JP2012202672A - 膨張弁制御装置、熱源機、及び膨張弁制御方法 - Google Patents

膨張弁制御装置、熱源機、及び膨張弁制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱源機に対する負荷や外的条件にかかわらず、膨張弁の開度を適正な開度とすることを目的とする。
【解決手段】膨張弁制御装置40は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を冷却水によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と冷水とを熱交換する蒸発器と、凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えたターボ冷凍機の膨張弁18の開度を制御するものである。そして、膨張弁制御装置40は、ターボ圧縮機が吸入する冷媒の目標過熱度と測定過熱度との差に基づいて、膨張弁18の開度を算出し、膨張弁18を通過させる冷媒流量の推定値である計画CV値に基づいて、膨張弁18の開度を算出し、算出した上記2つの膨張弁18の開度から、膨張弁開度指令値を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、膨張弁制御装置、熱源機、及び膨張弁制御方法に関するものである。
熱源機、例えば冷凍機には、圧縮機によって圧縮された後に凝縮器において凝縮された高温高圧の冷媒を膨張させ、低温低圧とするための膨張弁が設けられている。冷凍機が高効率かつ安定に運用されるためには、負荷や外的条件に応じて膨張弁は、適正な開度に保持される必要がある。
膨張弁の適正な開度からのずれは、次のような不具合を生じさせる。
膨張弁の開度が過大である場合は、冷媒流量が過大となり、冷凍機の動力が過大となる結果、成績係数(COP(Coefficient Of Performance))が低下したり、圧縮機が液相の冷媒を巻き込む、所謂、液バックが生じたり、凝縮機での過冷却が不十分なため凝縮機において冷媒の一部が液相にならずに、気相のままで蒸発器へ流れるガスバイパスが生じる可能性がある。
一方、膨張弁の開度が過少である場合は、凝縮器と蒸発器との圧力差が過大となり、冷凍機の動力が過大となる結果、COPが低下する可能性がある。
そこで、ターボ冷凍機の冷凍効率を改善することを目的として、特許文献1には、吸入過熱度が所定の目標過熱度となるように膨張弁の開度を制御する制御装置をターボ冷凍機が備え、制御装置は、ターボ圧縮機の冷媒蒸気吸入流量を増側に変更した場合は目標過熱度を減側に、冷媒蒸気吸入流量を減側に変更した場合は目標過熱度を増側に変更する技術が記載されている。
また、特許文献2には、空気調和装置において、制御部は、凝縮器に接続された負荷に応じて設定された設定条件から算出される予測開度と、現在の条件から算出される現在開度と、予測開度及び現在開度に基づいて算出され、膨張弁に与えられる指示開度とを各時刻において有し、ヒートポンプ運転時に、予測開度が急激に又はステップ的に変化した場合、予測開度よりも小さい開度を指示開度として膨張弁に与える技術が記載されている。
特開2010−8013号公報 特開2006−284034号公報
特許文献1に記載の技術は、圧縮機が吸入する冷媒の温度及び圧力から圧縮機が吸入する冷媒の過熱度を算出し、冷水の出口温度を制御するベーンの開度設定値から目標過熱度を算出し、過熱度が目標過熱度となるように膨張弁をフィードバック制御している。このため、特許文献1に記載の技術は、冷水の出口温度、冷媒の温度及び圧力等の冷凍機の出力情報のみを用いたフィードバック制御のみで膨張弁を制御しているので、冷水の入口温度や冷水の流量等の冷凍機の負荷や冷却水の入口温度や冷却水の流量等の外的条件変動に対する追従性が不十分であった。
また、特許文献2に記載の技術は、実機の諸元と事前に設定された開度を算出するための算出式や設定条件等のパラメータとの間にズレがある場合、膨張弁を適正開度に保持できず、COPの低下を抑制できない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、熱源機に対する負荷や外的条件にかかわらず、膨張弁の開度を適正な開度とできる膨張弁制御装置、熱源機、及び膨張弁制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の膨張弁制御装置、熱源機、及び膨張弁制御方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る膨張弁制御装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の前記膨張弁の開度を制御する膨張弁制御装置であって、前記圧縮機が吸入する冷媒の過熱度の目標値と該過熱度の測定値との差に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第1算出手段と、前記膨張弁を通過させる冷媒流量の推定値に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第2算出手段と、前記第1算出手段によって算出された前記膨張弁の開度と前記第2算出手段によって算出された前記膨張弁の開度とから、前記膨張弁の開度を制御するための指令値を算出する指令値算出手段と、を備える。
本発明によれば、膨張弁制御装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の膨張弁の開度を制御する。
そして、第1算出手段によって、圧縮機が吸入する冷媒の過熱度の目標値と該過熱度の測定値との差に基づいて、膨張弁の開度が算出される。また、第2算出手段によって、膨張弁を通過させる冷媒流量の推定値に基づいて、膨張弁の開度が算出される。
すなわち、本発明は、第1算出手段によって、膨張弁の開度を、熱源機に対する負荷や外的条件に応じて変化しやすい過熱度に基づいてフィードバック制御することとなり、第2算出手段によって、膨張弁の開度を、熱源機に対する負荷や外的条件に応じて変化しやすい冷媒流量の推定値に基づいてフィードフォワード制御することとなる。
さらに、指令値算出手段によって、第1算出手段で算出された膨張弁の開度と第2算出手段で算出された膨張弁の開度とから、膨張弁の開度を制御するための指令値が算出される。
このように、本発明は、フィードバック制御による安定性を維持し、かつ熱源機にとっての入力情報を用いたフィードフォワード制御を併用して膨張弁の開度を制御するので、熱源機に対する負荷や外的条件にかかわらず、膨張弁の開度を適正な開度とすることができる。
また、本発明の膨張弁制御装置は、前記過熱度の目標値を、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度に基づいて算出してもよい。
蒸発器へ流入する熱媒の温度は、熱源機に対する負荷に関連する。このため、本発明によれば、蒸発器へ流入する熱媒の温度に基づいて、過熱度の目標値が算出されるので、膨張弁の開度の制御に対して効果的なフィードバック制御ができる。
また、本発明の膨張弁制御装置は、前記過熱度の目標値を、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度が低いほど大きく算出してもよい。
過熱度が小さいと圧縮機が液相の冷媒を巻き込む可能性が高くなるが、蒸発器に流入する熱媒と冷媒との温度差が小さいと過熱度は大きくなりにくい。そこで、本発明によれば、過熱度の目標値は、蒸発器へ流入する熱媒の温度が低いほど大きく算出されるので、圧縮機の液相の冷媒の巻き込み(液バック)を防止できる。
また、本発明の膨張弁制御装置は、前記流量を、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度及び前記凝縮器へ流入する熱源媒体の温度の少なくとも一方に基づいて算出してもよい。
膨張弁を通過させる冷媒流量は、熱源機に対する負荷や外的条件、すなわち蒸発器へ流入する熱媒の温度や凝縮器へ流入する熱源媒体の温度によって変化する。このため、本発明によれば、蒸発器へ流入する熱媒の温度及び凝縮器へ流入する熱源媒体の温度の少なくとも一方に基づいて、該流量が算出されるので、膨張弁の開度の制御に対して効果的なフィードフォワード制御ができる。
また、本発明の膨張弁制御装置は、前記流量を、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度が低いほど少なく算出され、前記凝縮器へ流入する熱源媒体の温度が低いほど大きく算出してもよい。
蒸発器へ流入する熱媒の温度が低い場合は、熱源機の負荷が小さい場合であり、冷媒流量は少なくてよい。また、凝縮器へ流入する熱源媒体の温度が低い場合は、凝縮器内の圧力が低いため、膨張弁の上流側の圧力が低く、過冷却度が小さくなる(比容積が増える。)ので、膨張弁の開度を大きくして冷媒流量を大きくする必要がある。
このため、本発明によれば、膨張弁を通過させる冷媒流量を、蒸発器へ流入する熱媒の温度が低いほど少なく算出し、凝縮器へ流入する熱源媒体の温度が低いほど大きく算出するので、膨張弁の開度のフィードフォワード制御をより精度高くすることができる。
また、本発明の膨張弁制御装置は、前記熱源機が、前記圧縮機の冷媒の吸込口と前記圧縮機の冷媒の排出口との間をバイパスするバイパス管を備え、前記過熱度の測定値を、前記蒸発器から流出した熱媒の温度と前記圧縮機によって圧縮される冷媒の圧力とに基づいて算出してもよい。
本発明によれば、圧縮機の冷媒の吸込口と圧縮機の冷媒の排出口との間をバイパスするバイパス管を熱源機が備えることにより、圧縮機の出口における気相の冷媒と蒸発器の出口における気相の冷媒とが混合した冷媒が、圧縮機に吸い込まれることになる。そのため、過熱度の測定に、圧縮機によって圧縮される冷媒の温度を用いると、上記混合した冷媒の温度、すなわち冷媒の蒸発器の出口温度と異なる温度を用いることとなり、過熱度を正しく測定したことにはならない。
そこで、本発明は、冷媒の蒸発器の出口温度と蒸発器から流出した熱媒の温度とが等価であるとし、過熱度の測定値を、蒸発器から流出した熱媒の温度と圧縮機によって圧縮される冷媒の圧力とに基づいて算出するので、熱源機がバイパス管を備えていても、過熱度を精度高く測定することができる。
一方、本発明に係る熱源機は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、上記記載の膨張弁制御装置と、を備える。
さらに、本発明に係る膨張弁制御方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の前記膨張弁の開度を制御する膨張弁制御方法であって、前記圧縮機が吸入する冷媒の過熱度の目標値と該過熱度の測定値との差に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第1工程と、前記膨張弁を通過させる冷媒流量の推定値に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第2工程と、前記第1工程によって算出された前記膨張弁の開度と前記第2工程によって算出された前記膨張弁の開度とから、前記膨張弁の開度を制御するための指令値を算出する第3工程と、を含む。
本発明によれば、熱源機に対する負荷や外的条件にかかわらず、膨張弁の開度を適正な開度とできる、という優れた効果を有する。
本発明の第1実施形態に係るターボ冷凍機の構成図である。 本発明の第1実施形態に係るベーン開度制御部及び膨張弁開度制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る計画CV値と冷水入口温度及び冷却水入口温度との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係るCV値と膨張弁の開度との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るターボ冷凍機の構成図である。 本発明の第2実施形態に係るベーン開度制御部及び膨張弁開度制御部の構成を示すブロック図である。
以下に、本発明に係る膨張弁制御装置、熱源機、及び膨張弁制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る熱源機の一例であるターボ冷凍機10の構成を示す。
ターボ冷凍機10は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機12、ターボ圧縮機12によって圧縮された気相の冷媒(ガス冷媒)を熱源媒体である冷却水によって凝縮させて液相の冷媒(液冷媒)とする凝縮器14と、凝縮器14によって凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒である冷水とを熱交換する蒸発器16と、凝縮器14に貯留された液冷媒を膨張させる膨張弁18とを備える。
ターボ圧縮機12は、一例として遠心式の2段圧縮機であり、電動モータによって駆動される。ターボ圧縮機12の冷媒吸入口には、吸入する冷媒流量を制御する圧縮機入口ベーン20(IGV)が設けられており、ターボ圧縮機12の容量制御が可能となっている。また、ターボ圧縮機12の冷媒吸入口には、圧縮される冷媒の温度(以下、「圧縮機吸込温度」という。)を測定する圧縮機吸込温度測定部22及び圧縮される冷媒の圧力(以下、「圧縮機吸込圧力」という。)を測定する圧縮機吸込圧力測定部24が設けられている。
凝縮器14には、冷却水が流れる冷却伝熱管26が挿通されている。凝縮器14へ流入する冷却水の温度(以下、「冷却水入口温度」という。)は冷却水入口温度測定部28によって測定され、凝縮器14から流出する冷却水の温度(以下、「冷却水出口温度」という。)は冷却水出口温度測定部30によって測定される。なお、凝縮器14から流出した冷却水は、図示しない冷却塔において外部へと排熱された後に、再び凝縮器14へと導かれる。
蒸発器16には、外部負荷へ供給される冷水を冷媒によって冷却するための冷水伝熱管32が挿通されている。なお、蒸発器16へ流入する冷水の温度(以下、「冷水入口温度」という。)は冷水入口温度測定部34によって測定され、蒸発器16から流出する冷水の温度(以下、「冷水出口温度」という。)は冷水出口温度測定部36によって測定される。
また、ターボ圧縮機12は、ターボ圧縮機12全体の制御を司る制御装置40を備えている。制御装置40は、圧縮機入口ベーン20の開度を制御するベーン開度制御部42及び膨張弁18の開度の制御する膨張弁開度制御部44を備える。
本第1実施形態に係るベーン開度制御部42は、冷水出口温度に基づいたフィードバック制御により、圧縮機入口ベーン20の開度を制御するための指令値(以下、「ベーン開度指令値」という。)を算出する。
本第1実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、ターボ圧縮機12が吸入する冷媒の過熱度の目標値と該過熱度の測定値との差に基づいて、膨張弁18の開度を算出し、膨張弁18を通過させる冷媒流量の推定値である計画CV値に基づいて、膨張弁18の開度を算出する。そして、膨張弁開度制御部44は、算出した上記2つの膨張弁18の開度から、膨張弁18の開度を制御するための指令値(以下、「膨張弁開度指令値」という。)を算出する。
すなわち、本第1実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、膨張弁18の開度を、ターボ冷凍機10に対する負荷や外的条件に応じて変化しやすい過熱度に基づいてフィードバック制御し、ターボ冷凍機10に対する負荷や外的条件に応じて変化しやすい冷媒流量の推定値である計画CV値に基づいてフィードフォワード制御することとなる。
図2は、本第1実施形態に係るベーン開度制御部42及び膨張弁開度制御部44の構成を示すブロック図である。
ベーン開度制御部42は、冷水出口温度目標値設定部50、減算部52、及びPI制御部54を備えている。
冷水出口温度目標値設定部50は、冷水出口温度の目標値の設定を行い、設定された該目標値を減算部52へ出力する。なお、冷水出口温度の目標値は、例えば、ターボ冷凍機10の操作者によって不図示の操作入力部を介して入力され、該入力された目標値が設定値とされる。
減算部52は、冷水出口温度測定部36によって測定された冷水出口温度が入力され、該冷水出口温度から冷水出口温度の目標値を減算し、減算結果をPI制御部54へ出力する。
PI制御部54は、減算部52から入力された減算結果に基づいて、ベーン開度指令値を算出し、圧縮機入口ベーン20へ出力する。圧縮機入口ベーン20は、ベーン開度指令値が入力されると、該ベーン開度指令値に応じて開度を変更する。
このように、ベーン開度制御部42は、冷水出口温度に基づいたフィードバック制御により、ベーン開度指令値を算出する。
一方、本第1実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、目標過熱度算出部60、過熱度算出部62、減算部64、PI制御部66、計画CV値算出部68、膨張弁開度算出部70、及び加算部72を備える。
目標過熱度算出部60は、冷水入口温度測定部34によって測定された冷水入口温度に基づいて過熱度の目標値(以下、「目標過熱度」という。)を算出する。
より具体的には、目標過熱度算出部60は、冷水入口温度が低いほど目標過熱度を大きく算出する。この理由を以下に説明する。
ターボ冷凍機10は、COPを最大にするためには蒸発器16出口の過熱度を0(零)とする運転を行うことが望ましい。しかしながら、過熱度を0にすると、液バックが生じる可能性が高くなり、液バックが生じるとターボ圧縮機12の動力が増加し、ターボ冷凍機10は、過負荷トリップを起こす可能性がある。
液バックを防止するためには、冷媒の飽和状態までの裕度を得るために過熱度を確保する必要があるが、蒸発器16に流入する冷水と冷媒の温度差が小さいと過熱度は大きくなりにくい。そこで、目標過熱度算出部60は、目標過熱度を、蒸発器16へ流入する冷水の温度が低いほど大きく算出する。
なお、目標過熱度算出部60は、ターボ冷凍機10の特性に応じた、目標過熱度と冷水入口温度との関係を示すテーブル情報又は関数情報を予め記憶しており、該テーブル情報又は関数情報に基づいて目標過熱度を算出する。
過熱度算出部62は、圧縮機吸込温度測定部22で測定した圧縮機吸込温度(冷媒の蒸発器16の出口温度)及び圧縮機吸込圧力測定部24で測定した圧縮機吸込圧力に基づいて、過熱度の測定値(以下、「測定過熱度」という。)を算出する。
なお、過熱度算出部62は、例えばp−h線図(モリエル線図)等の物性情報を予め記憶しており、圧縮機吸込温度、圧縮機吸込圧力該情報、及び記憶している物性情報から測定過熱度を算出する。
減算部64は、目標過熱度算出部60によって算出された目標過熱度と過熱度算出部62によって算出された測定過熱度とが入力され、測定過熱度から目標過熱度を減算し、減算結果をPI制御部66へ出力する。
PI制御部66は、減算部64から入力された減算結果に基づいて、膨張弁18の開度を算出し、加算部72へ出力する。
このように、本第1実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、目標過熱度算出部60、過熱度算出部62、減算部64、及びPI制御部66によって、膨張弁18の開度を過熱度に基づいてフィードバック制御することとなる。
一方、計画CV値算出部68は、冷水入口温度測定部34によって測定された冷水入口温度及び冷却水入口温度測定部28によって測定された冷却水入口温度に基づいて、計画CV値を算出する。
図3は、本第1実施形態に係る計画CV値と冷水入口温度及び冷却水入口温度との関係を示すグラフである。
なお、図3に示すように、本第1実施形態に係る計画CV値算出部68は、計画CV値を、冷水入口温度が低いほど少なく算出し、冷却水入口温度が低いほど大きく算出する。
冷水入口温度が低いほど計画CV値を少なくする理由は、冷水入口温度が低い場合とは、ターボ冷凍機10の負荷が小さい場合であり、冷水の流量は少なくてよいためである。一方、冷却水入口温度が低いほど計画CV値を大きくする理由は、冷却水入口温度が低い場合、凝縮器14内の圧力が低いため、膨張弁18の上流側の圧力が低く、過冷却度が小さくなる(比容積が増える。)ので、膨張弁18の開度を大きくして冷媒流量を大きくするためである。
なお、計画CV値算出部68は、図3に示すような計画CV値と冷水入口温度及び冷却水入口温度との関係を示す情報を予め記憶しており、該情報に基づいて計画CV値を算出する。
膨張弁開度算出部70は、計画CV値算出部68によって算出された計画CV値に基づいて、膨張弁18の開度を算出する。図4は、本第1実施形態に係るCV値と膨張弁18の開度との関係を示すグラフであり、CV値が大きいほど膨張弁18の開度が大きくなることを示している。
なお、膨張弁開度算出部70は、図4に示すようなCV値と膨張弁18の開度を示す情報を予め記憶しており、該情報に基づいて膨張弁18の開度を算出する。
このように、本第1実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、計画CV値算出部68及び膨張弁開度算出部70によって、膨張弁18の開度を冷媒流量の推定値に基づいてフィードフォワード制御することとなる。
そして、加算部72は、PI制御部66から入力された膨張弁18の開度と膨張弁開度算出部70から入力された膨張弁18の開度との和を、膨張弁開度指令値として算出し、膨張弁18へ出力する。膨張弁18は、膨張弁開度指令値が入力されると、該膨張弁開度指令値に応じて開度を変更する。
以上説明したように、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、目標過熱度と測定過熱度との差に基づいて膨張弁18の開度を算出し、計画CV値に基づいて膨張弁18の開度を算出し、算出した上記2つの膨張弁18の開度から、膨張弁開度指令値を算出する。
このように、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、フィードバック制御による安定性を維持し、かつターボ冷凍機10にとっての入力情報を用いたフィードフォワード制御を併用して膨張弁18の開度を制御するので、ターボ冷凍機10に対する負荷や外的条件にかかわらず、膨張弁18の開度を適正な開度とすることができる。
また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、ターボ冷凍機10に対する負荷に関連する冷水入口温度に基づいて、目標過熱度を算出するので、膨張弁18の開度の制御に対して効果的なフィードバック制御ができる。
また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、目標過熱度を、冷水入口温度が低いほど大きく算出するので、ターボ圧縮機12の液相の冷媒の巻き込み(液バック)を防止できる。
また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷水入口温度及び冷却水入口温度に基づいて、計画CV値を算出するので、負荷や外的条件に応じた、膨張弁18の開度の制御に対して効果的なフィードフォワード制御ができる。
また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、計画CV値を、冷水入口温度が低いほど少なく算出し、冷却水入口温度が低いほど大きく算出するので、膨張弁18の開度のフィードフォワード制御をより精度高くすることができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
図5は、本第2実施形態に係るターボ冷凍機10の構成を示す。なお、図5における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第2実施形態に係るターボ冷凍機10は、ターボ圧縮機12の冷媒の吸込口とターボ圧縮機12の冷媒の排出口との間(凝縮器14の気相部と蒸発器16の気相部との間)をバイパスするホットガスバイパス管80を備えている。そして、ホットガスバイパス管80は、ホットガスバイパス管80内を流れる冷媒流量を制御するためのホットガスバイパス弁82が設けられている。
本第2実施形態に係るターボ冷凍機10は、ホットガスバイパス弁82によってホットガスバイパス流量が調整されることにより、圧縮機入口ベーン20では制御が十分でない非常に小さな領域の容量制御が可能となっている。
ホットガスバイパス管80をターボ冷凍機10が備えることにより、ターボ圧縮機12の出口における気相の冷媒と蒸発器16の出口における気相の冷媒とが混合した冷媒が、ターボ圧縮機12に吸い込まれることになる。そのため、過熱度の測定に、ターボ圧縮機12によって圧縮される冷媒の温度を用いると、上記混合した冷媒の温度、すなわち冷媒の蒸発器16の出口温度と異なる温度を用いることとなり、過熱度を正しく測定したことにはならない。
そこで、本第2実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷媒の蒸発器16の出口温度と冷水出口温度とが等価であるとし、測定過熱度を、冷水出口温度と圧縮機吸込圧力とに基づいて算出する。
図6は、本第2実施形態に係るベーン開度制御部42及び膨張弁開度制御部44の構成を示す。なお、図6における図2と同一の構成部分については図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第2実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、第1実施形態に係る膨張弁開度制御部44が備えている過熱度算出部62の替わりに圧縮機吸込飽和温度算出部84を備える。
圧縮機吸込飽和温度算出部84は、圧縮機吸込み圧力測定部30によって測定された圧縮機吸込圧力に基づいて、圧縮機に吸い込まれる冷媒の飽和温度(以下、「圧縮機吸込飽和温度」という。)を算出する。
圧縮機吸込飽和温度算出部84は、冷媒の圧力と飽和温度との関係を示した物性情報を予め記憶しており、圧縮機吸込圧力と該物性情報とに基づいて圧縮機吸込飽和温度を算出する。
さらに、本第2実施形態に係る膨張弁開度制御部44は、減算部86を備える。
減算部86は、圧縮機吸込飽和温度算出部84によって算出された圧縮機吸込飽和温度と冷水出口温度測定部36によって測定された冷水出口温度とが入力され、冷水出口温度から圧縮機吸込飽和温度を減算することによって測定過熱度を算出する。
減算部64は、目標過熱度算出部60によって算出された目標過熱度と減算部86によって算出された測定過熱度とが入力され、測定過熱度から目標過熱度を減算し、減算結果をPI制御部66へ出力する。
以上説明したように、本第2実施形態に係るターボ冷凍機10は、測定過熱度を、冷水出口温度と圧縮機吸込圧力とに基づいて算出するので、ホットガスバイパス管80を備えていても、過熱度を精度高く測定することができる。
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記各実施形態では、冷水入口温度及び冷却水入口温度を用いて計画CV値を算出する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、冷水入口温度及び冷却水入口温度の何れか一方のみを用いて計画CV値を算出する形態としてもよい。
また、上記各実施形態では、凝縮器14に挿通される冷却伝熱管26内を流れる熱源媒体を冷却水とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、熱源媒体を気体(外気)とし、凝縮器を空気熱交換器とする形態としてもよい。この形態の場合、冷却水入口温度測定部28の替わりに、熱源媒体である気体(外気)を測定する測定手段を備え、上記各実施形態で用いた冷却水入口温度の替わりに該測定した気体の温度を用いる。
また、上記各実施形態では、冷凍運転を行うターボ冷凍機10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明をヒートポンプ運転も可能なヒートポンプ式ターボ冷凍機に適用してもよい。
また、上記各実施形態では、ターボ冷凍機10を、遠心圧縮機を用いた形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の圧縮形式であっても適用することができ、例えばスクリュー圧縮機を用いたスクリューヒートポンプであってもよい。
10 ターボ冷凍機
12 ターボ圧縮機
14 凝縮器
16 蒸発器
18 膨張弁
28 冷却水入口温度測定部
34 冷水入口温度測定部
36 冷水出口温度測定部
40 制御装置
44 膨張弁開度制御部
80 ホットガスバイパス管

Claims (8)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の前記膨張弁の開度を制御する膨張弁制御装置であって、
    前記圧縮機が吸入する冷媒の過熱度の目標値と該過熱度の測定値との差に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第1算出手段と、
    前記膨張弁を通過させる冷媒流量の推定値に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第2算出手段と、
    前記第1算出手段によって算出された前記膨張弁の開度と前記第2算出手段によって算出された前記膨張弁の開度とから、前記膨張弁の開度を制御するための指令値を算出する指令値算出手段と、
    を備えた膨張弁制御装置。
  2. 前記過熱度の目標値は、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度に基づいて算出される請求項1記載の膨張弁制御装置。
  3. 前記過熱度の目標値は、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度が低いほど大きく算出される請求項2記載の膨張弁制御装置。
  4. 前記流量は、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度及び前記凝縮器へ流入する熱源媒体の温度の少なくとも一方に基づいて算出される請求項1から請求項3の何れか1項記載の膨張弁制御装置。
  5. 前記流量は、前記蒸発器へ流入する熱媒の温度が低いほど少なく算出され、前記凝縮器へ流入する熱源媒体の温度が低いほど大きく算出される請求項4記載の膨張弁制御装置。
  6. 前記熱源機は、前記圧縮機の冷媒の吸込口と前記圧縮機の冷媒の排出口との間をバイパスするバイパス管を備え、
    前記過熱度の測定値は、前記蒸発器から流出した熱媒の温度と前記圧縮機によって圧縮される冷媒の圧力とに基づいて算出される請求項1から請求項5の何れか1項記載の膨張弁制御装置。
  7. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、
    凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、
    前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、
    請求項1から請求項6の何れか1項記載の膨張弁制御装置と、
    を備えた熱源機。
  8. 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の前記膨張弁の開度を制御する膨張弁制御方法であって、
    前記圧縮機が吸入する冷媒の過熱度の目標値と該過熱度の測定値との差に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第1工程と、
    前記膨張弁を通過させる冷媒流量の推定値に基づいて、前記膨張弁の開度を算出する第2工程と、
    前記第1工程によって算出された前記膨張弁の開度と前記第2工程によって算出された前記膨張弁の開度とから、前記膨張弁の開度を制御するための指令値を算出する第3工程と、
    を含む膨張弁制御方法。
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