JP2012206306A - ガスバリア積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温多湿環境下においても、ポリエチレンナフタレートからなる基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエチレンナフタレートからなる基材と、基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜を有し、ポリエチレンナフタレートは、位相差測定法による面配向係数が、0.230以上、0.255以下の範囲内であることを特徴とする。また、位相差測定法による面配向係数が0.230以上、0.255以下の範囲内であるポリエチレンナフタレートフィルムを基材として選択する工程と、基材の少なくとも一方の面に、酸化珪素薄膜を積層する工程とを具備することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレンナフタレートからなる基材を用いたガスバリア積層体およびその製造方法に関するものである。
ガスバリア積層体は、食品や精密電子部品及び医薬品の包材として用いられている。内容物の変質を抑制するとともに、その機能や性質を保持するために、包装材料を通過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体よる影響を防止されなければならない。ガスバリア積層体には、これらを遮断するガスバリア性等が求められてきた。近年、こうしたガスバリア積層体は太陽電池モジュールの部材である裏面保護シートを代表とした産業資材用途として用いられるようになってきた。
従来、裏面保護シートには温度・湿度などの影響が少ないアルミ等の金属箔をガスバリア層として一般的に用いられてきたが、金属箔は経年劣化により太陽電池のセル及び配線等と絶縁不良を起こすなど欠点があった。
絶縁不良の問題を克服する包装材料として、フッ素樹脂フィルムに酸化珪素が蒸着された蒸着フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性、および積層フィルムの密着性向上効果を有し、金属箔等では得られない絶縁特性、透明性を有する包装材料として好適とされている。
公知文献を以下に示す。
特開平10−308521号公報
しかしながら、樹脂フィルムからなる基材に酸化珪素薄膜が積層された従来のガスバリア積層体は、高温高湿環境下に長時間曝された場合、基材と酸化珪素薄膜との密着性が低下して、バリア性の劣化が生じていた。基材表面にアンカーコートを施すことによって、こうした劣化を抑制することは可能であるものの、ガスバリア積層体の製造における工程数の増加につながる。しかも、剥離劣化の発生箇所が基材表層のため、劣化を十分に抑えることができなかった。
本発明は、高温多湿環境下においても、ポリエチレンナフタレートからなる基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、ポリエチレンナフタレートからなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜を有し、前記ポリエチレンナフタレートは、位相差測定法による面配向係数が、0.230以上、0.255以下の範囲内であることを特徴とするガスバリア積層体である。
本発明の請求項2の発明は、前記酸化珪素は、X線光電子分光法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si)が1.6〜2.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に
記載のガスバリア積層体である。
本発明の請求項3の発明は、前記酸化珪素薄膜の厚さが、10〜300nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体である。
本発明の請求項4の発明は、前記基材と前記酸化珪素薄膜との間に、アンカーコート層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア積層体である。
本発明の請求項5の発明は、アンカーコート層の材質は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、及び、オキサゾリン基含有樹脂から選択されることを特徴とする請求項4に記載のガスバリア積層体である。
本発明の請求項6の発明は、前記酸化珪素薄膜が積層された前記基材の面は、リアクティブイオンエッチング処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガスバリア積層体である。
本発明の請求項7の発明は、前記リアクティブエッチング処理は、アルゴン、窒素、酸素、および水素からなる群から選択される少なくとも1種類のガスを用いて行われる処理であることを特徴とする請求項6に記載のガスバリア積層体である。
本発明の請求項7の発明は、位相差測定法による面配向係数が0.230以上、0.255以下の範囲内であるポリエチレンナフタレートフィルムを基材として選択する工程と、前記基材の少なくとも一方の面に、酸化珪素薄膜を積層する工程とを具備することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法である。
本発明によると、高温多湿環境下においても、ポリエチレンナフタレートの基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体およびその製造方法が提供される。
本発明のガスバリア積層体の一例の概略の断面構成を示す説明図である。 本発明のガスバリア積層体の他の例の概略の断面構成を示す説明図である。 プレーナ型プラズマ処理で処理を行う場合の概略図である。 ホロアノード・プラズマ処理器で処理を行う場合の概略図である。
樹脂フィルムからなる基材に酸化珪素薄膜が積層された従来のガスバリア積層体においては、酸化珪素薄膜が積層されたフィルム基材表面における凝集力の低下が、基材との密着性低下を引き起して、バリア性劣化の原因となっている。
本発明者らは、酸化珪素薄膜が形成されたポリエチレンナフタレートフィルムからなる基材表面の凝集力に関して鋭意検討した結果、面配向係数が関連していることを見出した。通常、ポリエチレンナフタレートフィルムは、二軸延伸した後、適切な熱固定温度で保持し、面に対して水平方向に分子が配列するように調整される。この分子の配列の度合いが、面配向係数として測定される。
面配向係数は、位相差測定法、アッベの屈折測定法などの手法を用いて求めることができるが、アッベの屈折測定法の場合には、測定者による測定値のバラつきが大きい。これ
に対して位相差測定法は、測定者によらず安定して測定でき、測定者のバラつきも少ない。しかも、正確に面配向係数を算出することができることから、本明細書においては位相差測定法による面配向係数が用いられる。
位相差測定法により算出された面配向係数が、所定の範囲にあるポリエチレンナフタレートフィルムを基材として用いることによって、この上に積層される酸化珪素薄膜の密着性が高められる。この結果、バリア性の劣化を防ぐことが可能となった。しかも、こうした特性は、高温高湿環境下においても維持することができることを、本発明者らによって始めて得られた知見である。
ポリエチレンナフタレートフィルムの面配向係数の算出にあたっては、位相差測定装置を用いて、指定の寸法に切り出されたポリエチレンナフタレートフィルムの位相差を所定の入射角で測定する。各測定値と平均屈折率とを用いて、面配向係数が算出される。
以下、図面を参照して本発明のガスバリア積層体について説明する。
図1は、本発明のガスバリア性積層体の一例の概略の断面構成を示す説明図である。
本発明のガスバリア積層体10においては、ポリエチレンナフタレートフィルムからなる基材1の上に酸化珪素薄膜2が積層されている。
ポリエチレンナフタレートフィルムは、位相差測定法による面配向係数が、0.230以上、0.255以下の範囲に規定される。酸化珪素薄膜の透明性が損なわれないように、ポリエチレンナフタレートフィルムは透明であることが望まれる。
機械的強度が高く寸法安定性にも優れることから、基材1のポリエチレンナフタレートフィルムは延伸したものが用いられている。0.230以上の面配向係数を確保するためにも、本例において用いられるポリエチレンナフタレートフィルムは、二軸延伸および熱固定を経たものである。二軸延伸および/または熱固定の条件を適切に選択することによって、面配向係数を制御することができる。
例えば、低温長時間の熱固定が行われると、ポリエチレンナフタレートフィルムの面配向係数を所望の範囲内に調整することが可能となる。なお、二軸延伸が行われない場合には、ポリエチレンナフタレートフィルムの面配向係数は極めて小さくなって、0.230には達しないことが知られている。
位相差測定法による面配向係数は0.230以上0.255以下の範囲内であるポリエチレンナフタレートフィルムは、酸化珪素薄膜2との密着性が高められる。その結果、バリア性が向上することになる。なお、バリア性は、水蒸気透過度により評価することができる。しかも、こうした特性は、高温高湿環境下においても維持され、容易には劣化しない。
基材1の厚さは、特に制限されないが、薄すぎる場合には巻取り装置で酸化珪素薄膜2を形成する際にシワの発生やフィルムの破断が生じるおそれがある。一方、厚すぎる場合には、フィルムの柔軟性が低下するため巻取り装置での加工が困難となる恐れがある。3〜200μmの範囲内の基材1であれば、何等不都合を生じることなく巻取り装置で酸化珪素薄膜を形成することができる。基材1の厚さは6〜50μmの範囲内がより好ましい。
基材1上の酸化珪素薄膜2を構成する酸化珪素は、XPS測定法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si)が小さすぎる場合には、十分なバリア性を確保できず、しかもバリア層が着色して透明性が損なわれるおそれがあることからクラック等の膜欠陥が生じ
やすい。その結果、バリア性が低下するおそれがある。比(O/Si)が1.6〜2.0の範囲内であれば、適切なバリア性を有する透明な酸化珪素薄膜2を形成することができる。
酸化珪素薄膜2の厚さが薄すぎる場合には、均一な膜を得ることができず、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができないおそれがある。一方、厚すぎる場合には残留応力により、柔軟性を保持できず、成膜後の外的要因によって亀裂が生じるおそれがある。5〜300nmの範囲であれば、ガスバリア材に適切な柔軟な酸化珪素薄膜2を、均一な膜厚で得ることができる。酸化珪素薄膜2の厚さは10〜300nmの範囲内の範囲内がより好ましい。
酸化珪素薄膜2は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、およびプラズマ気相成長法などにより基材1の表面に積層することができる。生産性を考慮すれば、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法における蒸発材料の加熱の方式は特に限定されず、例えば、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、および誘導加熱方式等から選択することができる。蒸発材料の選択性の幅広いことから、電子線加熱方式または抵抗加熱方式がより好ましい。
酸化珪素薄膜2と基材1との密着性、および酸化珪素薄膜2の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオン・ビームアシスト法を用いて蒸着しても良い。また、酸素等の各種ガスなどを吹き込みつつ蒸着を行う(反応蒸着)ことによって、蒸着される酸化珪素薄膜の透明性を、よりいっそう高めることができる。
図2は、本発明のガスバリア積層体の他の例の概略の断面構成を示す説明図である。
図2に示すように、基材1と酸化珪素薄膜2との間に、処理層3が設けられたガスバリア積層体20としてもよい。処理層3は、たとえばアンカーコート層とすることができる。あるいは、基材1の表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)処理による前処理を施すことによって、処理層3を形成することもできる。
アンカーコート層は、基材1と酸化珪素薄膜2との密着性をさらに向上させる作用を有する。アンカーコート層は、基材1の表面にアンカーコート剤を塗布することによって形成することができる。
アンカーコート剤としては、例えば溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、および、アルキルチタネート等を単独、あるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
アンカーコート層の厚さは、通常5nm〜5μm程度とすることができる。こうした範囲内であれば、内部応力が抑制されたアンカーコート層を均一な膜厚で形成することができる。アンカーコート層の厚さは、より好ましくは10nm〜1μmである。アンカーコート層の塗布性、接着性を改良するために、アンカーコートに先立って、基材表面に放電処理を施してもよい。
一方、基材1の表面にRIE処理を施す場合には、プラズマが利用されることから、発生したラジカルやイオンにより、基材1の表面に官能基を付与するといった化学効果が得られる。
これに加えて、イオンエッチングによる表面不純物の除去、表面粗さを大きくするといった物理的効果も得られる。その結果、基材1と酸化珪素薄膜2と密着性をさらに向上させ、高温高湿環境下においても両者は剥離しない構造となる。また、RIE処理は、ポリエチレンナフタレートフィルムからなる基材の面配向係数をより適切な値に調整するという作用も有する。
RIEによる処理を巻取り式のインライン装置で行う方法としては、基材1の設置されている冷却ドラムに電圧を印加してプレーナ型にする方法がある。この方法による場合は、例えば図3に示されるように、処理ロール6の内側に電極4が配置され、ポリエチレンナフタレートフィルムからなる基材1の表面にプラズマ5が作用する。プレーナ型で処理を行えば、基材1は陰極(カソード)側に設置することができ、高い自己バイアスを得ることによってRIEによる処理を行うことができる。
もし、処理ロール6の対面側に印加電極を設置した一般的なインライン処理で行うような場合には、基材1は陽極(アノード)側に設置されることになる。この場合は、ポリエチレンナフタレートの基材1は高い自己バイアスを得られず、ラジカル5が基材1表面に作用し化学反応するだけの、いわゆるプラズマエッチングしか行われない。このため、酸化珪素薄膜2と基材1との密着性は低いままである。
RIEによる処理を巻取り式のインライン装置で行う他の方法としては、ホロアノード・プラズマ処理器を用いてRIE処理を行う方法がある。この方法の場合は、例えば図4に示されるように、処理ロール6の対面側に遮蔽板9とともに電極4が設けられ、基材1は陽極(アノード)側に設置される。なお、図4中、符号7および8は、それぞれガス導入口およびマッチングボックスを示している。
図4に示されるように、ホロアノード・プラズマ処理器は中空状の陽極を有し、その陽極の面積(Sa)が、対極となり基板面積(Sc)より大きい(Sa>Sc)処理器である。陽極の面積を大きくすることで、対極となる陰極(ポリエチレンナフタレートフィルム基材)上に高い自己バイアスを発生させることができる。この大きな自己バイアスにより、安価で強力な表面処理が可能となる。
ホロアノード電極中に磁石を組み込んで、磁気アシスト・ホロアノードとすることが好ましい。これによって、より強力で安定したプラズマ表面処理を高速で行うことが可能となる。磁気電極から発生される磁界により、プラズマ閉じ込め効果をさらに高め、大きな自己バイアスで高いイオン電流密度を得ることができる。
RIEによる前処理を行うためのガス種としてはアルゴン、酸素、窒素、水素を使用することができる。これらのガスは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、2基以上の処理器を用いて、連続して処理を行うこともできる。このとき、2基以上の処理器は同じものを使用する必要はない。例えば、プレーナ型で処理を行い、その後、連続してホロアノード・プラズマ処理器を用いて処理を行うこともできる。
図1および図2のいずれの構造の場合も、さらに別の層を含むことができる。例えば、基材1の他方の面にも酸化珪素薄膜2を形成してもよい。また、保護および接着性を向上させるために、酸化珪素薄膜2上に、オーバーコート層を形成してもよい。
オーバーコート層の材質は、例えば、溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等か
ら選択することができる。これらのいずれかを用いた単独層によって、あるいは2種類以上の積層によってオーバーコート層を構成することができる。
バリア性、摩耗性、滑り性等を高めるために、オーバーコート層中にフィラーが含まれていてもよい。フィラーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラー、および層状無機フィラーなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。前述の樹脂にフィラーを添加し、重合または縮合させることにより得られたオーバーコート層が好ましい。
基材1の片面のみに酸化珪素薄膜が設けられる場合、他方の面には、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを含む層が設けられてもよい。また、産業資材、包装材料としての適性を考慮して、ガスバリア積層体に別のフィルムを積層することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリフッ化ビニルフィルムやポリフッ化ジビニルなどのフッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。さらに、これら以外の樹脂フィルムを積層することができる。
以下にガスバリア積層体の具体的実施例について説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、厚さ12μmのポリエチレンナフタレートフィルムを7種用意し、それぞれ位相差を測定して面配向係数を求めた。位相差測定に用いた装置は、位相差測定装置(王子計測機器社製、KOBRA−WR)である。40mm×40mmの面積について、0°〜50°(10°ピッチ)の入射角で位相差を測定した。算出された7種類のポリエチレンナフタレートフィルムの面配向係数は0.230から0.260の間の値であった。
それぞれポリエチレンナフタレートフィルムの一方の面に、電子線加熱方式により酸化珪素を蒸着して、厚さ40nmの薄膜を形成した。こうして、7種類のガスバリア積層体サンプルを得た。各サンプルにおける酸化珪素薄膜中のO/SiをX線光電子分光法(XPS)により求めた。
測定装置は、X線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、JPS−90MXV)である。X線源として、非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、100W(10kV−10mA)のX線出力で測定した。O/Siを求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用い、7種類のサンプルについての(O/Si)は、1.7から2.1の間の値であった。
各サンプルについて、それぞれ次のような手法によって、剥離強度および水蒸気透過度を調べた。
剥離強度の測定にあたっては、まず、ウレタン系の接着剤を用いて、ガスバリア積層体サンプルの両面に厚さ100μmのPETフィルムを接着してラミネート構造とした。接着されたPETフィルムと酸化珪素薄膜との界面で剥がしきっかけを作って、剥離強度を測定した。引張試験機としては、オリエンテック社製テンシロンRTC−1250を用いて、180°剥離して剥離強度を測定した。剥離強度は2N/15mm以上を合格とした。
また、各サンプルを、85℃85%の環境下に1000時間放置し、その前後における水蒸気透過度(g/m/day)を測定して、ガスバリア性の指標とした。測定方法にはモコン法を用い、2g/m/day以下を合格とした。
得られた結果を、各ポリエチレンナフタレートフィルムの面配向係数、酸化珪素における(O/Si)、および判定とともに、下記表1にまとめる。
Figure 2012206306
上記表1に示されるように、面配向係数が0.260の比較例1では、剥離強度は1.6N/15mmであり、水蒸気透過度は3.26(g/m/day)であり、いずれも合格範囲から外れている。また。面配向係数が0.265の比較例2も同様に、剥離強度は1.2N/15mmであり、水蒸気透過度は4.05(g/m/day)であり、いずれも合格範囲から外れている。このように、所望の密着性およびバリア性を有するガスバリア積層体を作製することはできない。
これに対して、実施例1〜5のサンプルではいずれも剥離強度は3.2N/15mm以上で、最大では5.2N/15mmにも及んでいる。水蒸気透過度についても1.56(g/m/day)以下である、0.95(g/m/day)といった値も得られている。
実施例1〜5のサンプルは、ポリエチレンナフタレートフィルムの位相差法による面配向係数が0.230以上0.255以下の範囲内であることから、所望の密着性およびバリア性をガスバリア積層体に付与することが可能となった。
以上のように、位相差法による面配向係数が所定の範囲内に規定されたポリエチレンナフタレートフィルムによって、高温高湿環境下でもバリア性、密着性が劣化しにくいガスバリア積層体を提供できる。
本発明は、食品や精密電子部品及び医薬品の包材として用いられ、特に太陽電池モジュールの部材である裏面保護シートとした産業資材用途に利用できる。
10、20・・・ガスバリア積層体
1・・・基材
2・・・酸化珪素薄膜
3・・・処理層
4・・・電極
5・・・プラズマ
6・・・処理ロール
7・・・ガス導入口
8・・・マッチングボックス
9・・・遮蔽板

Claims (8)

  1. ポリエチレンナフタレートからなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜を有し、前記ポリエチレンナフタレートは、位相差測定法による面配向係数が、0.230以上、0.255以下の範囲内であることを特徴とするガスバリア積層体。
  2. 前記酸化珪素は、X線光電子分光法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si)が1.6〜2.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記酸化珪素薄膜の厚さが、10〜300nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体。
  4. 前記基材と前記酸化珪素薄膜との間に、アンカーコート層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア積層体。
  5. アンカーコート層の材質は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、及び、オキサゾリン基含有樹脂から選択されることを特徴とする請求項4に記載のガスバリア積層体。
  6. 前記酸化珪素薄膜が積層された前記基材の面は、リアクティブイオンエッチング処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガスバリア積層体。
  7. 前記リアクティブエッチング処理は、アルゴン、窒素、酸素、および水素からなる群から選択される少なくとも1種類のガスを用いて行われる処理であることを特徴とする請求項6に記載のガスバリア積層体。
  8. 位相差測定法による面配向係数が0.230以上、0.255以下の範囲内であるポリエチレンナフタレートフィルムを基材として選択する工程と、前記基材の少なくとも一方の面に、酸化珪素薄膜を積層する工程とを具備することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法。
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