JP2012205699A - 医療器具導入具 - Google Patents

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Abstract

【課題】膣内等の狭い場所においても医療器具を所定の状態で保持し得る医療器具導入具を提供する。
【解決手段】医療器具導入具10は、管体11と、管体まわりに拡張する第1固定部12と、第1固定部に対し相対的に近接し且つ近接状態を維持し得る管体に配置された第2固定部13と、を有し、第2固定部は、当該第2固定部に対する管体の向きを変更・維持し得るとともに、相対的に近接する第1固定部が収まる収容部136を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、腹壁又は膣壁等の体壁を通して体腔内に医療器具を導入するための医療器具導入具に関する。
内視鏡下手術において、最近ではより低侵襲を目指した単孔式の術式や、NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery:経管腔的内視鏡手術)を利用した術式が注目され始めている。これらは、より傷を少なくするため、1つのトロッカーだけを使用する。また、狭い穴を利用するため、内視鏡を保持する人と手技を行う人とが一箇所に集中する、又は、一人の術者が片手で内視鏡を保持したまま手技を行わなければならず、術者は非常に手技を行ない辛い。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、体壁を貫通する導入具を通じて体腔内に導入された内視鏡等を、ベッドに固定されたアームによって所定の状態で保持するホルダ装置が提案されている。
特開平6−113997号公報
しかしながら、このような従来技術が、膣内等の狭い場所での手技に用いられる場合、アームがそのような狭い場所に入り難い等の理由によって医療器具を所定の状態で保持することが困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、膣内等の狭い場所においても医療器具を所定の状態で保持し得る医療器具導入具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の医療器具導入具は、管体と、前記管体まわりに拡張する第1固定部と、前記第1固定部に対し相対的に近接し且つ近接状態を維持し得る前記管体に配置された第2固定部と、を有し、前記第2固定部は、当該第2固定部に対する前記管体の向きを変更・維持し得るとともに、相対的に近接する前記第1固定部が収まる収容部を有する。
上記のように構成した本発明の医療器具導入具は、体壁を貫通した管体を所定の向きに向けた状態で、第1固定部及び第2固定部によって体壁を挟んで管体を体壁に固定する。つまり、第1固定部及び第2固定部が、体腔内に医療器具を導入するための管体を体壁に取り付ける機能に加え、管体を所定の向きで保持する機能も果たすため、医療器具を保持するためのアーム等の補助具が別途必要ない。また、第1固定部が収容部に収まるようにして第2固定部とともに体壁を挟み込むため、管体の向きによって挟み込むときの体壁の変形状態が異なっても、第1固定部及び第2固定部が管体の向きの変化を抑えつつ管体を所定の向きで固定する。従って、本発明の医療器具導入具は、膣内等の狭い場所でも医療器具を所定の状態で保持できる。
また、前記第2固定部は、前記管体に沿って移動自在に取り付けられた管体取付部と、前記管体の向きが変わるように前記管体取付部を回動自在に支持する支持部と、前記管体取付部の移動及び回動を停止させる停止部と、を有するようにすれば、管体取付部及び支持部によって管体を所望の方向に向けることができ、また、停止部が管体取付部の動きを止めることによって管体を固定するため、管体ひいては管体に挿入される医療器具の状態が変化し難い。
また、前記管体取付部は球形状を有するボールジョイントであり、前記支持部は、前記ボールジョイントの球面状の外面の一部を露出させつつ前記ボールジョイントを支持するとともに、露出した前記ボールジョイントの露出部とともに前記収容部を形成する内面を備え、前記ボールジョイントは前記内面の開口部より引っ込み、且つ前記開口部の径は、拡張した前記第1固定部の径より大きいようにすれば、管体を所望の方向に向け易く、また、管体の向きによって挟み込むときの体壁の変形状態が異なっても変形した体壁が確実に収容部に収まり易いため、管体の向きの変化を抑えつつ管体を所定の向きで確実に固定できる。
また、前記停止部は、前記管体取付部に接して前記管体取付部の移動及び回動を停止させる接触部と、前記接触部から延び前記接触部を動作させる引き出し部と、を有するようにすれば、例えば膣内等の狭い場所から広い場所へ引き出された引き出し部の操作によって、管体が所定の状態で固定されるため、狭い場所での操作よって管体が固定される場合に比べ手技が容易である。
また、前記第1固定部から離隔した前記第2固定部が更に前記第1固定部から離隔するように前記管体に対して相対移動するのを阻止するストッパを有するようにすれば、第1固定部から離隔するように移動する第2固定部は管体の端部に達する前に止まるため、第2固定部及び管体が互いに外れ難い。
また、前記第1固定部が収縮可能であるようにすれば、管体が体壁を貫通する場合又は体壁から抜去される場合に、体壁に形成された管体が通る孔が広がり難く、よって患者への負担が小さい。
また、前記第1固定部を拡張状態で維持し得る拡張維持部を有するようにすれば、第1固定部から体壁への押圧が維持されるため、第1固定部及び第2固定部による体壁の挟み込みが弛み難い。
また、前記第1固定部から延び前記第1固定部を拡張・収縮させる手元拡縮操作部を有するようにすれば、例えば膣内等の狭い場所から広い場所へ引き出された手元拡縮操作部の操作によって第1固定部が拡張・収縮するため、狭い場所での操作によって第1固定部を拡張・収縮させる場合に比べ手技が容易である。
また、前記収容部の深さが変更可能であるようにすれば、第1固定部及び第2固定部によって挟まれるときの体壁の変形状態が異なっても、収容部の深さを調整することによって変形した体壁が収容部に収まり易いため、第1固定部及び第2固定部が、より確実に管体の向きの変化を抑えつつ管体を所定の向きで固定できる。
また、前記管体が、中空形状を有する針体と、前記針体内に配置された内管と、前記内管を軸方向に付勢し前記内管の端部を前記針体の先端から突出させる弾性体と、を有するようにすれば、針体が体壁を貫通して体腔内に入ったとき、体壁からの抵抗がなくなって先端が鈍な内管が針体の先端から飛び出すため、針体の先端が体腔内の臓器に接触し難く、その結果、臓器の損傷が防止される。
また、前記第1固定部が、バルーン、ワイヤ、又は平板を含むようにすれば、第1固定部は収容部の形状に合わせて変形するため、第2固定部とともに体壁を確実に挟持できる。
第1実施形態のトロッカーの斜視図である。 第1固定部が収縮した第1実施形態のトロッカーの断面図である。 第1固定部が拡張した第1実施形態のトロッカーの断面図である。 ボールジョイントの断面図である。 (A)はベルトが緩められた状態のボールジョイント支持部及びベルトの正面図であり、(B)は図5(A)の5−5線に沿うボルト及びベルトの断面図である。 (A)はボタンが押されてスリットに位置する状態のボールジョイント支持部及びベルトの正面図であり、(B)は図6(A)の6−6線に沿うボルト及びベルトの断面図である。 (A)はベルトが締められた状態のボールジョイント支持部及びベルトの正面図であり、(B)は図7(A)の7−7線に沿うボルト及びベルトの断面図である。 図2の8−8線に沿う係止部の断面図である。 穿刺工程を説明するための断面図である。 拡張工程を説明するための断面図である。 第1固定部引付工程を説明するための断面図である。 向き決定工程を説明するための断面図である。 第2固定部押当工程を説明するための断面図である。 トロッカーの抜去を説明するための断面図である。 第2実施形態のトロッカーの断面図である。 第3実施形態のトロッカーの斜視図である。 第3実施形態のトロッカーの断面図である。 深さ変更部材及び案内部の正面図である。 案内部の斜視図である。 深さ変更部材がスライドした状態の第3実施形態のトロッカーの断面図である。 変形例の第1固定部の拡大図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
図1〜図3において概説すると、第1実施形態のトロッカー10(医療器具導入具)は、ベレス針11(管体)と、ベレス針11を体壁へ取り付けるとともに所定の状態で保持するための第1固定部12及び第2固定部13と、第1固定部12を操作するための手元拡縮操作部14と、を有する。
ベレス針11は、中空形状を有する針体110と、針体110内に配置された内管111と、内管111を軸方向に付勢し内管111の端部を針体110の先端から突出させるバネ112(弾性体)と、を有する。また、ベレス針11は、スリットを備える基端開口部に配置された弁体113と、針体110の外表面に突設されたストッパ116と、を有する。
第1固定部12は、ベレス針11に沿って進退自在に設けられたスライド部120と、スライド部120に一端が固定されるとともに他端がベレス針11に固定された複数のワイヤ121と、を有する。
スライド部120は、ベレス針11に進退自在に嵌合する環状の部材である。複数のワイヤ121は、ベレス針11の周方向に互いに離隔して並び、スライド部120がベレス針11に沿って進退動することによって、拡張・収縮する。ワイヤ121は、好ましくは、例えば、Ti−Ni系合金、Ti−Ni−Fe系合金、Cu−Zn系合金、Cu−Zn−Al系合金、Cu−Al−Ni系合金、Cu−Au−Zn系合金、Cu−Sn系合金、Ni−Al系合金、Ag−Cd系合金、Au−Cd系合金、In−Ti系合金、In−Cd系合金等の弾性を有する材料によって形成される。
第2固定部13は、ベレス針11に沿って進退自在に取り付けられたボールジョイント130(管体取付部)と、ボールジョイント130を回動自在に支持するボールジョイント支持部131(支持部)と、ボールジョイント130の進退動及び回動を停止させるベルト132(停止部)と、を有する。
第2固定部13は、ストッパ116よりもベレス針11の先端側に配置される。ストッパ116は、第1固定部12から離隔した第2固定部13が、更に第1固定部12から離隔するように移動するのを阻止する。
図4に示すように、ボールジョイント130は、径方向に貫通する貫通孔137を有し、貫通孔137でベレス針11と進退可能に嵌合する。ボールジョイント130は、貫通孔137のまわりの一部が途切れたC字状の断面を有する。ボールジョイント130は、例えばエラストマーによって形成され、弾性を有する。
ボールジョイント支持部131は、拡張した第1固定部12と対向するように設けられた略切頭円錐状の内面135を有する(図2、図3参照)。また、ボールジョイント支持部131は、拡張した第1固定部12と対向するようにボールジョイント130の球面状の外面の一部を露出させている。この第1固定部12と対向するように露出したボールジョイント130の露出部134とボールジョイント支持部131の内面135とは、相対的に近接する拡張した第1固定部12が収まる凹形状の収容部136を形成する。露出部134は、内面135の開口部分より引っ込んでいる(L1>0)。また、内面135の開口部分の径は、拡張した第1固定部12の径より大きい(L2>0)。
ボールジョイント支持部131は、ベレス針11まわりの一部が途切れたC字状の断面を有し(図1参照)、そして、図5〜図7に示すように、その途切れた隙間150を横切るように、ベルト132がボールジョイント支持部131の外周に配置されている。
ベルト132は、長手方向に所定の間隔で離隔した複数の孔138と、孔138同士を連通させるスリット139と、を有する。ホールジョイント支持部131は、ベルト132の孔138から突出するように付勢されたボタン133を有しており、ボタン133が押されることによってベルト132は締めたり弛めたりすることが可能となる。
具体的には、図5及び図7に示すようなボタン133が押されていない状態では、ボタン133はスリット139を通過できず、孔138がボタン133に引っ掛かるため、ベルト132はボタン133によって係止される。一方、図6に示すようなボタン133が押された状態では、ボタン133がスリット139を通過できるため、ベルト132を締めたり弛めたりすることが可能となる。
図5に示すような、ベルト132が弛められた状態では、隙間150が広がってボールジョイント支持部131からボールジョイント130への押圧が弱まり、その結果、ボールジョイント支持部131とボールジョイント130との間の摩擦抵抗、及びボールジョイント130とベレス針11との間の摩擦抵抗が減少するため、ボールジョイント130は、回動してベレス針11の向きを変えられ、また、ベレス針11に沿って進退動し第1固定部12に対して近接離間できる。
一方、図7に示すようなベルト132が締められた状態では、隙間150が狭まってボールジョイント支持部131からボールジョイント130への押圧が強まり、その結果、ボールジョイント支持部131とボールジョイント130との間の摩擦抵抗、及びボールジョイント130とベレス針11との間の摩擦抵抗が増大するため、ボールジョイント130の回動及び進退動が停止される。
手元拡縮操作部14(図1〜図3参照)は、スライド部120からベレス針11の基端側へ延び押引操作によってスライド部120を進退動させる延長部140と、ベレス針11の基端側へ引かれた延長部140をベレス針11に係止するための係止部141と、を有する。
延長部140は、棒状の部材であり、スライド部120から第2固定部13を通過してベレス針11の基端側まで延びる。延長部140がベレス針11の基端側から先端側へ押されると、これに連動してスライド部120がベレス針11の先端側に移動するため、ワイヤ121がベレス針11に沿った状態となり第1固定部12が収縮する。
一方、延長部140がベレス針11の先端側から基端側へ引かれると、これに連動してスライド部120がベレス針11の基端側に移動するため、ワイヤ121がベレス針11のまわりに膨らんだ状態となり第1固定部12は拡張する。
係止部141は、ベレス針11に沿って進退自在に設けられ且つベレス針11の基端部に突設された凸部114(図2、図3参照)に係合する係合部142と、係合部142と凸部114との係合を解除する係合解除部143と、を有する。
図8に示すように、係合部142は、ベレス針11に嵌合する環状の部材であり、凸部114が嵌る凹部144を内周部に有する。係合部142は、ベレス針11の基端側へ移動しつつ凸部114の近傍に突設されたツメ115を押圧して引っ込ませることによって、ツメ115と連動させて凸部114も引っ込ませる。
係合部142がツメ115を通過すると、凸部114が引っ込んだ状態から元に戻り凹部144に係合する。凹部144及び凸部114が係合することによって、係止部141はベレス針11に固定される。このとき、延長部140はベレス針11の基端側に引かれた状態であるため、第1固定部12は拡張状態で維持される。つまり、係止部141及び凸部114は、第1固定部12を拡張状態で維持する拡張維持部を構成する。
係合部142と凸部114との係合は、係合解除部143が凸部114に向かって押し込まれることによって解除される。係合解除部143が押し込まれると、係合解除部143が凸部114を凹部144から押し出すため、係合部142と凸部114との係合が解除される。また、押し出された凸部114に連動してツメ115が引っ込むため、係止部141はベレス針11先端側へ移動できる。
次に、体壁へのトロッカー10の固定方法について述べる。
概説すると、トロッカー10の固定方法は、第1固定部12を収縮させた状態でベレス針11を体壁に穿刺する穿刺工程と、第1固定部12を体腔内で拡張する拡張工程と、拡張した第1固定部12を体壁内側に引き付ける第1固定部引付工程と、ベレス針11を所定の方向に向ける向き決定工程と、第2固定部13を体壁外側に押し当て第1固定部12とともに体壁を挟む第2固定部押当工程と、ベレス針11、第1固定部12、及び第2固定部13を動かないように固定する固定工程と、を有する。
図9に示すように、穿刺工程では、術者が、第1固定部12を収縮させた状態でベレス針11を体壁Wに穿刺して貫通させる。内管111は体壁Wに当ると針体110内に引っ込み、そして針体110が体壁Wを穿刺する。針体110が体壁Wを貫通し体腔内に入ると、体壁Wからの抵抗がなくなるため、内管111が針体110の先端から飛び出す。
図10に示すように、穿刺工程後、拡張工程では、術者が、手元拡縮操作部14を引いて第1固定部12を拡張させる。また、術者は、手元拡縮操作部14の係止部141を凸部114に係合させて第1固定部12を拡張状態で維持する。
図11に示すように、拡張工程後、第1固定部引付工程では、術者が、トロッカー10全体を手元側に引いて拡張した第1固定部12を体壁Wの内側に引き付ける。術者は、第1固定部12が体壁Wの内側から体壁Wを押して隆起させる程度に十分に第1固定部12を引き付ける。
図12に示すように、第1固定部引付工程後、向き決定工程では、術者が、ベレス針11を通じて小型のカメラCAを挿入し、そして体腔内の状態を視認しつつ、ベレス針11を例えば目的とする患部の方向に向ける。このとき、ベルト132は弛められており、ボールジョイント130が自由に回動するため、術者は、ベレス針11の基端部を把持してベレス針11を所望の方向に向けることができる。
図13に示すように、向き決定工程後、第2固定部押当工程では、術者が、決定したベレス針11の向きが変わらないようにベレス針11を手で保持した状態で、第2固定部13をベレス針11の先端側へスライドさせて体壁Wに押し当てる。第1固定部12からの押圧によって隆起した体壁Wは収容部136に収まるため、変形した体壁Wに第2固定部13が押し付けられても傾かず、その結果、決定したベレス針11の向きが変わり難い。また、第2固定部13が体壁Wに押し付けられたとき、ワイヤ121が、収容部136の形状に合うように変形しつつ体壁Wを内側から押圧するため、第1固定部12及び第2固定部13は体壁Wを確実に挟むことができる。
第2固定部押当工程後、固定工程では、術者はベルト132を締め、ボールジョイント130とベレス針11との進退動、及びボールジョイント130の回動を停止させ、ベレス針11、第1固定部12、及び第2固定部13が動かないように固定する。固定工程でトロッカー10が体壁Wへ固定されたら、術者は、体腔内に連通しているベレス針11を通じ、例えばカメラ、鉗子、ブラシ、穿刺針等の医療器具を用いて診断又は治療等の処置を行う。
処置が済んだ後、図14に示すように、術者は、係合解除部143を押して凸部114及びツメ115を引っ込ませ、そのまま係止部141をベレス針11の先端側へスライドさせて第1固定部12を収縮させる。そして、術者は、ベレス針11を引き、トロッカー10を体壁Wから取り外す。
本実施形態の作用効果を述べる。
本実施形態のトロッカー10によれば、第1固定部12及び第2固定部13が、体腔内に医療器具を導入するためのベレス針11を体壁に取り付ける機能に加え、ベレス針11、ひいてはベレス針11に挿入される医療器具を所定の向きで保持する機能も果たすため、医療器具を保持するためのアーム等の補助具が別途必要ない。また、第1固定部12が収容部136に収まるようにして第2固定部13とともに体壁を挟み込むため、ベレス針11の向きによって挟み込むときの体壁の変形状態が異なっても、第1固定部12及び第2固定部13がベレス針11の向きの変化を抑えつつ体壁を挟んでベレス針11を所定の向きで固定する。従って、本発明のトロッカー10は、膣内等の狭い場所でも医療器具を所定の状態で保持できる。
また、第2固定部13が摺動して第1固定部12と共に体壁を挟み込むため、体壁の厚さに関わらず、確実な固定が可能である。
また、トロッカー10は、ボールジョイント130及びボールジョイント支持部131によってベレス針11を所望の方向に向けることができる。また、ベルト132がボールジョイント130の動きを止めることによってベレス針11を固定するため、ベレス針11、ひいてはベレス針11に挿入される医療器具の状態が変化し難い。
また、露出部134が内面135の開口部分より引っ込んでおり(L1>0)、且つ、内面135の開口部分の径が拡張した第1固定部12の径より大きい(L2>0)ため、変形した体壁が確実に収容部136に収まり易い。よって、トロッカー10は、ベレス針11の向きの変化を抑えつつベレス針11を所定の向きで確実に固定できる。
また、ストッパ116によって、第1固定部12から離隔するように移動する第2固定部13はベレス針11の端部に達する前に止まるため、第2固定部13及びベレス針11が互いに外れ難い。
また、第1固定部12が収縮可能であるため、ベレス針11が体壁を貫通する場合又は体壁から抜去される場合に、体壁に形成されたベレス針11が通る孔が広がり難く、よって患者への負担が小さい。
また、係止部141及び凸部114が互いに係合して第1固定部12を拡張状態で維持することによって、第1固定部12から体壁への押圧が維持されるため、第1固定部12及び第2固定部13による体壁の挟み込みが緩み難い。
また、トロッカー10は手元拡縮操作部14を有し、例えば膣内等の狭い場所から広い場所へ引き出された手元拡縮操作部14の操作によって第1固定部12が拡張・収縮するため、狭い場所での操作によって第1固定部12を拡張・収縮させる場合に比べ手技が容易である。
また、ベレス針11が体壁を貫通して体腔内に入ったとき、体壁からの抵抗がなくなって先端が鈍な内管111が針体110の先端から飛び出すため、針体110の先端が体腔内の臓器に接触し難く、その結果、臓器の損傷が防止される。
また、第1固定部12がワイヤ121を有し収容部136の形状に合わせて変形するため、第2固定部13とともに体壁を確実に挟持できる。
<第2実施形態>
図15において概説すると、第2実施形態のトロッカー20は、ボールジョイント130の進退動及び回動を停止させるための停止部として、第1実施形態のベルト132の代わりに手元停止操作部230を有する点で、第1実施形態と異なる。他の点については、第2実施形態は第1実施形態と略同様であるため、重複する説明を省略する。
手元停止操作部230は、ボールジョイント130に接してボールジョイント130の進退動及び回動を停止させる接触部231と、接触部231から延び接触部231を動作させる引き出し部232と、を有する。接触部231は楔形状を有する。引き出し部232は、接触部231からベレス針11の基端側に延びる棒状の部材である。
引き出し部232が押し下げられると、接触部231からボールジョイント130への押圧が強まり、その結果、接触部231とボールジョイント130との間の摩擦抵抗、及びベレス針11とボールジョイント130との間の摩擦抵抗が増大するため、ボールジョイント130の回動及び進退動が停止され、その結果、ベレス針11が固定される。
一方、引き出し部232が引かれると、接触部231からボールジョイント130への押圧が弱まり、その結果、接触部231とボールジョイント130との間の摩擦抵抗、及びベレス針11とボールジョイント130との間の摩擦抵抗が減少するため、ボールジョイント130は、回動してベレス針11の向きを変えられ、また、ベレス針11に沿って進退動し第1固定部12に対して近接離間できる。
以上のような構成を有する第2実施形態のトロッカー20によれば、図15に示すように、例えば膣Vから引き出された引き出し部232の操作によって、ベレス針11が所定の状態で固定される。このため、トロッカー20は、第1実施形態の効果に加え、狭い場所での操作によってベレス針11を固定する場合に比べ手技を容易にできるという効果を奏する。
<第3実施形態>
図16及び図17に示すように、第3実施形態のトロッカー30は、第1実施形態の構成に加え、収容部136の深さ方向に進退動する深さ変更部材31と、深さ変更部材31を案内する案内部32と、深さ変更部材31に配置され深さ変更部材31を固定する深さ変更部材固定部33と、を有する。本実施形態のトロッカー30は、2つの深さ変更部材31を有するが、これに限定されず、3つ以上であってもよいし、例えば、ボールジョイント支持部131の全周に沿うような形状を有する深さ変更部材を1つ有してもよい。第3実施形態は、収容部136の深さが変更可能である点で第1実施形態と異なるが、他の点については第1実施形態と略同様であるため、重複する説明を省略する。
図18に示すように、深さ変更部材31は、案内部32に沿って収容部136の深さ方向に進退動する。図18及び図19に示すように、案内部32は、深さ変更部材31の進退方向のうち収容部136の深さが増大する方向の端部に、深さ変更部材31に係止してこの抜けを防止する抜け防止部36を有する。
図20に示すように、収容部136の深さ方向に並んだ複数の段35がボールジョイント支持部131に設けられており、深さ変更部材固定部33は、段35と係合することによって深さ変更部材31を任意の位置で固定する。深さ変更部材固定部33は、段35と係合するように弾性体としてのバネ34によって付勢されているため、深さ変更部材固定部33と段35との係合を解除することによって、深さ変更部材31は進退動可能となる。
トロッカー30が取り付けられる膣壁及び腹壁等の体壁は、それぞれ異なる柔らかさや厚さを有し、例えば、膣壁は腹壁に比べ軟らかい。また、同じ膣壁又は腹壁であってもその柔らかさや厚さに個人差がある。そのため、術者が第1固定部12を拡張状態で体壁内側へ引き付けたとき、内側から外側へ隆起する体壁の変形状態は体壁によって異なる。例えば体壁が柔らかければ体壁は大きく隆起し、体壁が硬ければ体壁の隆起が小さい。そこで、術者は、第2固定部13を体壁へ押し当てるのに際し、深さ変更部材31の位置を調整することによって、体壁の変形状態に対応させて収容部136の深さを変える。または、術者は、第2固定部13を体壁に押し当てた後、深さ変更部材31の位置を調整し体壁の変形状態に対応させて収容部136の深さを変える。
以上のように、トロッカー30の収容部136の深さは変更可能であるため、第1固定部12及び第2固定部13によって挟まれるときの変形状態が体壁によって異なっても、収容部136の深さを調整することによって変形した体壁が収容部136に収まり易い。従って、トロッカー30は、第1実施形態の効果に加え、第1固定部12及び第2固定部13がより確実にベレス針11の向きの変化を抑えつつベレス針11を所定の向きで固定できるという効果を奏する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。
例えば、管体は、ベレス針11に限定されず、内管を備えない中空形状の針であってもよく、また、針先のような鋭利な先端を有さず先端が鈍な筒状の部材であってもよい。
また、第1固定部は、拡張状態で設けられ且つ収縮しないものであってもよい。また、第2固定部は、上記実施形態のようにボールジョイント130によって管体の向きを変更するものに限定されず、管体の向きを変更できる他の構成を有してもよい。例えば、第2固定部は、管体の軸方向と交差するように設けられた回転軸によって管体の向きを変更するものであってもよい。
また、本発明は、上記実施形態のように第1固定部が管体に対して位置を変えず、第2固定部が管体に対して移動するものに限定されず、第2固定部が位置を変えず第1固定部が移動してこれらが互いに近接離間するものであってもよいし、又は、第1固定部及び第2固定部の両者が管体に沿って移動し互いに近接離間するものであってもよい。
また、第1固定部は、上記実施形態のワイヤに代え、例えば図21に示すような弾性を有する平板121Aを含んでもよい。平板121Aは、例えば、上記ワイヤ121と同様、一端でベレス針11に固定され、他端でスライド部120に固定され、そして、スライド部120の進退動によって拡張・収縮する。また、第1固定部は、例えば空気等の作動流体の流入・流出によって管体まわりに拡張・収縮するバルーンであってもよい。
10、20、30 トロッカー(医療器具導入具)、
11 ベレス針(管体)、
12 第1固定部、
13、23 第2固定部、
14 手元拡縮操作部、
31 深さ変更部材、
110 針体、
111 内管、
112 バネ(弾性体)、
114 凸部(拡張維持部)
116 ストッパ、
121 ワイヤ、
121A 平板、
130 ボールジョイント(管体取付部)、
131 ボールジョイント支持部(支持部)、
132 ベルト(停止部)、
134 ボールジョイントの露出部、
135 ボールジョイント支持部の内面、
136 収容部、
141 係止部(拡張維持部)、
230 手元停止操作部(停止部)、
231 接触部、
232 引き出し部、
W 体壁、
CA カメラ、
V 膣。

Claims (11)

  1. 管体と、
    前記管体まわりに拡張する第1固定部と、
    前記第1固定部に対し相対的に近接し且つ近接状態を維持し得る前記管体に配置された第2固定部と、を有し、
    前記第2固定部は、当該第2固定部に対する前記管体の向きを変更・維持し得るとともに、相対的に近接する前記第1固定部が収まる収容部を有する、医療器具導入具。
  2. 前記第2固定部は、
    前記管体に沿って移動自在に取り付けられた管体取付部と、
    前記管体の向きが変わるように前記管体取付部を回動自在に支持する支持部と、
    前記管体取付部の移動及び回動を停止させる停止部と、を有する、請求項1に記載の医療器具導入具。
  3. 前記管体取付部は球形状を有するボールジョイントであり、前記支持部は、前記ボールジョイントの球面状の外面の一部を露出させつつ前記ボールジョイントを支持するとともに、露出した前記ボールジョイントの露出部とともに前記収容部を形成する内面を備え、前記ボールジョイントは前記内面の開口部より引っ込み、且つ前記開口部の径は、拡張した前記第1固定部の径より大きい、請求項2に記載の医療器具導入具。
  4. 前記停止部は、
    前記管体取付部に接して前記管体取付部の移動及び回動を停止させる接触部と、
    前記接触部から延び前記接触部を動作させる引き出し部と、を有する、請求項2又は請求項3に記載の医療器具導入具。
  5. 前記第1固定部から離隔した前記第2固定部が更に前記第1固定部から離隔するように前記管体に対して相対移動するのを阻止するストッパを有する、請求項2〜請求項4のうちのいずれか1つに記載の医療器具導入具。
  6. 前記第1固定部は収縮可能である、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1つに記載の医療器具導入具。
  7. 前記第1固定部を拡張状態で維持し得る拡張維持部を有する、請求項6に記載の医療器具導入具。
  8. 前記第1固定部から延び前記第1固定部を拡張・収縮させる手元拡縮操作部を有する、請求項6又は請求項7に記載の医療器具導入具。
  9. 前記収容部の深さが変更可能である、請求項1〜請求項8のうちのいずれか1つに記載の医療器具導入具。
  10. 前記管体は、中空形状を有する針体と、前記針体内に配置された内管と、前記内管を軸方向に付勢し前記内管の端部を前記針体の先端から突出させる弾性体と、を有する、請求項1〜請求項9のうちのいずれか1つに記載の医療器具導入具。
  11. 前記第1固定部は、バルーン、ワイヤ、又は平板を含む、請求項1〜請求項10のうちのいずれか1つに記載の医療器具導入具。
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