JP2017102395A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
これらプリンターや複写機はアナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、長期間にわたる使用においても安定した画質が求められている。さらには給紙速度を高速化したときにも現像性及び定着性の良いトナーが求められており、結着樹脂の改良や離型剤の改良等が行われている。
給紙速度を上げた次世代機においては、トナーが定着ニップ部を通過する時間が短くなるため、トナーが受ける熱量と圧力が小さくなる。このとき、はがれという問題を解決することが困難となる。
本発明において、はがれとは、トナーが紙に定着せずに印字された画像が白くぬけてしまう現象である。この現象は、高印字率画像の後端の凹部において起こりやすい。この理由として、高印字率の画像になるほど、定着器からの熱量がより多くのトナーに分散されるためにトナー一粒が受ける熱量は小さくなることが挙げられる。また、紙の後端になるほど、定着器から与えられる熱量が小さくなる傾向があることや、紙の凹凸の凹部では、加圧ローラによる加圧が弱くなることなどの理由がある。
給紙速度を高速化した次世代機においては、前述のようにトナーが受ける熱量と圧力が小さいため、はがれが発生しやすい。そのため、はがれを抑制するようなトナーの設計が求められるが、その際に、つぶれが発生しやすくなってしまうことが懸念される。したがって、次世代の高速機においてはがれとつぶれの問題を同時に解決するためには、紙の先端の凸部でトナーを変形させすぎずに、紙の後端の凹部で定着性能を向上させる技術が求められている。
ドを起こし、トナー表面へ染み出す問題が生じる。上記環境を、苛酷環境と呼び、その環境でトナーを放置することを、苛酷環境放置と呼ぶ。この問題が発生すると、苛酷環境放置後のトナーの表面の離型剤露出量が多くなるため、トナーの帯電安定性や流動性に影響を与え、濃度等の現像性能が大幅に低下してしまうことがある。
このように、次世代の高速機において、トナーのはがれ、細線つぶれの解決と苛酷環境放置後の現像性の両立は困難な課題である。
これらの問題に対し、トナー中の離型剤のドメインの存在状態を制御することで離型剤量に対して効果的に離型性能を発揮させる検討がされている。特に、離型剤のドメインの径や面積比率に関して、既に検討がされている。
特許文献1では、離型剤を2種類併用し、ドメイン径のピークを2つ存在させることによって、低温定着性の改良を狙っている。
特許文献2では、トナー断面における離型剤のドメインの断面積の占める比率の規定を行うことで、低温定着性の改良を狙っている。
本発明の目的は、上記のような問題を解決することにある。具体的には、次世代の高速機において、画像のはがれや、細線のつぶれが少なく、かつ苛酷環境放置後における使用においても、安定した画像濃度の良好な画像が得られるトナーを提供することにある。
走査透過型電子顕微鏡により観察したトナー断面において、
該離型剤がドメインを形成しており、
該トナー断面の長径をR(μm)とし、
該トナー断面に存在する該離型剤のドメインの長径をrとし、
該離型剤のドメインのうち、r/Rが0.125≦r/R≦0.375のドメインをドメインAとし、r/Rが0.000625≦r/R≦0.0625のドメインをドメインBとしたときに、
該トナー断面の長径Rの相加平均値が4≦R≦12を満たし、
該トナー断面において該ドメインAの占める面積の割合をSA、該ドメインBの占める面積の割合をSBとしたときに、下記式(1)及び(2)を満たし、
2.5%≦SA≦30% (1)
0.1≦SB/SA≦0.8 (2)
該トナー断面における該ドメインBのアスペクト比が0.3以下であることを特徴とするトナー。
結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有するトナーであって、
透過型電子顕微鏡により観察したトナー断面において、
該離型剤がドメインを形成しており、
該トナー断面の長径をR(μm)とし、
該トナー断面に存在する該離型剤のドメインの長径をrとし、
該離型剤のドメインのうち、r/Rが0.125≦r/R≦0.375のドメインをドメインAとし、r/Rが0.000625≦r/R≦0.0625のドメインをドメインBとしたときに、
該トナー断面の長径Rの相加平均値が4≦R≦12を満たし、
該トナー断面において該ドメインAの占める面積の割合をSA、該ドメインBの占める面積の割合をSBとしたときに、下記式(1)及び(2)を満たし、
2.5%≦SA≦30% (1)
0.1≦SB/SA≦0.8 (2)
該トナー断面における該ドメインBのアスペクト比が0.3以下であることを特徴とするものである。
まず、はがれという現象について説明する。はがれとは前述のように、トナーに与えられる熱量と圧力の小さい高印字率画像において、紙の後端の凹部で、トナーが紙に定着せずに画像が白くぬけてしまう現象である。これは、定着時にトナーが受ける熱量と圧力が小さいためにトナー表面に離型剤が充分に染み出しておらず、紙との接着効果や定着フィルムとの離型効果が発揮されていないために発生すると考えられる。
次に、つぶれという現象について説明する。つぶれとは前述のように、トナーに与えられる熱量と圧力の大きい紙の先端の凸部において、印字した細線がつぶれてしまう現象である。この現象は、定着時に大きな熱量と圧力を受けて変形したトナーの離型剤が、トナーの結着樹脂と相溶して樹脂を軟化させることで、トナーが大きく溶融変形してしまうことによって生じる。
以上のように、トナーに与えられる熱量と圧力が小さいために生じるはがれと、トナーに与えられる熱量と圧力が大きいために生じるつぶれはトレードオフの関係にある。
具体的には、大きなドメインと小さなドメインの離型剤をトナー内部に分散させ、さらに小さなドメインの形状を針状に制御することで、上述のトナーを達成できる。
。即ち、定着時にトナーを変形させすぎずに、離型剤をすばやく表出させることができる。また、定着時の様に大きな熱を受けたときにのみ、トナーの表面に離型剤を染み出させる構成であるため、例えば、50℃のような保存性は良好となる。
その結果、定着時に過度な溶融変形をすることなく、いち早く表面に離型剤が染み出すため、はがれと細線のつぶれの問題を同時に解決することができ、耐熱保管性も良好なトナーを得ることができる。
本発明においては、離型剤のドメインの(r/R)が上述のように、0.125≦(r/R)≦0.375を満たす該離型剤のドメインA、及び、0.000625≦(r/R)≦0.0625を満たす該離型剤のドメインBをトナー中に有する。つまり、離型剤のドメインAとドメインBとが同時に存在するトナーにおいて、離型性能を発揮するために充分な大きさを持つドメインAに対して、相応の総面積をもつドメインBが存在している構成である。
本発明では、トナーの断面において、該トナー断面の長径R(μm)の相加平均値が、4μm以上12μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがより好ましい。長径Rが上記範囲であることで、トナーの帯電安定性や定着性の向上が可能である。長径Rは、分散安定剤部数やTKホモミキサー回転数等により制御することができる。
ドメインAの(r/R)は、0.2以上0.325以下であることが好ましい。ドメインAの(r/R)は、離型剤の添加量、後述の(i)工程の冷却速度1及び(ii)工程(a)の保持時間及び(b)の経過時間によりにより制御することができる。
また、SAは5%以上20%以下であることが好ましい。SAは、離型剤の添加量、後述の(i)工程の冷却速度1及び(ii)工程(a)の保持時間及び(b)の経過時間によりにより制御することができる。
また、本発明のトナーは、トナー断面におけるドメインBの面積の割合SBが0.1≦SB/SA≦0.8である。ドメインBの総面積の割合がこの範囲であることによって、熱溶融時にドメインAがドメインBを通り道としてすばやくトナー表面へと染み出すこと
ができる。ドメインAの面積に対するドメインBの面積比率が小さすぎると、熱溶融時にドメインAの離型剤の染み出しの通り道になる効果が充分に発揮できない。さらに、ドメインAの面積に対するドメインBの面積比率が大きすぎる場合は、トナーの脆性が低下し割れやすくなる。また、定着時にトナー全体の結着樹脂が軟化して細線つぶれが発生しやすくなる。
SB/SAは0.1以上0.6以下であることが好ましい。SBは、離型剤の種類、後述の(i)工程の冷却速度1及び(ii)工程(a)の保持時間及び(b)の経過時間によりにより制御することができる。
該アスペクト比は0.2以下であることが好ましい。下限は、特に制限されないが、好ましくは0.01以上である。
本発明に用いる離型剤としては、公知の材料を使用する例として以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で炭化水素ワックス以外のワックス
を併用することができる。本発明において、アスペクト比を0.3以下にするには、例えば、離型剤の総量に対する炭化水素ワックスの量を35質量%以上とし、かつ、製造工程において、離型剤を融点以上の温度で溶かした後、結晶成長させるなどの手段を同時に満たすことが好ましい。離型剤の総量に対する炭化水素ワックスの量は、35質量%以上100質量%以下が好ましい。
炭化水素ワックスに組み合わせる他のワックスとして、公知のワックスを使用することが可能である。結着樹脂に対する可塑能力の観点から、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものを好適に用いることができる。
トナー断面の中心点に離型剤のドメインが存在させるためには、離型剤の酸価及び水酸基価を低い値に制御することが好ましい。さらに、トナーの製造工程において、結着樹脂と離型剤をそれぞれの融点以上の温度で同時に溶かし、その後に冷却を行うことによって、酸価及び水酸基価の低い離型剤はトナーの中心付近に存在しやすくなる。以下、トナー断面の中心点に離型剤のドメインAが存在するトナーの割合(個数%)を、中心率とも呼ぶ。
本発明において、はがれとつぶれの両立は、トナー表面近傍の領域におけるドメインBの個数にムラが少ないことが重要である。また、離型剤が結晶化しているドメインBがトナー表層付近に均一に存在することで、苛酷環境放置後の外添剤埋没を抑えることができ、濃度薄が改善される。したがって、変動係数が上述の範囲を満たすことで、はがれ、つ
ぶれ及び耐熱保管性の解決、全ての問題を高度に両立することができる。本発明において、トナー表面から1.0μm以内の4つの領域W,X,Y,Zに存在するドメインBの存在個数の変動係数を、以後、表層ドメイン変動係数とも呼ぶ。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、及び、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、及び、C.I.ピグメントレッド254。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤、及び磁性粉体を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー中の分散性の点から選択される。
酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m2/gであることが好ましく、3〜2
8m2/gであることがより好ましい。また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。磁
性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
なお、磁性粉体の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナーを十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍〜4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性粉体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性粉体を得ることができる。
RmSiYn (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
用いるカップリング剤の総処理量は磁性粉体100質量部に対して0.9〜3.0質量部であることが好ましく、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが重要である。
着色剤の添加量は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対し、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。磁性粉体を用いる場合は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対し、好ましくは20質量部以上200質量部以下、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
スチレン系重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどのスチレン系重合性単量体が挙げられる。
アクリル系重合性単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体が挙げられる。
メタクリル系重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体が挙げられる。
その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
なお、スチレンアクリル樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、結着樹脂はその他公知の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
中でも、樹脂系帯電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、その金属がアルミニウム又はジルコニウムのものがより好ましい。さらに好ましい制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
樹脂系帯電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
荷電制御剤の配合量は、重合性単量体100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上10.0質量部以下である。
まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、及び必要に応じて結晶性物質、荷電制御剤等の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
懸濁重合法とは、結着樹脂を構成する重合性単量体、離型剤及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を分散剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散・造粒する。そして、該重層性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合反応を行い、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては前述のスチレンアクリル樹脂を形成する重合性単量体が挙げられる。中でも、スチレンを単独で、又は他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止さ
れる程度の撹拌を行なえばよい。
こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下使用することが望ましい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は通常40℃以上、好ましくは50〜100℃の温度に設定される。
以下の(i)、(ii)工程は、トナー粒子の製造後に行うことが好ましい。例えば、後述の懸濁重合法の場合は、重合性単量体の重合反応を行った後に該(i)、(ii)工程を行うことが好ましい。
(i)工程は、該トナー粒子が分散された水系媒体を、離型剤の結晶化温度Tc(℃)及びトナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれかのうち高い温度よりも高い温度(
Tc(℃)及びTg(℃)よりも高い温度)から該Tg(℃)以下の温度へ、冷却速度5.00℃/分以上で冷却する工程である。
懸濁重合法において、重合性単量体を重合する際の重合温度が(i)工程における、離型剤の結晶化温度Tc(℃)及びトナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)のいずれの温度
よりも高い温度である場合、さらに水系媒体を加熱する等の操作は必要がない。一方、水系媒体の温度が上記温度に満たない場合、これを満たすように、水系媒体の温度を上げることが好ましい。
(i)工程においては、まず、結着樹脂と離型剤を共に十分に溶融させるために、30分以上600分以下、水系媒体の温度が、離型剤の結晶化温度Tc(℃)及びトナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)より高い温度になるように温度を維持することが好ましい。
30分以上高温状態での維持を行うことによって、中心率が80%以上のトナーを得やすくなる。
.00℃/分以上の速度で急速に冷却する。ここで、冷却の開始温度T1は、水系媒体の温度が離型剤の結晶化温度Tc(℃)及びトナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)より高
い温度であり、急速に冷却する直前の温度である。続いて、冷却の停止温度T2は、急速に冷却する操作を終了した際の水系媒体の温度である。(i)工程における水系媒体の冷却速度1は、下記式により求める。
冷却速度1=(T1(℃)−T2(℃))/冷却に要した時間(分)
本発明において、上述の冷却速度は5.00℃/分以上が好ましい。冷却速度が5.00℃/分以上の場合、後述の(ii)工程において、離型剤のドメインBの生成される個数が多くなり、得られるトナーの定着性及び苛酷環境放置後の現像性が良好となる。好ましい冷却速度の範囲は、55.00℃/分以上であり、さらに好ましい範囲は、95.00℃/分以上である。上限は特に制限されないが、好ましくは3000℃/分以下である。これらの範囲で冷却を行うことによって、ドメインBの生成個数をさらに増やすことができる。
工程であることが好ましい。冷却の開始温度T1が上述のように、結晶化温度Tc(℃)より5〜22℃高い場合、トナー粒子における離型剤の分散状態を制御しやすくなり、定着性及び苛酷環境放置後の現像性がさらに良好になる。
(a)該(i)の工程を経た該水系媒体を、トナー粒子のガラス転移温度Tg±10℃の温度領域において30分以上保持する工程、又は、
(b)該(i)の工程を経た該水系媒体を、トナー粒子のガラス転移温度Tg±10℃の温度に20分以上経過するように、冷却する工程
である。
(ii)工程では、トナー粒子内部において、離型剤の結晶核生成及び結晶成長による結晶化度の向上を行う。結晶核の生成及び結晶成長は、トナー粒子のガラス転移温度Tgに対し、上述の温度領域において、好適に進む。
系媒体を加熱又は冷却することにより、複数回に渡り上述の温度領域の範囲内にした場合、累積の冷却時間を、経過時間とする。経過時間が20分以上であると、結晶成長が十分になり、定着性及び現像性が良好になる。
冷却速度2=(T3(℃)−(Tg−10℃))/経過時間(分)
本発明のトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径が4〜80nm、より好ましくは6〜40nmの無機微粉体がトナー粒子に添加されることが好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。添加量が0.1質量部以上でその効果が十分となり、3.0質量部以下で定着性が良好になる。無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する(トナー粒子の場合も同様に算出する)。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電
気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
察方法>
トナーの走査透過型電子顕微鏡(STEM)による断面観察は以下のようにして実施することができる。
トナー断面の観察は、トナー断面をルテニウム染色することによって行う。本発明のトナーに含有される離型剤は、結着樹脂のような非晶樹脂よりもルテニウムで染色されるため、コントラストが明瞭になり、観察が容易となる。染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
まず、カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス 正方形 No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。次に、PTFE製のチューブ
(Φ1.5mm×Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上に
前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。超音波ウルトラミクロトーム(Leica
社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナーの断面を出す。次に、膜厚250nmとなるように切削し、トナー断面の薄片サンプルを作製した。このよう
な手法で切削するこで、トナー中心部の断面を得ることができる。
得られた薄片サンプルを真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、TEM(JEOL社、JEM2800)のSTEM機能を用いてSTE
M観察を行った。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにて画像を取得した。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得
した。
トナーの断面のSTEM画像をもとに、離型剤のドメインの同定を、以下の手順により行う。
離型剤を原材料として入手できる場合、その結晶構造を、上述のルテニウム染色処理された走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナー断面の観察方法と同様にして、観
察し、原材料の結晶のラメラ構造の画像を得る。それらと、トナーの断面におけるドメインのラメラ構造を比較し、ラメラの層間隔が誤差10%以下であった場合、トナーの断面におけるドメインを形成している原材料を特定することができる。
離型剤の原材料を入手できない場合、次のように単離作業を行う。まず、トナーに対する貧溶媒であるエタノールにトナーを分散させ、離型剤の融点を超える温度まで、昇温させる。この時、必要に応じて、加圧してもよい。この時点で、融点を超えた離型剤が溶融している。その後、固液分離することにより、トナーから、離型剤の混合物を採取できる。この混合物を、分子量毎に分種することにより、離型剤の単離が可能である。
ルテニウム染色処理された走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナー断面の観
察により得られたSTEM画像をもとに、トナーの重量平均粒径(D4)に対し、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈するトナーの断面において、以下のように離型剤のドメインの長径及び短径を測定する。
まず、上記のように選択したトナー断面において、トナーの長径Rを測定する。100個の断面の長径Rの相加平均値を算出する。
本発明において、離型剤のドメインA及びBの長径は以下のように測定する。
ルテニウム染色処理された走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナー断面の観
察により得られたSTEM画像をもとに、離型剤のドメインの長径を計測する。その際、100個以上のトナーの断面を観察する。測定に用いるトナー断面は、重量平均粒径(D4)に対して、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈する断面ものとする。
まず、1個のトナー断面について、全てのドメインの長径r(μm)を計測する。該1個のトナー断面の長径R(μm)に対して、0.125≦(r/R)≦0.375のものをドメインAとし、0.000625≦(r/R)≦0.0625のものをドメインBとする。これを、100個以上のトナーについて行い、100個以上のトナーにおけるそれぞれの相加平均値をドメインAの(r/R)の平均値及びドメインBの(r/R)の平均値とする。
本発明において、離型剤のドメインBのアスペクト比とは、STEM画像をもとに、離型剤のドメインBの短径を長径で割った値で示されるアスペクト比(短径/長径)を意味する。
ルテニウム染色処理された走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナー断面の観
察により得られたSTEM画像をもとに、ドメインBの長径及び短径からアスペクト比を算出し、その相加平均を計測する。その際、100個以上のトナーの断面を観察する。全てのドメインBを計測し、相加平均アスペクト比を算出する。得られた相加平均アスペクト比を、離型剤のドメインBのアスペクト比とする。
上述の離型剤のドメインBのアスペクト比の測定と同様にして、トナー断面当りに含まれる離型剤のドメインBの個数を計測する。これを100個以上のトナーの断面について行い、一つのトナー断面当りのドメインBの個数を、離型剤のドメインBの個数とする。
上述のSTEM観察によって得られた画像をもとに、画像処理ソフトを用いて、トナー断面における離型剤の面積を算出する。面積の算出はドメインA及びドメインBそれぞれについて行い、離型剤のドメインが複数ある場合、面積を累積する。これを100個以上のトナーの断面について行う。トナー断面一つ当りの離型剤のドメインA及びドメインBの面積割合を下記式により求め、100個以上のトナー断面の面積割合の平均値をSA及びSBとする。
離型剤のドメインAの面積割合(SA)=「離型剤のドメインAの総面積」/「トナー断面の面積」×100(面積%)
離型剤のドメインBの面積割合(SB)=「離型剤のドメインBの総面積」/「トナー断面の面積」×100(面積%)
表層ドメイン変動係数の算出の仕方は、以下の通りである。
上記トナー断面のSTEM画像において、トナーの表面から1.0μm以内の表層領域をEとし、該トナー断面の最大長を与える弦を線分Cとし、該線分Cの中点を通り、該線分Cと直交する弦を線分Dとした場合に、該線分C及び該線分D、並びに該表層領域Eから形成される4つの領域をそれぞれW,X,Y,Zとする。
この画像をもとに、上述のドメインBの個数の測定と同様にして、それぞれの領域W,X,Y,Zに存在する離型剤のドメインBの個数を計測する。さらに、以下の式により、離型剤のドメインBの表層ドメイン変動係数を算出する。
表層ドメイン変動係数=「領域W,X,Y,Zに存在するドメインBの個数の標準偏差」/「領域W,X,Y,Zに存在するドメインBの個数の平均値」×100(%)
上述のSTEM観察によって得られた画像をもとに、以下の作業により、トナー断面の中心点を求める。画像処理ソフトを用いて、トナー断面から、トナーの輪郭(エッジ検出)を明らかにする。次いで、トナーの断面から重心によって導かれる点をトナーの中心点とする。その後、中心点に離型剤のドメインAが存在している場合のトナー断面の個数及び、存在していない場合のトナー断面の個数を、100個以上のトナーの断面について計測する。そして、下記式を用いて、中心率を算出する。
中心率=「中心点に離型剤のドメインAが存在しているトナー断面数」/「計測したトナー断面数」×100(個数%)
トナー粒子及び結着樹脂のガラス転移温度Tg(℃)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー粒子などの測定試料約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。 この昇温過程で、温度40℃〜10
0℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、該試料のガラス転移温度Tgとする。
離型剤の結晶化点は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、離型剤1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から140℃へ昇温した後、140℃から20℃の間で、下記の設定でモジュレーション測定を行う。
・昇温速度1℃/min
・振幅温度幅±0.318℃/min
・降温速度1℃/min
・振幅温度幅±0.318℃/min
この降温過程で、温度140℃から20℃の範囲において比熱変化が得られる。離型剤の結晶化点は、比熱変化曲線における最大発熱ピーク温度とする。
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸鉄第一水溶液50リットルに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過・洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散させ、リスラリーした。このリスラリー液に、コア粒子100部あたり珪素換算で0.20質量%となる珪酸ソーダを添加し、スラリー液のpHを6.0に調整し、撹拌することで珪素リッチな表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過、洗浄、更にイオン交換水にてリスラリーを行った。このリスラリー液(固形分50g/L)に500g(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにてろ過・洗浄し、乾燥・解砕して個数平均径が0.23μmの磁性酸化鉄を得た。
iso−ブチルトリメトキシシラン30部をイオン交換水70部に撹拌しながら滴下した。その後、この水溶液をpH5.5、温度55℃に保持し、ディスパー翼を用いて、周速0.46m/sで120分間分散させて加水分解を行った。その後、水溶液のpHを7.0とし、10℃に冷却して加水分解反応を停止させた。こうしてシラン化合物を含有する水溶液を得た。
上記磁性酸化鉄100部をハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS−2型)に入れ、回転数2000rpmで撹拌しながら、シラン化合物を含有する水溶液8.0部を2分間かけて滴下した。その後5分間混合・撹拌した。次いで、シラン化合物の固着性を高めるために、40℃で1時間乾燥し、水分を減少させた後に、混合物を110℃で3時間乾燥し、シラン化合物の縮合反応を進行させた。その後、解砕し、目開き100μmの篩を通して着色剤1を得た。
実施例及び比較例に用いた離型剤の性状を表1に示す。
イオン交換水720部に0.1モル/L−Na3PO4水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl2水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・ジビニルベンゼン 0.55部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.0部
・着色剤 90.0部
上記処方をアトライター(日本コークス工業株式会社)を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこに離型剤1を10質量部を添加混合し、45分間溶解した。その後重合開始剤tert−ブチルパーオキシピバレート5.0質量部を溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(プライミクス工業株式会社)にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で4時間反応させた。
続いて、懸濁液である水系媒体を95℃まで昇温させ、30分、保持した。その後、水系媒体に5℃水を投入し、135℃/分の冷却速度で95℃から50℃に冷却した。(この場合、開始温度T1は95℃、停止温度T2は50℃、冷却速度135℃/分とする。)
続いて、前工程を経た水系媒体を50℃で60分、保持を行った。(この場合、開始温度T3は50℃、トナー粒子のTg±10℃の温度領域における保持時間を60分とする。)
その後、水系媒体に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に濾過・乾燥して重量平均粒径(D4)が8.0μmのトナー粒子1を得た。このトナー粒子1のガラス転移点(Tg)は57℃であった。
その後、100質量部のトナー粒子1と、BET値が300m2/gであり、一次粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナー1を得た。得られたトナー1の結着樹脂に対するスチレンアクリル樹脂の含有量は、100質量%であった。トナー1の物性を表3に示す。
トナー1の製造において、結着樹脂、離型剤、離型剤添加後の溶解時間、冷却工程の条件を表2のように変更すること以外は同様にして、トナー2〜18、比較用トナー1〜11の製造を行った。得られたトナー、比較用トナーの組成と製造条件を表2に示す。なお、トナー8〜11及び18のトナー粒子のTgは、57℃であった。また、トナー8〜11及び18に用いたポリエステルは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる飽和ポリエステルで、樹脂重量平均分子量(Mw)が20000、Tgは57℃である。
(低分子ポリエステル1の合成)
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物:229部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物:529部
テレフタル酸:208部
アジピン酸:46部
ジブチルスズオキサイド:2部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに3時間保持した後、二口フラスコに無水トリメリット酸:44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。
離型剤2(融点82℃):5部
低分子ポリエステル1:25部
酢酸エチル:67.5部
イオン交換水:200.0部
以上を混合し、更に60%体積比の3mmのジルコニアを入れて、ペイントコンディショナーNO.5400型(米国REDDEVIL社製)を用いて重量平均粒径(D4)が400nmとなるまで分散し、離型剤分散液1を得た。
離型剤分散液1の製造において、離型剤2(5部)から離型剤3(2.5部)へ変更し、重量平均粒径(D4)は1.5μmとなるようにした以外は同様にして離型剤分散液2を製造した。
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
30部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
34部
テレフタル酸 30部
フマル酸 6.0部
酸化ジブチルスズ 0.1部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持する。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、非晶性ポリエステルである非晶性樹脂1を得た。
非晶性樹脂1の50.0部を酢酸エチル200.0部に溶解させ、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)3.0部をイオン交換水200.0質量部とともに加える。40℃に加熱して、乳化機(IKA製、ウルトラタラックス T−50
)を用いて8000rpmにて10分攪拌し、その後、酢酸エチルを揮発させて除去し、樹脂粒子分散液1を得た。
・着色剤1:50.0部
・カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬):5.0部
・イオン交換水:200.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントコンディショナーNO.5400型(米国REDDEVIL社製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積基準のメジアン径(D50)が220nm、固形分量が20質量%の着色剤分散液1を得た。
着色剤分散液1:25.0部
離型剤分散液1:30.0部
離型剤分散液2:30.0部
10質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液 1.5部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に混合し、IKA社製ウルトラタラックスT50にて混合分散した後、攪拌しながら45℃にて60分間保持した(凝集工程)。その後、樹脂粒子分散液1(50質量部)を緩やかに添加し、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱した。昇温までの間、適宜水酸化ナトリウム水溶液を追加し、pHが5.5よりも低くならないようにした。その後、96℃にて5時間保持した(融合工程)。
その後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更にイオン交換水3Lに再分散し、300rpmで15分間攪拌・洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.0になったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続し、比較用トナー粒子12を得た。
その後、100質量部の比較用トナー粒子12と、BET値が300m2/gであり、一次粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して比較用トナー12を得た。
(離型剤溶液1の調製)
・離型剤4 51.0質量部
・スチレン 104.0質量部
・n−ブチルアクリレート 53.0質量部
・メタクリル酸 8.0質量部
・n−オクチルメルカプタン 4.0質量部
上記成分を丸底フラスコに投入し、85℃に加熱して撹拌し、離型剤溶液1を得た。
・スチレン 63.0質量部
・n−ブチルアクリレート 32.0質量部
・メタクリル酸 5.0質量部
・n−オクチルメルカプタン 2.0質量部
上記成分を、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)2.0部が溶解したイオン交換水2900部にゆるやかに滴下し、78℃に加熱して1時間撹拌し、樹脂乳液1を得た。
アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)2.0部をイオン交換水1100部に溶解させ90℃に加温し、樹脂乳液1を28部添加した。続いてIKA社製ウルトラタラックスT50により、離型剤溶液1を加えて4時間分散させ、重合開始剤(KPS)2.5部をイオン交換水110部に溶解させた開始剤水溶液を添加した。この
系において90℃で2時間撹拌し、樹脂粒子分散液2を得た。
・スチレン 2.0質量部
・メチルメタクリレート 77.0質量部
・n-ブチルアクリレート 16.0質量部
・イタコン酸 5.0質量部
・n-オクチルメルカプタン 2.0質量部
上記成分を、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)2.7部が溶解したイオン交換水2800部に滴下した。続いてIKA社製ウルトラタラックスT50により分散させ、重合開始剤(KPS)11部をイオン交換水400部に溶解させた
開始剤水溶液を添加した。この系において78℃で2時間撹拌し、樹脂粒子分散液3を得た。
・着色剤1 50.0質量部
・カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0質量部
・イオン交換水 200.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントコンディショナーNO.5400型(米国REDDEVIL社製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積基準のメジアン径(D50)が220nm、固形分量が20質量%の着色剤分散液1を得た。
着色剤分散液1 200.0質量部
樹脂粒子分散液2 360.0質量部
樹脂粒子分散液3 40.0質量部
イオン交換水 1100.0質量部
50質量%塩化マグネシウム水溶液 120質量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に混合し、IKA社製ウルトラタラックスT50にて混合分散した後、攪拌しながら30℃にて60分間保持した(凝集工程)。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、保持した(融合工程)。
その後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更にイオン交換水3Lに再分散し、300rpmで15分間攪拌・洗浄する。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.0になったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続し、比較用トナー粒子13を得た。
その後、100質量部の比較用トナー粒子13と、BET値が300m2/gであり、一次粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して比較用トナー13を得た。
得られたトナーの物性を表3に示す。
<評価1.低温定着性(はがれ)>
実施例用トナー1を用いて以下の評価を行った。
画像形成装置としては、LBP−6300(キヤノン(株)製)を用い、プロセススピードを約1.5倍の300mm/秒に改造した。印刷速度を増加しているため、トナーの定着性が低下する厳しい評価を行うことができる。さらに定着器の温調を10℃下げ、190℃とした。23℃、50%RHの環境下において、評価間には定着器を取り外し、定
着器を扇風機などを使用して十分に冷やした状態で以下の評価を実施した。評価後に定着器を十分に冷やしておくことで、画像出力後に上昇した定着ニップ部の温度が冷やされることで、トナーの定着性を厳しく、さらに再現良く評価することが可能である。
はがれの評価に際して、FOX RIVER BOND紙(110g/m2、上記23℃、50%RH環境下に48時間以上放置した紙)を使用した。比較的表面の凹凸が大きい厚紙を用い、さらに放置した紙を使用することで、印字画像のはがれに関して厳しく評価することが可能である。
トナー1を用いて、定着器が十分に冷えた状態で、上記放置紙にベタ黒画像を出力した。この際、紙上のトナーの載り量を9g/m2となるように調節した。
トナー1の評価結果においては、白く抜けたはがれのない良好なベタ黒画像が得られた。はがれについての判断基準を以下に述べる。
A:非常に良好(はがれが全くない)
B:良好(よく見るとはがれが若干見られる)
C:普通(はがれが見られるが目立たない)
D:悪い(はがれが目立つ)
画像形成装置として、評価1で使用した改造機を用い、23℃、50%RHの環境で評価を行った。印刷速度を増加しているため、トナーの現像性も低下する厳しい評価を行うことができる。定着メディアにはB5のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、40g/m2)を用いた。メディアの面積を小さくすることにより、定着器が過剰に熱を保持しやすくなり、薄い紙を用いることで、紙が定着器から奪う熱量が小さくなる。このような検討を行うことによって、トナーが過剰に熱を受けやすくなり、細線のつぶれに対して厳しい評価が可能である。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記のようにランク評価した。上記、トナー1の評価結果においては、つぶれのない良好な画像を得ることができた。
A:非常に良好(3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能)
B:良好(3ポイントは、一部つぶれがみられるが判読可能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能)
C:普通(3ポイントは、一部判読不能な文字が発生、5ポイントは一部つぶれがみられるが判読可能)
D:悪い(3ポイントは、殆どの文字が判読不能、5ポイントも、一部あるいは全部が判読不能な状態)
画像形成装置として、評価1で使用した改造機を用い、23℃、50%RHの環境で評価を行った。印刷速度を増加しているため、トナーの現像性も低下する厳しい評価を行うことができる。カートリッジには、現像スリーブとして、直径14mm径のスリーブから直径10mm径のスリーブに変えた改造カートリッジを用いた。小径の現像スリーブを搭載したカートリッジを用いると、現像スリーブから感光体へのトナーの現像機会が低減することで現像性、特に画像濃度について厳しく評価することができる。定着メディアにはA4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。
この改造カートリッジを用いて、下記に示す苛酷環境放置後のトナー1を使用し、ベタ画像を連続で10枚連続で出力した。得られたベタ画像10枚を印字画像濃度(マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定し、その平均値を、ベタ濃度とした。ベタ濃度が高いほど、苛酷環境放置後が良好であることを示す。
上記、トナー1の評価結果においては、画像濃度が高く良好な画像を得ることができた。
画像濃度についての判断基準を以下に述べる。
A:非常に良好(1.40以上)
B:良好(1.30以上1.40未満)
C:普通(1.20以上1.30未満)
D:悪い(1.20未満)
温度21℃湿度90%に調整された恒温槽にトナー100gを置き、24時間エージング処理を行う。
その後、1時間当り12℃のペースで昇温させ、3時間かけて、57℃90%に調整する。
その状態で、3時間保持した後、1時間当り12℃のペースで降温させ、21℃90%に戻す。そして3時間保持した後に、再び昇温させる。このようにして、21℃90%と57℃90%の温度と湿度で、図1のように、10回昇温と降温を繰り返した。
このモードは、急激な熱変動をトナーに付与し、高温、低温を何度も繰り返すことにより、トナー内部の物質移動を促し、離型剤がトナー表面に染み出しやすくなる、苛酷環境放置の中では比較的トナーに対して厳しいモードである。この環境で放置され、トナー表面に離型剤が染み出すと、トナー母体に外添剤が埋め込まれることがあり、画像濃度が低下する。
実施例1にて、トナー1をトナー2〜18に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、いずれのトナーにおいてもはがれ、つぶれ、苛酷環境放置後画像濃度に問題はなく、Cランク以上であった。評価結果を表4に示す。
実施例1にて、トナー1を比較用トナー1〜13に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、はがれ、つぶれ、苛酷環境放置後画像濃度いずれかにおいて実施例1〜18の性能を下回っていた。評価結果を表5に示す。
Claims (4)
- 結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有するトナーであって、
走査透過型電子顕微鏡により観察したトナー断面において、
該離型剤がドメインを形成しており、
該トナー断面の長径をR(μm)とし、
該トナー断面に存在する該離型剤のドメインの長径をrとし、
該離型剤のドメインのうち、r/Rが0.125≦r/R≦0.375のドメインをドメインAとし、r/Rが0.000625≦r/R≦0.0625のドメインをドメインBとしたときに、
該トナー断面の長径Rの相加平均値が4≦R≦12を満たし、
該トナー断面において該ドメインAの占める面積の割合をSA、該ドメインBの占める面積の割合をSBとしたときに、下記式(1)及び(2)を満たし、
2.5%≦SA≦30% (1)
0.1≦SB/SA≦0.8 (2)
該トナー断面における該ドメインBのアスペクト比が0.3以下であることを特徴とするトナー。 - 前記トナー断面の中心点に前記離型剤のドメインAが存在するトナーの割合が80個数%以上である請求項1に記載のトナー。
- 前記結着樹脂の総量に対して、スチレンアクリル樹脂の含有量が80質量%以上である請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記トナー断面における前記トナーの表面から1.0μm以内の表層領域をEとし、
前記トナー断面の最大長を与える弦を線分Cとし、
該線分Cの中点を通り、該線分Cと直交する弦を線分Dとして、
該線分C及び該線分D、並びに該領域Eから形成される4つの領域をそれぞれW,X,
Y,Zとしたときに、
該領域W,X,Y,Zに存在する前記ドメインBの個数の変動係数が、40%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
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