JP3721842B2 - トナーおよびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトナーおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合法により調製された着色粒子が固化してなる含水ケーキを乾燥処理することにより乾燥粉体としての着色粒子を得、この着色粒子に疎水性無機微粒子を添加混合することによりトナーを製造することは公知である。
かかる含水ケーキを乾燥処理するための乾燥機としては、材料静置型乾燥機、材料移送型乾燥機、材料攪拌型乾燥機、熱風移送型乾燥機、円筒乾燥機、赤外線乾燥機、凍結乾燥機、高周波乾燥機などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来公知の乾燥機による乾燥処理では、着色粒子間に存在する水分を迅速に除去することができないため、着色粒子と着色粒子との間に水架橋が形成され、乾燥処理後において着色粒子の凝集体(凝集粒子)が形成されてしまう。この傾向は、含水ケーキの水分が高いほど顕著である。
このような凝集粒子が存在すると所期の粒径分布のトナーを得ることができず、最終的に得られるトナーによれば、当該凝集粒子(大粒径の粒子)に起因する画像アレを発生させる。このような場合に、凝集粒子を解砕処理することも考えられるが、製造工程の煩雑化を招くほか、凝集粒子以外の粒子も解砕されて微粉体が発生するので好ましくない。
【0004】
また、従来公知の乾燥機による乾燥処理では、着色粒子間で水分のバラツキが生じ、この結果、粒子間において表面特性が均質なトナーを得ることができず、このようなトナーによれば、広い帯電量分布に起因して画像アレを発生させる。また、着色粒子に外添剤(無機微粒子)を添加混合するトナー粒子を製造する場合には、得られるトナー粒子間において外添剤の付着状態にバラツキを生じ、帯電特性の均一化が損なわれてしまう。
【0005】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、所期の粒径分布を有し、凝集粒子を実質的に含まない粒子から構成され、凝集粒子に起因する画像アレのない可視画像を形成することができるトナーおよびその製造法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、均質な表面特性(帯電特性)を有する粒子から構成され、画像アレ、カブリ、画像欠陥のない良好な可視画像を長期にわたり形成することができるトナーおよびその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のトナーは、少なくとも重合法により調製された樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを水系媒体中で塩析と融着とを同時に起こさせることにより得られる着色粒子が固化してなる水分30〜50重量%の含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理を行うことにより、水分が3〜8重量%の着色粒子を得、この着色粒子に後乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得、この着色粒子(水分が2重量%以下の着色粒子)に疎水性無機微粒子を添加混合することにより得られることを特徴とする。
【0008】
本発明のトナーにおいては、下記の形態が好ましい。
(a)気流乾燥機における入口温度が100〜150℃、出口温度が(Tg±5)℃〔但し、(Tg)は着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度とする。〕の条件で、当該気流乾燥機による乾燥処理を行うこと。
(b)気流乾燥機から排出される着色粒子の水分が3〜8重量%に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量が制御されること。
(c)気流乾燥機における出口温度が一定の温度に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量が制御されること。
【0009】
本発明の製造法は、少なくとも重合法により調製された樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを水系媒体中で塩析と融着とを同時に起こさせることにより得られる着色粒子が固化してなる水分30〜50重量%の含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理を行うことにより、水分が3〜8重量%の着色粒子を得、この着色粒子に後乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得る工程と、この着色粒子(水分が2重量%以下の着色粒子)に疎水性無機微粒子を添加混合する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のトナーの製造法においては、下記の形態が好ましい。
(a)気流乾燥機における入口温度が100〜150℃、出口温度が(Tg±5)℃〔但し、(Tg)は着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度とする。〕の条件で、当該気流乾燥機による乾燥処理を行うこと。
(b)気流乾燥機から排出される着色粒子の水分が3〜8重量%に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量を制御すること。
(c)気流乾燥機における出口温度が一定の温度に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量を制御すること。
【0012】
【作用】
(1)気流乾燥機を用いた乾燥処理によれば、着色粒子間に存在する水分を瞬間的に蒸発させることができる。このため、当該乾燥処理が施された着色粒子(粒子群)は、凝集することなく、所期の粒径分布を有するものとなる。この結果、当該着色粒子から得られるトナーは、凝集粒子を実質的に含まない粒子から構成され、かかるトナーによれば、形成される可視画像において凝集粒子に起因する画像アレを発生させることがない。
【0013】
(2)気流乾燥機を用いた乾燥処理によれば、着色粒子間に存在する水分を瞬間的に蒸発させることができ、着色粒子間において乾燥条件(時間)の差はない。このため、当該乾燥処理が施された着色粒子によれば、粒子間における表面特性(着色粒子表面への疎水性無機微粒子の付着状態)に差がなく、均質な帯電特性を有する粒子から構成されるトナーを得ることができ、かかるトナーによれば、画像アレ、カブリ、画像欠陥のない良好な可視画像を長期にわたり形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、重合法により得られた着色粒子が固化してなる含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理と後乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得、この着色粒子(水分が2重量%以下の着色粒子)に疎水性無機微粒子を添加混合することにより得られるものである。
【0015】
<乾燥処理>
乾燥処理に使用される「気流乾燥機」は、高温・高速の気流中で、含水ケーキを瞬間的(例えば1分以内)に分散・乾燥させる乾燥機である。
かかる気流乾燥機としては、(株)セイシン企業製の「フラッシュジェットドライヤー」を挙げることができる。
【0016】
図1は、本発明に使用することのできる気流乾燥機の一例を示す説明図である。同図において、1はドライヤー本体、2は含水ケーキ(含水粉体)の投入口、3はノズル、4は回収ノズル、5は乾燥粉体(着色粒子)の排出口、6Aはドライング領域、6Bはアップスタック領域、6Cは分級領域、7は熱風供給部、8は熱風入口である。
【0017】
この気流乾燥機において、加熱された圧縮空気を熱風入口8から熱風供給部7内に供給すると、この圧縮空気(熱風)は、熱風供給部7内で開口するノズル3を通ってドライヤー本体1の内部に超音速で吐出され、流路(ドライング領域6A→アップスタック領域6B→分級領域6C→ドライング領域6A)に沿ってドライヤー本体1の内部を循環する。このとき、投入口2の近傍において、ドライヤー本体1の内部は僅かに負圧となる。
このような熱風の循環状態において、投入口2から含水ケーキを供給すると、当該含水ケーキは、ドライヤー本体1の内部を循環する熱風によって分散・解砕(粉体化)されるとともに、形成される粉体中の水分が迅速に除去される。この粉体(着色粒子)は、熱風により分級領域6Cまで搬送され、粉体の水分が所定の値以下であるときには、当該粉体(低比重の乾燥粉体p)は、回収ノズル4を通って排出口5から排出され、粉体の水分が所定の値より大きいときには、当該粉体(高比重の粉体P)は、ドライング領域6Aに搬送されて再度の乾燥処理に供される。
【0018】
上記のような気流乾燥機によれば、含水ケーキ中に存在する水分を瞬間的(例えば1分以内)に蒸発させることができるとともに、水分が所定の値以下となった粉体(乾燥粉体p)のみが分級されて気流乾燥機から排出される。そして、乾燥粉体pからなる粒子群は、凝集することなく所期の粒径分布を有するものとなる。また、分級されて排出された乾燥粉体pは、粒子間における比重(残留水分)のバラツキがきわめて小さい。
なお、乾燥粉体pの比重(残留水分)は、分級領域6Cにおける分級条件(粉体に作用させる遠心力)を調整すること、例えば熱風供給部7内への熱風の供給量(風量)を調整することにより制御することができる。
【0019】
気流乾燥機による乾燥処理は、連続式(含水ケーキの供給および乾燥粉体の排出を連続的に行う方式)で行っても、バッチ式で行ってもよいが、粒子間における乾燥のバラツキをなくす観点から、連続式で行うことが好ましい。
【0020】
図2は、連続式の乾燥処理を行うためのプラントの一例を示す説明図である。
同図において、10は、図1に示した構成を有する気流乾燥機である。
11は圧縮空気を発生するブロワー、12は、ブロワー11からの空気を加熱するヒータであり、ヒータ12によって加熱された空気(熱風)は、気流乾燥機10の熱風供給部(図1における熱風供給部7)に供給される。
1 は、ヒータ12により加熱された空気の温度(以下、「入口温度」ともいう。)を測定するための温度計であり、T2 は、気流乾燥機10から排気された空気の温度(以下、「出口温度」ともいう。)を測定するための温度計である。15は含水ケーキ(含水粉体)の供給器であり、この供給器15は、気流乾燥機10における投入口(図1における投入口2)に連結されている。
16は配管を介して気流乾燥機10の排出口(図1における排出口5)に連結されたサイクロンであり、サイクロン16の粉体出口から乾燥粉体(着色粒子)が回収される。
17は配管を介してサイクロン16の排気口に連結されたバグフィルタであり、18は配管を介してバグフィルタ17に連結された排気用のブロワーである。
【0021】
気流乾燥機による乾燥処理に供される含水ケーキの水分は、通常30〜50重量%とされ、好ましくは35〜45重量%とされる。
この水分が30重量%未満では、乾燥速度が過大となり、得られる着色粒子に熱変形が生じたり、着色粒子の凝集体が発生したりする。一方、この水分が50%を超える場合には、迅速な乾燥が困難となり、粒子間に水架橋が形成されて凝集体が発生する。
【0022】
気流乾燥機に供給される空気の量(風量)としては、配管の径が2インチの場合、室温換算で1〜6m3 /minであることが好ましく、更に好ましくは1.5〜4.0m3 /minとされる。
また、ドライヤー本体1の内部において循環する空気の線速度(粉体の循環速度)としては、10〜40m/secであることが好ましく、更に好ましくは13〜30m/secとされる。
また、単位風量あたりの乾燥処理量としては、完全乾燥後におけるトナー重量換算で5〜200g/m3 であることが好ましく、更に好ましくは10〜120g/m3 とされる。
また、単位時間あたりの乾燥処理量としては、配管の径によっても異なるが、例えば2インチ径の場合には、完全乾燥後におけるトナー重量換算で5〜500g/minであることが好ましく、更に好ましくは10〜300g/minとされる。径によりこの数値は増減する。
【0023】
気流乾燥機に供給される圧縮空気の温度(入口温度)としては、100〜150℃であることが好ましく、更に好ましくは110〜130℃とされる。
入口温度が100℃未満である場合には、迅速な乾燥(水分の除去)が困難となり、粒子間に水架橋が形成されて凝集体が発生しやすくなる。一方、入口温度が150℃を超える場合には、着色粒子の凝集体が発生しやすくなる。
【0024】
気流乾燥機から排出される圧縮空気の温度(出口温度)としては、着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度を(Tg)とするとき、(Tg±5)℃であることが好ましい。
出口温度が(Tg−5)℃未満である場合には、水分の蒸発速度が小さくなり粒子間に水架橋が形成されて凝集体が発生しやすくなる。一方、出口温度が(Tg+5)℃を超える場合には、得られる着色粒子の表面が軟質化して、着色粒子の凝集体が発生しやすくなる。
ここに、ガラス転移温度(Tg)としては、45〜70℃であることが好ましく、更に好ましくは50〜65℃とされる。
【0025】
気流乾燥機による乾燥処理においては、当該気流乾燥機から排出される着色粒子の水分を測定し、当該水分が所定の値以下に維持されるように、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量を制御することが好ましい。
ここに、乾燥処理中における着色粒子の水分は、排出された着色粒子の水分をカールフィッシャー法あるいは乾燥試料法により測定することにより求めることができる。
【0026】
さらに、気流乾燥機による乾燥処理においては、当該気流乾燥機における出口温度を常時測定し、この出口温度が一定の範囲に維持されるように、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量を制御することが好ましい。これにより、得られる着色粒子の水分を一定の範囲に制御することができる。
【0027】
乾燥処理が行われた着色粒子の水分は2重量%以下とされ、好ましくは1重量%以下とされる。2重量%を超える着色粒子に疎水性無機微粒子を添加して得られるトナーでは、当該トナー中に存在する水分が多いために、電荷のリークがはやくなり、十分な帯電性を保持することができない。
【0028】
<後乾燥処理>
本発明においては、気流乾燥機による乾燥処理(一次乾燥)を行うことにより、水分が3〜8重量%、好ましくは3〜6重量%の着色粒子を得、この着色粒子に後乾燥処理(二次乾燥)を行うことにより、当該着色粒子の水分を2重量%以下に調整する。含水ケーキの水分(30〜50重量%)を3〜8重量%に低下させる乾燥処理手段として、気流乾燥機を採用することにより、本発明の目的を達成することができる。
【0029】
後乾燥処理は、大気圧、減圧および真空の何れの環境下で実施してもよい。
後乾燥処理の処理温度としては、着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度を(Tg)とするとき、(Tg±5)℃であることが好ましい。
処理温度が(Tg−5)℃未満である場合には、水分の蒸発速度が小さくなり効率的な処理を行うことができない。一方、処理温度が(Tg+5)℃を超える場合には、着色粒子の凝集体が発生しやすくなる。
後乾燥処理に用いられる乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましく、特に好ましくは流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機である。
【0030】
<着色粒子>
本発明のトナーを得るために使用される着色粒子は、重合法により調製された粒子であり、当該着色粒子中には、少なくとも着色剤と樹脂とが含有されている。かかる着色粒子としては、少なくとも樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを水系媒体中で塩析/融着させて調製されるものであることが好ましい。
本発明において、「塩析/融着」とは、塩析(微粒子の凝集)と融着(微粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。
塩析と融着とを同時に行わせるためには、樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において微粒子(樹脂微粒子、着色剤微粒子)を凝集させる必要がある。
【0031】
〔着色粒子を構成する樹脂の分子量〕
本発明のトナーにおいては、画像支持体に対する良好な接着性を確保しながら、耐オフセット性などの向上を図るために、前記着色粒子中に、低分子量樹脂と高分子量樹脂とが含有されていることが好ましい。
【0032】
ここに、本発明のトナーを構成する「低分子量樹脂」とは、重量平均分子量が50,000未満である樹脂をいい、この重量平均分子量が1,000〜49,999の範囲にあるものが好ましい。
また、低分子量樹脂は、GPCにより測定される分子量分布において、1,000〜30,000の範囲、特に1,500〜20,000の範囲にピークまたはショルダーを有するものであることが好ましい。
【0033】
また、本発明のトナーを構成する「高分子量樹脂」とは、重量平均分子量が50,000以上である樹脂をいい、この重量平均分子量が50,000〜1,200,000の範囲にあるものが好ましい。
また、高分子量樹脂は、GPCにより測定される分子量分布において、50,000〜1,000,000の範囲、特に50,000〜500,000の範囲にピークまたはショルダーを有するものであることが好ましい。
【0034】
本発明のトナーを構成する高分子量樹脂と低分子量樹脂との割合としては、「高分子量樹脂:低分子量樹脂(重量)」が1:1〜1:10であることが好ましい。高分子量樹脂の割合が過大である場合には、画像支持体(転写紙)に対するトナーの接着性が劣り、一方、高分子量樹脂の割合が過小である場合には、加熱部材(定着ローラ)に対する画像支持体の巻き付き防止特性の向上効果を十分に発揮させることができない。
【0035】
本発明のトナーを構成する樹脂成分(高分子量樹脂および低分子量樹脂)の重量平均分子量としては30,000〜500,000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは40,000〜400,000の範囲とされる。
【0036】
本発明のトナーを構成する樹脂の分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用して測定されたスチレン換算の分子量である。
GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してTHFを1cc加え、室温にてマグネチックスターラなどを用いて攪拌を行って十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後にGPCへ注入する。
GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1ccの流速で流し、1mg/ccの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,TSKguardcolumnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)またはUV検出器を用いることが好ましい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0037】
〔樹脂微粒子〕
本発明のトナー(着色粒子)を得るために使用する樹脂微粒子としては、▲1▼
低分子量樹脂からなる樹脂微粒子、▲2▼ 高分子量樹脂からなる樹脂微粒子、▲3▼
高分子量樹脂を核とし、低分子量樹脂を殻とする複合樹脂微粒子を挙げることができる。
【0038】
樹脂微粒子を構成する高分子量樹脂または複合樹脂微粒子の核(粒子)を構成する高分子量樹脂は、GPCにより測定される分子量分布において、50,000〜1,000,000の範囲、特に50,000〜500,000の範囲にピークまたはショルダーを有することが好ましい。
【0039】
また、樹脂微粒子を構成する低分子量樹脂または複合樹脂微粒子の殻を構成する低分子量樹脂は、GPCにより測定される分子量分布において、1,000〜30,000の範囲、特に1,500〜20,000の範囲にピークまたはショルダーを有することが好ましい。
【0040】
樹脂微粒子の重量平均粒径(分散粒子径)は、20〜500nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは30〜400nmの範囲とされる。
この重量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定された値である。
【0041】
低分子量樹脂および高分子量樹脂を着色粒子中に含有してなるトナーを得るためには、
(1)低分子量樹脂からなる樹脂微粒子と、高分子量樹脂からなる樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを塩析/融着する方法、
(2)複合樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを塩析/融着する方法を挙げることができ、これらのうち、トナー粒子間における組成・分子量・表面特性の均質性に優れたトナーを得ることができる観点から、上記(2)の方法を採用することが好ましい。
【0042】
〔樹脂成分のガラス転移温度および軟化点〕
本発明のトナーを構成する樹脂成分(樹脂微粒子によって導入される樹脂)のガラス転移温度(Tg)は45〜75℃の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは50〜70℃である。
また、当該樹脂成分の軟化点は80〜220℃の範囲にあることが好ましい。
【0043】
ここで、樹脂成分のガラス転移点(Tg)とは、DSCにて測定された値をいい、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点をガラス転移点とする。具体的には、示差走査熱量計を用い、100℃まで昇温しその温度にて3分間放置した後に降下温度10℃/minで室温まで冷却する。次いで、このサンプルを昇温速度10℃/minで測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線と、ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点として示す。
ここに、測定装置としては、パーキンエルマー社製のDSC−7等を使用することができる。
【0044】
また、樹脂成分の軟化点とは、高化式フローテスターを使用して測定された値をいう。具体的には、高化式フローテスター「CFT−500」(島津製作所製)を用い、ダイスの細孔の径1mm、長さ1mm、荷重20kg/cm2 、昇温速度6℃/minの条件下で1cm3 の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を軟化点として示す。
【0045】
〔樹脂微粒子を得るための単量体〕
本発明のトナー(着色粒子)を得るために使用する樹脂微粒子(高分子量樹脂および低分子量樹脂)を得るための重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、「酸性基を有するラジカル重合性単量体」および「塩基性基を有するラジカル重合性単量体」から選ばれた少なくとも1種類の単量体を使用することが好ましい。
【0046】
ラジカル重合性単量体としては特に限定されるものではなく、要求される特性に応じて、従来公知の単量体を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかるラジカル重合性単量体としては、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。
【0047】
芳香族系ビニル単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0048】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0049】
ビニルエステル系単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0050】
ビニルエーテル系単量体としては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0051】
モノオレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0052】
ジオレフィン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0053】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0054】
トナーの特性を改良するための架橋剤として、ラジカル重合性架橋剤を添加してもよい。かかるラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有する化合物が挙げられる。
使用する単量体(単量体混合物)に占めるラジカル重合性架橋剤の割合としては0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0055】
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等のカルボン酸基含有単量体;スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等のスルホン酸基含有単量体が挙げられる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体の全部または一部は、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩またはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
使用する単量体(単量体混合物)に占める酸性基を有するラジカル重合性単量体の割合としては0.1〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜15重量%である。
【0056】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系化合物を挙げることができる。かかるアミン系化合物の具体例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、およびこれらの第4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
使用する単量体(単量体混合物)に占める塩基性基を有するラジカル重合性単量体の割合としては0.1〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜15重量%である。
【0057】
〔樹脂微粒子を得るための連鎖移動剤〕
本発明のトナーを構成する樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタンおよびスチレンダイマー等を挙げることができる。
【0058】
〔樹脂微粒子を得るための重合開始剤〕
本発明のトナーを構成する樹脂を得るためのラジカル重合開始剤は、水溶性のラジカル重合開始剤であれば適宜使用することができる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
さらに、上記のラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることができる。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇して重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であれば特に限定されないが、例えば50〜90℃の範囲とされる。但し、過酸化水素と還元剤(アスコルビン酸等)との組合せなどの常温開始の重合開始剤を用いることにより、室温またはそれ以上の温度で重合することも可能である。
【0059】
〔樹脂微粒子を得るための界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体の乳化重合を行うために使用する界面活性剤としては特に限定されるものではないが、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。
また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレノキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
これらの界面活性剤は乳化重合工程において乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0060】
〔着色剤〕
本発明のトナーを得るために使用する着色剤としては、各種の無機顔料および有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。どのような顔料でも使用することができるが、好適な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。
本発明のトナーにおける無機顔料の含有割合は、樹脂成分(重合体)100重量部に対して2〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは3〜15重量部とされる。
また、磁性トナーにおけるマグネタイトの含有割合は、所期の磁気特性を発現させる観点から、20〜60重量%であることが好ましい。
【0061】
有機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。どのような顔料でも使用することができるが、具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの有機顔料は所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。
本発明のトナーにおける有機顔料の含有割合は、樹脂成分(重合体)100重量部に対して2〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは3〜15重量部とされる。
【0062】
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤微粒子)は、表面改質されていてもよい。ここに、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。
【0063】
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0064】
チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。
アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0065】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量%とされる。
【0066】
着色剤微粒子の表面改質法としては、着色剤微粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
表面改質された着色剤微粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0067】
〔内添剤〕
本発明のトナーを構成する着色粒子には、荷電制御剤、定着性改良剤などの種々の内添剤が含有されていてもよい。
着色粒子中に含有される荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。着色粒子中に含有される定着性改良剤としては、種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、これらオレフィン系ワックスの変性物、カルバワワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどを挙げることができる。これらは水中に分散させた状態の分散液(ワックスエマルジョン)の形態で使用することが好ましい。
【0068】
〔着色粒子の粒径〕
本発明のトナーを構成する着色粒子の粒径は、体積平均粒径で3〜10μmであることが好ましい。トナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTA−II、コルターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTAIIおよびコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を用いて測定されたものを示す。
【0069】
また、融着によって得られるトナー粒子の形状は、下記式で示される形状係数の算術平均値が1.3〜2.2の範囲内にあり、且つ形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上であることが好ましい。
【0070】
【数1】
式:形状係数=((最大径/2)2 ×π)/(投影面積)
この形状係数を求めるためには、走査型電子顕微鏡により500倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、次いで、この写真に基いて「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行う。この際、500個のトナー粒子の形状係数を測定し、その算術平均値を求める。
形状係数の算術平均値が1.3未満の場合には、形状が丸めになるために、付着性が強くなるため、いわゆるクリーニング不良を発生しやすくなる。また、形状係数の算術平均値が2.2を超える場合には、不定形化が増加するために、現像器などで攪拌のストレスを受けた際に、トナーの破砕などによる微粉が発生しやすくなるために、その微粉が帯電付与部材などへ付着することによる帯電量の低下を引き起こしやすい。
さらに、形状係数が1.5〜2.0の範囲にあるトナー粒子が80個数%以上であることで、形状の分布を均一にすることができるため、本発明の効果をより一層発揮することができる。
【0071】
〔疎水性無機微粒子〕
本発明のトナーは、水分が2重量%以下の着色粒子に疎水性無機微粒子を添加混合することにより得られる。
疎水性無機微粒子を添加混合してなるトナーによれば、帯電特性、流動性、クリーニング性などの向上を図ることができる。
【0072】
疎水性無機微粒子を構成する無機材料としては、各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物などを好適に使用することができ、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などを挙げることができる。
【0073】
疎水性無機微粒子の数平均一次粒子径は、5〜2000nmであることが好ましく、更に好ましくは10〜500nmとされる。ここで、疎水性無機微粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡による画像を画像解析して測定された値である。
【0074】
疎水性無機微粒子を得るために使用することのできる疎水化処理剤としては、チタンカップリング剤、シランカップリング剤などのカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、シリコーンオイルを例示することができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0075】
疎水化処理剤として使用するチタンカップリング剤としては、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどが挙げられる。
【0076】
疎水化処理剤として使用するシランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0077】
疎水化処理剤として使用する高級脂肪酸としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられる。
疎水化処理剤として使用する高級脂肪酸金属塩としては、上記高級脂肪酸の亜鉛塩、鉄塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
これらのうち、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどが好ましい。
【0078】
疎水化処理剤として使用するシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどが挙げられる。また、特開平1−114858号公報に記載されているようなアンモニウム塩を官能基として有するポリシロキサンも使用することもできる。
【0079】
これらの疎水化処理剤の使用量は、処理される無機微粒子に対して1〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜7重量%とされる。
【0080】
着色粒子への疎水性無機微粒子の添加量としては、トナーに対して0.1〜5重量%程度であることが好ましい。
【0081】
また、疎水性無機微粒子とともに、種々の有機微粒子および滑剤を外添剤として使用することもできる。
【0082】
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
【0083】
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0084】
<本発明の製造法>
本発明の製造法は、着色粒子が固化してなる含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理を必須とする乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得る工程と、この着色粒子(水分が2重量%以下の着色粒子)に疎水性無機微粒子を添加混合する工程とを含む。
【0085】
本発明の製造法の一例としては、
(1)樹脂微粒子の分散液を調製するための乳化重合工程、
(2)樹脂微粒子と着色剤微粒子とを塩析/融着させて着色粒子を得る塩析/融着工程、
(3)着色粒子の分散液から、当該着色粒子の固化物である含水ケーキを濾別し、当該含水ケーキから界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程、
(4)洗浄処理された含水ケーキに気流乾燥機による乾燥処理を必須とする乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得る乾燥工程、
(5)乾燥処理された着色粒子に疎水性無機微粒子を添加混合する工程
から構成される。
【0086】
以下、各工程について説明する。
〔乳化重合工程〕
この乳化重合工程においては、基本的には従来公知の乳化重合法を採用することができる。
乳化重合法の一例としては、ラジカル重合開始剤を水系媒体(界面活性剤の水溶液)中に溶解させて加熱し、所定の温度(重合温度)になった時点でラジカル重合性単量体(単量体混合物)を添加し、通常、窒素雰囲気下において、この系を攪拌しながら加熱する。
ここに、単量体混合物中には、酸性基を有するラジカル重合性単量体および塩基性基を有するラジカル重合性単量体の少なくとも1種が0.1〜20重量%の割合で含有されていることが好ましい。
重合温度および重合時間は、乳化重合反応が起こる範囲で適宜設定することができる。
樹脂の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用する場合には、当該連鎖移動剤をラジカル重合性単量体と混合して添加することが好ましい。
【0087】
樹脂微粒子として、高分子量樹脂からなる核(粒子)と、低分子量樹脂からなる殻とにより構成される複合樹脂微粒子を得る方法としては、乳化重合法(第一段)によって高分子量樹脂からなる樹脂微粒子(i)を形成し、当該樹脂微粒子(i)の分散液に、重合開始剤と、単量体混合物(低分子量樹脂を得るための重合性単量体)とを添加した後、この系を乳化重合処理(第二段)することにより、前記樹脂微粒子(i)の表面に単量体混合物の重合体からなる殻(ii)を形成する方法(二段重合法)を挙げることができる。
なお、複合樹脂微粒子を構成する『殻』は、一層のみでなく二層以上であってもよく、この場合において、最外層が低分子量樹脂からなることが好ましい。
【0088】
〔塩析/融着工程〕
この塩析/融着工程は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)の着色粒子を得る工程である。
この塩析/融着工程においては、樹脂微粒子および着色剤微粒子とともに、荷電制御剤や定着性改良剤などの内添剤微粒子(数平均一次粒子径が10〜500nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。
【0089】
着色剤微粒子は、表面改質されていてもよい。ここに、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
着色剤微粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/融着処理に供される。着色剤微粒子が分散される水性媒体としては、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液を挙げることができる。
ここに界面活性剤としては、乳化重合工程で使用した界面活性剤と同一のものを使用することができる。
着色剤微粒子の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0090】
樹脂微粒子と着色剤微粒子とを塩析/融着させるためには、樹脂微粒子および着色剤微粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0091】
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加して、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)を実質的に下げることが好ましい。
【0092】
ここに、塩析/融着の際に使用する「塩析剤」としては、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
塩析剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、塩析剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
【0093】
塩析/融着の際に添加することのできる「水に無限溶解する有機溶媒」としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの炭素数が3以下のアルコールが好ましく、特に2−プロパノールが好ましい。
【0094】
なお、樹脂微粒子および着色剤微粒子が分散している分散液中に塩析剤を添加する際の当該分散液の温度は、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、具体的には5〜55℃の範囲であることが好ましく、更に好ましくは10℃〜45℃とされる。
塩析剤を添加するときの分散液の温度が、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上となる場合には、粒径の制御を行うことが困難となり巨大粒子が生成されやすい。
【0095】
このように、この塩析/融着工程においては、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが分散されてなる分散液の温度が、当該樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以下のときに、当該分散液中に塩析剤を添加し、その後速やかに当該分散液の加熱を開始して、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度とすることが必要である。
【0096】
塩析/融着を行うため、すなわち、塩析と融着とを同時に起こさせるために、樹脂微粒子および着色剤微粒子が分散している分散液中に塩析剤を添加してから、当該分散液の温度が樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度(融着が可能な温度)に達するまでのインターバルは、通常120分以内とされ、好ましくは60分以内とされる。
このインターバルが120分間を超える場合には、塩析による凝集粒子(非融着粒子)の凝集状態が変動し、これを融着して得られる着色粒子の粒径分布がブロードになったり、最終的に得られるトナー粒子の表面性が変動したりする。
【0097】
また、当該分散液中に塩析剤を添加してから当該分散液の加熱を開始するまでのインターバルは、通常30分以内とされ、好ましくは15分以内とされる。
塩析剤の添加後における分散液の昇温速度としては、0.25〜5℃/minであることが好ましい。昇温速度が過小である場合には、ガラス転移温度(Tg)以上に到達するまでに長時間を要し、塩析と融着とを同時に行わせることができない。一方、昇温速度が過大である場合には、粒径の制御を行うことが困難となり巨大粒子が生成されやすい。
【0098】
以上のようにして得られる着色粒子は不定形(非球形)であり、その粒径は、体積平均粒径で3〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0099】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られた着色粒子の分散液から、当該着色粒子の固化物である含水ケーキを濾別する濾過処理と、濾別された含水ケーキから、界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。より好ましい濾過方法としては遠心分離法を挙げることができる。
【0100】
〔乾燥工程〕
本発明の製造法は、含水ケーキの乾燥工程に特徴を有するものである。
この乾燥工程では、洗浄処理された含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理を必須とする乾燥処理、具体的には、下記(1)または(2)のような乾燥処理が施される。
【0101】
(1)水分30〜50重量%の含水ケーキに、図1に示したような気流乾燥機による乾燥処理(瞬間的に分散・乾燥させる処理)を行うことにより、着色粒子の水分を2重量%以下とする。
(2)水分30〜50重量%の含水ケーキに、図1に示したような気流乾燥機による乾燥処理(一次乾燥)を行って水分8重量%以下の着色粒子を得、この着色粒子に後乾燥処理(二次乾燥)を行うことにより、当該着色粒子の水分を2重量%以下とする。
【0102】
気流乾燥機による乾燥処理は、連続式で行っても、バッチ式で行ってもよいが、図2に示したようなプラントを使用して行う連続式の処理が好ましい。
気流乾燥機による乾燥処理に供される含水ケーキの水分は、通常30〜50重量%とされ、好ましくは35〜45重量%とされる。
【0103】
気流乾燥機による乾燥処理において、気流乾燥機に供給される空気の量(風量)としては、室温換算で1〜6m3 /minであることが好ましく、更に好ましくは1.5〜4.0m3 /minとされる。
また、単位風量あたりの乾燥処理量としては、完全乾燥後におけるトナー重量換算で5〜200g/m3 であることが好ましく、更に好ましくは10〜120g/m3 とされる。
また、単位時間あたりの乾燥処理量としては、完全乾燥後におけるトナー重量換算で5〜500g/minであることが好ましく、更に好ましくは10〜300g/minとされる。
気流乾燥機の入口温度は100〜150℃であることが好ましく、更に好ましくは110〜130℃とされる。気流乾燥機の出口温度は、(Tg±5)℃〔(Tg):着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度〕であることが好ましい。
【0104】
本発明の製造法において、必要に応じて実施される後乾燥処理(二次乾燥)は、大気圧、減圧および真空の何れの環境下で実施してもよい。
後乾燥処理の処理温度としては、着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度を(Tg)とするとき、(Tg±5)℃であることが好ましい。
後乾燥処理に用いられる乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましく、特に好ましくは流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機である。
【0105】
〔疎水性無機微粒子の添加工程〕
この工程は、水分が2重量%以下となるまで乾燥処理された着色粒子に疎水性無機微粒子を添加混合してトナーを製造する工程である。
疎水性無機微粒子を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0106】
〔内添剤の添加方法〕
荷電制御剤や定着性改良剤等の内添剤をトナー粒子中に含有させる場合において、当該内添剤の添加方法としては、
▲1▼ 乳化重合工程において、内添剤微粒子の分散液を重合反応系に添加する方法、
▲2▼ 塩析/融着工程において、樹脂微粒子および着色剤微粒子の分散液に内添剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子および着色剤微粒子とともに内添剤微粒子を塩析/融着させる方法、
▲3▼ 樹脂微粒子の分散液中に内添剤微粒子の分散液を添加する方法など特に限定されるものではない。
【0107】
〔現像剤〕
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。キャリアの体積平均粒径としては15〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは25〜60μmとされる。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0108】
好ましいキャリアとしては、磁性粒子の表面が樹脂により被覆されている樹脂被覆キャリア、樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを挙げることができる。
樹脂被覆キャリアを構成する樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂等が挙げられる。
また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0109】
本発明のトナーが適用される現像方式としては特に限定されない。接触現像方式および非接触現像方式の何れに対しても好適に使用することができる。特に、本発明のトナーは、高い帯電立ち上がり性を有しており、非接触現像方法に有用である。すなわち、非接触現像方法では現像電界の変化が大きいことから、微小な帯電の変化が大きく現像自体に作用する。このため、トナーの帯電量の変化に対して大きな変動をしてしまう。しかし、本発明のトナーは帯電立ち上がり性が高いことから、帯電の変化が少なく、安定した帯電量を確保することができるため、非接触現像方法でも安定した画像を長期にわたって形成することができる。
【0110】
接触方式の現像としては、本発明のトナーを有する現像剤の層厚は現像領域において0.1〜8mm、特に0.4〜5mmであることが好ましい。また、感光体と現像剤担持体との間隙は0.15〜7mm、特に0.2〜4mmであることが好ましい。
【0111】
また、非接触系現像方式としては、現像剤担持体上に形成された現像剤層と感光体とが接触しないものであり、この現像方式を構成するために現像剤層は薄層で形成されることが好ましい。この方法は現像剤担持体表面の現像領域で20〜500μmの現像剤層を形成させ、感光体と現像剤担持体との間隙が該現像剤層よりも大きい間隙を有するものである。この薄層形成は磁気の力を使用する磁性ブレードや現像剤担持体表面に現像剤層規制棒を押圧する方式等で形成される。さらに、ウレタンブレードや燐青銅板等を現像剤担持体表面に接触させ現像剤層を規制する方法もある。押圧規制部材の押圧力としては1〜15gf/mmが好適である。押圧力が小さい場合には規制力が不足するために搬送が不安定になりやすく、一方、押圧力が大きい場合には現像剤に対するストレスが大きくなるため、現像剤の耐久性が低下しやすい。好ましい範囲は3〜10gf/mmである。現像剤担持体と感光体表面の間隙は現像剤層よりも大きいことが必要である。さらに、現像に際して現像バイアスを付加する場合、直流成分のみ付与する方式でもよいし、交流バイアスを印加する方式のいずれでもよい。
現像剤担持体の大きさとしては直径が10〜40mmのものが好適である。直径が小さい場合には現像剤の混合が不足し、トナーに対して充分な帯電付与を行うに充分な混合を確保することが困難となり、直径が大きい場合には現像剤に対する遠心力が大きくなり、トナーの飛散の問題を発生しやすい。
【0112】
本発明において使用される現像剤担持体としては、担持体内部に磁石を内蔵した現像器が用いられ、現像剤担持体表面を構成するものとしてはアルミニウムや表面を酸化処理したアルミニウムあるいはステンレス製のものが用いられる。
【0113】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
〔着色剤微粒子の分散液の調製例〕
n−ドデシル硫酸ナトリウム「アデカホープLS−90」(旭電化社製)0.90重量部と、イオン交換水10.0重量部とを樹脂容器に仕込み、この系を攪拌してn−ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液を調製した。この水溶液を攪拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)1.2重量部を徐々に添加した。添加後1時間攪拌し、次いで、サンドグラインダーを用い、カーボンブラックの分散処理を20時間にわたり連続して行うことにより、着色剤微粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(C)」という。)を調製した。
この着色剤分散液(C)における着色剤微粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で122nmであった。
また、静置乾燥による重量法で測定した着色剤分散液(C)の固形分濃度は16.6重量%であった。
【0114】
〔界面活性剤溶液の調製例1〕
アニオン系の界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)0.055重量部と、イオン交換水4.0重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、アニオン系界面活性剤の水溶液(以下、「界面活性剤溶液(S−1)」という。)を調製した。
【0115】
〔界面活性剤溶液の調製例2〕
ノニオン系の界面活性剤「ニューコール565C」(日本乳化剤社製)0.014重量部と、イオン交換水4.0重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、ノニオン系界面活性剤の水溶液(以下、「界面活性剤溶液(S−2)」という。)を調製した。
【0116】
〔界面活性剤溶液の調製例3〕
ノニオン系の界面活性剤「FC−170C」(住友スリーエム社製)1.00重量部と、イオン交換水1000重量部とをガラスビーカーに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、ノニオン系界面活性剤の水溶液(以下、「界面活性剤溶液(S−3)」という。)を調製した。
【0117】
〔重合開始剤の水溶液の調製例1〕
重合開始剤である過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7重量部と、イオン交換水12000重量部とをホウロウポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、重合開始剤の水溶液(以下、「開始剤溶液(P−1)」という。)を調製した。
【0118】
〔重合開始剤の水溶液の調製例2〕
重合開始剤である過硫酸カリウム(関東化学社製)223.8重量部と、イオン交換水12000重量部とをホウロウポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、重合開始剤の水溶液(以下、「開始剤溶液(P−2)」という。)を調製した。
【0119】
〔塩化ナトリウムの水溶液の調製例〕
塩析剤である塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36重量部と、イオン交換水20.0重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、塩化ナトリウムの水溶液(以下、「塩化ナトリウム溶液(N)」という。)を調製した。
【0120】
〔複合樹脂微粒子(A)の分散液の調製例〕
温度センサ、冷却管、窒素導入装置および攪拌翼を備え、ガラスライニング処理が内面に施された内容積100リットルの反応釜に、界面活性剤溶液(S−1)4.0リットルと、界面活性剤溶液(S−2)4.0リットルとを仕込み、この系を室温で攪拌しながら、イオン交換水44.0リットルを添加し、この系を加熱した。
系の温度が70℃になったところで、開始剤溶液(P−1)20.0リットルを添加し、系の温度を72℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとからなる単量体混合物(I)を添加し、この系の温度を80℃±1℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行った。
系の温度が40℃以下となるまで冷却した後、この系に、界面活性剤溶液(S−1)4.0リットルと、界面活性剤溶液(S−2)4.0リットルとを添加し、この系を加熱した。
系の温度が70℃になったところで、開始剤溶液(P−2)20.0リットルを添加し、さらに、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとからなる単量体混合物(II)を添加し、この系の温度を75℃±2℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行い、さらに、この系の温度を80℃±2℃に制御しながら12時間にわたり攪拌を行った。
系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した。ポールフィルターによりスケール(異物)を濾別除去することにより、高分子量樹脂を核とし、低分子量樹脂を殻とする複合樹脂微粒子(A)の分散液(以下、「複合ラテックス(A)」という。)を調製した。
この複合ラテックス(A)を構成する複合樹脂微粒子(A)の高分子量樹脂(核)のピーク分子量は290,000、低分子量樹脂(殻)のピーク分子量は12,000、複合樹脂微粒子(A)の重量平均分子量は56,000であった。また、この複合樹脂微粒子(A)の重量平均粒径は125nm、ガラス転移温度(Tg)は58℃、軟化点は131℃であった。
【0121】
〔樹脂微粒子(B)の分散液の調製例〕
温度センサ、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルおよび攪拌翼(ファウドラー翼)を備え、ガラスライニング処理が内面に施された内容積100リットルの反応釜に、界面活性剤溶液(S−1)4.0リットルと、界面活性剤溶液(S−2)4.0リットルとを仕込み、この系を室温で攪拌しながら、イオン交換水44.0リットルを添加し、この系を加熱した。
系の温度が70℃になったところで、開始剤溶液(P−1)20.0リットルを添加し、さらに、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとからなる単量体混合物を添加し、この系の温度を72℃±2℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行い、さらに、この系の温度を80℃±2℃に制御しながら12時間にわたり攪拌を行った。
系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した。ポールフィルターによりスケール(異物)を濾別除去することにより、樹脂微粒子(B)の分散液(以下、「ラテックス(B)」という。)を調製した。
このラテックス(B)を構成する樹脂微粒子(B)のピーク分子量は310,000、重量平均分子量は69,000であった。また、この樹脂微粒子(B)の重量平均粒径は129nm、ガラス転移温度(Tg)は58℃、軟化点は135℃であった。
【0122】
〔着色粒子の調製例〕
温度センサ、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルおよび攪拌翼(アンカー翼)を備えた内容積100リットルのステンレス製の反応釜に、複合ラテックス(A)20.0kgと、着色剤分散液(C)0.4kgと、イオン交換水20.0kgとを仕込み、この系を室温で攪拌した。
系の温度を40℃まで加温し、塩化ナトリウム溶液(N)20.0リットルと、イソプロピルアルコール(関東化学社製)6.00kgと、界面活性剤溶液(S−3)1.0リットルとを、この順に添加した。この系を10分間放置した後加熱を開始し、60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃±2℃で1時間にわたり攪拌を行うことにより、複合樹脂微粒子(A)と着色剤微粒子とを塩析/融着させて着色粒子のコア粒子を形成した。
次いで、85℃±2℃の温度条件下で、ラテックス(B)5.2kgと、ワックスエマルジョン(数平均分子量3,000のポリプロピレンエマルジョン,数平均一次粒子径:120nm,固形分濃度:29.9重量%)3.41kgとを添加し、さらに、85℃±2℃で3時間にわたり攪拌を行うことにより、前記コア粒子の表面において、樹脂微粒子(B)およびポリプロピレン微粒子を塩析/融着させてシェルを形成し、高分子量樹脂(樹脂微粒子(B)に由来の樹脂)およびワックスが表面近傍に偏在しているコア−シェル構造の着色粒子を調製た。
【0123】
系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した後、目開き45μmのフィルターで凝集物を濾別除去することにより、着色粒子の分散液を調製し、この分散液から、遠心分離機を使用して含水ケーキ(着色粒子の集合物)を取り出した。次いで、遠心分離を行いながら含水ケーキをイオン交換水で洗浄処理し、その後、当該含水ケーキを遠心分離機を使用して取り出した。
【0124】
このようにして得られた含水ケーキ(水分48重量%)10kgに対して連続瞬間気流乾燥機「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製,型式:2インチ)による乾燥処理を行った。
ここに、連続瞬間気流乾燥機の入口温度を120℃、出口温度を40℃、風量を2Nm3 /min(「Nm3 」は室温換算の体積を表す。以下同じ。)に設定した。また、連続瞬間気流乾燥機から排出される着色粒子の水分が8重量%以下になるように、排出される着色粒子の水分を逐次測定し、この測定値をフィードバックして、含水ケーキの供給量(処理量)を5〜20kg/時間の範囲で制御した。この乾燥処理(一次乾燥)に要した時間は70分間であり、乾燥処理後の着色粒子の水分を測定したところ4.3重量%であった。
【0125】
次いで、連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理(一次乾燥)が施された着色粒子(水分:4.3重量%)について、振動流動乾燥機(中央化工機製)を用いて水分が0.9重量%となるまで後乾燥処理(二次乾燥)を行うことにより、非球形状(形状係数の算術平均値:1.86、形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合:92個数%)の乾燥粉体(以下、「着色粒子(1)」という。)を得た。
このようにして得られた着色粒子(1)の体積平均粒径は6.4μm、当該着色粒子(1)を構成する樹脂の重量平均分子量は55,000、当該樹脂のガラス転移温度(Tg)は57℃、当該樹脂の軟化点は125℃であった。
【0126】
〔トナーの製造〕
上記のようにして得られた着色粒子(1)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、本発明のトナー(1)を製造した。
【0127】
<実施例2〜4>
下記の表1に従って、連続瞬間気流乾燥機に供給した含水ケーキの水分、連続瞬間気流乾燥機の入口温度、出口温度、風量の少なくとも1つの条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理を施した。なお、これらの実施例において、連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理に供された含水ケーキの重量は10kgであり、乾燥処理に要した時間は70分間であった。乾燥処理後の着色粒子の水分の測定値を表1に併せて示す。
次いで、この乾燥処理(一次乾燥)が施された着色粒子(水分:4.1重量%,3.4重量%,3.1重量%)の各々について、振動流動乾燥機(中央化工機製)を用いて水分が0.9重量%となるまで後乾燥処理(二次乾燥)を行うことにより、非球形状の乾燥粉体(以下、「着色粒子(2)〜(4)」という。)を得た。
このようにして得られた着色粒子(2)〜(4)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、着色粒子(2)〜(4)の各々に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、本発明のトナー(2)〜(4)を製造した。
【0129】
<参照例1>
下記表1に従って、連続瞬間気流乾燥機の出口温度を53℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理を行うことにより、水分が1.3重量%の非球形状の乾燥粉体(以下、「着色粒子(R1)」という。)を得た。このようにして得られた着色粒子(R1)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、着色粒子(R1)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、参照用のトナー(R1)を製造した。
【0130】
<参照例2>
下記表1に従って、連続瞬間気流乾燥機の入口温度を140℃、出口温度を70℃に変更し、風量を3Nm3 /minに変更したこと以外は実施例1と同様にして連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理を行うことにより、水分が0.8重量%の非球形状の乾燥粉体(以下、「着色粒子(R2)」という。)を得た。このようにして得られた着色粒子(R2)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、着色粒子(R2)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、参照用のトナー(R2)を製造した。
【0131】
<比較例1>
連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理(一次乾燥)および振動流動乾燥機による乾燥処理(二次乾燥)に代えて、箱型乾燥機を用いて60℃で8時間にわたる乾燥処理を施すことにより、水分が1.6重量%の非球形状の乾燥粉体(以下、「比較用着色粒子(C1)」という。)を得た。このようにして得られた比較用着色粒子(C1)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、比較用着色粒子(C1)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、比較用のトナー(C1)を製造した。
【0132】
<比較例2>
連続瞬間気流乾燥機による乾燥処理(一次乾燥)および振動流動乾燥機による乾燥処理(二次乾燥)に代えて、ナウターミキサーを用いて65℃で8時間にわたる乾燥処理を施すことにより、水分が1.3重量%の非球形状の乾燥粉体(以下、「比較用着色粒子(C2)」という。)を得た。このようにして得られた比較用着色粒子(C2)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、比較用着色粒子(C2)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、比較用のトナー(C2)を製造した。
【0133】
<比較例3>
後乾燥処理(二次乾燥)を行わなかったこと以外は実施例4と同様にして、水分が3.1重量%の非球形状の乾燥粉体(以下、「比較用着色粒子(C3)」という。)を得た。このようにして得られた比較用着色粒子(C3)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、比較用着色粒子(C3)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、比較用のトナー(C3)を製造した。
【0134】
<比較例4>
減圧条件下(2mmHg)において乾燥処理(ナウターミキサーによる乾燥)を行ったこと以外は比較例2と同様にして、水分が0.6重量%の非球形状の乾燥粉体(以下、「比較用着色粒子(C4)」という。)を得た。このようにして得られた比較用着色粒子(C4)における形状係数の算術平均値および形状係数が1.5〜2.0の粒子の割合、並びに体積平均粒径を表1に併せて示す。
次いで、比較用着色粒子(C4)に対して、ジメチルジクロロシランで表面処理された疎水性シリカ微粒子(一次数平均粒子径=12nm)を1重量%となる割合で添加することにより、比較用のトナー(C4)を製造した。
【0135】
【表1】
Figure 0003721842
【0136】
<現像剤の調製>
本発明のトナー(1)〜(4)、参照用のトナー(R1)および(R2)並びに比較用のトナー(C1)〜(C4)の各々と、フェライト粒子の表面がスチレンアクリル樹脂により被覆されてなる樹脂被覆キャリア(体積平均粒径45μm)とを、トナー濃度が6重量%となる割合で混合することにより、現像剤(1)〜(4)、参照用の現像剤(R1)および(R2)並びに比較用現像剤(C1)〜(C4)を調製した。
【0137】
<実写テスト>
現像剤(1)〜(4)、参照用の現像剤(R1)および(R2)並びに比較用現像剤(C1)〜(C4)の各々について、高温高湿環境下(温度30℃,相対湿度85%)複写画像を形成する実写テストを行うことにより、画像アレ、カブリおよび画像欠陥の発生状況について評価した。ここに、現像剤の評価は、コニカ(株)製のカラー複写機「7050」改造機(接触現像方式)を使用して行った。感光体としては積層型有機感光体を使用し、感光体のクリーニング方式としてはブレード方式を採用し、定着方式としては熱ロール定着方式を採用した。また、現像条件は下記のように設定した。
【0138】
・感光体表面電位=−700V
・DCバイアス =−500V
・Dsd =600μm
・現像剤層規制 =磁性H−Cut方式
・現像剤層厚 =700μm
・現像スリーブ径=40mm
【0139】
〔評価方法〕
画素率が5%の文字画像(A4)を100,000回にわたり連続印字させ、1,000回毎に白紙原稿とベタ黒原稿とハーフトーン原稿を複写し、カブリおよび画像欠陥(ベタ黒画像上の白点)が発生したときの印字枚数を測定し、また、100,000回印字後における画質(画像アレの有無)を評価した。結果を下記表2に示す。
【0140】
表2において、「カブリ発生枚数」とは、マクベス反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)によって測定されたカブリ濃度(白紙に対する相対反射濃度)が0.015以上となったときの複写枚数をいう。
また「画像欠陥発生枚数」とは、ベタ黒原稿の複写画像上に直径が0.5mm以上の白点が2個以上発生したときの複写枚数をいう。
【0141】
なお、画質(画像アレの有無)については、100,000回印字後におけるハーフトーン画像の均一性を目視で観察することにより評価した。
評価基準としては、ムラのない均一な画像を「A」、スジ状の薄いムラが存在する画像を「B」、スジ状の薄いムラが複数存在する画像を「C」、スジ状のはっきりしたムラが複数存在する画像を「D」とした。
【0142】
【表2】
Figure 0003721842
【0143】
【発明の効果】
(1)本発明に係るトナーは、所期の粒径分布を有し、凝集粒子を実質的に含まない粒子から構成されている。従って、本発明に係るトナーによれば、凝集粒子に起因する画像アレのない高画質の可視画像を形成することができる。
(2)本発明に係るトナーは、均質な表面特性を有する粒子から構成されている。従って、本発明に係るトナーによれば、画像アレ、カブリ、画像欠陥のない良好な可視画像を長期にわたり形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用することのできる気流乾燥機の一例を示す説明図である。
【図2】連続式の乾燥処理を行うためのプラントの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ドライヤー本体
2 含水ケーキの投入口
3 ノズル
4 回収ノズル
5 乾燥粉体の排出口
6A ドライング領域
6B アップスタック領域
6C 分級領域
7 熱風供給部
8 熱風入口である。
10 気流乾燥機
11 ブロワー
12 ヒータ
15 含水ケーキの供給器
16 サイクロン
17 バグフィルタ
18 ブロワー

Claims (8)

  1. 少なくとも重合法により調製された樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを水系媒体中で塩析と融着とを同時に起こさせることにより得られる着色粒子が固化してなる水分30〜50重量%の含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理を行うことにより、水分が3〜8重量%の着色粒子を得、この着色粒子に後乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得、この着色粒子に疎水性無機微粒子を添加混合することにより得られることを特徴とするトナー。
  2. 気流乾燥機における入口温度が100〜150℃、出口温度が(Tg±5)℃〔但し、(Tg)は着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度とする。〕の条件で、当該気流乾燥機による乾燥処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 気流乾燥機から排出される着色粒子の水分が3〜8重量%に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量が制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトナー。
  4. 気流乾燥機における出口温度が一定の温度に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量が制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトナー。
  5. 少なくとも重合法により調製された樹脂微粒子と、着色剤微粒子とを水系媒体中で塩析と融着とを同時に起こさせることにより得られる着色粒子が固化してなる水分30〜50重量%の含水ケーキに、気流乾燥機による乾燥処理を行うことにより、水分が3〜8重量%の着色粒子を得、この着色粒子に後乾燥処理を行うことにより、水分が2重量%以下の着色粒子を得る工程と、この着色粒子に疎水性無機微粒子を添加混合する工程とを含むことを特徴とするトナーの製造法。
  6. 気流乾燥機における入口温度が100〜150℃、出口温度が(Tg±5)℃〔但し、(Tg)は着色粒子を構成する樹脂のガラス転移温度とする。〕の条件で、当該気流乾燥機による乾燥処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のトナーの製造法。
  7. 気流乾燥機から排出される着色粒子の水分が3〜8重量%に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量を制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のトナーの製造法。
  8. 気流乾燥機における出口温度が一定の温度に維持されるよう、当該気流乾燥機への含水ケーキの供給量を制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のトナーの製造法。
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