JP2011153268A - 樹脂組成物及び樹脂硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、ベンズアゾール骨格を含む主鎖と、前記主鎖の両端に結合され且つ末端に重合性基を含む分岐鎖とを有する化合物を含有することを特徴とする。また、本発明の樹脂硬化物は、上記の樹脂組成物を重合させて得られることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
電気絶縁性が求められる分野においては、放熱材料として樹脂硬化物が一般に使用されているが、この樹脂硬化物の熱伝導性向上策としては、熱伝導性の高い無機セラミックス等の無機充填材を添加する手法が一般的である。しかしながら、この方法では、添加量の制限から十分な熱伝導性を得ることが難しいため、樹脂硬化物自体の熱伝導性を向上させることが望まれている。
また、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂は、結晶性が非常に高いため、融点が高く、溶剤に対する溶解性も低い。そのため、エポキシ樹脂用硬化剤と均一に混合するためには高温(エポキシ樹脂の融点よりも高い温度)で融解させる必要がある。そして、このエポキシ樹脂を高温下でエポキシ樹脂用硬化剤と混合した場合、エポキシ樹脂の硬化反応が急速に進み、ゲル化時間が短くなる。それ故、これらの均一混合が難しく、均質な樹脂硬化物が得られないという問題がある。
さらに、シート状の樹脂硬化物(すなわち、絶縁シート)を製造する場合、溶剤を添加した樹脂組成物が一般的に使用されるところ、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂は、溶剤に対する溶解性も低い。そのため、このエポキシ樹脂を用いた樹脂組成物ではシート状に成形することが難しいという問題もある。
すなわち、本発明は、ベンズアゾール骨格を含む主鎖と、前記主鎖の両端に結合され且つ末端に重合性基を含む分岐鎖とを有する化合物を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
また、本発明は、上記の樹脂組成物を重合させて得られることを特徴とする樹脂硬化物である。
本実施の形態の樹脂組成物は、ベンズアゾール骨格を含む主鎖と、前記主鎖の両端に結合され且つ末端に重合性基を含む分岐鎖とを有する化合物を含有する。
ベンズアゾール骨格は、剛直で平面性が高いため、ベンズアゾール骨格を化合物の主鎖に導入することにより、図1に示すように、この化合物を含有する樹脂組成物から得られる樹脂硬化物(重合体)において、ベンズアゾール骨格部分1のスタッキング性を高くすることができる。つまり、樹脂硬化物において分子鎖を密に配列させることができるようになる結果、樹脂硬化物の熱伝導性が向上する。
また、化合物は、分岐鎖の末端に重合性基を有することにより、様々な樹脂原料として化合物を使用することができる。重合性基としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、水酸基、アクリロイル基、シクロヘキセン基、メタクリロイル基、シンナモイル基、イソシアナート基、ジカルボン酸無水物基などが挙げられる。特に、様々な重合性基の中でも上記で例示した重合性基は、架橋反応性に優れているので好ましい。
分岐鎖は、化合物の安定性の観点から、主鎖の両端にそれぞれ2つ以上ずつ結合されていることが好ましい。また、分岐鎖は、全て同一の構造を有していてもよく、2種類以上の異なる構造を有していてもよい。
単独重合体を調製するための単量体として上記の化合物を使用する場合、化合物中の末端の重合性基を単独重合可能な基(例えば、ビニル基など)にすればよい。この単量体を含む樹脂組成物は、単量体同士の反応によって架橋した樹脂硬化物を与えることができる。また、この樹脂組成物は、重合開始剤をさらに含むことができる。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)などが挙げられる。
過硫酸塩開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
この樹脂組成物における重合開始剤の配合量は、使用する成分に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般的に100質量部の単量体に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
この樹脂組成物に使用可能なエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に限定されることはなく、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物;ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物;ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジド;トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン及びその誘導体、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
この樹脂組成物におけるエポキシ樹脂用硬化剤の配合量は、使用する成分に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般的に100質量部のエポキシ樹脂に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
この樹脂組成物に使用可能なエポキシ樹脂としては、特に限定されることはなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環脂肪族エポキシ樹脂、グリシジル−アミノフェノール系エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのエポキシ樹脂の中でも、樹脂組成物を重合して得られる樹脂硬化物(重合体)の分子の配列性を向上させる観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びアントラセン型エポキシ樹脂が好ましい。
この樹脂組成物におけるエポキシ樹脂用硬化剤の配合量は、使用する成分に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般的に100質量部のエポキシ樹脂に対して0.1質量部以上200質量部以下である。
本実施の形態の樹脂組成物に使用可能な無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、ニッケル、すず、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、コバルト、インジウム及びこれらの合金などの金属粒子;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化インジウムすず(ITO)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタンなどの金属酸化物粒子;窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物粒子;炭化珪素、黒鉛、ダイヤモンド、非晶質カーボン、カーボンブラック、炭素繊維などの炭素化合物粒子;石英、石英ガラスなどのシリカ化合物粉類が挙げられる。これらの無機充填材は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの無機充填材の中でも、樹脂硬化物の電気絶縁性の観点から、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、石英、石英ガラスなどが好ましい。
本実施の形態の樹脂組成物における無機充填材の配合割合は、無機充填材が樹脂硬化物(樹脂組成物の固形分)中で好ましくは20体積%以上80体積%以下、より好ましくは30体積%以上70体積%以下となるような割合であることが望ましい。この範囲の割合であれば、樹脂組成物をシート状に成形する場合に作業性が優れると共に、樹脂硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。樹脂硬化物における無機充填材の割合が20体積%未満であると、所望の熱伝導性を有する樹脂硬化物が得られないことがある。一方、樹脂硬化物における無機充填材の割合が80体積%を超えると、シート状の樹脂硬化物を製造する際に、樹脂硬化物中に無機充填材を均一に分散させることが困難となり、作業性や成形性に支障を生じることがある。
カップリング剤の使用量は、樹脂成分やカップリング剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般的に100質量部の樹脂成分に対して0.01質量部以上1質量部以下である。
配向基材上への塗工方法としては、特に限定されることはなく、溶融法及び溶液法のいずれを採用してもよいが、作業性の観点から溶液法が好適である。また、溶液法にて塗工する場合、バーコーター、マルチコーター、スピナー、ロールコーターなどの適切な塗工機を用いることができる。また、樹脂硬化物の表面品質の観点からは、キャスト法を用いることが適切である。
本実施の形態の樹脂組成物における溶剤の含有量は、特に限定されないが、一般的に50質量%以上70質量%以下である。
樹脂組成物を重合させるための加熱温度は、使用する成分にあわせて適宜設定する必要があるが、一般的に60℃以上280℃以下である。また、重合時間も同様に使用する成分や樹脂組成物の量などに応じて適宜設定する必要がある。
樹脂硬化物を絶縁シートとして用いる場合、絶縁シートの厚みは、好ましくは20μm以上800μm以下、より好ましくは30μm以上300μm以下である。絶縁シートの厚みが20μm未満であると、部材間に挟着されたとき、挟着面の凹凸に対する追従性が不十分で、界面熱抵抗が上昇することがある。一方、絶縁シートの厚みが800μmを超えると、熱の伝達距離が長くなるため、熱抵抗が上昇することがある。
(実施例1)
500mLのナスフラスコに150mLのアセトンを入れ、16.8g(121.63mmol)の3,4−ビス(ヒドロキシ)ベンズアルデヒドを加えて溶解させた。続いて、このナスフラスコに、84.05g(608.15mmol)の炭酸カリウム、及び49.58g(304.08mmol)の6−ブロモ−1−ヘキセンをさらに加えた後、窒素雰囲気下で一晩加熱還流を行った。そして、この溶液を室温まで冷却した後、ろ過し、ろ液中の溶媒をエバポレーターで減圧留去した。残留物をヘキサン/クロロホルムを溶出液としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、透明な液体の3,4−ビス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンズアルデヒドを28.0g得た。
次に、300mLのナスフラスコに150mLのエタノールを入れ、10g(92.5mmol)の3,4−ビス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンズアルデヒドを加えて溶解させた。続いて、このナスフラスコに、5mLの酢酸、及び28g(46.25mmol)の3,3'−ジヒドロキシベンジジンをさらに加えた後、一晩加熱還流を行った。そして、この溶液を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣をメタノールで洗浄することにより、黄色固体の4,4'−ビス(3,4−ビス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンジリデンアミノ)ビフェニル−3,3'−ジオールを32.0g得た。
次に、このビニル化合物10gを160℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.021gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
300mLのナスフラスコに、100mLのクロロホルム、3.4g(4.35mmol)の上記式(1)で表されるビニル化合物、及び6.0g(34.80mmol)のメタクロロ過安息香酸を加え、40℃で一晩撹拌した。次に、この溶液にクロロホルム及び炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、分液ロートによって有機相(クロロホルム相)を抽出した。そして、この有機相中の溶媒をエバポレーターで減圧留去し、下記式(2)で表されるエポキシ樹脂である黄色固体の2,2’−ビス(3,4−ビス(4−(オキシラン−2−イル)ブトキシ)フェニル)−6,6’−ビベンゾ[d]オキサゾールを2.5g得た。
次に、このエポキシ樹脂10gを、140℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、予め160℃のオーブンで溶解させたジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤2.34gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を180℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
500mLのナスフラスコに、200mLのアセトンを入れ、15.4g(100mmol)の3,4,5−トリス(ヒドロキシ)ベンズアルデヒドを加えて溶解させた。続けて、このフラスコに、96.7g(700mmol)の炭酸カリウム、及び61.2g(450mmol)の6−ブロモ−1−ヘキセンをさらに加えた後、窒素雰囲気下で一晩加熱還流を行った。そして、この溶液を室温まで冷却した後、ろ過し、ろ液中の溶媒をエバポレーターで減圧留去した。残留物をヘキサン/クロロホルムを溶出液としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、透明な液体の3,4,5−トリス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンズアルデヒドを得た。
次に、300mLのフラスコに100mLのエタノールを入れ、24.0g(60mmol)の3,4,5−トリス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンズアルデヒドを加えて溶解させた。続けて、このフラスコに、3mLの酢酸、及び5.41g(25mmol)の3,3’−ジヒドロキシベンジジンをさらに加えた後、一晩加熱還流を行い、反応させた。そして、反応溶液を室温まで冷却した後、ろ過し、残渣をメタノールで洗浄することにより、黄色固体の4,4’−ビス(3,4,5−トリス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンジリデンアミノ)ビフェニル−3,3’−ジオールを得た。
次に、このビニル化合物10gを150℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.017gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を180℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
300mLのナスフラスコに、150mLのクロロホルムを入れ、4.89g(5mmol)の上記式(3)で表されるビニル化合物、及び10.35g(60mmol)のメタクロロ過安息香酸を加え、40℃で一晩撹拌した。次に、この溶液にクロロホルム及び炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、分液ロートによって有機相(クロロホルム相)を抽出した。そして、この有機相中の溶媒をエバポレーターで減圧留去し、下記式(4)で表されるエポキシ樹脂である黄色固体の2,2’−ビス(3,4,5−トリス(4−(オキシラン−2−イル)ブトキシ)フェニル)−6,6’−ビベンゾ[d]オキサゾールを3.1g得た。
次に、このエポキシ樹脂10gを、130℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、予め150℃のオーブンで溶解させたジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤2.95gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
500mLのナスフラスコに、140mLのテトラヒドロフランを入れ、14.97g(70mmol)の4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸、及び38.64g(140mmol)のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド40%水溶液を溶解させた。そして、この溶液を氷浴で冷却撹拌しながら、この溶液に8.46g(70mmol)のアリルブロミドを含むTHF溶液30mLを滴下した。次に、この溶液を室温で一晩撹拌した後、溶液を濃縮して1Lの水に加えた。そして、この溶液を氷浴で冷却撹拌しながら、この溶液に1Nの塩酸水150mLを徐々に加えた。生成した析出物をろ過した後、残渣を少量のメタノールで洗浄して真空下で乾燥し、1.5Lのエタノールを用いて再結晶を行うことにより、白色結晶の4’−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボン酸を12.63g得た。
次に、100mLの塩化チオニルに2〜3滴のジメチルホルムアミド、12.62g(50mmol)の4'−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボン酸を加え、窒素気流下、40℃にて一晩加熱撹拌を行った。その後、過剰分の塩化チオニルを減圧留去し、20mLのn−ヘキサンを加えて残存する塩化チオニルの減圧留去作業を3回繰り返し行った。そして、500mLのn−ヘキサンを用いて再結晶を行うことにより、白色結晶の4’−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボニルクロリドを12.63g得た。
次に、300mLのナスフラスコに、100mLのTHFを入れ、13.54g(40mmol)の3,4−ビス(6−ヒドロキシヘキシロキシ)ベンズアルデヒド、16.7mL(120mmol)のTEAを加えて30分間攪拌させた。続いて、このナスフラスコに、24g(88mmol)の4’−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボニルクロリドをさらに加え、室温に戻して一晩攪拌した。そして、この溶液をろ過し、残渣をTHFで洗浄した後、50mLのトルエンを用いて再結晶を行うことにより、白色結晶の6,6’−(4−ホルミル−1,2−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ビス(4’−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボキシレート)を得た。
次に、300mLのフラスコに、150mLのクロロホルムを入れ、18.02g(10mmol)の上記の黄色固体、及び12.26g(54mmol)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンを加え、2時間加熱還流を行った。そして、この溶液をろ過し、ろ液中の溶媒をエバポレーターで減圧留去した。残留物をクロロホルムを溶出液としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記式(5)で表されるビニル化合物である茶色固体を得た。
次に、このビニル化合物10gを140℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.037gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
300mLのナスフラスコに、150mLのクロロホルムを入れ、8.99g(5mmol)の上記式(5)で表されるビニル化合物、及び6.90g(40mmol)のメタクロロ過安息香酸を加え、40℃で一晩撹拌した。次に、この溶液にクロロホルム及び炭酸ナトリウム水溶液を加えた後、分液ロートによって有機相(クロロホルム相)を抽出した。そして、この有機相中の溶媒をエバポレーターで減圧留去し、下記式(6)で表されるエポキシ樹脂である黄色固体を得た。
次に、このエポキシ樹脂10gを、160℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、予め150℃のオーブンで溶解させたジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤1.09gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を185℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
500mLのナスフラスコに、200mLのアセトンを入れ、15.4g(100mmol)の3,4,5−トリス(ヒドロキシ)ベンズアルデヒドを加えて溶解させた。続いて、このナスフラスコに、82.9g(600mmol)の炭酸カリウム、及び81.5g(450mmol)の6−ブロモ−1−ヘキサノールを加え、窒素雰囲気下で一晩加熱還流を行った。その後、この溶液をろ過し、ろ液中の溶媒であるアセトンをエバポレーターで減圧留去した。そして、残留物を30mLのトルエンを用いて再結晶することにより、白色固体の3,4,5−トリス(6−ヒドロキシヘキシロキシ)ベンズアルデヒドを得た。
次に、300mLのナスフラスコに、100mLのテトラヒドロフランを入れ、氷浴下にて、22.7g(50mmol)の3,4,5−トリス(6−ヒドロキシヘキシロキシ)ベンズアルデヒド、及び20.9mL(150mmol)のトリエチルアミンを加え、30分間攪拌した。続いて、このナスフラスコに、30.0g(110mmol)の4’−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボニルクロリドを加え、室温に戻して一晩攪拌した。次に、この溶液をろ過し、残渣をテトラヒドロフランで洗浄した後、50mLのトルエンを用いて再結晶を行うことにより、6,6’,6”−(5−ホルミルベンゼン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(ヘキサン−6,1−ジイル)トリス(4’−(アリロキシ)ビフェニル−4−カルボキシレート)を得た。
次に、300mLのフラスコに、150mLのクロロホルムを入れ、25.1g(10mmol)の上記の黄色固体、及び12.26g(54mmol)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンを加え、2時間加熱還流を行った。そして、この溶液をろ過し、ろ液中の溶媒をエバポレーターで減圧留去した。残留物をクロロホルムを溶出液としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記式(7)で表されるビニル化合物である茶色固体を得た。
次に、このビニル化合物10gを120℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.026gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を160℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
300mLのナスフラスコに、150mLのクロロホルムを入れ、12.5g(5mmol)の上記式(7)で表されるビニル化合物、10.35g(60mmol)のメタクロロ過安息香酸を加え、40℃で一晩撹拌した。次に、この溶液にクロロホルム及び炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、分液ロートによって有機相(クロロホルム相)を抽出した。そして、この有機相中の溶媒をエバポレーターで減圧留去し、下記式(8)で表されるエポキシ樹脂である黄色固体を得た。
次に、このエポキシ樹脂10gを、130℃に保ったホットプレート上に置いたアルミ製のシャーレに入れ、予め130℃のオーブンで溶解させたジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤0.76gを加えて攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって均質な樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。
上記式(8)で表されるエポキシ樹脂30gと、ジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤2.28gと、メチルエチルケトン(MEK)97.74gとを攪拌混合した後、樹脂硬化物中の窒化ホウ素粒子(無機充填材、昭和電工株式会社製)が50体積%となるように窒化ホウ素粒子61.62gを添加して十分に攪拌混合することによって均一な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をマルチコーターにてPETフィルム上に塗工して乾燥させた後、200℃で4時間加熱して重合させることによって、厚みが100μmの均質な樹脂硬化物のシートを得た。なお、この樹脂組成物は、塗工性やシートへの成形性も良好であった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂10gを150℃に加熱し、ジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤3.1gを加えて攪拌混合することによって樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認されなかった。
下記式(9)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂を公知の方法によって合成した。
次に、上記式(9)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂10gを200℃に加熱し、ジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤3.1gを加えて攪拌混合することによって樹脂組成物を調製した。しかしながら、調製時にエポキシ樹脂の硬化反応が急速に進んでしまったため、均一混合が難しく、均一な樹脂組成物を得ることができなかった。次に、この樹脂組成物を200℃のオーブンで4時間加熱して重合させることによって樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物について偏光顕微鏡を用いて観察を行ったところ、重合体における分子鎖の配列が確認された。ただし、この樹脂硬化物は不均質であった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂30gと、ジアミノジフェニルメタン(DDM)硬化剤9.3gとを均一に攪拌混合した後、樹脂硬化物中の窒化ホウ素粒子(無機充填材、昭和電工株式会社製)が50体積%となるように窒化ホウ素粒子73.38gを添加し、さらにメチルエチルケトン(MEK)117gを添加して十分に攪拌混合することによって樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をマルチコーターにてPETフィルム上に塗工して乾燥させた後、200℃で4時間加熱して重合させることによって、厚みが100μmの樹脂硬化物のシートを得た。
熱伝導率=熱拡散率×比熱×密度
その結果を表1に示す。
また、実施例9と比較例3との比較(無機充填材を含む樹脂組成物同士の比較)からわかるように、無機充填材を配合した場合であっても同様に、実施例9の樹脂組成物から得られる樹脂硬化物は、比較例3の樹脂組成物から得られる樹脂硬化物に比べて高い熱伝導率を有していた。また、実施例9の樹脂組成物は、シート状への成形性も優れていた。
Claims (13)
- ベンズアゾール骨格を含む主鎖と、前記主鎖の両端に結合され且つ末端に重合性基を含む分岐鎖とを有する化合物を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 前記分岐鎖における末端の重合性基は、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、水酸基、アクリロイル基、シクロヘキセン基、メタクリロイル基、シンナモイル基、イソシアナート基及びジカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記分岐鎖は、前記主鎖の両端にそれぞれ2つ以上ずつ結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記主鎖及び前記分岐鎖の少なくとも1つは、メソゲン基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記メソゲン基は、安息香酸フェニル、ビフェニル、ベンゾフェノン、フェニルエーテル、ベンズアニリド、スチルベン、ジアゾベンゼン、ベンジリデンアニリン及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
- 前記主鎖及び前記分岐鎖の少なくとも1つは、屈曲性基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物は、単独重合可能な基を前記重合性基として有する単量体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物は、エポキシ基を前記重合性基として有するエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物は、エポキシ基と反応可能な基を前記重合性基として有するエポキシ樹脂用硬化剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 無機充填材をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂組成物を重合させて得られることを特徴とする樹脂硬化物。
- 絶縁シートとして使用されることを特徴とする請求項12に記載の樹脂硬化物。
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