JP2001318484A - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法並びに画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよびその製造方法並びに画像形成方法

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JP2001318484A
JP2001318484A JP2001052679A JP2001052679A JP2001318484A JP 2001318484 A JP2001318484 A JP 2001318484A JP 2001052679 A JP2001052679 A JP 2001052679A JP 2001052679 A JP2001052679 A JP 2001052679A JP 2001318484 A JP2001318484 A JP 2001318484A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形成される定着画像に良好な耐傷性(耐擦り
傷性、耐ひっかき傷性、耐押し込み傷性)を付与するこ
とができる静電荷像現像用トナーおよびその製造方法を
提供することにある。 【解決手段】 トナーは、少なくとも結着樹脂および着
色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、特定の
結晶性化合物を結着樹脂100質量部当たり3〜40質
量部の割合で含有し、示差走査熱量計により測定される
当該トナーのDSC曲線において、第2の昇温過程に少
なくとも1つの再結晶化ピークが存在することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、形成される定着画
像に良好な耐傷性を付与することができる静電荷像現像
用トナーおよびその製造方法並びに画像形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】定着画像の品質基準として「定着強度」
および「定着性」が採用されている。これらの評価は、
画像支持体(例えば記録紙)に対する定着画像の接着
力、定着画像の破壊、および破壊物の定着部材等への転
移に着目したものである。
【0003】近年のプリンター等における高画質化の要
請を受けて、定着画像、特にイメージ(写真)画像にお
ける表面の「傷」の有無が、当該画像の品質を評価する
上で重要な基準となりつつある。例えば、記録紙間の摩
擦による擦り傷、爪や文房具等によるひっかき傷および
押し込み傷によって、イメージ画像(モノクロ、フルカ
ラー)の品位が著しく低下する。このため、表面に傷を
発生させにくい耐傷性の良好な定着画像の形成技術の開
発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基いてなされたものである。本発明の目的は、
形成される定着画像に良好な耐傷性(耐擦り傷性、耐ひ
っかき傷性、耐押し込み傷性)を付与することができる
静電荷像現像用トナーを提供することにある。本発明の
他の目的は、形成される定着画像に良好な耐傷性を付与
することができるトナーを製造する方法を提供すること
にある。本発明の他の目的は、耐傷性の良好な定着画像
を形成することができる画像形成方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定の化学構
造を有する結晶性の化合物を特定の割合で含有し、当該
化合物を含有することに起因して、結晶の融解および結
晶化する際に特有の熱的挙動を有するトナーを使用する
ことにより、耐傷性の良好な高品質の定着画像を形成す
ることができることを見いだし、かかる知見に基いて本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の静電荷像現像用トナー
は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する静電荷
像現像用トナーであって、下記一般式(1)で示される
結晶性化合物(以下、「特定の結晶性化合物」ともい
う。)を前記結着樹脂100質量部当たり3〜40質量
部の割合で含有し、示差走査熱量計により測定される当
該トナーのDSC曲線において、第2の昇温過程に少な
くとも1つの再結晶化ピークが存在することを特徴とす
る。
【0007】本発明の静電荷像現像用トナーにおいて
は、前記特定の結晶性化合物および重合性単量体を含有
する単量体組成物を水相中で直接的に重合して得られる
粒子からなることが好ましい。
【0008】また、前記特定の結晶性化合物および重合
性単量体を含有する単量体組成物を水相中で直接的に重
合してなる微粒子を会合して得られることが好ましい。
【0009】本発明の製造方法は、少なくとも結着樹
脂、着色剤、および下記一般式(1)で示される結晶性
化合物を乾式混合し、混練機にて溶融混練し、粉砕し、
必要に応じて分級することにより静電荷像現像用トナー
を製造する方法において、溶融混練時の最高温度が、前
記結晶性化合物におけるDSCによる第1の昇温過程で
の融解ピーク温度t1m(℃)以上であり、且つ、混練機
外に吐出された後のトナー原料を、(t1m−30℃)以
下の所定温度まで1〜20℃/secの冷却速度で冷却
する工程を含むことを特徴とする。
【0010】また、本発明の製造方法は、少なくとも結
着樹脂、着色剤、および下記一般式で示される結晶性化
合物を含有する静電荷像現像用トナーを重合法により製
造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、製造
時の最高温度が、前記結晶性化合物におけるDSCによ
る第1の昇温過程での融解ピーク温度t1m(℃)以上で
あり、且つ、当該最高温度から(t1m−30℃)以下の
所定温度まで、1〜20℃/minの冷却速度でトナー
原料を冷却する工程を含むことを特徴とする。
【0011】本発明の画像形成方法は、静電像担持体に
形成された静電荷像をトナーで現像し、前記静電像担持
体上に形成されたトナー像を画像支持体に転写し、転写
されたトナー像を熱ロールにより加熱加圧定着して定着
画像を得る工程を含む画像形成方法であって、前記トナ
ーは、少なくとも結着樹脂、着色剤および特定の結晶性
化合物を含有し、示差走査熱量計により測定される当該
特定の結晶性化合物のDSC曲線において、第2の昇温
過程に少なくとも1つの再結晶化ピークが存在すること
を特徴とする。
【0012】また、本発明の画像形成方法は、静電像担
持体に形成された静電荷像をトナーで現像し、前記静電
像担持体上に形成されたトナー像を画像支持体に転写
し、転写されたトナー像を熱ロールにより加熱加圧定着
して定着画像を得る工程を含む画像形成方法であって、
前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤および特定
の結晶性化合物を含有し、示差走査熱量計により測定さ
れる当該特定の結晶性化合物のDSC曲線において、第
2の昇温過程に少なくとも1つの再結晶化ピークが存在
し、前記熱ロールの表面温度が、前記再結晶化ピーク温
度trc以上であり、定着ニップを通過してから3秒間経
過後における前記画像支持体の表面温度が、前記熱ロー
ルの表面温度に対して90℃以上低いことを特徴とす
る。
【0013】一般式(1):R1 −(OCO−R2 n (式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
いてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは
1〜4の整数である。)
【0014】
【作用】〔1〕本発明のトナーを用いて画像支持体上に
転写されたトナー像を定着する際に、本発明のトナーを
構成する特定の結晶性化合物がブルーミング(結晶化)
し、当該特定の結晶性化合物による被覆層(表面保護
層)が定着画像の表面に形成される。ここに、結晶性化
合物がブルーミングして形成される被覆層による、スト
レスからの表面保護効果(耐傷性)は、当該被覆層を構
成する結晶の構造および力学特性に依存する。そして、
本発明者による研究の結果、前記被覆層を形成する結晶
の構造および力学特性は、結晶性化合物における結晶の
融解および結晶化する際の熱的挙動に支配されることが
わかってきた。
【0015】〔2〕後述する実施例の結果からも明らか
なように、特定の結晶性化合物を特定の割合で含有し、
かつ、DSCによる第2の昇温過程において少なくとも
1つの再結晶化ピークが存在するという特有の熱的挙動
(特定の結晶性化合物の含有に起因する挙動)を有する
トナーを使用して画像形成を行うことにより、得られる
定着画像の表面には、当該特定の結晶性化合物による被
覆層が形成される。そして、当該被覆層は、定着画像
(イメージ画像)をあらゆるストレスから防御すること
ができ、定着画像の耐傷性を格段に向上させることがで
きる。ここに、特定の結晶性化合物の含有に起因する特
有の熱的挙動によって画像の表面の耐傷性が向上するこ
との理由としては明らかないが、特有の熱的挙動を有す
る本発明のトナーは、結晶性化合物による被覆層のすべ
てが完全な結晶から構成されているのではなく、準安定
域な結晶(薄くて熱的に不安定な結晶)を一部含み、こ
の準安定域な結晶が定着画像の表面の耐傷性の向上に大
きく寄与しているものと考えられる。
【0016】〔3〕特有の熱的挙動を有する本発明のト
ナーは、前記特定の結晶性化合物を含有するトナー原料
に特定の熱履歴(最高温度および冷却速度)を付与する
ことによって好適に製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 <測定法および定義> (1)DSC曲線の測定法:本発明において、トナーお
よび結晶性化合物におけるDSC曲線は、示差走査熱量
分析装置(DSC)により測定される。具体的な測定装
置としては、パーキンエルマー社製のDSC−7等を挙
げることができる。
【0018】昇温・冷却条件としては、0℃で1分間放
置した後、10℃/minの条件で200℃まで昇温す
る(第1の昇温過程)。次いで、200℃で1分間放置
後、10℃/minの条件で0℃まで冷却する(第1の
冷却過程)。次いで、0℃で1分間放置した後、10℃
/minの条件で200℃まで昇温する(第2の昇温過
程)。
【0019】(2)トナーのDSC曲線:第1の昇温過
程におけるトナーのDSC曲線において、存在する吸熱
ピークのうち、最も高温側のピークの温度を「融解ピー
ク温度(T1m)(℃)」とする。第1の冷却過程におけ
るトナーのDSC曲線において、存在する発熱ピークの
うち、最も低温側のピークの温度を「結晶化ピーク温度
(T1c)(℃)」とする。第2の昇温過程におけるトナ
ーのDSC曲線において、存在する吸熱ピークのうち、
最も高温側のピークの温度を「融解ピーク温度(T2m
(℃)」とする。第2の昇温過程におけるトナーのDS
C曲線において、存在する発熱ピークであって、そのピ
ーク面積(当該ピークとベースラインとにより区画され
る面積)が、前記融解ピーク温度(T2m)(℃)におけ
る融解ピークのピーク面積の5%以上であるものを「再
結晶化ピーク」といい、当該再結晶化ピークのうち、最
も大きな面積を有するピークの温度を「再結晶化ピーク
温度(Trc)(℃)」とする。
【0020】(3)結晶性化合物のDSC曲線:第1の
昇温過程における結晶性化合物のDSC曲線において、
存在する吸熱ピークのうち、最も高温側のピークの温度
を「融解ピーク温度(t1m)(℃)」とする。第1の冷
却過程における結晶性化合物のDSC曲線において、存
在する発熱ピークのうち、最も低温側のピークの温度を
「結晶化ピーク温度(t1c)(℃)」とする。第2の昇
温過程における結晶性化合物のDSC曲線において、存
在する吸熱ピークのうち、最も高温側のピークの温度を
「融解ピーク温度(t2m)(℃)」とする。第2の昇温
過程における結晶性化合物のDSC曲線において、存在
する発熱ピークであって、そのピーク面積(当該ピーク
とベースラインとにより区画される面積)が、前記融解
ピーク温度(t2m)(℃)における融解ピークのピーク
面積の5%以上であるものを「再結晶化ピーク」とい
い、当該再結晶化ピークのうち、最も大きな面積を有す
るピークの温度を「再結晶化ピーク温度(trc
(℃)」とする。
【0021】<トナー>本発明のトナーは、少なくとも
結着樹脂および着色剤を含有する。本発明のトナーの第
1の特徴点は、上記一般式(1)で示される特定の結晶
性化合物(結晶性エステル化合物)を、前記結着樹脂1
00質量部当たり3〜40質量部の割合で含有すること
にある。
【0022】<結晶性エステル化合物>本発明のトナー
を構成する結晶性エステル化合物を示す一般式(1)に
おいて、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
いてもよい炭化水素基を示す。炭化水素基R1 の炭素数
は1〜40とされ、好ましくは1〜20、更に好ましく
は2〜6とされる。炭化水素基R2 の炭素数は1〜40
とされ、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜
26とされる。また、一般式(1)において、nは1〜
4の整数とされ、好ましくは2〜4、さらに好ましくは
3〜4、特に好ましくは4とされる。n(1〜4)の値
が大きいほど、分岐数が多くなって準安定域な結晶(薄
く熱的に不安定な結晶)を形成しやすい。本発明のトナ
ーを構成する結晶性エステル化合物は、アルコールとカ
ルボン酸との脱水縮合反応により好適に合成することが
できる。最も好適な結晶性エステル化合物としては、ペ
ンタエリスリトールテトラベヘン酸エステルを挙げるこ
とができる。
【0023】本発明のトナーを構成する特定の結晶性化
合物(結晶性エステル化合物)の具体例としては、下記
式1)〜22)に示す化合物を例示することができる。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】<特定の結晶性化合物の熱的挙動>本発明
のトナーを構成する特定の結晶性化合物は、示差走査熱
量計により測定されるDSC曲線において、第2の昇温
過程に少なくとも1つの再結晶化ピークが存在すること
が好ましい。DSCによる第2の昇温過程に再結晶化ピ
ークが存在する特定の結晶性化合物によれば、トナーを
製造する際に溶融状態から冷却されることによって、準
安定域な結晶を生成しやすい。
【0028】示差走査熱量計により測定される特定の結
晶性化合物のDSC曲線において、第2の昇温過程にお
ける再結晶化ピーク温度(trc)は、第2の昇温過程に
おけるオンセット温度(t20)と、第2の昇温過程での
融解ピーク温度(t2m)との間にあることが好ましい。
特に、特定の結晶性化合物の再結晶化ピーク温度
(trc)は、(t20+5℃)〜(t2m−2℃)の範囲に
あることが特に好ましい。
【0029】示差走査熱量計により測定される特定の結
晶性化合物のDSC曲線において、第1の冷却過程での
結晶化ピーク温度(t1C)は、第1の昇温過程での融解
ピーク温度(t1m)に対して10〜30℃低いことが好
ましい。ピーク温度差(t1m−t1C)が10℃未満であ
ると、当該特定の結晶性化合物が均質になりすぎて、当
該特定の結晶性化合物による被覆層において、結晶面滑
りが起きやすくなる。一方、ピーク温度差(t1m
1C)が30℃を超えると、当該特定の結晶性化合物の
結晶サイズが不均質となって被覆層の強度が低下する傾
向にある。
【0030】<特定の結晶性化合物の特性>本発明のト
ナーを構成する特定の結晶性化合物の硬度としては、温
度50℃、荷重150gの条件で測定される針入度が5
以下であることが好ましく、さらに好ましくは2以下で
ある。この針入度が5以下であることにより、当該特定
の結晶性化合物による被覆層に好適な力学特性(ストレ
スからの表面保護効果)を発現させることができる。
【0031】ここに、特定の結晶性化合物の針入度の測
定方法としては、JIS K 2235(1991)に
示される針入度測定方法を挙げることができる。すなわ
ち、JIS K 2235(1991)のセクション
5.4に記載されている針入度試験方法を用いて測定す
ることができる。
【0032】<特定の結晶性化合物の含有割合>本発明
のトナーを構成する特定の結晶性化合物の含有割合とし
ては、結着樹脂100質量部に対して3〜40質量部と
され、好ましくは5〜35質量部とされる。特定の結晶
性化合物の含有割合が3質量部未満である場合には、準
安定域な結晶を含む被覆層(表面保護効果に優れた被覆
層)を定着画像の表面に形成することができない。一
方、特定の結晶性化合物の含有割合が40質量部を超え
る場合には、定着画像の表面に形成される被覆層におけ
る準安定域な結晶の割合が過大となり、このような被覆
層にあっては、高温環境下の熱運動によってストレスに
対する変形が加速され、やはり定着画像表面の保護機能
を十分に発揮することができない。
【0033】<トナーの熱的挙動>本発明のトナーの第
2の特徴点は、示差走査熱量計により測定されるDSC
曲線において、第2の昇温過程に少なくとも1つの再結
晶化ピークが存在することにある。
【0034】第2の昇温過程に少なくとも1つの再結晶
化ピークを有するトナーによれば、準安定域な結晶を含
む被覆層を定着画像の表面に形成することができる。そ
して、このように準安定域な結晶を含む被覆層によれ
ば、あらゆるストレスから定着画像を防御することがで
き、擦り傷、ひっかき傷、押し込み傷等の発生を防止す
ることができる。ここに、準安定域な結晶を含まない被
覆層(完全結晶からなる被覆層)では、結晶サイズが過
大となり、低温環境下における結晶面での滑りによる崩
壊が起こりやすくなり、定着画像の表面の保護機能を十
分に発揮することができない。
【0035】示差走査熱量計により測定される本発明の
トナーのDSC曲線において、第2の昇温過程における
再結晶化ピーク温度(Trc)(℃)は、第2の昇温過程
で測定されるガラス転移温度(Tg)(℃)と、第2の
昇温過程での融解ピーク温度(T2m)(℃)との間にあ
ることが好ましい。特に、本発明のトナーの再結晶化ピ
ーク温度(Trc)(℃)は、(Tg+2℃)〜(T2m
2℃)の範囲にあることが特に好ましい。
【0036】ここに、第2の昇温過程におけるガラス転
移温度(Tg)(℃)とは、DSC曲線を用いて測定さ
れたものを示す。具体的には、前述のDSC−7(パー
キンエルマー社製)を使用する。昇温・冷却条件として
は、0℃で1分間放置した後、10℃/minの条件で
200℃まで昇温する(第1の昇温過程)。次いで、2
00℃で1分間放置後、10℃/minの条件で0℃ま
で冷却する(第1の冷却過程)。次いで、0℃で1分間
放置した後、10℃/minの条件で200℃まで昇温
する(第2の昇温過程)。この第2の昇温過程で測定さ
れたオンセット法での値、すなわち、ピークのベースラ
インとピークの最大傾きの直線との交点をガラス転移温
度とした。
【0037】示差走査熱量計により測定される本発明の
トナーのDSC曲線において、第1の冷却過程での結晶
化ピーク温度(T1C)(℃)は、第1の昇温過程での融
解ピーク温度(T1m)(℃)に対して10〜40℃低い
ことが好ましい。ピーク温度差(T1m−T1C)が10℃
未満であると、トナー像の表面に形成される被覆層にお
いて結晶面滑りが起きやすくなる。一方、ピーク温度差
(T1m−T1C)が40℃を超えると、定着画像の表面に
形成される被覆層を構成する結晶サイズが不均質とな
り、当該被覆層の強度が低下する傾向にある。
【0038】図1は、本発明のトナーについての第2の
昇温過程におけるDSC曲線の一例を示す曲線図であ
る。同図において、2Mは融解ピーク、S2m(斜線部)
は融解ピーク2Mのピーク面積、RCは再結晶化ピー
ク、Src(斜線部)は再結晶化ピークRCのピーク面
積、BLはベースラインである。本発明のトナーのDS
C曲線(第2の昇温過程)において、融解ピーク2M
〔ピーク温度(T2m)〕のピーク面積(S2m)に対す
る、再結晶化ピークRC〔ピーク温度(Trc)〕のピー
ク面積(Src)の比(Src/S2m)は5〜100%であ
ることが好ましい。このようなトナーを使用することに
より、準安定域な結晶を好適な範囲(優れた表面保護効
果が発現される範囲)で含む被覆層を定着画像表面に形
成することができる。
【0039】<結着樹脂>本発明のトナーを構成する結
着樹脂としては、特に限定されるものではなく、スチレ
ン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体など従来公
知の樹脂を挙げることができる。
【0040】これらの樹脂材料のうち、特定の結晶性化
合物の熱挙動(準安定域な結晶を含む被覆層の形成)に
対する影響が少ない樹脂を選択することが好ましく、従
って、使用される特定の結晶性化合物の種類に応じて好
適な樹脂材料を適宜選択することができる。
【0041】ここに、特定の結晶性化合物と好適に組み
合わされる樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、スチ
レンブタジエン樹脂を挙げることができる。この理由は
明確ではないが、結晶性化合物と樹脂間の溶解性差を適
正化することができ、この樹脂との組合せで、結晶性化
合物がいわゆるドメイン的な分散状態で樹脂中に存在さ
せることが容易になり、本発明の結晶構造をとりやすく
なるためであると考えられる。
【0042】本発明のトナーを重合法により製造する場
合において、当該トナーを構成する結着樹脂を得るため
に使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量
体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用す
ることができる。また、以下の酸性基を有するラジカル
重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単
量体を少なくとも1種類含有することが好ましい。
【0043】(1)ラジカル重合性単量体:ラジカル重
合性単量体としては、特に限定されるものではなく従来
公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。ま
た、要求される特性を満たすように、1種または2種以
上のものを組み合わせて用いることができる。具体的に
は、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル
系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単
量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることが
できる。芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニル
スチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、
p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチ
レン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレ
ン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体
およびその誘導体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチル
ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェ
ニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸
−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチ
ル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステ
アリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリ
ル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。ビニルエス
テル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル
系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニ
ルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体と
しては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙
げられる。ジオレフィン系単量体としては、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。ハロゲ
ン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0044】(2)架橋剤:架橋剤としては、トナーの
特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加して
も良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベン
ゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチ
レングリコールメタクリレート、エチレングリコールジ
メタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有す
るものが挙げられる。
【0045】(3)酸性基を有するラジカル重合性単量
体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体:酸性
基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有す
るラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシ
ル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミ
ン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム
塩等のアミン系の化合物を用いることができる。酸性基
を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基
含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマー
ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸
モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル
等が挙げられる。スルホン酸基含有単量体としては、ス
チレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスル
ホコハク酸オクチル等が挙げられる。これらは、ナトリ
ウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウム
などのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0046】塩基性基を有するラジカル重合性単量体と
しては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノ
エチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルア
ミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級
アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレ
ート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル
トリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチ
ルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、
ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブ
チルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミ
ド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メ
チルピリジニウムクロリド、ビニルN- エチルピリジニ
ウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムク
ロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド
等を挙げることができる。
【0047】本発明のトナーを得るために用いられるラ
ジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル
重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単
量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが
好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよる
が、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量
%の範囲で使用することが好ましい。
【0048】(4)連鎖移動剤:結着樹脂の分子量を調
整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動
剤を用いることが可能である。連鎖移動剤としては、特
に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタ
ン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカ
プタン等のメルカプタン、およびスチレンダイマー等が
使用される。
【0049】(5)重合開始剤:本発明のトナーを得る
ために用いられるラジカル重合開始剤は特に限定される
ものではなく、水溶性および油溶性の重合開始剤が適宜
使用が可能である。水溶性のラジカル重合開始剤として
は、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス−4−シ
アノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げら
れる。更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて
還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能
である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が
上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期
待できる。重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成
温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば5
0℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の
重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン
酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上
の温度で重合する事も可能である。
【0050】(6)界面活性剤:前述のラジカル重合性
単量体を使用して乳化重合を行うためには、界面活性剤
を使用して乳化重合を行う必要がある。この際に使用す
ることのできる界面活性剤としては特に限定されるもの
では無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの
例として挙げることができる。イオン性界面活性剤とし
ては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナト
リウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−
ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン
酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジ
メチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリ
フェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトー
ル−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩
(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウ
ム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリ
ウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン
酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナト
リウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウ
ム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。また、ノ
ニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的に
は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイ
ドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸
とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサ
イド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステ
ル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステ
ル、ソルビタンエステル等をあげることができる。本発
明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として
使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよ
い。
【0051】<着色剤>本発明のトナーを構成する着色
剤としては無機顔料、有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができ
る。具体的な無機顔料を以下に例示する。黒色の顔料と
しては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラ
ック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプ
ブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フ
ェライト等の磁性粉も用いられる。これらの無機顔料は
所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能で
ある。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量
%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。磁
性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを
添加することができる。この場合には所定の磁気特性を
付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加す
ることが好ましい。
【0052】有機顔料としても従来公知のものを用いる
ことができる。具体的な有機顔料を以下に例示する。マ
ゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメ
ントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.
ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、
C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッ
ド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグ
メントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド5
3:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.
ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド1
23、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグ
メントレッド144、C.I.ピグメントレッド14
9、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメ
ントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、
C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。オレ
ンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメ
ントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメント
イエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.
I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエ
ロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.
ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー
138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.
ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロ
ー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げ
られる。グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.
I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー
15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.
I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー
60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの有機顔料は所望に応じて単独または複数を選択
併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に
対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量
%が選択される。
【0053】着色剤は表面改質して使用することもでき
る。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用す
ることができ、具体的にはシランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好
ましく用いることができる。
【0054】<外添剤>本発明のトナーには、流動性、
帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的
で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。
これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種
々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することが
できる。
【0055】本発明のトナーを製造する方法としては特
に限定されるものではなく、混練粉砕法および重合法の
ほか、溶融スプレー法によっても製造することができ
る。これらの製造方法のうち、温度制御が容易であっ
て、冷却処理を効率的に行うことができることから、特
定の結晶性化合物および重合性単量体を含有する単量体
組成物を水相中で直接的に重合する重合法(懸濁重合法
・乳化重合法)を採用することが好ましい。また、特定
の結晶性化合物を加熱および急冷する際の温度制御が容
易であることから、特定の結晶性化合物および重合性単
量体を含有する単量体組成物を水相中で直接的に重合し
て得られる微粒子を会合処理する重合法(乳化重合会合
法)を採用することが特に好ましい。以下に、本発明の
トナーを好適に製造する方法(本発明の製造方法)につ
いて説明する。
【0056】<トナーの製造方法>本発明の製造方法
は、特定の結晶性化合物を含有するトナー原料に、特定
の熱履歴(最高温度および冷却速度)を付与する点に特
徴を有する。
【0057】(1)混練粉砕法:本発明の製造方法の一
例(少なくとも結着樹脂、着色剤および特定の結晶性化
合物を乾式混合し、混練機にて溶融混練し、粉砕し、必
要に応じて分級する混練粉砕法)においては、溶融混練
時の最高温度を、前記結晶性化合物におけるDSCによ
る第1の昇温過程での融解ピーク温度t1m(℃)以上と
し、且つ、混練機外に吐出されたトナー原料を、(t1m
−30℃)以下の所定温度となるまで1〜20℃/se
cの冷却速度で冷却する工程を含む。
【0058】ここに、混練粉砕法における「トナー原
料」とは、少なくとも結着樹脂と着色剤と特定の結晶性
化合物とを含有する混練材料をいう。また、トナー原料
に付与される混練時の最高温度は、通常、製造工程にお
ける最高温度であり、例えば、混練機の吐出口における
原料(溶融混練材料)の温度である。この最高温度とし
ては、t1m(℃)以上とされ、好ましくはt1m(℃)〜
(t1m+100℃)とされる。かかる温度までトナー原
料(混練材料)を昇温することにより、特定の結晶性化
合物を完全に融解状態にすることができる。その後、ト
ナー原料を冷却処理(急冷処理)する。具体的には、
(t1m−30℃)以下の所定温度(例えば常温〜45
℃)まで、1〜20℃/secの冷却速度で当該トナー
原料(溶融混練材料)を冷却する。このような急冷処理
を行うことによってはじめて、特有の熱的挙動を有する
粉砕トナー、すなわち、準安定状態の結晶を好適な割合
で含む被覆層を確実に生成することのできる本発明のト
ナーが得られる。
【0059】(2)重合法:本発明の製造方法の他の例
(重合法)においては、特定の結晶性化合物を含むトナ
ー原料に、前記結晶性化合物におけるDSCによる第1
の昇温過程での融解ピーク温度t1m(℃)以上の温度
(最高温度)を付与し、且つ、当該最高温度から(t1m
−30℃)以下の所定温度まで、1〜20℃/minの
冷却速度で当該トナー原料を冷却する工程を含む。
【0060】ここに、懸濁重合法における「トナー原
料」とは、例えば、重合性単量体と特定の結晶性化合物
とを含有する単量体組成物、および当該単量体組成物か
ら得られる重合体粒子をいう。また、トナー原料に付与
される最高温度は、例えば重合反応温度である。最高温
度としては、t1m(℃)以上とされ、好ましくはt
1m(℃)〜(t1m+100℃)とされる。かかる温度ま
でトナー原料を昇温することにより、特定の結晶性化合
物を完全に融解状態にすることができる。その後、トナ
ー原料である重合体粒子を冷却処理(急冷処理)する。
具体的には、(t1m−30℃)以下の所定温度(例えば
常温〜45℃)まで、1〜20℃/minの冷却速度で
冷却する。このような急冷処理を行うことによってはじ
めて、特有の熱的挙動を有する懸濁重合トナー、すなわ
ち、準安定状態の結晶を好適な割合で含む被覆層を確実
に生成することのできる本発明のトナーが得られる。な
お、20℃/minを超える速度でトナー原料(単量体
組成物および重合体粒子)を急冷すると、準安定状態の
結晶の割合が過大となったり、非結晶状態となったりす
るので好ましくない。すなわち、重合法における冷却
は、混練粉砕法とは異なり、粒子状の部分を冷却するた
め、混練粉砕法の場合と比較して遅めの条件で、粒子内
部に結晶性化合物を結晶状態で存在させることができ
る。
【0061】また、後に詳述する乳化重合会合法におけ
る「トナー原料」とは、例えば、重合性単量体と特定の
結晶性化合物とを含有する単量体組成物を水相中で直接
的に乳化重合して得られる微粒子の分散体(ラテック
ス)、および当該微粒子を会合して得られる会合粒子の
分散体をいう。そして、トナー原料に付与される最高温
度は、例えば、前記微粒子の会合処理温度である。最高
温度としては、t1m(℃)以上とされ、好ましくはt1m
(℃)〜(t1m+100℃)とされる。かかる温度まで
トナー原料(ラテックス)を昇温することにより、特定
の結晶性化合物を完全に融解状態にすることができる。
その後、トナー原料である会合粒子を冷却処理(急冷処
理)する。具体的には、(t1m−30℃)以下の所定温
度(例えば常温〜45℃)まで、1〜20℃/minの
冷却速度で冷却する。このような急冷処理を行うことに
よってはじめて、特有の熱的挙動を有する乳化重合会合
型トナー、すなわち、準安定状態の結晶を好適な割合で
含む被覆層を確実に生成することのできる本発明のトナ
ーが得られる。なお、20℃/minを超える速度でト
ナー原料を急冷すると、準安定状態の結晶の割合が過大
となったり、非結晶状態となったりするので好ましくな
い。
【0062】次に、本発明の製造方法(乳化重合会合
法)の一例について詳細に説明する。この製造方法に
は、(1)特定の結晶性化合物をラジカル重合性単量体
に溶解する溶解工程、(2)樹脂微粒子の分散液を調製
するための重合工程、(3)水系媒体中で樹脂微粒子を
融着させてトナー粒子(会合粒子)を得る融着工程、
(4)トナー粒子の分散液を冷却する冷却工程、(5)
冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を濾
別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾
過・洗浄工程、(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥
する乾燥工程が含まれ、(7)乾燥処理されたトナー粒
子に外添剤を添加する工程が含まれていてもよい。
【0063】以下、各工程について説明する。 〔溶解工程〕この工程は、ラジカル重合性単量体に特定
の結晶性化合物を溶解させて、当該特定の結晶性化合物
のラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
【0064】〔重合工程〕この重合工程の好適な一例に
おいては、水系媒体(界面活性剤およびラジカル重合開
始剤の水溶液)中に、前記特定の結晶性化合物のラジカ
ル重合性単量体溶液の液滴を形成させ、前記ラジカル重
合開始剤からのラジカルにより当該液滴中において重合
反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始
剤が含有されていてもよい。このような重合工程におい
ては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴
の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの
付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴ
ーリンなどの強い攪拌または超音波振動エネルギーの付
与手段を挙げることができる。
【0065】この重合工程により、特定の結晶性化合物
と結着樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。かかる
樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色
されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微
粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理する
ことにより得られる。また、着色されていない樹脂微粒
子を使用する場合には、後述する融着工程において、樹
脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、
樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることでトナー
粒子とすることができる。
【0066】〔融着工程〕前記融着工程における融着の
方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着
色または非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が
好ましい。また、当該融着工程においては、樹脂微粒子
や着色剤微粒子とともに、離型剤微粒子や荷電制御剤な
どの内添剤微粒子なども融着させることができる。
【0067】前記融着工程における「水系媒体」とは、
主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。こ
こに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を
挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチル
ケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これら
のうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、
エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなア
ルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0068】着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分
散することにより調製することができる。着色剤の分散
処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CM
C)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使
用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波
分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧
力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダ
ー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒
体型分散機が挙げられる。また、使用される界面活性剤
としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げること
ができる。なお、着色剤(微粒子)は表面改質されてい
てもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分
散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系
を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤
を濾別し、同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返した後、乾燥
することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔
料)が得られる。
【0069】好ましい融着方法である塩析/融着法は、
樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、ア
ルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を
臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記
樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ前記特定
の結晶性化合物の融解ピーク温度(t1m)(℃)以上の
温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を
行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機
溶媒を添加し、樹脂微粒子のガラス転移温度を実質的に
下げることで融着を効果的に行う手法を採用してもよ
い。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ
土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウ
ム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属とし
て、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられ
る。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、
沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。さらに、前記
水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレ
ングリコール、グリセリン、アセトン等があげられる
が、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノールのアルコールが好まし
く、特に、2−プロパノールが好ましい。
【0070】本発明の融着を塩析/融着で行う場合、塩
析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くする
ことが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析
した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、
粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面
性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添
加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移
温度以下であることが必要である。この理由としては、
塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以
上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行する
ものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子
が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲
としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一
般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、本発明では、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温
度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹
脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記特
定の結晶性化合物の融解ピーク温度(t1m)(℃)以上
の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間
未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があ
るが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好まし
い。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上
げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにく
いという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融
着工程により、樹脂微粒子および任意の微粒子が塩析/
融着されてなる会合粒子(トナー粒子)の分散液が得ら
れる。
【0071】〔冷却工程〕この工程は、前記トナー粒子
の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却
処理条件としては、(t1m−30℃)以下の所定温度ま
で、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処
理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器
の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接
反応系に投入して冷却する方法を例示することができ
る。
【0072】〔濾過・洗浄工程〕この濾過・洗浄工程で
は、上記の工程で(t1m−30℃)以下の所定温度まで
冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を濾
別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の
集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去す
る洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法として
は、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過
法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に
限定されるものではない。
【0073】〔乾燥工程〕この工程は、洗浄処理された
トナー粒子を乾燥処理する工程である。この工程で使用
される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結
乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾
燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、
攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥処理
されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが
好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。な
お、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力
で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理しても
よい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、
ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサ
ー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0074】<画像形成方法>本発明の画像形成方法
は、画像支持体に転写されたトナー像を熱ロールにより
加熱加圧定着する工程(熱ロール方式による定着工程)
を含む方法であり、画像形成に供されるトナーが特定の
結晶性化合物を含有し、当該特定の結晶性化合物のDS
C曲線において、第2の昇温過程に少なくとも1つの再
結晶化ピークが存在する点に特徴がある。
【0075】定着方式として熱ロール方式を採用するこ
とにより、前記特定の結晶性化合物による均質な被覆層
(均一な厚さ・均質な結晶構造および力学特性を有する
被覆層)を定着画像の表面に形成することができる。
【0076】本発明の画像形成方法においては、前記熱
ロールの表面温度(Th)が、前記再結晶ピークにおけ
る温度(再結晶ピーク温度trc)以上であって、かつ、
定着ニップを通過してから3秒間経過後における前記画
像支持体の表面温度(Tp)が、前記熱ロールの表面温
度(Th)に対して90℃以上低いことが好ましく、温
度差(Th−Tp)が120℃以上であることが特に好
ましい。温度差(Th−Tp)を90℃以上とすること
により、形成される定着画像の表面に、準安定状態の結
晶を好適な割合で含む被覆層を確実に生成することがで
きる。
【0077】定着圧力としては、49〜490kPa
(0.5〜5kgf/cm2 )であることが好ましい。
定着圧力が過小である場合には、溶融状態にある特定の
結晶性化合物を定着画像の表面に滲み出させることが困
難となる。一方、定着圧力が過大である場合には、溶融
状態にある特定の結晶性化合物が定着画像(層)の側面
から滲み出てしまい、定着画像の表面に効率よく被覆層
を形成することが困難となる。
【0078】ニップ通過時間としては、15〜70ms
ecであることが好ましく、これにより、特定の結晶性
化合物による被覆層を定着画像の表面を含む広い面積で
形成することができる。ここに「ニップ通過時間」は、
熱ロールと加圧ロールとの間に形成される接触部分(定
着ニップ)の画像支持体の進行方向の長さをd(m
m)、定着ロールの線速をv(mm/sec)とすると
き、d/vで求めることができる。
【0079】なお、シリコーンオイルを塗布しない定着
機構は、定着画像の表面の傷を目立たせないという観点
から、特にフルカラー画像を形成する場合に好ましい。
もちろん、シリコーンオイルによる画像表面のぎらつき
感もなくなって、さらに良好なカラー画像を形成するこ
とができる。また、熱ロールの表面を清掃する機構がな
い定着器を用いることにより、ロール表面に傷が発生し
にくく、その結果、定着画像の表面を傷つけないという
観点から好ましい。
【0080】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0081】<結晶性化合物の調製> 〔調製例1〜4〕下記表1に示す処方に従って、カルボ
ン酸とアルコールとを脱水縮合反応させることにより、
結晶性エステル化合物〔結晶性化合物(19),(2
0),(21),(3)〕を調製した。反応は、窒素雰
囲気下220℃で8時間行い、反応終了後20℃/分の
冷却速度で80℃まで冷却し、水酸化カリウム水溶液で
中和反応を行った後、洗浄、脱水、濾過を行うことによ
り上記結晶性エステル化合物を得た。
【0082】〔比較調製例1〜4〕下記表1に示す結晶
性化合物(比較用の結晶性化合物a〜d)を準備した。
なお、比較用結晶性化合物dは、調製例1において反応
終了後の冷却速度を0.5℃/分とした他は同様にし
て、再結晶ピークを有さない結晶性化合物を得たもので
ある。
【0083】〔結晶性化合物のDSC曲線の測定〕上記
の調製例1〜4および比較調製例1〜4に係る結晶性化
合物の各々について、DSC曲線を測定することによ
り、第1の昇温過程における融解ピーク温度(t1m)、
第1の冷却過程における結晶化ピーク温度(t1c)、第
2の昇温過程におけるオンセット温度(t20)、第2の
昇温過程における再結晶化ピーク温度(trc)、第2の
昇温過程における融解ピーク温度(t2m)を求めた。結
果を併せて表1に示す。
【0084】〔結晶性化合物の針入度の測定〕上記の調
製例1〜4および比較調製例1〜4に係る結晶性化合物
の各々について、針入度(温度50℃、荷重150g)
を測定した。結果を、分子量分布とともに表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】〔実施例1〕 (1)低分子量ラテックスの合成:攪拌装置、冷却管お
よび温度センサーを装着した容量1リットルの四頭コル
ベンに、スチレン509.83gと、n−ブチルアクリ
レート88.67gと、メタクリル酸34.83gと、
tert−ドデシルメルカプタン21.83gと、調製
例1で得られた結晶性化合物(19)(ペンタエリスリ
トールテトラベヘン酸エステル)66.7gとを入れ、
内温を80℃に昇温し、前記結晶性化合物(19)が溶
解するまで攪拌し、そのまま温度を保持した。一方、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0gを純水2
700ミリリットルに溶解させた界面活性剤水溶液を同
様に内温80℃になるよう加熱し、そのまま保持した。
80℃に保温した前記界面活性剤水溶液を攪拌しなが
ら、前記結晶性化合物(19)を溶解したモノマー溶液
を添加し、超音波乳化装置を用いて乳化を行って乳化液
を得た。次いで、攪拌装置、冷却管、窒素導入管および
温度センサーを装着した容量5リットルの四頭コルベン
に、前記乳化液を投入し、攪拌を行いながら、窒素気流
下、内温を70℃に保持し、過硫酸アンモニウム7.5
2gを純水500ミリリットルに溶解した重合開始剤水
溶液を添加し、4時間重合を行った後、室温まで冷却
し、濾過を行いラテックスを得た。反応後において重合
残渣は認められず、安定したラテックスが得られた。こ
れを「ラテックス(L−1)」とする。
【0087】得られたラテックス(L−1)について、
電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子(株)
製)を用いて数平均一次粒径を測定したところ125n
mであった。また、DSCによりガラス転移温度を測定
したところ58℃であった。また、静置乾燥による重量
法で測定した上記ラテックスの固形分濃度は20質量%
であった。
【0088】(2)高分子量ラテックスの合成:攪拌装
置、冷却管および温度センサーを装着した容量500ミ
リリットルの四頭コルベンに、スチレン92.47g
と、n−ブチルアクリレート30.4gと、メタクリル
酸3.80gと、tert−ドデシルメルカプタン0.
12gと、調製例1で得られた結晶性化合物(19)
(ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル)1
3.34gとを入れ、内温を80℃に昇温し、前記結晶
性化合物(19)が溶解するまで攪拌し、そのまま温度
を保持した。一方、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.27gを純水540ミリリットルに溶解させた
界面活性剤水溶液を同様に内温80℃になるよう加熱
し、そのまま保持した。80℃に保温した前記界面活性
剤水溶液を攪拌しながら、前記結晶性化合物(19)を
溶解したモノマー溶液を添加し、超音波乳化装置を用い
て乳化を行って乳化液を得た。次いで、攪拌装置、冷却
管、窒素導入管および温度センサーを装着した容量5リ
ットルの四頭コルベンに、前記乳化液を投入し、攪拌を
行いながら、窒素気流下、内温を70℃に保持し、過硫
酸アンモニウム0.27gを純水100ミリリットルに
溶解した重合開始剤水溶液を添加し、4時間重合を行っ
た後、室温まで冷却し、濾過を行いラテックスを得た。
反応後において重合残渣は認められず、安定したラテッ
クスが得られた。これを「ラテックス(H−1)」とす
る。
【0089】得られたラテックス(H−1)について、
電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子(株)
製)を用いて数平均一次粒径を測定したところ108n
mであった。また、DSCによりガラス転移温度を測定
したところ59℃であった。また、静置乾燥による重量
法で測定した上記ラテックスの固形分濃度は20質量%
であった。
【0090】(3)トナーの製造:攪拌装置、冷却管お
よび温度センサーを装着した容量5リットルの四頭コル
ベンに、ラテックス(H−1)250gと、ラテックス
(L−1)1000gと、純水900ミリリットルと、
界面活性剤水溶液(ドデシル硫酸ナトリウム9.2gを
純水160ミリリットルに溶解した水溶液)にカーボン
ブラック「リーガル330R」(キャボット社製)20
gを分散してなるカーボンブラック分散液とを仕込み、
攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加して
pHを10に調整した。さらに、塩化マグネシウム・6
水和物28.5gを純水1000ミリリットルに溶解し
た水溶液を攪拌しながら室温下に添加した後、内温が9
5℃になるまで昇温した。そのまま内温を95℃に維持
しながら、コールターカウンターII(コールター社製)
を用いて分散粒子の粒径を測定し、その粒径が6.5μ
mになったところで、塩化ナトリウム80.6gを純水
700ミリリットルに溶解した水溶液を添加し、内温を
95℃(t1m+14℃)に維持しながら6時間反応を継
続させた。反応終了後、得られた会合粒子の分散液(9
5℃)を、45℃(t1m−36℃)になるまで10分間
冷却した(冷却速度=5℃/min)。このようにして
生成した会合粒子(トナー粒子)を濾過し、純水への再
懸濁および濾過を繰り返して洗浄を行った後、乾燥する
ことによってトナーを得た。これを「ブラックトナー
1」とする。ブラックトナー1の粒径をコールターカウ
ンターII(コールター社製)を用いて測定したところ、
体積平均粒径d50=6.5μm、変動係数CV=18.
2%であった。
【0091】〔実施例2−B〕実施例1において、低分
子量ラテックスを調製する際に添加した結晶性化合物
(19)の使用量を100gとし、高分子量ラテックス
を調製する際に添加した結晶性化合物(19)の使用量
を40gとしたこと以外は同様にしてトナーを得た。こ
れを「ブラックトナー2B」とする。ブラックトナー2
Bの粒径をコールターカウンターII(コールター社製)
を用いて測定したところ、体積平均粒径d 50=6.4μ
m、変動係数CV=17.8%であった。
【0092】〔実施例2−Y〕実施例2−Bにおいて、
カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロ
ー185を使用したこと以外は同様にしてイエロートナ
ーを得た。これを「イエロートナー2Y」とする。イエ
ロートナー2Yの粒径をコールターカウンターII(コー
ルター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径d
50=6.3μm、変動係数CV=17.8%であった。
【0093】〔実施例2−M〕実施例2−Bにおいて、
カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド
122を使用したこと以外は同様にしてマゼンタトナー
を得た。これを「マゼンタトナー2M」とする。マゼン
タトナー2Mの粒径をコールターカウンターII(コール
ター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径d50
=6.5μm、変動係数CV=19.1%であった。
【0094】〔実施例2−C〕実施例2−Bにおいて、
カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー
15:3を使用したこと以外は同様にしてシアントナー
を得た。これを「シアントナー2C」とする。シアント
ナー2Cの粒径をコールターカウンターII(コールター
社製)を用いて測定したところ、体積平均粒径d50
6.5μm、変動係数CV=18.6%であった。
【0095】〔実施例3〕低分子量ラテックスの合成工
程において、結晶性化合物(19)に代えて結晶性化合
物(20)(ペンタエリスリトールテトラアラキン酸エ
ステル)66.7gを使用し、高分子量ラテックスの合
成工程において、結晶性化合物(19)に代えて結晶性
化合物(20)(ペンタエリスリトールテトラアラキン
酸エステル)13.34gを使用し、トナーの製造時の
内温を90℃(t1m+12℃)に変更し、40℃(t1m
−38℃)まで2℃/minの速度で冷却したこと以外
は実施例1と同様にしてブラックトナーを得た。これを
「ブラックトナー3」とする。ブラックトナー3の粒径
をコールターカウンターII(コールター社製)を用いて
測定したところ、体積平均粒径d50=6.6μm、変動
係数CV=19.2%であった。
【0096】〔実施例4〕低分子量ラテックスの合成工
程において、結晶性化合物(19)に代えて結晶性化合
物(21)(ペンタエリスリトールテトラステアリン酸
エステル)66.7gを使用し、高分子量ラテックスの
合成工程において、結晶性化合物(19)に代えて結晶
性化合物(21)(ペンタエリスリトールテトラステア
リン酸エステル)13.34gを使用し、トナーの製造
時の内温を85℃(t1m+9℃)に変更し、45℃(t
1m−31℃)まで5℃/minの速度で冷却したこと以
外は実施例1と同様にしてブラックトナーを得た。これ
を「ブラックトナー4」とする。ブラックトナー4の粒
径をコールターカウンターII(コールター社製)を用い
て測定したところ、体積平均粒径d50=6.5μm、変
動係数CV=17.3%であった。
【0097】〔実施例5〕低分子量ラテックスの合成工
程において、結晶性化合物(19)に代えて結晶性化合
物(3)66.7gを使用し、高分子量ラテックスの合
成工程において、結晶性化合物(19)に代えて結晶性
化合物(3)13.34gを使用し、トナーの製造時の
内温を85℃(t1m+12℃)に変更し、35℃(t1m
−38℃)まで5℃/minの速度で冷却したこと以外
は実施例1と同様にしてブラックトナーを得た。これを
「ブラックトナー5」とする。ブラックトナー5の粒径
をコールターカウンターII(コールター社製)を用いて
測定したところ、体積平均粒径d50=6.4μm、変動
係数CV=17.3%であった。
【0098】〔実施例6〕スチレン−アクリレート共重
合体100質量部と、カーボンブラック10質量部と、
モノアゾ染料の金属錯体1質量部と、結晶性化合物(1
9)(ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル,
融解ピーク温度(t1m)=81℃)4質量部とをヘンシ
ェルミキサーを用いて混合し、二軸混練機「PCM−3
0」(池貝製)を用いて混練し、更に粉砕、分級して、
体積平均粒径d50=6.7μmのブラックトナーを得
た。これを「ブラックトナー6」とする。
【0099】ここに、二軸混練機による混練条件および
溶融原料の冷却条件は下記のとおりである。 ・混練機の吐出口における溶融原料の温度:136℃
(t1m+55℃) ・冷却条件の制御方法:混練機の後に設置した2段の冷
却ローラの温度(チラー循環水の温度と流量)を調整し
た。 ・45℃(t1m−36℃)になるまでの冷却時間:20
秒間(4.6℃/sec)
【0100】〔比較例1〕結晶性化合物(19)に代え
て比較用結晶性化合物a(ポリプロピレン,融解ピーク
温度(t1m)=139℃)4質量部を使用し、溶融原料
の温度が145℃になるよう混練条件を調整し、t1m
39(℃)までの冷却時間が10秒間となるよう冷却条
件を調整したこと以外は実施例6と同様にして体積平均
粒径d50=6.5μmのブラックトナーを得た。これを
「比較ブラックトナー1」とする。
【0101】〔比較例2〕結晶性化合物(19)に代え
て比較用結晶性化合物b(パラフィンワックス,融解ピ
ーク温度(t1m)=93℃)4質量部を使用し、溶融原
料の温度が132℃になるよう混練条件を調整し、t1m
−20(℃)までの冷却時間が30秒間となるよう冷却
条件を調整したこと以外は実施例6と同様にして体積平
均粒径d50=6.4μmのブラックトナーを得た。これ
を「比較ブラックトナー2」とする。
【0102】〔比較例3〕結晶性化合物(19)に代え
て比較用結晶性化合物c(カルナバワックス,融解ピー
ク温度(t1m)=84℃)4質量部を使用し、溶融原料
の温度が135℃になるよう混練条件を調整し、t1m
44(℃)までの冷却時間が20秒間となるよう冷却条
件を調整したこと以外は実施例6と同様にして体積平均
粒径d50=6.5μmのブラックトナーを得た。これを
「比較ブラックトナー3」とする。
【0103】〔比較例4〕得られた会合粒子の分散液
(95℃)を、45℃(t1m−36℃)になるまで0.
5℃/minの速度で100分間冷却したこと以外は、
実施例1と同様にして体積平均粒径d50=6.6μmの
ブラックトナーを得た。これを「比較ブラックトナー
4」とする。
【0104】〔比較例5〕冷却条件を、45℃(t1m
36℃)までの冷却時間が104秒間(冷却速度=24
℃/秒)となるよう調製したこと以外は実施例6と同様
にして体積平均粒径d50=6.8μmのブラックトナー
を得た。これを「比較ブラックトナー5」とする。
【0105】〔比較例6〕調製例1で得られた結晶性化
合物(19)を用いる代わりに、比較調製例4で得られ
た結晶性化合物dを用い、トナーの製造時に得られた会
合粒子の分散液(95℃)を、45℃(t1m−36℃)
になるまで0.5℃/minの速度で100分間冷却し
たことした以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径
50=6.6μmのブラックトナーを得た。これを「比
較ブラックトナー6」とする。
【0106】〔トナーのDSC曲線の測定〕上記の実施
例1〜6および比較例1〜6に係るトナーの各々につい
て、DSC曲線を測定することにより、第1の昇温過程
における融解ピーク温度(T1m)、第1の冷却過程にお
ける結晶化ピーク温度(T1c)、第2の昇温過程におけ
るガラス転移温度(Tg)、第2の昇温過程における再
結晶化ピーク温度(Trc)、第2の昇温過程における融
解ピーク温度(T2m)を求めた。結果を併せて表2に示
す。
【0107】
【表2】
【0108】<定着器>下記構成の定着器1〜3を準備
した。 (定着器1)電子写真複写機「コニカ7050」に搭載
されている定着器の記録紙の出口に冷却ファンを設置
し、オイル塗布機構および熱ロール清掃機構を取り外し
たもの。 ・定着圧力:235.2kPa(2.4kgf/c
2 ) ・熱ロールの表面温度:198〜201℃ ・ニップ通過時間:22msec(ニップ幅=7.5m
m,線速=340mm/sec)
【0109】(定着器2)下記の定着条件となるように
電子写真複写機「コニカ2120」に搭載されている定
着器を改造し、さらに、記録紙の出口に冷却ファンを設
置し、オイル塗布機構および熱ロール清掃機構を取り外
したもの。 ・定着圧力:88.2kPa(0.9kgf/cm2 ) ・熱ロールの表面温度:168〜170℃ ・ニップ通過時間:41msec(ニップ幅=4mm,
線速=105mm/sec)
【0110】(定着器3)下記の定着条件となるように
試作した定着器であって、記録紙の出口に冷却ファンが
設置されず、オイル塗布機構および熱ロール清掃機構を
有しないもの。 ・定着圧力:98kPa(1kgf/cm2 ) ・熱ロールの表面温度:179〜181℃ ・ニップ通過時間:62msec(ニップ幅=6.5m
m,線速=105mm/sec)
【0111】<ブラックトナーによる画像形成>実施例
1、実施例3〜6および比較例1〜6により得られたブ
ラックトナーの各々に、疎水性シリカ微粒子および疎水
性チタニア微粒子を、それぞれ0.5質量%および0.
7質量%となる割合で外添し、次いで、当該トナー5質
量部と、樹脂被覆された磁性フェライトキャリア95質
量部と混合することにより現像剤1、現像剤3〜6およ
び比較現像剤1〜6を調製した。
【0112】上記のようにして得られた現像剤の各々を
電子写真複写機「コニカ7050」に投入し、静電像担
持体に形成された静電荷像をブラックトナーで現像し、
前記静電像担持体上にトナー像(ベタ画像50mm×5
0mmおよび画像電子学会カラーテストチャートNo.
11)を形成し、当該トナー像を記録紙(コニカ55g
紙)に転写することにより、未定着トナー像が形成され
ている記録紙を作製した。
【0113】上記のようにして記録紙上に形成された未
定着トナー像の各々について、下記表3に従って、定着
器の種類、熱ロールの表面温度(Th)、定着ニップを
通過してから3秒後の記録紙の表面温度(Tp)を変え
て加熱加圧定着を行い、定着画像を形成した。なお、定
着ニップを通過してから3秒後の記録紙の表面温度(T
p)は、記録紙の出口に設置された冷却ファンの送風量
を調整することにより制御した。
【0114】<カラートナーによる画像形成>実施例2
−Bで得られたブラックトナー2B、実施例2−Yで得
られたイエロートナー2Y、実施例2−Mで得られたマ
ゼンタトナー2M、実施例2−Cで得られたシアントナ
ー2Cの各々に、疎水性チタニア微粒子を2質量%とな
る割合で外添し、次いで、当該トナー5質量部と、樹脂
被覆された磁性フェライトキャリア95質量部と混合す
ることにより現像剤2B、現像剤2Y、現像剤2M、現
像剤2Cを調製した。
【0115】上記のようにして得られた現像剤の各々を
カラー複写機「コニカ7823」に投入し、静電像担持
体に形成された静電荷像をトナーで現像し、前記静電像
担持体上にトナー像(ベタ画像50mm×50mmおよ
び画像電子学会カラーテストチャートNo.11)を形
成し、当該トナー像を記録紙(コニカ55g紙)に転写
することにより、未定着トナー像が形成されている記録
紙を作製した。
【0116】上記のようにして記録紙上に形成された未
定着トナー像の各々について、定着器3を使用し、下記
表3に従って、熱ロールの表面温度(Th)、定着ニッ
プを通過してから3秒後の記録紙の表面温度(Tp)を
変えて加熱加圧定着を行い、定着画像を形成した。な
お、前記記録紙の表面温度(Tp)は、記録紙の出口に
設置された冷却ファンの送風量を調整することにより制
御した。
【0117】<定着画像の評価>上記のようにして形成
された定着画像の各々について、耐傷性(耐擦り傷性、
耐ひっかき傷性、耐押し込み傷性)および定着強度を評
価した。評価方法は下記のとおりである。結果を下記表
3に併せて示す。
【0118】(1)耐擦り傷性:コニカ55g紙により
2.156kPa(22gf/cm2 )の圧力で往復1
5回にわたり定着画像を擦り、擦られた後の画像を目視
により観察して擦り傷の発生状況を評価した。評価基準
としては、ベタ画像部およびカラーテストチャート部の
何れにも傷が全く認められない場合を「◎」、ベタ画像
部のごく一部に微かに傷が認められる場合を「○」、ベ
タ画像部に傷が認められるが、カラーテストチャート部
でははっきりと認められない場合を「△」、ベタ画像部
には著しい傷が認められ、カラーテストチャート部でも
はっきりと認められる場合を「×」とした。「◎」およ
び「○」を合格とした。
【0119】(2)耐ひっかき傷性:インクの入ってい
ないボールペン(ゼブラ製ステンレスチップ)の尖端部
を、自重以外の荷重をかけない状態でベタ画像部に当接
し、その状態でベタ画像部上を走行させ、尖端部の走行
面を目視により観察してひっかき傷(走行跡)の発生状
況を評価した。評価基準としては、走行した跡(線)が
全く認められない場合を「◎」、僅かに線が認められる
場合を「○」、画像の真上から観察すると線は微かに認
められるが、斜め45度から観察するとはっきりと認め
られない場合を「△」、画像の真上から観察すると線が
はっきりと認められる場合を「×」とした。「◎」およ
び「○」を合格とした。
【0120】(3)耐押し込み傷性:前記ボールペンの
尖端部によってベタ画像部を押圧し(押圧荷重100
g,押圧時間5秒間)、押圧部分を目視により観察して
押し込み傷(押圧跡)の発生状況を評価した。評価基準
としては、押し込み跡が全く認められない場合を
「◎」、押し込み跡が僅かに認められる場合を「○」、
画像の真上から観察すると押し込み跡は微かに認められ
るが、斜め45度から観察するとはっきり認められない
場合を「△」、画像の真上から観察すると押し込み跡が
はっきりと認められる場合を「×」とした。「◎」およ
び「○」を合格とした。
【0121】(4)定着強度:ベタ黒部の反射濃度を
1.0に変更したこと以外は、耐擦り傷性の評価方法と
同様の条件で定着画像を擦り、擦られる前の反射濃度に
対する擦られた後の反射濃度の比を定着強度とした。
【0122】
【表3】
【0123】
【発明の効果】本発明のトナーによれば、形成される定
着画像に優れた耐傷性(耐擦り傷性、耐ひっかき傷性、
耐押し込み傷性)を付与することができる。本発明の製
造方法によれば、定着画像に優れた耐傷性を付与するト
ナーを確実に製造することができる。本発明の画像形成
方法によれば、耐傷性に優れた定着画像を形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の昇温過程におけるトナーのDSC曲線の
一例を示す曲線図である。
【符号の説明】
2M 融解ピーク S2m 融解ピークのピーク面積 RC 再結晶化ピーク Src 再結晶化ピークのピーク面積 BL ベースライン
フロントページの続き (72)発明者 神山 幹夫 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 (72)発明者 林 健司 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 (72)発明者 大村 健 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 AB04 AB06 CA14 EA10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有
    する静電荷像現像用トナーであって、 下記一般式(1)で示される結晶性化合物を前記結着樹
    脂100質量部当たり3〜40質量部の割合で含有し、 示差走査熱量計により測定される当該トナーのDSC曲
    線において、第2の昇温過程に少なくとも1つの再結晶
    化ピークが存在することを特徴とする静電荷像現像用ト
    ナー。 一般式(1):R1 −(OCO−R2 n (式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
    いてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは
    1〜4の整数である。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の静電荷像現像用トナー
    であって、 前記結晶性化合物および重合性単量体を含有する単量体
    組成物を水相中で直接的に重合して得られる粒子からな
    ることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の静電荷像現像用トナー
    であって、 前記結晶性化合物および重合性単量体を含有する単量体
    組成物を水相中で直接的に重合してなる微粒子を会合し
    て得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】 少なくとも結着樹脂、着色剤、および下
    記一般式(1)で示される結晶性化合物を乾式混合し、
    混練機にて溶融混練し、粉砕し、必要に応じて分級する
    ことにより静電荷像現像用トナーを製造する方法におい
    て、 溶融混練時の最高温度が、前記結晶性化合物におけるD
    SCによる第1の昇温過程での融解ピーク温度t
    1m(℃)以上であり、 且つ、混練機外に吐出された後のトナー原料を、(t1m
    −30℃)以下の所定温度まで1〜20℃/secの冷
    却速度で冷却する工程を含むことを特徴とする静電荷像
    現像用トナーの製造方法。 一般式(1):R1 −(OCO−R2 n (式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
    いてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは
    1〜4の整数である。)
  5. 【請求項5】 少なくとも結着樹脂、着色剤、および下
    記一般式(1)で示される結晶性化合物を含有する静電
    荷像現像用トナーを重合法により製造する静電荷像現像
    用トナーの製造方法であって、 製造時の最高温度が、前記結晶性化合物におけるDSC
    による第1の昇温過程での融解ピーク温度t1m(℃)以
    上であり、 且つ、当該最高温度から(t1m−30℃)以下の所定温
    度まで、1〜20℃/minの冷却速度でトナー原料を
    冷却する工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用ト
    ナーの製造方法。 一般式(1):R1 −(OCO−R2 n (式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
    いてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは
    1〜4の整数である。)
  6. 【請求項6】 静電像担持体に形成された静電荷像をト
    ナーで現像し、前記静電像担持体上に形成されたトナー
    像を画像支持体に転写し、転写されたトナー像を熱ロー
    ルにより加熱加圧定着して定着画像を得る工程を含む画
    像形成方法であって、 前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、および下
    記一般式(1)で示される結晶性化合物を含有し、 示差走査熱量計により測定される当該結晶性化合物のD
    SC曲線において、第2の昇温過程に少なくとも1つの
    再結晶化ピークが存在することを特徴とする画像形成方
    法。 一般式(1):R1 −(OCO−R2 n (式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
    いてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは
    1〜4の整数である。)
  7. 【請求項7】 静電像担持体に形成された静電荷像をト
    ナーで現像し、前記静電像担持体上に形成されたトナー
    像を画像支持体に転写し、転写されたトナー像を熱ロー
    ルにより加熱加圧定着して定着画像を得る工程を含む画
    像形成方法であって、 前記トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、および下
    記一般式(1)で示される結晶性化合物を含有し、 示差走査熱量計により測定される当該結晶性化合物のD
    SC曲線において、第2の昇温過程に少なくとも1つの
    再結晶化ピークが存在し、 前記熱ロールの表面温度が、前記再結晶化ピーク温度t
    rc以上であり、 定着ニップを通過してから3秒間経過後における前記画
    像支持体の表面温度が、前記熱ロールの表面温度に対し
    て90℃以上低いことを特徴とする画像形成方法。 一般式(1):R1 −(OCO−R2 n (式中、R1 およびR2 は、それぞれ、置換基を有して
    いてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは
    1〜4の整数である。)
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