JP2012186647A - プロファイル作成方法、プロファイル作成プログラムおよび印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第二色彩値特性を補正して第一色彩値特性に近似させ、近似後の第二色彩値特性に基づいてインク量の新たな制限値を決定し、指定したインク量のインクを第一印刷媒体に付着させたときの画質を評価するための目的関数を用いたインク量の最適化によって、格子点が示す色彩値を再現するインク量を決定する際に、上記決定された新たな制限値以下のインク量を指定して上記最適化を実行し、最適化により決定されたインク量を第一色彩値特性と第二色彩値特性とに基づく変換関係によって変換し、変換したインク量を規定した第二印刷媒体のためのプロファイルを作成する。
【選択図】図20
Description
色変換ルックアップテーブルの入力格子点や出力格子点の配置を平滑なものにする技術として、例えば本願の出願人により開示された特許文献1に記載されたものがある。この平滑化では、Lab表色系の格子点を移動させた後、目的関数を用いた最適化処理を利用して、移動後のL*a*b*格子点を再現する最適なインク量を決定している。この最適なインク量は、目的関数を最小とするようなインク量として決定される。
さらに、目的関数には、各インク量のインクを印刷媒体に付着した場合に再現される色の色彩値に基づいて画質を評価する項が含まれるため、インク量に基づいて色彩値を予測するための色予測モデルも印刷媒体の種類ごとに準備しておかなければならないという問題があった。全ての種類の印刷媒体毎に色予測モデル等を予め用意しておくには多くの手間とリソースを要する。そのため、色予測モデルを一部の種類の印刷媒体(基本メディア)に対しては用意しておき、色予測モデルを用意していない種類の印刷媒体(転用メディア)について色変換ルックアップテーブルを作成する際には、基本メディアに対して用意されている色予測モデルを用いてインク量に基づく色彩値の予測を行うということも考えられる。つまり、基本メディアに対して用意されている色予測モデルを用いてインク量に基づく色彩値の予測を実行し、予測された色彩値に基づいて目的関数によるインク量の最適化を行い、最適化により決定したインク量に基づいて転用メディア用の色変換ルックアップテーブルを作成する。
当該構成によれば、第一印刷媒体を前提としたインク量の最適化を行なう際のインク量の制限値として、当該最適化の結果を用いて第二印刷媒体にとってのプロファイルを作成することを考慮した最適な制限値を決定することができる。
当該構成によれば、第一色彩値特性に近似する補正後の第二色彩値特性を容易に得ることができる。
当該構成によれば、階調性が特に重視される特定の色彩値範囲において第一色彩値特性に対する近似度合いが高い補正後の第二色彩値特性を得ることができる。そのため、このような近似後の第二色彩値特性に基づいて上記新たな制限値を決定することで、第一印刷媒体を前提としたインク量の最適化を行なう際のインク量の制限値として、当該最適化の結果を用いて第二印刷媒体にとってのプロファイルを作成することを考慮した最適な制限値を決定することができる。
当該構成によれば、第一印刷媒体と第二印刷媒体との色味の差分を考慮することにより、格子点の現実の色彩値を無彩色に拘束することができる。
A.装置構成と全体処理手順:
B.基本メディアのLUT作成手順:
B−1.全体手順:
B−2.力学モデル:
B−3.スムージング処理(平滑化および最適化処理)の処理手順:
B−4.最適化処理の内容:
C.印刷装置の構成:
D.転用メディアのLUT作成手順:
E.変形例:
図1は、本発明の一実施例におけるプロファイル作成装置の構成を示すブロック図である。プロファイル作成装置は、プロファイル作成方法の実行主体となる。当該装置の主要部は実体的にはコンピューター10により実現される。具体的には、コンピューター10が備えるCPU12が、ハードディスクドライブ(HDD)400等に記憶されたプログラム(プロファイル作成プログラム等)を読み込み、プログラムをRAM13に展開しながらプログラムに従った演算を実行することにより、ベースLUT作成モジュール100、色補正LUT作成モジュール200、LUT作成条件設定モジュール700等の各機能を実現する。コンピューター10には図示しない表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)が接続されており、各処理に必要なUI(ユーザーインターフェイス)の表示が表示装置において行われる。さらに、コンピューター10には図示しない入力装置(例えば、キーボードやマウス。)が接続されており、各処理に必要な情報が入力装置を介して入力される。また、コンピューター10にはプリンター20(図17)と図示しない測色機が接続されている。また、コンピューター10は、フォワードモデルコンバーター300を備える。フォワードモデルコンバーター300は、さらに分光プリンティングモデルコンバーター310と色算出部320とを備える。フォワードモデルコンバーター300は、色予測モデルに該当する。これらの各部の機能については後述する。「LUT」は、プロファイルの一種としてのルックアップテーブルの略語である。
B−1.全体手順
図6は、実施例においてコンピューター10が基本メディアのベースLUTを作成する手順を示すフローチャートである。図7(A)〜(C)は、図6のステップS100〜S300によってベース3D−LUTを作成する場合の処理内容を示す説明図である。ステップS100では、設定テーブルSTBに記憶された情報に基づいて、フォワードモデルコンバーター300とインバースモデル初期LUT410と画質評価指数コンバーター136とが準備(起動)される。上述したように、基本メディアについては、該基本メディアのための分光プリンティングモデルコンバーター310と画質評価指数コンバーター136とが準備されているため、これらを起動して使用可能とする。また、設定テーブルSTBには無効フラグが添付されているため、インク量コンバーター710は起動させない。ここで「フォワードモデル」とは、インク量Ijを機器非依存表色系の色彩値に変換する(インク量から測色値を予測する)変換モデルを意味し、「インバースモデル」とは、逆に、機器非依存表色系の色彩値をインク量に変換する変換モデルを意味している。実施例では、機器非依存表色系としてCIE−Lab表色系を使用する。なお、以下では、CIE−Lab表色系の色彩値を、単に「L*a*b*値」または「Lab値」とも呼ぶ。
・点PK:(R,G,B)=(0,0,0)に対応する紙黒点。
・点PW:(R,G,B)=(255,255,255)に対応する紙白点。
・点PC:(R,G,B)=(0,255,255)に対応するシアン点。
・点PM:(R,G,B)=(255,0,255)に対応するマゼンタ点。
・点PY:(R,G,B)=(255,255,0)に対応するイエロー点。
・点PR:(R,G,B)=(255,0,0)に対応するレッド点。
・点PG:(R,G,B)=(0,255,0)に対応するグリーン点。
・点PB:(R,G,B)=(0,0,255)に対応するブルー点。
図11は、本実施例のスムージング処理(平滑化および最適化処理)に利用される力学モデルを示す説明図である。ここでは、L*a*b*色空間内に上述した入力格子点に対応する格子点(白丸および2重丸)が配列されている様子を示している。ただし、ここでは説明の便宜上、格子点の配置を2次元的に描いている。この力学モデルでは、着目格子点gに対して次式の仮想的な力Fpgが係るものと仮定する。
ここで、Fgは着目格子点gが隣接格子点gn(nは1〜N)から受ける引力の合計値、Vgは着目格子点gの速度ベクトル、−kvVgは速度に応じた抵抗力、Xgは着目格子点gの位置ベクトル、Xgnは隣接格子点gnの位置ベクトル、kp,kvは係数である。係数kp,kvは予め一定の値に設定される。なお、文中では、ベクトルを示す矢印は省略される。
図13は、スムージング処理(図6のステップS300)の典型的な処理手順を示すフローチャートである。ステップT100では、初期値設定モジュール120(図1)が、スムージング処理の対象とする複数の格子点を初期設定する。
ここで、I(R,G,B)は、入力格子点のRGB値に対するインクセット(複数のインクのインク量の組合せ)全体のインク量Ij(図7の例では4種類のインクのインク量Ij)を表している。RGB値が0または255を取る入力格子点に対するインク量(仮インク量)は、図6のステップS200においてユーザーによって予め入力された初期入力値である。前記(2)式および(3)式によれば、任意のRGB値における仮インク量I(R,G,B)を求めることが可能である。
ここで、I(C,M,Y,K)は、K=0の8個の頂点におけるインク量の初期入力値から、前記(2)式と同様の式で算出されたインク量である。(6)式の関数f D1は値I(C,M,Y,0)と値I(0,0,0,255)の合計値がデューティー制限値D I8をオーバーする場合に、値I(C,M,Y,0)を減じることによって、インク量I(C,M,Y,255)がデューティー制限値D I8内に納まるようにする関数である。また(7)式の関数f D2は、値I(C,M,Y,0)と値I(0,0,0,255)の合計値がデューティー制限値D I8をオーバーする場合に、合計値(I(C,M,Y,0)+I(0,0,0,255))の全体を減じることによって、インク量I(C,M,Y,255)がデューティー制限値D I8内に納まるようにする関数である。
ここで、L* (R,G,B)、a* (R,G,B)、b* (R,G,B)、L* (C,M,Y,K) 、a* (C,M,Y,K)、b* (C,M,Y,K)はフォワードモデルコンバーター300による変換後の色彩値L*a*b*を示しており、関数fL*FM、fa*FM、fb*FMはフォワードモデルコンバーター300による変換を意味している。なお、これらの式からも理解できるように、この変換後の色彩値L*a*b*は、ベースLUTの入力値であるRGB値またはCMYK値に対応付けられている。
(1)ベースLUTの入力格子点の値:(R,G,B)または(C,M,Y,K)
(2)各入力格子点に対応するL*a*b*空間の格子点の初期座標値:(L* (R,G,B),a* (R,G,B),b* (R,G,B))または(L* (C,M,Y,K),a* (C,M,Y,K),b* (C,M,Y,K))
(3)各入力格子点に対応する初期インク量:I(R,G,B)またはI(C,M,Y,K)
以上の説明から理解できるように、初期値設定モジュール120は、代表的な入力格子点に関する入力初期値から他の入力格子点に関する初期値を設定する機能を有している。なお、初期値設定モジュール120は、スムージング処理モジュール130に含まれるものとしてもよい。
最適化処理の目的関数E(図15(C)参照)は、インク量の関数である色彩値(L*a*b*値)および画質評価指数に関するヤコビ行列Jを用いて表現することが可能である。各画質評価指数は、画質評価指数コンバーター136によって算出される。後述するように、各画質評価指数は、各インク量のインクを基本メディアに付着させた場合の画質を評価する指数である。ヤコビ行列Jは、例えば以下の(10)式で表される。
ここで、aLは明度補正係数、WS(u)はカラーパッチの印刷に利用されるハーフトーンデータが示す画像のウイナースペクトラム、VTF(u)は視覚の空間周波数特性、uは空間周波数である。ハーフトーンデータは、カラーパッチのインク量Ijからハーフトーン処理(プリンター20が実行するハーフトーン処理と同一のものとする)によって決定される。前記(16)式は一次元で表現しているが、空間周波数の関数として二次元画像の空間周波数を算出することは容易である。粒状性指数GIの計算方法としては、例えば、本出願人により開示された特開2006−103640号公報に記載された方法を利用することができる。特開2006−103640号公報の方法では、印刷媒体にテストインク量Ijのインクを付着させて形成したカラーパッチを測定することにより得られた粒状性指数GIに基づいて学習したニューラルネットワークによって任意のインク量Ijで印刷した場合の粒状性指数GIを予測する。本実施例では、ニューラルネットワークが基本メディアに形成したカラーパッチの測定結果に基づいて学習されている。実体的には、画質評価指数コンバーター136がニューラルネットワークに任意のインク量Ijを入力することにより、該インク量Ijのインクを基本メディアに付着させた場合の粒状性指数GIを算出する。
ここで、ΔL*は2つの異なる観察条件下(異なる光源下)におけるカラーパッチの明度差、ΔC* abは彩度差、ΔH* abは色相差を示す。非色恒常性指数CIIの計算時には、2つの異なる観察条件下でのL*a*b*値は、色順応変換(CAT)を用いて標準観察条件(例えば標準の光D65の観察下)に変換される。なお、観察条件下でのL*a*b*値は、上述したフォワードモデルコンバーター300によって算出される。フォワードモデルコンバーター300(分光プリンティングモデルコンバーター310)は基本メディアについて準備されたものであるため、非色恒常性指数CIIによれば各インク量Ijのインクを基本メディアに付着させた場合の非色恒常性を評価することができる。CIIについては、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.129, pp. 213-215を参照。
ここで、fL*FMは、フォワードモデルによるインク量IからL*値への変換関数、Irはインク量Iの現在値(平滑化および最適化処理前のインク量)、hjはj番目のインク量Ijの微小変動量である。L*値について(17)式を例示したが、a*b*値についても同様である。L*a*b*値は、上述したフォワードモデルコンバーター300((11)式)によって算出されるため、L*a*b*値は各インク量Ijのインクを基本メディアに付着させた場合の色彩値を意味する。ヤコビ行列Jの最下行を除く他の成分も同様の形式で表される。前記(14)、(18)式に準じて、ヤコビ行列Jの最下行の要素を算出すると、ヤコビ行列Jの最下行の要素はすべて1となる。あるインクのインク量Ijが微小変動量hjだけ変動した場合の合計インク量TIの変動量もhjとなるからである。
ここで、右辺の各項の最初に記載されているw L*,w a*等は、各項の重みである。各項の重みw L*,w a*…は、ステップS05において、ユーザーから指定され、設定テーブルSTBに格納された重みw L*,w a*…が使用される。特に、ユーザーがポインターの位置を初期位置から移動させなかった場合には、デフォルト重みw L*,w a*…が使用される。従って、目的関数Eによって重要視される項目がメディアおよびユーザーの設定に依存することとなる。
(最適化条件)目的関数Eを最小とする。
(制約条件)デューティー制限値を守る。
ここで、ベクトルbは、デューティー制限値の対象となるインク種類を識別するための係数であり、要素に0か1を持つベクトルである。例えば、1種類のインクに関するデューティー制限値の場合には、ベクトルbの1個の要素のみが1となる。一方、全インクの合計インク量に関するデューティー制限値の場合には、ベクトルbのすべての要素が1となる。(31)式の右辺のDIは、個々のデューティー制限値DIjを要素とするベクトルである。(31)式の右辺、左辺とも、j=1〜8であるとする。すなわち、デューティー制限値に関する制約条件を課す際には、2次色の合計インク量I5〜I7と全部の合計インク量I8も考慮する。
図17は、プリンター20の構成を示している。同図において、プリンター20はCPU50とRAM52とROM51とメモリーカードスロット53とバス54とASIC55を備えている。ROM51に記憶されたプログラムデータ15aをRAM52に展開しつつCPU50がプログラムデータ15aにしたがった演算を行うことによりプリンター20を制御するためのファームウェアFWが実行される。ファームウェアFWは、メモリーカードスロット53に装着されたメモリーカードMCに記憶された印刷データPDに基づいて駆動データを生成可能である。ASIC55は駆動データを取得し、紙送り機構57やキャリッジモータ58や印刷ヘッド59の駆動信号を生成する。ROM51においては、コンピューター10から提供された色補正3D−LUT610が記憶されている。色補正3D−LUT610には設定テーブルSTBが添付されており、設定テーブルSTBに記述されたメディアごとに色補正3D−LUT610が用意されている。プリンター20はキャリッジ60を備えており、キャリッジ60は複数のインクカートリッジ61を取り付け可能なカートリッジホルダー61aを備える。キャリッジ60は、各インクカートリッジ61から供給されるCMYKの各色インクを多数のノズルから吐出する印刷ヘッド59を備える。
図2の全体処理のステップS06において、コンピューター10は、転用メディアが指定されたと判定した場合ステップS09〜を実行する。まず、ステップS09において、LUT作成条件設定モジュール700は、被転用メディアを決定する。被転用メディアとは、基本メディアのうち、ステップS01で指定された転用メディアの系統と同じ系統の基本メディアを言う。指定された転用メディアの系統が未分類であった場合には、基本メディアのうち各インクの発色特性が標準的なものを被転用メディアとする。被転用メディアを特定する情報は、設定情報格納モジュール730によって設定テーブルSTBに登録される。ステップS10においては、設定情報格納モジュール730が、メディアテーブルMTBに記憶された被転用メディアの発色特性データとデューティー制限値DIj(以下、被転用メディアのデューティー制限値DIjを基準デューティー制限値DSIjと表記する。)とを取得し、基準デューティー制限値DSIjを設定テーブルSTBに登録する。
さらに、(35)式のように、転用メディア色味(aC *,bC *)(白三角)から被転用メディア色味(aS *,bS *)(黒三角)を差し引くことにより、差分色味(aD *,bD *)を算出する。
以上のようにして、差分色味aD *,bD *を算出できると、差分色味(aD *,bD *)の符号を逆にしたベクトル(−aD *,−bD *)が示す色相方向を、グレーターゲットの色味(agt *,bgt *)の色相方向として設定する(ステップS22)。すなわち、グレーターゲットの色味(agt *,bgt *)は、ベクトル(−aD *,−bD *)に正の係数kを乗算したベクトルとなる。係数kの大きさは、例えばユーザーによって設定される。ステップS23では、設定情報格納モジュール730が、グレーターゲットの色味(agt *,bgt *)を設定テーブルSTBに格納する。さらに、ステップS24において、設定情報格納モジュール730は、インク量コンバーター710を有効とする旨の有効フラグを設定テーブルSTBに格納させる。以上の処理により、図5に示す設定テーブルSTBには、必要な設定情報が記憶されたこととなる。以降、設定テーブルSTBを参照しながら、転用メディアのためのベースLUTを作成する処理に移行する。ここでは、基本メディアのためのベースLUTを作成する処理と異なる部分について順に説明していく。
一方、補正値RWが1.0より大きい場合は、仮デューティー制限値DPIjは基準デューティー制限値DSIjより大きな値となる。その場合、被転用メディアのフォワードモデルコンバーター300や画質評価指数コンバーター136に対して入力されるインク量Ijの中には、これらコンバーターによる色彩値等を予測可能なインク量Ij(j=1〜8)の範囲(基準デューティー制限値DSIj以内)を超えるようなインク量Ijが存在し得る。このように被転用メディアのフォワードモデルコンバーター300や画質評価指数コンバーター136に対して、これらコンバーターが色彩値等を予測可能なインク量Ij(j=1〜8)の範囲を超えるようなインク量Ijが入力(指定)されると、色彩値等の予測結果が破綻し、インク量Ijの最適化(最適なインク量の決定)が実質的に実行できないことがある。
なお、この発明は前記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。上記実施例や各変形例は適宜組み合わせることができる。
ここで、第一色彩値特性におけるインク量の最大値(基準デューティー制限値DSIj)と第二色彩値特性におけるインク量の最大値(デューティー制限値DIj)との差異が所定程度以上大きい場合、それらを上述したように正規化すると(図2のステップS16)、第一色彩値特性と第二色彩値特性との特性差が強調され過ぎたり逆に小さくなり過ぎる場合がある。このような状態で第二色彩値特性を補正して第一色彩値特性に近似させると、補正がかかり過ぎたり逆に殆ど補正されなかったりするため、転用メディアの明度特性を被転用メディアの明度特性に合わせ込む(近似させる)ことで適切な仮デューティー制限値(仮デューティー制限値を生成するための補正値RW)を決定する、という狙いを達成できないおそれがある。そこで、当該ステップS16の処理は行なわないとしてもよい(第一色彩値特性におけるインク量の最大値(基準デューティー制限値DSIj)と第二色彩値特性におけるインク量の最大値(デューティー制限値DIj)との差異が所定程度より小さい場合に、上記実施例のようにステップS16を実行するとしてもよい)。
上記においては、転用メディア用のベースLUT510,520を作成する際、被転用メディアの特性を前提としたインク量の最適化により決定されたインク量Ij(j=1〜4)を、第一色彩値特性と第二色彩値特性との特性差を補償するような変換関係によって変換した上でベースLUT510,520の出力値として登録した。ただし、上記のように最適化により決定されたインク量Ij(j=1〜4)に転用メディアのデューティー制限値と仮デューティー制限値との比率(DIj/DPIj。j=1〜4。)を掛けて変換した値をベースLUT510,520の出力値として登録してもよい。これによれば、仮デューティー制限値の下で最適化されたインク量を、転用メディアにおいてインク量がとり得る範囲のインク量へ変換することができる。ただし、仮デューティー制限値>被転用メディアの基準デューティー制限値である場合には、実質的に基準デューティー制限値を上限とした最適化によりインク量が決定されるため、上記のように決定されたインク量Ijに転用メディアのデューティー制限値と基準デューティー制限値との比率(DIj/DSIj。j=1〜4。)を掛けて変換した値をベースLUT510,520の出力値として登録してもよい。
図26は、メディア特性指定UI画像を示す図である。同図においては、被転用メディアと転用メディアの色彩値特性(C*,L*)が示されている。一般的に、各メディアにデューティー制限値DIj程度のインクを付着させると、それ以上インクを付着させても発色が変動しなくなる。そのため、C*値,L*値の傾きの絶対値が所定の基準値(≒0)と等しくなるインク量Ijをデューティー制限値DIjとしてもよい。図26の例では、色彩値特性のグラフにおいて傾きの絶対値が基準値と等しくなるインク量Ijにマーカー(白三角)を表示させるようにしている。これにより、ユーザーが、どのインク量Ijにデューティー制限値DIjが設定されるかを認識することができる。図26の例では、ユーザーによるラジオボタンの選択により、デューティー制限値DIjを直接指定することも可能としている。これにより、マーカーの位置が、ユーザーがにじみを感じたカラーパッチのインク量Ijと明らかに異なる場合等にも対応することができる。
前記実施例では、機器非依存表色系としてCIE−Lab表色系を利用していたが、CIE−XYZ表色系やCIE−L*u*v*表色系などの他の任意の機器非依存表色系を利用することが可能である。ただし、滑らかな色再現を実現するという意味からは、CIE−Lab表色系やCIE−L*u*v*表色系などの均等色空間である機器非依存表色系を用いることが好ましい。
前記実施例では、平滑化処理として力学モデルを利用した処理を採用していたが、他の種類の平滑化処理を採用してもよい。例えば、隣接する色彩値同士の間隔を測定し、その平均値になるべく近づくように個々の間隔を調整する平滑化処理を採用することも可能である。
本明細書において「インク」とは、インクジェットプリンタやオフセット印刷等に用いられる液体状インクに限らず、レーザプリンタに用いられるトナーも含む広い意味で使用されている。このような「インク」の広い意味を有する他の用語としては、「色材」や「着色材」、「着色剤」を用いることも可能である。
前記実施例では、ルックアップテーブルのような色変換プロファイルを作成する方法および装置に関して説明したが、本発明は、こうして得られた色変換プロファイルを印刷装置に組み込む組み込み部を備える印刷装置製造システムにも適用可能である。色変換プロファイルを作成する色変換プロファイル作成装置は、この印刷装置製造システムに含まれるものとしてもよく、他のシステムや装置に含まれるものとしてもよい。なお、この製造システムの組み込み部は、例えば、プリンタドライバのインストーラ(インストールプログラム)として実現することができる。
Claims (8)
- 機器非依存表色系の格子点が示す色彩値を再現するためのインク量を決定することにより、インク量を規定したプロファイルを作成するプロファイル作成方法であって、
第一印刷媒体に付着可能なインク量の制限値までのインク量の変化に対応する第一印刷媒体における色彩値の変化を示した第一色彩値特性を取得する第一取得工程と、
第一印刷媒体とは異なる第二印刷媒体に付着可能なインク量の制限値までのインク量の変化に対応する第二印刷媒体における色彩値の変化を示した第二色彩値特性を取得する第二取得工程と、
第二色彩値特性を補正して第一色彩値特性に近似させ、当該近似後の第二色彩値特性に基づいてインク量の新たな制限値を決定する制限値決定工程と、
指定したインク量のインクを第一印刷媒体に付着させたときの画質を評価するための目的関数を用いたインク量の最適化によって、格子点が示す色彩値を再現するインク量を決定する際に、上記決定された新たな制限値以下のインク量を指定して上記最適化を実行するインク量決定工程と、
上記最適化により決定されたインク量を第一色彩値特性と第二色彩値特性とに基づく変換関係によって変換し、当該変換したインク量を規定した第二印刷媒体のためのプロファイルを作成するプロファイル作成工程と、を備えることを特徴とするプロファイル作成方法。 - 上記制限値決定工程では、上記近似後の第二色彩値特性におけるインク量の最大値に基づいて上記新たな制限値を決定することを特徴とする請求項1に記載のプロファイル作成方法。
- 上記制限値決定工程では、第二色彩値特性における複数の参照点をインク量方向に移動させ移動後の各参照点に基づいて曲線を生成し、当該生成した曲線と第一色彩値特性との近似度合いを評価し、最も近似度合いが高い曲線を上記近似後の第二色彩値特性とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロファイル作成方法。
- 上記制限値決定工程では、上記曲線における複数の参照点のうち特定の色彩値範囲に属する参照点に対して他の参照点よりも評価時の重みを与えて上記曲線と第一色彩値特性との近似度合いを評価することを特徴とする請求項3に記載のプロファイル作成方法。
- 上記第一色彩値特性および第二色彩値特性がインク量の変化に対応する明度変化を示したものである場合、上記制限値決定工程では、上記曲線における複数の参照点のうち少なくとも特定の中明度領域に属する参照点に対して上記重みを与えることを特徴とする請求項4に記載のプロファイル作成方法。
- 上記インク量決定工程では、無彩色に拘束すべき格子点を、無彩色から第一印刷媒体と第二印刷媒体との色味の差分に基づく色相方向にずれた色彩値に拘束することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 機器非依存表色系の格子点が示す色彩値を再現するためのインク量を決定することにより、インク量を規定したプロファイルを作成する機能を、コンピューターに実行させるプロファイル作成プログラムであって、
第一印刷媒体に付着可能なインク量の制限値までのインク量の変化に対応する第一印刷媒体における色彩値の変化を示した第一色彩値特性を取得する第一取得機能と、
第一印刷媒体とは異なる第二印刷媒体に付着可能なインク量の制限値までのインク量の変化に対応する第二印刷媒体における色彩値の変化を示した第二色彩値特性を取得する第二取得機能と、
第二色彩値特性を補正して第一色彩値特性に近似させ、当該近似後の第二色彩値特性に基づいてインク量の新たな制限値を決定する制限値決定機能と、
指定したインク量のインクを第一印刷媒体に付着させたときの画質を評価するための目的関数を用いたインク量の最適化によって、格子点が示す色彩値を再現するインク量を決定する際に、上記決定された新たな制限値以下のインク量を指定して上記最適化を実行するインク量決定機能と、
上記最適化により決定されたインク量を第一色彩値特性と第二色彩値特性とに基づく変換関係によって変換し、当該変換したインク量を規定した第二印刷媒体のためのプロファイルを作成するプロファイル作成機能と、を実行させることを特徴とするプロファイル作成プログラム。 - プロファイルを参照して色変換を行なうことにより得られたインク量のインクを印刷媒体に付着させる印刷装置であって、
上記プロファイルは、機器非依存表色系の格子点が示す色彩値を再現するためのインク量を決定することにより作成された、インク量を規定したプロファイルであり、第一印刷媒体に付着可能なインク量の制限値までのインク量の変化に対応する第一印刷媒体における色彩値の変化を示した第一色彩値特性を取得し、第一印刷媒体とは異なる第二印刷媒体に付着可能なインク量の制限値までのインク量の変化に対応する第二印刷媒体における色彩値の変化を示した第二色彩値特性を取得し、第二色彩値特性を補正して第一色彩値特性に近似させ、当該近似後の第二色彩値特性に基づいてインク量の新たな制限値を決定し、指定したインク量のインクを第一印刷媒体に付着させたときの画質を評価するための目的関数を用いたインク量の最適化によって、格子点が示す色彩値を再現するインク量を決定する際に、上記決定された新たな制限値以下のインク量を指定して上記最適化を実行し、上記最適化により決定されたインク量を第一色彩値特性と第二色彩値特性とに基づく変換関係によって変換し、当該変換したインク量を規定することにより作成された第二印刷媒体のためのプロファイルであることを特徴とする印刷装置。
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