JP2003167385A - 静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法

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JP2003167385A
JP2003167385A JP2001370029A JP2001370029A JP2003167385A JP 2003167385 A JP2003167385 A JP 2003167385A JP 2001370029 A JP2001370029 A JP 2001370029A JP 2001370029 A JP2001370029 A JP 2001370029A JP 2003167385 A JP2003167385 A JP 2003167385A
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Tatsuya Nagase
達也 長瀬
Asao Matsushima
朝夫 松島
Hisahiro Hirose
尚弘 廣瀬
Tomoe Kitani
智江 木谷
Takeshi Omura
大村  健
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な色度を示し、耐熱性が高く、低カブリ
であり、OHP透過性が良好で、且つ、臭気の無い静電
荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成
方法を提供する。 【解決手段】 静電荷像現像用トナーにおいて、トナー
粒子中の着色剤のフェレ平均水平径が10nm〜500
nmであり、2nm〜300nmのフェレ水平径を有す
る前記着色剤の割合が50個数%以上であり、且つ、前
記着色剤がローダミン化合物または該化合物のレーキ物
を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電荷像現像用ト
ナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高画質化の要求に伴って、トナー
粒子の小粒径化が進んでいる。しかしながら、粒径を小
さくすると、フルカラー画像の解像力や鮮鋭度は確かに
満足の行く方向となるが、微粒子化に伴って様々な影響
があることがわかってきた。加えて、トナー粒子を小さ
くすると、それだけトナーを構成している着色剤の偏在
によって帯電特性が影響を受けやすくなるという問題が
生じることが判った。
【0003】従来公知の小粒径化トナーとして、特開2
000−214629号には、懸濁重合法や乳化重合法
により得られる重合トナーが、水系媒体中の重合プロセ
スにおいてトナーの粒径や形状の制御が可能であり、且
つ、小粒径で分布の揃った、粒子上に角のない丸みを有
するトナーが得られることがに開示され、その細線再現
性、高解像性からデジタル画像用の小さなドット画像の
再現可能なトナーとして注目されている。
【0004】しかしながら、トナーに添加される着色剤
の分散性が、重合トナーでは粉砕トナーよりも劣ったも
のになりやすく、例えば、懸濁重合法を用いて重合トナ
ーを製造する場合、モノマー(単量体ともいう)に着色
剤である顔料を分散させた後に重合するが、重合の進行
とともにモノマー液滴の粘度が増大しやすいので、着色
剤の凝集が発生しやすいという問題点がある。また、乳
化重合法を用いて重合トナーを製造する場合には、会合
すなわち凝集工程におけるpH等の影響が着色剤の凝集
を促進し、着色剤凝集が発生しやすいという問題点があ
る。
【0005】この様に重合トナーは、その製造工程にお
いて着色剤の凝集が起こりやすく、分散性が悪くなりや
すいという問題点がある。
【0006】特に、多色画像形成方法においては、複数
のカラートナーを重ね合わせてカラー画像を形成するた
めには透過性が必要であり、特にOHPフィルム上に画
像形成する場合には適度な透過性が切実な問題となって
いる。
【0007】さらに、着色剤の分散性が悪いと、最終生
成品であるトナーの臭気に影響が出てしまう場合もある
ため、この観点からも着色剤の分散性向上が望まれる。
【0008】また、高温高湿環境下で画像形成装置を長
期間停止した後では、水分を吸収して帯電量の変動した
トナーと新しいトナーとが混在する状態が生じるため
に、網点を有するハーフトーン画像上に濃度ムラを発生
させたり、多色画像形成においては、各色現像剤のトナ
ー中に添加された着色剤の影響も加わり、各色現像剤間
の現像性に差が生じて色差の拡大を招く問題を有してい
る。
【0009】上記の問題点に鑑み、今日では、従来のカ
ラートナー以上に、トナー中での着色剤の分散性が良好
であり、且つ、バランスのとれた色相を示すトナーが要
求されるようになっている。
【0010】特に、マゼンタ着色剤としては、従来、ア
ゾレーキ顔料、アントラキノン系染料、キナクリドン系
顔料、ローダミン系染料及びそのレーキ顔料等様々なも
のが知られているが、その中でも、着色剤として良好な
色度を示し、耐熱性が高く、低カブリであり、OHP透
過性が良好で、且つ、トナーに組み込んだ時に臭気の無
いものが望まれている。
【0011】従来公知のマゼンタ着色剤の使用技術とし
ては、例えば、特開平9−179348号に記載のよう
に、着色剤として、C.I.ピグメントレッド122、
C.I.ピグメントレッド57:1またはC.I.ピグ
メントレッド81(ローダミン系染料)とからなるマゼ
ンタトナーを結着樹脂に対して特定の比率で用いること
により、ローダミン系染料の欠点である、耐光性やコピ
ー保管性を向上させ、更に、アゾレーキ顔料の欠点であ
る色再現域の狭さを改良したマゼンタトナーが開示され
ている。
【0012】また、特開平10−312088号には、
マゼンタトナーがC.I.ピグメントレッド122及び
C.I.ピグメントレッド57:1、シアントナーが
C.I.ピグメントブルー15:3、イエロートナーが
C.I.ピグメントイエロー180を各々着色剤として
用いることにより、十分な色再現域を有し、且つ、賦等
カラー画像保存性が向上したフルカラー画像形成用トナ
ーが開示されている。
【0013】しかしながら、上記記載のマゼンタ着色剤
を用いても、重合トナーに組み込んだ場合、良好な色度
を示し、耐熱性が高く、低カブリであり、OHP透過性
が良好で、且つ、トナーに組み込んだ時に臭気の無いも
のが得られていないのが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
な色度を示し、耐熱性が高く、低カブリであり、OHP
透過性が良好で、且つ、臭気の無い静電荷像現像用トナ
ー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法を提供する
ことである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成1〜15により達成された。
【0016】1.結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒
子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該トナー粒
子中、該着色剤のフェレ平均水平径が10nm〜500
nmであり、2nm〜300nmのフェレ水平径を有す
る前記着色剤の割合が50個数%以上であり、且つ、前
記着色剤が前記一般式(1)で示される化合物または該
化合物のレーキ物を含有することを特徴とする静電荷像
現像用トナー。
【0017】2.水系分散媒体中に、重量平均粒子径で
2nm〜300nmに分散された着色剤を用いてトナー
粒子を製造したことを特徴とする前記1に記載の静電荷
像現像用トナー。
【0018】3.結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成
しているトナー粒子を有し、該トナー粒子中の隣接し合
う島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノ
イ多角形の面積の平均値が20000nm2〜1200
00nm2であり、且つ、該ボロノイ多角形の面積の変
動係数が25%以下であることを特徴とする前記1また
は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【0019】4.結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成
しているトナー粒子を有し、該トナー粒子中の隣接しあ
う島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノ
イ多角形の面積の平均値が40000nm2〜1000
00nm2であり、且つ、該ボロノイ多角形の面積の変
動係数が20%以下であることを特徴とする前記1〜3
のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0020】5.結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成
しているトナー粒子を有し、該トナー粒子中の隣接しあ
う島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノ
イ多角形の面積の平均値が20000nm2〜1200
00nm2であり、且つ、160000nm2以上の面積
を有するボロノイ多角形の面積を有するボロノイ多角形
を形成する島が、該島全体の3〜20個数%であること
を特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の静電荷
像現像用トナー。
【0021】6.角がないトナー粒子の全トナー粒子に
おける割合が50個数%以上であり、個数粒度分布にお
ける個数変動係数が27%以下であることを特徴とする
前記1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナ
ー。
【0022】7.形状係数が1.01〜1.6の範囲に
あるトナー粒子の全トナー粒子における割合が65個数
%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下で、且
つ、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下で
あること特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の
静電荷像現像用トナー。
【0023】8.前記1〜7のいずれか1項に記載の静
電荷像現像用トナーを製造するに当たり、重合性単量体
を水系媒体中で重合して結着樹脂を製造するという工程
を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造
方法。
【0024】9.前記1〜7のいずれか1項に記載の静
電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
が、結着樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させる工程
を経て製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナ
ーの製造方法。
【0025】10.前記1〜7のいずれか1項に記載の
静電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
が、重合性単量体を重合して形成された結着樹脂粒子と
着色剤粒子とを塩析、融着する工程を経て製造されるこ
とを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0026】11.前記1〜7のいずれか1項に記載の
静電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
が、多段重合法によって得られる結着樹脂粒子と着色剤
粒子とを塩析、融着する工程を経て製造されたことを特
徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0027】12.前記1〜7のいずれか1項に記載の
静電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
が、樹脂粒子および着色剤を含有する着色粒子の表面
に、塩析、融着法によって結着樹脂粒子を融着させ、結
着樹脂層を形成する工程を経て製造されることを特徴と
する静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0028】13.前記8〜12のいずれか1項に記載
の静電荷像現像用トナーの製造方法を用いて製造された
ことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0029】14.感光体上に形成された静電潜像を可
視画像化し、該可視画像を記録媒体上に転写、加熱定着
させる工程を有する画像形成方法において、該加熱定着
がエンドレスベルト状のフィルムを有する定着器により
行われ、該可視画像化が、前記1〜7及び前記13のい
ずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを用いて行わ
れることを特徴とする画像形成方法。
【0030】15.静電潜像の形成が感光体上へのデジ
タル露光照射により行われることを特徴とする前記14
に記載の画像形成方法。
【0031】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は上記記載の種々の問題点を検討した結果、請求項1
に記載のように、結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒
子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該着色剤の
フェレ平均水平径が10nm〜500nmであり、該着
色剤の全粒子の中で、2nm〜300nmのフェレ水平
径を有する前記着色剤の割合が50個数%以上であり、
且つ、前記着色剤が前記一般式(1)で示される化合物
を含有させることにより、良好な色度を示し、耐熱性が
高く、低カブリであり、OHP透過性が良好で、且つ、
臭気の無い静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方
法及び画像形成方法を提供することが出来ることを見い
だした。
【0032】《着色剤》本発明に係る着色剤について説
明する。
【0033】本発明に係る着色剤は、フェレ平均水平径
が10nm〜500nmであり、該着色剤の全粒子の中
で、2nm〜300nmのフェレ水平径を有する前記着
色剤の割合が50個数%以上であり、且つ、前記着色剤
が前記一般式(1)で示される化合物を含有することが
必須要件である。
【0034】本発明に記載の効果を更に好ましく得る観
点から、着色剤のフェレ平均水平径は、50nm〜30
0nmであることが好ましい。また、トナー粒子中にお
いて、2nm〜300nmのフェレ水平径を有する前記
着色剤の割合は、好ましくは60個数%以上であるが、
更に好ましくは、80個数%〜100個数%である。
【0035】《着色剤のフェレ水平径》尚、本発明で用
いられるフェレ水平径とは、トナー粒子を水平上に任意
の状態で置いたときにおける粒子の水平方向の長さを表
すもので、着色剤のフェレ水平径とは、この様に任意に
置かれたトナー粒子の内部に存在する各着色剤の水平方
向の長さを表すものである。また、着色剤のフェレ平均
水平径とは、トナー粒子中の少なくとも100個のフェ
レ水平径の平均値である。
【0036】オフセット発生を抑制する観点から、本発
明に係るトナー粒子内における着色剤のフェレ水平径の
変動係数は、40%以下が好ましく、更に好ましくは3
5%以下であり、特に好ましくは30%以下である。ト
ナー粒子内の着色剤のフェレ水平径の変動係数は、下記
の式によって得られる。
【0037】フェレ水平径の変動係数={S2/K2}
×100(%) 式中、S2は100個の着色剤のフェレ水平径の標準偏
差を示し、K2はフェレ水平径の平均値を示す。
【0038】本発明において、トナー粒子内の着色剤の
フェレ水平径の変動係数とは、フェレ水平径の平均値の
バラツキ、結着樹脂を海とした場合における、着色剤を
含む島の大きさのバラツキを表すものである。
【0039】また、本発明では、変動係数が40以下と
なることが本発明に記載の効果を更に好ましく得ること
が出来るが、必ずしもこの変動係数の値が0の場合、す
なわち、フェレ水平径のバラツキが全くない状態である
必要性はない。
【0040】上記記載のトナー粒子中における着色剤の
フェレ平均水平径、フェレ水平径等のデータは、従来公
知の透過型電子顕微鏡装置による観察、粒子写真の撮
影、画像解析により得ることが出きる。透過型電子顕微
鏡としては、通常当業者の間でよく知られた機種で十分
観察され、例えば、LEM−2000型(トプコン社
製)、JEM−2000FX(日本電子製)等が用いら
れる。
【0041】本発明では、10,000倍の倍率で10
00個以上のトナー粒子の投影面から本発明で特徴とさ
れるトナー粒子内における島部の個数等の透過型電子顕
微鏡写真の結果より、フェレ平均水平径、フェレ水平径
等のデータを算出した。
【0042】透過型電子顕微鏡を用いた撮影方法は、ト
ナー粒子を測定する際に行う通常知られた方法を用い
る、すなわち、トナーの断層面を測定する具体的方法と
しては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分
散させた後、包埋し硬化させてもよく、粒径100nm
程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形した後、
必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、ま
たは、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダ
イヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサン
プルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、ト
ナーの断層形態を写真撮影する。得られた写真からトナ
ー粒子中における結晶性化合物の領域の形状を目視で確
認するとともに、該電子顕微鏡装置に備えられた画像処
理装置「ルーゼックスF」(ニレコ(株)社製)によ
り、撮影された画像情報を演算処理によって、トナー粒
子内における島として存在している着色剤のフェレ平均
水平径、フェレ水平径、個数、形状係数等の値が得られ
る。
【0043】本発明のトナーに係る着色剤は、トナー製
造工程時、水系分散媒体中に重量平均粒子径が2nm〜
300nmの微粒子状態に分散された着色剤(着色剤微
粒子ともいう)を用いて、トナー粒子中に添加され、好
ましくは、2nm〜200nmの範囲に分散される事で
ある。
【0044】ここで、「水系分散媒体」とは、水50質
量%〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0質量%〜5
0質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒とし
ては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒド
ロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解し
ないアルコール系有機溶媒が好ましい。また、水系分散
媒体中に微粒子状に分散された着色剤の重量平均粒子径
は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電
子社製)を用いて測定することが出来る。
【0045】本発明に係る着色剤を前記重量平均粒子径
を有する着色剤微粒子に調製する方法を以下に具体的に
詳述する。
【0046】〔着色剤微粒子の製造〕本発明のトナーを
得るために使用する着色剤微粒子は、界面活性剤を含有
する水系媒体中で着色剤微粒子を微分散させるための分
散装置を用いて形成されるものである。すなわち、図1
に示される分散装置は本発明のトナーに好ましく用いら
れる着色剤微粒子を微分散させる分散装置の一例であ
り、攪拌室を区画形成するスクリーンと前記攪拌室内に
おいて高速回転するロータとにより剪断力を生じて、そ
の剪断力の作用(さらに、衝突力・圧力変動・キャビテ
ーション・ポテンシャルコアの作用)により、着色剤を
界面活性剤を含有する水系媒体中に微分散させて微粒子
を得るものである。
【0047】ここで着色剤微粒子を分散させる水系媒体
中に含有される界面活性剤は臨界ミセル濃度(CMC)
以上の濃度で溶解しているものであり、使用される界面
活性剤は、前記重合工程で使用するものと同一のものを
使用することができる。
【0048】着色剤微粒子の重量平均粒子径(分散粒子
径)は2nm〜300nmとされ、好ましくは2nm〜
200nmである。着色剤微粒子の重量平均粒子径が1
0nm未満の場合には、水系中での着色剤の浮遊が激し
くなるために、また、重量平均粒子径が300nmを超
えると着色剤粒子が水系中に適度に分散されずに沈降し
易くなるために、着色剤をトナー粒子中に導入すること
が困難になり、着色剤粒子はトナー粒子中に取り込まれ
ることなく水系中で遊離したままであり好ましくない。
【0049】本発明のトナーに使用される着色剤微粒子
は、界面活性剤を含有する水系媒体中に着色剤を投入し
た後、最初にプロペラ攪拌機等により予備分散(粗分
散)を行い着色剤の凝集粒子の分散した予備分散液を生
成する。この予備分散液を、攪拌室を区画形成するスク
リーンと前記攪拌室内で高速回転するロータとを備えた
攪拌装置に供給して、当該攪拌装置により分散処理(微
分散処理)することにより好ましい分散状態を有する着
色剤微粒子の分散液が調製される。
【0050】本発明において、好ましい分散状態を有す
る着色剤微粒子を得るための分散処理用の攪拌装置とし
ては、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム
・テクニック(株)製)を挙げることができる。この
「クレアミックス」は、高速で回転させるロータ(攪拌
羽根)と、このロータを取り囲む固定されたスクリーン
(固定環)とを有し、被処理液に剪断力、衝突力、圧力
変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用を
付与させる構造を有するもので、これらの作用が相乗的
に機能することにより効果的に被処理液を乳化・分散さ
せるものである。
【0051】すなわち、この「クレアミックス」は、本
来はエマルジョンの生成(液体微粒子の分散)に使用さ
れるが、本発明者等は、固体である着色剤微粒子を水系
媒体中に分散させるための装置として使用することによ
り、好ましい平均粒子径を有し、かつ粒径分布のシャー
プな着色剤微粒子の分散液を得ることを見出した。
【0052】図1(a)は、高速回転するロータと、当
該ロータを取り囲む固定されたスクリーンとを示す模式
図であり、同図において、101はスクリーン、Mはス
クリーン101により区画形成された攪拌室、102は
攪拌室M内で高速回転するロータを示す。
【0053】ロータ102は、高速で回転する攪拌羽根
で、その回転数は通常4,500〜22,000rpm
で、好ましくは10,000〜21,500rpmであ
る。また、ロータ2の先端周速は通常10〜40m/s
ecで、好ましくは15〜30m/secである。
【0054】ロータ102を取り囲んで配置されるスク
リーン101は、多数のスリット(図示省略)より構成
された固定環からなる。スリットの幅は0.5〜5mm
で、好ましくは0.8〜2mmである。また、スリット
数は10〜50本で、好ましくは15〜30本である。
ロータ102とスクリーン101との間隙(クリアラン
ス)は、通常0.1〜1.5mmで、好ましくは0.2
〜1.0mmである。
【0055】着色剤微粒子の平均粒子径および粒径分布
はロータ102の回転数等の制御によって調整され、更
に、スクリーン101及びロータ102の形状を選択す
ることでも調整できる。具体的には、「クレアミック
ス」に標準装備されたスクリーン(S1.0−24、S
1.5−24、S1.5−18、S2.0−18、S
3.0−9)とロータ(R1〜R4)との組合せによっ
て好ましい分散状態のものが得られるが、自製して更に
好ましい分散状態を得るものであってもよい。
【0056】図1(b)は、ロータおよびスクリーンを
備えた連続式の処理装置(クレアミックス)を示す模式
図である。予備分散された分散液(予備分散液)は、図
1(b)に示す予備分散液入口104から、スクリーン
101とロータとの間の攪拌室に供給される。スクリー
ン101およびロータは、加圧真空アタッチメント10
3により囲まれており、温度センサー106、冷却ジャ
ケット107および冷却コイル108が配置されてい
る。予備分散液中の着色剤の凝集粒子は、高速回転する
ロータとスクリーン101とによって生じる剪断力が付
与されて解砕(微分散)される。
【0057】すなわち、スクリーン101とロータとの
間にある帯域状の攪拌室に供給された予備分散液中の着
色剤凝集粒子は、当該スクリーン101と当該ロータの
高速回転により生じる剪断力(機械的エネルギー)を受
け、また、剪断力に加えて、衝突力、圧力変動、キャビ
テーションおよびポテンションコアの作用により解砕
(微分散)されて着色剤微粒子となる。着色剤微粒子の
分散液は、スクリーン101のスリットから加圧真空ア
タッチメント103内に噴出され、好ましい平均粒子径
と粒子径分布のシャープな着色剤微粒子の分散液が得ら
れる。着色剤微粒子を含む分散液は、分散液出口105
aから次工程に送られる。
【0058】尚、105bは分散液の出口として別途設
けられているドレインである。ロータとスクリーンとの
作用により攪拌装置内において、着色剤凝集粒子は解砕
されて好ましい平均粒子径と粒子径分布のシャープな着
色剤微粒子(分散粒子)となるが、その形成機構は、以
下に示す複数の作用によるものである。
【0059】(1)高速回転するロータ(攪拌羽根)の
表面付近は、その速度勾配が大きいため表面付近では高
速剪断速度領域が形成され、この領域で発生する剪断力
により着色剤凝集粒子は解砕される。
【0060】(2)ロータ(攪拌羽根)の後方では、そ
の回転速度が大きい場合真空部(キャビテーション)が
発生し、回転によって発生した気泡を分散液の流速が低
下した段階で消滅させるが、同時に気泡の圧縮に伴い衝
撃圧力が生じ、この衝撃圧力により着色剤の凝集粒子は
解砕される。
【0061】(3)ロータ(攪拌羽根)はその高速回転
により予備分散液に圧力エネルギーを付与するが、圧力
エネルギーを急激に開放すると予備分散液の運動エネル
ギーが増大し、ロータによって流動する予備分散液はス
クリーンの開放部(スリット部)と密閉部(非スリット
部)との間を繰返し通過する際にその圧力エネルギーに
変動を与えることにより、圧力波を発生させ着色剤の凝
集粒子を解砕させる。
【0062】(4)大きな運動エネルギーを有する予備
分散液がスクリーンその他の壁に衝突する際に、衝突力
を受けた着色剤の凝集粒子は解砕され、シャープな粒子
径分布を有する着色剤微粒子となる。
【0063】(5)速度エネルギーを有する分散液がス
クリーンのスリット部を通過する際に噴流(ジェット
流)となる。噴流中のポテンシャルコア(粘流の作用を
受けない速度領域)では、周囲の流体が高速度で吸引さ
れる。このエネルギーを受けた着色剤の凝集粒子は解砕
され、シャープな粒子径分布を有する着色剤微粒子とな
る。
【0064】着色剤微粒子分散液を得るための分散時間
は、特に限定されるものではないが、5〜30分間で、
好ましくは7〜25分間である。また、循環させる場合
は、5パス以上が好ましく、更に好ましくは5〜20パ
スである。分散時間は長すぎると分散が過度になるため
に微細粒子の存在量が多くなってしまうために好ましく
ない。
【0065】また、本発明のトナーに好ましく用いられ
る着色剤微粒子を得るために、スクリーンおよびロータ
を備えた攪拌装置を具備する分散容器を使用し、この分
散容器内に収容された水系媒体中において、前記攪拌装
置の攪拌室から着色剤(着色剤を含む水系媒体)を噴出
させる回分式の分散処理を行うものであってもよい。
【0066】図1(c)は、そのような攪拌装置(クレ
アミックス)を具備する分散容器を示す模式図であり、
このような装置により分散処理が行われる。図1(c)
において、111は分散容器、112は攪拌装置、11
3は攪拌装置112を駆動させる為の攪拌シャフトであ
る。攪拌装置112は、図1(a)に示したものと同様
の構成(スクリーンおよびロータ)を有している。
【0067】予備分散液(着色剤の凝集粒子の分散液)
は、攪拌装置112の上部から攪拌室に入り、高速回転
するロータとスクリーンとの間に生じる強力な剪断力、
衝撃力および乱流によって攪拌され、重量平均粒径が3
0〜300nmの着色剤微粒子が形成され、スクリーン
のスリットから分散容器111内に噴出する。着色剤微
粒子の分散工程では、分散容器111をジャケット構造
とし、かかるジャケット内に温水または蒸気、必要に応
じて冷水等を流し、分散容器111内の温度制御を行っ
てもよい。
【0068】図1(c)に示した分散容器を使用して分
散処理を行う場合において、攪拌装置112の攪拌室か
らの着色剤の噴出方向(水系媒体中への着色剤微粒子の
噴出方向)としては、下方または水平方向であることが
好ましい。着色剤(着色剤微粒子)を下方または水平方
向に噴出させることにより、分散容器111中の水系媒
体が矢印Fに示すように流動する結果、下方に着色剤が
噴出され、その流れは壁に沿って上昇し、再度クレアミ
ックス内へ循環する方式となっている。このため、確実
に分散工程を繰り返すことができ、分散エネルギーを均
一に付与することができる。その結果、着色剤の分散径
等を均一化することができるものと推定される。これに
より、シャープな粒子径分布を有する着色剤微粒子を効
率的に形成することができる。
【0069】この様にして、本発明で好ましく用いられ
る着色剤粒子は、スクリーンとロータとによって生じる
剪断力の作用により、着色剤凝集粒子は解砕され、好適
な平均粒子径(重量平均粒径:30〜500nm)およ
びシャープな粒子径分布(標準偏差(σ)で30以下)
を有する着色剤微粒子(一次粒子に近い微粒子)の分散
液が得られ、この様な着色剤微粒子(分散粒子)を樹脂
微粒子との塩析/融着に供することにより、形成される
トナー粒子内に着色剤微粒子が確実に導入され、導入さ
れた着色剤粒子は遊離することはなく、当該トナー粒子
間において着色剤の含有割合にバラツキが生じない。
【0070】この結果、本発明のトナーを高温高湿下や
装置の長期使用停止期間を経ての画像形成に供した場合
でも、トナーの帯電量変動によるカブリや微細ドットの
チリなどの画像欠陥を発生させることがない。更に、本
発明では媒体を使用せずに着色剤微粒子をトナー粒子中
に分散させるので、トナー中に媒体の破砕片等の微細不
純物の残存することに起因する画像欠陥を発生させるこ
とがない。
【0071】着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状
態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散され
る水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で
界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0072】着色剤粒子の分散処理に使用する分散機
は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するロ
ーターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEAR
MIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散
機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式
ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイ
ヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0073】複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着
させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散
している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集
剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子
のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要で
ある。
【0074】塩析/融着させるために好適な温度範囲と
しては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特
に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされ
る。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限
溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0075】また、本発明においては樹脂粒子と着色剤
を水系媒体中において塩析、凝集、融着させて着色粒子
(本発明では、トナー粒子と呼ぶ)を得た後、前記トナ
ー粒子を水系媒体から分離するときに、水系媒体中に存
在している界面活性剤のクラフト点以上の温度で行うこ
とが好ましく、更に好ましくは、クラフト点〜(クラフ
ト点+20℃)の温度範囲で行うことである。
【0076】上記のクラフト点とは、界面活性剤を含有
した水溶液が白濁化しはじめる温度であり、クラフト点
の測定は下記のように行われる。
【0077】《クラフト点の測定》塩析、凝集、融着す
る工程で用いる水系媒体すなわち界面活性剤溶液に、実
際に使用する量の凝集剤を加えた溶液を調製し、この溶
液を1℃で5日間貯蔵した。次いで、この溶液を攪拌し
ながら透明になるまで徐々に加熱した。溶液が透明にな
った温度をクラフト点として定義する。
【0078】トナー粒子への過剰帯電を抑え、均一な帯
電性を付与するという観点から、特に環境に対して帯電
性を安定化し、維持する為に、本発明の静電荷像現像用
トナーは、上記に記載の金属元素(形態として、金属、
金属イオン等が挙げられる)をトナー中に250〜20
000ppm含有することが好ましく、更に好ましくは
800〜5000ppmである。
【0079】本発明に係る前記一般式(1)で表される
化合物または前記化合物のレーキ物について説明する。
【0080】一般式(1)において、R1a、R1b
2a、R2b、R3、R4で表される炭素数1〜5のアルキ
ル基としては、未置換でも置換基を有していてもよい
が、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0081】中でも、好ましく用いられるのは、R1a
1bの一方が水素原子、もう一方がエチル基であり、R
2a、R2bの一方が水素原子、もう一方がエチル基であ
る。
【0082】一般式(1)において、R1a、R1b
2a、R2b、R3、R4で表される炭素数1〜5のフルオ
ロアルキル基としては、各々、少なくとも一つのフッ素
原子を有するメチル基、エチル基、イソプロピル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。前記
の基は、更に置換基を有していてもよい。
【0083】一般式(1)において、R3、R4で表され
る炭素数1〜5のアルキル基の中でも、好ましく用いら
れるのはメチル基であり、特に好ましく用いられるの
は、R 3では3位のメチル基、R4では3’位のメチル基
である。
【0084】一般式(1)において、R5で表される炭
素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフルオロアル
キル基は、上記のR1a、R1b、R2a、R2b、R3、R4
表される基と同義である。
【0085】一般式(1)において、R5で表されるア
ルコキシル基としては、未置換でも置換基を有していて
もよいが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0086】一般式(1)において、R5で表されるハ
ロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、沃素原子等が挙げられる。
【0087】一般式(1)において、R5で表されるス
ルホ基の高級アミン塩としては、炭素数が4以上のアミ
ン、例えば、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ナ
フチルアミン、アニリン、アニシジン、フェネチジン、
トルイジン、キシリジン等が挙げられる。
【0088】一般式(1)において、R5で表されるカ
ルボキシル基の高級アミン塩としては、炭素数が4以上
のアミン、例えば、ブチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ナフチルアミン、アニリン、アニシジン、フェネチ
ジン、トルイジン、キシリジン等が挙げられる。
【0089】一般式(1)において、R5で表されるア
ルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカル
ボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニ
ル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。中でも、
メトキシカルボニル基が好ましく用いられるが、更に好
ましくは、2位に置換されることであり、特に好ましく
は、2位に置換したメトキシカルボニル基である。
【0090】一般式(1)において、R5で表される−
CONHR5基として、R5で表される炭素数1〜8のア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
【0091】一般式(1)において、R5で表される−
NHCOR6基として、、R6で表されるアルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げら
れる。
【0092】一般式(1)において、R5で表される−
SO27基として、R7で表される炭素数1〜8のアル
キル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げら
れる。
【0093】一般式(1)において、X-で表されるア
ニオンとしては、硫酸塩、過塩素酸塩、テトラフェニル
ボーレート、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスル
ホン酸塩、ハロゲンイオン等があげられる。
【0094】また、本発明に係る一般式(1)で表され
る化合物のレーキ物とは、前記一般式(1)で表される
化合物をリンタングステン酸、リンモリブデン酸、リン
タングステン・モリブデン酸のコンプレックスアシッド
等と造塩・不溶化して作られたレーキ顔料が好ましく、
中でも、リンタングステン・モリブデン酸のコンプレッ
クスアシッドにより生成させたレーキ顔料が好ましく用
いられる。
【0095】ここで、上記記載のリンタングステン・モ
リブデン酸のコンプレックスアシッドにより生成させた
レーキ顔料は、PTMAレーキともいう。
【0096】以下、一般式(1)で表される化合物の具
体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0097】
【化2】
【0098】本発明に係る一般式(1)で表される化合
物は、従来公知のキサンテン系ローダミン系化合物、例
えば、C.I.ソルベント・レッド49、C.I.ソル
ベント・レッド52、C.I.ソルベント・レッド18
0等と同様にして合成することが出来、また、市販品と
して入手することも可能である。
【0099】本発明においては、上記一般式(1)で表
される化合物はレーキ化して用いることが出来る。ここ
で、レーキ化は公知の方法で実施することが出来るが、
例えば、一般式(1)で表される化合物を酢酸水溶液に
溶解し、その溶液にリン酸二ナトリウム水溶液、タング
ステン酸ナトリウム水溶液、モリブデン酸ナトリウム水
溶液を添加してレーキ化した顔料を沈殿させる。レーキ
顔料をろ別水洗後、乾燥して粉砕して用いられる。
【0100】本発明に係る着色剤中での一般式(1)で
表される化合物の含有量は、30質量%以上が好ましい
が、更に好ましくは、30質量%〜100質量%であ
り、特に好ましくは、40質量%〜80質量%である。
【0101】また、本発明においては、下記のような着
色剤を用いることができる。本発明の静電荷像現像用ト
ナー(以下、単にトナーともいう)は、結着樹脂粒子と
着色剤粒子とを塩析/融着して作製することが好まし
い。本発明のトナーを構成する着色剤(樹脂粒子との塩
析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機
顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料
としては、従来公知のものを用いることができる。具体
的な無機顔料を以下に例示する。
【0102】黒色の顔料としては、例えば、ファーネス
ブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、
サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラッ
ク、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いら
れる。
【0103】これらの無機顔料は所望に応じて単独また
は複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加
量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは
3〜15質量%が選択される。
【0104】磁性トナーとして使用する際には、前述の
マグネタイトを添加することができる。この場合には所
定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜6
0質量%添加することが好ましい。
【0105】また、本発明においては下記のような着色
剤を併用することが出来る。有機顔料及び染料も従来公
知のものを用いることができ、具体的な有機顔料及び染
料を以下に例示する。
【0106】マゼンタまたはレッド用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメ
ントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.
ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、
C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレ
ッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、48:
2、48:3、48:4、48:5、C.I.ピグメン
トレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:
1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメ
ントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、
C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメント
レッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.
I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッ
ド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げら
れる。
【0107】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.
I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエ
ロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.
ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー
15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグ
メントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー9
4、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグ
メントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー1
85、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピ
グメントイエロー156等が挙げられる。
【0108】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグ
メントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー1
5:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグ
メントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が
挙げられる。
【0109】また、染料としては、例えば、C.I.ソ
ルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、
同111、同122、C.I.ソルベントイエロー1
9、同44、同77、同79、同81、同82、同9
3、同98、同103、同104、同112、同16
2、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、
同70、同93、同95等を用いることができ、またこ
れらの混合物も用いることができる。
【0110】これらの有機顔料及び染料は、所望に応じ
て、単独または複数を選択併用することが可能である。
また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%
であり、好ましくは3〜15質量%である。
【0111】本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤
粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤とし
ては、従来公知のものを使用することができ、具体的に
はシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アル
ミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができ
る。シランカップリング剤としては、例えば、メチルト
リメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチ
ルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ
ラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン
等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ
る。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社
製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されている
TTS、9S、38S、41B、46B、55、138
S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−
1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TO
G、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、
B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TO
A−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げら
れる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、
味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられ
る。
【0112】これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に
対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更
に好ましくは0.1〜5質量%である。また、着色剤粒
子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面
改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法が挙
げられる。この様にして表面改質された着色剤粒子は、
濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過
処理が繰り返された後、乾燥処理されて得られるもので
ある。
【0113】本発明に係るトナー粒子は海島構造を有す
ることが好ましく、ここで、海島構造とは、連続相中に
孤立した島状の相が存在する構造をいう。すなわち、本
発明の静電荷像現像用トナーでは、トナー粒子を構成す
る結着樹脂と着色剤の各成分は、お互いに混和せずに、
それぞれが独立して相を形成することが好ましく、その
結果として、海島構造を有するものが好ましく用いられ
ることになる。
【0114】そして、本発明に係るトナー粒子は、着色
剤の島が樹脂の連続相(海)に存在する構造をとること
が好ましい。
【0115】本発明に係るトナー粒子は、その構造が海
島構造を有するものであることは、透過型電子顕微鏡で
撮影された断面写真により、トナー粒子中に海の領域と
島の領域とが輝度の異なる領域をもって示されることで
確認される。すなわち、透過型電子顕微鏡により、連続
相中(結着樹脂の相)に輝度の異なる粒状の島(着色剤
の相)が存在していることが確認される。更に電子顕微
鏡の観察結果により、トナー粒子1個中の島の個数、島
の形状係数等のトナー粒子中の海島構造を特定する因子
を数値として得ることが出来る。
【0116】透過型電子顕微鏡における輝度とは、トナ
ー粒子を構成する各要素、すなわち結着樹脂、着色剤に
起因して発生する電子線透過率の差を可視化することに
より生ずるものであり、一般に着色剤は結着樹脂よりも
電子線の透過率が低いため低輝度に撮影される。
【0117】電子顕微鏡写真において、低輝度とは画素
(ピクセル)の輝度信号を256階調に分割した際に0
〜99階調にあるものを言い、中輝度とは80〜160
階調の範囲にあるもの、高輝度とは127〜255階調
にあるものをいうが、本発明では相対的なもの、すなわ
ち、前述のトナーの構成要素が写真によってそれぞれ判
別できればよく、必ずしも着色剤の輝度が上記の範囲で
定義付けられる低輝度の範囲内にあることを必須要件と
するものではない。
【0118】この様にして、本発明においてはトナー粒
子中の各構成要素を輝度を基に識別することによって、
海は海として、島は島として電子顕微鏡写真により目視
判定、識別することを可能にしているものであり、電子
顕微鏡装置に設置されている画像解析装置によって輝度
の情報を目視により識別可能なイメージ情報に変換させ
ているのである。
【0119】また、図2(a)、(b)は、共に海島構
造を有するトナー粒子の一例を示す模式図であり、電子
顕微鏡写真においては、海島構造を有するトナー粒子は
この模式図に示す様に連続相と島部とから構成されるも
のであることが確認される。
【0120】また、トナー粒子の外周に沿って長さa、
深さbの島部を有しない領域が存在するものであること
も確認される。
【0121】また、図2では、トナー粒子中の島部とし
て、着色剤の島の他にトナーの構成要素である結着樹脂
も連続相中に島構造を形成しているものであることが確
認される。
【0122】本発明に係るトナー粒子の構造を観察する
透過型電子顕微鏡装置としては、通常当業者の間でよく
知られた機種で十分観察され、例えば「LEM−200
0型(トプコン社製)」等が用いられる。本発明では、
10,000倍の倍率で1000個以上のトナー粒子の
投影面から、海島構造を有するトナー粒子内における島
部の個数等を透過型電子顕微鏡写真の結果から算出し
た。
【0123】本発明において、透過型電子顕微鏡を用い
た撮影方法は、トナー粒子を測定する際に行う通常知ら
れた方法で行われる。すなわち、トナーの断層面を測定
する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中
にトナーを十分分散させた後、包埋し硬化させてもよ
く、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた
後、加圧成形した後、必要により得られたブロックを四
三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用
し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトー
ムを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡
(TEM)を用い、トナーの断層形態を写真撮影した。
当該写真からトナー粒子中における着色剤の領域の形状
を目視で確認するとともに、該電子顕微鏡装置に備えら
れた画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ(株)社
製)により、撮影された画像情報を演算処理によって、
トナー粒子内における島部の特性が得られる。
【0124】以上の方法により、本発明に係るトナー粒
子の構造が特定される。以下、本発明に係るトナー粒子
の構造を特定する因子について詳細に説明する。
【0125】本発明に係るトナー粒子内に存在する着色
剤成分の島は、図2の模式図において島Bで示されるも
のである。この模式図から明らかな様に、海島構造を有
するトナー粒子中には着色剤成分の島以外に、他のトナ
ー構成要素の島が存在していてもよく、着色剤成分の島
とそれ以外の他の島とは双方の輝度が異なるので、電子
顕微鏡写真において容易に識別できる。尚、本発明に係
るトナー粒子中の着色剤成分の島は、以下に述べるボロ
ノイ多角形の面積に基づいて特定される。
【0126】本発明に係るトナー粒子中の海島構造中の
島部を特定する数値は電子顕微鏡装置により観察された
画像情報に基づいて電子顕微鏡装置に付設された画像解
析装置によって算出される。
【0127】本発明で用いられるボロノイ多角形の面積
とは、トナー粒子中における島部の占有状況を示すもの
である。ボロノイ多角形あるいはボロノイ多面体とは、
例えば岩波理化学事典にも掲載されている様に、空間
中、あるいは平面上に多数の点が分散しているときに隣
り合った点の垂直2等分面、垂直2等分線を作ることに
より空間全体を多面体に、または平面全体を多角形に分
割させ、この様にして形成される多面体をボロノイ多面
体、多角形をボロノイ多角形と呼び、この様な空間や平
面の分割をボロノイ分割と呼ぶ。図3にボロノイ多角形
によって分割した本発明に係るトナー粒子の一例を示
す。
【0128】この様に、本発明ではトナー粒子中に占め
る島部の割合を表す尺度として、トナー粒子の海島構造
中における島部の占有状態をボロノイ分割して得られる
ボロノイ多角形の面積により示すものである。すなわ
ち、本発明ではトナー粒子中に存在する島の重心に着目
し、隣接し合う島の重心を結んで作られる垂直2等分線
によって多角形を形成し、これらの多角形の面積を前記
透過型電子顕微鏡より得られた撮影写真の結果に基づき
電子顕微鏡装置に設置された画像解析装置により算出す
る。
【0129】ボロノイ多角形の面積の大きいものとは、
隣接し合う島の重心間の距離が離れたものであることを
示すものであり、すなわち、粒子中における島部の占有
状態の疎な状態のものを示すものである。また、ボロノ
イ多角形の面積の小さいものとは隣接し合う島の重心間
の距離が短く近接しているものであることを示し、すな
わち、粒子中の島の占有状態が密な状態にあることを示
すものである。本発明ではトナー粒子中の島部のボロノ
イ多角形については1000個のトナーについて測定を
行い、トナー粒子1個当たりの平均値を算出したもので
ある。
【0130】尚、ボロノイ多角形を数学的に一般定義す
ると、以下に示される式で定義されるものである。
【0131】《ボロノイ多角形の面積》2次元空間R
2、または3次元空間R3におけるN個の独立した点P
(i)(1≦i≦N)についてボロノイ多角形V(i)
の集合は、 V(i)={X||X−P(i)|<|X−P(j)|
for all i to j} 式中、X、Pは、各々、位置ベクトルであり、| |は
ユークリッド空間における距離を示す。
【0132】この様に定義されたV(i)はR2でボロ
ノイ多角形、R3ではボロノイ多面体を形成すると仮定
し、V(i)とV(j)とが隣合うときにボロノイ多角
形の境界は、点P(i)と点P(j)を結ぶ線分の垂直
2等分線の一部となるものと定義する。ユークリッド空
間については、数理科学大辞典等に定義、記載されてい
るとおりのものである。
【0133】また、本発明に係るトナー粒子の重心、及
びトナー粒子中の各島の重心は画像のモーメントによっ
て得られるもので、透過型電子顕微鏡装置に設置された
画像解析装置では自動的に算出される。ここで、トナー
粒子の重心座標は、トナー粒子の任意の点における微小
面積の有する輝度値とその任意の点の座標値との積を求
める。そして、トナー粒子全体に存在する全座標につい
て、その輝度と座標値の積を求め、その積の総和をトナ
ー粒子の輝度(前述の様にして得られた各座標点におけ
る輝度値の総和)で除することで求められるものであ
る。また、島の重心についても同様、島中の任意の座標
点における輝度を求めることによって、島の重心も算出
されるものである。この様に、本発明に係るトナー粒子
の重心座標、及びトナー粒子中に存在する各島の重心座
標とも各任意の点における輝度に基づき、すなわち画像
の明暗から算出されるものである。
【0134】本発明では、トナー粒子中の隣接し合う島
の重心間の垂直2等分線により形成されるボロノイ多角
形の面積の平均値が20,000nm2〜120,00
0nm2であり、且つ、その面積の平均値の変動係数が
25%以下でトナーが好ましく用いられる。ここで、ボ
ロノイ多角形の面積の変動係数は以下の式により算出さ
れる。
【0135】(ボロノイ多角形の面積の変動係数の算
出) ボロノイ多角形の面積の変動係数={S1/K1}×1
00(%) 式中、S1はトナー粒子に存在する島部のボロノイ多角
形の面積の標準偏差を示し、K1はボロノイ多角形の面
積の平均値を示す。
【0136】また、本発明に係るトナー粒子中の隣接し
合う島のボロノイ多角形の面積の平均値は40,000
nm2〜100,000nm2が好ましく、且つ、その変
動係数は20%以下であることが好ましい。
【0137】また、本発明ではトナー粒子中の隣接し合
う島のボロノイ多角形の面積の平均値が、20,000
〜120,000nm2であり、且つ、160,000
nm2以上の面積を有するボロノイ多角形を形成する島
が、該島全体の3個数%〜20個数%であるトナー粒子
が好ましく用いられる。更に、帯電量分布を均一にする
観点から、好ましくは50,000nm2以下の面積を
有するボロノイ多角形を形成する島が、トナー粒子1個
中に存在する該島全体の30個数%以上、更に好ましく
は60個数%以上である。
【0138】本発明に係るトナー粒子中の隣接し合う島
より形成されるボロノイ多角形の面積の平均値の変動係
数とは、ボロノイ多角形の面積のバラツキを特定するも
の、すなわちトナー粒子中における島部の占有状態のば
らつきを特定するものであり、ボロノイ多角形の面積の
平均値の変動係数が25%以下であることが好ましく、
更に好ましくは20%以下である。なお、変動係数が0
%のとき、すなわち、ボロノイ多角形の面積の平均値に
ばらつきのない状態、換言すればトナー粒子中における
島の占有状態に全くばらつきのない状態、どのトナー粒
子も島の占有状態が同じものである必要性は全くないの
である。
【0139】また、本発明では、ボロノイ多角形の面積
が160,000nm2以上となる島がトナー粒子1個
中に存在する島全体の3〜20個数%であることが好ま
しいが、これはトナー粒子中において、島が適度に分散
していることを意味するものであり、この様に適度に島
同士が距離を有していることで、トナー粒子中において
島が偏在することがなく、着色剤がトナー粒子中に効果
的に添加されていることが好ましい。
【0140】また、本発明では、トナー粒子の重心から
特定範囲内に存在する島により形成されるボロノイ多角
形の面積が、その範囲外に存在する島により形成される
ボロノイ多角形の面積よりも小さいものであることが好
ましい。すなわち、本発明ではトナー粒子の重心から半
径1000nmの外に存在する島によって形成されるボ
ロノイ多角形の面積の平均値が半径1000nm以内に
存在する島によって形成されるボロノイ多角形の面積の
平均値よりも大きいことが好ましく、このことはトナー
粒子中においては、島の分散状態がトナー粒子の重心か
らある程度離れた箇所ではまばらになっていることが好
ましいことを示す。前記のような条件を満足すること
で、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、トナー
粒子中において島を適度に粒子中に分散させることが出
来、本発明に記載の効果を好ましく得ることが出来る。
【0141】また、海島構造を有するトナー粒子におい
ては、トナー粒子の外周に沿った領域において島の存在
しない領域を有することが好ましい。ここで、島の存在
しない領域とは、例えば、図2(a)及び(b)の模式
図において、トナー粒子断面の外周に沿って長さa、深
さbで示される領域のことである。
【0142】すなわち、本発明のトナーでは、トナー粒
子断面の外周に沿って島部を全く含まない領域を有する
ことが好ましく、その領域は、深さが100〜200n
m、より好ましい深さは120〜180nmで、長さが
500〜6000nm、より好ましい長さは800〜4
000nmである。
【0143】上記記載の様に、トナー粒子の外周に沿っ
た特定領域内には島を存在させないようにすることによ
り、電荷保持性能を高め、トナーの表面近傍での光の散
乱の発生を防いでいると推測される。更に、トナー粒子
に添加された着色剤を最適に粒子内に分散させることに
より、本発明に記載の効果を促進させているものと推測
される。
【0144】また、本発明の海島構造を有するトナー粒
子の海部は、結着樹脂を構成成分として含有しているも
のである。
【0145】また、海島構造を有するトナー粒子中には
着色剤成分の島以外に、他のトナー構成要素の島が存在
していてもよいが、他のトナー構成要素の島としては、
結晶性物質の島が挙げられ、結晶性物質とは、具体的に
は、融点を有する有機化合物であって、好ましくはその
化合物構造中にエステル基を含有する炭化水素化合物で
ある。本発明に係るトナー粒子中の結晶性物質の融点は
トナーの軟化点よりも低い温度で、具体的には130℃
以下のものである。該有機化合物は、好ましくはその構
造中にエステル基を有するものものであり、結晶性ポリ
エステル化合物も含まれるものである。
【0146】前記島部を構成する結晶性物質の融点を確
認する方法としては、DSC(示差走査熱量法)が用い
られるが、結晶性については、X線回折装置等の手段に
より確認される。また、本発明のトナー中に含有される
結晶性物質は、画像形成時において離型剤としての機能
を発揮するものも含有される。
【0147】トナーの溶融粘度を下げ、紙等に対する接
着性の向上を図り、結晶性物質が存在しても、高温側の
弾性率を好ましい範囲に維持し、良好な耐オフセット性
を達成する観点から、前記結晶性物質の融点は50℃〜
130℃であることが好ましく、更に好ましくは60℃
〜120℃である。
【0148】ここで、結晶性物質の融点はDSCにて測
定された値であり、具体的には、0℃から200℃まで
10℃/minの条件で昇温(第一昇温過程)したとき
に測定される吸熱ピークの最大ピークを示す温度を融点
とする。そして、この融点は、後述する「DSCによる
第一昇温過程での吸熱ピーク(P1)」と一致するもの
である。
【0149】融点の具体的な測定装置としては、パーキ
ンエルマー社製のDSC−7等を挙げることができる。
DSCによる融点の具体的な測定方法は、昇温・冷却条
件としては、0℃にて1分間放置した後、10℃/mi
nの条件で200℃まで昇温し、その際に測定される最
大の吸熱ピークを示す温度を第一昇温過程での吸熱ピー
クP1とする。その後、200℃にて1分間放置後、1
0℃/minの条件で降温し、その際に測定される最大
の発熱ピークを示す温度を第一冷却過程での発熱ピーク
P2とする。
【0150】本発明のトナーに用いられる結晶性物質
は、DSCによる第一昇温過程での吸熱ピーク(P1)
が50℃〜130℃、特に60℃〜120℃に存在する
ことが好ましい。また、DSCによる第一冷却過程での
発熱ピーク(P2)が30℃〜110℃、特に40℃〜
120℃に存在することが好ましい。ここに、吸熱ピー
ク(P1)と、発熱ピーク(P2)とは、P1≧P2の
関係が成立する。温度差(P1−P2)は、特に制限さ
れないが、50℃以下であることが好ましい。
【0151】上記のような熱的特性を有する結晶性物質
を含有させることにより、優れたオフセット防止効果
(広い定着可能温度域)および優れた定着性(高い定着
率)を発揮させることができる。本発明の効果を発揮さ
せるためには、結着樹脂と結晶性物質とが互いに相分離
した状態で存在していることが好ましい。
【0152】すなわち、結晶性物質はシャープに溶解
し、結果としてトナー全体の溶融粘度を下げることがで
き、定着性を向上することができるものである。また、
互いに相分離して存在することにより、高温側での弾性
率の低下を抑えることが可能となるため、耐オフセット
性も損なうことがない。
【0153】本発明に係るトナー粒子の形状について詳
細に説明する。本発明に係るトナー粒子は、形状係数の
変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個
数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成され
るトナーを使用することで、トナー表面における外添剤
の存在状態が均一になり、帯電量分布がシャープになる
とともに高い流動性が得られる。その結果、現像性、細
線再現性に優れ、安定したクリーニング性を長期にわた
って形成することができる。
【0154】更に本発明者等は、個々のトナー粒子の微
小な形状に着目して検討を行った結果、現像装置内部に
おいて、トナー粒子の角部分の形状が変化して丸くな
り、その部分が外添剤の埋没を促進させ、帯電量の変
化、流動性、クリーニング性を低下させていることが判
明した。
【0155】また、摩擦帯電によってトナー粒子に電荷
を付与する場合には、特に角部分では外添剤が埋没しや
すくなり、トナー粒子の帯電が不均一になりやすいと推
定される。即ち、角がないトナー粒子の割合を50個数
%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27
%以下に制御されたトナー粒子から構成されるトナーを
使用することによっても、現像性、細線再現性に優れ、
高画質な画像を長期にわたって形成することができるこ
とを見出した。
【0156】更に、トナーを特定の形状としてその形状
を揃えた場合にも、外添剤の埋没が発生せず、且つ帯電
量分布がシャープとなることが判明した。すなわち、形
状係数が1.01〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割
合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16
%以下であるトナーを使用することでも、現像性、細線
再現性に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成する
ことができることを見出だした。
【0157】本発明のトナーの個数粒度分布および個数
変動係数について説明する。本発明のトナーの個数粒度
分布および個数変動係数とは、コールターカウンタTA
−IIあるいはコールターマルチサイザ(コールター社
製)で測定される。
【0158】本発明では、コールターマルチサイザを用
い、粒度分布を出力するインターフェイス(日科機社
製)、パーソナルコンピュータを接続して使用した。
【0159】前記コールターマルチサイザにおいて使用
するアパーチャとしては100μmのものを用いて2μ
m以上の体積径、個数径を測定して粒度分布および平均
粒径を算出した。個数粒度分布は、粒子径に対するトナ
ー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径は、
個数粒度分布における累積50%の径、すなわちDn5
0を表すものである。
【0160】トナーの個数粒度分布における個数変動係
数は下記式から算出される。 個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%) 式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dn
は個数平均粒径(μm)を示す。
【0161】転写されたトナー層の空隙が減少させて定
着性を向上させてオフセット発生を抑制し、帯電量分布
をシャープにして転写効率を高めて更なに画質向上を図
る観点から、本発明のトナーの個数変動係数は27%以
下が好ましく、更に好ましくは25%以下である。
【0162】上記の個数変動係数を制御する方法は特に
限定されない。例えば、トナー粒子を風力により分級す
る方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくする
ためには液中での分級が効果的である。この液中で分級
する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御し
てトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じて
トナー粒子を分別回収し調整する方法等が挙げられる。
【0163】次に、本発明のトナーの形状係数について
説明する。本発明のトナーは、形状係数が1.01〜
1.6の範囲にあるトナー粒子の全トナー粒子における
割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が1
6%以下で、且つ、個数粒度分布における個数変動係数
が27%以下のものが好ましく用いられる。
【0164】本発明のトナーの形状係数は、下記式によ
り示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示
す。
【0165】 形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積 ここで、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を
2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大
となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒
子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この
形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナ
ー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づ
いて「SCANNING IMAGE ANALYZE
R」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行う
ことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を
使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したも
のである。
【0166】次に、本発明に係る、角がないトナー粒子
について説明する。ここで角がないトナー粒子とは、電
荷の集中するような突部または、ストレスにより摩耗し
易い様な突部を実質的に有しないトナー粒子を云い、す
なわち、図4(a)に示す様に、トナー粒子Tの長径を
Lとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒
子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側を転がし
た場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみ出
さない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的
にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起
が1箇所以下である場合をいう。
【0167】また、「トナー粒子の長径」とは、当該ト
ナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線で挟んだと
き、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。な
お、図4(b)及び(c)は、それぞれ角のあるトナー
粒子の投影像を示す模式図である。
【0168】角がないトナーの測定は、次のようにして
行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡
大した写真を撮影し、更に拡大して15,000倍の写
真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無
を測定する。この測定を1000個のトナー粒子につい
て行った。
【0169】現像剤搬送部材などとのストレスにより微
細な粒子の発生を低減して現像剤搬送部材表面に対する
汚染を抑制して、帯電量分布をシャープ化し、帯電性を
安定させ、更に良好な画質を長期にわたって形成させる
という観点から、角がないトナー粒子の全トナー粒子に
おける割合が50個数%以上であることが好ましく、更
に好ましくは70個数%以上である。
【0170】角がないトナーを得る方法は、特に限定さ
れるものではない。例えば、形状係数を制御する方法と
して前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する
方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による
機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいは
トナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与する
ことによって得ることができる。
【0171】また、本発明のトナーとしては、トナー粒
子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横
軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分け
た個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最
頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前
記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子
の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるト
ナーであることが好ましい。
【0172】相対度数(m1)と相対度数(m2)との
和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の
粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成
工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制す
ることができる。
【0173】本発明において、前記の個数基準の粒度分
布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々の
トナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜
0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:
0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜
1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:
1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜
2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基
準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグ
ラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザ
により測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニ
ットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータ
において、粒度分布分析プログラムにより作成した。
【0174】〔測定条件〕 1:アパーチャ:100μm 2:サンプル調製法:電解液〔ISOTON II(コー
ルターサイエンティフィックジャパン社製)〕50ml
〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪
拌し、これに測定試料10mg〜20mgを加える。こ
の系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより
調製する。
【0175】本発明に係るトナー粒子の粒径について説
明する。本発明に係るトナー粒子の粒径は、個数平均粒
径で3μm〜9μmに調製することが好ましく、更に好
ましくは4.5μm〜8.5μmであり、特に好ましく
は5μm〜8μmである。
【0176】トナー粒子の粒径は、トナーの製造方法に
おいて、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、
融着時間、重合体の組成によって制御することができ
る。
【0177】個数平均粒径が3〜9μmであることによ
り、転写効率を高めハーフトーンの画質が向上し、細線
やドット等の画質が向上する。トナーの粒度分布の算
出、個数平均粒径の測定は、コールターカウンタTA−
II、コールターマルチサイザ(いずれもコールター社
製)、SLAD1100(島津製作所社製レーザ回折式
粒径測定装置)等を用いて測定することができる。本発
明においては、コールターマルチサイザを用い、粒度分
布を出力するインターフェース(日科機社製)、パーソ
ナルコンピュータを接続し測定、算出した。
【0178】次に、本発明のトナーの製造方法について
説明する。本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体
を水系媒体中で重合して得られるものであるが、この製
造方法は、重合性単量体を懸濁重合法により重合して樹
脂粒子を調製し、あるいは、必要な添加剤の乳化液を加
えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるい
はミニエマルジョン重合を行って微粒の樹脂粒子を調製
し、必要に応じて荷電制御性樹脂粒子を添加した後、有
機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を
凝集、融着する方法で製造するものである。
【0179】〈懸濁重合法〉本発明のトナーを製造する
方法の一例としては、重合性単量体中に荷電制御性樹脂
を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合
開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サ
ンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重
合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。
この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量
体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーや
ホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大き
さの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌
翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで
重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去
し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナ
ーを調製する。なお、本発明でいうところの「水系媒
体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたも
のを示す。
【0180】〈乳化重合法〉また、本発明のトナーを製
造するその他の方法として樹脂粒子を水系媒体中で塩析
/融着させて調製する方法も挙げることができる。この
方法としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、特開平5−265252号や特開平6−32994
7号、特開平9−15904号に示す方法を挙げること
ができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料
の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成され
る微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に
水中に、これらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝
集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成さ
れた重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させ
て融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の
粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止
し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形
状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱
乾燥することにより、本発明のトナーを形成することが
できる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコール
など水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0181】本発明のトナーの製造方法においては、重
合性単量体に結晶性物質を溶かした後、重合性単量体を
重合させる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤
粒子とを塩析/融着させる方法が好ましく用いられる。
重合性単量体に結晶性物質を溶かすとき、結晶性物質を
溶解させて溶かしても、溶融して溶かしてもよい。
【0182】また、本発明のトナーの製造方法として
は、多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色
剤粒子とを塩析/融着させる工程が好ましく用いられ
る。ここで、多段重合法について以下に説明する。
【0183】(多段重合法により得られる複合樹脂粒子
の製造方法)多段重合法を用いる場合、本発明のトナー
の製造方法は、以下に示す工程より構成されることが好
ましい。
【0184】1:多段重合工程 2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてト
ナー粒子を得る塩析/融着工程 3:トナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別し、
当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗
浄工程 4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、 5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程 から構成される。
【0185】以下、各工程について、詳細に説明する。 〔多段重合工程〕多段重合工程とは、オフセット発生防
止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大さ
せるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂
粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するた
めに重合反応を多段階に分けて行うものであって、得ら
れた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子
量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例え
ば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新た
に重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによってて低
分子量の表層を形成する方法が採られている。
【0186】本発明においては、製造の安定性および得
られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段
重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法
の代表例である二段重合法および三段重合法について説
明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナ
ーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ま
しい。
【0187】〈二段重合法〉二段重合法は、結晶性物質
を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)
と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構
成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0188】この方法を具体的に説明すると、先ず、結
晶性物質を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、こ
の単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)
中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第一段重
合)することにより、結晶性物質を含む高分子量の樹脂
粒子の分散液を調製するものである。
【0189】次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開
始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、樹
脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第二段重合)を行
うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単
量体の重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0190】〈三段重合法〉三段重合法は、高分子量樹
脂から形成される中心部(核)、結晶性物質を含有する
中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とに
より構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。本
発明のトナーでは上記の様な複合樹脂粒子として存在す
るものである。
【0191】この方法を具体的に説明すると、先ず、常
法に従った重合処理(第一段重合)により得られた樹脂
粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶
液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、結晶性物
質を単量体に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させ
た後、この系を重合処理(第二段重合)することによ
り、樹脂粒子(核粒子)の表面に、結晶性物質を含有す
る樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(中間層)を
形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹
脂)の分散液を調製する。
【0192】次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液
に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを
添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第
三段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低
分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成
する。上記方法において、中間層を組み入れることによ
り、結晶性物質を微細かつ均一に分散することができ好
ましい。
【0193】本発明のトナーの製造方法の1態様におい
ては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つ
の特徴である。すなわち、結晶性物質を含有する樹脂粒
子(核粒子)または被覆層(中間層)を形成する際に、
結晶性物質を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を
水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加
して重合処理することにより、ラテックス粒子として得
る方法である。
【0194】本発明でいう水系媒体とは、水50〜10
0質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる
媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等
を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアル
コール系有機溶媒が好ましい。
【0195】結晶性物質を含有する樹脂粒子または被覆
層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル
濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中
に、結晶性物質を単量体に溶解した単量体溶液を、機械
的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製
し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油
滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミ
ニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本
発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、
上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるい
は水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いて
も良い。
【0196】機械的に油滴を形成するミニエマルジョン
法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解
させた結晶性物質が脱離が少なく、形成される樹脂粒子
または被覆層内に十分な量の結晶性物質を導入すること
ができる。
【0197】ここで、機械的エネルギーによる油滴分散
を行うための分散機としては、特に限定されるものでは
なく、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置
「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テク
ニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザ
ー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなど
を挙げることができる。また、分散粒子径としては、1
0nm〜1000nmが好ましく、更に好ましくは50
nm〜1000nmであり、特にに好ましくは30nm
〜300nmである。
【0198】分散粒子径に分布を持たせることで、トナ
ー粒子中における結晶性物質の相分離構造、すなわちフ
ェレ水平径、形状係数及びこれらの変動係数を制御して
もよい。
【0199】なお、結晶性物質を含有する樹脂粒子また
は被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合
法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用
することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂
粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であっ
て、結晶性物質を含有しないものを得るためにも採用す
ることができる。
【0200】この重合工程で得られる複合樹脂粒子の粒
子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大
塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜
1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0201】また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(T
g)は48℃〜74℃の範囲にあることが好ましく、更
に好ましくは52℃〜64℃である。
【0202】また、複合樹脂粒子の軟化点は95℃〜1
40℃の範囲が好ましい。本発明のトナーは、樹脂およ
び着色粒子の表面に、塩析/融着法によって樹脂粒子を
融着させて樹脂層を形成させて得られるものであるが、
このことについて以下に説明する。
【0203】〔塩析/融着工程〕この塩析/融着工程
は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と
着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時
に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナ
ー粒子を得る工程である。
【0204】本発明において、塩析/融着とは、塩析
(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に
起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる
行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、
複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)
以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤
粒子)を凝集させることが好ましい。
【0205】この塩析/融着工程では、複合樹脂粒子お
よび着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子
(数平均一次粒子径が10nm〜1000nm程度の微
粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子
は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、
従来公知のものを使用することができる。
【0206】〔熟成工程〕熟成工程は、塩析/融着工程
に後続する工程であり、樹脂粒子の融着後も温度を結晶
性物質の融点近傍、好ましくは融点±20℃に保ち、一
定の強度で攪拌を継続することにより、結晶性物質を相
分離させる工程である。この工程において結晶性物質の
フェレ水平径、形状係数及びこれらの変動係数を制御す
ることが可能である。
【0207】また、本発明においては、凝集剤に用いる
2価(3価)の金属元素と後述する凝集停止剤として加
える1価の金属元素の合計値が350〜35000pp
mであることが好ましい。トナー中の金属イオン残存量
の測定は、蛍光X線分析装置「システム3270型」
〔理学電気工業(株)製〕を用いて、凝集剤として用い
られる金属塩の金属種(例えば、塩化カルシウムに由来
するカルシウム等)から発する蛍光X線強度を測定する
ことによって求めることができる。具体的な測定法とし
ては、凝集剤金属塩の含有割合が既知のトナーを複数用
意し、各トナー5gをペレット化し、凝集剤金属塩の含
有割合(質量ppm)と、当該金属塩の金属種からの蛍
光X線強度(ピーク強度)との関係(検量線)を測定す
る。次いで、凝集剤金属塩の含有割合を測定すべきトナ
ー(試料)を同様にペレット化し、凝集剤金属塩の金属
種からの蛍光X線強度を測定し、含有割合すなわち「ト
ナー中の金属イオン残存量」を求めることができる。
【0208】〔濾過・洗浄工程〕この濾過・洗浄工程で
は、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該
トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒
子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの
付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過
処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して
行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾
過法など特に限定されるものではない。
【0209】〔乾燥工程〕この工程は、洗浄処理された
トナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0210】この工程で使用される乾燥機としては、ス
プレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを
挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流
動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用す
ることが好ましい。
【0211】乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質
量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量
%以下とされる。
【0212】なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、
弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を
解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、
ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フ
ードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用すること
ができる。
【0213】本発明のトナーは、着色剤の不存在下にお
いて複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液
に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色
剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されること
が好ましい。
【0214】このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤
の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得る
ための重合反応が阻害されることない。このため、本発
明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれ
ることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画
像汚れを発生させることはない。
【0215】また、複合樹脂粒子を得るための重合反応
が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体
やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナー
を使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を
発生させることはない。
【0216】更に、得られるトナー粒子の表面特性は均
質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に
優れた画像を長期にわたり形成することができる。この
ようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が
均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工
程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良
好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセ
ット性および巻き付き防止特性の向上を図ることがで
き、適度の光沢を有する画像が得られる。
【0217】また、本発明に係る定着改良剤としては、
エステル基を有する結晶性化合物が好ましく用いられ
る。具体的には、高級脂肪酸エステル、カルナバワック
ス、ライスワックスなど天然ワックス、および結晶性ポ
リエステルが挙げられる。
【0218】エステル基を有する化合物の中でも特に好
ましく用いられるのは、下記一般式(2)で表されるエ
ステル系化合物である。
【0219】一般式(2) R1−(OCO−R2n 式中、nは1〜4の整数を表し、好ましくは2〜4、更
に好ましくは3〜4であり、特に好ましくは4である。
【0220】R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素
基を示す。 R1:炭素数=1〜40、好ましくは1〜20、更に好
ましくは2〜5 R2:炭素数=1〜40、好ましくは13〜29、更に
好ましくは12〜25 以下に、本発明に係るエステル基を有する結晶性化合物
の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0221】
【化3】
【0222】
【化4】
【0223】本発明に係るエステル基を有する結晶性化
合物は、樹脂粒子中に含有され、樹脂粒子を融着させて
得られるトナーに良好な定着性(画像支持体に対する接
着性)を付与する機能を有する。
【0224】また、かかる結晶性化合物の融点は60〜
110℃の範囲いあることが好ましく、更に好ましくは
70〜90℃の範囲である。
【0225】60〜110℃の範囲に融点を有するエス
テル基を有する結晶性化合物を用いることにより、トナ
ー全体の溶融粘度を下げることが可能となり、紙等に対
する接着性の向上を図ることができる。しかも、当該結
晶性化合物が存在しても、高温側の弾性率が好ましい範
囲に維持されるため、良好な耐オフセット性が得ること
が出来る。
【0226】ここに、結晶性化合物の融点とは、示差熱
量分析装置(DSC)にて測定された値をいう。具体的
には、0℃から200℃まで10℃/minの条件で昇
温(第一昇温過程)したときに測定される吸熱ピークの
最大ピークを示す温度を融点とする。そして、この融点
は、前述した「示差熱分析におけるトナーの吸熱ピー
ク」と一致する。
【0227】本発明に係る結晶性ポリエステルの数平均
分子量は1,500〜15,000であることが好まし
く、更に好ましくは2,000〜10,000である。
【0228】1,500〜15,000の範囲に数平均
分子量を有する結晶性ポリエステルによれば、得られる
トナーにおいて、その全体の溶融粘度低下を発揮させる
ための結着樹脂(無定形高分子)との溶融状態での相溶
性が向上され、より低温側での定着性が向上する。
【0229】ここに、結晶性ポリエステルの数平均分子
量とは、下記の条件に従って測定された分子量から求め
られる値をいう。
【0230】(条件) ・使用機種:「LC−6A」(島津製作所社製) ・カラム :「ウルトラスタイラジェルPlus」 ・分析温度:60℃ ・溶媒 :m−クレゾール/クロロベンゼン=3/1
(体積比) ・検量線 :標準ポリスチレン検量線 また、エステル基を有する結晶性化合物として、結晶性
ポリエステルを用いる場合には、その溶融粘度(融点+
20℃での溶融粘度)は300dPa・s以下であるこ
とが好ましく、更に好ましくは250dPa・s以下で
ある。
【0231】溶融粘度が300dPa・s以下である結
晶性ポリエステルによれば、得られるトナーにおいて、
結着樹脂を含めた全体の溶融粘度を下げることが可能に
なり、定着性が向上する。
【0232】ここに、結晶性ポリエステルの溶融粘度
(融点+20℃での溶融粘度)とは、コーンプレート粘
度計で測定された値をいう。
【0233】結晶性ポリエステルのGPC測定でのピー
ク分子量は6,000〜50,000の範囲が好まし
い。また、結晶性ポリエステルとしては、DSCによる
第一昇温過程での吸熱ピーク(P1)が60〜120℃
の範囲に存在するものが好ましい。
【0234】本発明に係る結着樹脂について説明する。
本発明に係る結着樹脂を造るための重合性単量体として
は、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて
架橋性単量体が用いられる。また、下記の様に構造中に
酸性極性基を有する単量体または塩基性極性基を有する
単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0235】(1)疎水性単量体 単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定
されるものではなく従来公知の単量体を用いることがで
きる。また、要求される特性を満たすように、1種また
は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0236】具体的には、モノビニル芳香族系単量体、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル
系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系
単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン
系単量体等を用いることができる。
【0237】ビニル芳香族系単量体としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェ
ニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルス
チレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル
スチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルス
チレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単
量体およびその誘導体が挙げられる。
【0238】(メタ)アクリル酸エステル系単量体とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2
−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタ
クリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリ
ル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、
メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0239】ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げ
られ、ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエ
ーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0240】又、モノオレフィン系単量体としては、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−
ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、ジ
オレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン等が挙げられる。
【0241】(2)架橋性単量体 樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加し
ても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエ
チレングリコールメタクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有
するものが挙げられる。
【0242】(3)酸性極性基を有する単量体 酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシ
ル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和
化合物、及び、(b)スルホ基(−SO3H)を有する
α,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができ
る。
【0243】(a)に記載のカルボキシル基を有する
α,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリ
ル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタ
コン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マ
レイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、
Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0244】(b)に記載のスルホン基を有するα,β
−エチレン性不飽和化合物の例としては、スルホン化ス
チレン、及びそのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリ
ルスルホコハク酸オクチル、及びこれらのNa塩等を挙
げることができる。
【0245】(4)塩基性極性基を有するモノマー 塩基性極性基を有するモノマーとしては、(a)アミン
基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜1
2、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アル
コールの(メタ)アクリル酸エステル、(b)(メタ)
アクリル酸アミドあるいは、随意N上で炭素原子数1〜
18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アク
リル酸アミド、(c)Nを環員として有する複素環基で
置換されたビニール化合物及び(d)N,N−ジアリル
−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示
することができる。中でも、(a)のアミン基或いは四
級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)
アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーと
して好ましい。
【0246】(a)に記載のアミン基或いは四級アンモ
ニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル
酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリ
レート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチ
ルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメ
タクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3
−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキ
シ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニ
ウム塩等を挙げることができる。
【0247】(b)に記載の(メタ)アクリル酸アミド
或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メ
タ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−
ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミ
ド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N
−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル
アミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げるこ
とができる。
【0248】(c)に記載のNを環員として有する複素
環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジ
ン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウ
ムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド
等を挙げることができる。
【0249】(d)に記載のN,N−ジアリル−アルキ
ルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモ
ニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウム
クロリド等を挙げることができる。
【0250】(重合開始剤)本発明に用いられるラジカ
ル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能であ
る。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′
−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド
化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル重合開始剤
は、必要に応じて還元剤と組み合せレドックス系開始剤
とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いるこ
とにより、重合活性を上昇させ、重合温度の低下が図
れ、更に、重合時間の短縮が達成できる等好ましい面を
有している。
【0251】重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生
成温度以上であれば、特に限定されるものではないが例
えば50℃から90℃の範囲である。但し、過酸化水素
−還元剤(アスコルビン酸等)を組み合わせた常温開始
の重合開始剤を用いることで、室温またはそれ以上の温
度で重合することも可能である。
【0252】(連鎖移動剤)分子量を調整することを目
的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連
鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例
えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、
tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有
する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する
化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシ
ャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オ
フセット性に優れることから好ましく用いられる。好ま
しいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、
チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピ
ル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブ
チル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリ
コール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリ
コール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基
を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト
基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基
を有する化合物を挙げることができる。このうち、トナ
ー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−
3−メルカプトプロピオン酸エステルが、特に好まし
い。
【0253】(界面活性剤)前述の重合性単量体を使用
して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面
活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好
ましい。この際に使用することのできる界面活性剤とし
ては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性
界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができ
る。
【0254】イオン性界面活性剤としては、例えば、ス
ルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、
3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−
ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリ
ウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルア
ニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニル
メタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−
スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル
硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタ
デシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、
脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウ
ム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カ
プロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン
酸カルシウム等)が挙げられる。
【0255】本発明においては、下記一般式(1)、
(2)の界面活性剤が特に好ましく用いられる。
【0256】一般式(a) R1(OR2nOSO3M 一般式(b) R1(OR2nSO3M 一般式(a)、(b)において、R1は炭素数6〜22
のアルキル基またはアリールアルキル基を表すが、好ま
しくは炭素数8〜20のアルキル基またはアリールアル
キル基であり、更に好ましくは炭素数9〜16のアルキ
ル基またはアリールアルキル基である。
【0257】R1で表される炭素数6〜22のアルキル
基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ウンデシル
基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、R1で表さ
れるアリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェ
ニルメチル基、シンナミル基、スチリル基、トリチル
基、フェネチル基等が挙げられる。
【0258】一般式(a)、(b)において、R2は炭
素数2〜6のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数
2〜3のアルキレン基である。R2で表される炭素数2
〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレ
ン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレ
ン基等が挙げられる。
【0259】一般式(a)、(b)において、nは1〜
11の整数であるが、好ましくは2〜10、更に好まし
くは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
【0260】一般式(1)、(2)において、Mで表さ
れる1価の金属元素としてはナトリウム、カリウム、リ
チウムが挙げられる。中でも、ナトリウムが好ましく用
いられる。
【0261】以下に、一般式(a)、(b)で表される
界面活性剤の具体例を示すが本発明はこれらに限定され
ない。
【0262】化合物(101):C1021(OCH2
22OSO3Na 化合物(102):C1021(OCH2CH23OSO3
Na 化合物(103):C1021(OCH2CH22SO3
a 化合物(104):C1021(OCH2CH23SO3
a 化合物(105):C817(OCH2CH(CH3))2
OSO3Na 化合物(106):C1837(OCH2CH22OSO3
Na 本発明においては、トナーの帯電保持機能を良好な状態
に保ち、高温高湿下でのカブリ発生を抑え、転写性を向
上させる観点から、また、低温低湿下での帯電量上昇を
抑え、現像量を安定化させる観点から、上記記載の一般
式(a)、(b)で表される界面活性剤の静電荷像現像
用トナー中の含有量は、1ppm〜1000ppmが好
ましく、更に好ましくは5〜500ppmであり、特に
好ましくは7ppm〜100ppmである。
【0263】本発明において、トナーに含有させる界面
活性剤の量を上記記載範囲とすることで、本発明の静電
荷像現像用トナーの帯電性は、環境の影響に左右される
ことなく、常に、均一で安定な状態で付与され維持され
ることが可能である。
【0264】また、本発明の静電荷像現像用トナー中に
含有される上記記載の一般式(a)、(b)で表される
界面活性剤の含有量は以下に示す方法によって算出され
る。
【0265】トナー1gを50mlのクロロホルムに溶
解させ、100mlのイオン交換水でクロロホルム層よ
り界面活性剤を抽出する。更に抽出を行ったクロロホル
ム層を100mlのイオン交換水でもう一度抽出を行い
合計200mlの抽出液(水層)を得、この抽出液を5
00mlまで希釈する。
【0266】この希釈液を試験液として、JIS 33
636項に規定された方法に従い、メチレンブルーで呈
色させ、吸光度を測定し、別途作成した検量線より、ト
ナー中の界面活性剤の含有量を測定するものである。
【0267】また、一般式(a)、(b)で表される界
面活性剤の構造は、上記の抽出物を 1H−NMRを用い
て分析し、構造決定した。
【0268】本発明では、水系媒体中で調製した樹脂粒
子の分散液から、樹脂粒子を塩析、凝集、融着する工程
において、金属塩を凝集剤として好ましく用いることが
できるが、2価または3価の金属塩を凝集剤として用い
ることが更に好ましい。その理由は、1価の金属塩より
も2価、3価の金属塩の方が臨界凝集濃度(凝析値ある
いは凝析点)が小さいため好ましい。
【0269】また、本発明では、ノニオン性界面活性剤
を使用することもでき、具体的には、ポリエチレンオキ
サイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオ
キサイドとポリエチレンオキサイドの組合せ、ポリエチ
レングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフ
ェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエ
チレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピ
レンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙
げられる。
【0270】本発明では、これらの界面活性剤は、主に
乳化重合時の乳化剤として使用されるが他の工程または
他の目的で使用してもよい。
【0271】(樹脂粒子、トナーの分子量分布)本発明
のトナーは、その分子量分布のピーク又は肩が、10
0,000〜1,000,000、及び1,000〜5
0,000に存在することが好ましく、更に分子量分布
のピーク又は肩が、100,000〜1,000,00
0、25,000〜150,000及び1,000〜5
0,000に存在するものであることが好ましい。
【0272】樹脂粒子の分子量は、100,000〜
1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する
高分子量成分と、1,000から50,000未満の領
域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を
少なくとも含有する樹脂が好ましく、更に好ましくは、
15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を
有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0273】前述のトナーあるいは樹脂の分子量測定方
法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGP
C(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による
測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より
具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室
温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行
い、充分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜
0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、
GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカ
ラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流
し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して
測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラム
を組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和
電工社製のShodex GPC KF−801、80
2、803、804、805、806、807の組合せ
や、東ソー社製のTSKgelG1000H、G200
0H、G3000H、G4000H、G5000H、G
6000H、G7000H、TSK guard co
lumnの組合せなどを挙げることができる。又、検出
器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはU
V検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料
の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を
用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用
のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0274】(凝集剤)本発明では、水系媒体中で調製
した樹脂粒子の分散液から、樹脂粒子を塩析、凝集、融
着する工程において、金属塩を凝集剤として好ましく用
いることができるが、2価または3価の金属塩を凝集剤
として用いることが更に好ましい。その理由は、1価の
金属塩よりも2価、3価の金属塩の方が臨界凝集濃度
(凝析値あるいは凝析点)が小さいため好ましい。
【0275】本発明で用いられる凝集剤は、例えばナト
リウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩であ
る1価の金属塩、例えばカルシウム、マグネシウム等の
アルカリ土類金属の塩やマンガン、銅等の2価の金属
塩、鉄やアルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられ
る。
【0276】これら金属塩の具体的な例を以下に示す。
1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化リチウム、2価の金属塩としては、塩化カルシ
ウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マン
ガン等が挙げられ、3価の金属塩としては、塩化アルミ
ニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じ
て適宜選択されるが臨界凝集濃度の小さい2価や3価の
金属塩が好ましい。
【0277】本発明で云う臨界凝集濃度とは、水性分散
液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添
加し、凝集が起こるときの凝集剤の添加濃度を示すもの
である。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散
剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分
子化学17,601(1960)等に記述されており、
これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。
又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩
を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、
ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とするこ
とも可能である。
【0278】本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度
以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理す
る。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、
水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択
される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散
液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属
塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0279】本発明では、金属塩の濃度は、臨界凝集濃
度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.
2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0280】本発明の画像形成方法について説明する。
本発明においては、感光体上に形成された静電潜像を可
視画像化し、該可視画像を記録媒体上に転写、加熱定着
させる工程を有する画像形成方法において、該加熱定着
がエンドレスベルト状のフィルムを有する定着器や有端
のフィルムを用いる定着器により行われることが好まし
い。ここで、前記の可視画像化に用いられるのが本発明
の静電荷像現像用トナーである。
【0281】加熱定着に用いられるエンドレスベルト状
のフィルムを有する定着器の一例としては、例えば、固
定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により
定着する方式が好ましく用いられる。
【0282】この定着方式は、固定配置された加熱体
と、該加熱体に対向圧接し、かつフィルムを介して転写
材を加熱体に密着させる加圧部材により圧接加熱定着す
る方式である。
【0283】この圧接加熱定着器は、加熱体が従来の加
熱ローラーに比べて熱容量が小さく、転写材の通過方向
と直角方向にライン状の加熱部を有するものであり、通
常加熱部の最高温度は、100℃〜300℃の範囲に調
整することが好ましい。
【0284】尚、圧接加熱定着とは、加熱部材と加圧部
材の間を、未定着トナーをした転写材を通過させる方式
等の様に、加熱源に未定着トナー像を押し当てて定着す
る方法である。この様な対処により加熱が迅速に行われ
るため、定着の高速化が可能となるが、温度制御が難し
く、加熱源表面部分等の未定着トナーを直接圧接される
部分にトナーが付着残留し、いわゆるトナーオフセット
が起こり易く、また転写材が定着器に巻き付きを起こす
等の故障も起こし易いという問題点もある。
【0285】この定着方式では、装置に固定支持された
低熱容量のライン状加熱体は、厚さにして0.2mm〜
5.0mm、さらに好ましくは0.5mm〜3.5mm
で幅10mm〜15mm、長手長240mm〜400m
mのアルミナ基板に抵抗材料を1.0mm〜2.5mm
に塗布したもので両端より通電される。
【0286】通電は、DC100Vの周期15msec
〜25msecのパルス波形で、温度センサーにより制
御された温度・エネルギー放出量に応じたパルス幅に変
化させて与えられる。低熱容量ライン状加熱体におい
て、温度センサーで検出された温度T1の場合、抵抗材
料に対向するフィルムの表面温度T2はT1よりも低い
温度となる。ここでT1は120℃〜220℃が好まし
く、T2の温度はT1の温度と比較して0.5℃〜10
℃低いことが好ましい。また、フィルムがトナー表面よ
り剥離する部分のフィルム材表面温度T3はT2とほぼ
同等である。
【0287】これら定着用フィルムとして用いられるも
のは、厚みが10〜35μmの耐熱フィルム、例えばポ
リエステル、ポリパーフルオロアルコキシビニルエーテ
ル、ポリイミド、ポリエーテルイミドに、多くの場合は
テフロン(R)等のフッ素樹脂に導電材を添加し離型剤
層を、5μm〜15μm被覆させたエンドレスフィルム
が好ましく用いられる。
【0288】フィルムの駆動には、駆動ローラーと従動
ローラーにより駆動力とテンションをかけられて矢印方
向へシワ・ヨレがなく搬送される。定着器としての線速
は230mm/sec〜900mm/secが好まし
い。
【0289】加圧ローラーはシリコーンゴム等の離型性
の高いゴム弾性層を有し、フィルム材を介して加熱体に
圧着され、圧接回転する。
【0290】本発明においては、図5(a)に示すよう
なエンドレスフィルムを用いた例や、図5(b)に示す
ようなフィルムシートの送り出し軸と巻き取り軸を使用
し、有端のフィルム材を用いるような構成が好ましく使
用出来る。さらには内部に駆動ローラー等を有しない単
なる円筒状のものを使用してもよい。
【0291】上記定着器にはクリーニング機構を付与し
て使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シ
リコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種
シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウェ
ッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0292】なお、シリコーンオイルとしては、ポリジ
メチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポ
リジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。更
に、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用すること
が出来る。
【0293】ここで、図5(a)、(b)を用いて、本
発明に係る定着器の構成断面図の例を詳細に説明する。
【0294】図5(a)において、84は装置に固定支
持された低熱容量ライン状の加熱体であって、一例とし
て高さが1.0mm、幅が10mm、長手長が240m
mのアルミナ基板85に抵抗材料86を幅1.0mmに
塗工したものであり、長手方向両端部より通電される。
【0295】通電は、例えばDC100Vで通常は周期
20msecのパルス状波形でなされ、検温素子87か
らの信号によりコントロールされ所定温度に保たれる。
このためエネルギー放出量に応じてパルス幅を変化させ
るが、その範囲は例えば0.5〜5msecである。こ
の様に制御された加熱体84に移動するフィルム88を
介して未定着トナー像93を担持した転写材94を当接
させてトナーを熱定着する。
【0296】ここで用いられるフィルム88は、駆動ロ
ーラー89と従動ローラー90によりテンションを付与
された状態でシワの発生なく移動する。95はシリコー
ンゴム等で形成されたゴム弾性層を有する加圧ローラー
であり、総圧0.4〜2.0Nでフィルムを介して加熱
体を加圧している。転写材94上の未定着トナー像93
は、入口ガイド96により定着部に導かれ、加熱により
定着像を得る。
【0297】以上はエンドレスベルトの例であるが、本
発明においては、図5(b)の様に、フィルムシートの
繰り出し軸91および巻き取り軸92を使用し、定着用
のフィルムは有端のものを使用することも出来る。
【0298】次に、本発明の画像形成方法に用いる画像
形成装置について説明する。本発明では、感光体上に帯
電、像露光を行って形成した静電潜像を、現像剤にて現
像し形成したトナー画像を接触転写方式を用いて転写材
に転写し、その後分離、定着及びクリーニングの各工程
を繰り返して、多数枚の画像が形成される。
【0299】(転写ロール)感光体表面から転写材への
トナー画像の転写は、転写ロールを感光体に弾性的に押
圧し、かつバイアス電圧印加下にトナー画像の転写が行
われる。前記転写ロールとしては、ゴムあるいは多孔性
発泡体等からなる弾性体が用いられる。例えば(1)ブ
リヂストン社製イオン導電タイプ、(2)ブリヂストン
社製電子導電タイプ、(3)トーヨーポリマー社製発泡
ウレタンルビセルタイプ、(4)住友ゴム工業社製イオ
ン導電タイプ、(5)住友ゴム工業社製EPDMタイ
プ、(6)住友ゴム工業社製エピクロロヒドリンタイ
プ、(7)イノアックコーポレーション社製ENDUR
イオン導電タイプ、(8)タイガースポリマー社製発泡
シリコーンタイプ、(9)北辰工業社製発泡ウレタンタ
イプ、(10)信越ポリマー社製発泡シリコーンタイプ
あるいは(11)日東工業社製カーボンブラック含有ル
ビセル発泡タイプ等の各種タイプの転写ロールが挙げら
れるが、好ましくは発泡タイプのものである。
【0300】本発明の画像形成方法では、感光体表面の
トナー画像を転写材へ良好に転写をするためには、感光
体に対する転写ロールの押圧力は2.5〜100kPa
が好ましく、より好ましくは10〜80kPaである。
【0301】前記押圧力が2.5〜100kPaである
と、トナー画像の転写が十分となり、又感光体表面へト
ナー中の離型性を有する結晶性物質が転写されることを
防止でき、画像欠陥の発生も防止できる。また、転写ロ
ールの押圧解除の際の衝撃が小さくなり、転写ズレによ
る画像欠陥を防止し、感光体の損傷等も防止できる。
【0302】また、前記転写ロールに求められる特性と
しては、たとえば反発弾性率、電気抵抗、表面硬度等が
重要である。前記転写ロールの弾性体の反発弾性率とし
ては、好ましくは30〜70%である。前記反発弾性が
30〜70%であると、トナー画像の転写に十分な感光
体への押圧力が得られるので、良好な転写率が得られ、
かつ転写時の衝撃が小さくできるので、転写ズレ等の画
像欠陥の発生を防止できる。なお、前記反発弾性率はJ
IS K7311の測定法により測定される。
【0303】また、前記転写ロールは、トナー画像転写
のためのバイアス電圧印加を可能とするため適度の導電
性が必要であり、下記測定法で測定した電気抵抗値が1
×103〜1×1013Ωであることが好ましい。
【0304】(測定法)直径16mm、長さ310mm
の回転軸の上に肉厚4mmの弾性体を設けた転写ロール
を、直径30mmのアルミニウム素管に17kPaの力
で押圧し、20℃、50%RHの環境下で、転写ロール
の回転軸とアルミニウム素管間の電気抵抗値を測定す
る。
【0305】また、前記弾性体のアスカーC硬度計によ
る表面硬度は20〜70度が好ましい。アスカーC硬度
が20〜70度の硬度を有する弾性体からなる転写ロー
ルは、転写が適正に行われ、転写ズレ等の画像欠陥が発
生せず好ましい。
【0306】次に、本発明の多数枚の画像を形成する画
像形成方法に用いた画像形成装置を図に基づいて説明す
る。なお、本発明の多数枚の画像を形成する画像形成方
法とは、感光体上に帯電、像露光を行って形成した静電
潜像を、静電潜像現像用トナーを含有する現像剤にて現
像し形成したトナー画像を、接触転写方式を用いて転写
材に転写し、その後分離、定着及びクリーニングを行う
各工程を繰り返すことにより、多数枚の画像を形成する
画像形成方法をいう。
【0307】図6は転写ロールを用いた画像形成装置の
一例を示す概略構成図である。図6において感光体10
は矢印方向に回転する有機感光体であり、11は前記感
光体に一様な帯電を付与する帯電器であり、帯電器はコ
ロナ放電器、ローラ帯電器、磁気ブラシ帯電器であって
もよい。12は半導体レーザー、発光ダイオード等を用
いたデジタル像露光光であり、該像露光光により感光体
上に静電潜像が形成される。この静電潜像は体積平均粒
径3〜9μmのトナーを含有する現像剤を収納する現像
器13により接触又は非接触で現像されて、前記感光体
上にトナー画像が形成される。なお、前記露光は、本発
明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、ア
ナログによる像露光を行うものであってもよい。
【0308】この画像形成方法及び装置に採用されるコ
ンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号によ
り光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光
学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調
する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調
する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電し
た感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成す
る。
【0309】前述の走査光学系から照射されるビーム
は、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕
円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通
常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あ
るいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あ
るいは楕円状である。
【0310】前記トナー画像はタイミングを合わせて搬
送された転写材P上に転写ロール15により直流バイア
ス印加下、感光体への押圧力2.5〜100kPa、好
ましくは10〜80kPaで転写される。
【0311】前記転写ロール15へバイアス印加する直
流のバイアス電源16は、好ましくは定電流電源又は定
電圧電源であり、前記定電流電源の場合は5μA〜15
μAであり、定電圧電源の場合は絶対値で400V〜1
500Vである。また、前記転写ロール15により画像
が転写された転写材Pは感光体10から分離極14によ
り分離され図示しない定着器へと搬送されて加熱定着さ
れる。
【0312】転写後の感光体表面は、クリーニングブレ
ード17によりクリーニングされ、その後除電ランプ
(PCL)18で除電されて次の画像形成に備えられ
る。なお19は給紙ローラであり、20は定着器であ
る。
【0313】(中間転写体)本発明では、感光体から転
写材へのトナー画像の転写は中間転写体を用いる方式で
も行うことができる。すなわち、各々4色の現像剤ごと
に画像形成部(画像形成ユニット)を設け、各画像形成
部において各感光体に各色ごとの可視画像を形成し、こ
れら可視画像を中間転写体に順次転写し、一括して転写
材(通常は普通紙であるが、転写可能なものであれば特
に限定はない。特に本発明ではOHPシートが転写材と
して好ましい。)に転写後、定着してカラー画像を得る
方式にも好ましく用いることができる。
【0314】本発明の画像形成装置に用いられる複数色
の画像を画像形成部にて形成し、これを同一中間転写体
に順次重ねて転写するようにした画像形成方法を図に基
づいて説明する。図7は中間転写体(転写ベルト)を用
いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0315】図7において、カラー画像を得るため画像
形成装置は、複数個の画像形成ユニットを備え、各画像
形成ユニットにてそれぞれ色の異なる可視画像(トナー
画像)を形成し、該トナー画像を同一中間転写体に順次
重ねて転写するような画像形成方法である。
【0316】ここでは、第1、第2、第3及び第4の画
像形成ユニットPa、Pb、Pc及びPdが並設されて
おり、該画像形成部はそれぞれ静電潜像形成体である感
光体1a、1b、1c及び1dを具備している。感光体
1a、1b、1c及び1dはその外周側に潜像形成部2
a、2b、2c及び2d、現像部3a、3b、3c及び
3d、転写放電部4a、4b、4c及び4d、クリーニ
ング部材及びゴムブレードを有するクリーニング器5
a、5b、5c及び5d、帯電器6a、6b、6c及び
6dが配置するものである。
【0317】この様な構成にて、先ず、第1画像形成ユ
ニットPaの感光体1a上に潜像形成部2aによって原
稿画像における、例えばイエロー成分色の潜像が形成さ
れる。該潜像は現像部3aのイエロートナーを含有する
現像剤で可視画像とされ、転写放電部4aにて、転写ベ
ルト21に転写される。
【0318】一方、上記の様にイエロートナー画像が転
写ベルト21に転写されている間に、第2画像形成ユニ
ットPbではマゼンタ成分色の潜像が感光体1b上に形
成され、続いて現像部3bでマゼンタトナーを含有する
現像剤で可視画像とされる。この可視画像(マゼンタト
ナー画像)は、上記の第1画像形成ユニットPaでの転
写が終了した転写ベルトが転写放電部4bに搬入された
ときに、該転写ベルト21の所定位置に重ねて転写され
る。
【0319】以下、上記と同様な方法により第3、第4
の画像形成ユニットPc、Pdによりシアン成分色、ブ
ラック成分色の画像形成が行われ、上記同一の転写ベル
ト上に、シアントナー画像、ブラックトナー画像が重ね
て転写される。この様な画像形成プロセスが終了した時
点で、転写ベルト21上に多色重ね合せ画像が得られ
る。一方、転写が終了した各感光体1a、1b、1c及
び1dはクリーニング器5a、5b、5c及び5dによ
り残留トナーが除去され、引き続き行われる次の潜像形
成のために供せられる。
【0320】なお、前記画像形成装置では、転写ベルト
21が用いられており、図7において、転写ベルト21
は右側から左側へと搬送され、その搬送過程で、各画像
形成ユニットPa、Pb、Pc及びPdにおける各転写
放電部4a、4b、4c及び4dを通過し各色転写画像
が転写される。
【0321】転写ベルト21が第4画像形成ユニットP
dを通過すると、AC電圧が分離除電放電器22dに加
えられ、転写ベルト21は除電され、転写材Pにトナー
像が一括転写される。その後転写材Pは定着装置23に
入り、定着され、排出口25から排出され、カラー画像
が得られる。
【0322】なお、図中の22a、22b、22c及び
22dは分離除電放電器であり、トナー像の転写を終え
た転写ベルト21は、ブラシ状クリーニング部材とゴム
ブレードを併用したクリーニング器24により、転写残
トナーがクリーニングされて、次の画像形成に備えられ
る。
【0323】なお、前記の様に、搬送ベルトの如き長尺
の転写ベルト21を用いて、その上に多色重ね合せ像を
作り、それを転写材に一括転写する構成にしても、その
画像形成ユニットにそれぞれ独立した転写ベルトを具備
させ、それから転写材へ、順次各転写ベルトから転写す
る構成にしてもよい。
【0324】尚、前記転写ベルトとしては、例えばポリ
イミド、ポリエーテル、ポリアミドあるいはテトラフル
オロエチレン・パーフルオロビニルエーテル共重合体等
の表面抵抗が1014Ω以上で、厚さ20μm程度の高抵
抗フィルムの上に、フッ素系またはシリコン系樹脂に導
電剤を添加して表面抵抗を105〜108Ωとした5〜1
5μm厚の離型層を設けてなるエンドレスフィルムが用
いられる。
【0325】本発明の画像形成方法においては、現像工
程において形成されたトナー画像は、前述の様に転写材
に転写する工程を経て、定着工程にて定着される。本発
明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触
加熱方式を挙げることができる。特に、接触加熱方式と
して、熱圧定着方式、更には熱ロール定着方式および固
定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により
定着する圧接加熱定着方式が挙げられる。
【0326】熱ロール定着方式では、表面にテトラフル
オロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した
鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に
熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成され
た下ローラーとから形成されている。熱源としては、線
状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜
200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部に
おいては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ロ
ーラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ
幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmで
ある。定着線速は40mm/sec〜600mm/se
cが好ましい。
【0327】定着クリーニングの機構を付与して使用し
てもよい。この方式としてはシリコーンオイルを定着の
上ローラーあるいはフィルムに供給する方式やシリコー
ンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等でク
リーニングする方法が使用できる。
【0328】また、本発明で用いられる画像形成装置で
は、感光体表面に残留した未転写トナーをリサイクル使
用するトナーリサイクルを行う機構を有するものであっ
てもよい。トナーリサイクルを行うための方式としては
特に限定されるものではないが、たとえばクリーニング
器で回収されたトナーを搬送コンベアあるいは搬送スク
リューにより補給用トナーホッパー、現像器あるいは補
給用トナーと中間室によって混合して現像器へ供給する
方法等を挙げることができる。好ましくは現像器へ直接
戻す方式あるいは中間室にて補給用トナーとリサイクル
トナーを混合して供給する方式を挙げることができる。
【0329】次に、図8において、トナーのリサイクル
部材斜視構成図の一例を挙げる。この方式は現像器へリ
サイクルトナーを直接戻す方式である。
【0330】クリーニングブレード130で回収された
未転写トナーはトナークリーニング器110内の搬送ス
クリュウによってトナーリサイクルパイプ140に集め
られ、更にこのリサイクルパイプの受け口150から現
像器600に戻され、再び現像剤として使用される。
【0331】図8は又、本発明の画像形成装置に着脱自
在のプロセスカートリッジの斜視図でもある。この図8
では斜視構造を判りやすくするため感光体ユニットと現
像剤ユニットを分離した図面になっているが、これを全
部一体化したユニットとして着脱自在に画像形成装置に
搭載できる。この場合、感光体、現像器、クリーニング
器及びリサイクル部材が一体となりプロセスカートリッ
ジを構成している。
【0332】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらに限定されない。尚、文中「部」とは「質
量部」を表す。
【0333】実施例1 《トナー用結着樹脂粒子の製造》 〔ラテックス1HMLの調製〕 (1)核粒子の調製(第1段重合):ラテックス(1
H)の調製 攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り
付けた5000mlのセパラブルフラスコに、下記のア
ニオン系界面活性剤 (101) C1021(OCH2CH22OSO3Na 7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面
活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230r
pmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温さ
せた。
【0334】この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫
酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200g
に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした
後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート1
9.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合
液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間に
わたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を
行い、ラテックス(高分子量結着樹脂からなる結着樹脂
粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(1
H)」とする。
【0335】(2)中間層の形成(第2段重合):ラテ
ックス(1HM)の調製 攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン1
05.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタ
クリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロ
ピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、結
晶性物質として、上記19)で表される化合物(以下、
「例示化合物(19)」という。)98.0gを添加
し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0336】一方、アニオン系界面活性剤(上記(10
1))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させ
た界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶
液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を
固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械
式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エ
ム・テクニック(株)製)により、前記例示化合物(1
9)の単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径
(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液
(乳化液)を調製した。
【0337】次いで、この分散液(乳化液)に、重合開
始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶
解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添
加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌す
ることにより重合(第2段重合)を行い、ラテックス
(高分子量結着樹脂からなる結着樹脂粒子の表面が中間
分子量結着樹脂により被覆された構造の複合結着樹脂粒
子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」
とする。
【0338】前記ラテックス(1HM)を乾燥し、走査
型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲ま
れなかった例示化合物(19)を主成分とする粒子(4
00〜1000nm)が観察された。
【0339】(3)外層の形成(第3段重合):ラテッ
クス(1HML)の調製 上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合
開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに
溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下
に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95
g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メル
カプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体
混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間に
わたり加熱攪拌することにより重合(第3段重合)を行
った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量結着樹
脂からなる中心部と、中間分子量結着樹脂からなる中間
層と、低分子量結着樹脂からなる外層とを有し、前記中
間層に例示化合物(19)が含有されている複合結着樹
脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテック
ス(1HML)」とする。
【0340】このラテックス(1HML)を構成する複
合結着樹脂粒子は、138,000、80,000およ
び13,000にピーク分子量を有するものであり、ま
た、この複合結着樹脂粒子の重量平均粒径は122nm
であった。
【0341】〔ラテックス(2L)の調製〕攪拌装置を
取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.
8gをイオン交換水400mlに溶解させた開始剤溶液
を仕込み、80℃の温度条件下に、スチレン600g、
n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.
0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エス
テル20.8gからなる単量体混合液を1時間かけて滴
下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌すること
により重合を行った後、27℃まで冷却しラテックス
(低分子量結着樹脂からなる結着樹脂粒子の分散液)を
得た。このラテックスを「ラテックス(2L)」とす
る。
【0342】このラテックス(2L)を構成する結着樹
脂粒子は11,000にピーク分子量を有するものであ
り、また、この結着樹脂粒子の重量平均粒径は128n
mであった。
【0343】《着色粒子の製造》 〔着色粒子1の製造〕 (着色剤の分散)アニオン系界面活性剤(101)5
9.0gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解した。
この溶液を攪拌しながら、着色剤として化合物1を42
0.0g徐々に添加し、次いで、攪拌装置「クレアミッ
クス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理
することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤
分散液1」という。)を調製した。この着色剤分散液1
における着色剤粒子の重量平均粒子径を、電気泳動光散
乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて
測定したところ、110nmであった。
【0344】(凝集・融着)420.7g(固形分換
算)のラテックス1HMLと、イオン交換水900gと
「着色剤分散液1」200gとを、温度センサー、冷却
管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四
つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃
に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウ
ム水溶液を加えてpHを8〜11.0に調整した。
【0345】次いで、塩化マグネシウム・6水和物1
2.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液
を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分
間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて
90℃まで昇温した。その状態で、「コールターカウン
タTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒
径が4μm〜7μmになった時点で、塩化ナトリウム4
0.2gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液
を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理とし
て液温度98℃にて6時間にわたり加熱攪拌することに
より融着を継続させた。
【0346】更に、ラテックス(2L)(結着樹脂粒子
の分散液)96gを添加し、3時間にわたり加熱攪拌を
継続し、ラテックス(1HML)の凝集粒子表面にラテ
ックス(2L)を融着させた。ここで、塩化ナトリウム
40.2gを加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却
し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止
した。生成した塩析、凝集、融着粒子を濾過し、45℃
のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温
風で乾燥することにより、着色粒子1を得た。
【0347】前記、凝集工程のpH、ラテックス(2
L)の添加タイミング、撹拌強度を制御することによ
り、着色剤分散状態を制御し、さらに液中分級により、
粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整した。
【0348】〔着色粒子2の製造〕着色粒子1の製造に
おいて、着色剤として化合物1の代わりに化合物2を使
用し、凝集工程のpH、ラテックス(2L)の添加タイ
ミング、撹拌強度を制御することにより、表1、表2に
記載のように着色剤分散状態(媒体中の分散粒子径、着
色剤の平均粒子径等)を制御し、さらに液中分級によ
り、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整した他
は同様にして着色粒子を得た。これを着色粒子2とす
る。
【0349】〔着色粒子3の製造〕着色粒子2の製造に
おいて、着色剤として化合物2の代わりに化合物3を使
用し、凝集工程のpH、ラテックス(2L)の添加タイ
ミング、撹拌強度を制御することにより、表1、表2に
記載のように着色剤分散状態を制御し、さらに液中分級
により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整し
た他は同様にして着色粒子を得た。これを着色粒子3と
する。
【0350】〔着色粒子4の製造〕着色粒子1の製造に
おいて、表1に記載のように、着色剤として化合物1と
Pigment Red48:3の50:50(質量%
比)の混合物を使用し、凝集工程のpH、ラテックス
(2L)の添加タイミング、撹拌強度を制御することに
より、表1、表2に記載のように着色剤分散状態を制御
し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動
係数を任意に調整した他は同様にして着色粒子を得た。
これを着色粒子4とする。
【0351】〔着色粒子5の製造〕着色粒子4の製造に
おいて、表1に記載のように、着色剤として化合物1と
Pigment Red48:1の50:50(質量%
比)の混合物を使用し、凝集工程のpH、ラテックス
(2L)の添加タイミング、撹拌強度を制御することに
より、表1、表2に記載のように着色剤分散状態を制御
し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動
係数を任意に調整した他は同様にして着色粒子を得た。
これを着色粒子5とする。
【0352】〔比較の着色粒子6の製造〕着色粒子1の
製造において、化合物1の代わりに表1に記載のC.
I.Pigment Red48:1を使用し、凝集工
程のpH、ラテックス(2L)の添加タイミング、撹拌
強度を制御することにより、表1、表2に記載のように
着色剤分散状態を制御し、さらに液中分級により、粒径
および粒度分布の変動係数を任意に調整した他は同様に
して着色粒子を得た。これを比較の着色粒子6とする。
【0353】〔比較の着色粒子7の製造〕着色粒子1の
製造において、化合物1の代わりに表1に記載のC.
I.Pigment Red48:1を使用し、凝集工
程のpH、ラテックス(2L)の添加タイミング、撹拌
強度を制御することにより、着色剤分散状態を制御し、
さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数
を任意に調整した他は同様にして着色粒子を得た。これ
を比較の着色粒子7とする。
【0354】〔比較の着色粒子8の製造〕着色粒子1の
製造において、表1に記載のように、着色剤として化合
物1とPigment Red48:1の50:50
(質量%比)の混合物を使用し、着色剤の分散時間、凝
集工程のpH、ラテックス(2L)の添加タイミング、
撹拌強度を制御することにより、表1、表2に記載のよ
うに着色剤分散状態を制御し、さらに液中分級により、
粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整した他は同
様にして着色粒子を得た。これを比較の着色粒子8とす
る。
【0355】《トナーの調製》上記記載の着色粒子1〜
5、比較の着色粒子6〜8に各々、疎水性シリカ(数平
均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%
及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、
疎水化度=63)を0.3質量%添加し、ヘンシェルミ
キサーにより混合して、本発明の静電荷像現像用トナー
1〜5、比較の静電荷像現像用トナー6〜8を各々得
た。
【0356】尚、着色粒子から静電荷像現像用トナーの
調製において、形状及び粒径等の物性に関しては着色粒
子及び、それに対応する静電荷像現像用トナー間の物理
的変動は無い(形状、粒径、形状係数、形状係数の変動
係数等は変化しない)。
【0357】得られたトナーの着色剤成分、着色剤分散
状態、物性、トナー粒子(着色剤粒子と同一)現像剤の
物性等を表1、表2に示す。トナー中の着色剤の重量平
均粒子径および分布、ボロノイ多角形の面積測定方法と
同様に、TEMによりトナー断面を写真撮影した後、画
像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ(株)社製)に
より撮影された画像情報を演算処理し、表1、表2に記
載のような物性データの測定、算出を行った。
【0358】
【表1】
【0359】
【表2】
【0360】(現像剤の調製) (現像剤1〜4、比較の現像剤6、7の調製:二成分現
像剤)上記で得られた静電荷像現像用トナー1〜4、比
較の静電荷像現像用トナー6、7に対して、各々、シリ
コーン結着樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェ
ライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%になるよう
に現像剤を調製した。これらを、現像剤1〜4、比較の
現像剤6、7とする。
【0361】(現像剤5、比較の現像剤8の調製:一成
分現像剤)また、上記静電荷現像用トナー5、比較の静
電荷現像用トナー8については、これらトナーをそのま
ま非磁性一成分現像剤とし、各々、現像剤5、比較の現
像剤8とする。
【0362】《現像剤の評価方法》 (a)二成分現像剤の評価 現像剤1〜4、比較の現像剤6、7を各々、使用し、図
7に示す画像形成装置と同様な構成をもつデジタルカラ
ー複写機を用い、定着器としては図10に示すような圧
接方式の加熱定着器を用い実写評価を実施した。
【0363】尚、定着器の具体的構成は下記のように設
定した。表面をPFA(テトラフロオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体)のシリコー
ンゴム(厚み:120μm)212を有し内径40mm
で全幅が310mmの、ヒーター213を中央部に内蔵
した円柱状の厚み1.0mmの芯金211を加熱ローラ
(上ローラー)241として有し、表面が同様にスポン
ジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度=48:厚み2m
m)217で構成された内径40mmの肉厚2.0mm
の芯金216を有する加圧ローラ(下ローラー)242
を有している。ここで、ニップ幅は5.8mmとした。
この定着装置を使用して、印字の線速を250mm/s
ecに設定した。
【0364】尚、定着装置のクリーニング機構としてポ
リジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・s
のもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用し
た。
【0365】定着の温度は上ロールの表面温度で制御
し、180℃の設定温度とした。 (b)一成分現像剤の評価 現像剤5、比較の現像剤8を使用し、図9に示す現像装
置を搭載した図7に示すカラー画像形成装置により、高
温高湿環境下(温度33℃、相対湿度80%)におい
て、フルカラー画像(Y/M/C/Bkそれぞれの画素
率が15%)を連続して10万枚形成する実写テストを
行った。
【0366】また、上記カラー画像形成装置の定着器と
しては、図10に示したような圧接方式の加熱定着器を
用いた。定着器の具体的構成は、下記のとおりである。
中央部にヒーター213を内蔵するアルミニウム合金か
らなる円筒状(内径=30mm、肉厚=1.0mm、全
幅=310mm)の芯金211の表面を、シリコーンゴ
ム(アスカーC硬度30°、厚み2mm)212で被覆
することにより加熱ローラ241(上ローラ)を構成
し、鉄からなる円筒状(内径=40mm、肉厚=2.0
mm)の芯金216の表面を、スポンジ状シリコーンゴ
ム(アスカーC硬度30°、厚み8mm)217で被覆
することにより加圧ローラ242(下ローラ)を構成
し、当該加熱ローラと当該加圧ローラとを150Nの総
荷重により当接させて5.8mm幅のニップを形成させ
た。この定着装置を使用して、印字の線速を180mm
/secに設定した。なお、加熱ローラの表面をPFA
のチューブ(50μm)で被覆した。又、定着装置のク
リーニング機構として、ジメチルシリコーン(20℃の
粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の
供給方式を使用した。定着温度は加熱ローラの表面温度
で制御した(設定温度175℃)。なお、シリコーンオ
イルの塗布量は0.1mg/A4とした。
【0367】上記の現像剤の評価方法を下記に示す。 《色度評価》トナーの色度の評価は、彩度C*の測定に
より行った。測定法は、光源D65を具備しているミノ
ルタCR3000を用い、下地に白紙を置いて行った。
【0368】尚、彩度C*に関しては、JIS Z 8
729により規定されるL***色空間図から、下記
一般式(a)により算出することができる。
【0369】一般式(a) 彩度C*=〔(a*2+(b*21/2 式中、a*、b*は、各々、a*座標、b*座標の値を表
し、L*は明度の座標を表す。
【0370】本発明においては、上記一般式(a)から
算出される彩度C*の値から下記のようにランク評価し
た。
【0371】 ○:C*が60以上(実用可) ×:C*が60未満(市場ニーズに合致していない) 《耐熱性評価》耐熱性の評価は、両面印刷時の表と裏の
色味の変化を測定するものである。マゼンタ現像剤を用
いて、感光体上にトナーを現像して正方形(5cm×5
cm)の画像を形成し、その画像を以下に示す方法で耐
熱性評価した。
【0372】色味の変化をb*の定着前後での変動幅で
評価した。この変動幅が大きいと所望の色が得られず、
カラーマッチングにズレを生じてしまう。実用的には変
動幅が2.0未満、好ましくは1.0未満である必要が
ある。
【0373】 ◎:1.0未満 ○:2.0未満 ×:2.0以上 《カブリの発生状況》高温高湿環境下(温度33℃、相
対湿度80%)において、M(マゼンタ)画像を連続し
て5000枚印字した後、電源をオフにして72時間放
置後に再度印字し、形成画像を逐次観察して、画像汚れ
(カブリ)の個数を目視により数え、0〜10個未満で
あれば、良好と判断した。
【0374】 ◎:0〜3個 ○:4〜10個未満 ×:10個以上 《OHP画像の透過性評価》OHP画像の透過性につい
ては、透過画像(OHP画像)を作製し、以下に示す方
法で評価した。なお、トナー付着量は0.7±0.05
(mg/cm2)の範囲で評価した。定着された画像に
ついて、日立製作所製「330型自記分光光度計」によ
りトナーが担持されていないOHPシートをリファレン
スとして画像の可視分光透過率を測定し、イエロートナ
ーでは650nmと550nmでの分光透過率の差を求
め、OHP画像の透過性の尺度とした。この値が60%
以上である場合、良好な透過性であると判断し得る。
【0375】 ◎:70%以上 ○:60%以上70%未満 ×:60%未満 《臭気評価》臭気の有無を官能評価にて実施した。臭気
の有無についてはランダムに集めた10名の評価員によ
り、臭気を感じた人数をカウント評価した。臭気を感じ
た人数が3人未満の場合、臭気は実質無しと判断した。
【0376】得られた結果を表3に示す。
【0377】
【表3】
【0378】表3から、比較の試料に比べて、本発明の
試料は、良好な色度を示し、耐熱性にも優れ、低カブリ
であり、良好なOHP透過性を示し、且つ、臭気も少な
いことが明らかである。
【0379】
【発明の効果】本発明により、良好な色度を示し、耐熱
性が高く、低カブリであり、OHP透過性が良好で、且
つ、臭気の無い静電荷像現像用トナー、前記トナーの製
造方法及び画像形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る着色剤を得るために使用する分散
装置である。
【図2】本発明に係る、海島構造を有するトナー粒子を
説明する模式図である。
【図3】本発明に係る、海島構造を有するトナー粒子を
ボロノイ多角形によって分割した模式図である。
【図4】角がないトナー粒子、角があるトナー粒子を説
明する模式図である。
【図5】本発明に適用される定着器の構成の一例を示す
説明構成図である。
【図6】本発明に適用される転写ロールを用いた画像形
成装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明に適用される転写ベルトを用いた画像形
成装置の一例を示す概略構成図である。
【図8】トナーのリサイクル部材斜視構成図である。
【図9】本発明に用いられる現像装置の概略断面図であ
る。
【図10】本発明に用いられる圧接方式の加熱定着器の
一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
101 スクリーン 102 ロータ M 攪拌室 103 加圧真空アタッチメント 104 予備分散液入口 105a 分散液出口 105b ドレイン 107 冷却ジャケット 108 冷却コイル 111 分散容器 112 攪拌装置 113 攪拌シャフト 10 感光体 11 帯電器 12 デジタル像露光光 13 現像器 14 分離器 15 転写ロール 16 バイアス電源 17 クリーニングブレード 18 除電ランプ 19 給紙ローラ 20 定着器 P 転写材 Pa、Pb、Pc、Pd 画像形成ユニット 1a、1b、1c、1d 感光体 2a、2b、2c、2d 潜像形成部 3a、3b、3c、3d 現像部 4a、4b、4c、4d 転写放電部 5a、5b、5c、5d クリーニング器 6a、6b、6c、6d 帯電器 22a、22b、22c、22d 分離除電放電器 23 定着装置 24 クリーニング器 25 排出口 84 加熱体 85 アルミナ基体 86 抵抗材料 87 検温素子 88 フィルム 89 駆動ローラ 90 従動ローラ 91 繰り出し軸 92 巻き取り軸 93 未定着トナー像 94 転写材 95 加圧ローラ 51 スリーブ 52 ホッパー 53 トナー 54 ドラム 55 弾性ブレードまたは弾性ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木谷 智江 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 (72)発明者 大村 健 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AA15 AA21 AB02 AB03 AB06 CA14 CA21 EA05 EA07 EA10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子
    を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該トナー粒子
    中、該着色剤のフェレ平均水平径が10nm〜500n
    mであり、2nm〜300nmのフェレ水平径を有する
    前記着色剤の割合が50個数%以上であり、且つ、前記
    着色剤が下記一般式(1)で示される化合物または該化
    合物のレーキ物を含有することを特徴とする静電荷像現
    像用トナー。 【化1】 〔式中、R1a、R1b、R2a、R2bは、各々水素原子、炭
    素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフルオロアル
    キル基を表し、R3、R4は、各々水素原子、炭素数1〜
    5のアルキル基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基を
    表す。R5は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、
    炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のア
    ルコキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ス
    ルホ基、スルホ基のアルカリ土類金属塩または高級アミ
    ン塩、N−フェニルアミノスルホニル基、カルボキシル
    基、カルボキシル基のアルカリ土類金属塩または高級ア
    ミン塩、N−フェニルカルバモイル基、ウレイレン基、
    イミノジカルボニル基、アルコキシカルボニル基、−C
    ONHR6(式中、R6は、水素原子、炭素数1〜8のア
    ルキル基またはフェニル基を表す。)、−NHCOR7
    (式中、R7は、アルキル基を表す。)または、−SO2
    8(式中、R8は、炭素数1〜8のアルキル基であ
    る。)を表す。原子を表す。m1、m2は、各々1〜5
    までの整数を表し、nは1〜5までの数を表す。X-
    アニオンを表す。〕
  2. 【請求項2】 水系分散媒体中に、重量平均粒子径で2
    nm〜300nmに分散された着色剤を用いてトナー粒
    子を製造したことを特徴とする請求項1に記載の静電荷
    像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成し
    ているトナー粒子を有し、該トナー粒子中の隣接し合う
    島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノイ
    多角形の面積の平均値が20000nm2〜12000
    0nm2であり、且つ、該ボロノイ多角形の面積の変動
    係数が25%以下であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】 結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成し
    ているトナー粒子を有し、該トナー粒子中の隣接しあう
    島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノイ
    多角形の面積の平均値が40000nm2〜10000
    0nm2であり、且つ、該ボロノイ多角形の面積の変動
    係数が20%以下であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 【請求項5】 結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成し
    ているトナー粒子を有し、該トナー粒子中の隣接しあう
    島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノイ
    多角形の面積の平均値が20000nm2〜12000
    0nm2であり、且つ、160000nm2以上の面積を
    有するボロノイ多角形の面積を有するボロノイ多角形を
    形成する島が、該島全体の3〜20個数%であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷
    像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 角がないトナー粒子の全トナー粒子にお
    ける割合が50個数%以上であり、個数粒度分布におけ
    る個数変動係数が27%以下であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナ
    ー。
  7. 【請求項7】 形状係数が1.01〜1.6の範囲にあ
    るトナー粒子の全トナー粒子における割合が65個数%
    以上であり、形状係数の変動係数が16%以下で、且
    つ、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下で
    あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の静電荷像現像用トナー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の静
    電荷像現像用トナーを製造するに当たり、重合性単量体
    を水系媒体中で重合して結着樹脂を製造するという工程
    を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の静
    電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
    が、結着樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させる工程
    を経て製造されることを特徴とする静電荷像現像用トナ
    ーの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    静電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
    が、重合性単量体を重合して形成された結着樹脂粒子と
    着色剤粒子とを塩析、融着する工程を経て製造されるこ
    とを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    静電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
    が、多段重合法によって得られる結着樹脂粒子と着色剤
    粒子とを塩析、融着する工程を経て製造されたことを特
    徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    静電荷像現像用トナーを製造するに当たり、トナー粒子
    が、樹脂粒子および着色剤を含有する着色粒子の表面
    に、塩析、融着法によって結着樹脂粒子を融着させ、結
    着樹脂層を形成する工程を経て製造されることを特徴と
    する静電荷像現像用トナーの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項8〜12のいずれか1項に記載
    の静電荷像現像用トナーの製造方法を用いて製造された
    ことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  14. 【請求項14】 感光体上に形成された静電潜像を可視
    画像化し、該可視画像を記録媒体上に転写、加熱定着さ
    せる工程を有する画像形成方法において、 該加熱定着がエンドレスベルト状のフィルムを有する定
    着器により行われ、該可視画像化が、請求項1〜7及び
    請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナ
    ーを用いて行われることを特徴とする画像形成方法。
  15. 【請求項15】 静電潜像の形成が感光体上へのデジタ
    ル露光照射により行われることを特徴とする請求項14
    に記載の画像形成方法。
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