JP2012180710A - 高圧水発生装置搭載車両 - Google Patents

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Tetsuo Akimoto
徹郎 秋元
Tomohiko Ashikaga
智彦 足利
Sachihiro Aihara
幸博 相原
Sachihiro Hirakawa
幸博 平川
Yasumitsu Takahashi
保満 高橋
Yoshimitsu Hironaka
美光 弘中
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Abstract

【課題】高圧水発生装置の冷却を十分に行いつつ、騒音を効率よく低減することが可能な高圧水発生装置搭載車両を提供する。
【解決手段】本発明の高圧水発生装置搭載車両は、ラジエータ25、高圧ポンプ26、熱交換機27、フィルタ28、ディーゼルエンジン29及びクラッチ30からなる高圧水発生装置3が荷台5に載置され、この荷台5が前板6、左側板7、右側板8、天井板9及び背面扉10a〜10cで囲まれるとともに、左側板7、右側板8及び天井板9に設けられたそれぞれの開口部に左側扉11a〜11e、右側扉12a〜12d及び天井扉13a〜13cが取り付けられた構造となっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、高圧水を用いてコンクリートの切断や石材の表面処理等の作業を行う車両に係り、特に、作業現場で速やかに高圧水を利用できるように高圧水を発生させるためのポンプやエンジン等が荷室に設置された高圧水発生装置搭載車両に関する。
小さな径のノズルから噴射される高圧の線状流(ウォータージェット)を用いてコンクリート等の構造物を破砕あるいは切断又は洗浄する技術が知られている。この方法によれば、既存の鉄筋を損傷することなく、コンクリート部分のみを効率よく破砕することができる。しかしながら、ビルなどの構造物を破砕する場合には、上述の高圧水を発生させるものとして大型の装置が必要となるため、従来、装置の搬送、足場の構築、装置の取り付けや撤去などの間接作業に多くの時間を要し、作業効率が悪く、工事費用が高くなってしまうという課題があった。そこで、このような課題を解決するものとして、近年、高圧水発生装置を車台に搭載した状態で破砕作業を行うことができる工事車両に対する需要が高まっている。そして、それに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「ウォータージェット噴射装置」という名称で、切断対象箇所に当接させ,高圧流体を線状噴射流として噴射するノズルの先端と切断対象箇所との距離を一定に保つ噴射ガイド片と、この噴射ガイド片が切断対象箇所から離れると噴射流の噴射を遮断するように構成された安全スイッチを備えたことを特徴とする発明が記載されている。
また、図3(図示せず)としてウォータージェット噴射装置をトラックの荷台に設置した構成が開示されている。このようにウォータージェット噴射装置をトラックに搭載することによれば、切断作業現場まで出向いて行って、その場で切断作業を行うことができる。
次に、特許文献2には、「外壁塗膜剥離及びコンクリートのはつり及び切断装置」という名称で、土木作業や建設作業において外壁塗膜を剥離したり、コンクリートのはつり及び切断を行ったりする際に用いる装置に関する発明が開示されている。
この装置は、発電機、エンジン、コンプレッサー、清水タンク、高圧ポンプ、先端部にノズルを有するホースを備えたガン装置、濁水処理装置などがトラック等の荷台に配設された構造となっている。このような構造によれば、作業現場へ迅速に移動し、速やかに各種の作業にとりかかることができる。
さらに、特許文献3には、「高圧水噴射作業車」という名称で、圧縮氷結した積雪等に高圧水を噴射して破砕したり、路面や側溝の洗浄に利用したりすることのできる作業車に関する発明が開示されている。
この発明では、貯水槽内の水を噴射ノズルから高圧水として噴射させる高圧水発生装置がノズルユニットや貯水槽とともにトラックの車体に搭載されている。そして、噴射ノズルを水平面内で旋回可能に支持する旋回手段と、旋回手段を車体の幅方向に変位させる横移動手段と、噴射ノズルを昇降させる昇降手段をノズルユニットに備えたことを特徴としている。
このような構造によれば、融雪剤等の薬剤を混合した高圧水を走行中又は停止中に噴射ノズルから積雪路面等へ散布又は噴射することができる。また、降雪期以外には、路面や側溝等に高圧水を噴射して洗浄することも可能である。
特開2004−276187号公報 特開平10−77746号公報 特開平5−247914号公報
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明においては、トラックの荷台に搭載されたウォータージェット噴射装置が露出しているため、装置の稼働中に騒音が発生する。従って、市街地の公道等に車を停めて作業を行うことができない場合があった。また、特許文献2に開示された発明においてもエンジンや高圧ポンプが露出しているため、同様の課題があった。
さらに、特許文献3に開示された発明においては、ノズルユニットが露出していることに加え、高圧水発生装置にも積極的に防音対策が施されていないため、作業中に発生する振動や騒音を十分に小さくすることができないという課題があった。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、高圧水発生装置の冷却を十分に行いつつ、騒音を効率よく低減することが可能な高圧水発生装置搭載車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、高圧ポンプと,この高圧ポンプを駆動するエンジンを備えた高圧水発生装置が荷台に載置された高圧水発生装置搭載車両において、吸音材とパンチング材からなる前板,側板,天井板及び背面扉とを、荷台を囲むように設置して荷室を形成し、天井板に設けられた天井開口部に設置される天井扉と、側板に設けられた側板開口部に設置される側扉と、天井扉を開閉駆動する開閉手段と、を備えることを特徴とするものである。
このような構造の高圧水発生装置搭載車両においては、天井開口部や側板開口部から流入した外気が荷室内部を冷却するという作用を有する。また、高圧水発生装置の稼働時に発生する騒音が前板,側板,天井板及び背面扉によって低減されるという作用を有する。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の高圧水発生装置搭載車両において、荷室は仕切り板を用いて前室と後室に分離され、後室には、高圧ポンプ及びエンジンを配置するとともに,高圧ポンプ及びエンジンから発生する熱で加熱された空気を仕切り板に設けられた通風口を通して前室へ送り込む放熱手段が備えられ、天井扉は前室と後室の上方にそれぞれ排気用の天井扉、吸気用の天井扉として設けられることを特徴とするものである。
このような構造によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、後室では天井扉から吸気して後室内を冷却するように作用し、さらに仕切り板の通風口を通して後室から空気を前室に排出することで排熱し、前室内の温度が上昇するという作用を有する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の高圧水発生装置搭載車両において、後室内の室温を検出するセンサ部と、このセンサ部から送られる温度データに基づいて開閉手段の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とするものである。
このような構造によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、天井扉の開口率が制御部により後室内の冷却状況に応じて制御されるという作用を有する。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の高圧水発生装置搭載車両において、側板開口部の幅は荷台の横幅よりも広く形成されることを特徴とするものである。
このような構造の高圧水発生装置搭載車両においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、上記側板開口部を利用することで高圧ポンプやエンジンの積み降ろし作業が容易になるという作用を有する。
以上説明したように、本発明の請求項1記載の高圧水発生装置搭載車両によれば、高圧水発生装置の稼働時に発生する騒音を抑えるとともに、荷室内部を冷却することができる。また、冬期には、高圧水発生装置の水温の過剰な低下を防ぐことができる。これにより、装置の起動に要する時間が短縮されるため、作業効率が向上する。さらに、雨天時には天井扉を閉じるか、あるいは開口率を小さくすることで荷室内部への雨水の侵入を防ぐことができる。
本発明の請求項2記載の高圧水発生装置搭載車両によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、前室が乾燥室として機能することで、水に濡れた作業着等が効率よく乾くという効果を奏する。
本発明の請求項3記載の高圧水発生装置搭載車両によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、後室内の冷却効果を低下させることなく、高圧水発生装置によって発生する騒音が効率よく低減されるという効果が発揮される。
本発明の請求項4記載の高圧水発生装置搭載車両によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、高圧水発生装置を構成する機械の積み降ろしが容易であるため、点検作業や交換作業を効率よく行うことができるという効果を奏する。
(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る高圧水発生装置搭載車両の実施例の側面図及び平面図である。 (a)は図1(a)において左側板及び左側扉の図示を省略した図であり、(b)は図1(b)において天井板、天井扉及び排気口用蓋の図示を省略した図である。 (a)は図1(a)において左側扉の一部と天井扉及び排気口用蓋を開放した状態を示す図であり、(b)は図3(a)のA−A線矢視断面の部分拡大図である。 (a)及び(b)はそれぞれ天井扉が天井板に取り付けられた状態を示す平面図及び側面図である。 天井扉の開閉機構の構成を示すブロック図である。 図2(a)において天井扉及び排気口用蓋を開放した状態を示す図である。
本発明の実施の形態に係る高圧水発生装置搭載車両について図1乃至図6を参照しながら具体的に説明する。なお、図2(a)、図2(b)、図3(a)及び図6では給油管の図示を省略している。また、図3(a)は図1(a)においてダクトを取り外した状態を示している。さらに、本実施例では、総重量が8トン未満の車両に高圧水発生装置を搭載した場合を想定しているが、車両の大きさはこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図1及び図2に示すように、本実施例の高圧水発生装置搭載車両はトラックなどの貨物車両であって、運転席を含むキャビン1の後方に設けられた荷室2に設置された台座4に対し、高圧水発生装置3がボルトを用いて着脱可能に固定されている。また、台座4は荷台5の支持部材であるシャーシに防振ゴムを介して固設されている。荷台5の周囲のうち荷室2の前と左右には前板6、左側板7及び右側板8が立設されており、荷室2の上部には天井板9が覆設されている。そして、荷室2の背面には背面扉10a〜10cが取り付けられている(図2(b))。
左側板7、右側板8及び天井板9に設けられた側板開口部や天井開口部には左側扉11a〜11e、右側扉12a〜12d及び天井扉13a〜13cがそれぞれ設置されている。また、天井板9には排気口用蓋14aを有する排気口14(図3(a)参照)が設けられるとともに、排気口14に連通するダクト15が着脱自在に取り付けられている。なお、図1(b)に破線で示すように、ダクト15は開口部15aをトラックの後方だけでなく、側方へ向けた状態でも設置可能となっている。また、排気口用蓋14aは天井板9に対して開閉自在に取り付けられており、ダクト15を取り外した場合でも適宜閉じることで雨水等を排気口14に流入させない構造となっている。さらに、左側扉11d,11aに設けられた操作用開口部16(図3(b)参照)及び給油用開口部(図示せず)には操作用扉16a,16b及び給油用扉17が開閉自在にそれぞれ取り付けられている。
荷室2は仕切り板18によって前室19aと後室19bに分けられており、前室19aの上部及び側面には天井扉13c及び左側扉11eが設けられている。そして、天井開口部13(図3(a)参照)を通って天井板9の上に出られるように梯子20が設置され、前板6の内側上部には作業着等を掛けるための棒状体21が設置されるとともに、仕切り板18の前面に一端が軸支された状態で導風板22が設置されている。また、後室19bには高圧水発生装置3と燃料タンク23及び給水タンク24が荷台5を支持するシャーシにボルトを用いて着脱可能に固定されている。
高圧水発生装置3は、仕切り板18に近接配置されるラジエータ25と、給水管24aによって給水タンク24と接続される高圧ポンプ26と、冷却水を介した熱交換により高圧ポンプ26を冷却する熱交換機27と、給水管24aに介装されて給水タンク24から高圧ポンプ26に送られる水を濾過するフィルタ28と、燃料タンク23に給油管(図示せず)を介して接続されるディーゼルエンジン29と、ディーゼルエンジン29から高圧ポンプ26に伝達される駆動力の切り替えを行うクラッチ30とからなる。また、ラジエータ25は送風機を備えており、仕切り板18に設けられた通風口を通して後室19b内の空気を前室19a内へ排出する放熱手段として機能する。さらに、ディーゼルエンジン29には、発生した排気ガスを後室19b外へ送出するために、排気用消音器31が介装されるとともに,一端が天井板9の排気口14(図3(a)参照)に接続された排気管31aが設置されている。なお、本実施例では、高圧ポンプ26としてプランジャーポンプを用いているが、これ以外のポンプを用いることもできる。
左側扉11dの近傍には、操作用開口部16を通して高圧水噴射用ホース(図示せず)を接続可能にホース接続部32が配設されており、ホース接続部32は送水管26aを介して高圧ポンプ26に接続されている。また、高圧水発生装置3の操作盤(図示せず)は操作用開口部16を通して露出可能に左側扉11dの近傍に設置されており、燃料タンク23の給油口(図示せず)は給油用開口部を通して露出可能に給油用扉17の近傍に配設されている。さらに、荷台5の4か所に設けられた貫通穴にはそれぞれアウトリガ33a〜33dが昇降自在に挿設されている。そして、アウトリガ33a〜33dには所定の高さで固定され得るように図示しない固定手段が設置されている。すなわち、アウトリガ33a〜33dの高さは高圧ポンプ26の水平状態が保たれるように、それぞれ個別に調節可能となっている。このようにして、高圧ポンプ26の水平状態を維持することによれば、高圧ポンプ26の故障を防ぐことができる。
図2(b)及び図3(a)に示すように、左側扉11b,11c及び右側扉12b,12cはそれぞれ左側支柱34a及び右側支柱34bを中心として観音扉状に左側板7と右側板8に取り付けられている。また、左側支柱34a及び右側支柱34bは左側板7及び右側板8の支持部材である枠体(図示せず)に着脱可能に取り付けられている。従って、左側扉11b,11cを開放するとともに、左側支柱34aを上記枠体から取り外すと、荷台5の幅よりも広い幅を有する側板開口部35が左側板7に形成される。また、右側扉12b,12cを開放し、右側支柱34bを上記枠体から取り外した場合には、荷台5の横幅よりも広い幅を有する側板開口部35が右側板8に形成される。そして、側板開口部35を利用すると、高圧ポンプ26等の積み降ろし作業を容易に行うことができる。これにより、高圧水発生装置3の点検や交換の作業効率が向上する。
図3(b)に示すように、操作用扉16a,16b及び左側扉11dは少なくとも一部がパンチング材36からなる金属製の筐体と、この筐体に収容されるウレタン等の発泡体からなる吸音材37によって構成されており、吸音材37に摩耗や損傷が生じた場合、筐体に取り付けられているネジを外すことで吸音材37を筐体から容易に取り出せるようになっている。従って、高圧水発生装置3が発生する騒音の周波数に応じてパンチング材36の厚さや孔の形状若しくは大きさ、さらに吸音材37の厚さ、表面形状及び材質を適切なものに適宜交換することが可能である。なお、前板6、左側板7、右側板8、天井板9、左側扉11a〜11c,11e、右側扉12a〜12d、天井扉13a〜13c及び給油用扉17も操作用扉16a,16b及び左側扉11dと同様にパンチング材36によって構成される筐体内に吸音材37が収納された構造となっている。
操作用扉16a,16bは一端が操作用開口部16の上部及び下部にそれぞれ回動自在に軸支されており、操作用扉16aはガスダンパー38により開状態で保持可能となっている。電源用等のケーブルであれば、側板にケーブルを挿入するために最低限必要な大きさの孔を設ければ良いが、高圧水噴射用ホースのように手で持って作業するものについては、側板によってホースが拘束されると操作性が悪化する。そのため、側板にはホースの径よりも大きな開口部を設ける必要がある。しかし、開口部を設けると、雨天時に雨水等が荷室内に流入し易くなる。これに対し、上記構造によれば、操作用開口部16を通して高圧水噴射用ホース(図示せず)がホース接続部32に接続されるため、左側扉11dによってホースが拘束されず、高圧水噴射用ホースの操作性が悪化しない。また、雨天時には開状態の操作用扉16aが操作用開口部16の庇として機能するため、後室19b内への雨水の流入が阻止される。そして、操作盤を操作しないときは、操作用扉16bを閉じることにより、雨水の流入がさらに効果的に阻止される。
図4(a)及び図4(b)に示すように、天井扉13a〜13cの一端は荷室2の横幅方向に平行な回動軸39aによって天井板9に軸支されており、天井扉13a〜13cの内面には回動軸39aに平行であってモータ40a〜40cにより駆動される回動軸39bが回動自在に取り付けられている。また、回動軸39bの両端には開閉アーム41a,41bの基端部が固設され、天井開口部13の内側面42a,42bにはアームガイド43a,43bが水平に取り付けられている。そして、開閉アーム41a,41bの先端部にはコロ44がそれぞれ取り付けられており、コロ44はアームガイド43a,43bによって、転動しながら荷室2の天井板9の前後方向へ移動自在に保持されている。すなわち、モータ40a〜40cの駆動により回動軸39bが回動すると、開閉アーム41a,41bが揺動し、その結果、天井扉13a〜13cが開閉する。このように、回動軸39a,39b、モータ40a〜40c、開閉アーム41a,41b、アームガイド43a,43b及びコロ44は天井扉13a〜13cを個別に開閉駆動する開閉手段を構成している。
天井扉13a〜13cの開閉動作について図5を用いて説明する。
図5(a)に示すように、上記開閉手段を構成するモータ40a〜40cは、後室19b内の気温を示す温度計及び高圧水発生装置3に設置された水温計からなるセンサ部45から送られる温度データ45aに基づいて制御部46から送られる制御信号46a〜46cによって、その動作を制御されている。そして、本実施例では、後室19bの室温若しくは高圧水発生装置3の水温計の値の少なくともいずれか一方が所定の値を超えた場合に、天井13a〜13cを開くように制御部46がモータ40a〜40cの動作を制御するように構成されている。
次に、荷室2の内部に発生する空気の流れについて図6を用いて説明する。
上記構造の高圧水発生装置搭載車両において、ラジエータ25を作動させると、図6に矢印Fで示すように、後室19b内の高温の空気が仕切り板18に設けられた通風口を通して前室19a側へ送られる。そして、前室19a内に送り込まれた高温の空気は矢印Bで示すように導風板22に沿って上昇する。その後、矢印Cで示すように天井開口部13から前室19aの外部へ排出される。また、前述した矢印Fで示す空気の流れに伴って、矢印Dで示すように天井扉13a,13bのそれぞれの開口部13から後室19bの内部へ外気が流入する。その後、この外気は矢印Eで示すように高圧ポンプ26やディーゼルエンジン29等を冷却しながら後室19b内を前方へ移動する。なお、ディーゼルエンジン29の排気ガスは、排気管31aによって排気口14に導かれた後、矢印Gで示すようにダクト15によって後方へ排出される。
以上説明したように、本発明の高圧水発生装置搭載車両においては、天井扉13a,13bが設置された天井開口部13から流入した外気が後室19bの内部を前方へ向かって流れ、仕切り板18に設けられた通風口から前室19aへ送られて、さらに、天井扉13cが設置された天井開口部13から排出されるという作用を有する。これにより、後室19b内を冷却する効果が高まる。なお、作業現場の環境等の事情により防音効果が低くても良い場合には、天井扉13a〜13cに加えて、左側扉11a〜11eや右側扉12a〜12dを開放することもできる。これにより、後室19b内の冷却効果をさらに高めることができる。また、天井扉13a〜13cは開閉自在となっているため、雨天時には天井扉13a〜13cを閉じるか、あるいは開口率を小さくすることで荷室2の内部への雨水の侵入を防ぐことができる。さらに、制御部46によって天井扉13a〜13cの開口率が後室19b内の冷却状況に応じて個別に制御されるという作用を有する。これにより、後室19b内の冷却効果を低下させることなく、高圧水発生装置3によって発生する騒音を効率よく低減することができる。また、冬期には、高圧水発生装置3の水温の過剰な低下を防ぐことが可能である。この保温効果により、高圧水発生装置3の起動に要する時間が短縮されるため、作業効率が向上する。
さらに、仕切り板18の通風口を通して後室19bから送り込まれた空気により、前室19a内の温度が上昇するという作用を有する。そして、棒状体21は、この空気の流路に設置されていることから、水によって濡れた作業着等を掛けておくと、短時間で乾燥する。高圧水を使用する作業では他の作業を行う場合に比べて作業着が水に濡れる可能性が高い。そこで、高圧水発生装置3で発生した熱を利用して、前室19aに乾燥室としての機能を持たせるという上記構造は高圧水発生装置3を搭載した車両において特に有効なのである。また、前述したようにディーゼルエンジン29には排気管31aが接続されている。従って、前室19内に送り込まれる高温の空気にディーゼルエンジン29の排気が混入してしまうおそれがない。これにより、前室19aの乾燥室としての機能が一層発揮される。
本発明の高圧水発生装置搭載車両は、本実施例に示した構造に限定されるものではない。例えば、天井扉、左側扉及び右側扉の個数や設置箇所は本実施例に示した場合に限らず、適宜変更可能である。また、本実施例では、天井扉13a〜13cの開閉手段を構成するモータ40a〜40cを電動モータとしているが、これに限らず、空気圧や油圧を駆動源とするモータを用いることもできる。加えて、制御部46によってモータ40a〜40cの動作を制御する代わりに、作業者が手動で制御する構成としても良い。
さらに、高圧ポンプ26の駆動手段は必ずしもディーゼルエンジン29でなくともよく、発電機や電動モータを用いることもできる。この場合、燃料タンク23は不要となるため、取り外しても良い。また、作業現場に給水設備がある場合には、給水タンク24を取り外しておいても良い。本発明の高圧水発生装置搭載車両では、燃料タンク23及び給水タンク24を荷室2の最後尾に設置しているため、背面扉10a〜10cを開けることにより容易にそれらの積み降ろしを行うことが可能である。そして、左側扉11b,11cや右側扉12b,12cを開放するとともに、左側支柱34aや右側支柱34bを前述の枠体から取り外すことにより、荷台5の幅よりも広い幅を有する側板開口部35が左側板7や右側板8に形成されるため、燃料タンク23及び給水タンク24を荷台5から降ろさずとも高圧ポンプ26等の積み降ろしが可能となっている。
加えて、左側扉11b,11cや右側扉12b,12cは必ずしも両方とも設ける必要はなく、いずれか一方のみであっても良い。また、左側板7や右側板8に左側扉11b,11cや右側扉12b,12cを設ける代わりに、左側板7や右側板8の一部にパネルを着脱可能に嵌め込んだ構造とすることもできる。これにより、荷台5の横方向からの高圧ポンプ26等の積み降ろしが可能となる。ただし、パネルの着脱に手間を要するため、左側扉11b,11cや右側扉12b,12cを設ける方が望ましい。さらに、左側扉11b,11cや右側扉12b,12cを設ける代わりに、荷台5の横幅よりも広い幅を有する側扉を側板開口部35に取り付けた構造とすることもできる。ただし、作業現場の道路の道幅が狭い場合や道路等のそばにある構造物と左側板7や右側板8との間隔が狭い場合には、本発明のように2枚の側扉を側板開口部35に取り付けた構造の方が望ましい。
高圧水発生装置を搭載する車両では他の作業を行う車両とは異なり、原則として給水タンクを必要とする。そして、上述したように給水タンクは積み降ろしが容易な状態で荷室に設置されていることが望ましい。従って、給水タンクを荷室の最後尾に着脱可能に設置するとともに、給水タンクの有無にかかわらず、高圧水発生装置の積み降ろしが可能な本発明の構造は、高圧水発生装置が荷室に設置された車両において特に有効なのである。
請求項1乃至請求項4に記載された発明は、防音と冷却対策が必要な装置を荷室に搭載した状態で各種の作業を行う車両に対して適用可能である。
1…キャビン 2…荷室 3…高圧水発生装置 4…台座 5…荷台 6…前板 7…左側板 8…右側板 9…天井板 10a〜10c…背面扉 11a〜11e…左側扉 12a〜12d…右側扉 13…天井開口部 13a〜13c…天井扉 14…排気口 14a…排気口用蓋 15…ダクト 15a…開口部 16…操作用開口部 16a,16b…操作用扉 17…給油用扉 18…仕切り板 19a…前室 19b…後室 20…梯子 21…棒状体 22…導風板 23…燃料タンク 24…給水タンク 24a…給水管 25…ラジエータ 26…高圧ポンプ 26a…送水管 27…熱交換機 28…フィルタ 29…ディーゼルエンジン 30…クラッチ 31…排気用消音器 31a…排気管 32…ホース接続部 33a〜33d…アウトリガ 34a…左側支柱 34b…右側支柱 35…側板開口部 36…パンチング材 37…吸音材 38…ガスダンパー 39a,39b…回動軸 40a〜40c…モータ 41a,41b…開閉アーム 42a,42b…内側面 43a,43b…アームガイド 44…コロ 45…センサ部 45a…温度データ 46…制御部 46a〜46c…制御信号

Claims (4)

  1. 高圧ポンプと,この高圧ポンプを駆動するエンジンを備えた高圧水発生装置が荷台に載置された高圧水発生装置搭載車両において、
    吸音材とパンチング材からなる前板,側板,天井板及び背面扉とを、前記荷台を囲むように設置して荷室を形成し、
    前記天井板に設けられた天井開口部に設置される天井扉と、
    前記側板に設けられた側板開口部に設置される側扉と、
    前記天井扉を開閉駆動する開閉手段と、
    を備えることを特徴とする高圧水発生装置搭載車両。
  2. 前記荷室は仕切り板を用いて前室と後室に分離され、
    前記後室には、前記高圧ポンプ及び前記エンジンを配置するとともに,前記高圧ポンプ及び前記エンジンから発生する熱で加熱された空気を前記仕切り板に設けられた通風口を通して前記前室へ送り込む放熱手段が備えられ、
    前記天井扉は前記前室と前記後室の上方にそれぞれ排気用の天井扉、吸気用の天井扉として設けられることを特徴とする請求項1記載の高圧水発生装置搭載車両。
  3. 前記後室内の室温を検出するセンサ部と、
    このセンサ部から送られる温度データに基づいて前記開閉手段の動作を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高圧水発生装置搭載車両。
  4. 前記側板開口部の幅は前記荷台の横幅よりも広く形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の高圧水発生装置搭載車両。

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