JP2012173033A - 蛋白質検出方法及び蛋白質抽出方法 - Google Patents

蛋白質検出方法及び蛋白質抽出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】器具に残留した蛋白質を正確に抽出し、高感度で測定可能な蛋白質検出方法、及び蛋白質抽出方法を提供する。
【解決手段】蛋白質が付着した器具から蛋白質を抽出する抽出工程と、蛍光試薬を調合する試薬調合工程と、前記蛋白質が抽出された蛋白質抽出溶液と調合された前記蛍光試薬とを混合する反応工程と、前記蛋白質抽出溶液中の蛋白質と前記蛍光試薬が反応した蛍光量を測定する蛍光測定工程を含む蛋白質検出方法において、前記蛋白質抽出溶液が、前記蛍光試薬よりも多いことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療機関などで用いる各種医療器具や、食品製造分野で用いる各種製造器具等に付着する蛋白質を抽出する方法、及び蛋白質検出方法に関する。
病院等の医療機関や検査機関における検査数、治療数の増大に伴い、検査や治療による感染事故が国内外で多数報告されている。これら感染例の多くは、内視鏡、管状カテーテル類、鉗子類、剪刀類などの医療器具の不十分な洗浄消毒によることが原因とされており、検査や治療に伴う感染の完全な防止方法の確立が求められている。また、食品製造分野においても、使用される器具や設備に付着した汚れに起因した、食中毒などの被害の発生を防止するために、食品の加工・製造に用いられる器具や設備における衛生面での管理が強く求められている。
特に、医療分野においては、手術器具や内視鏡等の医療用器具は、ウォッシャーディスインフェクター等の医療用洗浄機を用いて汚染物を洗浄除去したのちに、滅菌処理を行い、再利用されるが、洗浄工程での洗浄残渣があると、十分な滅菌処理が行えず、感染の危険性が高くなる。このため、洗浄機での洗浄後に洗浄残渣である残留蛋白質を測定し、医療用洗浄機の性能確認を行うことで、洗浄工程の管理が行われている。従来、この残留蛋白質の検出方法としては、特許文献1に示すように、アルカリ水溶液に洗浄後の器具を浸漬させ、器具に付着した残留蛋白質を溶出させたものに対し、クーマシーブリリアントブルーG−250や、アミドブラック10B等を用いて蛋白質を染色し、目視や吸光度計により色差を測定する方法が知られている。
しかしながら、特許文献1に示された方法では、蛋白質量の定量評価が可能であるが、検出感度はせいぜい1μg/ml程度であり、十分な検出感度、例えば、1μg/ml以下の蛋白質濃度を測定することが困難であった。また、アミドブラック10Bを用いた染色では、目視での判定となり、定量評価が行えない。このため、院内感染リスクを極力低減させるために、洗浄機の性能向上へのニーズが高まっているにもかかわらず、高感度の検査が行えないという問題がある。
一方、蛋白質を高感度で検出する方法として、蛍光試薬を用いて蛋白質と反応させ、蛍光量を測定することにより、検出する方法(以下、蛍光法と記載する。)が一般に知られている。例えば、非特許文献1に示すように、蛍光法では10ng/ml〜100ng/mlの微量の蛋白質検出が可能となる。蛍光試薬としては、例えば、ナノオレンジ(invitrogen社製)などが用いられる。ナノオレンジは、通常、原液を500倍に希釈して用いられる。具体的には、図8に示すような調合方法で行われる。まず、希釈原液と純水を50:450の比率で混合したもので、ナノオレンジの原液を希釈して約500倍の試薬とし、次にその混合試薬を蛋白質抽出溶液と更に混合する仕様となっている。
特開2006−145271号公報
Biotechniques,Vol.34,No.4(2003) 850−861
しかしながら、一般的な蛍光法において、蛋白質抽出溶液に溶け込んだ蛋白質を高感度に検出できるという点ではすぐれているが、前記非特許文献1には、蛋白質抽出溶液をどのように作製するか、あるいはどのように蛋白質を抽出液中に抽出するかについては、具体的な方法は記載されていない。また、洗浄後の器具から抽出した蛋白質抽出溶液を用いて、器具に付着した残留蛋白質量を測定するといった特殊な用途においては、10ng/ml〜100ng/mlの低濃度な蛋白質抽出溶液の定量では測定阻害物質が微量であったとしてもその影響で測定値がばらつくことも多く、正確な定量は困難である。さらに、ナノオレンジを使用する際に試薬原液を500倍に希釈した溶液を試薬として用いるため、濃度の薄い蛋白質溶液の濃度が調合されたナノオレンジ試薬により更に薄くなり、正確に定量することは難しい。つまり、この調合方法では、蛋白質抽出溶液:試薬の液量割合が約1:10となり、蛋白質抽出溶液の濃度が試薬により大幅にも希釈されてしまう。もともと、洗浄後の器具の残留蛋白質を抽出する目的で抽出された蛋白質抽出溶液は、濃度が低い上、このように試薬により希釈されると、正確な蛋白質量を測定することが困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、器具に残留した蛋白質を正確に抽出する蛋白質抽出方法、及び抽出された蛋白質を高感度で測定可能な蛋白質検出方法を提供することにある。
本発明に係る蛋白質検出方法は、蛋白質が付着した器具から蛋白質を抽出する抽出工程と、蛍光試薬を調合する試薬調合工程と、前記蛋白質が抽出された蛋白質抽出溶液と調合された前記蛍光試薬とを混合する反応工程と、前記蛋白質抽出溶液中の蛋白質と前記蛍光試薬が反応した蛍光量を測定する蛍光測定工程を含む蛋白質検出方法において、前記蛋白質抽出溶液が、前記蛍光試薬よりも多いことを特徴とする。
また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記試薬調合工程は、前記蛍光試薬原液と希釈原液を混合することを特徴とする。
また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記蛋白質の濃度が所定の値以下であった場合には、前記蛋白質抽出溶液を濃縮する濃縮工程を経た後、再度前記蛋白質を測定することを特徴とする。また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記蛋白質の濃度は、0.01μg/m以上l0.1μg/ml以下であることを特徴とする。また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記蛍光試薬がナノオレンジであることを特徴とする。
また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記抽出工程において、前記器具を無添加ポリエチレン袋に入れた抽出液に浸漬させることを特徴とする。また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記器具を無添加ポリエチレン袋に入れた抽出液に浸漬させるとともに、超音波を照射することを特徴とする。また、本発明に係る蛋白質検出方法は、前記器具は洗浄後のものであることを特徴とする。
また、本発明に係る蛋白質抽出方法は、器具に付着した蛋白質を抽出する抽出方法であって、前記器具を無添加ポリエチレン袋に入れた抽出液に浸漬させることを特徴とする。また、本発明に係る蛋白質抽出方法は、前記器具を無添加ポリエチレン袋に入れた抽出液に浸漬させるとともに、超音波を照射することを特徴とする。
本発明によれば、洗浄後の器具に残留した蛋白質を正確に抽出する蛋白質抽出方法、及び抽出された蛋白質を高感度で測定可能な蛋白質検出方法を実現することができる。
本発明の蛋白質検出工程を示すフロー図である。 水酸化ナトリウム濃度と蛍光量の関係を示すグラフである。 水酸化ナトリウム溶液を各種袋に入れて超音波を照射後、蛍光量を測定したグラフである。 本発明でのナノオレンジの試薬調合割合及び、混合手順を示す図である。 本発明の蛍光法での検量線の一例を示すグラフである。 本発明の蛍光法での検量線の一例で、測定された蛍光値からリファレンスの蛍光値を減算したものを示すグラフである。 本測定の濃縮工程を用いて測定を行った結果の一例である。 ナノオレンジの標準の試薬調合割合及び、混合手順を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
本発明の蛋白質検出方法を、蛋白質検出工程を示すフロー図として、図1に示す。工程には、洗浄後の器具から残留蛋白質を抽出する抽出工程101、蛋白質抽出溶液と反応させる試薬を調合する試薬調合工程102、蛋白質抽出溶液を蛍光試薬と混合する反応工程103、蛍光量を測定する測定工程104、低濃度の定量を実施する際に行なう濃縮工程105、などの工程を含む。なお、本発明においては、測定工程104には、蛍光量を測定する工程と、蛍光量に基づき、蛋白質濃度を定量する工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(抽出工程)
蛋白質の抽出工程101においては、抽出液として、蒸留水、RO水(逆浸透膜を通した水)、脱イオン水などの純水や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム等の希アルカリ溶液が用いられる。抽出液としてアルカリ溶液を使用する場合、アルカリ濃度が高いと蛋白質抽出溶液に蛋白質以外の物質が多く含まれることになり、この蛋白質以外の物質が蛍光試薬と反応し、蛍光を発したり、蛋白質と蛍光試薬との反応を阻害する可能性がある。一方、アルカリ濃度が極端に低いと、器具に付着した残留蛋白質を十分に抽出できない可能性があるので、これらを考慮して、適切な濃度に調整することが求められる。そこで、次のような測定を行い、蛋白質抽出に適切なアルカリ溶液の濃度を調査した。
まず、蛋白質の含まれていない、濃度の異なる水酸化ナトリウム水溶液を作製し、次にそれぞれナノオレンジを反応させ、蛍光量を測定した。蛍光の測定は、蛍光プレートリーダー(パーキンエルマー社製 ARVO MX 142)を使用し、励起波長は470nm、蛍光波長は570nmを使用した。プレートはコーニング社製96wellプレート(型番3632)を使用した。
図2は、上記の方法にて測定された、水酸化ナトリウム水溶液の濃度と蛍光量の関係を示すグラフである。その結果、蛋白質を含まないにも関わらず、濃度が20mM(以下、mol/lをMとあらわす。)を超えた場合に、急激に蛍光量が増大しており、蛋白質の測定に影響があることが判明した。このことから、抽出液としては濃度20mM以下の溶液を使用することが望ましい。さらに望ましくは、濃度10mM以下の溶液を使用することが好ましい。なお、今回は、水酸化ナトリウム水溶液を用いてその濃度と蛍光量を示したが、水酸化ナトリウム以外に、上述した水酸化カリウム等のアルカリ溶液においても、濃度が10mM以下の溶液であれば、蛍光試薬の影響をほとんど受けないため、蛋白質の抽出液として用いることができる。
さらに、詳細に調べるため、以下のような実験を行った。抽出液及び超音波照射に関して、下記に示す条件A〜Cでの時間経過による評価を実施した。また、評価対象サンプルとしては、下記のサンプル1〜3を使用し、抽出前後の質量変化から抽出の可否を判断した。抽出液は10mlとし、無添加ポリエチレン製の袋に器具と抽出液を入れることで器具を抽出液に浸漬させた。なお、条件AおよびCの純水としては、上記に示したように、蒸留水、RO水、脱イオン水等を使用することができるが、本実験においては、ミリQ水(ミリポア社製の超純水装置で作られた超純水)を使用した。また、超音波の照射には、卓上超音波洗浄機(シャープ株式会社製 UT−606 出力600W)を使用した。
〔条件〕
条件A:純水にサンプルを浸漬し、超音波を照射
条件B:濃度5mMの水酸化ナトリウム溶液にサンプルを浸漬し、超音波を照射
条件C:純水にサンプルを浸漬
〔サンプル〕
1:ステンレス板に羊血(日本生物材料センター製ヘパリン添加羊血に、和光純薬製1%硫酸プロタミン水溶液を10:1の比率で混合)を60μl塗布し、24時間自然乾燥させたもの
2:洗浄評価用インジケータ(Pereg社製、商品名:TOSI:ステンレス基材に擬似汚染物を塗布したもの)
3:サンプル2の洗浄評価用インジケータを130℃で30分間加熱したもの
表1に各条件での抽出結果を示す。表中の○印は、ほぼ全抽出が可能、△印は残留10%未満、×印は90%以上が残留を示している。
《条件Aでの結果》
サンプル3以外では抽出が可能であった。一般に医療用の洗浄装置の洗浄工程では、洗浄剤による洗浄、水によるすすぎ、温風による乾燥工程があり、乾燥工程時に蛋白質が器具に固着し、剥離されにくくなることが考えられる。サンプル3での結果は乾燥工程による固着の影響を評価したものとなる。但し、洗浄後の器具残留蛋白質を評価するにあたっては、乾燥工程を必ずしも通す必要がない。このことから、乾燥工程に関する留意が必要であるが、条件Aにおいては器具の残留蛋白質を抽出する方法としてほぼ問題ない。条件Aでは純水での抽出をおこなっていることから、溶液による測定妨害を起こすことなく蛍光法での測定が可能となり、高感度での蛋白質濃度の検出が可能となることから好ましい。
《条件Bでの結果》
5分以上抽出を行った場合、全てのサンプルにおいて蛋白質の抽出が可能であり、最も良好な結果となった。蛋白質の変性等の問題についても、条件Bでは見られなかった。濃度5mMの水酸化ナトリウム溶液を用いているため、濃度が低く、蛋白質が変性することは無かった。
《条件Cでの結果》
浸漬時間を30分にしても、サンプル1〜3において、基材部に白い残渣が多量に残留した。条件Aと比較すると残留する残渣が多く、一部赤色の残渣が含まれており、蛋白質が十分に抽出されていないと考えられる。
以上の実験結果から、洗浄後の器具残留蛋白質を抽出する際には、超音波が有効であることがわかった。また、抽出液として純水を用いることで、溶液による蛋白質の変質や測定妨害が生じる虞がない。また、一般に本洗浄にはアルカリ性の洗剤を用いることが多いため、洗浄後の残留蛋白質の抽出には、同じアルカリ性の抽出液にただ浸漬するだけでは、アルカリ洗剤で落ちなかった蛋白質を完璧に抽出することは難しい。このため、アルカリ性の溶液を用いるのとは異なる、超音波を用いた抽出を行えば、アルカリ性の溶液では抽出できなかった残留蛋白質を抽出することができる。また、図2に示された結果から、さらに補助的に、抽出液として濃度20mM以下のアルカリ溶液を用いて、超音波を照射した場合は、濃度の低いアルカリ溶液であるため、アルカリの影響を受けることなく、蛋白質をより効果的に抽出することができる。このようにして抽出された蛋白質抽出溶液は、抽出液に溶け込んだ蛋白質が変性しておらず、その蛋白質濃度を極めて的確に測定することができる。
なお、上記実験で使用した無添加ポリエチレン袋に関しては、試薬と蛋白の反応を阻害する袋由来の要因を排除することを目的として選定した。無添加ポリエチレン袋は一般的に医薬品分野や、電子デバイス分野できわめて高い清浄度要求のある被包装物包装用として使用されており、クリーンルームで生産することで、異物の混入が管理されていると共に、フィルムの生産性や製袋加工適正を向上させるためのBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)などの酸化防止剤やステアリン酸などの脂肪酸系滑剤、シリカ系のアンチブロッキング剤等が添加されていない。
ここで、袋による影響を実験で確認する為、下記3種類の条件で、5mM水酸化ナトリウムをナノオレンジで測定した結果を図3に示す。
〔条件〕
D:一般的なポリエチレン袋(アズバイオ社取扱い 品番:6−630−17)に入れ、10分間超音波照射の後、測定
E:無添加ポリエチレン袋(アソー社製 ハイクリーンポリ袋)に入れ、10分間超音波照射の後、測定
F:超音波照射せず、そのまま測定
〔結果〕
図3からも明らかなように、5mM水酸化ナトリウムと、それを無添加ポリエチレン袋に入れて超音波を照射した溶液の蛍光反応はほぼ同等であるが、一般的なポリエチレン袋に入れた状態で超音波を照射した溶液は、具体的にどの添加物が阻害物質となっているのかは不明であるものの、蛍光量が大きく異なり、残留蛋白質を抽出する際に使用するには不適であることが判る。
(試薬調合工程)
次に試薬の調合工程102について説明する。
図4は、本発明における試薬の調合方法を示している。器具の蛋白質を抽出する抽出液である5mM水酸化ナトリウムを作製する際に使用する純水を、蛍光試薬を10倍に希釈する純水にあたると考え、ナノオレンジの原液1に対して希釈原液50を先に混合し、純水による試薬の希釈を行わず、後述する反応工程103において、蛋白質抽出溶液500と反応させることとした。このような調合方法を行うことで、蛋白質抽出溶液:蛍光試薬の割合が10:1となり、蛋白質抽出溶液が、蛍光試薬よりも多いので、蛋白質抽出溶液が蛍光試薬により極端に希釈されることが無くなり、正確に蛋白質量を測定することが可能となる。このような調合方法は、器具に付着した残留蛋白質の抽出液のようにごく濃度の薄い溶液に対して蛋白質を検出する場合において有効である。また、試薬がナノオレンジの場合に限らず、希釈して用いる試薬であれば、適用することができる。特に、試薬原液を多くの純水で希釈する場合においては、試薬により蛋白質抽出溶液の濃度が更に薄くなるのを軽減することができる。本実施形態では一例として蛍光試薬原液と希釈原液の割合を1:50、また蛋白質抽出溶液と蛍光試薬の割合が10:1となる場合を説明したが、これに限られるものではなく、使用する試薬の最適な希釈割合を考慮して適宜設定すればよい。
図5にナノオレンジの原液1に対して希釈液50の調合割合で作成した試薬Aで、標準蛋白質として用いるBSA(牛血清アルブミン)の検量線測定結果を示す。ここでは、BSA溶液(溶媒として5mM水酸化ナトリウム溶液)500に対して、試薬Aが51の割合で検量線測定を行った。図5右側の拡大グラフでも明らかなように、本調合による試薬でも検量線の直線性が十分に得られていると共に、約0.1μg/mlのBSA濃度まで検出できており、従来のクーマシー法での検出限界1μg/mlの10倍程度の感度が得られていることが確認できた。但し、0.1μg/ml以下の濃度領域についてはばらつきも大きく、正確に測定出来ていない可能性があるため、0.1μg/ml以下の濃度領域の測定においては、後述する濃縮工程を経た後に測定することとする。
(反応工程)
次に抽出工程101で得られた蛋白質抽出溶液と、上記試薬調合工程102で作成した蛍光試薬とを混合し、反応させる反応工程103について以下に説明する。例えば、試薬としてナノオレンジを使用する場合、抽出工程101で抽出した蛋白質抽出溶液に、蛍光試薬としてナノオレンジを混合し、93℃で10分間加熱し、室温にて冷却を行うことで反応工程103が終了する。反応条件については、使用する蛍光試薬に適した条件を適宜選択すればよい。
ここで、測定溶液を作製する際に使用する水酸化ナトリウム、及び試薬として使用するナノオレンジはピペットで体積を測定し作製、及び調合を行うが、作業者のピペッティングの習熟度により濃度にバラツキが生じる。また試薬調工程102での気温、及び調合から使用するまでの時間の差によっても反応にバラツキが生じる。これらの影響を排除する為、反応工程103では蛋白質抽出溶液に加えて、抽出に使用する水酸化ナトリウム溶液(蛋白質が含まれていないもの)を同時にナノオレンジと反応させ、これをリファレンスとすることが望ましい。
(測定工程)
続いて、測定工程104について説明する。本工程では、上記反応工程103にて反応させた混合液に、励起光を照射し、混合液から発せられる蛍光量を測定する。測定は抽出工程101にて説明した手順と同様であり、一般的なプレートリーダーや蛍光顕微鏡、蛍光分光計等を使用することができる。励起光や蛍光の波長は、使用する蛍光試薬に適したものを選択して用いる。例えば、ナノオレンジを使用する場合、励起波長としては470nm近傍、蛍光波長としては570nm近傍であり、これに適したフィルタ等により分光を行う。
次に、蛍光量を溶液の蛋白質濃度に換算する定量について説明する。ここでは、上記測定工程104にて測定された蛍光量に基づいて、蛋白質抽出溶液の濃度を算出する。具体的には、予め既知の濃度の蛋白質抽出溶液にて検量線を作成しておき、検出された蛍光量をこの検量線を用いて溶液の蛋白質濃度を算出する。検量線の作成にはBSA等の蛋白質を使用することができる。
図6に、蛍光試薬として試薬調合工程102に示した方法で作製したナノオレンジ試薬と、既知のBSA濃度の溶液を反応工程103に示した方法で反応させた後、測定工程104に記載の方法にて蛍光量を測定した結果を示す。なお溶媒として濃度5mMの水酸化ナトリウムを使用し、測定溶液及び試薬作製由来によるバラツキを軽減することを目的として、全濃度において測定された蛍光量から反応工程103で作製したリファレンスの蛍光量を減算しているが、図6からも約0.1μg/ml以下のBSA濃度まで検出が可能であることがわかる。
器具に残留した蛋白質量は、検出した蛋白質濃度に抽出液量を積算することで算出することができ、例えば検出蛋白質濃度が0.1μg/ml、抽出液量が10mlの場合、残留蛋白質量は1μg/器具となる。従来の吸光度を用いた検出方法では、検出感度は10μg/器具程度であり、蛍光法を用いることで高感度に検出が可能となる。ここで蛋白質抽出溶液の蛍光値がリファレンスと大差がない場合は、蛋白濃度が測定限界の0.1μg/ml以下であるという可能性があり、蛋白質抽出溶液に次に示す濃縮工程105を行った後、再度測定を行う。
(濃縮工程)
濃縮工程105は、抽出工程101で得られた蛋白質抽出溶液を濃縮する工程である。今回試薬として使用しているナノオレンジは5mM水酸化ナトリウムでの抽出条件下では0.1μg/ml以下の濃度では蛍光値がばらつき、そのままでは測定ができないために実施するものである。具体的には、非濃縮の蛋白質抽出溶液の蛍光値がリファレンスと略同等である場合に実施し、抽出工程101で得た蛋白質抽出溶液を超高速遠心濾過による限外濾過法にて20倍〜40倍程度に濃縮する。
限外濾過には限外濾過ユニット(以下、濃縮カラムと記載する。)を用い、蛋白質抽出溶液を濃縮カラムの上部に入れ、遠心機にて高速遠心回転をかけることで、蛋白質抽出溶液はフィルタを通過する。今回は、限外濾過ユニット(ザルトリウスステディム・ジャパン株式会社製 ビバスピン20(フィルタサイズ30K))を用いた。
分子である蛋白質はフィルタを通り抜けることが出来ないため、水酸化ナトリウム溶液はそのままに蛋白質濃度だけを20〜40倍とすることで測定限界以上の濃度まで高くすることが可能となる。実際の濃縮工程においては、蛋白質抽出溶液の濃縮作業終了後の濃縮液をピペットで回収する際、その体積量を測定して濃縮前後の体積量から濃縮率を算出する。その後は、非濃縮の場合と同じく、反応工程103、測定工程104を実施する。
濃縮工程105を行った蛋白質抽出溶液は濃縮前と比較して濃度はその濃縮率に応じて20〜40倍程度になっており、5mM水酸化ナトリウムの条件下でのナノオレンジの定量限界濃度0.1μg/ml以上となり、測定工程104で蛍光測定の結果、得られた蛋白質濃度を濃縮倍率で除することで濃縮前の蛋白質濃度を算出することが可能となる。
図7に実際の測定結果を記載する。これは0.1μg/ml以下の既知濃度の蛋白質溶液を濃縮した後にナノオレンジ試薬と反応させて蛍光量を測定し、その測定結果、及び図6に示す濃度0.1μg/ml以上の検量線から濃縮溶液の蛋白濃度を算出し、それを濃縮倍率で除することで濃縮前の蛋白質濃度を算出した結果であり、ほぼ正比例のグラフが得られ、0.01μg/mlの濃度でも測定可能であることを示している。
以上示したような方法で、抽出された蛋白質を、蛍光試薬の調合方法を工夫して蛍光法を用いて検出することにより高感度に残留蛋白質量を定量することが可能となる。更に蛋白質濃度が0.1μg/ml以下の場合、限外濾過ユニットを用いて濃縮した濃縮液に対して濃度測定を行い、測定結果を濃縮倍率で除することで濃縮前の0.1μg/ml以下の蛋白質濃度を精度よく算出することが可能となる。
また、無添加ポリエチレン袋の中に適切な濃度のアルカリ溶液を抽出液として器具を浸漬し、かつ超音波を照射する蛋白質抽出を行うことで、器具に付着した残留蛋白質をほぼ残留なく抽出することができ、さらに抽出液や袋由来の阻害物質による測定妨害のない蛋白質溶液を得ることができる。
本発明に係る蛋白質の抽出方法、検出方法は、例えば医療器具の洗浄精度評価や、医療用洗浄機の性能評価、食品工場の製造ラインの汚染物検出に好適に利用できる。

Claims (10)

  1. 蛋白質が付着した器具から蛋白質を抽出する抽出工程と、
    蛍光試薬を調合する試薬調合工程と、
    前記蛋白質が抽出された蛋白質抽出溶液と調合された前記蛍光試薬とを混合する反応工程と、
    前記蛋白質抽出溶液中の蛋白質と前記蛍光試薬が反応した蛍光量を測定する蛍光測定工程を含む蛋白質検出方法において、
    前記蛋白質抽出溶液が、前記蛍光試薬よりも多いことを特徴とする蛋白質検出方法。
  2. 前記試薬調合工程は、前記蛍光試薬原液と希釈原液を混合することを特徴とする請求項1記載の蛋白質検出方法。
  3. 前記蛋白質の濃度が所定の値以下であった場合には、
    前記蛋白質抽出溶液を濃縮する濃縮工程を経た後、再度前記蛋白質を測定することを特徴とする請求項1または3に記載の蛋白質検出方法。
  4. 前記蛋白質の濃度は、0.01μg/ml以上0.1μg/ml以下であることを特徴とする請求項3記載の蛋白質検出方法。
  5. 前記蛍光試薬がナノオレンジであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蛋白質検出方法。
  6. 前記抽出工程において、前記器具を無添加ポリエチレン袋に入れた抽出液に浸漬させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の蛋白質検出方法。
  7. 前記抽出工程において、超音波を照射することを特徴とする請求項6記載の蛋白質検出方法。
  8. 前記器具は洗浄後のものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の蛋白質検出方法。
  9. 器具に付着した蛋白質を抽出する抽出方法であって、
    前記器具を無添加ポリエチレン袋に入れた抽出液に浸漬させることを特徴とする蛋白質抽出方法。
  10. 前記抽出方法において、超音波を照射することを特徴とする請求項9に記載の蛋白質抽出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112666356A (zh) * 2020-12-31 2021-04-16 国家纳米科学中心 一种检测痕量蛋白质的方法
JP2021063679A (ja) * 2019-10-11 2021-04-22 防衛装備庁長官 難溶性蛋白質の可溶化剤、難溶性蛋白質の可溶化方法及び難溶性蛋白質のサンプル製造方法

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