JP2012189204A - 複列円筒ころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリースの転動面への掻き戻しを抑制して慣らし運転時間の短縮を図ると共に、軸受内部空間の滞留グリースの増加によりグリースの長寿命化が可能な複列円筒ころ軸受を提供する。
【解決手段】複列円筒ころ軸受10Aは、外輪20と、内輪30と、複数の円筒ころ40と、分割型保持器50´を備える。分割型保持器50´は、略円環形状の円環部52と、円環部52の軸方向外側面から軸方向両側に突出する複数の柱部54と、を有する。分割型保持器50´の円環部52の外周面52aには、柱部54の外周面54aより小径の円筒面59を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複列円筒ころ軸受に関する。
従来、回転軸受部に用いられる複列円筒ころ軸受としては、図13(A)に示した複列円筒ころ軸受10(以下、軸受10と呼ぶこともある。)のように、外輪20と、内輪30と、外輪20と内輪30との間に転動自在とされ、且つ軸方向に二列に整列され、各列とも周方向に所定の間隔で配置された複数の円筒ころ40と、各列の複数の円筒ころ40をそれぞれ保持する二つの保持器50A及び50Bを、軸方向において組み合わせて構成される分割型保持器50(以下、保持器と呼ぶ)と、を有するものが知られている。
保持器50は、略円環状の円環部52と、円環部52の軸方向外側面から軸方向両側に突出する複数の柱部54と、を有し、円環部52と周方向において隣接する各柱部54との間には円筒ころ40が保持されるポケット部56が形成されている。
複列円筒ころ軸受10の潤滑はグリース潤滑方式が用いられており、外輪20の内周面20aと内輪30の外周面30aとの間に形成された軸受内部空間にグリースが封入され、外輪20と内輪30と円筒ころ40との潤滑が行われている。
通常、グリース潤滑方式における円筒ころ軸受は、玉軸受と比較して長時間の慣らし運転が必要とされる。これは、転動体形状が円筒であるため、玉と比較して、転動した際に転動部に滞留するグリースが非転動部へ掃け難く、円筒ころと転動面との間でグリースの攪拌抵抗が生じ、発熱することが主要因である。
また、一般的に、グリース潤滑方式における円筒ころ軸受は慣らし運転を行うと、封入されたグリースが転動体や保持器の動き、遠心力などによって軸受内部の特定の場所へ堆積される。
より具体的には、図13(A)及び(B)に示すように、慣らし運転完了後の軸受内部空間のグリースは、軸受10の外輪20及び内輪30に囲まれた空間のうち円筒ころ40と保持器50の動的(公転)体積を除いた空間(一般的に、動的空間と呼ばれる。)の中で、特にグリース堆積部A、B、Cに堆積する。これらグリース堆積部A〜Cに堆積したグリースは、潤滑油のタンクとして機能することになり、軸受の転動面へ基油を供給する。特に、グリース堆積部Aに堆積したグリースは軸受寿命に最も関与しており、相当量を維持することが必要である。
しかしながら、周方向から見て、保持器50の円環部52の外周面52aと、外輪20の内周面20aと、二列の円筒ころ40の軸方向内側面40aと、で実質的に区画される断面によって構成されるグリース保持空間SAの容積が、軸受内部空間に堆積可能なグリースの体積よりも小さい場合、グリースは保持器50や円筒ころ40によって、軸受の転動面への掻き戻しが生じる。その結果、転動面からのグリースの掃き出し及び掻き戻しが繰り返され、グリース体積余剰分が、グリース内の基油と増ちょう剤とが分離し、基油が軸受外部へと排出される。これにより、軸受10の慣らし運転時間は増大し、軸受内部空間のグリースは減少し、グリースの寿命は低下することになる。
円筒ころ軸受の慣らし運転時間を短縮する技術としては、特許文献1に記載の円筒ころ軸受101が考案されている。図14に示すように、この円筒ころ軸受101では、保持器105の柱部105bの外周に、外輪103の転動面103aに摺接する案内片106が突設されている。そして、保持器105の回転に伴って案内片106によって転動面103a上の余剰のグリースを掃き出すことによって該余剰のグリースが除去され、外輪103の軸方向両端部に上記余剰のグリースを逃がすことにより、慣らし運転時間の短縮を図っている。
特開2009−299874号公報
ここで、案内片106と外輪103の転動面103aとの間に生じる隙間100Sは、グリースを掃き出し可能な径方向距離に抑える必要があるが、その一方、案内片106と転動面103aとの接触による摩擦や傷を防ぐため、隙間100Sはある程度の径方向距離を有することも必要である。
これらの条件を満たすために、軸受回転中の隙間100Sの管理が非常に厳しい精度で要求される。しかしながら、保持器105は、無拘束であるため軸受回転中は円筒ころ104又は内外輪102、103に案内されながらある程度自由に変位し、さらに軸受回転中の保持器105の変形や、軸受への荷重による各円筒ころ104同士の公転速度のばらつきによっても変位する。したがって、上記条件を満たすように軸受回転中の隙間100Sの径方向距離を設定するためには、保持器105の加工精度は非常に厳しいものにならざるを得ない。
また、特許文献1に記載の技術は、外輪103の転動面103aに滞留するグリースを掃き出すための技術であり、転動面103aへのグリースの掻き戻しについては考慮されていない。また、慣らし運転時間の短縮を図る技術であり、グリースの長寿命化を図るものではない。
本発明は、前述した課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、グリースの転動面への掻き戻しを抑制して慣らし運転時間の短縮を図ると共に、軸受内部空間の滞留グリースの増加によりグリースの長寿命化が可能な複列円筒ころ軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 外輪と、
内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に転動自在とされ、且つ、軸方向に二列に整列され、各列とも周方向に所定の間隔で配置された複数の円筒ころと、
略円環形状の円環部と、前記円環部の軸方向外側面から軸方向両側に突出する複数の柱部と、を有し、前記円環部と周方向において隣接する前記柱部とでそれぞれ形成される各ポケット部に前記各円筒ころを保持する保持器と、
を備え、
前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間に形成された軸受内部空間にグリースが封入される複列円筒ころ軸受において、
前記保持器の円環部の外周面には、前記柱部の外周面より小径の円筒面を有することを特徴とする複列円筒ころ軸受。
(2) 前記保持器の円環部には、前記円筒面と、前記円筒面の軸方向両側に位置し、前記柱部の外周面と略一様径の外径を有する軸方向内壁面と、によって環状の溝部が形成されることを特徴とする(1)に記載の複列円筒ころ軸受。
(3) 周方向から見て、前記円環部の外周面と、前記外輪の内周面と、二列の前記円筒ころの軸方向内側面と、で実質的に区画される断面によって構成される環状のグリース保持空間の容積は、前記軸受内部空間に封入される前記グリースの体積よりも大きいことを特徴とする(1)又は(2)に記載の複列円筒ころ軸受。
(4) 前記保持器は、円環部分と、該円環部分の軸方向外側面から軸方向外側に突出する複数の柱部分と、をそれぞれ備える二つの保持器片によって構成され、各保持器片の円環部分同士が並んで配置される分割型保持器であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の複列円筒ころ軸受。
本発明の複列円筒ころ軸受によれば、保持器の円環部の外周面には、柱部の外周面より小径の円筒面を有するので、周方向から見て、円環部の外周面と、外輪の内周面と、二列の円筒ころの軸方向内側面と、で実質的に区画される断面によって構成される環状のグリース保持空間の容積が増大する。したがって、グリースの転動面への掻き戻しを抑制して慣らし運転時間の短縮を図ると共に、軸受内部空間の滞留グリースの増加によりグリースの長寿命化が可能となる。
また、円環部の外周面が、柱部の外周面より小径の円筒面を有することによって、保持器を軽量化することができ、低トルク化することができる。さらに、本発明の保持器が、二つの保持器片を軸方向において組み合わせて構成される分割型保持器である場合、各保持器の軸方向重心が各列の円筒ころの軸方向中心に近づくため、保持器と円筒ころとの接触挙動が安定し、円筒ころはその軸方向中心近傍で保持器に駆動力を円滑に伝達することができるとともに、円筒ころのスキューや保持器の傾きを抑制することができる。これらの効果によって、保持器によるグリースの転動面への掻き戻しを抑制し、慣らし運転時間の短縮がさらに可能となる。
また、柱部の円環部には、円筒面と、円筒面の軸方向両側に位置し、柱部の外周面と略一様径の外径を有する軸方向内壁面と、によって環状の溝部が形成されるため、ポケット部と溝部とが軸方向において連通することを防止できる。したがって、グリースがポケット部内に直接掻き戻されにくくなり、慣らし運転時間を短縮することが可能となる。また、柱部の肉厚の減少がないため、柱部の付け根部分への応力集中による柱部の破断を防止することができる。また、円環部は軸方向両側で肉厚が確保でき、連通した場合と比較して、略円環形状として断面二次モーメントが大きくできるため、円環部の強度を向上することが可能となる。
また、グリース保持空間の容積は、軸受内部空間に封入されるグリースの体積よりも大きいため、封入されたグリースは、最大で軸受外部に排出されることなくグリース保持空間に留めることができ、グリースの長寿命化が可能となる。
第1実施形態に係る複列円筒ころ軸受の部分縦断面図である。 図1の複列円筒ころ軸受の分割型保持器の部分斜視図である。 (A)は慣らし運転完了後の軸受内部空間のグリースが堆積している様子を示す図であり、(B)は(A)の部分拡大図である。 (A)は一方の列の円筒ころの軸方向中心と、分割型保持器を構成する一方の保持器の軸方向重心と、の位置を説明するための図であり、(B)は従来の複列円筒ころ軸受における比較例である。 (A)は保持器の溝部の変形例であり、(B)は他の変形例であり、(C)はさらに他の変形例である。 第1実施形態の変形例に係る複列円筒ころ軸受の部分縦断面図である。 第1実施形態の他の変形例に係る複列円筒ころ軸受の部分縦断面図である。 第2実施形態の複列円筒ころ軸受の部分縦断面図である。 第3実施形態の複列円筒ころ軸受の縦断面図である。 図9のX−X線に沿った外輪の断面図である。 第3実施形態の変形例に係る複列円筒ころ軸受の、図10に対応する断面図である。 (A)は従来の複列円筒ころ軸受の慣らし運転試験結果を示すグラフであり、(B)は本発明の複列円筒ころ軸受の慣らし運転試験結果を示すグラフである。 (A)は従来の複列円筒ころ軸受の部分縦断面図であり、(B)は外輪にグリースが堆積している様子を示す図である。 他の従来の複列円筒ころ軸受の部分縦断面図である。
以下、本発明の各実施形態に係る複列円筒ころ軸受を、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る、複列円筒ころ軸受10Aの構造を示す部分縦断面図である。なお、本実施形態の複列円筒ころ軸受10Aは、図13の複列円筒ころ軸受10と基本的構成を同一とするため、同一部分又は相当部分には同一符号又は相当符号を付すものとする。
この複列円筒ころ軸受10Aは、外輪20と、外輪20と同心に配置され、且つ軸方向両端及び軸方向中央部から夫々径方向外側に延出した内輪鍔部32a、32a、32bを有する内輪30と、外輪20と内輪30との間に転動自在とされ且つ軸方向に二列に整列され、各列にとも周方向に所定の間隔で配置された複数の円筒ころ40と、各列の複数の円筒ころ40をそれぞれ保持する二つの保持器片50C及び50Dを、軸方向において組み合わせて構成される分割型保持器50´(以下、保持器と呼ぶ。)と、で構成される。また、外輪20の内周面20aと内輪30の外周面30aとの間に形成された軸受内部空間にはグリースが封入されている。
図2に示すように、保持器50´は、略円環形状の円環部52と、この円環部52の軸方向外側面から軸方向両側に略櫛歯状に突出する複数の柱部54と、を有する。また、円環部52の軸方向外側面と周方向において隣接する柱部54との間には、円筒ころ40が保持されるポケット部56が形成される。柱部54は、ポケット部56に保持される円筒ころ40の形状と合うように形成されており、具体的には、その周方向幅が径方向外周端から径方向略中央部に向かうにしたがって次第に小さくなり、径方向略中央部から径方向内周端に向かうにしたがって次第に大きくなるように形成される。なお、柱部54の形状は上述のものに限定されず、略直方体形状などの公知の形状を適用してもよい。
また、保持器50´の円環部52の外周面52aには、断面略台形形状の環状の溝部58が凹設されている。この溝部58は、柱部54の外周面54aより小径の円筒面59と、円筒面59の軸方向両側に位置し、柱部54の外周面54aと略一様径の外径を有する軸方向内壁面60と、によって構成される。また、軸方向内壁面60は、径方向外側に向かうに従い、溝部58の軸方向幅が広がるように形成されている(図3(B)参照。)。このような溝部58を形成することで、ポケット部56及び溝部58は互いに軸方向において連通しないように形成される。
即ち、分割型保持器50´を構成する二つの保持器片50C、50Dは、円環部分152と、円環部分152の軸方向外側面から軸方向外側に突出する複数の柱部分154と、をそれぞれ備え、各保持器片50C、50Dの円環部分152同士が並んで配置される。また、各保持器片50C、50Dの円環部分152には、円筒面59と、円筒面59の軸方向外側に位置し、柱部分154の外周面と略一様径の外径を有する軸方向内壁面60を有し、溝部58は、互いに当接した二つの保持器片50C、50Dの各円筒面59と各軸方向内壁面60とによって構成される。
これにより、周方向から見て、円環部52の外周面52aと、外輪20の内周面20aと、二列の円筒ころ40の軸方向内側面40aと、で実質的に区画される断面によって構成されるグリース保持空間SA´は大きく確保することができる。なお、グリース保持空間SA´の容積は、軸受内部空間に封入されるグリースの体積よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の複列円筒ころ軸受10Aによれば、保持器50´の円環部52の外周面52aは、柱部54の外周面54aより小径の円筒面59を有することにより、グリース保持空間SA´を大きく設けることができる。したがって、グリースへの保持器50´の干渉による過度なグリースの掻き戻しが抑制できるので、グリースの攪拌抵抗による発熱が抑制され、慣らし運転時間の短縮が可能となる。また、グリース保持空間SA´に多くのグリースを保持することができるので、グリースの長寿命化が可能となる。
また、この円筒面59によって保持器50´を軽量化することができる。したがって、柱部54の周方向中間部での断面において、保持器50´を構成する一方の保持器50Cの重心の軸方向位置G´は、図4(B)に示す従来の分割型保持器50を構成する一方の保持器50Aの重心の軸方向位置Gに比べて、円筒ころ40の軸方向中心Cに近づく(図4(A)参照。)。また、図示しないが、保持器50´を構成する他方の保持器50Dも同様に、その重心の軸方向位置が、従来の分割型保持器50を構成する保持器50Bの重心の軸方向位置に比べて、円筒ころ40の軸方向中心に近づく。したがって、保持器50´と円筒ころ40の接触挙動が安定し、円筒ころ40のスキューや保持器50´の傾きを抑制することが可能となる。このことから、保持器50´の暴れの抑制、及び低振動化が可能となり、保持器50´によるグリースの掻き戻しが減少する。
また、各保持器50C、50Dの軸方向重心が各列の円筒ころ40の軸方向中心に近づくことにより、円筒ころ40から各保持器50C、50Dへ駆動力を伝達する際、円筒ころ40の駆動方向に対して、各保持器50C、50Dの回転方向がより平行になる。したがって、余計なモーメントの発生が抑制され、保持器50´の回転方向を矯正するための摩擦損失が減少し、低トルク化が可能となる。
また、保持器50´の軽量化により、イナーシャを減少させることができる。したがって、低トルク化が可能となり、回転力をよりグリースの掃き出しに利用することができると共に、加減速時の保持器50´の動力損失も低減することが可能となる。
これらの効果により、保持器によるグリースの掻き戻しの減少、及び慣らし運転時間の短縮の効果をより高めることが可能となる。
また、本実施形態の複列円筒ころ軸受10は、図14に記載した従来の円筒ころ軸受101と異なり、製造過程において特別な精度管理が必要ないので、通常の製造過程とほぼ同等の条件で製造することが可能である。
また、保持器50´の円環部52の外周面52aには、柱部54の外周面より小径の円筒面59と、円筒面59の軸方向両側に位置し、柱部54の外周面と略一様径の外径を有する軸方向内壁面60と、によって溝部58が構成されるので、ポケット部56及び溝部58は互いに軸方向において連通しないように形成される。したがって、グリースがポケット部56内に直接掻き戻されにくくなり、慣らし運転時間を短縮することができる。また、柱部54の肉厚の減少がないため、柱部54の付け根部分への応力集中による柱部の破断を防止することができる。また、連通した場合と比較して、円環部52は軸方向両側で肉厚が確保でき、略円環形状として断面二次モーメントが大きくできるため、円環部52の強度を向上することが可能となる。
また、グリース保持空間SA´の容積は、軸受内部空間に封入されるグリースの体積よりも大きいので、封入されたグリースは、最大で軸受外部に排出されることなくグリース保持空間SA´に留めることができ、グリースの長寿命化が可能となる。
なお、溝部58の形状は、本実施形態の断面略台形形状に限らず、例えば、図5(A)に示すような断面略矩形形状であってもよく、図5(B)に示すような軸方向内壁面60を曲面とした形状であってもよく、図5(C)に示すような径方向外側に向かうに従い、溝部58の軸方向幅が狭くなるような断面略台形形状であってもよい。
また、図6に示すように、外輪20の内周面20aには、軸方向における二列の円筒ころ40の軌道面間において、径方向外側にむかって外輪溝部20bが凹設されてもよい。これにより、外輪溝部20bは、保持器50´の円環部52の溝部58と径方向において対向し、グリース保持空間SA´の容積をさらに大きくすることができ、保持できるグリースの量を増加してグリースの長寿命化を図ることができる。
また、本発明の保持器は、二つの保持器50A及び50Bを軸方向において組み合わせて構成される分割型保持器50´であるとしたが、これに限定されず、図7に示すような一体型保持器50´´であってもよい。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る複列円筒ころ軸受10Aを示す図である。この複列円筒ころ軸受10Aは、外輪20の構造において第1実施形態と異なる。第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して、その説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態の複列円筒ころ軸受10Aでは、図8に示すように、外輪20には、外輪溝部20bから外周面に連通するグリース補給穴22が形成されており、図示しない軸受外部のグリース補給装置と接続されている。グリース補給装置としては、公知のものが適用され、一定間隔で断続的にグリース補給穴22にグリースを供給する。通常、グリースを補給する際、一時的にグリース補給穴22にグリースが堆積することになり、この堆積したグリースが保持器50´に干渉すると、余剰なグリースが転動面へと掻き出され、異常発熱を引き起こす可能性がある。しかしながら、本実施形態においては、グリース補給穴22は保持器50´の円環部52の溝部58と径方向において対向するように形成されているため、グリース補給穴22に堆積したグリースが保持器50´に干渉することが抑制され、より効率的にグリース補給を行うことが可能となる。
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る複列円筒ころ軸受10Aを示す図である。この複列円筒ころ軸受10Aは、外輪20の構造において第2実施形態と異なる。第2実施形態と同一構成については、同一符号を付して、その説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態の複列円筒ころ軸受10Aでは、外輪20には、図8に示すグリース補給穴22に加えて、グリース補給穴22と別位相位置にグリース排出穴24が設けられている。例えば、図9では、グリース補給穴22は、外輪20の上方に位置し、グリース排出穴24は、グリース補給穴22と180°位相が異なる外輪20の下方に位置する。また、グリース排出穴24は、環状の外輪溝20bと連通している。このようにグリース排出穴24を設けることで、潤滑使用済みのグリースや過補給された際の余剰グリースが軸受から排出できるため、より効果的に保持器性能を引き出すことが可能となる。
なお、本実施形態では、図9及び図10に示すように、外輪20の外周面には、グリース補給穴22とグリース排出穴24が開口する位置に、グリース補給凹部23とグリース排出凹部25とがそれぞれ形成されている。グリース補給凹部23とグリース排出凹部25とは、両者が離間されていれば、外輪20の外周面の円周方向のある位相範囲に形成される円周溝であってもよいし、又は、ある位相に固定した穴であってもよい。
また、グリース補給穴22、グリース補給凹部23、グリース排出穴24、及びグリース排出凹部25は、各々1個でもよいし、複数個でもよい。例えば、図11では、周方向に離間して配置された3つのグリース補給穴22が、単一のグリース補給凹部23に開口するように、グリース補給凹部23が溝状に形成されている。また、周方向に離間して配置された3つのグリース排出穴24も、単一のグリース排出凹部25に開口するように、グリース排出凹部25が溝状に形成されている。
また、工作機械に使用される本実施形態の複列円筒ころ軸受10Aは、全ての円筒ころ40が振動せずに転動するように、外輪20はしまり嵌めにて図示しないハウジングに内嵌されているので、グリース補給凹部23やグリース排出凹部25内のグリースが外輪20とハウジング間に漏れることがない。
さらに、上記実施形態では、外輪20を軸受固定輪とした場合を示しているが、内輪が固定輪の場合には、内輪内径に、同様のグリース補給穴、グリース補給凹部、グリース排出穴、グリース排出凹部を形成してもよい。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
ここで、慣らし運転時間短縮効果を立証するため、図1に示すような本発明の複列円筒ころ軸受10Aと、図13に示すような従来の一般的なくし型保持器を使用した複列円筒ころ軸受とを用いて試験を行なった。なお、試験に使用される複列円筒ころ軸受は、内径240mm、外径360mm、幅92mmとし、同量のグリースが初期封入される。
本試験では、ある時間単位で段階的に回転数を上げていき、最終的には所定の回転数にて一定時間運転させた後慣らし運転を完了する、いわゆる連続慣らし運転を行なった。本試験は、内輪回転とし、固定側の外輪の外周面の温度を評価パラメータとしている。また、アラーム温度と運転再開温度を設定し、ある回転数で慣らし運転中、グリース封入後のころの転動面やころのポケット内に存在する過剰のグリースの攪拌熱の影響で、軸受の急激な昇温により軸受温度がアラーム温度を超えた場合、運転を止め、軸受温度が運転再開温度まで冷却された後、同回転数にて、その回転数での運転時間をゼロに戻して慣らし運転を再開することとしている。
図12は、各保持器による慣らし運転試験結果を示している。尚、本結果は、アラームによる運転停止後から、運転再開までの冷却時間は省略している。この結果を比較すると、従来の保持器では、慣らし運転完了までに14回のアラーム停止が行なわれたのに対して、本発明の保持器では、5回のアラーム停止となっており、明確な改善効果が確認できる。また、本試験結果では省略されているが、アラーム停止から運転再開までは、数時間程度の冷却時間を要する。このため、本発明の保持器の冷却時間を含めた慣らし運転の延べ時間は、従来の保持器と比較して、1/2〜1/3程となり、格段に短縮できる。なお、図12に示したデータは一例であるが、同試験を複数回行なった際にも、同様の傾向が確認できている。従って、本発明の保持器による慣らし運転時間の短縮効果が実験的に証明された。
10A 複列円筒ころ軸受
20 外輪
20a 内周面
30 内輪
30a 外周面
32a、32b 内輪鍔部
40 円筒ころ
40a 軸方向内側面
50´ 分割型保持器(保持器)
52 円環部
52a 外周面
54 柱部
54a 外周面
56 ポケット部
58 溝部
59 円筒面
60 軸方向内壁面
SA´ グリース保持空間

Claims (4)

  1. 外輪と、
    内輪と、
    前記外輪と前記内輪との間に転動自在とされ、且つ、軸方向に二列に整列され、各列とも周方向に所定の間隔で配置された複数の円筒ころと、
    略円環形状の円環部と、前記円環部の軸方向外側面から軸方向両側に突出する複数の柱部と、を有し、前記円環部と周方向において隣接する前記柱部とでそれぞれ形成される各ポケット部に前記各円筒ころを保持する保持器と、
    を備え、
    前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間に形成された軸受内部空間にグリースが封入される複列円筒ころ軸受において、
    前記保持器の円環部の外周面には、前記柱部の外周面より小径の円筒面を有することを特徴とする複列円筒ころ軸受。
  2. 前記保持器の円環部には、前記円筒面と、前記円筒面の軸方向両側に位置し、前記柱部の外周面と略一様径の外径を有する軸方向内壁面と、によって環状の溝部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の複列円筒ころ軸受。
  3. 周方向から見て、前記円環部の外周面と、前記外輪の内周面と、二列の前記円筒ころの軸方向内側面と、で実質的に区画される断面によって構成される環状のグリース保持空間の容積は、前記軸受内部空間に封入される前記グリースの体積よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の複列円筒ころ軸受。
  4. 前記保持器は、円環部分と、該円環部分の軸方向外側面から軸方向外側に突出する複数の柱部分と、をそれぞれ備える一対の保持器片によって構成され、各保持器片の円環部分同士が並んで配置される分割型保持器であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の複列円筒ころ軸受。
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