[第1の実施の形態]
図1(A)には、本発明の第1の実施の形態に係るバックル装置10が表側から見た正面図にて示されており、図1(B)には、バックル装置10が後方から見た側面図にて示されている。さらに、図2(A)には、バックル装置10が適用された車両の主要部が車両左方から見た側面図にて示されており、図2(B)には、当該車両の主要部が車両後方から見た後面図にて示されている。なお、図面では、バックル装置10の表側を矢印INで示し、バックル装置10の前方を矢印FRで示し、バックル装置10の上方を矢印UPで示している。
図2の(A)及び(B)に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置10は、車両の車室内において、シート38に装備されており、シート38は、下側のシートクッション38Aと上側かつ後側のシートバック38Bとが設けられて、乗員が着座可能にされている。バックル装置10は、シート38の乗員着座領域の後部の車幅方向内側かつ下側に設置されており、バックル装置10は、表裏方向を車両の車幅方向に平行に配置された状態で、前後方向を車両前後方向側へ向けられると共に、上方を車両の上側に向けられている。図2の(A)及び(B)では、バックル装置10がシートクッション38Aの後部の車幅方向内側(車両左側)に設置されており、バックル装置10の前方、表側及び上方がそれぞれ車両前方、車幅方向内方(車両左方)及び車両上方に向けられている。
図1の(A)及び(B)に示す如く、バックル装置10は、バックル12を備えている。バックル12の外周には、樹脂製のカバー14が設けられており、カバー14は、略直方体形箱状にされると共に、上面が開放されている。カバー14内には、金属製のボデー16(図13(B)参照)が固定されており、ボデー16は、断面U字形板状にされている。
バックル12の上部には、操作部材としてのボタン18が設けられており、ボタン18は、カバー14内に挿入されると共に、上面がバックル12の上面を構成している。ボタン18は、下方へ押圧操作可能にされており、ボタン18は、下方へ押圧操作されることで、カバー14内へ向けて下方に移動(スライド)可能にされている。
ボタン18には、長尺矩形状の挿入孔20が形成されており、挿入孔20は、前後方向に長尺にされると共に、表裏方向に短尺にされている。挿入孔20は、ボタン18の上面(バックル12の上面)から上方に開口されて、上端が挿入口20Aにされており、挿入口20Aの前後方向及び表裏方向における寸法は、上方へ向かうに従い徐々に大きくされている。
バックル12は、支持機構22に回動可能に支持されている。
支持機構22には、回動部材としての逆Y字形平板状の回動板24が設けられている。回動板24の上部は、バックル12内(カバー14内)に挿入されてボデー16に固定されており、これにより、回動板24が、バックル12に固定されると共に、バックル12から下側へ延出されている。
回動板24の下端には、前側部分及び後側部分において、回動手段としての円柱状のローラ26がローラリベット28によって支持されており、ローラ26は、ローラリベット28を中心として、回転可能にされている。ローラ26の外周には、軸方向中間部において、断面矩形状の装着溝26Aが形成されており、装着溝26Aは、ローラ26の全周に亘って配置されている。
回動板24の下側には、支持部材としての平面視略T字形板状の支持板30が設けられており、支持板30は、下端において、車体側に固定されている。
支持板30の上部には、案内手段としての支持孔32が貫通形成されており、支持孔32は、前後方向側に長尺にされている。支持板30には、支持孔32の位置において、回動板24のローラ26が装着されており、支持板30は、支持孔32の周囲において、ローラ26の装着溝26Aに嵌入されている。これにより、バックル12が回動板24を介して支持板30に支持されている。
支持孔32は、円弧状に湾曲されており、支持孔32は、下側に凸状にされて、湾曲中心がバックル12の上面より上側にされている。これにより、回動板24のローラ26が回転されつつ支持孔32を長手方向に沿って移動されることで、バックル12が、支持孔32に案内されつつ、上面(挿入口20A)より上側を中心として回動板24と一体に回動可能にされている。
図3の(A)及び(B)に示す如く、バックル装置10は、車両のシートベルト装置(ベルト装置)を構成しており、シートベルト装置の長尺帯状のウェビング34(ベルト)には、平面視略T字形板状のタング36が設けられている。
タング36の先端部36Aは、略矩形板状にされており、タング36の先端部36Aがバックル12(ボタン18)の挿入孔20に挿入口20A(上側)から挿入されることで、タング36がバックル12に係止される。これにより、シート38に着座した乗員にウェビング34が装着されて、ウェビング34が乗員を拘束可能にされる。一方、ボタン18が下方へ押圧操作されることで、タング36のバックル12への係止が解除されて、乗員へのウェビング34の装着が解除される。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のバックル装置10では、タング36の先端部36Aがバックル12の挿入孔20に挿入口20Aから挿入されることで、タング36がバックル12に係止されて、乗員にウェビング34が装着される。
ここで、支持機構22が、バックル12の下側(挿入口20Aとは反対側)における支持板30の支持孔32において、バックル12を回動板24を介して回動可能に支持しており、回動板24のローラ26が回転されつつ支持孔32を長手方向に沿って移動されることで、バックル12が、上面(挿入口20A)より上側(タング36挿入側)を中心として、回動板24と一体に回動可能にされている。
このため、タング36がバックル12の挿入口20Aに挿入される際に、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向(上方)と対向せずに(非平行にされて)、タング36(先端部36A)にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧されても、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側(平行にする側)に回動される。
具体的には、図3(A)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ前側に向かう方向へ押圧されることで、回動板24のローラ26が回転されつつ支持孔32の前側へ移動される。このため、バックル12が下端を前側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられる。
一方、図3(B)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ後側に向かう方向へ押圧されることで、回動板24のローラ26が回転されつつ支持孔32の後側へ移動される。このため、バックル12が下端を後側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられる。
このように、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向と対向しない場合でも、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側へ回動されるため、タング36の挿入口20Aへの挿入を容易にでき、乗員がウェビング34を容易に装着できる。
さらに、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧された際に、支持板30の支持孔32が、挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側へのバックル12の回動を案内する。このため、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側に安定して回動できる。
また、タング36のバックル12への係止が解除された際には、バックル12及び回動板24の自重によって、回動板24のローラ26が回転されつつ支持孔32を長手方向に沿って移動されて、バックル12が回動板24と一体に初期位置に回動される。このため、バックル12の挿入口20Aの開口方向を上方に復帰させることができる。
[第2の実施の形態]
図4(A)には、本発明の第2の実施の形態に係るバックル装置40が後方から見た側面図にて示されており、図4(B)には、バックル装置40が表側から見た正面図にて示されている。
本実施の形態に係るバックル装置40は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図4の(A)及び(B)に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置40では、支持機構22の回動板24が長尺板状にされており、回動板24は、バックル12の裏側に配置されると共に、バックル12内(カバー14内)のボデー16に連結されている。これにより、回動板24が、バックル12に固定されると共に、バックル12の上方及び下方へ延出されている。
支持機構22の支持板30には、長尺板状の延出板30Aが一体に形成されており、延出板30Aは、支持板30から上方へ延出されている。延出板30Aの上端には、回動板24の上端が回動手段を構成する軸リベット42によって支持されており、バックル12は、軸リベット42を中心として、回動板24と一体に回動可能にされている。
回動板24の下端は、支持板30の支持孔32周囲に回動手段を構成する回動リベット44によって支持(連結)されており、回動リベット44が支持孔32を長手方向に沿って移動されることで、回動板24下端の支持板30による支持が維持された状態で、バックル12が支持孔32に案内されつつ回動板24と一体に回動可能にされている。
ここで、支持機構22が、バックル12の上側における延出板30Aの上端及びバックル12の下側(挿入口20Aとは反対側)における支持板30の支持孔32において、バックル12を回動板24を介して回動可能に支持しており、回動板24の回動リベット44が支持孔32を長手方向に沿って移動されることで、バックル12が、上面(挿入口20A)より上側(タング36挿入側)の軸リベット42を中心として、回動板24と一体に回動可能にされている。
このため、タング36がバックル12の挿入口20Aに挿入される際に、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向(上方)と対向せずに(非平行にされて)、タング36(先端部36A)にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧されても、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側(平行にする側)に回動される。
これにより、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
[第3の実施の形態]
図5には、本発明の第3の実施の形態に係るバックル装置50が表斜め前方から見た斜視図にて示されており、図6には、バックル装置50が裏斜め後方から見た斜視図にて示されている。
本実施の形態に係るバックル装置50は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図5及び図6に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置50では、支持機構22の回動板24が、上下方向中間部において、復帰手段を構成する断面L字形板状の付勢板52の上端に復帰リベット54によって回動可能に支持されている。
図7(A)に示す如く、回動板24と付勢板52との間には、復帰手段を構成する傾動復帰手段としての円環板状のウェーブワッシャ56が配置されており、ウェーブワッシャ56内には、復帰リベット54が貫通されている。ウェーブワッシャ56は、波板状にされて弾性を有すると共に、回動板24と付勢板52との間に挟持されており、付勢板52は、ウェーブワッシャ56の付勢力に抗して回動板24に対し傾動可能にされると共に、ウェーブワッシャ56の付勢力によって回動板24に対する回転トルクを制限している。
図5及び図6に示す如く、支持機構22の支持板30には、上下方向中間部において、略矩形状の配置孔58が貫通形成されており、配置孔58内には、付勢板52の下端部が離脱不能かつ上下方向へ移動可能に挿入されている。配置孔58内には、復帰手段を構成する回動復帰手段としての圧縮コイルスプリング60が配置されており、圧縮コイルスプリング60は、支持板30の下端と付勢板52の下端部との間に掛渡されている。これにより、付勢板52が圧縮コイルスプリング60の付勢力によって上側へ付勢されて、バックル12が回動板24と一体に上側へ付勢されている。
支持板30の支持孔32は、支持板30上部の前側部分及び後側部分にそれぞれ貫通形成されており、支持孔32は、前後方向側に長尺にされている。支持孔32の前側部分は、前側に向かうに従い下側に向かう方向へ傾斜されると共に、支持孔32の後側部分は、後側に向かうに従い下側に向かう方向へ傾斜されており、支持孔32の長手方向中間部が支持孔32の上端にされている。
図7(B)にも示す如く、回動板24の下部の前側部分及び後側部分は、それぞれ支持板30の前側の支持孔32周囲及び支持板30の後側の支持孔32周囲に回動手段としての支持リベット62によって支持(連結)されており、圧縮コイルスプリング60の付勢力によって回動板24が上側へ付勢されることで、支持リベット62が支持孔32の上端(長手方向中間部)に配置されている。
ここで、支持機構22が、バックル12の下側(挿入口20Aとは反対側)における支持板30の支持孔32において、バックル12を回動板24を介して回動可能に支持しており、回動板24の支持リベット62が支持孔32を長手方向に沿って移動されることで、バックル12が、支持孔32に案内されつつ、上面(挿入口20A)より上側(タング36挿入側)を中心として回動板24と一体に回動可能にされている。
このため、タング36がバックル12の挿入口20Aに挿入される際に、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向(上方)と対向せずに(非平行にされて)、タング36(先端部36A)にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧されても、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側(平行にする側)に回動される。
具体的には、図8の(A)〜(C)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ前側に向かう方向へ押圧されることで、回動板24の支持リベット62が支持孔32の前側へ移動される。このため、バックル12が下端を前側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられる。
一方、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ後側に向かう方向へ押圧されることで、回動板24の支持リベット62が支持孔32の後側へ移動される。このため、バックル12が下端を後側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられる。
また、タング36にバックル12が押圧される際には、圧縮コイルスプリング60の付勢力及び必要に応じてウェーブワッシャ56の付勢力に抗して、回動板24の支持リベット62が支持孔32を長手方向に沿って移動されて、バックル12が回動板24と一体に回動される。このため、タング36のバックル12への係止が解除された際には、圧縮コイルスプリング60の付勢力及び必要に応じてウェーブワッシャ56の付勢力によって、回動板24の支持リベット62が支持孔32を長手方向に沿って移動されて、バックル12が回動板24と一体に初期位置に回動される。
これにより、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
[第4の実施の形態]
図9には、本発明の第4の実施の形態に係るバックル装置70が表斜め前方から見た分解斜視図にて示されており、図10には、バックル装置70が表側から見た正面図にて示されている。
本実施の形態に係るバックル装置70は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図9及び図10に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置70では、支持機構22の回動板24が矩形板状にされており、回動板24の上部は、バックル12内(カバー14内)のボデー16に連結されている。これにより、回動板24が、バックル12に固定されると共に、バックル12の下側へ延出されている。
支持機構22の支持板30は、断面L字形長尺板状にされており、支持板30は、下側部分において、車体側に固定されている。
支持機構22では、回動板24と支持板30との間において、案内手段としての長尺板状の支持リンク72が一対設けられており、支持リンク72の上端及び下端がそれぞれ回動板24及び支持板30に回動手段としてのリンクリベット74によって回動可能に支持されることで、バックル12が回動板24及び一対の支持リンク72を介して支持板30に支持されている。一対の支持リンク72下端のリンクリベット74間の距離は、一対の支持リンク72上端のリンクリベット74間の距離に比し、大きくされており、一対の支持リンク72が下端を中心として回動されることで、バックル12が、一対の支持リンク72に案内されつつ、上面(挿入口20A)より上側を中心として回動板24と一体に回動可能にされている。
回動板24と支持板30との間には、復帰手段としての引張コイルスプリング76が掛渡されている。これにより、バックル12が回動板24と一体に引張コイルスプリング76によって下側へ付勢されることで、バックル12及び一対の支持リンク72の回動位置が規定されて、バックル12の挿入口20Aが上方に開口されている。
ここで、支持機構22が、バックル12の下側(挿入口20Aとは反対側)における一対の支持リンク72において、バックル12を回動板24を介して回動可能に支持しており、一対の支持リンク72が下端を中心として回動されることで、バックル12が、上面(挿入口20A)より上側(タング36挿入側)を中心として、回動板24と一体に回動可能にされている。
このため、タング36がバックル12の挿入口20Aに挿入される際に、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向(上方)と対向せずに(非平行にされて)、タング36(先端部36A)にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧されても、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側(平行にする側)に回動される。
具体的には、図11(A)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ前側に向かう方向へ押圧されることで、一対の支持リンク72が下端を中心として前側へ回動される。このため、バックル12が下端を前側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられる。
一方、図11(B)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ後側に向かう方向へ押圧されることで、一対の支持リンク72が下端を中心として後側へ回動される。このため、バックル12が下端を後側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられる。
また、タング36にバックル12が押圧される際には、引張コイルスプリング76の付勢力に抗して、一対の支持リンク72が下端を中心として回動されて、バックル12が回動板24と一体に回動される。このため、タング36のバックル12への係止が解除された際には、引張コイルスプリング76の付勢力によって、一対の支持リンク72が下端を中心として回動されて、バックル12が回動板24と一体に初期位置に回動される。
これにより、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
[第5の実施の形態]
図12には、本発明の第5の実施の形態に係るバックル装置80が表側から見た正面図にて示されている。
本実施の形態に係るバックル装置80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図12に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置80では、支持機構22に上記第1の実施の形態における回動板24及び支持板30が設けられていない。
支持機構22には、案内手段及び支持部材としてのワイヤアンカ82が一対設けられている。ワイヤアンカ82には、復帰手段としての長尺のワイヤ84(ケーブル)が設けられており、ワイヤ84は、弾性(可撓性)を有している。ワイヤ84の上端及び下端には、それぞれ金属製のアンカ86、88が設けられており、アンカ86、88は、ワイヤ84にかしめ固定されている。
図13(A)に詳細に示す如く、ワイヤアンカ82の下端(アンカ88の下端)は、回動手段としてのボルト90及びナット92の締結によって、車体側の板状の突起94に支持されており、ボルト90の頭部の外周には、全周において、環板状の係止板90Aが一体に設けられている。ボルト90の頭部は、アンカ88を貫通されてナット92との間で突起94を挟持すると共に、係止板90Aと突起94との間には、アンカ88が配置されており、ワイヤアンカ82は、下端を中心として、所定角度範囲(図12の角度θ1の範囲)で前側及び後側のそれぞれに回動可能にされている。
図13(B)に詳細に示す如く、ワイヤアンカ82の上端(アンカ86の上端)は、バックル12内(カバー14内)に挿入されて、バックル12内のボデー16を回動手段としてのワイヤリベット96によって支持している。アンカ86は、ボデー16の表側部分と裏側部分との間に挿入されると共に、ワイヤリベット96は、ボデー16の表側部分と裏側部分との間に掛渡されてアンカ86を貫通しており、ワイヤアンカ82は、上端を中心として、回動可能にされている。
図12に示す如く、ワイヤアンカ82は、直線状に延伸された自然状態にされており、バックル12は、一対のワイヤアンカ82によって車体側に支持されて、挿入口20Aが上方に開口されている。
バックル12の下面(カバー14の下面)には、規制手段としての柱状の規制爪98が一対一体に設けられており、規制爪98は、バックル12から下側へ延出されている。前側の規制爪98は、前側のワイヤアンカ82(アンカ86)の後側に配置されており、前側の規制爪98は、前側のワイヤアンカ82が上端を中心として前側へ回動されることを許容すると共に、前側のワイヤアンカ82が上端を中心として後側へ回動されることを規制している。後側の規制爪98は、後側のワイヤアンカ82(アンカ86)の前側に配置されており、後側の規制爪98は、後側のワイヤアンカ82が上端を中心として後側へ回動されることを許容すると共に、後側のワイヤアンカ82が上端を中心として前側へ回動されることを規制している。
前側のワイヤアンカ82は、上端を中心として、特定角度(図12の角度θ2の範囲)前側へ回動可能にされており、後側のワイヤアンカ82は、上端を中心として、特定角度(図12の角度θ2の範囲)後側へ回動可能にされている。
図14(A)に示す如く、前側のワイヤアンカ82が上端及び下端を中心として前側へ回動されることで、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が弾性力に抗して前側へ凸状に湾曲されると共に、後側のワイヤアンカ82が自然状態で下端を中心として前側へ回動される(バックル12に対し上端を中心として後側へ回動される)。一方、図14(B)に示す如く、後側のワイヤアンカ82が上端及び下端を中心として後側へ回動されることで、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が弾性力に抗して後側へ凸状に湾曲されると共に、前側のワイヤアンカ82が自然状態で下端を中心として後側へ回動される(バックル12に対し上端を中心として前側へ回動される)。
ここで、支持機構22が、バックル12の下部(挿入口20Aとは反対側)における一対のワイヤアンカ82において、バックル12を回動可能に支持しており、一方のワイヤアンカ82が湾曲されると共に他方のワイヤアンカ82が下端を中心として回動されることで、バックル12が、一対のワイヤアンカ82に案内されつつ、上面(挿入口20A)より上側(タング36挿入側)を中心として回動可能にされている。
このため、タング36がバックル12の挿入口20Aに挿入される際に、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向(上方)と対向せずに(非平行にされて)、タング36(先端部36A)にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧されても、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側(平行にする側)に回動される。
具体的には、図14(A)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ前側に向かう方向へ押圧されることで、前側のワイヤアンカ82が上端及び下端を中心として前側へ回動されて、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が前側へ凸状に湾曲されると共に、後側のワイヤアンカ82が自然状態で下端を中心として前側へ回動される。このため、バックル12が下端を前側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられる。
一方、図14(B)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ後側に向かう方向へ押圧されることで、後側のワイヤアンカ82が上端及び下端を中心として後側へ回動されて、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が後側へ凸状に湾曲されると共に、前側のワイヤアンカ82が自然状態で下端を中心として後側へ回動される。このため、バックル12が下端を後側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられる。
また、タング36にバックル12が押圧される際には、一方のワイヤアンカ82がワイヤ84の弾性力に抗して湾曲されて、バックル12が回動される。このため、タング36のバックル12への係止が解除された際には、当該一方のワイヤアンカ82がワイヤ84の弾性力によって湾曲を解除されて直線状に延伸される自然状態に復帰されることで、バックル12が初期位置に回動される。
これにより、本実施の形態でも、支持板30の支持孔32による作用及び効果を除き、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
さらに、図14(A)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、前側のワイヤアンカ82が上端を中心として後側へ回動されることをバックル12の前側の規制爪98が規制して、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が後側へ凸状に湾曲されることが規制されることで、バックル12が下端を後側(挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させない(平行にさせない)側)へ回動されて挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられることが規制される。
一方、図14(B)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、後側のワイヤアンカ82が上端を中心として前側へ回動されることをバックル12の後側の規制爪98が規制して、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が前側へ凸状に湾曲されることが規制されることで、バックル12が下端を前側(挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させない(平行にさせない)側)へ回動されて挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられることが規制される。
このため、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧された際に、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側へ安定して回動できる。
[第6の実施の形態]
図15には、本発明の第6の実施の形態に係るバックル装置100が表側から見た正面図にて示されている。
本実施の形態に係るバックル装置100は、上記第5の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図15に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置100では、バックル12に上記第5の実施の形態における規制爪98が設けられていない。
支持機構22のワイヤアンカ82は、規制手段としての長尺矩形筒状のケーブルベア102に挿通されており、ケーブルベア102は、ワイヤアンカ82の上部(アンカ86の下部)から下部(アンカ88の上部)に亘って配置されている。ケーブルベア102は、複数の矩形筒状のピース104(図16の(A)〜(C)参照)によって構成されており、複数のピース104はケーブルベア102の長手方向に沿って配列されると共に、上側のピース104の下端には下側のピース104の上端が回動可能に連結されている。ケーブルベア102は、ワイヤアンカ82が直線状に延伸された自然状態にされることで、直線状に延伸された自然状態にされている。
前側のケーブルベア102では、上側のピース104の下端に下側のピース104の上端が前側から当接されており、上側のピース104に対する下側のピース104の後側への回動が許容されると共に、上側のピース104に対する下側のピース104の前側への回動が規制されている。このため、前側のケーブルベア102は、前側へ凸状に湾曲されることが許容されて、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が前側へ凸状に湾曲されることを許容すると共に、後側へ凸状に湾曲されることが規制されて、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が後側へ凸状に湾曲されることを規制している。
後側のケーブルベア102では、上側のピース104の下端に下側のピース104の上端が後側から当接されており、上側のピース104に対する下側のピース104の前側への回動が許容されると共に、上側のピース104に対する下側のピース104の後側への回動が規制されている。このため、後側のケーブルベア102は、後側へ凸状に湾曲されることが許容されて、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が後側へ凸状に湾曲されることを許容すると共に、前側へ凸状に湾曲されることが規制されて、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が前側へ凸状に湾曲されることを規制している。
図17(A)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ前側に向かう方向へ押圧されることで、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)及びケーブルベア102が前側へ凸状に湾曲されると共に、後側のワイヤアンカ82及びケーブルベア102が自然状態で下端を中心として前側へ回動される。このため、バックル12が下端を前側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられる。
一方、図17(B)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ後側に向かう方向へ押圧されることで、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)及びケーブルベア102が後側へ凸状に湾曲されると共に、前側のワイヤアンカ82及びケーブルベア102が自然状態で下端を中心として後側へ回動される。このため、バックル12が下端を後側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられる。
また、タング36にバックル12が押圧される際には、一方のワイヤアンカ82及びケーブルベア102がワイヤ84の弾性力に抗して湾曲されて、バックル12が回動される。このため、タング36のバックル12への係止が解除された際には、当該一方のワイヤアンカ82及びケーブルベア102がワイヤ84の弾性力によって湾曲を解除されて直線状に延伸される自然状態に復帰されることで、バックル12が初期位置に回動される。
さらに、図17(A)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、前側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が後側へ凸状に湾曲されることを前側のケーブルベア102が規制することで、バックル12が下端を後側へ回動されて挿入口20Aの開口方向が上側かつ前側に向かう方向へ向けられることが規制される。
一方、図17(B)に示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、後側のワイヤアンカ82(ワイヤ84)が前側へ凸状に湾曲されることを後側のケーブルベア102が規制することで、バックル12が下端を前側へ回動されて挿入口20Aの開口方向が上側かつ後側に向かう方向へ向けられることが規制される。
これにより、本実施の形態でも、上記第5の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
[第7の実施の形態]
図18には、本発明の第7の実施の形態に係るバックル装置110が表側から見た正面図にて示されている。
本実施の形態に係るバックル装置110は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図18に示す如く、本実施の形態に係るバックル装置110では、支持機構22に上記第1の実施の形態における回動板24及び支持板30が設けられていない。
支持機構22には、支持部材としての長尺板状のステー112が設けられており、ステー112は、下端において、車体側に回動可能に支持されている。ステー112の上端は、バックル12内(カバー14内)に挿入されて、ボデー16を回動可能に支持している。
バックル12と車体側との間には、案内手段及び回動手段としてのギア列114が設けられている。
ギア列114の最下部には、固定ギヤ116(車体側ギヤ)が設けられており、固定ギヤ116は、車体側に回転不能に固定されると共に、ステー112下端の回動軸と同軸上に配置されている。ギア列114の最上部には、回動ギヤ118(バックルギヤ)が設けられており、回動ギヤ118は、バックル12内(カバー14内)のボデー16に回転不能に固定されると共に、ステー112上端の回動軸と同軸上に配置されている。また、回動ギヤ118の下部は、バックル12の下部(カバー14の下部)から露出されている。
ギア列114には、固定ギヤ116と回動ギヤ118との間において、奇数個(本実施の形態では3個)の中間ギヤ120が設けられており、奇数個の中間ギヤ120は、それぞれステー112に回転自在に支持されると共に、固定ギヤ116と回動ギヤ118とを連絡している。
ステー112と車体側、バックル12又はギア列114との間には、復帰手段としての長尺の付勢手段(図示省略)が掛渡されており、付勢手段は、ステー112を長手方向が上下方向に平行になる状態にして、バックル12の挿入口20Aを上方に開口させている。
ここで、支持機構22が、バックル12の下部(挿入口20Aとは反対側)におけるステー112において、バックル12を回動可能に支持しており、ステー112が下端を中心として回動されて、固定ギヤ116によって中間ギヤ120が回転されることで、中間ギヤ120によって回動ギヤ118が回転されて、バックル12が、ギア列114に案内されつつ、上面(挿入口20A)より上側(タング36挿入側)を中心としてステー112に対し回動可能にされている。
このため、タング36がバックル12の挿入口20Aに挿入される際に、タング36の挿入口20Aへの挿入方向が挿入口20Aの開口方向(上方)と対向せずに(非平行にされて)、タング36(先端部36A)にバックル12が挿入口20Aの周面において押圧されても、バックル12が挿入口20Aの開口方向をタング36の挿入口20Aへの挿入方向と対向させる側(平行にする側)にステー112に対し回動される。
具体的には、図18に2点鎖線で示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ前側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ前側に向かう方向へ押圧されて、ステー112が下端を中心として前側へ回動されることで、固定ギヤ116によって中間ギヤ120が回転されて、中間ギヤ120によって回動ギヤ118が下部を前側へ回転される。このため、バックル12がステー112に対し下端を前側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上方(上側かつ後側に向かう方向でもよい)へ向けられる。
一方、図18に1点鎖線で示す如く、タング36がバックル12の挿入口20Aに下側かつ後側に向かう方向へ挿入される際には、タング36にバックル12が挿入口20Aの周面において下側かつ後側に向かう方向へ押圧されて、ステー112が下端を中心として後側へ回動されることで、固定ギヤ116によって中間ギヤ120が回転されて、中間ギヤ120によって回動ギヤ118が下部を後側へ回転される。このため、バックル12がステー112に対し下端を後側へ回動されて、挿入口20Aの開口方向が上方(上側かつ前側に向かう方向でもよい)へ向けられる。
また、タング36にバックル12が押圧される際には、ステー112が付勢手段の付勢力に抗して回動されて、バックル12がステー112に対し回動される。このため、タング36のバックル12への係止が解除された際には、ステー112が付勢手段の付勢力によって初期位置に回動されることで、バックル12が初期位置に回動される。
これにより、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
なお、上記第1の実施の形態〜第7の実施の形態では、支持機構22を車体側に支持した構成としたが、支持機構22をシート38に支持した構成としてもよい。