、PDPの輝度を決める視感度の高い緑色蛍光体であるZnSiO:Mnや、(Y,Gd)BO:Tbで輝度飽和が発生する。これらの輝度飽和は、一般的に蛍光体の残光特性(蛍光寿命)と関係があり、残光特性が短いほど輝度飽和が少なくなると考えられている。このような輝度飽和を改善するために、MnやTbの添加量を増大させ、ZnSiO:Mnや、(Y,Gd)BO:Tb緑色蛍光体の短残光化を図る例が開示されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
特開2007−323922号公報 PDPにおける各部材別特性および最新の開発事例 第1章、第2節、頁13〜16(2004年3月26日) 映像情報通信学会(テレビジョン学会MD−00−24)EDD−00−24 プラズマディスプレイ用蛍光体の輝度飽和特性、平成12年1月27日岡崎暢一郎(富士通日立プラズマディスプレイ),椎木正敏,鈴木輝喜(日立)
しかし、高輝度化のためにPDP内の放電ガス中のXe分圧を12kPa以上に増加させた場合、短残光のZnSiO:Mn2+や、(Y,Gd)BO:Tb3+を使用しても、期待されたほどのXeガスの増大効果が得られないといった課題が発生する。
この現象は、Xe分圧を増加させると放電開始電圧が上昇するために、印加されるパルス電圧も高くなり、結果として放電空間中のXeイオンやXeの励起粒子の量が増大することに起因していると思われる。
すなわち、これらの増大した励起粒子により、MgO保護層や蛍光体層が衝撃受け、水分吸着量が多いZnSiO:Mnや、(Y,Gd)BO:Tbの緑色蛍光体、あるいは(Y,Gd)BO:Euの赤色蛍光体から大量のHO、CO、Oなどのガスが放出される。このような、HO、CO、Oガスは、同じく放電によって生じる蛍光体を励起、発光させる波長147nm、173nmの真空紫外線を一部吸収して、有効に蛍光体を励起発光させることができなくなり、結果として輝度飽和が起こり、期待されたほどのXe分圧の増大効果が得られなくなったのではないかと推測される。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、Xe圧力が12kPa以上のPDPでも、緑色蛍光体の輝度飽和がなく、高輝度で、しかも画面のちらつきがない高画質なPDPを実現することを目的としたものである。
上記の目的を達成するために、本発明のPDPは、前面基板上に形成した表示電極と表示電極を覆う誘電体層と誘電体層を覆う保護層とを有する前面板と、背面基板上に形成したデータ電極とデータ電極を覆って設けた下地誘電体層と下地誘電体層に設けた隔壁と隔壁の側面と下地誘電体層に形成した赤色蛍光体層、緑色蛍光体層および青色蛍光体層を有する背面板とを、放電空間を形成するように対向配置したPDPであって、放電空間にXeガスを封入圧力12kPa以上で封入するとともに、緑色蛍光体層を形成する緑色蛍光体材料がBaAl1219:Mn2+、BaMgAl1017:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+のうちのいずれか1種としている。
このような構成とすることにより、Xe分圧を高めた高精細PDPにおいても輝度飽和が発生せずに、高輝度と放電特性の優れたPDPを実現することができる。
さらに、緑色蛍光体材料の、Mnの2価のうちの一部が3価であることが望ましい。このような構成によれば、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減して蛍光体への水分の吸着量を低減し、真空紫外線の吸収を抑制して有効に蛍光体を励起発光させることができる。
さらに、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+の緑色蛍光体材料がEuの2価のうちの一部が3価であることが望ましい。このような構成によれば、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減して蛍光体への水分の吸着量を低減し、真空紫外線の吸収を抑制して有効に蛍光体を励起発光させることができる。
本発明は、Xe分圧を高めたPDPでも、緑色蛍光体の輝度飽和を抑制し、高輝度で画面のちらつきがない高画質なPDPを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるPDP10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、PDPの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料から形成されている。
背面板31上にはデータ電極32が複数形成されて、データ電極32を覆うように下地誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および下地誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、青色蛍光体層35Bが設けられている。
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間36を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして、内部の放電空間36には、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン(Xe)分圧を約12kPa以上とした放電ガスを用いている。放電空間36は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、PDP10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの種類も上述した種類に限られるわけではなく、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)にさらにヘリウム(He)を混合した放電ガスであってもよい。
放電空間36内における放電ガスのキセノン(Xe)分圧を12kPaから24kPaとなるようにキセノン(Xe)の占める割合を調整し、このとき放電ガスの全圧に占めるキセノン(Xe)分圧の比を約28%から100%となるようにしている。
図2は、本発明の実施の形態におけるPDP10の電極の配列を示す図である。PDP10には、行方向に延長されたn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に延長されたm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がPDP10の表示領域となる。
図3は、本発明の実施の形態におけるPDPを用いたプラズマディスプレイ装置1の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、PDP10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路41は、PDP10の画素数に応じて、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路42は、サブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換し、タイミング信号にもとづいて各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
タイミング発生回路45は、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vからの出力にもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロック(画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44)へ供給する。
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形を発生するための初期化波形発生回路、複数の走査ICを備え書込み期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生するための走査パルス発生回路、維持期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路(図示せず)を有する。そして、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜走査電極SCnをそれぞれ駆動する。
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路(図示せず)を備え、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
PDP10はこれらの駆動回路によって、書込みがなされた放電セルにおいて表示電極対24間に交流電圧を印加して放電を発生させる。このような維持放電の発生により、表示発光は、放電空間36の励起Xe原子からは147nmの共鳴線が、励起Xe分子からは173nm主体の分子線が放射され、これらの真空紫外線を赤色蛍光体層35R、緑色蛍光体層35G、青色蛍光体層35Rで可視光に変換して画像表示をしている。
次に蛍光体層35R、35G、35Bの詳細について説明する。
蛍光体層35R、35G、35Bの各々は、それぞれの蛍光体層を形成する蛍光体材料の粒子径を平均粒径が0.1μm〜5μmとし、各蛍光体層の膜厚は1μm〜12μmと
各色の蛍光体材料としては、赤色蛍光体としては、Y(V、P)O4:Eu3+を用い、緑色蛍光体としては、BaAl1219:Mn2+、BaMgAl1017:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+(以下、BAM−Mn系と呼ぶ)のうちのいずれか1種を用いている。また、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu2+を用いている。
次に、これらの蛍光体材料の製造方法について説明する。
まず、赤色蛍光体層35Rを形成する赤色蛍光体の製造方法について述べる。赤色蛍光体のY(V,P)O:Eu3+は、蛍光体の原料である、酸化イットリウム(Y)、酸化バナジウム(V)、5酸化燐(P)と、発光中心の原料である酸化ユーロピウム(Eu)とを蛍光体組成に合うように混合後し、空気中600℃〜800℃で焼成した後に、酸素(O)、窒素(N)雰囲気中で1100℃〜1300℃で焼成して赤色蛍光体Y(V,P)O:Eu3+を作成する。
各種の赤色蛍光体材料のうち、Y(V,P)O:Eu3+蛍光体は、蛍光体組成中のP、Vが焼成時に一部フラックス(融剤)となり格子欠陥のない蛍光体結晶を実現することができるため、水分の吸着量を少なくすることができ、赤色蛍光体材料として好ましい。
次に、緑色蛍光体層35Gを形成する緑色蛍光体の製造方法について述べる。BAM−Mn系蛍光体の原料となる、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(Al23)と、発光中心の原料である酸化マンガン(Mn23)、酸化ユーロピウム(Eu23)などを蛍光体組成のモル比で秤量し、秤量された原料に結晶成長促進剤としてフッ化アルミニウムを添加し混合する。その後、大気雰囲気で1000℃〜1400℃で焼成し、その後、焼成された混合粉末を、窒素(N)、水素(H)雰囲気(弱還元雰囲気)中で1100℃〜1400℃で焼成を行い、Mn元素やEu元素の価数を2価にした緑色蛍光体を作成する。
さらに、この緑色蛍光体を酸化雰囲気中で600℃〜900℃で焼成してMn、Euの2価の一部を3価にすると、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減することができ、水分の吸着量を低減することができる。また、Mnの2価あるいはEuの2価の一部を3価にする量は多い方が水分の吸着量が少なくなるが、蛍光体の輝度が低下するため、それぞれ、2価のうちの1%〜20%程度が好ましい。
また、発光中心であるMnの2価を、Mgの2価あるいはBaの2価と置換し、その置換量を2モル%〜20モル%とするのが好ましい。またEuの2価をBaの2価と置換し、その置換量を0.0005モル%〜5モル%とするのが好ましい。
次に、青色蛍光体層35Bを形成する青色蛍光体の製造方法について述べる。BaMgAl1017:Eu2+蛍光体の原料となる、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(Al23)、および発光中心の原料である酸化ユーロピウム(Eu23)を蛍光体組成のモル比で秤量し、結晶成長促進剤としてフッ化アルミニウムを添加して混合する。その後、大気雰囲気中で1100℃〜1300℃で焼成し、その後、焼成された混合粉末を、還元雰囲気中で1100℃〜1400℃で焼成を行いEu元素の価数を2価にした青色蛍光体を作成する。さらにその後、この青色蛍光体を酸化雰囲気中600℃〜900℃で焼成してEuの2価の一部を3価にすると、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減して水分の吸着量を低減することができる。
なお、Euの2価の一部を3価にする量は多い方が水分の吸着量が少なくなるが、蛍光体の輝度が低下するため10%〜40%程度が好ましい。また、発光中心であるEuの2価をBaの2価と置換し、その置換量を0.5モル%〜20モル%とするのが好ましい。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPでは、PDP10の放電空間36内に充填されている放電ガスとしてキセノン(Xe)、ネオン(Ne)ガスを用い、キセノン(Xe)ガスの分圧を12kPa以上と高く設定し、緑色蛍光体層には、BAM−Mn系の蛍光体材料を用いている。このため、従来のZnSiO:Mn2+(以下、ZSM系と呼ぶ)や、(Y,Gd)BO:Tb3+の緑色蛍光体に比べ、キセノン(Xe)ガス分圧の高い領域での輝度飽和を抑制し、高い発光輝度を実現することができる。
次に、上記の実施の形態で述べた検討実験の詳細を実施例として説明する。
(実施例)
本実施例では、各色の蛍光体の材料組成を変えた42インチのフルハイビジョンテレビ用のPDP装置を作製し、放電ガスとしてのキセノン(Xe)の分圧を変化させ、以下の実験とともに、画像表示の輝度、放電電圧、放電の安定性について検討した。その結果を表1に示す。表1では、蛍光体材料の組成、蛍光体粉末への水分吸着量、キセノン(Xe)分圧をパラメータとして、PDPの輝度、放電の安定性、放電電圧を検討した。その結果を表1に示す。
Figure 2009259459
表1には、蛍光体粉体に吸着された水分量を示している。蛍光体の輝度飽和の要因のひとつに、蛍光体材料から放出される水分などのガスがあると推測している。すなわち、キセノン(Xe)分圧を増加させると放電開始電圧が上昇するために、印加されるパルス電圧も高くなり、結果として放電空間中のXeイオンやXeの励起粒子の量が増大する。これらの増大した励起粒子により、MgO保護層や蛍光体層が衝撃受け、水分吸着量が多い蛍光体から大量の水分などのガスが放出される。このようなガスが、真空紫外線を一部吸収して、有効に蛍光体を励起発光させることができなくなり、結果として輝度飽和が起こり、期待されたほどのXe分圧の増大効果が得られなくなったのではないかと推測している。
そこで、まず、各色蛍光体材料としての蛍光体粉体に吸着されたガス量を測定した。蛍光体粉体へのガスの吸着量は市販のTDS装置で測定した。蛍光体粉体をTDS装置の試料室に設置し、高真空中で加熱昇温させ、昇温中に脱離してくるガスを四重極質量分析し、脱離した水分(HO)量を測定した。
また、表1には、緑色蛍光体の種類とキセノン(Xe)分圧を変えた場合のPDPの緑色の輝度を、表示電極対を構成する走査電極22と維持電極23との間に、通常195V、200kHzの交流電圧を印加し輝度計にて測定した結果を示す。また、走査電極22と維持電極23との間に、交流電圧を印加して安定に放電が維持できる放電維持電圧を測定している。
さらに、PDP装置を10分間点灯させ、画面にちらつき(アドレスミス)が発生するかどうかを目視にて行った結果を示す。
一方、図4は、本発明の実施の形態におけるPDPにおいて、緑色蛍光体としてZSM系を用いた場合の輝度とBAM−Mn系を用いた場合の輝度の比と、放電ガスのキセノン(Xe)圧力との関係を示す図である。
なお、表1における試料No1〜試料No6が本発明の実施の形態におけるPDPであり、試料No7〜試料No9は本発明の実施の形態との比較例である。
図4に示すように、キセノン(Xe)圧力が、12kPaより大きい場合には、緑色蛍光体としてBAM−Mn系の材料を用いた方が、ZSM系の材料を用いた場合よりも輝度を高くすることができる。
また、表1に示すように、本発明の実施の形態である実施例1〜6に示すように、緑色蛍光体として、BAM−Mn系のBaAl1219:Mn2+、BaMgAl1017:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+のうちのいずれか1種を用いたPDPでは、キセノン(Xe)ガスの分圧が12KPa以上になっても、従来の低キセノン(Xe)分圧(12kPa未満)の場合の放電電圧よりも電圧の上昇が高くなく、しかも高輝度であり、画像表示のちらつきもないことが判った。また、このとき、これらの緑色蛍光体の水分の吸着量は、およそ0.17cc/g以下であり試料No7、8、10に比べて少なく、高キセノン(Xe)分圧における、緑色蛍光体の輝度飽和現象が蛍光体に吸着される水分量に影響されていると考えられる。
したがって、本発明の特徴である、BAM−Mn系で水分の吸着量の少ない緑色蛍光体を用いた結果、従来の緑色蛍光体を使用した場合より高い輝度が維持できることがわかる。さらに、これらの蛍光体は水分の吸着が少ないため、前面板の保護層であるMgOに吸着する水分が少なくなり、駆動が長期にわたった場合にも、ちらつきのない安定した表示性能を維持できる。したがって、高キセノン(Xe)圧力でも、MgOに吸着する水分が少なくなり、高キセノン(Xe)圧力、すなわち、放電ガス中のキセノン(Xe)濃度を高めても放電電圧の上昇が抑えられるものである。
一方、試料No7は、緑色蛍光体が、従来のZSM系蛍光体のため、蛍光体の水の吸着量が多く、キセノン(Xe)圧力が12KPa以上になると、結果的に、緑色蛍光体層が輝度飽和を起して放電電圧が上昇し、PDPの輝度が低く、画面のちらつきが見られる。
また、試料No8は、緑色蛍光体が、従来の(Y,Gd)BO:Tb3+蛍光体のため、蛍光体の水の吸着量が多く、放電電圧が上昇し、Xe分圧が28%以上になると、結果的に、緑色蛍光体層が輝度飽和を起して、PDPの輝度が低く、さらに画面のちらつきが見られる。
一方、試料No9では、緑色蛍光体に実施例1〜6と同様のBAM−Mn系を用いているがキセノン(Xe)圧力が9kPaと低いため、PDPの輝度は、従来のZSM系を用いた場合と同程度であった。このことから、本発明の実施の形態では、放電ガス中のキセノン(Xe)圧力が高い場合に効果が顕著であることがわかる。
また、試料No10は、従来のZSM系蛍光体を使用しているが、キセノン(Xe)圧力が9kPaと低いため、蛍光体の水の吸着量が多くてもキセノン(Xe)の励起粒子による衝撃が少ない。そのため、緑色蛍光体層の輝度飽和が起こりにくく、PDPの輝度は同じキセノン(Xe)圧力で、水分の吸着量の少ないBAM−Mn系蛍光体を用いた試料No9の輝度と同じ程度である。
さらに、本発明の実施の形態では、緑色蛍光体材料であるBAM−Mn系材料の、Mnの2価のうちの一部が3価とすると、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減して蛍光体への水分の吸着量を低減し、真空紫外線の吸収を抑制して有効に蛍光体を励起発光させることができる。その結果として、輝度をさらに向上させることができる。さらに、BAM−Mn系材料のうちの、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+の緑色蛍光体材料のEuの2価のうちの一部を3価とすることによっても、蛍光体の酸素欠陥を大幅に低減して蛍光体への水分の吸着量を低減し、真空紫外線の吸収を抑制して有効に蛍光体を励起発光させることができる。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPによれば、従来のZSM系の緑色蛍光体を使用した場合より、放電ガスのキセノン(Xe)圧力が高い場合でも高い輝度を維持し、長期の駆動でもちらつきのない安定した表示性能を維持できるとともに、放電電圧の上昇を抑えることができる。
上記実施の形態は、本発明の構成およびそこから奏される作用効果を説明するために一例として用いたものであって、本発明は、上記特徴とする部分以外の点において、これに限定を受けるものではない。例えば、放電ガスとして、上記実施の形態では、キセノン(Xe)−ネオン(Ne)の2元系の混合ガスについて説明したが、これらに、第3のガスを添加してなる放電ガスに対しても適用が可能である。
本発明は、高い発光効率を維持しながら、安定した表示性能を維持することができ、大型で高精細なテレビジョンあるいは大型表示装置などに適用することが可能である。
本発明の実施の形態におけるPDPの構成を示す分解斜視図 同PDPの電極の配列を示す図 同PDPを用いたプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図 同PDPにおいて緑色蛍光体としてZSM系を用いた場合の輝度とBAM−Mn系を用いた場合の輝度の比と、放電ガスのキセノン(Xe)圧力との関係を示す図
符号の説明
1 プラズマディスプレイ装置
10 プラズマディスプレイパネル(PDP)
21 前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25 誘電体層
26 保護層
31 背面板
32 データ電極
33 下地誘電体層
34 隔壁
35R 赤色蛍光体層
35G 緑色蛍光体層
35B 青色蛍光体層
36 放電空間
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路

Claims (3)

  1. 前面基板上に形成した表示電極と前記表示電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを有する前面板と、背面基板上に形成したデータ電極と前記データ電極を覆って設けた下地誘電体層と前記下地誘電体層に設けた隔壁と前記隔壁の側面と前記下地誘電体層に形成した赤色蛍光体層、緑色蛍光体層および青色蛍光体層を有する背面板とを、放電空間を形成するように対向配置したプラズマディスプレイパネルであって、
    前記放電空間にXeガスを封入圧力12kPa以上で封入するとともに、前記緑色蛍光体層を形成する緑色蛍光体材料がBaAl1219:Mn2+、BaMgAl1017:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+のうちのいずれか1種であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記緑色蛍光体材料の、Mnの2価のうちの一部が3価であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+の緑色蛍光体材料がEuの2価のうちの一部が3価であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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