JP2012207504A - 水洗大便器 - Google Patents

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Abstract

【課題】リム部を越えて洗浄水が飛散することを防止し便器の清掃性を向上させた水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明の水洗大便器1は、汚物受け面12と、リム部14と、棚部16と、を備えたボウル部4と、汚物を排出する排水路8と、ボウル部の前後方向を中心とした一方の側の後方側に位置すると共にボウル部の棚部上に洗浄水を吐水して旋回流を形成する第1の吐水口18と、第1の吐水口より下流側に位置し、棚部上に洗浄水を吐水して第1の吐水口による旋回流と同一方向の旋回流を形成する第2の吐水口20と、洗浄水を第1の吐水口に供給する第1の通水路24と、洗浄水を第2の吐水口に供給する第2の通水路24と、を有し、第2の通水路は、洗浄水の流速を低下させる段部26b及び屈曲部26c,26d,26eと、この段部及び屈曲部により流速が低下した洗浄水を第2の吐水口に向けて棚部に対して平面視でボウル部側に傾斜する方向に供給する通水路26d,26eと、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、水洗大便器に係わり、特に、旋回流を形成して洗浄及び汚物の排出を行う水洗便器に関する。
従来から、例えば、特許文献1に記載されているような、ボウル形状の汚物受け面と、上縁部でありその内周面が内方に向ってオーバーハングしたリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部とを備えたボウル部と、ボウル部の下方にその入口が接続され汚物をサイホン作用により排出する排水路と、を備えた水洗大便器が知られている。
この特許文献1に記載された水洗大便器は、ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水し旋回流を形成する第1の吐水部と、ボウル部の棚部上に第1の吐水部による旋回流の旋回方向と同一方向に洗浄水を吐水する第2の吐水部と、洗浄水タンクから洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、第1の吐水部の上方のリム部の内部に形成され洗浄水タンクから洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を備えている。
再公表特許WO2004/022862号公報
上述した特許文献1に記載された水洗大便器においては、第1の吐水部及び第2の吐水部から棚部に吐水された洗浄水が、リム部の内周面に沿って同一方向に旋回するようになっている。この水洗大便器においては、第2の吐水部から吐水された洗浄水が第1の吐水部から吐水される洗浄水と衝突してリム部を越えて飛散することを防止するため、洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路の先端部をUターン形状とし、これにより、第2の吐水口から吐水される洗浄水の流速を低下させ、上述した飛散を防止するようにしていた。
しかしながら、水洗大便器のボウル部の清掃性を向上させるためには、リム部の内周面がオーバーハングしていないか、又は、オーバーハングの度合いが小さいことが望ましい。このように、リム部の内周面がオーバーハングしていない等の場合には、特許文献1の水洗大便器のように、第2の通水路の先端部をUターン形状にしたのみでは、第2の吐水口から吐水された洗浄水が第1の吐水口から吐水される洗浄水と衝突(干渉)してリム部を越えて飛散することを抑制することはできず、更なる、改良が必要であった。
そこで、本発明は、従来の水洗大便器が持つ問題点を解決するためになされたものであり、リム部を越えて洗浄水が飛散することを防止し便器の清掃性を向上させた水洗大便器を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、給水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、ボウル形状の汚物受け面と、上縁部を構成するリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部と、を備えたボウル部と、このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水路と、ボウル部の前後方向を中心とした一方の側の後方側に位置すると共にボウル部の棚部上に洗浄水を吐水して旋回流を形成する第1の吐水部と、ボウル部の第1の吐水部より下流側に位置し、棚部上に洗浄水を吐水して第1の吐水部による旋回流と同一方向の旋回流を形成する第2の吐水部と、給水源から洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、給水源から洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を有し、第2の通水路は、洗浄水の流速を低下させる流速抑制部と、この流速抑制部手段により流速が低下した洗浄水を第2の吐水部に向けて棚部に対して平面視でボウル部側に傾斜する方向に供給する傾斜部と、を備えていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、第2の通水路を流れる洗浄水の流速が流速抑制部により低下され、その後、この流速が低下した洗浄水が傾斜部により洗浄水を第2の吐水部に向けて棚部に対して平面視でボウル部側へ傾斜する方向に供給されるので、第2の吐水部から吐水される洗浄水は、旋回方向の成分のみの従来のものに比べて、その旋回方向の成分が小さくなり且つボウル部中心方向の成分が大きくなり、それにより、第2の吐水部から吐水された洗浄水が第1の吐水部から吐水される洗浄水と衝突(干渉)してリム部を越えて飛散することを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、第2の通水路の流速抑制部は、第2の通水路内に形成された屈曲部である。
このように構成された本発明においては、第2の通水路内に形成された屈曲部により、圧力損失が発生して洗浄水の流速が低下するので、第2の吐水部から吐水された洗浄水が第1の吐水部から吐水される洗浄水と衝突(干渉)してリム部を越えて飛散することを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、第2の通水路の流速抑制部は、第2の通水路内に形成された上下方向に延びる段部である。
このように構成された本発明においては、第2の通水路内に形成された段部が抵抗となり洗浄水の流速が低下するので、第2の吐水部から吐水された洗浄水が第1の吐水部から吐水される洗浄水と衝突(干渉)してリム部を越えて飛散することを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、ボウル部のリム部の内周面は、棚部からほぼ垂直方向に延びる平坦面により形成されている。
このように構成された本発明においては、ボウル部のリム部の内周面が棚部からほぼ垂直方向に延びる平坦面により形成されているので、リム部がオーバーハングにより形成されたものよりも、清掃性が向上する。
本発明の水洗大便器によれば、リム部を越えて洗浄水が飛散することを防止し便器の清掃性を向上させることが出来る。
本発明の実施形態による水洗大便器を示す平面図である。 図1のII−II線に沿って見た断面図である。 図1のIII−III線に沿って見た断面図(貯水タンクは省略)である。 図1のIV-IV線に沿って見た部分断面図である。 図4のV−V線に沿って見た部分断面図である。 図1のVI−VI線に沿って見た部分断面図である。
以下、本発明の実施形態による水洗大便器を添付図面を参照して説明する。先ず、本発明の実施形態による水洗大便器の基本構造を図1乃至図3により説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態による水洗大便器を示す平面図であり、図2は図1のII−II線に沿って見た断面図であり、図3は図1のIII−III線に沿って見た断面図(貯水タンクは省略)であり、図4は図1のIV-IV線に沿って見た部分断面図である。
図1乃至図4に示すように、本実施形態による水洗大便器1は、表面に釉薬層が形成された陶器製であり、下部にスカート部2が形成され、上半部のうち前方にボウル部4が形成され、後方上部に導水路6、後方下部にサイホン作用により汚物を排出する排水路8がそれぞれ形成されている。さらに、水洗大便器1の後方上部には、導水路6に連通する、貯水タンク10が設けられている。また、この貯水タンク10内には、排水弁11が設けられており、操作レバー(図示せず)により開閉するようになっている。なお、本発明は、貯水タンクを備えた水洗大便器以外に、水道水の圧力を利用した、例えば、フラッシュバルブを備えたタイプの水洗大便器等にも適用可能である。
ボウル部4は、ボウル形状の汚物受け面12と、上縁部を構成するリム部14と、この汚物受け面12とリム部14との間に形成された棚部16を備えている。ここで、リム部14の内側面14aは、上から見て死角になる箇所がないように、棚部16からほぼ垂直方向に延びる平坦面(スムーズな平面)により形成されている。
ボウル部4の汚物受け面5の中央で溜水の水面下となる箇所には排水路8の入口8aが開口し、この入口8aから上昇路8bが後方に延び、この上昇路8bには下降路(縦管)8cが連続し、下降路8cの下端は、ジョイント(図示せず)を介して排出管(図示せず)に接続されている。
また、水洗大便器1のボウル部4の前方から見て左側の後方側には、棚部16上に洗浄水を吐水する第1の吐水口18と、ボウル部4の前方から見て右側の後方側には、棚部16上に洗浄水を吐水する第2の吐水口20が形成され、これらの第1の吐水口18及び第2の吐水口20は、同一方向の旋回流(平面視で反時計回り)を形成するようになっている。
更に、水洗大便器1のボウル部4には、ボウル部4の溜水面の位置よりも上方で棚部16よりも下方の位置で且つ前方から見て左側(ボウル部側面)にスリット形状のサイドゼット穴22が形成されている。このサイドゼット穴22から吐水された洗浄水は、排水路8の入口8aに向かって流れ、汚物を効率的に排水路8に押し込むようになっている。
導水路6は、便器の前方に向かって、3つの通水路、即ち、第1の吐水口18に洗浄水を供給する第1の通水路24、第2の吐水口20に洗浄水を供給する第2の通水路26、サイドゼット穴22に洗浄水を供給する第3の通水路28に分岐している。なお、サイドゼット穴を形成した場合には、効果的な洗浄が可能であるが、第1の吐水口18及び第2の吐水口20のみから棚部16上に洗浄水を吐水し、このサイドゼット穴を設けないようにしてもよい。
次に、図1乃至図4に加えて、図5及び図6を参照して、本実施形態による水洗大便器1の第2の通水路26の詳細構造を説明する。図5は図4のV−V線に沿って見た部分断面図であり、図6は図1のVI−VI線に沿って見た部分断面図である。
先ず、第2の通水路26は、上流側から下流側の第2の吐水口20に向かって、拡大直線状通水路26a、上下方向に延びる段部26b、ボウル部4の洗浄水の旋回流の方向と逆方向に洗浄水を流すための扁平状通水路26c、鉛直方向に延び洗浄水を下方に流すための鉛直通水路26d、洗浄水を棚部16に対して平面視でボウル部4側に傾斜する方向に供給し且つボウル部4の洗浄水の旋回流の方向とほぼ同方向に洗浄水を流すための傾斜通水路26eとを備えている。これらの鉛直通水路26d及び傾斜通水路26eは、第2の吐水口20付近のリム部14の内周面14aの一部として形成されている。
ここで、第2の通水路26において、段部26bは、第2の吐水口20へ流れる洗浄水の流量を調整し、さらに、流速抑制部であり、洗浄水が衝突することにより、流体抵抗となり、これにより、洗浄水の流速が低下する。さらに、扁平状通水路26c、鉛直通水路26d、及び、傾斜通水路26eは、洗浄水の流れが屈曲する屈曲部(=流速抑制部)を構成し、この屈曲部にて圧力損失が発生し、洗浄水の流速が低下する。
さらに、図5に示すように、第2の通水路26から第2の吐水口20に供給される洗浄水の流速Vは、鉛直通水路26dから傾斜通水路26eを経て、第2の吐水口20に向かって、棚部16に対して平面視でボウル部4側に角度θだけ傾斜する方向に吐水されるようになっている。そのため、洗浄水の流速Vは、旋回方向の成分Vxと、ボウル部中心方向の成分Vyを有し、従来のもの(洗浄水の流速が旋回方向の成分のみを有するもの)に比べ、第2の吐水口20から吐水される洗浄水の旋回方向の成分が小さくなり且つボウル部中心方向の成分が大きくなる。この洗浄水の旋回方向の成分Vx及びボウル部中心方向の成分Vyは、傾斜通水路26eのリム部14内周面に沿った長さL(図6参照)の大きさにより、調整することができる。本実施形態では、長さLを比較的短くすることにより、ボウル部中心方向の成分Vyを大きくしている。
次に上述した本発明の実施形態による水洗大便器における作用を説明する。
先ず、水洗大便器の基本的な作用を説明する。最初に、便器洗浄のための操作レバー(図示せず)を操作すると、貯水タンク10内に設けられた排水弁11が開き、貯水タンク10内の洗浄水が導水路6に流入し、導水路6から、第1の通水路24、第2の通水路26、第3の通水路28に分岐して流入する。
第1の通水路24に流入した洗浄水は、第1の吐水口18に到達し、第1の吐水口18から棚部16上に吐水される。第2の通水路26に流入した洗浄水は、上述した第2の通水部26を通って第2の吐水口20に到達し、第2の吐水口20から棚部16上に斜めの方向に吐水される。第3の通水路28に流入した洗浄水は、サイドゼット穴22に到達し、サイドゼット穴22から、ボウル部4内の溜水を上下方向に攪拌するように噴出すると共に排水路8の入口8aに向けて噴出するようになっている。
本実施形態による水洗大便器1においては、第1の吐水口18から吐水された洗浄水により、ボウル部4の第1の吐水口18から第2の吐水口20の間の領域が洗浄され、さらに、第2の吐水口20から吐水された洗浄水及び第1の吐水口18から吐水された洗浄水の一部により、ボウル部4の第2の吐水口20とその下流側にある第1の吐水口20の間の領域が洗浄される。このようにして、本実施形態によれば、第1の吐水口18及び第2の吐水口20から吐水される洗浄水により、ボウル部4の全領域を効果的に洗浄することが出来るようになっている。
さらに、ボウル部4において、第1の吐水口18及び第2の吐水口20により吐水された洗浄水は、反時計回りの旋回流となるので、ボウル部4内の汚物は、この旋回流の中心付近に集まり、排水路8のサイホン作用による吸引力と、サイドゼット穴22からボウル部4内の溜水を上下方向に攪拌する攪拌力と、排水路8の入口8aに向かう流れによる押し込み力により、効果的に排水路8の入口8aに送りこまれ、排水路8から外部に排出されるようになっている。
なお、本発明は、上述したサイホン作用により汚物を排出する便器以外に、サイホン作用を利用しない洗い落し式便器等にも、適用可能である。
次に、本実施形態においては、第2の通水路26を流れる洗浄水の流速が段部26b、並びに、扁平状通水路26c、鉛直通水路26d、及び、傾斜通水路26eは、洗浄水の流れが屈曲する屈曲部により低下され、その後、この流速が低下した洗浄水が、鉛直通水路26d及び傾斜通水路26eにより洗浄水を第2の吐水口20に向けて棚部16に対して平面視でボウル部4側へ傾斜する方向に供給されるので、第2の吐水口20から吐水される洗浄水は、旋回方向の成分Vxのみの従来のものに比べて、その旋回方向の成分Vxが小さくなり且つボウル部中心方向の成分Vyが大きくなり、それにより、第2の吐水口20から吐水された洗浄水が第1の吐水口18から吐水される洗浄水と衝突(干渉)してリム部を越えて飛散することを抑制することができる。
また、本実施形態においては、第2の通水路26内に上述した扁平状通水路26c、鉛直通水路26d、及び、傾斜通水路26eにより屈曲部が形成されているので、この屈曲部により圧力損失を発生して、より効果的に洗浄水の流速を低下させることができる。
また、本実施形態において、第2の通水路26内に段部26bが形成されているので、この段部26bが抵抗となり、より効果的に洗浄水の流速を低下させることができる。
さらに、本実施形態において、ボウル部4のリム部14の内周面14aは、棚部16からほぼ垂直方向に延びる平坦面により形成されているので、清掃の際には使い捨ての紙等を使用して簡単に内側面14aを拭き取ることができるので、リム部がオーバーハングにより形成された従来のものよりも、清掃性が向上する。
1 水洗大便器
2 スカート部
4 ボウル部
6 導水路
8 排水路
8a 入口
10 貯水タンク
11 排水弁
12 汚物受け面
14 リム部
14a 内側面
16 棚部
18 第1の吐水口
20 第2の吐水口
22 サイドセット穴
24 第1の通水路
26 第2の通水路
26a 拡大直線状通水路
26b 段部
26c 扁平状通水路
26d 鉛直通水路
26e 傾斜通水路
28 第3の通水路

Claims (4)

  1. 給水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
    ボウル形状の汚物受け面と、上縁部を構成するリム部と、このリム部と汚物受け面との間に形成された棚部と、を備えたボウル部と、
    このボウル部の下方にその入口が接続され汚物を排出する排水路と、
    上記ボウル部の前後方向を中心とした一方の側の後方側に位置すると共に上記ボウル部の棚部上に洗浄水を吐水して旋回流を形成する第1の吐水部と、
    上記ボウル部の第1の吐水部より下流側に位置し、上記棚部上に洗浄水を吐水して上記第1の吐水部による旋回流と同一方向の旋回流を形成する第2の吐水部と、
    上記給水源から洗浄水を第1の吐水部に供給する第1の通水路と、
    上記給水源から洗浄水を第2の吐水部に供給する第2の通水路と、を有し、
    上記第2の通水路は、洗浄水の流速を低下させる流速抑制部と、この流速抑制部手段により流速が低下した洗浄水を上記第2の吐水部に向けて上記棚部に対して平面視で上記ボウル部側に傾斜する方向に供給する傾斜部と、を備えていることを特徴とする水洗大便器。
  2. 上記第2の通水路の流速抑制部は、第2の通水路内に形成された屈曲部である請求項1記載の水洗大便器。
  3. 上記第2の通水路の流速抑制部は、第2の通水路内に形成された上下方向に延びる段部である請求項1記載の水洗大便器。
  4. 上記ボウル部のリム部の内周面は、上記棚部からほぼ垂直方向に延びる平坦面により形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の水洗大便器。
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