図1に本発明を適用した第1の実施形態に係る画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であってフルカラーの画像形成を行うことができるようになっている。画像形成装置100は、プリンタとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。これは画像形成装置100がファクシミリとして用いられる場合も同様である。
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体としてのシートの両面に画像形成可能な両面画像形成装置でもある。
画像形成装置100は、上下方向において中央位置を占める本体101と、本体101の上側に取り付けられ原稿を読み取るスキャナとしての読取装置21および読取装置21の上側に取り付けられ原稿を積載され積載された原稿を読取装置21に向けて送り出すADFといわれる自動原稿給紙装置22と、本体101の下側に位置し本体101を載せ感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと中間転写ベルト11との間に向けて搬送されるシートを積載した給紙テーブルとしてのシート給送装置23とを有している。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な複数の像担持体としての感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKを並設したタンデム構造を採用したタンデム型の画像形成装置である。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、同一径であり、画像形成装置100の本体101の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルト状の像担持体である搬送部材としてのベルト体である被転写体たる中間転写体としての中間転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。
第1の像担持体である中間転写ベルト11は、第2の像担持体である各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに対峙しながら図中時計方向である矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に走行して移動する中間転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、シートに一括転写されるようになっている。このように画像形成装置100は中間転写方式言い換えると間接転写方式を採用している。
中間転写ベルト11に対する重畳転写は、中間転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成されたトナー像が、中間転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKのそれぞれに対向する位置に配設された転写チャージャたる第1の転写手段としての1次転写装置である1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの真下の位置すなわち転写位置にて行われる。
中間転写ベルト11の製造方法及び材料は、特に限定されないが、その材料としては、強度的にPI(ポリイミド樹脂)が最も適しており、本形態ではPIが採用されている。ただし、中間転写ベルト11の材料は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)等であってもよい。中間転写ベルト11は、PIをはじめとするこれらの材料を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率が10^8〜10^12Ωcm、かつ表面抵抗率が10^9〜10^13Ωcmの範囲となるよう調整されている。
このように調整されているのは、中間転写ベルト11の体積抵抗率がかかる範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招き好ましくなとともに、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト11の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じるからである。一方、中間転写ベルト11の体積抵抗率および表面抵抗率がかかる範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。よって中間転写ベルト11の体積抵抗率および表面抵抗率はかかる範囲内でなければならない。
中間転写ベルト11の、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト10の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
中間転写ベルト11の表面には、必要に応じ、離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が選択されるが、これに限定されるものではない。
中間転写ベルト11の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。中間転写ベルト11の厚みは、本形態では0.06mmであるが、0.05〜0.1mmの範囲の厚さとされる。この範囲は一般的な厚さの範囲である。
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並設されている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによって構成される画像形成部としての作像部60と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの下方に対向して配設され、中間転写ベルト11を備えた中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11に当接し、中間転写ベルト11への当接位置において中間転写ベルト11と同方向に回転し無端移動する転写部材としての紙搬送ベルトである2次転写ベルト5を備え中間転写ベルト11上のトナー像をシートに転写するとともに搬送する2次転写装置としての2次転写ユニット76とを有している。
画像形成装置100はまた、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設された書き込み手段である光書き込み装置としての書込みユニットである露光装置たる光走査装置8と、シート給送装置23から搬送されてきたシートを、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、中間転写ベルト11と2次転写ベルト5との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対13と、シートの先端がレジストローラ対13に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、2次転写ユニット76によって搬送されてきたシートが進入し、シートに転写された転写画像であるトナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みのシートを本体101外に排出する排紙経路と再度レジストローラ対13に向けて搬送する反転経路とを備えシートを何れかの経路に搬送する排紙ユニット79と、排紙ユニット79が一方の面に画像を形成されたシートを反転経路に搬送した場合に、そのシートをスイッチバックして反転させ、再度、レジストローラ対13に向けて搬送する再給紙ユニットとしてのシート反転装置である両面ユニット96とを有している。
画像形成装置100はまた、本体101外部に配設され画像形成済みのシートを積載する排紙トレイ75と、図1における本体101の右側面に配設された手差し給紙装置33と、画像形成装置100の操作を行う図示しない操作パネルと、画像形成装置100全体の動作を制御する制御手段99とを有している。
転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11の他に、中間転写ベルト11を巻き掛けた巻き掛け部材としての支持ローラである複数のローラとして、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKと、駆動ローラ72および転写入口ローラ73と、張架ローラ17、71、74、77、78、91と、中間転写ベルト11に対向して配設されトナー像がシートに転写された後の中間転写ベルト11上をクリーニングする中間転写体クリーニング装置としての中間転写ベルトクリーニング装置14とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72に対向する位置において中間転写ベルトに対向して配設され中間転写ベルト11に担持されたトナー像を光学的に検知する光学検知手段である検知手段としての光センサたる光学センサ88と、張架ローラ91を中間転写ベルト11に向けて付勢した付勢手段としての付勢装置89とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動手段としての駆動モータと、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKに高電圧を印加し1次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源とバイアス制御手段とを有している。
駆動モータは、駆動ローラ72を回転駆動することで、他のローラ12Y、12M、12C、12、73、74、17、71、77、78、91を従動回転させる。
中間転写ベルト11を掛け回した複数のローラ12Y、12M、12C、12、72、73、74、17、71、77、78、91のうち、張架ローラ91を除くローラ12Y、12M、12C、12、72、73、74、17、71、77、78は中間転写ベルト11の内側に位置しており、張架ローラ91は中間転写ベルト11の外側に位置している。
1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、図示を省略するが、金属製の芯金と、芯金に発泡樹脂剤を塗布して形成された表層とを有している。芯金の材質は鉄であるが、SUS、Al等であっても良い。表層の肉厚は2〜10mmの範囲にあることが好ましく本形態では5mmであるが、かかる範囲に限られない。
1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKは、中間転写ベルト11を、張架ローラ77と張架ローラ78との間で張り渡された位置において、その裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト11上に1次転写される。
中間転写ベルトクリーニング装置14は、詳細な図示を省略するが、A1方向において転写入口ローラ73の下流側に配設された張架ローラ17に対向する位置において中間転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、中間転写ベルト11上の転写残トナーである残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、中間転写ベルト11をクリーニングするようになっている。よって、張架ローラ17は、ベルトクリーニング対向ローラとなっている。
張架ローラ91は、A1方向において張架ローラ17の下流側において中間転写ベルト11の外面であるトナーの担持面に当接するように配設されている。
付勢装置89は、張架ローラ91を中間転写ベルト11の外面に向けて付勢した付勢部材としての圧縮スプリングであるばね89aと、ばね89aの座面の位置を変化させることでばね89aの縮み量を変化させ張架ローラ91を変位する変位手段としてのソレノイド89bとを有している。
よって、付勢装置89は、ソレノイド89bへの通電をオンにすることで、バネ89aの座面の位置を中間転写ベルト11から離間する方向に変位させ、これによって、張架ローラ91を、中間転写ベルト11の張力を低下させるように駆動する。また、付勢装置89は、ソレノイド89bへの通電がオフであるときは、張架ローラ91の位置を、中間転写ベルト11に、次に述べる所定の張力を与える位置に位置決めする。ソレノイド89bへの通電は、制御手段99により制御される。
このように、付勢装置89は、中間転写ベルト11の張力を調整する張力調整手段として機能するようになっている。また、制御手段99は、中間転写ベルト11の張力を制御する張力制御手段として機能する。
かかる所定の張力は、2.0N/cmである。この張力の値すなわちベルトテンションは、中間転写ベルト11が撓むのを防止し、ばたつきを防止ないし抑制するとともに、駆動ローラ72と中間転写ベルト11の裏面との間のスリップを防止ないし抑制し中間転写ベルト11を滑らかに移動させ転写ムラを抑制し、また中間転写ベルト11の移動による偏向を抑制するなど、中間転写ベルト11を転写に適した状態とするために設定された値であり、具体値は2.0N/cmに限られない。
付勢装置89は、ソレノイド89bへの通電をオンにすることで、中間転写ベルト11の張力を2.0N/cmから1.4N/cmに低下させる。付勢装置89がこのように中間転写ベルト11の張力を低下させるのは、後述するプロセスコントロール時に光学センサ88による検知を行うときである。この理由については後述する。
張架ローラ91は、中間転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラとして機能するものとなっている。
光学センサ88は、中間転写ベルト11が駆動ローラ72に巻き掛けられている位置において、中間転写ベルト11上のトナー像を、検知する。
図2に示すように、光学センサ88は、後述するプロセスコントロール時に中間転写ベルト11上に形成されるトナー像であるトナーパッチとしての画像パッチの反射特性を読み取るために、中間転写ベルト11に向けて赤外光を発光する発光部としての発光素子であるLED83と、LED83から照射された光のうち対向部材である中間転写ベルト11あるいは画像パッチによって反射された反射光言い換えると反射成分を受光するPセンサとしての受光部である第1の受光素子としての正反射受光素子85及び第2の受光素子としての拡散反射受光素子87と、LED83、正反射受光素子85、拡散反射受光素子87を支持した素子ホルダ69とを有している。
正反射受光素子85は、かかる反射成分のうち、正反射成分を検知する。そのため、正反射受光素子85は、LED83の光軸の、中間転写ベルト11表面上の点85aに立てた中間転写ベルト11表面に対する法線85bに対し、LED83の光軸と対称にその光軸が位置するように配置されている。
拡散反射受光素子87は、かかる反射成分のうち、拡散反射成分を検知する。拡散反射受光素子87は、法線85bに対してLED83と同じ側の、LED83よりも反法線側すなわちLED83よりも法線85bから離れた位置を占めており、その光軸上に点85aが位置するように設けられている。
LED83によって照射される光の、中間転写ベルト11表面上あるいは画像パッチ上の径、いわゆるスポット径であるセンサスポット径は2mmとなっている。ただしこのセンサスポット径はこの大きさに限定されるものではない。
正反射受光素子85、拡散反射受光素子87はそれぞれ、フォトダイオード(PD)またはフォトトランジスタ(PTr)である。中間転写ベルト11の地肌あるいは画像パッチの、LED83から照射された光が反射される面は、検知対象面を構成している。
正反射受光素子85及び拡散反射受光素子87は、LED83によって中間転写ベルト11に向けて照射された光の、中間転写ベルト11側からの反射光すなわち検知対象面による反射光の強度を検知し、かかる反射光の受光強度に応じた信号である出力電圧を制御手段99に入力する。このとき、後述するように画像形成条件制御手段として機能する制御手段99は、かかる強度に応じて画像形成条件を制御するものとなっている。
光学センサ88及び画像形成条件制御手段として機能する制御手段99のその余については後述する。
駆動ローラ72は、これに巻き付いている部分の中間転写ベルト11上のトナー像が光学センサ88によって検知される、センサ対向部材としてのセンサ対向ローラとなっている。
駆動ローラ72は、図示を省略するが、金属製の芯金と、芯金の表面にEPゴムを巻き付けたゴム層とを有するゴムローラであり、その軸方向が主走査方向に平行になるように延設されている。芯金は押し出し材である。芯金の芯金の材質はAlであるが、鉄、SUS等であっても良い。ゴム層の肉厚は0.5mmである。
駆動ローラ72は、後に詳しく述べる溝72aを有しているが、その他の部分の径は20mmとされている。かかる径は、16mm以上であれば良い。これは、中間転写ベルト11の張力にも左右されるが、中間転写ベルト11がPI製であることから、かかる径が16mm以上であれば、長時間放置されても、駆動ローラ72に巻き付けられている部分の巻きグセに起因するスジ等の異常画像が生じないためである。
画像形成装置100が、長時間放置時に、中間転写ベルト11の張力が緩められる構成となっている場合、たとえば付勢装置89によって長時間放置時に中間転写ベルト11の張力が解除されるように構成されている場合には、かかる径は、16mmより小さくしても良いが、中間転写ベルト11の張力が1N/cmに維持される場合には、上述の理由から、かかる径を16mm以上とする。
2次転写ユニット76は、2次転写ベルト5の他に、2次転写ベルト5を巻き掛けた張架ローラである、駆動ローラ15及び従動ローラ16と、トナーと逆極性の2次転写バイアスを駆動ローラ15に印加する図示しない電源とを有している。
駆動ローラ15は、転写入口ローラ73に対向する位置を占めている。駆動ローラ15と転写入口ローラ73とは、これらの間に中間転写ベルト11と2次転写ベルト5とを挟み込んでおり、この挟み込みにより、中間転写ベルト11と2次転写ベルト5とが接触する2次転写ニップが形成されている。2次転写ニップには、2次転写バイアスの印加により、後述するようにして中間転写ベルト11上に担持された4色トナー像を、中間転写ベルト11側から駆動ローラ15側に向けて静電移動させる、2次転写電界が形成される。かかる4色トナー像は、後述するようにしてレジストローラ対13により中間転写ベルト11と2次転写ベルト5との間に搬送されてきたシートに、2次転写電界、ニップ圧によって転写される。
このように、転写入口ローラ73は、中間転写ベルト11を介して2次転写ベルト5を当接され、2次転写ニップを形成した支持ローラとなっている。転写入口ローラ73は、対向ローラとしてのバックアップローラとして機能するとともに、2次転写バイアスを印加される駆動ローラ15に対する斥力ローラとして機能するようになっている。
2次転写ユニット76は、中間転写ベルト11上のトナー像を転写されたシートすなわち画像転写後のシートを定着装置6へと搬送するシート搬送機能も備えている。
なお、2次転写ユニット76としては、転写ローラや非接触のチャージャを採用した構成を用いても良いが、この場合には他に転写紙を定着装置6に向けて搬送する部材を要する。
光走査装置8は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKの表面によって構成された被走査面をそれぞれ走査して露光し、静電潜像を形成するための、画像信号に基づくレーザービームとしての図示しないレーザー光を発する図示しない発光源と、発光源によって発せられたレーザー光をその回転により走査する図示しないポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを回転駆動する図示しないポリゴンモータと、ポリゴンミラーによって走査されたレーザー光を感光体ドラム20Y、20M、20C、20B上に結像させ走査する図示しない多数の光学素子とを有している。光走査装置8においてレーザー光を感光体ドラム20Y、20M、20C、20B上に走査させる主走査方向は、図1における紙面に垂直な方向である。
定着装置6は、熱源を内部に有する加熱ローラ62と、加熱ローラ62に巻き掛けられた定着ベルト64と、加熱ローラ62とともに定着ベルト64を巻き掛けた定着ローラ65と、定着ローラ65との間で定着ベルト64を圧接する加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持したシートを定着ベルト64と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像をシートの表面に定着するようになっている。
排紙ユニット79は、定着装置6から搬送されてきた定着済みのシートを、両面ユニット96に向けて搬送する搬送ローラ97と、本体101外に排出する排紙ローラ98と、定着済みのシートを搬送ローラ97のある排紙経路に導いて本体101外に排出するか、排紙ローラ98のある反転経路に導いて両面ユニット96に進入させるかを切り換える切換爪94とを備えている。
両面ユニット96は、排紙ユニット79から搬送されてきた、一方の面に画像形成されたシートを一旦積載するトレイ92と、トレイ92上のシートをスイッチバックさせる反転ローラ93と、反転ローラ93によってスイッチバックされたシートをレジストローラ13に向けて送り出す給紙ローラ95等を有している。
シート給送装置23は、多数枚のシートを積載した給紙カセット25を有するペーパーバンク26と、給紙カセット25に積載されたシートのうち最上位のシートの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ24と、給送ローラ24により繰り出されたシートを1枚ずつ分離する分離ローラ27と、給紙ローラ24及び分離ローラ27により送り出されたシートをレジストローラ対13に向けて搬送する搬送ローラ28と、搬送ローラ28によって搬送されるシートが通過する給紙路29とを有している。
給紙路29はシート給送装置23から本体101内に連続するように設けられており、本体101内の給紙路29にも搬送ローラ28が配設されている。
シート給送装置23は、給送ローラ24が図中反時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ27が作用することにより、最上位のシートを給紙路29内に導き、搬送ローラ28の回転によりレジストローラ対13に向けて給送し、搬送されたシートがレジストローラ対13に突き当てて止められるようになっている。
手差し給紙装置33は、シートを積載する手差しトレイ34と、手差しトレイ34に積載されたシートのうち最上位のシートの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ35と、給送ローラ35により繰り出されたシートを1枚ずつ分離する分離ローラ36と、手差しトレイ34上にシートが載置されたことを検知する用紙センサとを有している。
手差し給紙装置33は、給送ローラ35が図中時計回り方向に回転駆動され、分離ローラ36が作用することにより、最上位のシートを本体101側の給紙路29内に導くとともにレジストローラ対13に向けて給送し、搬送されたシートがレジストローラ対13に突き当てて止められるようになっている。
読取装置21は、原稿を載置するコンタクトガラス21a、コンタクトガラス21aに載置された原稿に光を照射する図示しない光源及び光源から原稿に照射され反射された光を反射する図示しない第1の反射体を備え図1における左右方向に走行する第1走行体21b、第1走行体21bの反射体によって反射された光を反射する図示しない第2の反射体を備えた第2走行体21c、第2走行体21cからの光を結像するための結像レンズ21d、結像レンズ21dを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ21e等を備えている。
自動原稿給紙装置22は原稿を載置する原稿台22aを有し、読取装置21に対して回動自在であって、上方に向けて回動したときコンタクトガラス21aを露出させるようになっている。画像形成装置100を用いて複写を行うときには、原稿を自動原稿給送装置22の原稿台22aにセットするか、自動原稿給送装置22を上方に向けて回動して手動でコンタクトガラス21a上に原稿を載置してから自動原稿給送装置22を閉じて原稿をコンタクトガラス21aに押圧する。
操作パネルは、複写等を開始するためのスタートボタン、複写枚数等を入力するためのテンキー、フルカラー画像形成を行うか黒色の単色画像形成を行うか等の画像形成モードを選択するモード選択キー等を備えている。
制御手段は、CPU、記憶手段としてのメモリ等を備えている。
画像ステーション60Y、60C、60M、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像ステーションの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーションの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーションの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にY、C、M、Kが付されたものはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
図3に示すように、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中反時計方向であるその回転方向B1に沿って、中間転写ベルト11に当接する1次転写ローラ12Yと、1次転写ローラ12Yを含み1次転写ローラ12Yにより中間転写ベルト11を感光体ドラム20Yに所定の押圧力で押圧する押圧手段18Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置40Yと、図示しない除電手段としての除電装置と、帯電手段である帯電ユニットとしての帯電装置30Yと、現像手段としての現像ユニットである現像装置50Yとを有している。
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yと、除電装置とは一体化されており、プロセスカートリッジ95Yを構成している。プロセスカートリッジ95Yは本体101に固定された図示しないガイドレールに沿って本体101に対して引き出し自在であるとともに、本体101に押し込むことが可能であり、本体101に対して着脱自在に設置されている。
プロセスカートリッジ95Yは、本体101に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
プロセスカートリッジ95Yは、感光体ドラム20Yと、クリーニング装置40Yと、帯電装置30Yと、現像装置50Yと、除電装置とのうち、少なくとも感光体ドラム20Yと現像装置50Yが一体化されることによって構成され、本体101に着脱自在に設置されるユニットである。
帯電装置30Yは、感光体ドラム20Yの表面に当接して従動回転する帯電ローラ31Yと、帯電ローラ31Yに当接し従動回転するクリーニングローラ32Yとを有している。帯電ローラ31Yには、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、感光体ドラム20Yの表面を除電すると同時に、所定の極性に帯電するようになっている。
クリーニングローラ32Yは帯電ローラ31Yに従動回転することで帯電ローラ31Yをクリーニングするようになっている。
このように、本形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、スコロトロン方式等の非接触型を採用したものであっても良い。
1次転写ローラ12Yは、中間転写ベルト11に当接して中間転写ベルト11を感光体ドラム20Yに押圧する押圧部材として機能する部材となっている。1次転写ローラ12Yは、本体101に回転自在に支持され1次転写ローラ12Yの回転中心となる軸37Yを有している。1次転写ローラ12Yは、図示を省略するが、金属製の芯金と、この芯金の外周面を覆うように形成された弾性層とを有しており、芯金が、軸37Yを有している。1次転写ローラ12Yは、弾性層により、アスカーC硬度で50以下の硬度となっている。1次転写ローラ12Yには、図示しない電源を備えたバイアス印加手段とバイアス制御手段とによって1次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。なお、軸37Yは同図における紙面に垂直な方向すなわち主走査方向に延在しており、この方向を、1次転写ローラ12Yの軸方向という。
押圧手段18Yは、1次転写ローラ12Yの他に、軸37Yと本体101との間に位置し、軸37Yを中間転写ベルト11に向けて付勢する付勢部材としての押圧バネ19Yと、軸37Yを鉛直方向に変位自在に支持している図示しない支持手段とを有している。押圧手段18Yは、押圧バネ19Yの付勢力によって、1次転写ローラ12Yにより、鉛直方向における下側から上側に向けて、中間転写ベルト11を、感光体ドラム20Yに押圧する。
図1に示した光走査装置8は、図3に示すように、感光体ドラム20Yにおける帯電領域と現像領域との間の領域に、画像情報に応じて光変調されたレーザー光Lを照射して帯電ローラ31Yにより帯電された後の感光体ドラム20Yの表面を露光し、現像装置50Yによってイエロートナー像として可視像化される静電潜像を形成するようになっている。
クリーニング装置40Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有するクリーニングケース43Yと、感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の残留トナー、キャリア、紙粉等の不要物を掻き取ってクリーニングする回転ブラシとしてのブラシローラ45Yと、感光体ドラム20Yの回転方向B1において、ブラシローラ45Yよりも下流側の位置で感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の不要物を掻き取ってクリーニングするためのブレードとしてのクリーニングブレード41Yとを有している。
クリーニング装置40Yはまた、クリーニングケース43Yに回転自在に支持され、ブラシローラ45Y、クリーニングブレード41Yによって掻き取られ、また除去されることによって生じた廃トナー等の不要物を図示しない廃トナータンクに向けて搬送するための図示しない廃トナー経路の一部を構成する排出スクリュ42Yを有している。
現像装置50Yは、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有する現像ケース55Yと、かかる開口部から感光体ドラム20Yに臨むよう感光体ドラム20Yに近接対向して配設された現像剤担持体としての現像ローラ51Yと、現像ローラ51Y上の現像剤を一定の高さに規制する規制部材としてのドクタである現像ブレード52Yとを有している。
現像装置50Yはまた、現像ケース55Yの下部に互いに対向するように配設され、互いに逆方向に回転駆動されることで現像剤を攪拌するとともに現像ローラ51Yに現像剤を供給するための現像剤供給部材としての第1搬送スクリュ53Y及び第2攪拌スクリュ54Yと、第1搬送スクリュ53Yと第2搬送スクリュ54Yとの間に設けられた仕切り壁57Yと、仕切り壁57Yによって仕切られ第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yをそれぞれ収容した現像剤収容器としての現像剤収容部を構成する第1収容室58Y、第2収容室59Yとを有している。
現像装置50Yはまた、イエロー色のトナーを蓄えるトナーホッパー80Yと、第2収容室59Yの底部に備えられ現像剤中のトナー濃度を測定するトナー濃度検知手段たるトナー濃度測定センサとしてのTセンサであるトナー濃度検知装置たるトナー濃度検知センサ56Yと、トナー濃度検知センサ56Yを第2収容室59Yに貼り付けにより取り付けた取り付け部材としての両面テープ86Yとを有している。
現像装置50Yはまた、直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段と、現像ローラ51Yを駆動する図示しない現像駆動手段と、第1搬送スクリュ53Yと第2搬送スクリュ54Yとを互いに逆方向に回転駆動する図示しない搬送駆動手段と、トナーをトナーホッパー80Yから第2収容室59Yに補給する図示しないトナー補給手段等を有している。
現像ローラ51Yは、磁界発生手段としてのマグネットローラ81Yと、マグネットローラ81Yを内包し現像駆動手段により図中時計方向であるC1方向に駆動される非磁性の現像スリーブ82Yとを有している。
マグネットローラ81Yは、図示を省略するが、現像ケース55Yに固定されたプラスチックローラと、プラスチックローラ84Yに埋め込まれた複数の磁極を形成する複数の磁石であるマグネットブロックとを有している。
現像スリーブ82Yは、現像ケース55Y及びマグネットローラ81Yに回転自在に支持されている。現像スリーブ82Yは、バイアス印加手段により感光体ドラム20Yとの間に適当な大きさの現像バイアスを印加される。現像領域における現像スリーブ82Yと感光体ドラム20Yとのギャップすなわち現像ギャップは、0.3±0.05mmとなるように設定されている。
現像ブレード52Yは、SUS材料で形成されている。現像スリーブ82Yと現像ブレード52Yとのギャップすなわちドクターギャップは、0.5±0.04mmとなるように設定されている。
現像剤は、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤である。
キャリアは、磁性キャリアであり、芯材と、芯材表面に形成された樹脂被覆層とを有している。樹脂被覆層の層中には、基体粒子表面に二酸化スズ層と二酸化スズ層上に設けた二酸化スズを含む酸化インジウム層とからなる導電性被覆層を設けてなる導電性粒子が含有されている。
トナーは、形状係数SF−1が100以上180以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上180以下の範囲にあることが好ましい。
図4は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKとの接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKとの吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。SF−1、SF−2が大きくなり、SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに中間転写ベルト11のクリーニング性も低下するために好ましくない。このために、SF−1とSF−2は180を超えない方が好ましい。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
また、トナー粒径は体積平均粒径で4μm以上10μm以下の範囲にあることが望ましい。トナーの体積平均粒径が4μmよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となり、また流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなるためである。また、逆にトナーの体積平均粒径が10μmよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像が得られないためである。本形態では、体積平均粒径が6.5μmのトナーを用いた。
現像剤中のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ56Yによる検知に基づき、制御手段による後述の制御によって、約4〜11重量%の所定の範囲内となるように制御され、キャリアに対するトナーの混合比率が常に適正値に保たれ、高品質の画像を得るのに寄与する。現像によるトナーの消費に伴ってトナー濃度が低下し、トナー濃度検知センサ56Yが、トナー濃度が上述の所定の範囲の下限値を下回ったことを検知したときに、トナーホッパー80Yからトナー補給手段により第2収容室59Yにトナーが補給されるものである。
第1搬送スクリュ53Y、第2搬送スクリュ54Yは、現像ローラ51Yの幅方向言い換えると現像ローラ51Yの長手方向である図2における紙面に垂直な方向に延在するように配設されている。
第1搬送スクリュ53Yは、搬送駆動手段によって回転駆動されることで、第1収容室58Y内の現像剤を図2における紙面奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ51Yに供給する。第1搬送スクリュ53Yによって第1収容室58Y内の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57Yに形成された図示しない開口部を通って第2収容室59Y内に進入する。
第2収容室59Y内において、第2搬送スクリュ54Yは、搬送駆動手段によって回転駆動されることで第1収容室58Yから送られてくる現像剤を第1搬送スクリュ53Yとは逆方向に搬送する。このとき、トナーホッパー80Yからトナーが補給された場合には、補給されたトナーを現像剤中に攪拌混合しながら搬送を行う。第2搬送スクリュ54Yによって第2収容室59Yの端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57Yに設けられたもう一方の図示しない開口部を通って第1収容室58Y内に戻る。
このようにして供給されたトナーは、第1搬送スクリュ53Y及び第2搬送スクリュ54Yによって、現像剤と攪拌搬送されながら攪拌混合され、摩擦帯電され、現像ローラ51Yに供給され担持される。
現像ブレード52Yによって現像剤の担持量を規制され層厚を規制された現像ローラ51Yは、その回転及びバイアス印加手段による現像バイアスにより、現像ローラ51Yと感光体ドラム20Yとの間の現像領域に、現像ブレード52Yによって量を適量とされた現像剤を運び、現像剤中のイエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するようになっている。
現像によりイエロートナーを消費した現像剤は、現像ローラ51Yの回転に伴って現像装置50Y内に戻される。
本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
このように、現像装置50Yにおいては、第1搬送スクリュ53Y及び第2搬送スクリュ54Yによって攪拌搬送された現像剤は、マグネットローラ81Yの磁力により汲み上げられて現像スリーブ82Yに担持され、感光体ドラム20Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体ドラム20Y上の潜像にトナーが供給されて現像が行われる。現像後のトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ82Y表面から第1収容室58Y内に解放され、第1搬送スクリュ53Y及び第2搬送スクリュ54Yにより第1収容室58Y、第2収容室59Y内の現像剤と攪拌され、再び現像スリーブ82Y表面に汲み上げられるというサイクルを繰り返す。マグネットブロックはこのようなサイクルを繰り返すように配設されている。
このようなサイクルにおいて、現像剤中のトナーが消費されるため、トナー濃度が低下する。トナー濃度の低下はトナー濃度検知センサ56Yによって検知される。
トナー濃度検知センサ56Yは、現像剤の透磁率によりトナー濃度を測定するものであり、その出力は電圧Voutとして取り出され、制御手段に入力されて、電圧Voutの大きさにより、トナー濃度が判別される。トナー濃度は重量%を単位としている。
トナーと磁性のキャリアとを含む現像剤において、トナー濃度が低いとキャリアの比率が増加するため透磁率が高くなり、トナー濃度が高いとキャリアの比率が低下するため透磁率が低くなることから、トナー濃度TCの低下と電圧Voutの上昇とはほぼ正比例の関係にある。
そこで、トナー濃度検知センサ56Yからの出力電圧Voutに基づいて制御手段がトナー濃度の低下を認識すると、制御手段は、出力電圧Voutが所定の大きさに回復するまで、トナー補給手段を駆動し、トナーホッパー80Yから、トナーを第2収容室59Yに供給する。
このような構成の画像形成装置100において、複写を行うときには、上述のように自動原稿給紙装置22に原稿をセットするか、コンタクトガラス21a上に原稿を載置した状態で、操作パネルのスタートボタンを押下する。画像形成装置100をプリンタとして使用する場合には、画像形成装置100に接続したPC等の外部入力装置において画像形成を行う画像データを選択、入力等したうえで画像形成開始の操作を行う。
複写を行う場合であって、原稿を自動原稿給紙装置22にセットした場合には、セットした原稿がコンタクトガラス21a上に送り出されてから読取装置21による原稿の読み取りが行われ、また、原稿をコンタクトガラス21a上に載置したときにはスタートボタンの押下によって読取装置21による原稿の読み取りが行われ、画像データが生成される。
原稿の読み取りに際しては、第1走行体21b、第2走行体21cが走行し、光源からの光が原稿に向けて照射され、原稿面からの反射光が第1の反射体により第2走行体21cの方向に反射され、これが第2の反射体によって180度方向を変えて結像レンズ21dを通って読み取りセンサ21eに入射し、読み取りセンサ21eによって原稿の内容が読み取られる。
生成された画像データ又は入力された画像データに基づいて、上述の構成の画像ステーション60Y、60M、60C、60BKが作動する。
画像ステーション60Yにおいては、感光体ドラム20Yは、B1方向への回転に伴い、帯電ローラ31Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザー光Lの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50Yによりイエロー色のトナーにより良好に現像され、現像により得られた単色画像であるイエロー色のトナー像を1次転写ローラ12YによりA1方向に移動する中間転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置40Yにより除去されて除電装置、帯電ローラ31Yによる次の除電、帯電に供される。
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色の単色画像であるトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する中間転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写され、フルカラーの合成カラー画像が形成される。中間転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像は、中間転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ17との対向位置である2次転写ニップまで移動し、シートに2次転写される。
中間転写ベルト11と2次転写ローラ17との間に搬送されてきたシートは、シート給送装置23の1つの給送ローラ24が選択され、この回転によって、ペーパーバンク26に備えられた、対応する給紙カセット25から繰り出され分離ローラ27によって1枚ずつ分離されてフィードされたものであるか、または、手差し給紙装置33の給送ローラ35の回転によって手差しトレイ34から繰り出され分離ローラ36によって1枚ずつ分離されてフィードされたものであるか、または、両面ユニット96から給紙ローラ95によって繰り出されてフィードされたものであるかの何れかであって、このようにフィードされることによって給紙路29に進入するとともに搬送ローラ28によって搬送されてレジストローラ対13に突き当てられて止められ、さらに、レジストローラ対13によって、センサによる検出信号に基づいて、中間転写ベルト11上のトナー像である合成カラー画像の先端部が駆動ローラ15及び転写入口ローラ73に対向するタイミングで送り出されたものである。
シートは、すべての色のトナー像である合成カラー画像を転写され、転写画像として担持すると、2次転写ユニット76に搬送されて定着装置6に進入し、定着ベルト64と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、シート上にカラー画像が形成され記録される。定着装置6を通過した定着済みのシートは、切換爪94の態位に応じて、排紙ローラ98を経て排紙トレイ75上にスタックされるか、または搬送ローラ97を経て両面ユニット96に進入して両面画像形成に備える。両面ユニット96に進入したシートは両面ユニット96において反転され、再度、レジストローラ対13に向けて搬送され、再び2次転写ユニット76へと導かれ、裏面にも画像を転写され、定着装置6にてこの画像を定着された後、排紙ローラ98を経て排紙トレイ75上にスタックされる。
一方、2次転写を終えた中間転写ベルト11は、中間転写ベルトクリーニング装置14によってこれに残留する残留トナー等を除去されてクリーニングされ、再度の画像形成に備える。
このような画像形成動作を良好に行うにあたって、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいて形成されるトナー像の濃度言い換えると画像濃度が一定に保たれること及び副走査方向におけるトナー像の位置を揃えることは、良好な色再現性を得る等のために重要である。
そのため、画像形成装置100では、電源投入時、所定枚数の画像形成後等の所定のタイミングで、ユーザーの指定により行われる通常の画像形成とは別に、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいて形成される画像すなわちトナー像の濃度言い換えるとトナーの付着量及びトナー像の位置が適正になるように画像形成条件を制御するための画像濃度調整モードとしてのプロセスコントロールを実行する。
画像形成装置100におけるプロセスコントロール動作を概略的に説明すると、画像ステーション60Y、60M、60C、60BKにおいて感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上にトナー濃度調整パターンたる濃度調整用パターンであるとともにトナー位置調整パタンたる一調整用パターンであるトナーパターンとしての画像パッチを形成し、各色の画像パッチをそれぞれ中間転写ベルト11上の別領域に転写し、光学センサ88により各色の画像パッチを光学的に読み取り、この読み取った画像パッチの濃度が適正濃度となるとともに位置が適正位置となるように、制御手段99により、光走査装置8の書き込みタイミング、帯電装置30Y、30M、30C、30BKの電圧印加手段の出力の調整、現像装置80Y、80M、80C、80BKのバイアス印加手段の調整やトナー補給手段の駆動等を行い、画像形成条件を制御する。この点、制御手段99は、画像形成条件制御手段として機能する。
このとき、光学センサ88により読み取った画像パッチの濃度及び位置に対応する出力電圧が画像形成条件制御手段として機能する制御手段99に入力され、制御手段99はかかる出力電圧を、次に述べる粉体付着量変換方法を用いた付着量変換アルゴリズムにより付着量変換してトナーの付着量を算出する。画像形成条件制御手段として機能する制御手段99は、算出した付着量に基づいて、その時点での現像能力を表す現像γ、現像開始電圧Vkの算出を行い、この算出値に基づき、帯電装置30Y、30M、30C、30BKの電圧印加手段の出力の制御による帯電バイアス値の調整、現像装置80Y、80M、80C、80BKのバイアス印加手段の制御による現像バイアス値の調整、現像装置80Y、80M、80C、80BKにおけるトナー濃度検知手段によって検知されるべき制御目標値の変更等を行う。
画像形成条件制御手段として機能する制御手段99による、光学センサ88の出力値に基づく画像パッチの濃度言い換えるとトナーの付着量の算出について説明する。
まず、各画像パッチを検知したときの正反射受光素子85の出力値と拡散反射受光素子87の出力値とから、感度補正係数αを算出する。次に、感度補正係数αを用いて正反射受光素子85の出力値を正反射光成分と拡散反射光成分とに成分分解する。しかる後、中間転写ベルト11表面すなわち地肌部を検知したときの出力値すなわち地肌部出力値と正反射成分との比をとり、正反射成分を0〜1までの正規化値β(n)へ変換する。
次に、拡散反射受光素子87の出力値に正規化値を乗算した値を用いて、拡散反射受光素子87の出力値から中間転写ベルト11表面からの拡散反射光成分を除去して、トナーからの拡散反射光成分を抽出する。なお、図5に示すように、トナー付着量が増加するに従い、拡散反射光成分は増加する。
しかる後、正規化値β(n)と、拡散反射光成分を用いて、拡散反射受光素子87の出力値の感度補正を行うための感度補正係数ηを算出する。さらに、拡散反射受光素子87の出力値から抽出したトナーからの拡散反射光成分に上述のように算出した感度補正係数ηを乗算して、拡散反射受光素子87の出力値を補正言い換えると校正する。そして、この感度補正係数ηで補正した拡散反射受光素子87の出力値からトナー付着量を一義的に求める。
この算出方式によれば、温度変化、経時劣化などによるLED83や受光素子85、87の特性変化などに起因して拡散反射受光素子87の出力値が変動しても、感度補正係数α、感度補正係数ηで拡散反射受光素子87の出力値を補正することで、拡散反射受光素子87の出力値とトナー付着量との関係が一義的な関係に修正される。これにより、経時にわたり光学センサ88で良好なトナー付着量検知が行われる。
このように正反射受光素子85による正反射光出力と拡散反射受光素子87による拡散反射光出力の2出力を持つタイプの光学センサ88において補正制御言い換えると校正制御を行う方式は、これら2方式を個別に備えた、図10に示す光学センサ88’、88”における次のような問題を克服する方式である。なお、同図に示した構成において、図2に示したのと同様の構成については、かかる構成と同じ符号を付して、適宜説明を省略する。
図10(a)に示すように、光学センサ88’は、受光素子として正反射受光素子85のみを備えている。この光学センサ88’は、検知対象面すなわち検知物体の凹凸状態によって出力が変わる特性を持ち、モノクロ機のトナー濃度すなわちトナー付着量を検知するセンサとして広く用いられてきた。
図10ないし図13に沿って、光学センサ88’を用いて黒色トナー、カラートナーによって形成された画像パッチをそれぞれを検知したときの出力特性を順に説明する。
検知対象面すなわち画像形成装置100においては中間転写ベルト11の表面に、トナーが全く担持されていない平滑な状態では、図10(a)に示すように、LED83より照射された光の多くは正反射するために、正反射受光素子85に入る光が多く、高い出力値が得られる。
この状態からトナー付着量を徐々に増やしていくに従い、黒トナーの場合、照射した光はトナー表面で散乱するか、もしくはほとんど吸収されてしまうため、付着量に対する正反射光出力特性は、図11に示すように、変曲点を持たない単調減少カーブとなる。そして、トナーがある一定以上付着し、もうこれ以上トナー層表面の凹凸状態が変化しない状態となると、出力は飽和しほぼ一定値を示すようになる。
正反射受光素子85の出力からトナー付着量を求める場合には、中間転写ベルト11の表面である地肌部のつるつる具合と、画像パッチの表面のざらざら具合との比、すなわち、鏡面光沢度の比が、トナー付着量に対し一義な関係を持つことを利用して、下式(3)に定められるR[n]を用いて正規化されるため、R[n]と付着量との対応関係をあらかじめ実験により調べておくことにより、トナー付着量が算出される。
ここで、
ΔVsg_Reg. ・・・地肌部の正反射光出力増分
ΔVsp_Reg. ・・・画像パッチ部の正反射光出力増分
Vmin_Bk ・・・光学センサ88’の出力が飽和した領域でのΔVsp_Reg.
である。
ただし、上述したとおり、トナー層表面の凹凸状態が一定となると出力が飽和してしまうため、いわゆるベタ付着量は検知不能である。
次に、光学センサ88’によって検出される、カラートナーによって形成された画像パッチの正反射光と拡散反射光成分とについて説明すると、カラートナーの場合には、図12に示す通り、トナー付着量を徐々に増やしていくに従い、照射した光はトナー表面で拡散するため、純粋な正反射光成分は、黒トナーと同様、減少特性を持つ。
その一方で、トナーに一旦吸収された後、再び放射される、拡散反射光成分に相当する光は、トナー付着量の増加に従い増加特性を持つため、トナー付着量に対する正反射光出力特性は、図13に示すように、低付着量域では単調減少特性を、そして中〜高付着量域では単調増加に転じるような変曲点を持つ特性カーブとなる。
そのため、光学センサ88’でカラートナー検知をする場合、検出可能なトナー付着量範囲は、黒トナーのそれよりも狭くなってしまう、すなわち、ベタ付着量どころか、低付着量域しか検知不能という大きな問題がある。
図10(b)に示すように、光学センサ88”は、受光素子として拡散反射受光素子87のみを備えている。この光学センサ88”も、検知対象面すなわち検知物体の凹凸状態によって出力が変わる特性を持つ。これは、図14に示すように、図5に示したのと同様に、トナー付着量が増加するに従い、拡散反射光成分が増加するためである。かかる特性は、具体的には、図15に示すように、カラートナーの付着量に対し単調増加特性となっている。このため、光学センサ88”は、カラートナーを正反射型センサで検知した場合の問題を克服するために用いられる。
ただし、この拡散反射型センサである光学センサ88”は、感度校正が難しいため、使いこなしが難しい。すなわち、光学センサ88’のような正反射型センサの場合には、出力からトナー付着量に変換するには、上式(3)に示したように、地肌部出力と画像パッチ部出力との比を取れば、この比が付着量と一義な関係を持つため、簡単に付着量が求られるが、拡散反射光の場合には、地肌部出力はほぼゼロであることから、このような比計算によってはトナー付着量が求められず、拡散反射光出力そのものを予め定めた絶対的な値に校正しなければならない。
また、かかる拡散反射光出力は、発光素子であるLED83の温度変化や光減衰による経時的な光量低下、拡散反射受光素子87の汚れによる出力低下の影響により変動するものであるため、初期的には正確な付着量検知ができたとしても、かかる感度校正すなわち補正がうまく行われなければ、経時的には検知誤差が大きくなる可能性があるという問題がある。
このように、光学センサ88’、88”はそれぞれ問題を有するのに対し、光学センサ88は、トナー付着量を上述のようにして良好に検知可能となっている。
ただし、黒色トナーのみ、あるいはカラートナーのみを用いて画像形成を行う場合には、それぞれ、光学センサ88’、光学センサ88”を用いてトナー付着量を検知することも可能である。
ここで、図16、図17を用いて、光学センサ88の出力値の安定性が重要であることを説明する。
図16(a)は、中間転写ベルト11に対応する像担持体の状態が良好な場合における、光学センサ88に対応する検知手段の出力値を示しており、同図(b)は、かかる像担持体の裏面にゴミ等の異物が付着していたり突起があったりする場合における、かかる検知手段の出力値を示している。センサ対向ローラの径は均一であり、センサ対向ローラに巻き掛けられた位置においてかかる像担持体に担持されている画像パッチを読み取っているものとする。
同図から分かるように、前者の場合には、かかる出力値のばらつきは小さいが、後者の場合には、かかる出力値が突然変動する。この出力値の変動は、主に、かかる異物、突起が、かかる検知手段の読み取り位置に進入したときに、かかる像担持体の表面が膨らむことにより生じたものである。
同図に示されている例では、出力値は、破線で示すように4Vで安定していることが理想であり、この場合には画像パッチのトナー濃度、位置が正確に検知され、プロセスコントロールが良好に行われる。同図(a)に示されている出力値は、かかる理想の状態に近い状態である。しかし、同図(b)に示されている出力値は、1V以上の変動が生じており、画像パッチのトナー濃度、位置の検知が不正確となり得ることとなり、またこれによって、プロセスコントロールの精度が低下し得る。
図17(a)に示すように、かかる検知手段による読み取り位置を、かかる像担持体の、ローラに巻き掛けられている位置から外れた位置にすると、かかる像担持体の回転等によって生じるばたつきや波打ちにより、かかる像担持体の、かかる検知手段によって読み取られる位置が安定せず、同図(b)に示すように、かかる検知手段の出力値は大きくばらつき、検知精度が低下して好ましくない。
そこで、図6に示すように、画像形成装置100では、光学センサ88による検知位置すなわち中間転写ベルト11上の画像パッチの読み取り位置を、駆動ローラ72に巻き掛けられた位置とし、また、このようにセンサ対向ローラとされた駆動ローラ72は、主走査方向に対応した、A1方向に直交する中間転写ベルト11の幅方向の所定位置、具体的には画像パッチの形成位置に対応して、凹部としての溝72aを有している。溝72aの配設位置は、主走査方向において、光学センサ88が中間転写ベルト11に担持された画像パッチを読み取り、検知する位置に対応している。よって光学センサ88は、溝72a上の位置において、中間転写ベルト11に担持された画像パッチを検知する。
このように、駆動ローラ72は、主走査方向において、溝72aが形成されている位置における径が、他の位置の径すなわち中間転写ベルト11が当接する部分の径よりも小さくなっているため、中間転写ベルト11裏面の異物、突起が光学センサ88の読み取り位置に進入しても、かかる異物、突起は、溝72aの内部を通ることから、中間転写ベルト11の表面が膨らむなどの変化は防止ないし抑制される。したがって、中間転写ベルト11の表面の位置は、裏面の異物、突起が光学センサ88の読み取り位置に進入しても、変動を生じないか抑制されているため、溝72aが形成されていない場合に比べて、画像パッチのトナー濃度、位置の検知精度が向上し、プロセスコントロールの精度が向上している。
同図(a)に示されているように、主走査方向において、光学センサ88は3つ設けられており、これに伴って、溝72aも、各光学センサ88に対向する位置に設けられ、3つ備えられている。
同図(b)に示されているように、溝72aは、駆動ローラ72の軸方向に平行な底部と、この底部と駆動ローラ72の表面とを滑らかに接続したテーパ状部とを有している。駆動ローラ72の軸方向における溝72aの幅は10mmであり、かかる底部の、かかる表面からの深さは1mmとなっている。溝72aは、ゴム層と芯金とを削って駆動ローラ72を細くすることで形成されている。
すでに述べたように、中間転写ベルト11の厚みは0.06mmであって、一般的な厚さの範囲内で設定されているが、このような一般的な厚さの場合、裏面の突起は、加工方法にもよるが、小さいもので高さが0.05mmである。よって、かかる突起による、光学センサ88の検知への影響を考慮すると、溝72aの深さは、少なくとも0.05mmを要する。溝72aの深さは、予想される異物、突起の大きさによって、0.05mm以上とされる。
溝72aの幅は、光学センサ88のセンサスポット径より大きいことが望ましく、本形態ではかかるセンサスポット径の2mmに対してかかる幅は10mmとなっている。溝72aの幅は、かかるセンサスポット径、その他光学センサ88による検知に影響を与える構成の交差の積み上げ等を考慮して設定される。
このように、溝72aは、光学センサ88の検知精度向上のために設けられているが、単にこの溝72aを設けると、中間転写ベルト11の張力が大きい場合等に、図18に示すように、主走査方向において、溝72aの位置に対応して、中間転写ベルト11に凹みが生じ、かかる検知精度に影響を与え得る。なお、かかる凹みが生じるか否か、凹みが生じる場合のその程度は、中間転写ベルト11のベルトテンション、厚み、溝72aの深さ、幅等によって変化する。
画像形成装置100では、このような中間転写ベルト11の凹みが、光学センサ88による中間転写ベルト11に担持された画像パッチの検知精度に影響を与え得ることに鑑み、光学センサ88がかかる画像パッチを検知するときに、張力制御手段として機能する制御手段99によって付勢装置89を駆動して張架ローラ91を変位させることで、図7(a)に示す状態から同図(b)に示す状態に移行させて中間転写ベルト11の張力を低下させ、このように張力を緩めることによって凹部を解消ないし軽減する。これにより、光学センサ88による検知精度は、プロセスコントロールに要求される範囲に維持される。
このように、画像形成装置100においては、中間転写ベルト11を巻き掛けた巻き掛け部材である1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BK、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、張架ローラ17、71、74、77、78、91のうち、凹部としての溝72aを有する駆動ローラ72を第1のローラである第1の部材とし、この第1の部材である駆動ローラ72に隣設された巻き掛け部材である転写入口ローラ73、張架ローラ77と異なる巻き掛け部材であり、且つ、第1の部材である駆動ローラ72とも異なる巻き掛け部材である、張架ローラ91を変位させることで、中間転写ベルト11の張力を低下させる構成となっている。
他の構成例として、画像形成装置100は、中間転写ベルト11を巻き掛けた巻き掛け部材である1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BK、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、張架ローラ17、71、74、77、78、91のうち、中間転写ベルト11に転写され担持されるトナー像を担持する感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKにそれぞれ対向して配置された1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを、第1の部材である駆動ローラ72と異なる巻き掛け部材である第2のローラである第2の部材とし、この第2の部材である1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKから離間する方向に変位させることで、図8(a)に示す状態から同図(b)に示す状態に移行させて中間転写ベルト11の張力を低下させるようにしてもよい。
1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKが感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKから離間し、中間転写ベルト11の張力が低下したとき、中間転写ベルト11は感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKから離間する。
このように張力を緩めることによって凹部を解消ないし軽減することで、光学センサ88による検知精度が、プロセスコントロールに要求される範囲に維持される。
この場合、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを変位させる構成としては、すでに述べた押圧手段18Y、18M、18C、18BKを、図1等に示した付勢装置89と同様の構成にし、押圧手段18Y、18M、18C、18BKを張力調整手段として機能させる。またこの場合、たとえば、図2に示した押圧バネ19Yは図1等に示したバネ89aに相当する。
この構成においても、制御手段99は、上述の構成例と同様に張力制御手段として機能する。そして、プロセスコントロール時に、中間転写ベルト11の張力を2.0N/cmから1.4N/cmに低下させる。ただし、張力制御手段として機能する制御手段99が押圧手段18Y、18M、18C、18BKを駆動して1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを変位させるタイミングは、感光体ドラム20Y、20M、20C、20BK上に形成された画像パッチが中間転写ベルト11に転写された後、中間転写ベルト11上の画像パッチが光学センサ88による検知領域に到達する前までのタイミングである。
この構成では、中間転写ベルト11の張力を低下させるとき、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKを感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKから離間させ、中間転写ベルト11が感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKから離間するため、中間転写ベルト11と感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKとが互いに当接した状態が解除され、中間転写ベルト11と感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKとが長寿命化されるという利点もある。同様に、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKも長寿命化されるという利点がある。
図8に示した構成では、張架ローラ91をテンションローラとして機能させるために、図1等に示した付勢装置89に代えて、バネ89aを備えているが、図8に示した構成においても、図1等に示した付勢装置89を備え、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKとともに張架ローラ91を変位させることで中間転写ベルト11の張力を調整するようにしてもよい。
以上述べた構成例では、第1の部材である駆動ローラ72に隣設された巻き掛け部材である転写入口ローラ73、張架ローラ77と異なる巻き掛け部材を変位させているため、変位に起因する中間転写ベルト11の走行位置の変化による中間転写ベルト11のばたつき、波打ちや振動が、光学センサ88による検知領域にまで伝達されることが抑制されており、光学センサ88による検知精度低下の抑制が図られている。
なお、図8に示した構成例においては、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKのすべてを変位させるようになっているが、中間転写ベルト11の張力の低下が所望の程度に得られる範囲で、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BKのうちの少なくとも1つを変位させるようにしてもよい。張架ローラ77が省略されている場合、1次転写ローラ12BKが、第1の部材である駆動ローラ72に隣設された巻き掛け部材となるため、上述した、中間転写ベルト11の走行位置の変化による中間転写ベルト11のばたつきや振動が、光学センサ88による検知領域にまで伝達されることを抑制するには、1次転写ローラ12BKと異なる1次転写ローラ12Y、12M、12Cの何れかを変位させることが望ましい。図8に示したような構成例を実現するには、中間転写ベルト11のような第1の像担持体である像担持体を巻き掛けた巻き掛け部材のうち駆動ローラ72のような第1の部材と異なる巻き掛け部材の少なくとも1つが第2の像担持体に対向して配設されていることを要する。
以上述べた構成例では、第1の部材である駆動ローラ72に隣設された巻き掛け部材である転写入口ローラ73、張架ローラ77と異なる巻き掛け部材を変位させることで、中間転写ベルト11のばたつき、波打ちや振動が、光学センサ88による検知領域にまで伝達されることが抑制され、光学センサ88による検知精度低下の抑制が図られているが、第1の部材である駆動ローラ72に隣設された巻き掛け部材である転写入口ローラ73、張架ローラ77を変位させることで、次に述べる作用により、中間転写ベルト11のばたつき、波打ちや振動が、光学センサ88による検知領域にまで伝達されることを抑制し、光学センサ88による検知精度低下の抑制を図っても良い。
図9に、張架ローラ77を変位させることで、中間転写ベルト11の張力を低下させながら、中間転写ベルト11のばたつき、波打ちや振動が、光学センサ88による検知領域にまで伝達されることを抑制し、光学センサ88による検知精度低下の抑制を図った構成を示す。なお、この構成では、張架ローラ77
をテンションローラとして機能させるために、図1等に示した付勢装置89と同様の構成の張力調整手段を用いている。
同図に示した構成では、張架ローラ77を変位させることで、角度θに対応した分だけ、駆動ローラ72の周面において中間転写ベルト11が巻き付いている巻き付け角が増加し、中間転写ベルト11が駆動ローラ72の周面に巻き付いている量すなわち巻き掛け量が、駆動ローラ72の回転方向において、2mmから6mmに増加して、駆動ローラ72の周面において中間転写ベルト11が接触している領域が増加する。
中間転写ベルト11のばたつき、波打ちや振動は、中間転写ベルト11が駆動ローラ72の周面に接触して倣うことによって減衰するため、光学センサ88による検知領域にまで伝達されることが抑制される。よって、図9に示した構成でも、光学センサ88による検知精度低下の抑制が図られたものとなっている。また、張架ローラ77は、A1方向において駆動ローラ72の上流側に位置するため、張架ローラ77の変位により、中間転写ベルト11は、駆動ローラ72への巻き付き始め側において、巻き掛け量が増加する。中間転写ベルト11のばたつき、波打ちや振動は、中間転写ベルト11の、駆動ローラ72への巻き付き終わり側よりも巻き付き始め側において、減衰し易いため、A1方向において駆動ローラ72の下流側において駆動ローラ72に隣設されている転写入口ローラ73を変位させる場合よりも、光学センサ88による検知精度低下の抑制が高精度に図られている。
制御手段99は、ROMに、以上述べた、トナーを担持して搬送する無端ベルト状の中間転写ベルト11と、この中間転写ベルト11を巻き掛けた1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BK、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、張架ローラ17、71、74、77、78、91と、中間転写ベルト11の幅方向の所定位置において中間転写ベルト11に担持された画像パッチを検知する光学センサ88と、中間転写ベルト11の張力を調整する付勢装置89および/または押圧手段18Y、18M、18C、18BKとを用い、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12BK、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、張架ローラ17、71、74、77、78、91の1つである駆動ローラ72は、かかる所定位置に溝72aを有する第1の部材であり、かかる付勢装置89および/または押圧手段18Y、18M、18C、18BKにより、中間転写ベルト11の張力を低下させた状態で、光学センサ88により中間転写ベルト11に担持された画像パッチを検知して、形成するトナー像を制御する画像制御方法を実行するための画像制御プログラムを記憶している。この点、制御手段99ないしROMは、画像制御プログラム記憶手段として機能している。かかる画像制御プログラムは、制御手段99に備えられたROMのみならず、半導体媒体(たとえば、RAM、不揮発性メモリ等)、光媒体(たとえば、DVD、MO、MD、CD−R等)、磁気媒体(たとえば、ハードディスク、磁気テープ、フレキシブルディスク等)その他の記憶媒体に記憶可能であり、かかるメモリ、他の記憶媒体は、かかる画像制御プログラムを記憶した場合に、かかる画像制御プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記録媒体を構成する。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、巻き掛け部材は、凹部を有する第1の部材を含め、像担持体との当接によるそれ自身や像担持体の磨耗等を考慮すれば、像担持体とともに回転するローラ状の部材であることが好ましいが、ローラ状に限られず、たとえば像担持体との当接位置が滑らかな曲面をなした固定の部材であっても良い。
凹部は、像担持体の走行方向に直交する幅方向において検知手段による読み取りが行われる位置に対応して、巻き掛け部材の、像担持体との当接位置に、像担持体の移動方向に沿って溝状に形成されていれば、像担持体の裏面の汚れや突起が像担持体の回転に伴って巻き掛け部材に巻き掛けられた位置を占めても巻き掛け部材に乗り上げることがなく、かかる位置を占めるときの像担持体の振動等を良好に抑制するが、溝状に形成されたものでなく穴状に形成されたものであってもかかる振動等を抑制し得るため、穴状に形成されたものであっても良い。
また、検知手段による読み取り位置は、すでに述べたように、像担持体の回転等によって生じるばたつきや波打ちを考慮すれば、凹部を有する第1の部材をはじめとする、巻き掛け部材に巻き掛けられた位置であることが好ましいが、巻き掛け部材相互間に張り渡された位置であれば、像担持体の裏面の汚れや突起が検知手段による読み取り位置において像担持体に乗り上げることがなく、この乗り上げによる検知精度の低下が生じないため、検知手段による読み取り位置は、巻き掛け部材に巻き掛けられた位置でない位置でもよい。
よって、検知手段による読み取り位置は、凹部上の位置でなくても良い。ただし、像担持体の回転等によって生じるばたつきや波打ちに起因して生ずる検知部材の検知精度低下に着目すれば、検知手段による読み取り位置は、巻き掛け部材上の位置であることが好ましいが、この場合であっても、検知手段による読み取り位置において像担持体を巻き掛けた巻き掛け部材は、凹部を有する第1の部材に限らず、これと異なる巻き掛け部材であっても良いし、検知手段による読み取り位置において像担持体を巻き掛けた巻き掛け部材が第1の部材であっても、凹部が上述のように穴状とされている場合、検知手段による読み取り位置は凹部上の位置とするのに限られない。
画像形成装置は、各色のトナー像をシート等に直接転写する直接転写方式を採用しても良い。この場合、像担持体は、中間転写体でなく、像担持体上のトナー像は、通常の画像形成時において、直接、シートに転写される。このような構成においては、このシートを搬送する部材を無端ベルト状の像担持体とし、プロセスコントロール時に画像パッチを担持させるようにすれば、この像担持体が上述の形態において中間転写ベルト11として説明された像担持体となる。
その他、画像形成装置は、近年では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきているが、画像形成装置は、モノカラー画像のみを形成可能なものであっても良い。
このような画像形成装置に用いる現像剤は、二成分現像剤に限らず、上述したのと同様のクリーニングレスとすることが可能な構成であれば一成分現像剤であっても良い。
画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機でなく、これらの単体であっても良いし、その他、プロッタであっても良く、また、複写機とプリンタとの複合機等の他の組み合わせの複合機であっても良い。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。