JP2012179631A - 銅板のへり溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光を照射することで確実にへり溶接することができる銅板の溶接方法を提供する。
【解決手段】0.5〜3.0mmの板厚の銅板1,1の表面のへり溶接部3に、溝深さが0.5mm以下の凹溝4が、前記端面と成す角度が30〜90°の方向に0.2〜0.5mmピッチで形成された開先面6を設けると共に、前記へり溶接部における、凹溝4空間と残る銅板部7の体積比を「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」=10〜80%とし、レーザ出力:1000〜4000W、溶接速度:1000〜6000mm/minのレーザ溶接条件で、フィラーワイヤを供給せずに前記銅板1,1のへり溶接部3,3相互をレーザ溶接する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二枚の重ね合わせた銅板相互の端面間にレーザ光を照射することによって銅板相互を溶接する銅板のへり溶接方法、より詳しくは、0.5〜3.0mmの板厚の二枚の銅板の端面を揃えて重ね合わせ、それら銅板の端面間にレーザ光を照射することによって銅板相互を溶接する銅板のへり溶接方法に関するものである。
自動車用部品については、近年、車体重量の軽量化の観点から、素材の薄肉化や部品の小型化に対する要求がますます増加している。一方、このような自動車用部品を製造する際には、部材同士を接合する必要がある場合がほとんどであるが、上記のような薄肉化、小型化した部品を接合して製造する際には課題が存在する場合がある。例えば、本発明で対象としている銅板をへり溶接する場合には、以下のような問題が存在する。
従来から鋼板等の各種金属板においては、二枚の重ね合わせた金属板相互の端面間にレーザ光を照射することによって、それら金属板相互を溶接するヘリ溶接が実施されていた。しかしながら、銅板は、レーザ光を反射し、また、電気伝導度が良いために、レーザ溶接ばかりか抵抗溶接による接合も困難であった。これを改善するため、例えばレーザ溶接を行う際にレーザ出力を増加させたり溶接速度を低下させたりすることにより入熱量を増加させても、上記のように薄肉化、小型化した部品では、入熱過多になって部品が変形してしまう、または必要以上に溶けてしまう等の不具合が発生し、健全な接合を実施することは難しい。そのため、銅板相互を接合するには、TIG溶接やボルト締めという接合方法をとるしかないというのが現状であった。
しかしながら、近年、自動車等のインバータや電池等に用いられる銅製の細長い板状のバスバーの狭隘部の接合等に、このレーザ光によるへり溶接を適用することが検討されはじめている。一方、最近、レーザ溶接性を向上させる銅板として、Ni等をめっきした銅板やCを表面に塗布した銅板が開発されている。しかしながら、これらの各種銅板は全て表面処理された銅板であって、また、銅板に対して法線方向からのレーザ溶接を想定して開発されたものであり、二枚の重ね合わせた銅板相互の端面間をレーザ光でへり溶接する方法には適用することができなかった。
また、最近はSHG(S econd Harmonic Generation:2次高調波)溶接装置が開発されている。この溶接装置は通常の波長(約500nm)のレーザ光では反射率が高く溶接が困難な銅や金に対し、約1000nmの波長のレーザ光を照射することで、反射を抑制し溶接することを可能にした溶接装置であり、銅板のへり溶接に好適に用いることができると考えられる。しかしながら、実際はレーザ光の発信効率が悪く、装置自体もかなり大型であって、また装置の導入等には莫大な費用が必要であるという問題があった。
一方で、反射率が高く溶接が困難な銅板等を除けば、金属板の溶接に関しては、数多くの提案がなされている。例えば、溶接する鋼板の向かい合う突合せ面のうち少なくとも一方の鋼板の突合せ面に、凹部と凸部を繰り返して形成することで溶接部の溶け込み幅を増加させ溶接強度を高めようという提案が特許文献1〜5などでなされている。
特許文献1には、レーザ溶接条件をレーザ出力:1〜50kW、ビーム径:0.3〜1mmφ、溶接速度:0.3〜10m/minとすると共に、フィラーワイヤを供給しない条件下で、鋼板をレーザ溶接する方法であって、少なくとも一方の鋼板の突合せ面に、ある条件式を満たす凸部と凹部を交互に有する凹凸形状面を形成するという方法が開示されている。
また、特許文献2には、溶接される鋼板の少なくとも一方の突合せ面に、溶接線方向に沿う凹凸形状であって溶接表面側が深く裏面側が浅いものを加工する鋼板の溶接方法が開示されており、特許文献3には、溶接される鋼板のうち少なくとも一方の鋼板の開先端に凹凸面を形成して、その凹凸面を他方の鋼板に当接させて溶接する鋼板の溶接方法が開示されている。
また、特許文献4には、第1の鋼板の端面を第2の鋼板の表面に突き合わせて鋼板をすみ肉溶接する方法において、第1の鋼板の端面に一定間隔で交互に凹部および凸部が配列された凹凸面を形成し、その第1の鋼板の表裏面にそれぞれ形成される開先を、同時に溶接電極を移動させてすみ肉溶接するものであって、凸部と凹部の形成条件をある条件に規定する方法が開示されており、特許文献5には、溶接される鋼板のうち少なくとも一方の鋼板の開先端に凹凸面を形成して、その凹凸面を他方の鋼板に当接させて溶接する方法であって、溶接のスタート部又はエンド部にあたる部位の凹凸面の形状がその他の部位の凹凸面の形状と異なる鋼板の溶接方法が開示されている。
特開2001−246486号公報 特開平9−314374号公報 特開平9−262689号公報 特開平11−58000公報 特開2006−167663号公報
本発明は、上記のような背景に着目してなされたものであり、従来ではレーザ光を反射するため溶融しにくく、一方でレーザ出力を増加すると入熱過多になって部品が変形してしまうような状況で、レーザ溶接を行うことが困難な銅板であっても、レーザ出力を過度に増加することなく、確実にへり溶接することができる銅板の溶接方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、0.5〜3.0mmの板厚の二枚の銅板の端面を揃えて重ね合わせ、それら銅板の端面間にレーザ光を照射することによって銅板相互を溶接する銅板のへり溶接方法であって、溶接する前の前記銅板の向かい合う突合せ面側のへり溶接部に、溝深さが0.5mm以下の凹溝が、前記端面と成す角度が30〜90°の方向に0.2〜0.5mmピッチで形成された開先面を設けると共に、前記へり溶接部における、凹溝空間と残る銅板部の体積比を、「凹溝空間の体積」/「銅板部の体積」=10〜80%とし、レーザ出力:1000〜4000W、溶接速度:1000〜6000mm/minのレーザ溶接条件で、フィラーワイヤを供給せずに前記銅板のへり溶接部相互をレーザ溶接することを特徴とする銅板のへり溶接方法である。
本発明の請求項1記載の銅板のへり溶接方法によると、レーザ光を反射するため溶融せず、従来からレーザ溶接が非常に困難であった銅板相互の溶接であるにかかわらず、銅板の端面間にレーザ光を照射することで銅板を溶融させることができ、十分な溶け込み幅を確保して、確実に銅板相互をへり溶接することが可能となる。また、銅板のへり溶接を実現するための特別な溶接装置も必要としない。
また、バスバーのへり溶接にあっては、接合部の強度信頼性のほか、十分な接合面積を得ることができることで導電性を容易に向上させることができる。
本発明の一実施形態の銅板のへり溶接方法を示す斜視図である。 同実施形態の溶接に用いる凹溝と凸部が形成された銅板の要部を示す平面図である。 同実施形態の溶接に用いる二枚の銅板を重ね合わせた状態の要部を示す平面図である。 同実施形態の溶接に用いる凹溝と凸部が形成された銅板を示す正面図である。 本発明の異なる実施形態の溶接に用いる凹溝と凸部が形成された銅板を示す正面図である。
本発明者らは、近年、自動車等のインバータや電池等に用いられる銅製の細長い板状のバスバーの狭隘部の接合等に、レーザ光によるへり溶接を適用することが検討されてはじめているという状況下で、従来、溶接を実施することが困難であった銅板同士のレーザ光によるへり溶接を可能にするために、鋭意、実験、検討を重ねた。
本発明者らは、まず、銅板が十分に溶融するような大出力での溶接を行うことを検討した。しかしながら、本発明が対象としているような0.5〜3.0mmの板厚の銅板を溶接する場合は、銅板が過剰に溶接してしまい、健全な溶接ができないことを確認した。
また、レーザ溶接を行う際の溶接速度を低下させることも検討した。しかしながら、この方法でも本発明が対象としているような0.5〜3.0mmの板厚の銅板を溶接する場合は、銅板が過剰に溶接してしまい、また、溶接時間の増大につながるという問題があることを確認した。
以上のように、レーザ溶接条件を調整するだけでは、本発明が対象としているような0.5〜3.0mmの板厚の銅板を健全に溶接することができないことが分かり、本発明者らは、更に、実験、検討を重ねた。
その結果、溶接する銅板のへり溶接部に、複数本の凹溝が適切なピッチで形成された開先面を設け、それに加えて、更に適切なレーザ溶接条件で、フィラーワイヤを供給せずにレーザ溶接を施すことで、溶接する銅板のへり接合部を溶融させることができ、十分な溶け込み幅を確保して、確実に銅板同士のへり溶接を行うことができることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、銅板をレーザ溶接する際には、銅板表面でレーザが反射してしまうために銅板が溶融せず、健全な溶接が困難であるという問題があったが、突合せ面に、複数本の凹溝が適切なピッチで形成された凹凸形状が存在すると、凹溝間の凸部は熱容量が小さいために、比較的容易に溶融させることができる。一度溶融して液体になればレーザの吸収能は増大するため、凸部が優先的に溶融することによって、上記のような大出力、もしくは低溶接速度にして、単位長さ当たりの入熱量を増加させることなく、健全な溶接が可能になるのである。また、凹凸の存在によって、幅広に溶融するため、溶込み幅の増大効果も得られる。その際、上記の効果を得るためには、凹凸形状や溶接条件を適正化する必要があり、請求項1記載の範囲に限定する必要があるが、凹凸形状の形成手法は不問であり、切削や超音波加工、その他の加工方法のいずれにおいても効果は発揮する。
また、凹凸形状は必ずしも銅板の端面と直交する方向に形成されている必要はなく、当然のこと銅板の端面と直交しても良いし、斜めに形成されていても良い。具体的には、前記端面と成す角度が30〜90°の方向に形成されておれば良い。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明の銅板のへり溶接方法は、例えば、図1に示すように、0.5〜3.0mmの板厚の銅板1のへり溶接を対象とする。
溶接する銅板1の板厚を0.5mm以上とした理由は、銅板1の板厚が0.5mm未満では、レーザ光2を照射すると母材が過剰に溶融してしまいレーザ溶接自体が不可能になる可能性があるためである。一方、銅板1の板厚が3.0mmを超えた場合、レーザ出力、溶接速度等のレーザ溶接条件を調整するだけで、レーザ溶接が可能になることや、そもそも部品の軽量化の効果が希薄になるために、本発明の対象としない。従って、本発明が対象とする銅板1の板厚は0.5〜3.0mmの範囲とした。
本発明の銅板のへり溶接方法では、溶接する銅板1,1の向かい合う突合せ面のへり溶接部3(レーザ溶接される領域)に、図2〜図4に示すように、溝深さが0.5mm以下の凹溝4が、0.2〜0.5mmピッチで繰り返し形成された開先面6を設ける。尚、凹溝4の断面形状は、必ずしも図2および図3に示すようにV字状である必要はなく、U字状、円弧状等の他の形状であっても良い。また、図2〜図4では凹溝4の断面形状がどの位置においても同じ形状の凹溝4を示しているが、例えば、凹溝4が先端側に向かうに伴い幅が狭くなる形状等、断面形状が位置により異なる形状であっても良い。尚、複数本の凹溝4,4が適切なピッチで形成されることで突合せ面は凹凸形状となるため、本明細書では凹溝4,4間を凸部5として説明する。
また、図4に示す実施形態では凹溝4は銅板1の端面と直交する方向に形成されているが、図5に示すように、斜め方向に形成されていても良い。また、銅板1,1の向かい合う突合せ面の両側に凹溝4を形成する場合は、両側の凹溝4,4のピッチ、溝深さ、断面形状、銅板1端面との成す角度、傾斜方向等は全て同一であっても良いし、それらが異なる組合せになっていても良い。
本明細書で述べる凹溝4のピッチとは、図2に両方向矢印で例示するように、隣り合う凹溝4,4同士の長手方向中心線間の間隔(距離)のことを示す。また、凹溝4の長さは、本発明では特に規定しないが、例えば、凹溝4深さやピッチ、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」を、特許請求の範囲に記載の要件を満たす範囲で適宜決定すれば良い。
凹溝4のピッチを0.2mm以上とした理由は、これより細かなピッチであると凹溝4を精度良く形成することが困難になるためであり、一方、凹溝4のピッチを0.5mm以下とした理由は、これより大きなピッチであると、十分な溶け込み幅を確保して確実に銅板1をへり溶接することが困難になるからである。従って、凹溝4のピッチは、0.2〜0.5mmピッチの範囲に規定した。尚、凹溝4のピッチのより好ましい下限は0.3mm、より好ましい上限は0.4mmである。
また、本発明では、へり溶接部3(レーザ溶接される領域)における、凹溝4の空間体積と、凸部5を含む残る部位である銅板部7の体積比、すなわち、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」について、その値が10〜80%の範囲と規定した。尚、本発明ではへり溶接部3の高さ方向(凹溝4の長さ方向)の寸法は特に規定しないが、例えば、図4に示す実施形態の場合は凹溝4が形成される範囲をへり溶接部3とする。
例えば、図3に示すように、銅板1,1相互の向かい合う突合せ面から夫々板厚0.5mm以下のへり溶接部3内に占める凹溝4空間と、凸部5を含む残る部位である銅板部7の体積比、すなわち、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」についても規定した。より詳しく説明すると、本発明では、図3に示すように、銅板1,1相互の向かい合う突合せ面に夫々溝深さが0.5mmの凹溝4が形成されている場合、へり溶接部3(図3に点線でその境界を示す。)をレーザ溶接される領域として、当該領域に存在する凹溝4空間の体積と、残る銅板部7の体積の比率、すなわち、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」を規定している。
尚、凹溝4の形状が異なる銅板1,1同士を溶接する場合、および片方に凹溝4があり他方は平滑である銅板1,1を溶接する場合の「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」は、凹溝4の深さの大きい方(片方のみに凹溝4がある場合は、その凹溝4)に合わせて、突合せ面からの領域を考え、この範囲に存在する凹溝4と残る銅板部7の比が10〜80%の範囲になるように規定する。
例えば、片方に深さ0.3mmの凹溝4があり他方は平滑である銅板1,1を溶接する場合の「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」は、双方の銅板1,1で突合せ面から0.3mmまでの領域(すなわち、突合せ面を中心として合計で0.6mmの幅の領域)を「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」を求める対象、すなわち、へり溶接部3(レーザ溶接される領域)として、その領域中における「凹溝4空間の体積」/「銅板部の7体積」を本発明の規定する範囲内に制御する。
尚、本発明で凹溝4の深さを0.5mm以下と規定した理由は、溝深さが0.5mm以上であると、レーザ溶接においては健全な溶接ビードが形成されなくなるからである。
「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」を10%以上とした理由は、凹溝4のへり溶接部3内に占める体積比率が小さくなりすぎると、溶け込み幅、エネルギー吸収の増大効果が希薄になるからである。一方、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」を80%以下とした理由は、凹溝4のへり溶接部3内に占める体積比率が大きくなりすぎると、溶着金属量が不足して健全な溶接ビードが形成されなくなるためである。従って、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」を、10〜80%の範囲に規定した。尚、「凹溝4空間の体積」/「銅板部7の体積」のより好ましい下限は15%、より好ましい上限は60%である。
本発明では、以上説明した凹溝4と凸部5の形成条件に加えて、銅板1のへり溶接を実施する際のレーザ溶接条件も規定した。レーザ溶接の条件には数々の条件があるが、本発明では、レーザ溶接条件として、レーザ出力、溶接速度を規定し、フィラーワイヤを供給せずにレーザ溶接を施すことを要件とした。
本発明では、レーザ出力を1000〜4000Wの範囲に調整してレーザ溶接を実施することをレーザ溶接条件とする。レーザ出力を1000W以上に規定した理由は、レーザ出力が1000W未満であれば、溶着金属の溶け込みが不安定になるか、或いは、レーザ溶接の際にビームが反射してしまい、健全な溶接ができなくなる可能性があるからである。一方、レーザ出力を4000W以下に規定した理由は、レーザ出力が4000Wを超えると入力過多となり、健全な溶接ができなくなる可能性があるからである。従って、レーザ溶接を実施する際のレーザ出力は、1000〜4000Wの範囲に規定した。尚、レーザ溶接を実施する際のレーザ出力のより好ましい下限は1400W、より好ましい上限は3000Wである。
また、本発明では、溶接速度を1000〜6000mm/minの範囲に調整してレーザ溶接を実施することもレーザ溶接条件とする。溶接速度を1000mm/min以上に規定した理由は、溶接速度が1000mm/min未満であれば、作業効率が著しく低下してしまうからである。一方、溶接速度を6000mm/min以下に規定した理由は、溶接速度が6000mm/minを超えると、溶接ビードの形成が不安定になるからである。従って、レーザ溶接を実施する際の溶接速度を1000〜6000mm/minの範囲に規定した。尚、レーザ溶接を実施する際の溶接速度のより好ましい下限は1500mm/min、より好ましい上限は4000mm/minである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れもが本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すように、2.0mmの板厚の銅板1Aと0.5mmの板厚の銅板1Bの端面間に、フィラーワイヤを供給しない条件でレーザ光2を照射することによって銅板1Aと銅板1Bをへり溶接する各試験を行った。
まず、2.0mmの板厚の銅板1Aと0.5mmの板厚の銅板1B共に、その向かい合う突合せ面に凹溝4を形成しない条件(以下、平滑面と説明する。)で、レーザ光2を照射することによって銅板1Aと銅板1Bをへり溶接する予備試験を実施した。この予備試験では、レーザ出力を1400〜2000Wの範囲で200W置きに夫々変化させた要件で銅板1Aと銅板1Bのへり溶接を行った。試験結果を表1に示す。
表1によると、両者共に平滑面とした条件では、レーザ出力が1400Wの場合には、溶着金属の溶け込みが不安定となり、十分なへり溶接が実施できなかった。これに対し、レーザ出力が1600W以上の場合には、安定した溶け込み幅(溶融幅)の溶接ビードが形成されており、レーザ出力が増加するに伴い、溶接ビードの溶け込み幅(溶融幅)が増加していることが分かる。
次に、銅板1Aを平滑面とし、銅板1Bにその端面とは直交する方向の凹溝4が0.4mmピッチで形成された開先面6(表2には波型0.4mmと記載、以下同様に記載した。)を設けた試験No.1、銅板1A、銅板1B共に、その端面とは直交する方向の凹溝4が0.4mmピッチで形成された開先面6を設けた試験No.2、銅板1Aに、その端面とは直交する方向の凹溝4が0.6mmピッチで形成された開先面6を設け、銅板1Bを平滑面とした試験No.3、銅板1A、銅板1B共に、その端面とは直交する方向の凹溝4が0.6mmピッチで形成された開先面6を設けた試験No.4に対し、先の予備試験で安定した溶け込み幅(溶融幅)の溶接ビードが形成されたレーザ出力が、1600W、1800W、2000Wの夫々の条件で、銅板1Aと銅板1Bのへり溶接を行った。
尚、表2には、「凹溝空間の体積」/「銅板部の体積」を、凹/凸比として記載しており、試験No.1と試験No.3は、片方の銅板1にしか複数本の凹溝4が形成された開先面6が設けられていないため、凹/凸比は、両方の銅板1に複数本の凹溝4が形成された開先面6を設けた試験No.2と試験No.4の半分の値になっている。
この試験では、先の予備試験で形成された溶接ビードの溶け込み幅(溶融幅)と比較して、同一のレーザ出力条件で、溶接ビードの溶け込み幅(溶融幅)が20%以上増加したものを合格として○、溶接ビードの溶け込み幅(溶融幅)の増加が20%に到達しなかったものを不合格として×で示す。試験結果を表2に示す。
表2によると、本発明の要件を満たす、銅板1A、銅板1B共に、凹溝4が0.4mmピッチで形成された開先面6を設けた試験No.2では、レーザ出力条件が、1600W、1800W、2000Wのいずれの場合においても合格(○)となっているのに対し、本発明の要件を満たさない試験No.1、3、4では、レーザ出力条件が、1600W、1800W、2000Wのいずれの場合においても不合格(×)となっている。
(実施例2)
本実施例では、図1に示すように、2.0mmの板厚の銅板1Aと0.5mmの板厚の銅板1Bの端面間に、フィラーワイヤを供給しない条件でレーザ光2を照射することによって銅板1Aと銅板1Bをへり溶接する試験を行った。
この試験(No.5)では、銅板1A、銅板1B共に、図5に示すように、45°傾斜した凹溝4が0.4mmピッチで形成された開先面6を設け、レーザ出力が、1400kWと1800kWの条件で、銅板1Aと銅板1Bのへり溶接を行った。試験結果を表3に示す。
表3によると、レーザ出力が、1400kW、1800kWのいずれの条件でも合格(○)という結果を得ることができた。レーザ出力が1400kWの場合は、銅板1A、銅板1B共に平滑面とした表1のNo.1では十分な溶接ができなかったのに対して、No.5では溶融幅が0.69mmという結果が得られ、健全な溶接を行うことができた。一方、レーザ出力が1800kWの場合は、銅板1A、銅板1B共に平滑面とした表1のNo.3と比較して溶融幅の増大効果が認められた。
1,1A,1B…銅板
2…レーザ光
3…へり溶接部
4…凹溝
5…凸部
6…開先面
7…銅板部

Claims (1)

  1. 0.5〜3.0mmの板厚の二枚の銅板の端面を揃えて重ね合わせ、それら銅板の端面間にレーザ光を照射することによって銅板相互を溶接する銅板のへり溶接方法であって、
    溶接する前の前記銅板の向かい合う突合せ面側のへり溶接部に、溝深さが0.5mm以下の凹溝が、前記端面と成す角度が30〜90°の方向に0.2〜0.5mmピッチで形成された開先面を設けると共に、
    前記へり溶接部における、凹溝空間と残る銅板部の体積比を、「凹溝空間の体積」/「銅板部の体積」=10〜80%とし、
    レーザ出力:1000〜4000W、溶接速度:1000〜6000mm/minのレーザ溶接条件で、フィラーワイヤを供給せずに前記銅板のへり溶接部相互をレーザ溶接することを特徴とする銅板のへり溶接方法。
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