JP2012208409A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】長期耐刷においても、安定した帯電性を保ち、カブリの良好な画質を維持することのできる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも樹脂、ワックス及び着色剤を含有するトナーにおいて、BET法に
よる比表面積が25m2/g以下であり、且つ平均粒径が0.1μm以上、1.0μm以下の疎水化処理されたリン酸カルシウム系化合物粒子を、トナー中に0.01質量%以上、0.3質量%以下を含
有し、かつ平均粒径7 nm以上、50nm以下であるシリカ粒子を含有することを特徴とする静電荷現像用トナーであり、前記静電荷像現像用トナーが負帯電性非磁性一成分トナーであること、また重合法により製造されることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
詳しくは、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。より詳しくは、本発明は帯電性に優れるとともに感光体ドラムへの汚染が少なく、それにより画像濃度のムラを抑制し高画質の画像が得られ、連続印字においても最後までカブリの低い画像を得ることのできる静電荷像現像用トナーに関する。
また、リン酸系化合物から構成され無機粒子を外添するトナーが示されている(特許文献2)。
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
1、少なくとも樹脂、ワックス及び着色剤を含有するトナーにおいて、BET法による比表
面積が25m2/g以下であり、且つ平均粒径が0.1μm以上、1.0μm以下の疎水化処理されたリン酸カルシウム系化合物粒子を、トナー中に0.01質量%以上、0.3質量%以下を含有し、か
つ平均粒径7 nm以上、50nm以下であるシリカ粒子を含有することを特徴とする静電荷現像用トナー。
2.前記静電荷像現像用トナーが負帯電性非磁性一成分トナーであることを特徴とする1記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記静電荷像現像用トナーが重合法により製造されることを特徴とする1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
4.1乃至3のいずれか1項に記載のトナーが、下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(1)体積中位径(Dv50)が4μm以上7μm以下である。
(2)平均円形度が0.94以上である。
(3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50) を
満たす。
(4)個数変動係数が24%以下である。
本発明の外添前のトナー、いわゆるトナー母粒子の製造方法は特に限定されず、溶融混練粉砕法、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの重合法による製造方法などが挙げられる。
ウム系化合物をトナー中に0.01質量%以上、0.3質量%以下、更に及び平均粒径が7nm以上、50nm以下のシリカ粒子を付着または固着させる。
耐刷を重ねるとリン酸カルシウムが適度にシリカと凝集することで、余剰のシリカを部材汚染から保護し、ライフにわたって、トナー性能を保つことで、カブリを抑制すると考える。
好ましく、0.6μm以下がさらに好ましい。平均粒径が小さすぎると画像濃度が低くな
る場合があり、大きすぎるとカブリが悪くなり、画像にスジムラを伴う場合がある。本発明のリン酸カルシウムの平均粒径は湿式のレーザー回折散乱法の粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックFRA)で測定した。
本発明のリン酸カルシウム系化合物の製造方法は、本発明の比表面積及び平均粒径を満たせば特に限定されないが、水酸化カルシウム懸濁液とリン酸から得る方法、塩化カルシウムとリン酸ナトリウムから製造する方法等が挙げられる。特に本発明の比表面積を得るためには多孔質炭酸カルシウムの水スラリーに対して1〜5質量%程度の可溶性リン酸系化合物(H3PO3,K3PO4、KH2PO4,Na2HPO4等)を投入する方法が好ましい。この方法では、多孔質リン酸カルシウム系化合物を製造する方法であり、可溶
性リン酸系化合物の使用量が少ないほど多孔度が低く比表面積を小さくすることが可能となる。
本発明のリン酸カルシウム系化合物は脂肪酸塩等で疎水処理するものが好ましい。これによってトナーの帯電を高湿化でも維持することが可能となる。
に好ましい。平均粒径が小さすぎると耐刷での変化が大きく、画質の悪化がみられる場合があり、大きすぎると流動性を悪化させる場合がある。本発明の平均粒径は個数平均粒径を指し、走査電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの平均値を平均粒径とした。
物の添加量をbとすると、これらの比であるa/bが、4以上であることが好ましく、6以上であることが特に好ましい。また、30以下であることが好ましく、25以下であることが特に好ましい。
比が大きすぎると、リン酸カルシウムが余剰シリカを凝集させる効果が減り、部材への汚染が激しくなり、適正なトナー性能が得られない場合があり、小さすぎても、逆にリン酸カルシウム自体が部材を汚染し、適正なトナー性能が得られない場合がある。
また、装置には外添時に加温、冷却ができるような温度調整用のジャケットなどが設け
られていることが好ましい。このような装置によって、外添時の温度を一定に保ち、品質を安定化させることが可能となる。
(1)体積中位径(Dv50)が4μm以上7μm以下である。
(2)平均円形度が0.94以上である。
(3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50) を
満たす。
(4)個数変動係数が24%以下である。
トナーの体積中位径(Dv50)は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。本発明の体積中位径(Dv50)は、トナー母粒子の表面に外添粒子を固着又は付着させたものを測定試料として測定する。また後述する平均円形度、粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)、及び、個数変動係数についても同様に、トナー母粒子の表面に外添剤を固着又は付着させたものを測定試料測定試料として測定する。
(2)について
トナーの平均円形度は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。本発明のトナーの平均円形度は0.94以上であり、0.95以上であることが好ましい。一般的に円形度が高いとトナーは転写効率がよい。円形度の高い球形トナーはトナー相互又は種々の部材とのひっかかりが少ないため帯電ローラーでの機械的シェアが小さく、表面の形状変化が軽微である。また、トナー母体自体の流動性が高いため、外添された無機粉体の量が変化しても流動性が大きく変化しにくい。このように球形トナーはトナーの劣化が少ない形状因子を持っている。さらに、感光ドラムからの離型性に優れるため転写効率が優れており、画像濃度を十分に確保することができるとともに転写残トナーを少なくすることができる。このような理由から、高速印刷機に使用されるトナーとしては円形度の高いトナーを使用することが望ましいのである。
応じて粒子径分布を制御することが大切である。
平均円形度の高いトナーは、外添剤が付着又は固着し難く、トナーの流動性が得られない場合がある。本発明の製造方法を用いることにより、高円形度であっても、外添剤が埋没又は遊離しないようにすることができる。
トナーの粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。そして本発明のトナーは、トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50) を満たす。本発明では、「EXP」は「Exponential」を示す。 すなわち自然対数の
底であり、その右側は指数である。
画像形成装置は特有の帯電量を有する粒子を転写するように設計されているために、まず静電現像の際にはかかる特有の帯電量を有する粒子が優先してOPCに転写される。特有の帯電量を超える粒子に関しては、部材等に付着して汚染したり、流動性の悪化を招いたりする。一方で特有の帯電量に満たない粒子に関しては、カートリッジ内に堆積して部材等を汚染する。
従って、トナー全体において、外添状態が不均一になりやすい。本発明の条件を満たすトナーであると、均一な外添を行うことができ好ましい。
また、Dv50とDnsの関係が、Dns≦0.110EXP(19.9/Dv50)
を満たすトナーが好ましい。 一方で、歩留まりよく生産するという観点から、Dv50
とDnsの関係が、0.0517EXP(22.4/Dv50)≦Dns を満たすことが好ましい。
個数変動係数(%)は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。
本発明のトナーの個数変動係数24%以下であり、好ましくは22%、より好ましくは20%以下であり、より更に好ましくは19%以下である。個数変動係数の値が高いと帯電量の分布がブロードになり、帯電不良から画像欠陥を招く。更にはトナー部材等への付着による汚染、飛散による汚染を誘発する。従って、個数変動係数は低いことが好ましいのである。一方で、工業的見地から、個数変動係数は0%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。
本発明の製造方法において製造される静電荷像現像用トナーは、少なくともバインダー樹脂、着色剤、外添剤を含有し、必要に応じ、帯電制御剤、ワックスその他の添加剤等を適宜選択して構成され、トナー母粒子を製造する工程、外添工程を有する。
また、本発明のトナーの製造方法は、粉砕法、湿式媒体中でトナーを得る製造方法など、従来から用いられている各種トナー製造法が適用できるが、特に指定されない。
粉砕法としては、樹脂、着色剤等を均一に分散し、混練機で溶融混練する。溶融混練した混合物を冷却固化後、粉砕機で粉砕し、さらに得られた粉体を風力分級機等で分級することによりトナー母粒子を得る。
乳化重合凝集法としては、通常、重合開始剤及び乳化剤等を含有する水性媒体中に結着樹脂の重合性単量体を乳化し、攪拌下に重合性単量体を重合して重合体一次粒子を得て、これに着色剤並びに必要に応じて帯電制御剤等を添加して重合体一次粒子を凝集させ、さらに得られた凝集粒子を熟成させた後、洗浄乾燥等を行いトナー母粒子を得る。
溶融懸濁法としては、通常、溶媒中に結着樹脂、ワックス等を溶解して油相を得、その油相を水系媒体中に油滴として懸濁させた後、溶媒を除去し洗浄乾燥等を行い、トナー母粒子を得る。
ン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等 を挙げることができる。これらの樹脂は単独で用いることも、いくつかを併用することもできる。
本発明のバインダー樹脂の製造に用いられる原料の重合性モノマーとしては特に限定はないが、具体的には例えば、スチレン;p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;無水マレイン酸;アクリロニトリル;プロピレン、ブタジエン等のアルケン化合物等が好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」等の記載は、「アクリル」及び/又は「メタアクリル」を意味し以下同様である。また以下、スチレン及び/又はスチレン誘導体を、単に「スチレン(誘導体)」と略記する。
更に、重合性モノマーとして、架橋をさせるために、多官能性モノマーを使用することもできる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート等が好ましいものとして挙げられる。また、架橋をさせるための重合性モノマーとしては、反応性基をペンダントに有する重合性モノマー、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
本発明において、必要に応じて公知の重合開始剤を用いることができ、重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、等の過硫酸塩、及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4‘−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、等の水溶性重合開始剤、及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤系、過酸化ベンゾイル、2,2‘−アゾビス−イソブチロニトリル、等が用いられる。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を
組み合わせても良い。
また、本発明では、必要に応じて公知の懸濁安定剤を使用することができる。懸濁安定剤の具体的な例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、一種或いは二種以上を組み合わせて用いてもよく、重合性単量体100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下の量で用いてもよい。
本発明において、重合性モノマーを水性媒体中に分散させる際に必要であれば、分散安定剤を用いることができる。本発明においては、公知の分散安定剤を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。例えば無機系酸化物であるリン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,チタニア等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が挙げられる。分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上、10.0質量部以下で使用することが好ましい。
このうち、黒色顔料としてカーボンブラックは、非常に微細な一次粒子の凝集体として存在し、顔料分散体として分散させたときに、再凝集による粒子の粗大化が発生しやすい。カーボンブラック粒子の再凝集の程度は、カーボンブラック中に含まれる不純物量(未分解有機物量の残留程度)の大小と相関が見られ、不純物が多いと分散後の再凝集による粗大化が激しい傾向を示した。そして、不純物量の定量的な評価として、以下の方法で測定されるカーボンブラックのトルエン抽出物の紫外線吸光度が0.05以下であるのが好ましく、0.03以下であるのが一層好ましい。一般に、チャンネル法のカーボンブラックは不純物が多い傾向を示すので、本発明におけるカーボンブラックとしては、ファーネス法で製造されたものが好ましい。
以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点の下限としては、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。本範囲より融点が高いと、定着温度低減の効果が乏しくなり、融点が低いと固結性、保存性に問題が生じる場合がある。
本発明においてワックスの量は、トナー100質量部中に1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下である。トナー中のワックス含有量が前記範囲未満の場合は、高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、前記範囲を超過する場合は、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明において、粉砕法で得られるトナーの製造方法としては、上述の結着樹脂、着色剤と、必要に応じてその他成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。練り機は1軸または2軸押出機が用いられ、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が挙げられる。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
うち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
60℃以下である。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
樹脂粒子として重合体一次粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂粒子を用いた場合、定着性を損なうことなく、耐ブロッキング性の一層の向上が実現できるので好ましい。該樹脂粒子の体積平均粒径は、0.02μm以上が好ましく、0.05μm以上が更に好ましい。また、3μm以下、さらに1.5μm以下が好ましい。樹脂粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを乳化重合して得られたもの等を用いることができる。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
洗浄に用いる液体としては水が用いられるが、酸またはアルカリの水溶液で洗浄することもでき、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸やクエン酸等の有機酸を用いることが好ましい。また、温水や熱水で洗浄することもでき、これらの方法を併用することもできる。このような洗浄工程を経ることによって、懸濁安定剤や乳化剤、未反応の残存モノマー等を低減、除去することが出来るため好ましい。洗浄工程は、洗浄する液体を、例えば濾過、デカンテーション等することによって着色粒子を濃厚スラリー或いはウエットケーキ状とし、これに新たに洗浄するための液体を加えてトナーを分散する操作を繰り返すことが好ましい。洗浄後の着色粒子は、ウエットケーキ状で回収することが、引き続き行われる乾燥工程における取り扱いの面で好ましい。
本発明の製造方法により得られる静電荷像現像用トナーは、トナーをキャリアとともに用いる二成分系現像剤、又は、キャリアを使用しない磁性もしくは非磁性一成分系現像剤のいずれの形態で用いてもよい。二成分系現像剤として用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの混合物等が利用できる。
本発明の説明に用いた物性、形状等の測定方法と定義を以下に示す。
1μm未満の体積平均径(Mv)を有する粒子の体積平均径(Mv)は、日機装株式会社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.−019EEを用い、溶媒屈折率:1.333、測定時間:100秒、測定回数:1回で、ワックス分散液及び重合体一次粒子分散液については、粒子屈折率:1.59、透過性:透過、形状:真球形、密度:1.04の条件で、着色剤分散液については、透過性:吸収、形状:非球形、密度:1.0の条件で測定した。
1μm以上の体積中位径(Dv50)を有する粒子の体積中位径(Dv50)は、ベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定した。測定粒子径範囲は2.00から64
.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)とした。
本発明における「平均円形度」は以下のように測定し定義する。すなわち、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製、FPIA2100)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
<粒径2.00μm以上、3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の測定方法と定義>
外添工程を経たトナーの測定前処理として次の様にした。内径47mm、高さ51mmの円筒形のポリエチレン(PE)製ビーカーに、スパチュラーを用いてトナーを0.100g、スポイトを用いて20質量%DBS水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20A)を0.15g添加した。この際、ビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にビーカーの底部にのみトナー及び20%DBS水溶液を入れた。次に、スパチュラーを用いてトナーと20%DBS水溶液がペースト状になるまで3分間攪拌した。この際もビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にした。
下限の粒径2.00μmは本測定装置マルチサイザーの検出限界であり、上限の粒径3.56μmは本測定装置マルチサイザーにおけるチャンネルの規定値である。本発明では、この粒径2.00μm以上、3.56μm以下の領域を微粉領域と認定した。
<外添剤及びトナーのBET比表面積の測定方法>
株式会社マウンテック社製、Macsorb model−1201を使用し、液体窒素を用いる1点法によって測定する。具体的には以下の通りである。
=[K・(1−P/P0)・V]/A
K:ガス定数(本測定においては、4.29)
P/P0:吸着ガスの相対圧力であり、混合比の97%(本測定においては、0.29)
<外添剤の平均粒径の測定方法>
外添剤の平均粒径とは個数平均粒径を指し、走査電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの平均値を平均粒径とする。
プリンターにトナーを入れて普通紙を用いてプリントした2.5cm角の正四角形画像をX−Rite社製分光測色濃度計X−Rite938で測定した濃度を画像濃度(ID)とし、以下の基準で判定した。
○: ID≧1.5
△:1.2<ID<1.5
×:ID≦1.2
<目視カブリの判定方法>
予めカブリの異なる限度見本を用いて、印字サンプルと比較し、○:問題なし、△:カブリが認められるが許容レベル、×:許容できない、の3段階評価で行った。
白紙イメージの印刷途中でプリンターを止め、感光体上にメンディングテープ( 住友
スリーエム株式会社製) を貼り、感光体上に付着しているトナーを取り、白紙に貼り付
け、何もついていないメンディングテープを貼り付けたものとの色差( Δ E ) を測定し、感光体カブリとした。
a * b * 測定し、の白地部L * a * b * から次式により色X−Rite差(ΔE)を求め、以下の基準で判定した。
○: ΔE≦0.6
△:0.6<ΔE<1.0
×:1.0≦ΔE
色差(ΔE)=[(L * i −L * p ) 2 +(a * i −a * p ) 2 +(b * i −b *
p ) 2 ] 1/2
L * i 、a * i 、b * i :なにもついてないテープ値
L * p 、a * p 、b * p :感光体上に貼る付けたテープ値
<トナー母粒子の製造>
<ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1の調製>
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9)27部、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)(以下、「20%DBS水溶液」と略記する)1.9部、脱塩水68.3部を90℃に加熱して、ホモミキサーを用い10分間攪拌した。
<重合体一次粒子分散液A1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.6部、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A1を得た。ナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は280nmであり、固形分濃度は21.1質量%であった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、20質量%DBS水溶液1.0部、脱塩水312部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、攪拌しながら8質量%過酸化水素水溶液3.2部、8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を一括添加した。これらを一括添加した時から5分後の時点を「重合開始」とする。
[重合性モノマー類等]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 0.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.5部
脱塩水 66.0部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 18.9部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A2を得た。ナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は290nmであり、固形分濃度は19.0質量%であった。
攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積300Lの容器に、カーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、20%DBS水溶液1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、電気伝導度が2μS/cmのイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。ナノトラックで測定した顔料プレミックス後の分散液中カーボンブラックの体積平均径(Mv)は90nmであった。
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子Aを製造した。
重合体一次粒子分散液A1 固形分として95部
重合体一次粒子分散液A2 固形分として5部
着色剤分散液A 着色剤固形分として6部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.2部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として6部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃で、250rpmで攪拌を続けながら硫酸第一鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.52部を5分かけて添加してから、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を54.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し5.32μmまで成長させた。
その後、内温54.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて、回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて81℃に昇温して、平均円形度が0.94
3になるまで、この条件で加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリーを得た。
得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)のろ紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。ろ紙上に残ったケーキを、攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgを加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
○乾燥工程
ここで得られた固形物をステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥することにより、トナー母粒子Aを得た。
トナー母粒子Aにヘンシェルミキサーにて、シリカ粒子とリン酸カルシウム系化合物粒
子を添加混合し、表1のトナーサンプルを得た。
得られたトナーを印刷速度100mm/s、非磁性一成分、保証枚数9000枚(5%印字時)で現像ゴムローラー、金属ブレード、帯電ローラー(PCR)で帯電する有機感光体、ベルト転写、熱定着方式を用いたベルト定着機を搭載したフルカラープリンタにて印字を行い、白地カブリ(ΔE)及び目視カブリを測定した。結果を表1に示す。
(0.233e^(1/Dv50))、個数変動係数:19.9であった。
シリカA: シリコーンオイル処理、平均粒径8nm
シリカB: シリコーンオイル処理、平均粒径20nm
い画像を得ることのできる静電荷像現像用トナーであり、本発明のトナーは、個人向け、オフィス向けの低中速プリンター/複写機をはじめ、オンデマント印刷等の大量印刷、コピー向けの高速プリンター/複写機等にも広く利用されるものである。
Claims (4)
- 少なくとも樹脂、ワックス及び着色剤を含有するトナーにおいて、BET法による比表面
積が25m2/g以下であり、且つ平均粒径が0.1μm以上、1.0μm以下の疎水化処理されたリン酸カルシウム系化合物粒子を、トナー中に0.01質量%以上、0.3質量%以下を含有し、かつ
平均粒径7 nm以上、50nm以下であるシリカ粒子を含有することを特徴とする静電荷現像用トナー。 - 前記静電荷像現像用トナーが負帯電性非磁性一成分トナーであることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記静電荷像現像用トナーが重合法により製造されることを特徴とする請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナーが、下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(1)体積中位径(Dv50)が4μm以上7μm以下である。
(2)平均円形度が0.94以上である。
(3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50) を
満たす。
(4)個数変動係数が24%以下である。
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