JP2012196841A - 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置。 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及び画像形成装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】吸引回復による無駄な液体消費なく余分な気泡をインクカートリッジから除去でき、安定したダンパ機能を有する液滴吐出ヘッド及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】共通液室102に液体を供給する経路、または、共通液室に、液体に混入している異物を捕捉するフィルタが高低差を有するように設けられており、フィルタは、第1濾過領域201から第3濾過領域203の3つの領域から構成され、第1濾過領域は、高さ方向でみて、第2濾過領域202よりも高い領域であり、第2濾過領域は、高さ方向でみて、フィルタの最上部、最下部を除いたいずれかの部分に設けられた領域であり、第3濾過領域は、高さ方向でみて、第2濾過領域と同じか、それよりも低い領域であり、第2濾過領域は、第1濾過領域、第3濾過領域よりも液体に対する濡れ性が低くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、及びこれらの複合機等の画像形成装置として、液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。これは、液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用い、被記録媒体に対してインク等を吐出して、画像形成を行なうもので、具体的にはインクジェット記録装置等が例示できる。
ところで、液体吐出ヘッドにおいて、液体が吐出されるノズルは数10μm以下の小さな穴である。そのため吐出のために供給される液体の中にノズルサイズ以上の大きさをもつ異物が混入していると、異物がノズルに詰り、そのノズルから液滴を吐出することができなくなる問題が生じる。異物がノズルに詰まると、ノズル外部からノズル面を払拭するワイピングやノズル外部からの吸引といった、通常の画像形成装置に搭載されているメンテナンス機構ではノズル内部に引っかかった異物を除去できず、再び正常な吐出状態に戻すことができない。
また、ノズル径よりも若干小さな異物であってもその形状が長細い形状や角がある形状の場合に、ノズルに引っ掛かり付着することがある。このような場合、不吐出とはならないが、液滴吐出方向の曲がりが発生し、正常な場合の液滴着弾位置から着弾位置のズレを生じ、画像に白スジが生じるなどの品質問題を生じさせる。
近年、液滴吐出ヘッドの高解像度化が望まれているため、これを達成するため、ノズルの高密度化がなされ、隣接ノズルがより近接し、ノズル径の小型化がすすんでいる。そのため吐出される液体からノズルサイズより大きな異物を除去することがより重要である。
具体的な方法としては、液滴吐出ヘッドへ液体を供給する経路の一部にフィルタを用いることが知られている。フィルタのメッシュサイズをノズルサイズ以下とすることにより、液体吐出ヘッドに供給される液体の中からノズル径よりも大きな異物をフィルタのメッシュが確実に濾過し、ノズルに異物が詰まることを防止することができる。
しかしながら、液体充填時に気泡が残ることなく液体を充填するために、一般にフィルタは液体に対して濡れ性の高い材料が用いられる。そのため一旦フィルタが液体で濡れると、フィルタと液体吐出部間の領域に入った気泡は、フィルタと気泡の表面張力に阻害されるため、フィルタを通過してフィルタと液体吐出部間より外に出ることができないという問題があった。
係る問題を解決する手段として、特許文献1には、フィルタの一部に撥水性又は撥油性を有する材料をコーティングすることにより、フィルタの一部に他の部分より濡れ性の高い領域を作り、気泡を透過させやすい領域を設ける方法が開示されている。
また、特許文献2には、フィルタの一部に気泡が通過しやすいように他のフィルタ部分よりフィルタ径が大きい領域を設ける方法が開示されている。
しかしながら、いずれの文献においても、気泡除去にはノズル面からの吸引や気泡排出チューブ、インク溜めへの排出を行うために本来画像形成に用いられる液体の一部を吸引で捨てる必要がある。このため、液体の消費が多くなり画像形成以外に無駄なインクを消費するという問題が残る。
また、画像形成装置に用いられる液体吐出ヘッドは様々な画像を形成するために、例えば、液滴を吐出するノズルの数を変化させたり、圧電方式の液体吐出ヘッドにおいては、圧電素子を駆動する液滴吐出波形を変化させて、吐出する液滴量を変化させている。このように液滴の吐出量が変化した場合にも目的とする吐出量となるように安定して制御を行う必要がある。しかしながら、液体のイナータンス(慣性力)によって液体吐出ヘッド内の液体は変化する前の流速で流れようとするため、共通液室は通常の圧力状態より加圧状態或いは減圧状態となる。この状態で液滴吐出を行うと、共通液室の圧力変化によって吐出される液滴量が変化する問題が生じたり、液滴が吐出されない不吐出状態となる場合がある。
そこで、係る問題を解決する方法として、特許文献3に開示されているように、共通液室の一部に気泡を保持するダンパ室を形成し、エアダンパの膨張、収縮により吐出量変化による圧力変動を吸収する方法が知られている。しかしながら、引用文献1、2のように完全にフィルタから液体吐出部までの領域にある気泡を完全に除去するとインクタンク内の圧力変動の吸収を行うことができなくなるという問題も生じる。
ただし、ここで挙げた引用文献3に開示された方法は、エアダンパを機能させるためにダンパ室に常に一定量のエアーが必要であり、サブヒーターの加熱によりエアーを補ったり、ノズルからの吸引回復により余分なエアーの除去を行うこととなる。このため、吸引回復時にはエアーを除去するために本来画像形成に用いられる液体の一部を吸引で捨てる必要があり、液体の消費が多くなり画像形成以外に無駄なインクを消費してしまうことになる。
本発明は上記従来技術が有する問題に鑑み、吸引回復による無駄な液体消費なく余分な気泡をインクカートリッジから除去でき、安定したダンパ機能を有する、異物除去フィルタを備えた液滴吐出ヘッド及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は液滴を吐出する吐出手段と、前記吐出手段に液体を供給する共通液室を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
前記共通液室に液体を供給する経路、または、共通液室に、前記液体に混入している異物を捕捉するフィルタが高低差を有するように設けられており、
前記フィルタは、第1濾過領域から第3濾過領域の3つの領域から構成され、
第1濾過領域は、高さ方向でみて、第2濾過領域よりも高い領域であり、
第2濾過領域は、高さ方向でみて、フィルタの最上部、最下部を除いたいずれかの部分に設けられた領域であり、
第3濾過領域は、高さ方向でみて、第2濾過領域と同じ高さか、それよりも低い領域であり、
前記第2濾過領域は、第1濾過領域、第3濾過領域よりも前記液体に対する濡れ性が低くなっていることを特徴とする液滴吐出ヘッドを提供する。
本発明によれば、共通液室に液体を供給する経路中、または、共通液室に、液体中の異物を捕捉するフィルタが設けられているために、液体吐出ヘッドのノズルのつまりを防止することができる。そして、フィルタが所定の構成を有しているために、余分な気泡がフィルタを透過してフィルタ上方へ排出されるため、吐出手段に気泡が混入し不吐出となる危険性がない。また、装置内でインクを吸引、加圧したり、フィルタの角度を変化させる等の気泡排出動作を別途行う必要がない。さらに、フィルタより下流部の共通液室内には、一定量の気泡が保持されているため、エアダンパの機能により共通液室内の圧力変動を緩和し、急激な吐出量変化が必要な場合にも安定してインク等の液体を吐出することができる。
本発明に係る実施例1の説明図 本発明に係る実施例1の共通液室部の説明図 比較例の説明図 本発明に係る実施例2の説明図 本発明に係る実施例3の説明図 本発明に係る実施例3の説明図 本発明に係る実施例3の説明図 本発明に係る実施例4の説明図 本発明に係る実施例5の説明図 本発明に係る実施例6の説明図 本発明に係る実施例7の画像形成装置の全体構成説明図 本発明に係る実施例7の画像形成装置の要部平面説明図
以下に、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本発明に係る液体吐出ヘッドの実施例1について、図1、2を用いて説明を行う。
まず、図1の構造について説明する。図1の上図は液体吐出ヘッドの断面図を示している。また、下図はそのフィルタ部分の上面図を示しており、位置関係を明らかにするため、点線でノズル4、導入孔211、及びこれらの間にある圧力室207、流体抵抗部213等を示している。図1中、振動板215には圧電素子208が接合され圧電素子208はベース209に接着固定される。圧電素子208はFPC(フレキシブルプリント基板)210上にパターニングされた電極を介して印加される電圧に応じて駆動し、振動板を変位させる。変位に応じて流路板に形成された圧力室207に圧力が生じる。
共通液室102の液体は振動板の導入孔211から個別液室206に導入され流体抵抗部213を通過し圧力室207に至り、圧力室207に発生した圧力によりノズル4より吐出される。なお、図1において、共通液室の底面が、四隅を曲線とした略四角形状としているが、係る形態に限定されるわけではなく、長方形等、共通液室の各種形状を採用できる。
そして、近年では、画像形成の高速化が求められており、液体吐出ヘッドにおいても液滴吐出速度の高速化が求められている。このため、液体吐出を高速にするために、共通液室から液体が導入される導入孔211から液体が吐出されるノズル4までの液体の容積を極力小さくすることと、導入孔211からノズル4までの距離を極力短くすることが好ましい。そこで、本実施例において導入孔を共通液室の底面のノズル側に近い長手方向の辺に沿って、係る辺の近傍に複数個設けた。
なお、ここでは吐出手段として、圧電素子(電気機械変換素子)による吐出を例に説明したが、吐出手段は圧電素子による吐出以外の、例えばバブルジェット(登録商標)方式や薄膜圧電素子方式、静電型アクチュエータを用いる静電方式でも構わない。
さらに、図1では省略したが、共通液室の上方部には吐出する液体を供給する供給手段も有している。
本願発明は、フィルタが高低差を有するように配置されており、図1においては、フィルタが共通液室の底面に対して傾斜するように配置されている。
フィルタの材質としては、共通液室内の液体と反応しにくく、液体中のごみ等の異物を除去できる程度の目開きものであれば使用可能である。具体的には、例えばステンレスなどの細い金属ワイヤーを積層して加圧成形し、金属融点より少し低い温度で焼成することにより金属ワイヤー表面同士を接合してなる焼結メタルフィルタが挙げられる。
また、例えばステンレスなどの細い金属ワイヤーを綾畳織などの規則構造で編むことにより作成される綾畳織フィルタなども用いることができる。
ここで、フィルタの目開きとしては、フィルタを通過後に液滴が吐出されるまでの液体の経路の最小幅よりも小さな径を持つフィルタとすることが好ましい。これは、フィルタ通過後の液体経路より大きな異物をフィルタにて捕捉し、それ以降の液体経路にて異物が詰まることのない液体吐出ヘッドを構成することができるからである。
そして、本発明のフィルタは、第1〜第3濾過領域の3つの領域から構成されている。
第1濾過領域201は、高さ方向でみて第2濾過領域202の上端部よりも高さが高い領域、すなわち、フィルタの重力方向に対して3つの濾過領域のうち最も高い領域である。なお、ここで高さの上下は、フィルタの厚みを考慮せずにフィルタの同一面側にある第2濾過領域202の上端部の高さとの関係で判断する。
また、第2濾過領域202は高さ方向でみてフィルタの最上部、最下部を除いたいずれかの部分に設けられた領域であり、重力方向に対して第1濾過領域201よりも低い領域の少なくとも一部を占める。
さらに、第3濾過領域203は、高さ方向でみて第2濾過領域202と高さが同じか、それよりも低い領域であり、フィルタ中、第1濾過領域201、第2濾過領域202を除いた残りの部分である。
ここで、本実施例においては図1の下図に示したように第2濾過領域を共通液室長手方向に沿って連続して形成している。このため、第3濾過領域は、第2濾過領域よりも低い部分である第2濾過領域の左側の部分となる。このように構成した場合、導入孔211から第1濾過領域に形成される気泡部への距離を均等で短いものとすることができる。このため、液滴吐出性能を均等なものとすることができ、より安定した画像を形成することが可能となる。
なお、第2濾過領域の形態としては係る形状に限定されるものではなく、後述のように、第2濾過領域の配置により、気泡の形状が変化するため、目的とする気泡の形状等に合わせて、第2濾過領域の配置を選択できる。
ここで、前述のように、第2濾過領域は第1濾過領域、第3濾過領域よりも、共通液室に充填された液体に対する濡れ性が低くなっている。このため、第1〜第3濾過領域を形成するためには、上述したフィルタの一部について濡れ性を変化させる必要がある。つまり、第2濾過領域202について、共通液室内の液体、すなわち、吐出のために供給される液体に対して、第1濾過領域201や第3濾過領域203よりも濡れ性が低くなるように処理を行う。
このようにフィルタの一部の濡れ性を変化させる方法としては例えば、撥水処理液にフィルタを位置選択的に浸漬させたり、スプレー等によりフィルタに撥水処理液を塗布する方法などが挙げられる。また、撥水機能を有する成分をCVDやPVDにより位置選択的に蒸着する方法も用いることができる。
上記のように、位置選択的に撥水処理液を付ける方法としては、スプレーノズルや、滴下ノズル、塗布ノズル等により、撥水処理したい領域に撥水処理液を付ける方法や、塗布したい領域だけ開口したマスクを用いて撥水処理液を塗布する方法等を用いることができる。
また全面を撥水処理した後に、撥水処理をせず濡れ性を上げたい領域の撥水処理剤をプラズマアッシングや、ケミカルドライエッチング(CDE)、局所加熱、レーザー照射などにより位置選択的に除去する方法を用いることもできる。
撥水処理液としてはシリコーン塗料やフッ素塗料(例えばオプツール:ダイキン工業製)などを用いることができ、共通液室内の液体をはじく機能を有するものが適宜選択される。
なお、ここでは、撥水処理としたが、処理の内容は液滴吐出ヘッドに供給する液体の種類によって適宜選択されるものである。つまり、用いる液体に対する濡れ性を低下させる処理を行うものなので、例えば油性の液体を用いている場合には、適切な薬剤を選択して撥油処理を行うこととなる。
以上のような構成を有する本実施例のフィルタ周辺の気泡の動きについて、図2を用いて以下に説明する。ここで、図2は、図1における共通液室部分のみを示したものである。
液体吐出ヘッドにおいては、画像形成のために液体吐出を繰り返し行い、新しい液体が供給されていくに従い、図2(A)、(B)に示すように、液体の溶存気体が気体として放出されて共通液室に気泡104が発生する。そして、発生した気泡は上方に移動し、第1濾過領域201、第2濾過領域202、第3濾過領域203よりなるフィルタに到達する。
ここで、フィルタが重力方向に対して高低関係を有するため、例えば最も低い領域に配置された第3濾過領域203に到達した気泡は、フィルタ上をすべるように重力方向に対してより高い方向に移動し、最終的には第1濾過領域201に隣接する部分に溜まる。
次いで、第3濾過領域203に到達した気泡104は、第2濾過領域202の配置によっては、フィルタ上をすべるように重力方向に対してより高い方向に移動する過程のなかで、一旦濡れ性の低い第2濾過領域202と接する。
濡れ性の低い第2濾過領域202は表面張力により気体を透過させやすい。しかしながら液体の溶存気体から放出される気泡は小さいためその浮力は小さく、第2濾過領域202のフィルタを透過してフィルタより上方に気体が移動することは少ない。
このようにして、画像形成のために液体吐出を繰り返し行うにつれて、第1濾過領域201に接する領域には気泡がどんどん溜まり大きくなっていく。気泡が大きくなると気泡全体の浮力は大きくなり、気泡はフィルタを透過してフィルタ上方に移動する方向に力が働く。しかし、濡れ性の高い第1濾過領域201は表面張力により気体を透過させにくいため、フィルタを透過して気泡がフィルタ上面に排除されることはない。
更に画像形成のために液体吐出を繰り返し行うと、液体の溶存気体が気体として放出されるために共通液室に気泡が発生し、第1濾過領域201に接する領域には気泡が溜まり大きくなる。すると図2(C)に示すようにやがて第1濾過領域201に接する領域だけでは気泡を保持できなくなり、溜まった気泡の一部が濡れ性の低い第2濾過領域202の方向に広がっていき、これに接するようになる。このように、気泡は第1濾過領域から2濾過領域にまで広がっていくため、第2濾過領域の配置を選択することによって、気泡の形状を調整することができる。
既述のように、第2濾過領域202は濡れ性が低く気体を透過させやすくなっている。そして、気泡が大きくなり浮力が大きくなっていることから、図2(D)に示すように第2濾過領域202に接する気泡の一部は第2濾過領域202を透過し、フィルタ上方、すなわち、液体供給路側へ排出される。
このように、第1濾過領域周辺に一定量の気泡が保持されることとなる。このため、液滴の吐出量変化に伴う共通液室内の圧力変化に対して、気泡がこれを緩和するエアダンパとして働き、急激な吐出量変化が必要な画像に対しても安定した吐出を行うことができる。
そして、気泡は必要以上に溜まらないように第2濾過領域から自動的に排出され、その量が調整されている。このため、共通液室102が気泡104で満たされて吐出手段に気泡が混入し、不吐出となる危険性がない。また、気泡除去のためにノズル面側からの吸引回復を行う必要が無いので、吸引回復時に捨てる無駄な液体を削減することができ、画像形成装置の生産性を大幅に上げることができる。
さらに、液体吐出ヘッドがキャリッジに搭載され、往復運動により画像形成する媒体に対して液滴を吐出する画像形成装置においては、往復運動により共通液室102内の液体は揺動し、気泡の一部も揺動する液体の流れにより共通液室内を上下左右に移動する。
そのため、共通液室102が気泡104で満たされていなかったとしても、圧力変動を抑制するために必要な気泡量以上の気泡があると、その気泡の一部が共通液室102の液体の揺動により吐出手段に混入し、不吐出となる危険がある。
しかし、本実施例においては、濡れ性が低い第2濾過領域202より、第1濾過領域201に接する領域を越えた余分な気泡がフィルタを透過してフィルタ上方へ排出されるため、キャリッジ往復運動での共通液室の液体の揺動に対しても、気泡の一部が吐出手段に入り不吐出となる危険性を極めて少なくすることができる。
また、後述する図3(C)に示すように気泡がフィルタ下面を全面的に覆うと、フィルタを通過した液体はフィルタ下面の気泡に通過を阻害されるため、液体供給が阻害される。
しかし、本実施例では、第3濾過領域203より高い領域にある濡れ性の低い第2濾過領域202が気泡を透過させフィルタ上方に排除するため、第3濾過領域203は気泡が接することはなく上下を常に液体が接する。このため、常に第3濾過領域203という一定量以上の領域が気泡に阻害されないフィルタ領域として確保することができるため、供給不良により共通液室の圧力が低下し、吐出に影響を与え、不吐出となる危険性を確実に回避できる。
なお、本発明のフィルタを搭載した液滴吐出ヘッドでは第1濾過領域201の下面は気泡と接する。しかし下面に気泡が接した領域も、液体透過が全く無いわけではなく、気泡側面を通じて液体が流れる。そのため、第1濾過領域201が無い場合に比べて、第1濾過領域201を設けた方が第1濾過領域201、第2濾過領域202、第3濾過領域203全体での有効フィルタ面積を大きくすることができ、フィルタを小型化することができる。
[比較例]
比較例として、フィルタ面内に高低差を生じないようにフィルタを水平に配設し、フィルタ内の濡れ性も変化させていない液体吐出ヘッドについて図3を用いて以下に説明する。
図3については図2と同様にフィルタ周りの気泡の挙動を示すため、共通液室のみを拡大して示しており、同じ部材には同じ番号を付した。なお、その他の部材については、図1と同様に配置されている。ここで、図中の101は吐出する液体からゴミや塵埃といった異物を濾過するフィルタ、104は気泡(気体)である。
まず、図3(A)に示すように、共通液室102を含むフィルタ101上下の領域、さらには、図示していない共通液室下部に設けられた個別液室を含む液滴吐出手段には、液体の加圧供給或いは吸引動作による初期充填により吐出液体に満たされる。
しかし、図3(B)に示すように画像形成のために液体吐出を繰り返し行い、新しい液体が供給されていくに従い、新しい液体に溶存する気体の一部が共通液室102等にて気化することにより、気泡104が発生する。
更に画像形成のために液体吐出を繰り返し行うと、新しく液体が供給され、その新しい気体から溶存気体が気泡として放出されるため図3(C)に示すように共通液室102の気泡104は大きくなっていく。
そして、このまま繰り返し液体吐出を行っていくと、図3(D)に示すように気泡が共通液室の底面にまで到達する。共通液室下部には液体吐出部が配置されているため、この状態となると、個別液室を含む液体吐出部に気体が混入し、液体を吐出することができなり不吐出となる。
図3(D)の状態とならないように、共通液室の気泡がある程度大きくなった状態で吸引などの気泡除去による回復動作を行うことにより、不吐出という問題を発生させないことはできる。
しかしながら吸引などの気泡除去には気泡を流動させるために本来画像形成のために吐出される液体の一部を気泡と一緒に流動し、液体吐出ヘッド外部へ除去する必要がある。この外部へ除去された液体は無駄となり、画像形成装置の生産性を著しく悪くする。
また、画像形成装置は一般の家庭環境やオフィス環境で使用されることを想定し設計されるため、あらゆる気象環境、季節変動、昼夜変動に対しても動作しなければならない。しかしながら、液体の気体溶存飽和量は液体の圧力状態、温度により大きく変化するため、気圧や温度が変化すると液体の気体溶存飽和量が変わり、外部から気体を吸収、溶存したり、溶存気体を気化して放出したりを繰り返すこととなる。
なお、共通液室の液体から気泡が発生しないように、供給する液体を十分に脱気し、液体を保管するタンクも気体機密性の高い構造や、気体透過を阻害する金属を蒸着したフィルムを用いることも考えられる。しかしながら、液体を供給するチューブや液体吐出ヘッドと供給手段とのジョイント部などを完全に気体機密とすることは難しい。また、そのような気体機密構造とするためには構造が重厚で複雑にしなければならず、装置小型化や、装置コストの面で問題となる。
本実施例は、図4の下図に示すように、図1に示す実施例1について、第2濾過領域の配置を変更したものであり、その他の構成については図1と同じである。
具体的には、図4の下図に示したように、第2濾過領域は2箇所に離隔して、液滴吐出部への導入孔211の外側部に設けている。上述のように、第1濾過領域にたまった気泡は大きくなると濡れ性から、第2濾過領域に広がっていく。このため、気泡と液滴吐出部への導入孔211との間に距離をとることが可能となり、気泡が液滴吐出部へ混入し、吐出異常となる危険性を低減することができる。
なお、このように第2濾過領域を複数箇所に配置した場合、フィルタ内に第2濾過領域と高さが同じであるが、撥水処理等の濡れ性を低下させる処理をしていない部分を生じることとなる。このように第2濾過領域と同じ高さの部分については、濡れ性を基準に濾過領域を区分する。このため、本実施例のように第2濾過領域間の第2濾過領域と濡れ性の異なる領域、すなわち撥水処理等を行っていない領域は、第3濾過領域に区分される。
続いて、本発明に係る液体吐出ヘッドの第3の実施例について、図5A〜図5Cを用いて説明を行う。図5Aについては本実施例のフィルタ断面の説明図を、図5B、Cについては、フィルタの長手方向についての各種形態をそれぞれ示した。
図5A〜図5Cについて、図1と同じ部材は同じ番号を付して示した。
本実施例においては、図5Aに示すように、フィルタがその面内に高低差を有するように予め成型してあるものを使用した。本実施例においては、折れ線部212で曲がった、への字形状に成型したものを使用したが、フィルタ面内に高低差を有するように成型してあれば足りる。例えば、フィルタの一部に傾斜面を有するように台形形状としたり、半円形状、球面形状等とすること等が挙げられる。また、フィルタの長手方向について一律に同じ断面形状になるように加工する必要はなく、上述のようにフィルタ面内の少なくとも一部が傾斜面を有するように加工されていれば足りる。
成型したフィルタの具体的な例を図5B、図5Cに示す。まず、図5Bに示したように、長手方向端部まで同様の屈曲形態のまま、つまり、フィルタ全体をへの字形状とした場合を示す。この場合、1つの変形加工によって図5Bの形状のフィルタを形成することが可能となるので好ましい。
これは、フィルタの形状加工によりフィルタを複雑な形態に変形させると、場合によっては、変形領域の厚み方向、特に表面部には大きなメッシュの引っ張り、あるいは圧縮が生じ、そのメッシュサイズが変わってしまうという問題が生じるためである。圧縮によりメッシュサイズが小さくなるとその領域を通過する液体の圧力抵抗が大きくなり、所定の液体通過量を確保することができなくなるため、吐出異常や不吐出の原因となる。また、逆に引っ張りによりメッシュサイズが大きくなった領域は、他の正常なフィルタサイズの領域より通過する液体の圧力抵抗が小さくなる。そのため、液体が通過しやすくなり、さらには、本来捕捉しなければならないサイズの異物が通過してしまう危険性が高くなる。
このように、複雑な形状に加工しようとすると不良品が発生し、歩留まりが低下する恐れがある。これに対して、図5Bに示すような長手端部まで短手方向と同様の屈曲形態のままにした場合、加工による変形を小さくし、このような不具合が生じる危険性を低くすることができる点で好ましい。
また、別の形態例として、図5Cに示すように、フィルタを長手方向に凸形状とすることにより、長手方向端部をフラットとすることもできる。これはフィルタの両端部以外の部分をへの字形状に加工し、両端部についてはA−A断面から分かるように水平にしたものである。
一般にフィルタはフィルタユニットやフレーム216に熱溶着により接合されている。そのため、接合面はフラットである方が、接合強度、作業性の面で好ましく、図5Cに示すような端部は平坦な形態であることが好ましい。
以上のようなフィルタを用いた場合の各濾過領域、気泡について図5Aを用いて説明する。本実施例においては、第1濾過領域201が、前記導入孔が配列された辺の対辺側、すなわち、前記共通液室の短手方向の前記導入孔が配列された逆側に形成されているように配置した。このように配置することにより、気泡を導入孔211よりなるべく遠い領域に溜め、気泡が導入孔から個別液室に混入し、吐出異常となる危険性を少なくすることができる。なお、ここで、前記導入孔が配列された辺の対辺側に配置するとは、共通液室の中央部よりも導入孔が配列された辺の対辺側の領域に、第1濾過領域の面積の半分よりも多くの部分が入っていることを意味している。
更に、本実施例では前記第2濾過領域が、第1濾過領域に隣接して形成されており、第1濾過領域よりも前記共通液室の前記導入孔が配列された辺の対辺側、すなわち、共通液室短手方向にて導入孔211が配置されている方向の逆側に配置した。そして、本実施例では特に共通液室壁面近傍に配置した。このように導入孔から遠い場所に配置することにより、気泡を導入孔211より遠い領域に広げることが可能となるので、気泡が個別液室から導入孔に混入し、吐出異常となる危険性を少なくできる。
次いで、係る液体吐出ヘッドにおける気泡の動きを説明する。
まず、共通液室内で気泡が発生すると、第1濾過領域201に気泡が溜まっていく。そして、第1濾過領域201に溜まった気泡は更に大きくなると、図5Aに示すように、第1濾過領域の濡れ性から第2濾過領域202の方向に広がっていく。
そして、上記液体吐出ヘッドがキャリッジに搭載され、往復運動により被記録媒体に対して液滴を吐出する画像形成装置において使用する場合、往復運動により共通液室102内の液体は揺動する。キャリッジが右から左に移動方向を変える場合には、共通液室内102の液体の慣性から共通液室内に左回りの回転314が発生する。
すると、図5Aに示すように第2濾過領域202の下方に溜まった気泡には、流体によって下から上へ押し上げる方向に力が加えられる。
これは第2濾過領域202を気泡が透過する方向であり、第2濾過領域202の下方に溜まった気泡はスムーズに第2濾過領域202を透過し、フィルタ上方へ排出される。
逆にキャリッジが左から右に移動方向を変える場合には、共通液室内102の液体の慣性から共通液室内に右回りの回転313が発生する。
すると、第2濾過領域202の下方に溜まった気泡には、流体によって右方向に力が加えられる。
これも第2濾過領域202を気泡が透過する方向であり、第2濾過領域202の下方に溜まった気泡はスムーズに第2濾過領域202を透過し、フィルタ上方へ排出される。
ここで、例えば後述する図10に示すように画像形成装置においては、キャリッジと液体吐出ヘッドの関係では、キャリッジの往復動作方向と液体吐出ヘッドの方向が概ね直交している。
しかし、上述のキャリッジの往復動作によりフィルタを気泡が通過させる方法は、キャリッジと液体吐出ヘッド或いは共通液室長手方向が必ずしも直交していなくても、並行ではなくある一定の角度を持っていれば成り立つ。
実際に、キャリッジ往復運動に対して液体吐出ヘッド或いは共通液室長手方向をある一定の角度に傾けて配置し、画像を形成する媒体に対して吐出手段が並んでいる密度を上げる配置を用いても構わない。
なお、本実施例では上記のように第2濾過領域を、第1濾過領域よりも前記共通液室の前記導入孔が配列された辺の対辺側に配置したが、第1濾過領域よりも前記共通液室の前記導入孔配列された辺側に設けることも可能である。
続いて、本発明に係る液体吐出ヘッドの第4の実施例について、図6を用いて説明する。
本実施例では図6に示すように、第1濾過領域201を、導入孔が配列された辺側、すなわち、共通液室短手方向にて導入孔211が配置されている方向に配置した。
前記導入孔が配列された辺側に配置するとは、共通液室の中央部よりも導入孔が配列された辺側の領域に、第1濾過領域の面積の半分よりも多くの部分が入っていることを意味している。
係る構成をとることによって、導入孔211から気泡までの距離を極力短くなるため、圧力変動緩和の効果を高め、異常吐出が発生する危険性を低減することができる。
前述のように、吐出量の変化によって圧力変動を生じた場合、共通液室の気泡104がエアダンパの機能をはたして圧力変動を吸収している。このため、導入孔211から気泡までの距離を短くした方が、圧力変動緩和の効果が導入孔211に伝わり、個別液室を介してノズルに到達するまでの時間を短くすることができ、異常吐出が発生する危険性をより低減できる。
また、図6に示すように、導入孔が設けられた振動板215と共通液室を積層により構成するヘッド構造においては、導入孔の開口面は上向きとなる。そのため、第1濾過領域を上記構成とした場合、導入孔から上方向に放出される圧力波を直接受けることができる点でも好ましい。特に、導入孔の上面に第1濾過領域201を配置することがより好ましい。
更に、本発明に係る液滴吐出ヘッドでは図6に示すように、第2濾過領域202が第1濾過領域に隣接して形成されており、第1濾過領域よりも前記共通液室の前記導入孔が配列された辺側、すなわち、共通液室短手方向にて導入孔211が配置されている側に配置した。
第1濾過領域201に溜まった気泡は更に大きくなると、図6に示すように濡れ性から第2濾過領域202の方向に広がっていく。
第2濾過領域202を共通液室の導入孔211側に配置することにより、気泡を導入孔211側に広げることができるので、導入孔から気泡までの距離を更に縮め、また導入孔から上方向に放出される圧力波を直接受けるようにした。
これにより、圧力変動を気泡が効果的に受け、緩和性能をより向上できる。
また、本実施例においては、図6に示すように、第2濾過領域202を共通液室壁面近傍に配置している。
液体吐出ヘッドがキャリッジに搭載され、往復運動により被記録媒体に対して液滴を吐出する画像形成装置において使用する場合、往復運動によって共通液室102内の液体は揺動する。
キャリッジが左から右に移動方向を変える場合には、共通液室内102の液体の慣性から共通液室内に右回りの回転316が発生する。
すると、図6に示すように第2濾過領域202の下方に溜まった気泡には、流体によって下から上へ押し上げる方向に力が加えられる。
これは第2濾過領域202を気泡が透過する方向であり、第2濾過領域202の下方に溜まった気泡はスムーズに第2濾過領域202を透過し、フィルタ上方へ排出される。
逆にキャリッジが右から左に移動方向を変える場合には、共通液室内102の液体の慣性から共通液室内に左回りの回転315が発生する。
この場合、図6に示すように第2濾過領域202の下方に溜まった気泡には、流体によって左方向に力が加えられる。
これは第2濾過領域202を気泡が透過する方向であり、第2濾過領域202の下方に溜まった気泡はスムーズに第2濾過領域202を透過し、フィルタ上方へ排出される。
更に、本発明に係る液滴吐出ヘッドでは、第2濾過領域202を共通液室短手方向にて導入孔211が配置されている方向の逆側に配置することもできる。
このように、第2濾過領域を共通液室壁面近傍に設けた場合、気泡を系外に排出しやすくなる。
本実施例とは異なる実施形態として、第2濾過領域202を導入孔211が配列された辺の対辺側に配置することもできる。この場合、第1濾過領域201に溜まった気泡が大きくなると、濡れ性から第2濾過領域202の方向に広がっていくので、気泡を導入孔211よりなるべく遠い領域に広げ、気泡が導入孔にから個別液室に混入して吐出異常をおこす危険性を少なくすることができる。
実施例1、3、4においては、例えば図1、5、6に示すように、第1濾過領域201を共通液室長手方向に長く形成している。このような構成にすることにより、気泡を共通液室102の長手方向に長く形成することができ、導入孔から気泡までの距離を均等で短いものとすることができるため好ましい。
既述のように、気泡104がエアダンパとして機能することにより、吐出量変化に伴う圧力変動を吸収している。このため、導入孔211から気泡104までの距離を短くした方が圧力変動緩和の効果が導入孔211に伝わり、個別液室を介してノズルまで到達するまで時間が短くなり、異常吐出が発生する危険性を低減できる。
また、気泡を共通液室の長手方向に長く形成した場合、同じく共通液室の長手方向に複数配列された吐出手段の導入孔211から気泡までの距離を、略均一にすることが可能となる。このため、共通液室長手方向に複数配列された吐出手段からの液滴吐出性能を等しくすることができ、全体として安定した画像を形成することが可能となる。
本実施例では、図7に示すように、第1濾過領域を共通液室長手方向に吐出手段と接続した複数の導入孔が配列された領域よりも長く形成したものである。この場合、気泡を、導入孔が配列された領域の外側にまで形成することが可能となるので、複数配列された吐出手段からの吐出状態を均一に保つことが更に確実に可能となる。
更に、本発明に係る液体吐出ヘッドでは図7に示すように、第2濾過領域202を共通液室長手方向に、導入孔が複数配列された領域の外側に形成することもできる。
第1濾過領域201に溜まった気泡は更に大きくなると、濡れ性から第2濾過領域202の方向に広がっていく。このため、気泡は第2濾過領域がある、導入孔が複数配列された領域の逆側の方に広がることとなり、気泡が導入孔から個別液室に混入し、吐出異常となる危険性を少なくすることができる。
本実施例では図8に示すように、共通液室長手方向に複数配列され、吐出手段(ノズル)と導入孔を結ぶ個別液室216の列に、吐出を行わないダミー流路217、及び、それに接続された導入孔を、前記個別液室216の領域の外側になるように配置している。更に、第1濾過領域201を共通液室長手方向に、ダミー流路が配置された領域まで長く形成している。
このように、第1濾過領域201を共通液室長手方向に、液体を外部へ排出するための前記ダミー流路217が配置された領域まで長く形成することにより、気泡を共通液室102の長手方向に吐出手段が複数配列された領域よりも外側まで形成することができる。このため、前述の共通液室長手方向に複数配列された吐出手段からの吐出状態を均一に保つことが更に確実に可能となる。
更に、本発明に係る液体吐出ヘッドでは図8に示すように、第2濾過領域201を共通液室長手方向に、少なくともダミー流路が配置された領域に形成することが好ましい。
この場合、第1濾過領域201に溜まった気泡は更に大きくなると、濡れ性から第2濾過領域202の方向に広がっていく。そして、気泡が第2濾過領域201に広がり、仮にさらに導入孔近くまで広がった場合でも、ダミー流路の導入孔に近づくだけであるため、気泡が吐出手段の導入孔から個別液室に混入し、吐出異常となる危険性を少なくすることができる。
図9、10に本実施例の画像形成装置を示す。この画像形成装置は記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置である。装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持してある。そして、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図10の矢印方向(キャリッジ主走査方向)にキャリッジを移動走査し画像形成を行う。
キャリッジ33には、各色のインク滴を吐出する、本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)がインク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。ここで、各記録ヘッド34は、キャリッジに装着した際に、複数のノズルからなるノズル列が主走査方向と直交する副走査方向に並ぶように配列されている。
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2の液体収容手段であるサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部94に着脱自在に装着される第1液体収容手段である各色のインクカートリッジ10y、10m、10c、10k(色を区別する必要が無いときは符号は10として記載する)から各色の供給チューブ36を介して各色のインクが供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備えている。この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えている。さらに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによって搬送ローラ52が回転駆動されることにより、図10のベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、図10に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)を備えている。さらに、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84なども備えている。
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために、記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行う際の液滴を受ける液体回収容器である空吐出受け88を配置している。この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加される。これにより、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
上記画像形成装置は本願発明の液体吐出ヘッドを採用しているので、安定した画像形成が可能であり、無駄な液滴の使用を削減して生産性を大幅に向上させることが可能となる。
なお、本実施例においては、上記のように画像形成装置として被記録媒体である紙に対して、インクを吐出して画像形成する装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、被記録媒体としては紙に限定されるものではなく、OHP、繊維、皮革等のインク滴、その他の液体が付着できるものであればあらゆるものが使用できる。さらに、インクとしてはインクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液等や、DNA試料、レジスト、樹脂等も含まれる。また、画像形成装置で形成する画像としては平面的なものに限定されず、立体的に形成されたものに付与された画像、立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
33 キャリッジ
102 共通液室
104 気泡
201 第1濾過領域
202 第2濾過領域
203 第3濾過領域
211 導入孔
特開2008−290463 特開平9−277552 特許第3069477

Claims (15)

  1. 液滴を吐出する吐出手段と、前記吐出手段に液体を供給する共通液室を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記共通液室に液体を供給する経路、または、共通液室に、前記液体に混入している異物を捕捉するフィルタが高低差を有するように設けられており、
    前記フィルタは、第1濾過領域から第3濾過領域の3つの領域から構成され、
    第1濾過領域は、高さ方向でみて、第2濾過領域よりも高い領域であり、
    第2濾過領域は、高さ方向でみて、フィルタの最上部、最下部を除いたいずれかの部分に設けられた領域であり、
    第3濾過領域は、高さ方向でみて、第2濾過領域と同じ高さか、それよりも低い領域であり、
    前記第2濾過領域は、第1濾過領域、第3濾過領域よりも前記液体に対する濡れ性が低くなっていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記第2濾過領域が、フィルタの一部に撥水処理または撥油処理を行うことによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 共通液室の底面の長手方向の辺に沿って、液滴吐出口に接続された導入孔が複数個設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記第1濾過領域が、前記共通液室の前記導入孔が配列された辺の対辺側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記第1濾過領域が、前記共通液室の前記導入孔が配列された辺側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 前記第2濾過領域が、第1濾過領域に隣接して形成されており、第1濾過領域よりも前記共通液室の前記導入孔が配列された辺の対辺側に形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 前記第2濾過領域が、第1濾過領域に隣接して形成されており、第1濾過領域よりも前記共通液室の前記導入孔が配列された辺側に形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  8. 前記第2濾過領域が、前記共通液室の壁面近傍に形成されていることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載液滴吐出ヘッド。
  9. 前記第1濾過領域が、前記共通液室の長手方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  10. 前記第1濾過領域が、前記共通液室の長手方向に長く形成されており、同じく共通液室の長手方向に沿って複数個設けられた前記導入孔よりも広い範囲にわたって設けられていることを特徴とする請求項3乃至9のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  11. 長手方向でみて少なくとも前記導入孔が配列された領域の外側に、前記第2濾過領域が設けられていることを特徴とする請求項3乃至10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  12. 前記液滴吐出口及びこれに接続された前記導入孔が複数配列された領域の長手方向外側に、液体を外部へ排出するためのダミー流路及びそれに接続された導入孔が設けられ、
    前記第1濾過領域が、少なくとも前記共通液室の長手方向の前記ダミー流路が配列された領域まで形成されていることを特徴とする請求項3乃至11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  13. 前記第2濾過領域が、少なくとも前記共通液室の長手方向の前記ダミー流路が配列された領域に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の液滴吐出ヘッド。
  14. 液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して画像を形成する画像形成装置において、前記液滴吐出ヘッドが請求項1乃至13のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
  15. 液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して画像を形成する画像形成装置において、
    前記画像形成装置は、前記液滴吐出ヘッドを搭載して往復運動を行うキャリッジを有し、
    請求項1乃至13のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの、
    前記共通液室の長手方向が、前記キャリッジの前記往復運動の方向と平行でない方向に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
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