JP2012177060A - 樹脂組成物及び樹脂硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
前記柔軟性ユニットは、以下の式:
また、本発明は、上記の樹脂組成物を重合させて得られることを特徴とする樹脂硬化物である。
本実施の形態の樹脂組成物は、メソゲン基を含む液晶ユニットと、前記液晶ユニットの両端に結合した柔軟ユニットと、末端の重合性基とを有する化合物を含有する。
液晶ユニットが有するメソゲン基は、液晶性を示す官能基であり、例えば、安息香酸フェニル、ビフェニル、シアノビフェニル、ターフェニル、シアノターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼン、ジアゾベンゼン、アゾメチン、アゾキシベンゼン、スチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエート、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、ベンゾイルアニリン、トラン及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、熱伝導性の観点から、安息香酸フェニル、ビフェニル、スチルベン、ジアゾベンゼン、ベンジリデンアニリン及びこれらの組合せや誘導体が好ましい。特に、式(1)又は(2)で表されるビフェニルエステル構造、式(3)で表されるビフェニルエーテル構造、式(4)で表されるビフェニルケトン構造、式(5)で表されるビフェニルアミド構造を有するものがより好ましい。
ベンゾオキサゾール構造としては、特に限定されず、例えば、ベンゾオキサゾール、ビスベンゾオキサゾール、フェニレンビスベンゾオキサゾール、ビフェニレンビスベンゾオキサゾール、ターフェニレンビスベンゾオキサゾール、クォーターフェニレンベンゾオキサゾール、ナフチレンベンゾオキサゾール、フェニルベンゾオキサゾール、ジフェニルベンゾオキサゾール及びこれらの誘導体を有する構造が挙げられる。
ベンゾチアゾール構造としては、特に限定されず、例えば、ベンゾチアゾール、ビスベンゾオキサゾール、フェニレンビスベンゾチアゾール及びこれらの誘導体を有する構造が挙げられる。
ベンゾイミダゾール構造としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイミダゾール、ビスベンゾイミダゾール、フェニレンビスベンゾイミダゾール及びこれらの誘導体を有する構造が挙げられる。
上記の各構造の典型的な例は、下記の式により表すことができる。
また、液晶ユニットは非対称構造を有することが好ましい。液晶ユニットが非対称構造を有していれば、化合物の対称性を低下させることができる。その結果、化合物の融点を低下させる効果、及び樹脂組成物に一般的に使用される溶剤に対する化合物の溶解性を向上させる効果がより一層高くなる。
末端の重合性基が単独重合可能な基(例えば、ビニル基やエポキシ基など)である場合、化合物は単独重合体を調製するための単量体として使用される。この単量体を含む樹脂組成物は、単量体同士の反応によって架橋した樹脂硬化物を与えることができる。また、この樹脂組成物は、重合開始剤をさらに含むことができる。
この樹脂組成物に使用可能な重合開始剤としては、特に限定されることはなく、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤及び過硫酸酸塩開始剤などを用いることができる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
過硫酸塩開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
この樹脂組成物における重合開始剤の配合量は、使用する各成分に応じて適宜設定すればよく、一般的に100質量部の単量体に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
この樹脂組成物に使用可能なエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に限定されることはなく、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物;ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物;無水フタル酸、及び無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物;ジシアンジアミド、及びアジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジド;並びにトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン及びその誘導体、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
この樹脂組成物におけるエポキシ樹脂用硬化剤の配合量は、使用する各成分に応じて適宜設定すればよく、一般的に100質量部のエポキシ樹脂に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
この樹脂組成物に使用可能なエポキシ樹脂としては、特に限定されることはなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環脂肪族エポキシ樹脂、及びグリシジル−アミノフェノール系エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
この樹脂組成物におけるエポキシ樹脂用硬化剤の配合量は、使用する各成分に応じて適宜設定すればよく、一般的に100質量部のエポキシ樹脂に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
本実施の形態の樹脂組成物に使用可能な無機充填材としては、特に限定されることはなく、例えば、ニッケル、すず、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、コバルト、インジウム及びこれらの合金などの金属粒子;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化インジウムすず(ITO)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム及び酸化チタンなどの金属酸化物粒子;窒化ホウ素、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムなどの金属窒化物粒子;炭化珪素、黒鉛、ダイヤモンド、非晶質カーボン、カーボンブラック及び炭素繊維などの炭素化合物粒子;石英及び石英ガラスなどのシリカ化合物粉類が挙げられる。これらの無機充填材は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記無機充填材の中でも、樹脂硬化物の絶縁性の観点から、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、石英、石英ガラスなどが好ましい。
カップリング剤の使用量は、樹脂成分やカップリング剤の種類などに応じて適宜設定すればよいが、一般的に、100質量部の無機充填材成分に対して0.01質量部以上3質量部以下である。
このようにして得られる本実施の形態の樹脂組成物は、融点が低く、且つ樹脂組成物に一般的に使用される溶剤に対する溶解性が高い化合物を用いているため、成形性に優れている。また、この樹脂組成物は、硬化させると、メソゲン構造が規則的に配列するために熱伝導性が高く、また、電気絶縁性も良好である。
本実施の形態の樹脂硬化物は、上記の樹脂組成物を重合させて得ることができる。具体的には、上記の樹脂組成物を所望の形状に成形した後、加熱して重合させることにより、所望の形状を有する樹脂硬化物を得ることができる。特に、シート状の樹脂硬化物を製造する場合には、本発明の樹脂組成物を配向基材に塗工して乾燥させた後、加熱して重合させればよい。
配向基材上への塗工方法としては、特に限定されず、溶融法及び溶液法のいずれを採用してもよいが、作業性の観点からは溶液法が好適である。また、溶液法にて塗工する場合、バーコーター、マルチコーター、スピナー、ロールコーターなどの適切な塗工機を用いることができる。また、樹脂硬化物の表面品質の点でキャスト法を用いることが適切である。
樹脂組成物における溶剤の含有量は、特に限定されることはなく、一般的に20質量%以上200質量%以下である。
樹脂組成物を重合させるための加熱温度は、各成分にあわせて適宜設定する必要があるが、一般的に60℃以上280℃以下である。また、重合時間も同様に各成分や樹脂組成物の量などに応じて適宜設定する必要がある。
樹脂硬化物を絶縁シートとして用いる場合、絶縁シートの厚みは、好ましくは20μm以上800μm以下、より好ましくは30μm以上300μm以下である。絶縁シートの厚みが20μm未満であると、部材間に挟着されたとき、挟着面の凹凸に対する追従性が不十分で、界面熱抵抗が上昇することがある。一方、絶縁シートの厚みが800μmを超えると、熱の伝達距離が長くなるため、熱抵抗が上昇することがある。
(実施例1)
18.6gの4,4’−ビフェノール、10.8gの6−ブロモ−1−ヘキセン、11gの炭酸カリウム、及び200mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、窒素置換を行った後、80℃にて24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を1Lの水に投入し、これに酢酸エチルを入れて抽出操作を行った。この酢酸エチル溶液を200mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによって酢酸エチルを除去した。得られた粗生成物を、クロロホルムを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色結晶の4’−(ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−オールを12g得た。
次に、12gの4’−(ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−オール、12.7gの10−ブロモ−1−デセン、8.0gの炭酸カリウム、及び100mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、窒素置換を行った後、80度にて24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を1Lの水に投入し、これに酢酸エチルを入れて抽出操作を行った。この酢酸エチル溶液を200mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによって酢酸エチルを除去した。得られた粗生成物を、クロロホルムを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色結晶の4−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−4’−(ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ)−1,1’−ビフェニルを12.7g得た。
次に、上記で得られたエポキシ樹脂10gを、180℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のカップに入れ、150℃のオーブンで予め溶解させたジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤2.1gを加えた後、攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を180℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体の配向が確認された。
21.2gの4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、25gの6−ブロモ−1−ヘキセン、57.8gの炭酸カリウム、及び200mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、窒素置換を行った後、80℃にて24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を1Lの水に投入し、これに300mLのジクロロメタンを入れて抽出操作を行った。このジクロロメタン溶液を200mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによってジクロロメタンを除去した。得られた粗生成物をジクロロメタン及びヘキサンの混合溶媒(容積比:ジクロロメタン/ヘキサン=10/1)を用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色液状の4−(5−ヘキセニロキシ)安息香酸メチルエステルを30g得た。
次に、16.1gの4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、25gの10−ブロモ−1−デセン、43.9gの炭酸カリウム、及び200mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、窒素置換を行った後、80℃にて24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を1Lの水に投入し、これに300mLのジクロロメタンを入れて抽出操作を行った。このジクロロメタン溶液を200mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによってジクロロメタンを除去した。得られた粗生成物をジクロロメタン及びヘキサンの混合溶媒(容積比:ジクロロメタン/ヘキサン=10/1)を用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色固体の4−(9−デセニロキシ)安息香酸メチルエステルを25g得た。
次に、25gの4−(9−デセニロキシ)安息香酸メチルエステルを3Nの水酸化カリウム水溶液に加え、80℃で24時間撹拌した。この溶液をろ過した後、室温まで冷却し、6Nの塩酸水溶液をゆっくり投入することで酸析を行った。その後、塩化カルシウムを乾燥剤として用いて減圧乾燥を行うことによって白色結晶の4−(9−デセニロキシ)安息香酸を21.7g得た。
次に、10gの4−(9−デセニロキシ)安息香酸をフラスコに入れた後、100mLの塩化チオニルをゆっくり投入し、40℃で2時間撹拌した。その後、減圧蒸留により過剰な塩化チオニルを除去することによって4−(9−デセニロキシ)安息香酸クロリドを10g得た。
次に、100mLのテトラヒドロフランに、5.2gの4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−4−(ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ)ベンゾエート、及び4.6gのトリエチルアミンを室温にて溶解させた後、この溶液を氷浴バスで冷却した。この冷却溶液に、6.0gの4−(9−デセニロシロキシ)安息香酸クロリドを溶解した60mLテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと滴下し、滴下終了後に室温で4時間撹拌した。次に、得られた溶液をろ過してトリエチルアミン塩酸塩を除去した後、エバポレーターによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物を、クロロホルムを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色結晶の4’−((4−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)ベンゾイル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−4−(ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ)ベンゾエートを6.0g得た。
700mLエタノール溶液に、47gの4−ヒドロキシフェニル安息香酸及び10mLの濃硫酸を加え、100℃で24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、エバポレーターでエタノールを除去し、ろ過後、水で洗浄した。得られた粗生成物を水とエタノールとの混合液(容積比:水/エタノール=1/1)で再結晶することによって精製し、白色固体のエチル4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを48g得た。
次に、8.5gのエチル4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレート、10−ブロモ−1−デセン、7.3gの炭酸カリウム、0.3gのヨウ化カリウム、及び70mLのアセトンをナス型フラスコに入れ、70℃にて48時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、ろ過し、エバポレーターでアセトンを除去した。得られた粗生成物をエタノールで再結晶することにより精製し、白色固体のエチル4’−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを11.6g得た。
次に、7.5gの4−ヒドロキシ安息香酸、5.9gの6−ブロモ−1−ヘキセン、5.5gの炭酸カリウム、0.3gのヨウ化カリウム、及び75mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、80℃にて21時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を1Lの水に投入し、これに酢酸エチルを入れて抽出操作を行った。この酢酸エチル溶液を1Nの炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによって酢酸エチルを除去した。次に、塩化カルシウムを用いて減圧乾燥することにより、白色固体のヘキサ−5−エン−1−イル−4−ヒドロキシベンゾエートを6.5g得た。
上記式(C)で表されるビニル化合物2.4gを10mLの塩化メチレンに溶解した後、この溶液に3.1gの3−クロロ過安息香酸を投入し、室温で2時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液を分液ロートに移し、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液を入れて洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した後、有機相に硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、さらにエバポレーターによって溶媒を除去した。得られた粗生成物をエタノールで再結晶することにより、下記式(D)で表されるエポキシ樹脂を1.8g得た。
700mLのエタノール溶液に、47gの4−ヒドロキシフェニル安息香酸、及び10mLの濃硫酸を加え、100℃で24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、エバポレーターでエタノールを除去し、吸引ろ過を行った後、水で洗浄した。得られた粗生成物を水とエタノールとの混合液(容積比:水/エタノール=1/1)で再結晶することによって精製し、白色固体のエチル4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを48g得た。
次に、8.5gのエチル4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレート、10−ブロモ−1−デセン、7.3gの炭酸カリウム、0.3gのヨウ化カリウム、及び70mLのアセトンをナス型フラスコに入れ、70℃にて48時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、ろ過し、エバポレーターでアセトンを除去した。得られた粗生成物をエタノールで再結晶することにより、白色固体のエチル4’−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを11.6g得た。
次に、2.6gの4−ヒドロキシフタル、4.5gの6−ブロモ−1−ヘキセン、2.9gの炭酸水素カリウム、0.3gのヨウ化カリウム、及び30mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、80℃にて72時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を300mLの水に投入し、これに酢酸エチルを入れて抽出操作を行った。この酢酸エチル溶液を1Nの炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによって酢酸エチルを除去した。その後、減圧乾燥することにより、無色液体のジ(ヘキサ−5−エン−1−イル)4−ヒドロキシフタレートを3.5g得た。
次に、2.3gのジ(ヘキサ−5−エン−1−イル)4−((4’−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4カルボニル)オキシ)フタレートを30mLの塩化メチレンに溶解した後、この溶液に3.3gの3−クロロ過安息香酸を投入し、室温で2時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液を分液ロートに移し、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液を入れて洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した後、有機相に硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、さらにエバポレーターによって溶媒を除去した。得られた粗生成物を展開溶媒に塩化メチレン及び酢酸エチルの混合溶媒(容積比:塩化メチレン/酢酸エチル=8/1)を用いたシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行うことによって精製し、下記式(E)で表されるエポキシ樹脂を0.8g得た。
700mLのエタノール溶液に、47gの4−ヒドロキシフェニル安息香酸、及び10mLの濃硫酸を加え、100℃で24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、エバポレーターでエタノールを除去し、吸引ろ過を行った後、水で洗浄した。得られた粗生成物を水とエタノールとの混合液(容積比:水/エタノール=1/1)で再結晶することによって精製し、白色固体のエチル4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを48g得た。
次に、8.5gのエチル4’−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレート、10−ブロモ−1−デセン、7.3gの炭酸カリウム、0.3gのヨウ化カリウム、及び70mLのアセトンをナス型フラスコに入れ、70℃にて48時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、ろ過し、エバポレーターでアセトンを除去した。得られた粗生成物をエタノールで再結晶することにより精製し、白色固体のエチル4’−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを11.6g得た。
次に、90mLの脱水テトラヒドロフランに、1.9gのヨウ化銅、及び1.0Mのアリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液100mLを加えた後、この溶液を−78℃まで冷却した。この冷却溶液に3.9gのS−プロピレンオキシドを加え、−78℃で4時間撹拌した後、−20℃で16時間撹拌して反応させた。反応終了後、100mLの塩化アンモニウム水溶液を加え、室温で撹拌した。得られた溶液にジエチルエーテルによる抽出操作を行い、エバポレーターにて溶媒を除去した後、蒸留を行うことで、無色液体の(S)ヘキサ−5−エン−2−オールを4.7g得た。
次に、50mLの脱水テトラヒドロフランに4.0gの(S)ヘキサ−5−エン−2−オール及び13gのトリフェニルホスフィンを溶解させた。この溶液に、10.6gの4−((メトキシカルボニル)オキシ)安息香酸及び2.2Mのアゾジカルボン酸ジエチルのトルエン溶液25mLを溶解させた100mLの脱水テトラヒドロフラン溶液を滴下し、室温で72時間撹拌して反応させた。反応終了後、150mLの塩化アンモニウム水溶液を加え、撹拌した後、酢酸エチルによる抽出操作を行った。有機相に硫酸マグネシウムを加えて水分を除去し、さらにエバポレーターによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物を展開溶媒にヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒(容積比:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)を用いたシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行った。その後、得られた溶液を展開溶媒にヘキサン及び酢酸エチルの混合溶媒(容積比:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)を用いたシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行った。これより、無色液体である(R)−ヘキサ−5−エン−2−イル−4−((メトキシカルボニル)オキシ)ベンゾエートを9.4g得た。
次に、100mLの塩化メチレン溶液に、4.7gの4’−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボン酸、3.5gの(R)−ヘキサ−5−エン−2−イル−4−ヒドロキシベンゾエート、3.3gのジシクロヘキシルカルボジイミド、及び0.1gの4−ジメチルアミノピリジンを加え、室温で72時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液をろ過し、エバポレーターによって溶媒を除去した。得られた粗生成物を展開溶媒に塩化メチレンを用いたシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行うことによって精製し、白色固体の(R)−4−((ヘキサ−5−エン−2−イルオキシ)カルボニル)フェニル−4’−(デカ−9−エン−1−イルオキシ)−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボキシレートを6.3g得た。
上記式(D)のエポキシ樹脂30gと、ジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤5.1gと、メチルエチルケトン(MEK)107gとを攪拌混合した後、樹脂硬化物中の窒化ホウ素粒子(無機充填材、昭和電工株式会社製)が50体積%となるように窒化ホウ素粒子66.4gを添加して十分に攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をマルチコーターにてPETフィルム上に塗工して乾燥させた後、180℃で4時間加熱して重合させることによって、厚みが100μmの均質な樹脂硬化物のシートを得た。この樹脂組成物は、塗工性やシートへの成形性も良好であった。
下記式(G)で表されるエポキシ樹脂を公知の方法によって合成した。
次に、この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体の配向が確認された。しかし、この樹脂硬化物は不均質であった。
21.2gの4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、25gの6−ブロモ−1−ヘキセン、57.8gの炭酸カリウム、及び200mLのジメチルホルムアミドをナス型フラスコに入れ、窒素置換を行った後、80℃にて24時間加熱撹拌して反応させた。反応終了後、反応物を1Lの水に投入し、これに300mLのジクロロメタンを入れて抽出操作を行った。このジクロロメタン溶液を200mLの水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、エバポレーターによってジクロロメタンを除去した。得られた粗生成物をジクロロメタン及びヘキサンの混合溶媒(容積比:ジクロロメタン/ヘキサン=10/1)を用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色液状の4−(5−ヘキセニロキシ)安息香酸メチルエステルを30g得た。
次に、30gの4−(5−ヘキセニロキシ)安息香酸メチルエステルを3Nの水酸化カリウム水溶液に加え、80℃で24時間撹拌した。この溶液をろ過した後、室温まで冷却し、6Nの塩酸水溶液をゆっくり投入することで酸析を行った。その後、塩化カルシウムを乾燥剤として用いて減圧乾燥を行うことによって白色結晶の4−(5−ヘキセニロキシ)安息香酸を25.8g得た。
次に、100mLのテトラヒドロフランに、4.7gのビフェニル−4、4’−ジオール、及び7.7gのトリエチルアミンを室温にて溶解させた後、この溶液を氷浴バスで冷却した。この冷却溶液に、15.8gの4−(5−ヘキセニロキシ)安息香酸クロリドを溶解した100mLのテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと滴下し、滴下終了後に室温で4時間撹拌した。次に、得られた溶液をろ過してトリエチルアミン塩酸塩を除去した後、エバポレーターによって溶媒を除去した。その後、得られた生成物をメタノールで洗浄することによって、白色結晶の[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルビス(4−(ヘキサ−5−エン−1−イルオキシ)ベンゾエート)を13.9g得た。
上記式(G)のエポキシ樹脂30gと、ジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤10.0gと、メチルエチルケトン(MEK)118gとを攪拌混合した後、樹脂硬化物中の窒化ホウ素粒子(無機充填材、昭和電工株式会社製)が50体積%となるように窒化ホウ素粒子75.7gを添加して十分に攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をマルチコーターにてPETフィルム上に塗工して乾燥させたところ、乾燥中に樹脂成分が剥がれ落ち、評価に値するような樹脂硬化物のシートを得ることができなかった。この結果は、使用したエポキシ樹脂が、高い結晶性を有しているために溶剤への溶解性が低く、また融点が高いことに起因しているものと考えられる。
また、実施例1〜7及び比較例1〜2で得られた樹脂硬化物及びそのシートの熱拡散率について、熱拡散率測定装置(株式会社アイフェイズ製)を用いた温度波熱分析法(TWA)により測定した。
上記の各測定結果を表1に示す。
また、実施例3〜6では、液晶ユニットに非対称のものを用いたことにより、化合物の対称性がより一層低下し、しかも硬化物の熱拡散率(熱伝導率)も高かった。中でも、実施例5では、液晶ユニットの一方の端部に2つの液晶ユニットを結合させて化合物を分岐構造にしたことにより、化合物の融点が低下し、常温(25℃)で粘性の化合物となった。
さらに、無機充填材を配合した実施例7と比較例3とを比較するとわかるように、所定の柔軟ユニットを有する化合物を含む樹脂組成物は、溶剤に対する溶解性が高く、樹脂組成物中で均一に混合することができるため、成形性も良好であったのに対し、所定の柔軟ユニットを有さない化合物を含む樹脂組成物は、溶剤に対する溶解性が低く、樹脂組成物中に均一に混合することができないため、十分な成形性が得られなかった。
Claims (8)
- 前記液晶ユニットは非対称構造を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物は分岐構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記液晶ユニットは、ビフェニルエステル構造、ビフェニルエーテル構造、ビフェニルケトン構造、ビフェニルアミド構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾチアゾール構造、及びベンゾイミダゾール構造からなる群より選択される構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物は、カルボニル基及びエステル基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基と前記官能基に結合した不斉炭素とを前記液晶ユニットと前記柔軟ユニットとの間に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 無機充填材をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を重合させて得られることを特徴とする樹脂硬化物。
- 絶縁シートとして使用されることを特徴とする請求項7に記載の樹脂硬化物。
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