JP2012183750A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートへ画像を記録する時間を大幅に長くすることなく、コックリングに起因する画質劣化やシート詰まりの発生を低減できるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】搬送される記録用紙19に画像を記録する記録部24と、マイクロコンピュータ130とを備える。マイクロコンピュータ130は、記録用紙19の用紙搬送向き15における先端から後端の順序で画像を記録するための第1印刷データを180度回転させた第2印刷データを生成可能である。マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて記録部24にインク滴を吐出させた場合に、記録用紙19の先端部に吐出される第1インク量と後端部に吐出される第2インク量とを算出し、両インク量を比較する。マイクロコンピュータ130は、第2インク量が第1インク量よりも少ない場合、第2印刷データに基づいて記録部24にインク滴を吐出させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、シートに液滴を吐出することによって画像記録を行うインクジェット記録装置に関する。
従来より、液滴を吐出してシートに画像記録を行うインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置における画像記録は、記録ヘッドに設けられたノズルから液滴の一例であるインク滴がシートに向けて吐出されることによって実現される。
前述されたインクジェット記録装置において、コックリングと呼ばれる不具合が生じることがある。コックリングとは、インク滴が浸透したシートが変形する現象をいい、この変形により、シートが丸まったり波打ったりすることが知られている。シートにコックリングが生じると、画像記録の途中においてシートと記録ヘッドとの間隔(ヘッドギャップ)が変化する。これにより、シートに記録された画像の精度が劣化するおそれがある。また、変形したシートが記録ヘッドに当接したり、シートの先端が所望の位置から外れて搬送されたりすることにより、シート詰まり(ジャム)が発生するおそれがある。
このような問題を解決するためには、例えば、画像が記録されたシートを、変形が軽減されるまでの所定時間、停止させておくことが考えられる。また、別の解決法として、特許文献1には、画像記録が行われた記録用紙を逆搬送させて、記録用紙の変形を矯正する方向へ矯正力が付与される第1姿勢で記録用紙を挟持して停止すべく、ローラの動作を制御する画像記録装置が開示されている。
特開2009−208265号公報
しかしながら、上記の2つの解決法においては、シートを所定時間停止させる必要がある。これにより、シートに画像を記録する命令が出されてから、画像が記録されたシートが装置外へ排出されるまでの時間、つまり印刷時間が長くなってしまう。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートへ画像を記録する時間を大幅に長くすることなく、コックリングに起因する画質劣化やシート詰まりの発生を低減することができるインクジェット記録装置を提供することにある。
(1) 本発明のインクジェット記録装置は、シートを搬送路に沿った第1向きへ搬送する搬送部と、上記搬送路の上方に設けられており、液滴を吐出することによって、シートに画像を記録する記録部と、上記第1向きの一方の端部から他方の端部の順序でシートに画像を記録するための第1印刷データを、上記第1向きの他方の端部から一方の端部の順序でシートに画像を記録するための第2印刷データに変換する変換手段と、上記第1印刷データまたは上記第2印刷データの少なくとも一方に基づいて、シートにおける上記第1向きの一方の端部の第1領域に吐出される液量に係る第1値、及びシートにおける上記第1向きの他方の端部の第2領域に吐出される液量に係る第2値を算出する算出手段と、上記第1値及び上記第2値を比較する比較手段と、上記第1印刷データまたは上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる制御手段と、を備えている。上記制御手段は、上記第2値が上記第1値よりも小さいことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。
本構成によれば、シートにおける第1向きの一方の端部の第1領域に吐出される液量に係る第1値、及びシートにおける第1向きの他方の端部の第2領域に吐出される液量に係る第2値が、算出手段によって算出される。そして、制御手段は、第2値が第1値よりも小さい場合、第1向きの他方の端部からシートに画像を記録するための第2印刷データに基づいて記録部に液滴を吐出させる。これにより、シートの第1向きの先端部に吐出される液量を少なくすることができる。その結果、シートの先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。また、本構成を採用することによって、画像記録後のシートを所定時間停止させる必要性を低くすることができる。
(2) 上記算出手段によって算出された上記第1値が予め設定された所定値以下であることを条件として、上記変換手段及び上記比較手段は実行されず、上記算出手段は上記第2値を算出せず、且つ上記制御手段は、上記第1印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。
本構成によれば、第1領域の液量に係る第1値が小さい場合に、算出手段及び制御手段によって実行される処理が少なくなり、変換手段及び比較手段は実行されない。これにより、処理時間を短くすることができる。
(3) 上記算出手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値及び上記第2値を算出する。上記比較手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値及び上記第2値を比較する。上記制御手段は、上記第2値が上記第1値よりも小さいシートが、上記第1値が上記第2値よりも小さいシートよりも多いことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。
本構成によれば、複数枚のシートに画像が記録される場合であっても、シートの先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。また、第2値が第1値よりも小さいシートが、第1値が第2値よりも小さいシートよりも多い場合、複数枚のシートの全てが第2印刷データに基づいて画像記録される。これにより、画像記録後に装置外に排出されるシートの向きを揃えることができる。
(4) 上記算出手段は、複数枚のシートについて、上記第1値の合計及び上記第2値の合計を算出する。上記比較手段は、上記第1値の合計及び上記第2値の合計を比較する。上記制御手段は、上記第2値の合計が上記第1値の合計よりも小さいことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。本構成によれば、上記の(3)と同様の効果を得ることができる。
(5) 本発明のインクジェット記録装置は、長辺及び短辺を有するシートが短辺を上記第1向きの下流端及び上流端として搬送可能に保持される第1トレイと、上記第1トレイに保持されているシートと同サイズのシートが長辺を上記第1向きの下流端及び上流端として搬送可能に保持される第2トレイと、上記第1トレイに保持されているシートを上記搬送路に給送する第1給送部と、上記第2トレイに保持されているシートを上記搬送路に給送する第2給送部と、上記第1給送部及び上記第2給送部を制御して、上記第1トレイまたは上記第2トレイの一方からシートを上記搬送路に給送させるトレイ選択手段と、を更に備えている。上記変換手段は、上記第1印刷データを、上記第2印刷データ、上記第2向きの一方の端部から他方の端部の順序でシートに画像を記録するための第3印刷データ、及び上記第2向きの他方の端部から一方の端部の順序でシートに画像を記録するための第4印刷データに変換する。上記算出手段は、上記第1印刷データ、上記第2印刷データ、上記第3印刷データ、または上記第4印刷データの少なくとも一つに基づいて、上記第1値、上記第2値、シートにおける上記第1向きと直交し且つシートの画像記録面に沿った第2向きの一方の端部の第3領域に吐出される液量に係る第3値、及びシートにおける上記第2向きの他方の端部の第4領域に吐出される液量に係る第4値を算出する。上記比較手段は、上記第1値、上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を比較する。上記制御手段は、上記比較手段による比較の結果、上記第2値が最も小さいことを条件として上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第3値が最も小さいことを条件として上記第3印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第4値が最も小さいことを条件として上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。上記トレイ選択手段は、上記第1印刷データまたは上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴が吐出されることを条件として、上記第1トレイまたは上記第2トレイの一方を選択し、上記第3印刷データまたは上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴が吐出されることを条件として、上記第1トレイまたは上記第2トレイの他方を選択する。
本構成によれば、シートの各辺の端部の領域うち、液量が少ない領域に対するインクの吐出が先となるような印刷データに基づいて、記録部によって液滴が吐出される。これにより、シートの第1向きの先端部に吐出される液量を少なくすることができる。その結果、シートの先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。つまり、本構成によれば、シートの第1領域及び第2領域の液量がいずれも多い場合であっても、シートの第3領域または第4領域の液量が少なければ、有効な効果を得ることができる。
(6) 上記算出手段によって算出された上記第1値が予め設定された所定値以下であることを条件として、上記変換手段及び上記比較手段は実行されず、上記算出手段は上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を算出せず、上記制御手段は、上記第1印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、且つ上記トレイ選択手段は、上記第1トレイ及び上記第2トレイのうち、上記第1印刷データを記録可能な向きにシートが保持されているトレイを選択する。本構成によれば、上記の(5)のような構成であっても、上記の(2)と同様の効果を得ることができる。
(7) 上記算出手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値、上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を算出する。上記比較手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値、上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を比較する。上記制御手段は、上記第2値が最も小さいシートの数が一番多いことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第3値が最も小さいシートの数が一番多いことを条件として、上記第3印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第4値が最も小さいシートの数が一番多いことを条件として、上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。
本構成によれば、上記の(5)のような構成であっても、上記の(3)と同様の効果を得ることができる。つまり、本構成によれば、シートの先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。また、本構成によれば、画像記録後に装置外に排出されるシートの向きを揃えることができる。
(8) 上記算出手段は、複数枚のシートについて、上記第1値の合計、上記第2値の合計、上記第3値の合計、及び上記第4値の合計を算出する。上記比較手段は、上記第1値の合計、上記第2値の合計、上記第3値の合計、及び上記第4値の合計を比較する。上記制御手段は、上記第2値の合計が最も小さいことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第3値の合計が最も小さいことを条件として、上記第3印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第4値の合計が最も小さいことを条件として、上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる。本構成によれば、上記の(7)と同様の効果を得ることができる。
(9) 本発明のインクジェット記録装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部を更に備えている。上記第1印刷データは、上記画像読取部によって読み取られた画像のデータを90度またはマイナス90度回転させたデータである。第1印刷データが画像読取部によって読み取られた後に90度または270度回転されたデータである場合でも、上記の(1)〜(8)と同様の効果を得ることができる。
本発明においては、シートの第1向きの先端部に吐出される液量を少なくすることができる。その結果、シートの先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。よって、コックリングに起因する画質劣化やシート詰まりの発生を低減することができる。また、本発明を採用することによって、画像記録後のシートを所定時間停止させる必要性を低くすることができる。これにより、シートへ画像を記録する時間が大幅に長くなることが防止できる。
図1は、本発明の実施形態の一例である複合機1の外観斜視図である。 図2は、プリンタ部2の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、記録ヘッド65の下面図である。 図4は、マイクロコンピュータ130の構成を示すブロック図である。 図5は、記録制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。 図6は、変形例3の記録制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。 図7は、変形例4の記録制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。 図8は、変形例5の記録制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。 図9は、変形例6の記録制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。 図10は、変形例7の記録制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向14が定義され、操作パネル9が設けられている側を手前側(正面)として前後方向12が定義され、複合機1を手前側(正面)から見て左右方向13が定義される。
[複合機1]
図1に示されるように、本発明のインクジェット記録装置の一例である複合機1は、下部に配設されたプリンタ部2と、プリンタ部2の上部に配設されたスキャナ部3(本発明の画像読取部の一例)などを一体的に備えた多機能装置である。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能などを有する。
なお、本実施形態において、複合機1はプリンタ機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機1は両面画像記録機能を有していてもよい。また、本発明を実現するうえで、ファクシミリ機能は任意の機能であり、例えば、本発明に係るインクジェット記録装置が、スキャナ機能及びプリンタ機能のみを有するプリンタとして実施されてもよい。
複合機1は、主にコンピュータなどの外部情報機器(不図示)と接続された状態で使用される。複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、各種操作ボタンや液晶表示部11から構成されている。複合機1は、操作パネル9からの指示情報、又は外部情報機器から送信される指示情報に基づいて、複合機1の動作を統括する後述されるマイクロコンピュータ130(図4参照)により動作される。
[スキャナ部3]
図1に示されるように、スキャナ部3は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)として機能する原稿台35を備えている。原稿台35の上面には、原稿(本発明の原稿に相当)が載置されるプラテンガラス(不図示)が設けられている。スキャナ部3は、原稿台35の上側に配置された原稿カバー36を備えている。原稿カバー36は、プラテンガラスを覆うように原稿台35に対して開閉自在である。原稿カバー36は、原稿台35の背面側の蝶番(不図示)を介して原稿台35と連結されている。原稿台35の内部、つまりプラテンガラスの下側には、イメージセンサ(不図示)が設けられている。プラテンガラスに載置された原稿の画像は、イメージセンサによって読み取られる。
プリンタ部2は、スキャナ部3で読み取られた原稿の印刷データに基づいて、記録用紙19(本発明のシートの一例)に画像を記録する。なお、プリンタ部2は、外部情報機器から受信した印刷データに基づいて、記録用紙19に画像を記録してもよい。この場合、印刷データは、公知の通信インタフェースを介して、マイクロコンピュータ130に入力される。つまり、前記の外部情報機器及び通信インタフェースも、本発明の画像読取部の一例である。
図1に示されるように、原稿カバー36には、ADF(Auto Document Feeder)37が設けられている。ADF37は、原稿載置トレイ38、原稿搬送ローラ(不図示)、原稿搬送路(不図示)、及び原稿排出トレイ39を備えている。
原稿載置トレイ38には、原稿が、画像が記録された面を上側にした状態で載置される。原稿載置トレイ38に載置された原稿は、原稿搬送ローラによって原稿搬送路に沿った向き(以下、原稿搬送向きと記される。)に搬送される。これにより、原稿は、イメージセンサによる画像の読取位置(不図示)へ搬送される。このとき、原稿の状態は、画像が記録された面を下側にした状態、つまり画像が記録された面とイメージセンサとが対向している状態である。原稿に記録された画像は、イメージセンサによって、原稿搬送向きの先端側から順に読み取られる。その後、原稿は、原稿排出トレイ39へ排出される。
原稿載置トレイ38には、複数枚の原稿が重ねられた状態で載置可能である。この場合、ADF37は、最も上側に載置された原稿から順番に連続して、読取位置への搬送、画像の読み取り、及び原稿排出トレイ39への排出を実行する。つまり、本実施形態の複合機1は、複数枚の原稿の画像を、連続して読み取ることが可能である。
[プリンタ部2]
図1に示されるように、プリンタ部2は、正面に開口4が形成されたケーシング5を有する。ケーシング5内にプリンタ部2の各構成要素が配設されている。開口4を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が複合機1に装着される。なお、図1では、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が省略されている。給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙19が収容される。
図2に示されるように、給紙トレイ20の上側には、給送部17が設けられている。給送部17は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ76(図4参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上の記録用紙19に圧接して、その状態で回転する。これにより、積載された記録用紙19が、以下で説明される搬送路23(本発明の搬送路に相当)へ給送される。
搬送路23は、給紙トレイ20の後側の端部から上方且つ複合機1の前側へ曲がって、複合機1の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出されている。搬送路23は、搬送ローラ対54(本発明の搬送部の一例)による挟持位置、記録部24(本発明の記録部の一例)の下側、及び排出ローラ対55(本発明の搬送部の一例)による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から給送された記録用紙19は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至る。記録用紙19は、記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。搬送路23は、記録部24などが配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面29と内側ガイド面28によって形成されている。
以下、記録用紙19が、搬送ローラ対54による挟持位置から記録部24の下方を通過して排紙トレイ21へ搬送される向き(図2に破線の矢印で示される向き)を、用紙搬送向き15(本発明の第1向きに相当)として説明を行う。
図2に示されるように、記録部24よりも用紙搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対54が設けられている。搬送ローラ対54は、搬送ローラ47とピンチローラ48とが一体にユニット化されたものである。記録部24よりも用紙搬送向き15の下流側には、排紙ローラ49と拍車50とを有する排出ローラ対55が設けられている。
搬送ローラ47及び排紙ローラ49は、搬送モータ59(図4参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて回転される。搬送ローラ47が正転駆動(図2における反時計回りに駆動)されることで、給紙トレイ20から給送された記録用紙19は、搬送ローラ対54により狭持されて、用紙搬送向き15へ搬送される。排紙ローラ49が正転駆動されることで、記録部24による画像記録済みの記録用紙19は、排出ローラ対55により狭持されて、用紙搬送向き15へ搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送路23の上方に設けられている。記録部24は、搬送路23の下側から記録用紙19を支持するプラテン66と対向して配置されたキャリッジ67と、キャリッジ67に搭載された記録ヘッド65と、インクカートリッジ(不図示)から供給されるインクを貯留する4つのサブタンク(不図示)とを備えている。
キャリッジ67は、プリンタ部2のフレーム(不図示)に取り付けられた前後一対のガイドレール(不図示)に跨り、左右方向9に沿って移動可能にガイドレールに支持されている。キャリッジ67は、キャリッジ駆動モータ103(図4参照)から駆動伝達されることにより、左右方向13に移動される。
記録ヘッド65は、下面からプラテン66に向けて配置された複数個のノズル30(図3参照)と、サブタンクとノズルとを繋ぐインク流路(不図示)と、インク流路の一部を変形させることでノズルからインク滴を吐出させる圧電素子44(図4参照)とを備えている。圧電素子44は、不図示のドライブ回路を介して後述するマイクロコンピュータ130により給電されることで動作する。
各サブタンクには、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクの一つが貯留される。図3に示されるように、シアンのサブタンクに対して複数個のノズル30からなる第1ノズル列31が設けられている。第1ノズル列31は前後方向8に沿って延びている。第1ノズル列31と同様に、マゼンタ、イエロー、ブラックの各サブタンクに対してそれぞれ第2ノズル列32、第3ノズル列33、第4ノズル列34が設けられている。
そして、記録部24は、後述するマイクロコンピュータ130に制御されることによって、搬送路23に向けてインク滴(本発明の液滴の一例)をノズルから吐出する。これにより、記録用紙19に画像が記録される。
[マイクロコンピュータ130]
以下、図4が参照されて、マイクロコンピュータ130の概略構成が説明される。マイクロコンピュータ130が後述するフローチャートにしたがって記録制御を行うことによって、本発明が実現される。マイクロコンピュータ130は、複合機1の全体動作を制御するものである。マイクロコンピュータ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135、及びこれらを相互に接続する内部バス137を備えている。
ROM132には、CPU131が複合機1の記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、給紙モータ76、キャリッジ駆動モータ103、搬送モータ59、及び圧電素子44が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転又は逆転する。つまり、マイクロコンピュータ130は、各モータ59、76、103を制御する。マイクロコンピュータ130は、圧電素子44への給電を制御し、各ノズル列31〜34の複数のノズル30から選択的にインク滴を吐出させる。
マイクロコンピュータ130は、記録用紙19に画像を記録する際、搬送モータ59を制御して、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55による記録用紙19の搬送を一時停止させる。そして、マイクロコンピュータ130は、記録用紙19の搬送が一時停止されている間に、圧電素子44への給電を制御して、ノズル30からインク滴を吐出させる。つまり、記録用紙19の搬送と、ノズル30からのインク滴の吐出とが交互に実行される。
[記録制御]
上述の如く構成されたプリンタ部2においては、制御部130によって記録用紙19を給紙し、印刷データの記録を行う一連の記録制御が実行される。以下、図5(A)のフローチャートに基づいて、記録制御の処理手順について説明する。なお、以下の図5〜図10においては、原稿の画像がスキャナ部3によって読み取られる場合が、説明される。
原稿載置トレイ38に原稿が載置され、操作パネル9から印刷指示が入力されると、原稿は、原稿搬送ローラによって読取位置まで搬送される。そして、原稿に記録されている画像が、イメージセンサによって第1印刷データ(本発明の第1印刷データに相当)として読み取られる。
第1印刷データは、原稿に記録されている画像を、原稿搬送向きの先端から後端の順序で、記録用紙19に記録するためのデータである。ここで、記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端から後端の順序で、記録部24によって画像を記録される。よって、第1印刷データに基づいて画像が記録された記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端に、原稿の原稿搬送向きの先端に対応するデータが記録され、用紙搬送向き15の後端に、原稿の原稿搬送向きの後端に対応するデータが記録される。以上より、原稿の原稿搬送向きの先端は、本発明の第1向きの一方の端部の一例である。また、原稿の原稿搬送向きの後端は、本発明の第1向きの他方の端部の一例である。
マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて、記録用紙19における用紙搬送向き15の先端部の所定領域である第1領域(本発明の第1領域の一例)に吐出される第1インク量(本発明の第1値の一例)を算出する(SA1)。ここで、第1領域は、例えば、記録用紙19の左右方向13における左端から右端までの範囲、及び記録用紙19の前後方向12における用紙搬送向き15の先端から後向きに所定長(例えば20ミリ)までの範囲に囲まれた領域である。
また、インク量の算出は、例えば、以下のようにして行われる。マイクロコンピュータ130は、第1印刷データを参照することによって、第1領域内の各ドットについて、画像記録の際に吐出されるインク滴の種類(例えば、対象ドットが黒色の場合は1種類、対象ドットが黒以外の色の場合は1〜3種類である。)と各種インク滴の吐出回数(濃度が大きい程、吐出回数が多くなる。)とを決定する。マイクロコンピュータ130は、4種のインク滴のそれぞれについて吐出回数を乗じた値を算出し、次に算出した4つの値を合算する。これにより、第1インク量が算出される。
次に、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて、記録用紙19における用紙搬送向き15の後端部の所定領域である第2領域(本発明の第2領域の一例)に吐出される第2インク量(本発明の第2値の一例)を算出する(SA2)。ここで、第2領域は、例えば、記録用紙19の左右方向13における左端から右端までの範囲、及び記録用紙19の前後方向12における用紙搬送向き15の後端から前向きに所定長までの範囲に囲まれた領域である。第2インク量の算出方法は、第1インク量の算出と同様である。以上説明したステップSA1、SA2の処理、及び後述されるステップSA1、SA2と同様の処理は、本発明の算出手段に相当する。
次に、マイクロコンピュータ130は、第1インク量と第2インク量とを比較する(SA3)。ステップSA3の処理、及び後述されるステップSA3と同様の処理は、本発明の比較手段に相当する。
第2インク量が第1インク量よりも少ない場合(SA3:Yes)、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データを第2印刷データ(本発明の第2印刷データに相当)に変換する(SA4)。第2印刷データは、原稿に記録されていた画像を、原稿搬送向きの後端から先端の順序で、記録用紙19に記録するためのデータである。ここで、記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端から後端の順序で、記録部24によって画像を記録される。よって、第2印刷データに基づいて画像が記録された記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端に、原稿の原稿搬送向きの後端に対応するデータが記録され、用紙搬送向き15の後端に、原稿の原稿搬送向きの先端に対応するデータが記録される。つまり、ステップSA4において、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データを180度回転させて第2印刷データを作成する。ステップSA4の処理、及び後述されるステップSA4と同様の処理は、本発明の変換手段に相当する。
その後、マイクロコンピュータ130は、各モータ59、76、103、及び圧電素子44を制御して、第2印刷データを記録用紙19に記録する(SA5)。一方、第2インク量が第1インク量よりも多い場合(SA3:No)、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データを記録用紙19に記録する(SA6)。ステップSA5、SA6の処理、及び後述されるステップSA5、SA6と同様の処理は、本発明の制御手段に相当する。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、記録用紙19における用紙搬送向き15の先端の第1領域に吐出される第1インク量、及び記録用紙19における用紙搬送向き15の後端の第2領域に吐出される第2インク量が、マイクロコンピュータ130によって算出される。マイクロコンピュータ130は、第2インク量が第1インク量よりも少ない場合、用紙搬送向き15の後端から記録用紙19に画像を記録するための第2印刷データに基づいて記録部24に液滴を吐出させる。これにより、記録用紙19の用紙搬送向き15の先端部に吐出されるインク量を少なくすることができる。その結果、記録用紙19の先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。よって、コックリングに起因する画質劣化の可能性や記録用紙19が詰まる可能性を低減することができる。また、本実施形態を採用することによって、画像記録後の記録用紙19を所定時間停止させる必要性を低くできる。これにより、記録用紙19へ画像を記録する時間が大幅に長くなることが防止できる。
[実施例の変形例1]
上述の実施形態においては、記録制御が図5(A)のフローチャートに基づいて実行されたが、図5(B)のフローチャートに基づいて実行されてもよい。図5(B)のフローチャートは、図5(A)のフローチャートに、破線で示されたステップSA7の処理が追加されたフローチャートである。変形例1の記録制御においては、第1インク量が予め設定された所定量(本発明の所定値の一例)以下である場合(SA7:Yes)、ステップSA2〜SA5は実行されず、ステップSA6が実行される。ここで、所定量は、インク滴が吐出された記録用紙19がコックリングを生じる量よりも小さい量に設定される。
変形例1によれば、第1インク量が少ない場合に、マイクロコンピュータ130によって実行される処理が少なくなる。具体的には、ステップSA2〜SA5の処理が実行されなくなる。これにより、処理時間を短くすることができる。
[実施例の変形例2]
上述の実施形態では、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて第1インク量及び第2インク量を算出した(図5のSA2)。しかし、マイクロコンピュータ130は、第2印刷データに基づいて第1インク量及び第2インク量を算出してもよい。
例えば、変形例2においては、記録制御が図5(C)のフローチャートに基づいて実行される。この場合、マイクロコンピュータ130は、図5(A)のステップSA1と同処理のステップSB1の実行後に、ステップSA4と同様にして第2印刷データを作成する(SB2)。そして、マイクロコンピュータ130は、第2印刷データに基づいて、記録用紙19における用紙搬送向き15の先端部の所定領域に吐出されるインク量を算出する(SB3)。ステップSB3における所定領域は本発明の第2領域の一例であり、ステップSB3において算出されたインク量は本発明の第2値の一例である。ステップSB4〜SB6の処理は、図5(A)のステップSA4〜SA6と同処理である。
なお、変形例2以外の実施形態では、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて、第1インク量及び第2インク量、並びに後述する第3インク量及び第4インク量を算出する。しかし、これら各実施形態においても、変形例2のように、第2印刷データ及び後述する第3、第4印刷データに基づいて、各インク量が算出されてもよい。
[実施例の変形例3]
複数枚の記録用紙19に画像記録が行われる場合、図6に従って記録制御が実行されてもよい。図6においては、ステップSC1において、2つの場合に場合分けされ、各場合について異なる処理が実行される。ここで、2つの場合の一方は、印刷枚数が1枚である場合、または印刷枚数が複数枚であるが全ての記録用紙19に同一画像が記録される場合である(SC1:Yes)。また、2つの場合の他方は、印刷枚数が複数枚であり且つ少なくとも1枚の記録用紙19に異なる画像が記録される場合である(SC1:No)。
2つの場合の一方においては(SC1:Yes)、図5(A)のステップSA1〜SA6と同処理であるSC2〜SC8の処理が実行される。但し、ステップSC2、SC3は、1枚目の記録用紙19へ画像記録される場合のみ実行される。そして、2枚目以降の記録用紙19へ画像記録される場合、全枚数の印刷が完了するまで(SC8)、各記録用紙19について、ステップSC4〜SC7の処理が実行される。2つの場合の他方においては(SC1:No)、第1印刷データが各記録用紙19に記録される(SC9、SC10)。
なお、上記の2つの場合は、上述とは異なる条件であってもよい。例えば、2つの場合の一方は、印刷枚数が所定枚数(例えば10枚)未満である場合、または印刷枚数が所定枚数以上であるが全ての記録用紙19に同一画像が記録される場合であってもよい。この場合、2つの場合の他方は、印刷枚数が所定枚数以上であり且つ少なくとも1枚の記録用紙19に異なる画像が記録される場合である。
[実施例の変形例4]
変形例3においては、2つの場合の他方において(SC1:No)、第1印刷データが各記録用紙19に記録された(SC9、SC10)。しかし、図7に示されるように、2つの場合の他方において(SD1:No)、変形例3とは異なる処理が実行されてもよい。
図7のステップSD1〜SD8は、図6のステップSC1〜SC8と同処理である。変形例4において、マイクロコンピュータ130は、以下に詳述するように、2つのカウンタ(回転無しカウンタ及び180度回転カウンタ)を所定の条件でカウントアップする。
2つのカウンタは、ステップSD9において0にセットされる。ステップSD10〜SD12は、図5(A)のステップSA1〜SA3と同処理である。第2インク量が第1インク量よりも少ない場合(SD12:Yes)、180度回転カウンタがカウントアップされる(SD13)。第2インク量が第1インク量以上の場合(SD12:No)、回転無しカウンタがカウントアップされる(SD14)。ステップSD10〜SD14が、各記録用紙19に記録される印刷データに対して実行される(SD15)。
画像が記録される記録用紙19の全枚数分の印刷データに対して、ステップSD10〜SD14の処理が完了すると(SD15:Yes)、2つのカウンタの値が比較される(SD16)。180度回転カウンタの値が回転無しカウンタの値よりも大きい場合(SD16:Yes)、つまり第2インク量が第1インク量よりも少ない記録用紙19が第1インク量が第2インク量よりも少ない記録用紙19よりも多い場合、図5のステップSA4、SA5と同処理が実行される(SD17、SD18)。180度回転カウンタの値が回転無しカウンタの値以下の場合(SD16:No)、図5のステップSA6と同処理が実行される(SD19)。ステップSD16〜SD19が、全枚数の印刷が完了するまで(SD20)、各記録用紙19について実行される。
変形例4によれば、複数枚の記録用紙19に画像が記録される場合であっても、記録用紙19の先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。また、複数枚の記録用紙19の全てが第1印刷データまたは第2印刷データに基づいて画像記録される。これにより、排紙トレイ21に排出される記録用紙19の向きを揃えることができる。
[実施例の変形例5]
変形例4においては、2つの場合の他方において(SD1:No)、第2インク量が第1インク量よりも少ない記録用紙19の数と、第1インク量が第2インク量よりも少ない記録用紙19の数とが比較された(SD16)。しかし、図8に示されるように、2つの場合の他方において(SE1:No)、第1インク量の合計と第2インク量の合計とが比較されてもよい(SE16)。
図8のステップSE1〜SE8は、図7のステップSD1〜SD8と同処理である。変形例5において、マイクロコンピュータ130は、以下に詳述するように、2つの変数(回転無し時インク量及び180度回転時インク量)を所定の条件で累積加算する。
2つの変数は、ステップSE9において0にセットされる。ステップSE10〜SE12は、図7のステップSD10〜SD12と同処理である。第2インク量が第1インク量よりも少ない場合(SE12:Yes)、180度回転時インク量にステップSE11で算出されたインク量が加算され、加算された量が新たな180度回転時インク量となる(SE13)。第2インク量が第1インク量以上の場合(SE12:No)、回転無し時インク量にステップSE10で算出されたインク量が加算され、加算された量が新たな回転無し時インク量となる(SE14)。ステップSE10〜SE14が、各記録用紙19に記録される印刷データに対して実行される(SE15)。
画像が記録される記録用紙19の全枚数分の印刷データに対して、ステップSE10〜SE14の処理が完了すると(SE15:Yes)、2つの変数の値が比較される(SE16)。180度回転時インク量が回転無しインク量よりも少ない場合(SD16:Yes)、図7のステップSD17、SD18と同処理が実行される(SE17、SE18)。180度回転時インク量が回転無しインク量以上の場合(SE16:No)、図7のステップSD19と同処理が実行される(SE19)。ステップSE16〜SE19が、全枚数の印刷が完了するまで(SE20)、各記録用紙19について実行される。
なお、以下のような構成の場合、インク量の合計が比較される代わりに、印刷データが回転されない場合における画像記録後の各記録用紙19の停止時間の合計と、印刷データが回転された場合における画像記録後の各記録用紙19の停止時間の合計とが、比較されてもよい。記録用紙19がインク滴の吐出によるコックリングによって変形した場合、当該変形が是正されるまでの間、記録用紙19を停止させておく構成が考えられる。このような構成の場合、記録用紙19に吐出されたインク量が多い程、停止時間が長く設定される。よって、停止時間の合計が比較されることは、インク量の合計が比較されることと同じ作用及び効果が得られる。
[実施例の変形例6]
上述の実施形態においては、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データ(イメージセンサによって読み取られた印刷データ)または第2印刷データ(第1印刷データから180度回転された印刷データ)の少なくとも一方に基づいて、インク量の算出及び比較、並びにインク滴の吐出を実行した。しかし、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データ、第2印刷データ、第1印刷データから90度回転された印刷データである第3印刷データ(本発明の第3印刷データに相当)、及び第1印刷データから270度回転された印刷データである第4印刷データ(本発明の第4印刷データに相当)の少なくとも一つに基づいて、インク量の算出及び比較、並びにインク滴の吐出を実行してもよい。以下、画像記録が1枚の記録用紙19に対して実行される場合について、図9のフローチャートに基づいて、記録制御の処理順序が説明される。
変形例6において、プリンタ部2は、上述の給紙トレイ20(本発明の第1トレイの一例)に加えて、図2に破線で示されるように第2の給紙トレイ22(本発明の第2トレイの一例)を備えている。また、プリンタ部2は、上述の給送部17(本発明の第1給送部の一例)に加えて、図2に破線で示されるように第2の給送部18(本発明の第2給送部の一例)を備えている。給紙トレイ20は、第2の給紙トレイ22の上側に重なるように配置されている。給送部17は、第2の給送部18の上側に重なるように配置されている。なお、給紙トレイ20が本発明の第2トレイの一例であって、第2の給紙トレイ22が本発明の第1トレイの一例であってもよい。また、給送部17が本発明の第2給送部の一例であって、第2の給送部18が本発明の第1給送部の一例であってもよい。また、変形例6において、外側ガイド面29は、図2に破線で示されるように、第2の給送部18の後端付近まで延出されている。
変形例6において、給紙トレイ20には、長辺及び短辺を有する記録用紙19が短辺を前後方向12の下流端及び上流端として、つまり複合機10の正面から見て縦置き状態で収容されている。換言すると、給紙トレイ20には、記録用紙19が短辺を用紙搬送向き15の下流端及び上流端として搬送可能に保持されている。また、第2の給紙トレイ22には、給紙トレイ20に収容されている記録用紙19と同サイズの記録用紙19が長辺を前後方向12の下流端及び上流端として、つまり複合機10の正面から見て横置き状態で収容されている。換言すると、第2の給紙トレイ22には、記録用紙19が長辺を用紙搬送向き15の下流端及び上流端として搬送可能に保持されている。第2の給送部18は、上述した給送部17と同様に構成されており、第2の給紙トレイ22に保持されている記録用紙19を、搬送路23へ給送する。
また、本実施形態において、プリンタ2は、第2の給紙モータ(不図示)を備えている。マイクロコンピュータ130は、給紙モータ76または第2の給紙モータの一方を駆動させる。これにより、記録用紙19は、給送部17または第2の給送部の一方から、搬送路23へ給送される。本実施形態において、マイクロコンピュータ130は、操作パネル9を介するユーザからの指示に基づいて、給紙モータ76または第2の給紙モータのいずれを駆動させるかを決定する。つまり、マイクロコンピュータ130は、本発明のトレイ選択手段の一例である。なお、第2の給紙モータが設けられる代わりに、給紙モータ76からの駆動伝達を各給送部に切替可能な駆動伝達機構が設けられていてもよい。
図9のステップSF1、SF2は、図5のステップSA1、SA2と同処理である。次に、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて、用紙搬送向き15に搬送される記録用紙19における左右方向13(本発明の第2向きに相当)の右端部の所定領域である第3領域(本発明の第3領域の一例)に吐出される第3インク量(本発明の第3値の一例)を算出する(SF3)。ここで、第3領域は、例えば、記録用紙19の前後方向12における先端から後端までの範囲、及び記録用紙19の左右方向13における右端から左向きに所定量までの範囲に囲まれた領域である。第3インク量の算出方法は、第1インク量の算出と同様である。
次に、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データに基づいて、用紙搬送向き15に搬送される記録用紙19における左右方向13の左端部の所定領域である第4領域(本発明の第4領域の一例)に吐出される第4インク量(本発明の第4値の一例)を算出する(SF4)。ここで、第4領域は、例えば、記録用紙19の前後方向12における先端から後端までの範囲、及び記録用紙19の左右方向13における左端から右向きに所定量までの範囲に囲まれた領域である。第4インク量の算出方法は、第1インク量の算出と同様である。ステップSF3、SF4の処理は、本発明の算出手段に相当する。
次に、マイクロコンピュータ130は、第1インク量、第2インク量、第3インク量、及び第4インク量を比較する(SF5)。ステップSF5の処理は、本発明の比較手段に相当する。
マイクロコンピュータ130は、第1インク量が最も少ない場合(SF5:回転無し)、記録用紙19を2つのトレイのうち給紙トレイ20から給送して(SF6)、第1印刷データを当該記録用紙19に記録する(SF7)。また、マイクロコンピュータ130は、第2インク量が最も少ない場合(SF5:180度回転)、第1印刷データを第2印刷データに変換し(SF8)、記録用紙19を2つのトレイのうち給紙トレイ20から給送して(SF9)、第2印刷データを当該記録用紙19に記録する(SF10)。
また、マイクロコンピュータ130は、第3インク量が最も少ない場合(SF5:90度回転)、第1印刷データを第3印刷データに変換する(SF11)。第3印刷データは、原稿に記録されていた画像を、左右方向13の右端から左端の順序で、記録用紙19に記録するためのデータである。ここで、記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端から後端の順序で、記録部24によって画像を記録される。よって、第3印刷データに基づいて画像が記録された記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端に、原稿の左右方向13の右端に対応するデータが記録され、用紙搬送向き15の後端に、原稿の左右方向13の左端に対応するデータが記録される。つまり、ステップSF11において、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データを90度回転させて第3印刷データを作成する。ステップSF11の処理は、本発明の変換手段に相当する。その後、マイクロコンピュータ130は、記録用紙19を2つのトレイのうち第2の給紙トレイ22から給送して(SF12)、第3印刷データを当該記録用紙19に記録する(SF13)。
また、マイクロコンピュータ130は、第4インク量が最も少ない場合(SF5:270度回転)、第1印刷データを第4印刷データに変換する(SF14)。第4印刷データは、原稿に記録されていた画像を、左右方向13の左端から右端の順序で、記録用紙19に記録するためのデータである。ここで、記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端から後端の順序で、記録部24によって画像を記録される。よって、第4印刷データに基づいて画像が記録された記録用紙19は、用紙搬送向き15の先端に、原稿の左右方向13の左端に対応するデータが記録され、用紙搬送向き15の後端に、原稿の左右方向13の右端に対応するデータが記録される。つまり、ステップSF14において、マイクロコンピュータ130は、第1印刷データを270度回転させて第4印刷データを作成する。ステップSF14の処理は、本発明の変換手段に相当する。その後、マイクロコンピュータ130は、記録用紙19を2つのトレイのうち第2の給紙トレイ22から給送して(SF15)、第4印刷データを当該記録用紙19に記録する(SF16)。
以上より、ステップSF6、SF9、SF12、SF15の処理は、本発明の制御手段に相当し、ステップSF7、SF10、SF13、SF16の処理は、本発明のトレイ選択手段に相当する。
変形例6によれば、記録用紙19の各辺の端部の領域うち、インク量が少ない領域に対するインクの吐出が先となるような印刷データに基づいて、記録部24によってインク滴が吐出される。これにより、記録用紙19の用紙搬送向き15の先端部に吐出されるインク量を少なくすることができる。その結果、記録用紙19の先端部においてコックリングが発生する可能性が低減可能である。つまり、変形例6によれば、記録用紙19の第1領域及び第2領域のインク量がいずれも多い場合であっても、記録用紙19の第3領域または第4領域のインク量が少なければ、有効な効果を得ることができる。
[実施例の変形例7]
変形例6においては、4つのインク量が比較された結果に基づいて、記録用紙19を給送する給紙トレイ(給紙トレイ20及び第2の給紙トレイ22)が決定された。しかし、図10に示されるように、最初に、記録用紙19を給送する給紙トレイ(給紙トレイ20及び第2の給紙トレイ22)が決定され、次に、当該決定に基づいて、インク量が比較されてもよい。
マイクロコンピュータ130は、給紙トレイ20及び第2の給紙トレイ22のうち、いずれの給紙トレイから記録用紙19を給送するかを決定する(SG1)。本実施形態において、マイクロコンピュータ130は、記録用紙19が給紙されてから記録部24によって画像記録されて排紙トレイ21に排出されるまでの時間が短くなるように、記録用紙19の給送元の給紙トレイを決定する。例えば、マイクロコンピュータ130は、記録用紙19に印刷データが記録された場合における記録用紙19上の空白部分の位置に基づいて、記録用紙19の給送元の給紙トレイを決定する。
記録用紙19の給送元として給紙トレイ20が選択された場合(SG1:縦置き)、図5のステップSA1〜SA6と同処理が実行される(SG2〜SG7)。一方、記録用紙19の給送元として第2の給紙トレイ22が選択された場合(SG1:横置き)、ステップSG8〜SG14が実行される。ステップSG8〜SG14は、以下の点においてステップSG2〜SG7と異なる他はステップSG2〜SG7と同処理である。つまり、ステップSG8〜SG14の処理の場合、ステップSG2〜SG7における第1インク量及び第1印刷データに対応して、第3インク量及び第3印刷データが算出(SG8)、比較(SG10)、作成(SG11)、及び印刷(SG12)され、ステップSG2〜SG7における第2インク量及び第2印刷データに対応して、第4インク量及び第4印刷データが算出(SG9)、比較(SG10)、作成(SG13)、及び印刷(SG14)される。
つまり、ステップSG2〜SG7においては、図5(A)と同様の処理、つまり原稿の原稿搬送向きにおける先端及び後端の画像記録に必要なインク量に着目した処理が実行される。一方、ステップSG8〜SG14においては、図5(A)とほぼ同様の処理が実行されるが、原稿の左右方向13における右端及び左端の画像記録に必要なインク量に着目した点が、図5(A)と異なる。以上より、ステップSG8〜SG14においては、第1印刷データは、イメージセンサによって読み取られた画像のデータを90度回転させたデータであり、第2印刷データは、イメージセンサによって読み取られた画像のデータを270度回転させたデータである。なお、第1印刷データが、イメージセンサによって読み取られた画像のデータを270度回転させたデータであり、第2印刷データが、イメージセンサによって読み取られた画像のデータを90度回転させたデータであってもよい。
[実施例の変形例8]
以上説明した実施形態(上述の実施形態及び変形例1〜7)においては、本発明の第1値、第2値、第3値、及び第4値がインク量(第1インク量、第2インク量、第3インク量、及び第4インク量)であるとして、説明がされた。しかし、本発明の第1値、第2値、第3値、及び第4値は、記録部24によって吐出されるインク量の決定に使用可能な値であるならば、インク量に限らない。例えば、本発明の第1値、第2値、第3値、及び第4値は、シートに記録される画像のドット数や、記録部24によるインクの吐出回数などであってもよい。
[実施例の変形例9]
以上説明した実施形態(上述の実施形態及び変形例1〜8)は、適宜組み合わされてもよい。例えば、変形例6、7は、画像記録が1枚の記録用紙19に対して実行される場合の実施形態であるが、画像記録が複数枚の記録用紙19に対して実行されてもよい。この場合、変形例6に変形例3〜5が組み合わされればよい。または、変形例7に変形例3〜5が組み合わされればよい。
1・・・複合機
3・・・スキャナ部
24・・・記録部
54・・・搬送ローラ対
55・・・排出ローラ対
130・・・マイクロコンピュータ

Claims (9)

  1. シートを搬送路に沿った第1向きへ搬送する搬送部と、
    上記搬送路の上方に設けられており、液滴を吐出することによって、シートに画像を記録する記録部と、
    上記第1向きの一方の端部から他方の端部の順序でシートに画像を記録するための第1印刷データを、上記第1向きの他方の端部から一方の端部の順序でシートに画像を記録するための第2印刷データに変換する変換手段と、
    上記第1印刷データまたは上記第2印刷データの少なくとも一方に基づいて、シートにおける上記第1向きの一方の端部の第1領域に吐出される液量に係る第1値、及びシートにおける上記第1向きの他方の端部の第2領域に吐出される液量に係る第2値を算出する算出手段と、
    上記第1値及び上記第2値を比較する比較手段と、
    上記第1印刷データまたは上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる制御手段と、を備え、
    上記制御手段は、上記第2値が上記第1値よりも小さいことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させるインクジェット記録装置。
  2. 上記算出手段によって算出された上記第1値が予め設定された所定値以下であることを条件として、上記変換手段及び上記比較手段は実行されず、上記算出手段は上記第2値を算出せず、且つ上記制御手段は、上記第1印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 上記算出手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値及び上記第2値を算出し、
    上記比較手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値及び上記第2値を比較し、
    上記制御手段は、上記第2値が上記第1値よりも小さいシートが、上記第1値が上記第2値よりも小さいシートよりも多いことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 上記算出手段は、複数枚のシートについて、上記第1値の合計及び上記第2値の合計を算出し、
    上記比較手段は、上記第1値の合計及び上記第2値の合計を比較し、
    上記制御手段は、上記第2値の合計が上記第1値の合計よりも小さいことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 長辺及び短辺を有するシートが短辺を上記第1向きの下流端及び上流端として搬送可能に保持される第1トレイと、
    上記第1トレイに保持されているシートと同サイズのシートが長辺を上記第1向きの下流端及び上流端として搬送可能に保持される第2トレイと、
    上記第1トレイに保持されているシートを上記搬送路に給送する第1給送部と、
    上記第2トレイに保持されているシートを上記搬送路に給送する第2給送部と、
    上記第1給送部及び上記第2給送部を制御して、上記第1トレイまたは上記第2トレイの一方からシートを上記搬送路に給送させるトレイ選択手段と、を更に備え、
    上記変換手段は、上記第1印刷データを、上記第2印刷データ、上記第2向きの一方の端部から他方の端部の順序でシートに画像を記録するための第3印刷データ、及び上記第2向きの他方の端部から一方の端部の順序でシートに画像を記録するための第4印刷データに変換し、
    上記算出手段は、上記第1印刷データ、上記第2印刷データ、上記第3印刷データ、または上記第4印刷データの少なくとも一つに基づいて、上記第1値、上記第2値、シートにおける上記第1向きと直交し且つシートの画像記録面に沿った第2向きの一方の端部の第3領域に吐出される液量に係る第3値、及びシートにおける上記第2向きの他方の端部の第4領域に吐出される液量に係る第4値を算出し、
    上記比較手段は、上記第1値、上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を比較し、
    上記制御手段は、上記比較手段による比較の結果、上記第2値が最も小さいことを条件として上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第3値が最も小さいことを条件として上記第3印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第4値が最も小さいことを条件として上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、
    上記トレイ選択手段は、上記第1印刷データまたは上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴が吐出されることを条件として、上記第1トレイまたは上記第2トレイの一方を選択し、上記第3印刷データまたは上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴が吐出されることを条件として、上記第1トレイまたは上記第2トレイの他方を選択する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  6. 上記算出手段によって算出された上記第1値が予め設定された所定値以下であることを条件として、上記変換手段及び上記比較手段は実行されず、上記算出手段は上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を算出せず、上記制御手段は、上記第1印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、且つ上記トレイ選択手段は、上記第1トレイ及び上記第2トレイのうち、上記第1印刷データを記録可能な向きにシートが保持されているトレイを選択する請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 上記算出手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値、上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を算出し、
    上記比較手段は、複数枚のシートのそれぞれについて、上記第1値、上記第2値、上記第3値、及び上記第4値を比較し、
    上記制御手段は、上記第2値が最も小さいシートの数が一番多いことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第3値が最も小さいシートの数が一番多いことを条件として、上記第3印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第4値が最も小さいシートの数が一番多いことを条件として、上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる請求項5または6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 上記算出手段は、複数枚のシートについて、上記第1値の合計、上記第2値の合計、上記第3値の合計、及び上記第4値の合計を算出し、
    上記比較手段は、上記第1値の合計、上記第2値の合計、上記第3値の合計、及び上記第4値の合計を比較し、
    上記制御手段は、上記第2値の合計が最も小さいことを条件として、上記第2印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第3値の合計が最も小さいことを条件として、上記第3印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させ、上記第4値の合計が最も小さいことを条件として、上記第4印刷データに基づいて上記記録部に液滴を吐出させる請求項5または6に記載のインクジェット記録装置。
  9. 原稿の画像を読み取る画像読取部を更に備え、
    上記第1印刷データは、上記画像読取部によって読み取られた画像のデータを90度またはマイナス90度回転させたデータである請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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